【解決手段】本発明の一態様は、壁1に開けられた取付穴2を測定する穴の測定方法において、ポインタ11を取付穴2の内部に取り付けて、ポインタ11における取付穴2の外側の先端の位置である第1位置P1,P11を測定することにより、取付穴2の位置を測定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ボルトを用いて壁(例えば、コンクリートの壁)に板(例えば、鉄板や鋼板)を設置する際には、ボルトを板に設けられた貫通穴に通して壁の取付穴に締結することが考えられる。このとき、予め壁に取付穴を開けておき、その現場にて取付穴の位置および角度に合うように板の貫通穴を設ける作業を行うことが考えられる。しかしながら、このような所謂現物合わせによる作業は、作業工数を要するため、設置する板の枚数が多いときや、板が重いときや、工期が短いときなどには、現実的な作業とはいえない。
【0005】
そこで、予め板の貫通穴も設けておくことが考えられるが、壁の取付穴の位置および傾き(角度)の施工精度が良くないときには、壁の取付穴と板の貫通穴の位置および傾きが合わず、ボルトを板の貫通穴に通して壁の取付穴に締結することが困難になる。そこで、テーパ付ワッシャにより壁の取付穴と板の貫通穴の位置および傾きのずれを修正して、ボルトを板の貫通穴に通して壁の取付穴に締結できるようにすることが考えられる。そうすると、適切なテーパ付ワッシャを選定するために、壁に板を設置する前に、予め壁の取付穴の位置および傾きを公知の測量機器で測定する必要があるが、壁の取付穴の位置が高いなど壁の取付穴の位置によっては、壁の取付穴の位置および傾きの測定が困難になる。そして、特に壁の取付穴の傾きを測ることができないと、壁の取付穴の傾きに応じた大きさのテーパ部を備えるテーパ付ワッシャを選定できないので、壁に板を設置できないおそれがある。したがって、壁の取付穴の位置および傾きを測れるようにすることが望まれる。なお、前記の特許文献1に開示された測定方法においては、前記のような壁の取付穴の位置および傾きを測ることは何ら示唆されていない。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、穴の位置および/または傾きを測定できる穴の測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一形態は、穴の測定方法において、測定治具を前記穴の内部に取り付けて、前記測定治具における前記穴の外側の先端の位置である測定治具先端位置を測定することにより、前記穴の位置を測定すること、を特徴とする。
【0008】
この態様によれば、測定治具を使用することにより穴の位置を示す測定治具先端位置を示すことができる。そのため、この測定治具先端位置を公知の測量機器を用いて測定することにより、穴の位置を測定できる。
【0009】
上記の態様においては、前記穴は壁に開けられたものであること、が好ましい。
【0010】
この態様によれば、例えば穴が壁の高い位置に開けられていても、測定治具を使用することにより穴の位置を示す測定治具先端位置を示すことができる。そのため、この測定治具先端位置を公知の測量機器を用いて測定することにより、穴が壁のどの位置に開けられているかに関わらず、その穴の位置を測定できる。
【0011】
上記の態様においては、延長治具を前記測定治具の前記先端の先に配置して、前記延長治具における前記測定治具側とは反対側の先端の位置である延長治具先端位置を測定し、前記測定治具先端位置と前記延長治具先端位置の測定結果から前記穴の傾きを算出すること、が好ましい。
【0012】
この態様によれば、測定治具と延長治具を使用することにより、穴の外部において、穴の中心軸方向に並ぶ測定治具先端位置と延長治具先端位置の2点の位置を示すことができる。そのため、この測定治具先端位置と延長治具先端位置の2点の位置を公知の測量機器を用いて測定して、その測定結果をもとに演算することにより、穴の傾きを測定できる。したがって、例えば、ボルトを用いて壁に板を設置する際に、壁に開けられた穴の傾きが存在する場合であっても、当該穴の傾きに応じた大きさのテーパ部を備えるテーパ付ワッシャを使用して、ボルトを板に設けられた貫通穴に通して穴に締結できる。
【0013】
上記の態様においては、前記測定治具として、第1測定治具と、前記第1測定治具よりも長い第2測定治具と、を使用し、前記第1測定治具を前記穴の内部に取り付けて、前記第1測定治具における前記穴の外側の先端の位置である第1測定治具先端位置を測定し、前記第2測定治具を前記穴の内部に取り付けて、前記第2測定治具における前記穴の外側の先端の位置である第2測定治具先端位置を測定し、前記第1測定治具先端位置と前記第2測定治具先端位置の測定結果から前記穴の傾きを算出すること、が好ましい。
【0014】
この態様によれば、第1測定治具と第2測定治具を使用することにより、穴の外部において、穴の中心軸方向に並ぶ第1測定治具先端位置と第2測定治具先端位置の2点の位置を示すことができる。そのため、この第1測定治具先端位置と第2測定治具先端位置の2点の位置を公知の測量機器を用いて測定して、その測定結果をもとに演算することにより、穴の傾きを測定できる。したがって、ボルトを用いて壁に板を設置する際に、壁に開けられた穴の傾きが存在する場合であっても、当該穴の傾きに応じた大きさのテーパ部を備えるテーパ付ワッシャを使用して、ボルトを板に設けられた貫通穴に通して穴に締結できる。
【0015】
上記の態様においては、前記穴の内径よりも大きく形成される鍔部を備える補助具を前記測定治具の前記先端側に取り付けて、前記鍔部が前記穴の開口側の面に接する位置まで前記測定治具を前記穴の内部に挿入させるようにして、前記測定治具を前記穴に取り付けること、が好ましい。
【0016】
この態様によれば、測定治具を、穴の内部における所望の深さの位置まで挿入させて、穴の内部に取り付けることができる。そのため、測定治具を穴の内部に取り付けたときに、測定治具先端位置を公知の測量機器により測定できる所定の位置に配置できる。したがって、安定して測定治具先端位置を測定できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る穴の測定方法によれば、穴の位置および/または傾きを測定できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、
図1〜
図9に示すように、壁1(例えば、コンクリートの壁)に開けられた取付穴2の位置および傾きを測定する際に使用する治具として、ポインタ11(測定治具)とキャップ12(補助具)と延長ポインタ13(延長治具)を使用する。ここで、「取付穴2の傾き」とは、壁面1a(取付穴2の開口側の面)に直交する軸S1に対する取付穴2の角度のずれ、すなわち、壁面1aに直交する軸S1に対する取付穴2の中心軸S2の傾き(角度θ)である。なお、取付穴2は、本来的には壁面1aに直交する軸S1に平行に形成されることが望まれるが、施工精度が良くないときには軸S1に対する角度のずれが生じる。
【0020】
図1と
図2に示すように、ポインタ11は、その中心軸方向(
図1の左右方向)に沿ってねじ部11aと中間部11bと測定部11cを備えている。
【0021】
ねじ部11aは、円柱状に形成されており、その外周面に雄ねじ21が形成されている。中間部11bは、ポインタ11の中心軸方向について、ねじ部11aと測定部11cの間の位置に形成されている。測定部11cは、軸状に形成されており、詳しくは、正四角柱状に形成されている。
【0022】
そして、ポインタ11の先端22(詳しくは、測定部11cの先端)の中心の位置に、ポンチマーク23が形成されている。ここで、先端22は、ポインタ11の中心軸方向についての測定部11c側の先端であり、後述するようにポインタ11を取付穴2の内部に取り付けたときに、取付穴2の外側(開口部側、底部2aとは反対側)の位置に配置される。
【0023】
本実施形態では、
図2に示すようにポインタ11をその中心軸方向から見たときに、測定部11cの外形(詳しくは、角部が面取りされた正方形に形成された外形)の辺の長さおよび対角線の長さは、ねじ部11aの外径と中間部11bの外径よりも小さい。
【0024】
図3と
図4に示すように、キャップ12は、筒状に形成されている。そして、キャップ12は、その中心軸方向(
図3の左右方向)に沿って第1円筒部12aと鍔部12bと第2円筒部12cを備えている。第1円筒部12aと第2円筒部12cは、ともに円筒状に形成されている。鍔部12bは、筒状に形成されており、その外形が正六角形に形成されている。
【0025】
本実施形態では、
図4に示すようにキャップ12をその中心軸方向から見たときに、鍔部12bの外形(詳しくは、正六角形に形成された外形)の対角線の長さは、第1円筒部12aの外径と第2円筒部12cの外径よりも大きい。すなわち、鍔部12bは、キャップ12の径方向(
図3の上下方向や
図4の上下左右方向)について、第1円筒部12aと第2円筒部12cよりも外側に突出するように形成されている。また、鍔部12bは、その外形の対角線の長さが取付穴2の内径よりも大きく形成されている。
【0026】
また、キャップ12は、その中心軸上にて当該中心軸方向に貫通するように形成された貫通穴12dを備えている。本実施形態では、
図4に示すように、貫通穴12dの外形は、正方形に形成されている。また、この貫通穴12dは、ポインタ11の測定部11cと延長ポインタ13が挿入可能な大きさに形成されている。なお、貫通穴12dにおける第1円筒部12a側の端部には面取りが形成されており、これにより、貫通穴12dの内部にポインタ11の測定部11cが挿入され易いようになっている。
【0027】
図5と
図6に示すように、延長ポインタ13は、ポインタ11の測定部11cと同様に、軸状に形成されており、詳しくは、正四角柱状に形成されている。そして、延長ポインタ13の先端24の中心にポンチマーク25が形成されている。ここで、先端24は、延長ポインタ13の中心軸方向についての一方の先端であり、後述するように延長ポインタ13をポインタ11の先端22の先に配置したときにポインタ11とは反対側の位置に配置される。
【0028】
本実施形態では、
図6に示すように延長ポインタ13をその中心軸方向から見たときに、延長ポインタ13の外形(詳しくは、角部が面取りされた正方形に形成された外形)の辺の長さおよび対角線の長さは、ポインタ11の測定部11cの外形と等しい。なお、本実施形態では、延長ポインタ13の中心軸方向についての当該延長ポインタ13の長さは、測定部11cの中心軸方向についての当該測定部11cの長さよりも大きい。
【0029】
次に、本実施形態において、以上のような治具を使用して取付穴2の位置および傾きを測定する方法について説明する。
【0030】
まず、キャップ12をポインタ11の先端22側に取り付ける。具体的には、キャップ12の貫通穴12dに第1円筒部12a側からポインタ11の測定部11cを挿入して、ポインタ11の中間部11bとキャップ12の第1円筒部12aとが接するようにして、キャップ12をポインタ11の先端22側に取り付ける。
【0031】
次に、
図7に示すように、キャップ12を取り付けたポインタ11を取付穴2の内部に取り付ける。具体的には、まず、前記のようにポインタ11に、その中心軸を中心に回転させる。すると、外形が正方形に形成される貫通穴12dに正四角柱状の測定部11cが挿入されて嵌め合わされているので、ポインタ11はその中心軸を中心に回転して、ポインタ11のねじ部11aが取付穴2のねじ部にねじ込まれていく。なお、取付穴2のねじ部は、詳しくは、取付穴2の内部に埋め込まれたインサート3のねじ部3aである。そして、このようにして、
図7に示すように、キャップ12の鍔部12bが壁面1aに接する位置までポインタ11を取付穴2の内部に挿入させるようにして、ポインタ11を取付穴2の内部に取り付ける。そして、このとき、ポインタ11の先端22は、取付穴2の中心軸S2方向について、取付穴2の外側の位置に配置される。
【0032】
次に、
図8に示すように、キャップ12をポインタ11から取り外し、ポインタ11の先端22の位置である第1位置P1(測定治具先端位置)を測定する。このとき、例えばトータルステーションなどの公知の測量機器を用いて、ポインタ11の先端22のポンチマーク23の位置の座標を測定する。なお、第1位置P1は、取付穴2の外部において取付穴2の中心軸S2上に存在している。
【0033】
次に、
図9に示すように、再びポインタ11の先端22側にキャップ12を取り付けた後、このキャップ12に延長ポインタ13を取り付けることにより、延長ポインタ13をポインタ11の先端22の先に配置する。具体的には、キャップ12の貫通穴12dの内部に第2円筒部12c側から延長ポインタ13を挿入して、延長ポインタ13とポインタ11の測定部11cとが接するようにして、延長ポインタ13をキャップ12に取り付ける。そして、このとき、延長ポインタ13の先端24は、取付穴2の中心軸S2方向について、ポインタ11とは反対側の位置に配置される。
【0034】
次に、延長ポインタ13の先端24の位置である第2位置P2(延長治具先端位置)を測定する。このとき、前記のポインタ11と同様に、例えばトータルステーションなどの公知の測量機器を用いて、延長ポインタ13の先端24のポンチマーク25の位置の座標を測定する。なお、第2位置P2は、取付穴2の外部において取付穴2の中心軸S2上に存在している。
【0035】
次に、第1位置P1と第2位置P2の測定結果から取付穴2の傾きを算出する。すなわち、測定したポンチマーク23の位置の座標とポンチマーク25の位置の座標(第1位置P1と第2位置P2の相対座標)から、壁面1aに直交する軸S1に対して取付穴2の中心軸S2が成す角度θを算出する。なお、取付穴2の傾きの算出は、不図示の演算手段(コンピュータ)により行ってもよい。
【0036】
以上のように本実施形態では、ポインタ11を取付穴2に取り付けて、ポインタ11の先端22の位置である第1位置P1を測定することにより、取付穴2の位置を測定する。
【0037】
このようにして、ポインタ11を使用することにより取付穴2の位置を示す第1位置P1を示すことができる。そのため、この第1位置P1を公知の測量機器を用いて測定することにより、取付穴2の位置を測定できる。
【0038】
また、本実施形態では、壁1に開けられた取付穴2の位置を測定する方法を示しており、例えば取付穴2が壁1の高い位置に開けられていても、ポインタ11を使用することにより取付穴2の位置を示す第1位置P1を示すことができる。そのため、この第1位置P1を公知の測量機器を用いて測定することにより、取付穴2が壁1のどの位置に開けられているかに関わらず、その取付穴2の位置を測定できる。
【0039】
また、本実施形態では、延長ポインタ13をポインタ11の先端22の先に配置して、延長ポインタ13の先端24の位置である第2位置P2を測定する。そして、第1位置P1と第2位置P2の測定結果から取付穴2の傾きを算出する。
【0040】
このようにして、ポインタ11と延長ポインタ13を使用することにより、取付穴2の外部において、取付穴2の中心軸S2方向に並ぶ第1位置P1と第2位置P2の2点の位置を示すことができる。そのため、この第1位置P1と第2位置P2の2点の位置を公知の測量機器を用いて測定して、その測定結果をもとに演算することにより、取付穴2の傾きを測定できる。したがって、例えば、ボルトを用いて壁1に不図示の板を設置する際に、取付穴2の傾きが存在する場合であっても、取付穴2の傾きに応じた大きさのテーパ部を備えるテーパ付ワッシャを使用して、ボルトを板に設けられた貫通穴に通して取付穴2に締結できる。なお、壁1に設置する板は、例えば、鉄板や鋼板である。
【0041】
また、本実施形態では、キャップ12をポインタ11の先端22側に取り付けて、鍔部12bが壁面1aに接する位置までポインタ11を取付穴2の内部に挿入させるようにして、ポインタ11を取付穴2に取り付ける。
【0042】
これにより、ポインタ11を、取付穴2の内部における所望の深さの位置まで挿入させて、取付穴2の内部に取り付けることができる。そのため、ポインタ11を取付穴2の内部に取り付けたときに、第1位置P1を公知の測量機器により測定できる所定の位置に配置できる。したがって、作業者の技量に左右されることなく、安定して第1位置P1を測定できる。
【0043】
また、本実施形態では、ポインタ11の先端22側に取り付けたキャップ12に延長ポインタ13を取り付けることにより、延長ポインタ13をポインタ11の先端22の先に配置する。
【0044】
このようにして、延長ポインタ13を、キャップ12により保持させて、安定してポインタ11の先端22の先に配置できる。そのため、延長ポインタ13の先端24の位置が安定するので、安定して第2位置P2を測定できる。
【0045】
また、ポインタ11を取付穴2の内部に取り付けた状態のまま、延長ポインタ13をポインタ11の先端22の先に配置できるので、第1位置P1を測定した後に第2位置P2を測定するときにポインタ11を取付穴2から一旦取り外す必要がない。そのため、作業工数を低減できる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、
図10〜
図14に示すように、取付穴2の位置および傾きを測定する際に使用する治具として、ポインタ11(第1測定治具)の他に、キャップ32(補助具)とポインタ33(第2測定治具)を使用する。
【0047】
図10と
図11に示すように、キャップ32は、筒状に形成されている。そして、キャップ32は、その中心軸方向(
図10の左右方向)に沿って円筒部32aと鍔部32bを備えている。円筒部32aは、円筒状に形成されている。鍔部32bは、筒状に形成されており、その外形が正六角形に形成されている。
【0048】
本実施形態では、
図11に示すようにキャップ32をその中心軸方向から見たときに、鍔部32bの外形(詳しくは、正六角形に形成された外形)の対角線の長さは、円筒部32aの外径よりも大きい。すなわち、鍔部32bは、キャップ32の径方向(
図10の上下方向や
図11の上下左右方向)について、円筒部32aよりも外側に突出するように形成されている。また、鍔部32bは、その外形の対角線の長さが取付穴2の内径よりも大きく形成されている。
【0049】
また、キャップ32は、その中心軸上にて当該中心軸方向に貫通するように形成された貫通穴32cを備えている。本実施形態では、
図11に示すように、貫通穴32cの外形は、正方形に形成されている。また、この貫通穴32cは、ポインタ11の測定部11cとポインタ33の測定部33cが挿入可能な大きさに形成されている。なお、貫通穴32cにおける円筒部32a側の端部には面取りが形成されており、これにより、貫通穴32cの内部にポインタ11の測定部11cやポインタ33の測定部33cが挿入され易いようになっている。
【0050】
図12に示すように、ポインタ33は、その中心軸方向(
図12の左右方向)について、ポインタ11よりも長く形成されている。そして、ポインタ33は、その中心軸方向に沿ってねじ部33aと中間部33bと測定部33cを備えている。なお、
図12に示すポインタ33を図面右方向から見たときの図は、前記の
図2と同様に表される。
【0051】
ねじ部33aは、円柱状に形成されており、その外周面に雄ねじ41が形成されている。中間部33bは、ポインタ33の中心軸方向について、ねじ部33aと測定部33cの間の位置に形成されている。測定部33cは、軸状に形成されており、詳しくは、正四角柱状に形成されている。この測定部33cは、ポインタ11の測定部11cよりも長い。
【0052】
そして、ポインタ33の先端42(詳しくは、測定部33cの先端)の中心の位置に、ポンチマーク43が形成されている。ここで、先端42は、ポインタ33の中心軸方向についての測定部33c側の先端であり、後述するようにポインタ33を取付穴2の内部に取り付けたときに、取付穴2の外側(開口部側、底部2aとは反対側)の位置に配置される。
【0053】
本実施形態では、ポインタ33をその中心軸方向(
図12の右方向)から見たときに、測定部33cの外形(詳しくは、角部が面取りされた正方形に形成された外形)の辺の長さおよび対角線の長さは、ねじ部33aの外径と中間部33bの外径よりも小さい。
【0054】
次に、本実施形態において、以上のような治具を使用して取付穴2の位置および傾きを測定する方法について説明する。
【0055】
まず、キャップ32をポインタ11の先端22側に取り付ける。具体的には、キャップ32の貫通穴32cに円筒部32a側からポインタ11の測定部11cを挿入させて、ポインタ11の中間部11bとキャップ32の円筒部32aとが接するようにして、キャップ32をポインタ11の先端22側に取り付ける。
【0056】
次に、
図13に示すように、キャップ32を取り付けたポインタ11を取付穴2の内部に取り付ける。すなわち、第1実施形態と同様にして、キャップ32の鍔部32bが壁面1aに接する位置までポインタ11を取付穴2の内部に挿入させるようにして、ポインタ11を取付穴2の内部に取り付ける。そして、このとき、ポインタ11の先端22は、取付穴2の中心軸S2方向について、取付穴2の外側の位置に配置される。
【0057】
次に、キャップ32をポインタ11から取り外し、第1実施形態と同様に、ポインタ11の先端22の位置である第1位置P11(第1測定治具先端位置)を測定する。なお、第1位置P11は、取付穴2の外部において取付穴2の中心軸S2上に存在している。
【0058】
次に、ポインタ11を取付穴2の内部から取り外す。具体的には、再び前記の
図13に示すようにポインタ11にキャップ32を取り付けた後、キャップ32をその中心軸を中心にポインタ11を取付穴2の内部に取り付けるときとは逆方向に回転させる。そして、これにより、ポインタ11をその中心軸を中心にポインタ11を取付穴2の内部に取り付けるときとは逆方向に回転させて、ポインタ11のねじ部11aを取付穴2の内部に埋め込まれたインサート3のねじ部3aから外して、ポインタ11を取付穴2の内部から取り外す。
【0059】
次に、キャップ32をポインタ33の先端42側に取り付ける。具体的には、キャップ32の貫通穴32cに円筒部32a側からポインタ33の測定部33cを挿入して、ポインタ33の中間部33bとキャップ32の円筒部32aとが接するようにして、キャップ32をポインタ33の先端42側に取り付ける。
【0060】
次に、
図14に示すように、キャップ32を取り付けたポインタ33を取付穴2の内部に取り付ける。すなわち、ポインタ11と同様にして、キャップ32の鍔部32bが壁面1aに接する位置までポインタ33を取付穴2の内部に挿入させるようにして、ポインタ33を取付穴2の内部に取り付ける。そして、このとき、ポインタ33の先端42は、取付穴2の中心軸S2方向について、取付穴2の外側の位置に配置される。
【0061】
次に、ポインタ33の先端42の位置である第2位置P12(第2測定治具先端位置)を測定する。このとき、ポインタ11と同様に、例えばトータルステーションなどの公知の測量機器を用いて、ポインタ33の先端42のポンチマーク43の位置の座標を測定する。なお、第2位置P12は、取付穴2の外部において取付穴2の中心軸S2上に存在している。また、このとき、
図14に示すようにキャップ32をポインタ33に取り付けておいてもよく、また、キャップ32をポインタ33から取り外しておいてもよい。
【0062】
次に、第1位置P11と第2位置P12の測定結果から取付穴2の傾きを算出する。すなわち、測定したポンチマーク23の位置の座標とポンチマーク43の位置の座標(第1位置P11と第2位置P12の相対座標)から、壁面1aに直交する軸S1に対して取付穴2の中心軸S2が成す角度θを算出する。
【0063】
以上のように本実施形態では、測定治具として、ポインタ11と、ポインタ11よりも長いポインタ33と、を使用する。そして、ポインタ11を取付穴2の内部に取り付けてポインタ11の先端22の位置である第1位置P11を測定し、ポインタ33を取付穴2の内部に取り付けてポインタ33の先端42の位置である第2位置P12を測定する。そして、第1位置P11と第2位置P12の測定結果から取付穴2の傾きを算出する。
【0064】
このようにして、ポインタ11とポインタ33を使用することにより、取付穴2の外部において、取付穴2の中心軸S2方向に並ぶ第1位置P11と第2位置P12の2点の位置を示すことができる。そのため、この第1位置P11と第2位置P12の2点の位置の座標を公知の測量機器を用いて測定して、その測定結果をもとに演算することにより、取付穴2の傾きを測定できる。したがって、例えば、ボルトを用いて壁1に不図示の板を設置する際に、取付穴2の傾きが存在する場合であっても、取付穴2の傾きに応じた大きさのテーパ部を備えるテーパ付ワッシャを使用して、ボルトを板に設けられた貫通穴に通して取付穴2に締結することができる。
【0065】
また、本実施形態では、キャップ32をポインタ11の先端22側に取り付けて、鍔部32bが壁面1aに接する位置までポインタ11を取付穴2の内部に挿入させるようにして、ポインタ11を取付穴2に取り付ける。さらに、キャップ32をポインタ33の先端42側に取り付けて、鍔部32bが壁面1aに接する位置までポインタ33を取付穴2の内部に挿入させるようにして、ポインタ33を取付穴2に取り付ける。
【0066】
これにより、ポインタ11とポインタ33を、取付穴2の内部における所望の深さの位置まで挿入させて、取付穴2の内部に取り付けることができる。そのため、ポインタ11とポインタ33を取付穴2の内部に取り付けたときに、第1位置P11と第2位置P12を公知の測量機器により測定できる所定の位置に配置できる。したがって、安定して第1位置P11と第2位置P12を測定できる。
【0067】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記の説明では壁1に開けられた取付穴2の位置および/または傾きを測定したが、壁1以外の例えば床などに開けられた取付穴の位置および/または傾きを測定してもよい。