【解決手段】電動オイルポンプ1は、中心軸Jを中心とするシャフト11を有するモータ部10と、モータ部10のフロント側に位置し、モータ部10によって駆動されオイルを吐出するポンプ部40と、を有する。モータ部10は、シャフト11のリア側に固定されるロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ22と、ロータ20及びステータ22を収容する樹脂ハウジング13と、樹脂ハウジング13の径方向外側に位置するコネクタアセンブリー100と、を有する。コネクタアセンブリー100は樹脂ハウジング13に一体成型される。ポンプ部40は、モータ部10から突出するシャフト11に取り付けられるポンプロータ47と、ポンプロータ47を収容するポンプハウジング51と、を有する。
前記コネクタアセンブリーが前記樹脂ハウジングに一体成型された一体成型品は、前記コネクタ本体部のうち前記端子支持部及び前記端子支持部から突出する前記端子部が前記樹脂ハウジングから露出し、前記コネクタ本体部の表面は前記樹脂ハウジングで覆われる
請求項7又は8に記載の電動オイルポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動オイルポンプについて説明する。本実施形態では、モータの軸方向一方側にポンプ部が配置されてオイルを吐出する電動オイルポンプを例にして説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向他方側と平行な方向とする。X軸方向は、
図1に示す電動オイルポンプの短手方向と平行な方向、すなわち、
図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0011】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「リア側」と記し、Z軸方向の負の側(−Z側)を「フロント側」と記す。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。
【0012】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0013】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、第1実施形態に係る電動オイルポンプの断面図である。本実施形態の電動オイルポンプ1は、
図1に示すように、モータ部10と、ポンプ部40と、を有する。モータ部10とポンプ部40は、軸方向に沿って配置される。モータ部10は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って配置されたシャフト11を有する。ポンプ部40は、モータ部10の軸方向一方側(フロント側)に位置し、モータ部10によってシャフト11を介して駆動されオイルを吐出する。以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0014】
<モータ部10>
モータ部10は、
図1に示すように、樹脂ハウジング13と、ロータ20と、シャフト11と、ステータ22と、転がり軸受25と、コネクタアセンブリー100と、を有する。
【0015】
モータ部10は、例えば、インナーロータ型のモータであり、ロータ20がシャフト11の外周面に固定され、ステータ22がロータ20の径方向外側に位置する。また、転がり軸受25は、シャフト11のリア側(+Z側)端部に配置され、シャフト11を回転可能に支持する。
【0016】
(樹脂ハウジング13)
樹脂ハウジング13は、
図1に示すように、ステータ保持部13aと、回路基板保持部13bと、ポンプボディ保持部13cと、を有する。ステータ保持部13a、回路基板保持部13b、ポンプボディ保持部13cは、樹脂により一体成型される。
【0017】
(ステータ保持部13a)
ステータ保持部13aは、内側に軸方向に延びる貫通孔13a1を有する。貫通孔13a1内にモータ部10のシャフト11と、ロータ20と、ステータ22とが配置される。ステータ保持部13aの内側面には、ステータ22の外側面、すなわち、後述するコアバック部22aの外側面が嵌め合わされる。これにより、ステータ保持部13aにステータ22が収容される。
【0018】
本実施形態のステータ保持部13aの外壁部13a2のX軸方向左側は、フロント側(−Z側)からリア側(+Z側)へ向かって樹脂の径方向の厚さが大きくなる左側壁部13a3を有する。また、外壁部13a2のX軸方向右側は、X軸方向に延びて外部コネクタ90が挿入される挿入孔部13a4を有する。挿入孔部13a4のリア側には、挿入孔部13a4を支持するブラケット部13a5が設けられる。ブラケット部13a5により挿入孔部13a4の剛性が強化される。
【0019】
(回路基板保持部13b)
回路基板保持部13bは、
図1に示すように、ステータ保持部13aのリア側端部に連続的に繋がる。回路基板保持部13bはリア側が開口してX軸方向に延びる有底容器状であり、容器本体部13b1と、容器本体側フランジ部13b2とを有する。
【0020】
容器本体部13b1は、基板収容室13b3を有する。基板収容室13b3は、リア側が開口し、カバー部15によって基板収容室13b3のリア側の開口が覆われる。容器本体部13b1は、樹脂による一体成型である。基板収容室13b3内には、回路基板16、モータ側端子部74c、75c、76c、コネクタ側端子101等が収容される。
【0021】
モータ側端子部74c、75c、76cは、基板収容室13b3内のX軸方向左側に配置され、一端側がモータ部10のコイル22bに電気的に接続され、他端側が回路基板16に電気的に接続される。コネクタ側端子101は、基板収容室13b3内のX軸方向右側に配置され、一端側が外部コネクタ90に電気的に接続され、他端側が回路基板16に電気的に接続される。
【0022】
図3は、本実施形態に係るモータ部10に設けられるコネクタアセンブリー100のY軸方向他方側から見た斜視図である。モータ側端子部74c、75c、76cは、
図3に示すように、バスバー71の一部を構成する。バスバー71は、金属材料製である。バスバー71は、バスバーホルダ80上に載置され、第1バスバー74と、第2バスバー75と、第3バスバー76と、を有する。
【0023】
第1バスバー74は、バスバー本体部74aと、バスバー本体部74aの一端側に繋がるコイル側端子部74bと、バスバー本体部74aの他端側に繋がるモータ側端子部74cと、を有する。第2バスバー75は、第1バスバー74と同様に、バスバー本体部75aと、コイル側端子部75bと、モータ側端子部75cと、を有する。第3バスバー76は、第1バスバー74と同様に、バスバー本体部76aと、コイル側端子部76bと、モータ側端子部76cと、を有する。モータ側端子部74c、75c、76cにステータ22からのコイル22b(
図1参照)が接続される。
【0024】
バスバーホルダ80は、シャフト11の中心軸Jと同軸上であって中心軸Jに対して直交する位置に配置される。バスバーホルダ80は、ステータ22のリア側(+Z側)端部上に配置される。
【0025】
回路基板16は、
図1に示すように、モータ出力信号を出力する。本実施形態では、回路基板16は、基板収容室13b3のリア側に配置されてX軸方向に延びる。回路基板16の裏面(フロント側面)には、複数の電子部品及び図示しないプリント配線が設けられる。回路基板16のX軸方向左側には、モータ側端子部74c、75c、76cの先端部が突き出て電気的に接続されている。本実施形態では、3本のモータ側端子部74c、75c、76cが回路基板16にY軸方向に間隔を有して接続されている。また、回路基板16として、銅インレイ基板を用いることにより、図示しない発熱素子で発生した熱をカバー部15を介して放熱することができる。
【0026】
カバー部15は、金属材料製であり、熱容量が大きく、表面積が大きいため、放熱効果が高い。本実施形態では、カバー部15は、回路基板16に沿って延びる頂部15aと、頂部15aの外側縁部からフロント側へ延びる側壁部15bと、側壁部15bのフロント側端部から外側へ突出するカバー側フランジ部15cと、を有する。
【0027】
カバー側フランジ部15cは、容器本体部13b1に設けられた容器本体側フランジ部13b2に対向して配置されて、ボルト等の締結手段によって容器本体側フランジ部13b2に固定される。頂部15aは、X軸方向左側に回路基板16側へ窪む凹部15dを有する。凹部15dの先端部は図示しない伝熱部材を介して回路基板16に接触する。このため、回路基板16から発生した熱は、伝熱部材及びカバー部15を介して効果的に放熱することができる。
【0028】
(ポンプボディ保持部13c)
ポンプボディ保持部13cは、フロント側が開口した筒状であり、ステータ保持部13aのフロント側端に連続して繋がる。ポンプボディ保持部13cは、内側に軸方向に延びる孔部13c1を有する。孔部13c1の内径は、後述するポンプ部40のポンプボディ52のリア側の外径よりも僅かに大きな寸法を有する。孔部13c1の内側面にポンプボディ52のリア側が嵌め合わされる。
【0029】
ポンプハウジング51は、
図1に示すように、径方向外側の外側面にポンプハウジング51の径方向内側に窪む段部61を有する。樹脂ハウジング13のフロント側端部が段部61に固定される。図示した実施形態では、ポンプボディ52のリア側の側面に、径方向内側に窪む段部61が環状に設けられる。
【0030】
ポンプボディ保持部13cの外側面13c2には、径方向に突出するモータ側フランジ部13c3を有する。モータ側フランジ部13c3は、後述するポンプボディ52に設けられるポンプ側フランジ部52aに対向して配置されて、ボルト等の締結手段によってポンプ側フランジ部52aに固定される。これにより、樹脂ハウジング13にポンプ部40が固定される。
【0031】
(ロータ20)
ロータ20は、ロータコア20aと、ロータマグネット20bと、を有する。ロータコア20aは、シャフト11を軸周り(θ方向)に囲んで、シャフト11に固定される。ロータマグネット20bは、ロータコア20aの軸周り(θ方向)に沿った外側面に固定される。ロータコア20a及びロータマグネット20bは、シャフト11と共に回転する。なお、ロータ20は、ロータ20の内部に永久磁石が埋め込まれた埋込磁石型でもよい。埋込磁石型のロータ20は、永久磁石をロータ20の表面に設けた表面磁石型と比較して、遠心力によって磁石が剥がれる虞を軽減することができ、また、リラクタンストルクを積極的に利用することができる。
【0032】
(ステータ22)
ステータ22は、ロータ20を軸周り(θ方向)に囲み、ロータ20を中心軸J周りに回転させる。ステータ22は、コアバック部22aと、ティース部22cと、コイル22bと、インシュレータ(ボビン)22dと、を有する。
【0033】
コアバック部22aの形状は、シャフト11と同心の円筒状である。ティース部22cは、コアバック部22aの内側面からシャフト11に向かって延びる。ティース部22cは、複数設けられ、コアバック部22aの内側面の周方向に均等な間隔で配置される。コイル22bは、インシュレータ(ボビン)22dの周囲に設けられ、導電線22eが巻回されてなる。インシュレータ(ボビン)19は、各ティース部22cに装着される。ステータ22は、樹脂による一体成型時において、コアバック部22a、ティース部22c、コイル22b、インシュレータ(ボビン)22dが樹脂により覆われた樹脂モールド部22fを有する。
【0034】
(転がり軸受25)
転がり軸受25は、ロータ20及びステータ22のリア側(+Z側)に配置され、転がり軸受保持部30に保持される。転がり軸受25は、シャフト11を支持する。転がり軸受25の形状、構造等は、特に限定されず、いかなる公知のベアリングも用いることができる。
【0035】
(シャフト11)
シャフト11は、
図1に示すように、中心軸Jに沿って延びてモータ部10を貫通する。シャフト11のフロント側(−Z側)は、モータ部10から突出してポンプ部40内に延びる。シャフト11のフロント側(−Z側)は、後述するポンプボディ52内のすべり軸受45に支持される。
【0036】
(コネクタアセンブリー100)
図2は、本実施形態に係るモータ部に設けられるコネクタアセンブリー100のY軸方向一方側から見た斜視図である。コネクタアセンブリー100は、
図2に示すように、一端側が回路基板16に接続され他端側が樹脂ハウジング13の外側に位置する外部コネクタ90に接続されるコネクタ側端子101と、コネクタ側端子101を保持するコネクタ本体部110と、を有する。コネクタアセンブリー100は、樹脂ハウジング13と一体成型される。本実施形態では、コネクタアセンブリー100は、コネクタ側端子101と一体成型される。つまり、コネクタアセンブリー100は、一次成型品であり、コネクタアセンブリー100を含んだ樹脂ハウジング13が二次成型品である。
【0037】
図示した実施形態では、コネクタ本体部110は、ステータ22の軸方向他方側の外周面に先端部が対向して配置されて径方向外側へ延びる第1板部113と、第1板部113の径方向外側端部に繋がって軸方向他方側へ延びる連結板部115と、連結板部115の軸方向他方側端部に繋がって径方向外側へ延びる第2板部117と、を有する。
【0038】
図2及び
図3は、本実施形態に係るモータ部10に設けられるコネクタアセンブリー100のY軸方向他方側から見た斜視図である。
図3に示すように、第1板部113のX軸方向−側の端部は、ステータ22の径方向内側から軸方向他方側へ突出するインシュレータ22dの外周面と接触する湾曲面部113aを有する。湾曲面部113aのフロント側端には、X軸方向右側へ凹むコネクタ側段部113bが設けられている。コネクタ側段部113bがステータ22のリア側端部に接触する。このため、コネクタアセンブリー100のステータ22に対する軸方向の位置決めをすることができる。また、コネクタ側段部113bのX軸方向右側端よりフロント側には、ステータ22の外周面に接触する接触面部113cが設けられる。このため、コネクタアセンブリー100のインシュレータ22dに対する径方向の位置決めをすることができる。
【0039】
図4は、本実施形態に係るモータ部10に設けられるコネクタアセンブリー100の斜めフロント側から見た斜視図である。コネクタ本体部110の第1板部113は、
図4に示すように、湾曲面部113aよりも軸方向一方側に延びてステータ22の外周面に接触して径方向外側へ突出するリブ113dを有する。図示した実施形態では、リブ113dは、第1板部113の周方向に複数設けられている。よって、リブ113dにより第1板部の軸方向の剛性を強化することができる。
【0040】
図5は、本実施形態に係るコネクタアセンブリー100のY軸方向他方側から見た斜視図である。コネクタ本体部110は、
図1及び
図5に示すように、基板収容室13b3に収容される回路基板16よりも軸方向一方側に位置して回路基板16の軸方向一方側の面に沿って延びる表面部117aを有する。本実施形態では、第2板部117は、リア側に表面部117aを有する。表面部117aは、軸方向他方側に開口する貫通孔118を有する。貫通孔118は、コネクタアセンブリー100を樹脂ハウジング13に対して位置決めする金型のピン130と嵌合可能な内径を有する。
【0041】
貫通孔118は、表面部117aの中央部の周辺にリア側が開口する。貫通孔118は、間隔を有して2個設けられている。これらの貫通孔118に金型のピン130が嵌合することで、一体成型時において、樹脂ハウジング13に対してコネクタアセンブリー100のX軸方向及びY軸方向の位置決めをすることができる。
【0042】
第2板部117は、表面部117a上のX軸方向左側にリア側へ突出する端子支持部119を有する。端子支持部119は直方体状であり、端子支持部119の長手方向がY軸方向に沿って延びる。
【0043】
端子支持部119から軸方向他方側へ突出するコネクタ側端子101は、コネクタ側端子101の長手方向中間部に突出方向に対して交差する方向へ屈曲する屈曲部101aを有する。図示した実施形態では、端子支持部119から突出するコネクタ側端子101の軸方向中間部に屈曲部101aが設けられる。屈曲部101aは、X軸方向左側へ突出するU字状である。なお、屈曲部101aの形状は、U字状に限るものではなく、X軸方向左側へ突出するV字状でもよい。
【0044】
コネクタ側端子101の先端部を回路基板16に溶接する際にコネクタ側端子101に熱が伝わると、コネクタ側端子101が伸びて変形して回路基板16が付勢される虞がある。そこで、コネクタ側端子101に屈曲部101aを設けることで、コネクタ側端子101の伸びを屈曲部101aで吸収して回路基板16への付勢を抑制することができる。
【0045】
図7は、本実施形態にコネクタ側端子101の斜視図である。コネクタ側端子101は、基板側接続端子部101bと、端子本体部101cと、接続端子部101dとを有する。基板側接続端子部101bは、軸方向に延びる。接続端子部101dはX軸方向に延びる。基板側接続端子部101bと接続端子部101dとの間を繋ぐ端子本体部101cは、少なくとも軸方向に延びる。コネクタ側端子101は、Y軸方向に間隔を有して配置される。図示した実施形態では、4つのコネクタ側端子101が配置されている。コネクタ本体部110とコネクタ側端子101は、樹脂により一体成型される。このため、コネクタ本体部110に対してコネクタ側端子101を位置精度よく配置することができる。
【0046】
コネクタアセンブリー100が樹脂ハウジング13に一体成型された一体成型品は、
図1に示すように、コネクタ本体部110のうち、コイル側端子部74b、75b、76bを保持する端子保持部85及びコネクタ側端子101が突出する端子支持部119が樹脂ハウジング13から露出し、コネクタ本体部110の表面は樹脂ハウジング13で覆われる。このため、コネクタアセンブリー100が樹脂ハウジング13から露出する部分を抑制することができる。したがって、コネクタアセンブリー100と樹脂ハウジングとの界面に、水、空気等の侵入を抑制することができる。
【0047】
<ポンプ部40>
ポンプ部40は、
図1に示すように、モータ部10の軸方向一方側、詳細にはフロント側(−Z側)に位置する。ポンプ部40は、モータ部10によってシャフト11を介して駆動される。ポンプ部40は、ポンプロータ47と、ポンプハウジング51と、を有する。ポンプハウジング51は、ポンプボディ52と、ポンプカバー57と、を有する。以下、各部品について詳細に説明する。
【0048】
(ポンプボディ52)
ポンプボディ52は、モータ部10のフロント側(−Z側)において樹脂ハウジング13のフロント側(−Z側)内に固定される。ポンプボディ52は、ポンプロータ47を収容し側面及びモータ部10のリア側(+Z側)に位置する底面を有する収容部53を有する。収容部53は、フロント側(−Z側)に開口してリア側(+Z側)に窪む。収容部53の軸方向から視た形状は、円形状である。
【0049】
ポンプボディ52は、リア側(+Z側)の面からフロント側(−Z側)に窪む凹部54を有する。凹部54内にシール部材59を収容する。凹部54の軸方向から視た形状は、円形状である。
【0050】
ポンプボディ52は、中心軸Jに沿って貫通する貫通孔55を有する。貫通孔55は軸方向両端が開口してシャフト11を通し、リア側(+Z側)の開口が凹部54に開口し、フロント側(−Z側)の開口が収容部53に開口する。貫通孔55は、シャフト11を回転可能に支持するすべり軸受45として機能する。
【0051】
ポンプボディ52は、リア側(+Z側)の径方向外側の側面に径方向内側に窪む段部61を有する。段部61は、環状の端壁面61aを有する。端壁面61aに樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが接触することで、樹脂ハウジング13をポンプボディ52に対して軸方向に位置決めすることができる。
【0052】
端壁面61aの径方向内側端には、周壁面64がリア側(+Z側)に連続して延びる。周壁面64のリア側(+Z側)には、径方向内側に窪んだ環状の凹部65が設けられる。この凹部65にはシール部材66が設けられる。図示した実施形態では凹部65にOリングが設けられる。
【0053】
段部61の端壁面61aよりも径方向外側には、ポンプ側フランジ部52aが設けられる。ポンプ側フランジ部52aは、端壁面61aに連なって連続して延びる。本実施形態では、ポンプ側フランジ部52aは周方向に間隔を有して4か所設けられる。
【0054】
ポンプ側フランジ部52aは、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが段部61に接触した状態でモータ側フランジ部13c3に対向して配置され、ポンプ側フランジ部52a及びモータ側フランジ部13c3間をボルト等の締結手段で締結することで、モータ部10をポンプ部40に固定することができる。
【0055】
図8は、本実施形態に係る樹脂ハウジング13のモータ側フランジ部13c3の拡大断面図である。本実施形態では、
図8に示すように、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dは、端壁面61a上に配置された金属プレート63を介して端壁面61aに接触する。段部61は、凹部54に設けられたシール部材59と収容部53との間に位置する。
【0056】
金属プレート63は、本実施形態では、樹脂ハウジング13とポンプボディ52の間に設けられている。樹脂ハウジング13には、外側面にローレット目が設けられ、内周面に雌ねじが設けられたカラー69がインサートされている。具体的には、段部61上にインサートされる。金属プレート63は、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dの径方向の大きさとはほぼ同等の大きさを有する。金属プレート63が樹脂ハウジング13とポンプボディ52の間に配置された理由は、次の通りである。樹脂ハウジング13の外形は、電動オイルポンプ1の設置スペースとの関係で大型化することができない。このため、樹脂ハウジング13のポンプボディ52に接触する樹脂ハウジング13のカラー69の肉厚は十分に確保できない。したがって、樹脂ハウジング13とポンプボディ52間を締結すると、ポンプボディ52が座屈する虞が生じる。そこで、鉄製の金属プレート63を樹脂ハウジング13とポンプボディ52の間に入れることでカラー69の肉厚が十分取れなくてもポンプボディ52がアルミ製であっても座屈を防止することが出来る。
【0057】
(ポンプロータ47)
ポンプロータ47は、シャフト11に取り付けられる。より詳細には、ポンプロータ47は、シャフト11のフロント側(−Z側)に取り付けられる。ポンプロータ47は、シャフト11に取り付けられるインナーロータ47aと、インナーロータ47aの径方向外側を囲むアウターロータ47bと、を有する。インナーロータ47aは、円環状である。インナーロータ47aは、径方向外側面に歯を有する歯車である。
【0058】
インナーロータ47aは、シャフト11に固定される。より詳細には、インナーロータ47aの内側にシャフト11のフロント側(−Z側)の端部が圧入される。インナーロータ47aは、シャフト11と共に軸周り(θ方向)に回転する。アウターロータ47bは、インナーロータ47aの径方向外側を囲む円環状である。アウターロータ47bは、径方向内側面に歯を有する歯車である。
【0059】
インナーロータ47aとアウターロータ47bとは互いに噛み合い、インナーロータ47aが回転することでアウターロータ47bが回転する。すなわち、シャフト11の回転によりポンプロータ47は回転する。言い換えると、モータ部10とポンプ部40とは同一の回転軸を有する。これにより、電動オイルポンプ1が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0060】
また、インナーロータ47aとアウターロータ47bとが回転することで、インナーロータ47aとアウターロータ47bの噛み合わせ部分の間の容積が変化する。容積が減少する領域が加圧領域なり、容積が増加する領域が負圧領域となる。ポンプロータ47の負圧領域のフロント側(−Z側)には、吸入ポートが配置される。また、ポンプロータ47の加圧領域Apのフロント側(−Z側)には、吐出ポートが配置される。ここで、ポンプカバー57に設けられた吸入口57aから収容部53内に吸入されるオイルは、インナーロータ47aとアウターロータ47bの間の容積部分に収容され、加圧領域に送られる。その後、オイルは、吐出ポートを通ってポンプカバー57に設けられた吐出口57bから吐出される。
【0061】
(ポンプカバー57)
ポンプカバー57は、
図1に示すように、ポンプボディ52に対してフロント側(−Z側)から覆うことで、ポンプボディ52との間に収容部53を設ける。本実施形態では、ポンプカバー57は、ポンプボディ52のフロント側(−Z側)に取り付けられて、収容部53のフロント側(−Z側)に開口する開口部53aを閉塞することで、ポンプカバー57とポンプボディ52との間に収容部53が設けられる。
【0062】
<電動オイルポンプ1の作用・効果>
次に、電動オイルポンプ1の作用・効果について説明する。
図1に示すように、電動オイルポンプ1のモータ部10が駆動すると、モータ部10のシャフト11が回転して、ポンプロータ47のインナーロータ47aの回転にともなってアウターロータ47bも回転する。ポンプロータ47が回転すると、ポンプ部40の吸入口57aから吸引されたオイルは、ポンプ部40の収容部53内を移動して、吐出ポートを通って吐出口57bから吐出される。
【0063】
(1)ここで、本実施形態に係る電動オイルポンプ1は、コネクタアセンブリー100が樹脂ハウジング13に一体成型されるので、外部コネクタ90の種類に応じたコネクタアセンブリーを樹脂ハウジング13とともに一体成型することができる。このため、様々な外部コネクタ90に対応可能な電動オイルポンプ1を提供することができる。また、ハウジングが金属製の場合と比較して、電動オイルポンプ1を軽量化することができる。
【0064】
(2)樹脂ハウジング13は、シャフト11の軸方向他方側に位置して回路基板16を収容する基板収容室13b3を有するので、基板収容室13b3を樹脂ハウジング13とは別個に設ける場合と比較して、部品点数を減らすことができる。
【0065】
(3)コネクタ本体部110が有するコネクタ側段部113bがモータ部10のステータ22の軸方向他方側端部に接触するので、樹脂による一体成型(例えば、インサート成型)時に、コネクタ本体部110の軸方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0066】
(4)コネクタ本体部110は、インシュレータ22dの外周面と接触する湾曲面部113aを有するので、樹脂による一体成型(例えば、インサート成型)時、コネクタ本体部110の径方向の位置決めをすることができる。
【0067】
(5)コネクタ本体部110は、湾曲面部113aよりも軸方向一方側に延びてステータ22の外周面に接触して径方向外側へ突出するリブ113dを有するので、湾曲面部113aを有したコネクタ本体部110の剛性を向上することができる。このため、樹脂による一体成型時に樹脂圧によって湾曲面部113aを有したコネクタ本体部110の部分が変形する虞を防止することができ、湾曲面部113aをステータ22の外周面に確実に接触させることができる。
【0068】
(6)表面部117aには軸方向他方側に開口する貫通孔118を有し、貫通孔118は、コネクタ本体部110を樹脂ハウジング13に対して位置決めする金型のピン130と嵌合可能な内径を有するので、一体成型時に、ピン130が貫通孔118に嵌合することで、コネクタ本体部110を樹脂ハウジング13に対して位置決めすることができる。
【0069】
(7)端子支持部119から軸方向他方側へ突出するコネクタ側端子101は、コネクタ側端子101の長手方向中間部に突出方向に対して交差する方向へ屈曲する屈曲部101aを有するので、コネクタ側端子101の先端部を回路基板16に溶接する際にコネクタ側端子101に熱が伝わると、コネクタ側端子101が伸びて変形して回路基板16が付勢される虞がある。そこで、コネクタ側端子101に屈曲部101aを有することで、コネクタ側端子101の伸びを屈曲部101aで吸収して回路基板16への付勢を抑制することができる。
【0070】
(8)コネクタアセンブリー100が樹脂ハウジング13に一体成型された一体成型品は、端子保持部85から突出するコイル側端子部74b、75b、76b及び端子支持部119から突出するコネクタ側端子101が樹脂ハウジング13から露出し、コネクタ本体部110の表面は樹脂ハウジング13で覆われるので、コネクタアセンブリー100が樹脂ハウジング13から露出する部分を抑制することができる。このため、コネクタアセンブリー100と樹脂ハウジング13との界面に、水、空気等の侵入を抑制することができる。
【0071】
(9)コネクタ本体部110は、径方向外側へ延びる第1板部113と、軸方向他方側へ延びる連結板部115と、径方向外側へ延びる第2板部117と、を有するので、一体成型後に樹脂が硬化すると、第1板部113及び第2板部117の軸方向両側の面に樹脂が硬化し、連結板部115の径方向両側の面に樹脂が硬化する。このため、コネクタ本体部110を樹脂ハウジング13に強固に固定することができる。
【0072】
(10)コネクタ本体部110とコネクタ側端子101は、樹脂により一体成型されるので、コネクタ本体部110にコネクタ側端子101を個別に設ける場合と比較して、部品数を低減し、コネクタアセンブリー100の製造を容易にすることができる。
【0073】
(11)樹脂ハウジング13の軸方向一方側端部が段部61に固定されるので、樹脂ハウジング13をポンプ部40に位置決めした状態で固定ことができる。
【0074】
[第1実施形態の変形例]
(コネクタアセンブリーの成型時の位置決めの変形例)
図5に示した第1実施形態に係る転がりコネクタアセンブリー100では、第1板部113に金型のピン130と嵌合可能な貫通孔118を有している。しかしながら、この構造に限定されるものではなく、例えば、
図6に示すように、端子支持部119は、コネクタ本体部110を樹脂ハウジング13に対して位置決めする金型の位置決め部と嵌合可能な嵌合部119aを有してもよい。図示した実施形態では、端子支持部119は、端子支持部119の回りの側面19bが嵌合部119aとなって金型の位置決め部と嵌合可能である。このため、一体成型時に、嵌合部119aが位置決め部に嵌合することで、コネクタ本体部110を樹脂ハウジング13に対して位置決めすることができる(変形例1)。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発名とその均等の範囲に含まれるものである。