【解決手段】口臭判定装置は、口腔内の細菌叢に存在する菌の種類を示す教師菌種情報と、前記教師菌種情報が示す菌の前記細菌叢における割合を前記種類毎に示す教師割合情報とに基づいて、口腔に口臭があるか否かを示す口臭情報を出力するように、機械学習によって学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、被験者の口腔内の細菌叢に存在する菌の種類を示す菌種情報と、前記菌種情報が示す菌の前記細菌叢における割合を前記種類毎に示す割合情報とを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記菌種情報と、前記取得部が取得した前記割合情報を前記学習済みモデルに入力し、演算された前記被験者に口臭があるか否かを示す口臭情報を出力する出力部と、を備える。
口腔内の細菌叢に存在する菌の種類を示す教師菌種情報と、前記教師菌種情報が示す菌の前記細菌叢における割合を前記種類毎に示す教師割合情報とに基づいて、口腔に口臭があるか否かを示す口臭情報を出力するように、機械学習によって学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被験者の口腔内の細菌叢に存在する菌の種類を示す菌種情報と、前記菌種情報が示す菌の前記細菌叢における割合を前記種類毎に示す割合情報とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記菌種情報と、前記取得部が取得した前記割合情報とを前記学習済みモデルに入力し、演算された前記被験者に口臭があるか否かを示す口臭情報を出力する出力部と、
を備える口臭判定装置。
口腔内の細菌叢に存在するDNAの塩基配列であって、塩基の数が5つの短塩基配列の種類を示す教師短塩基情報と、前記教師短塩基情報が示す短塩基の割合を前記種類毎に示す教師短塩基割合情報とに基づいて、口腔に口臭があるか否かを示す口臭情報を出力するように、機械学習によって学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被験者の口腔内の細菌叢に存在するDNAの塩基配列であって、塩基の数が5つの短塩基配列の種類を示す短塩基配列情報と、前記短塩基配列情報が示す短塩基配列の前記細菌叢における割合を前記種類毎に示す短塩基割合情報とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記短塩基配列情報と、前記取得部が取得した前記短塩基割合情報とを前記学習済みモデルに入力し、演算された前記被験者に口臭があるか否かを示す口臭情報を出力する出力部と、
を備える口臭判定装置。
口腔内の細菌叢に存在する菌の種類を示す教師菌種情報と、前記教師菌種情報が示す菌の前記細菌叢における割合を前記種類毎に示す教師割合情報とに基づいて、口腔に口臭があるか否かを示す口臭情報を出力するように、機械学習によって学習された学習済みモデルを記憶する記憶部を備えるコンピュータに、
被験者の口腔内の細菌叢に存在する菌の種類を示す菌種情報と、前記菌種情報が示す菌の前記細菌叢における割合を前記種類毎に示す割合情報とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記菌種情報と、前記取得ステップにおいて取得した前記割合情報を前記学習済みモデルに入力し、演算された前記被験者に口臭があるか否かを示す口臭情報を出力する出力ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の口臭判定システム1の概要を示す図である。
図1に示す通り、口臭判定システム1は、口臭判定装置10と、菌種割合検出装置20とを備える。
口臭判定装置10は、判定対象者(以下、被験者ET)の口臭の有無を判定する装置である。菌種割合検出装置20は、被験者ETの口腔内の菌の集合(細菌叢)を取得し、被験者ETの口腔内に存在する菌の種類、及び当該菌が口腔内に存在する割合を菌の種類毎に検出する装置である。細菌叢とは、例えば、被験者ETの舌苔や、被験者ETの唾液(以下、唾液SV)から取得可能である。本実施形態の一例では、菌種割合検出装置20が被験者ETの唾液SVに基づいて、菌の種類及び当該菌が口腔内に存在する割合を検出する。以降の説明において、菌種割合検出装置20が検出した情報であって、被験者ETの口腔内に存在する菌の種類を示す情報を菌種情報KBと記載する。また、菌種割合検出装置20が検出した情報であって、菌種情報KBが示す菌が被験者ETの口腔内に存在する割合を菌の種類毎に示す情報を割合情報RBと記載する。口臭判定装置10は、菌種割合検出装置20が検出した菌種情報KBと、割合情報RBとに基づいて、被験者ETの口臭の有無を判定する。
【0015】
ここで、菌種割合検出装置20が菌種情報KB及び割合情報RBを検出する方法は、短い塩基配列(以下、短塩基配列)の存在割合に基づく方法と、16SrRNA遺伝子の存在割合に基づく方法とがある。まず、短塩基配列の存在割合に基づいて菌種情報KB及び割合情報RBを検出する菌種割合検出装置20(以下、菌種割合検出装置20a)について説明し、次に、16SrRNA遺伝子の存在割合に基づいて菌種情報KB及び割合情報RBを検出する菌種割合検出装置20(以下、菌種割合検出装置20b)について説明する。以降の説明において、菌種割合検出装置20のうち、菌種割合検出装置20aが備える構成には、符号の末尾に「a」を付す。また、菌種割合検出装置20bが備える構成には、符号の末尾に「b」を付す。また、いずれの菌種割合検出装置20に係る構成であるかを区別しない場合には、「a」又は「b」を省略して示す。
【0016】
<菌種割合検出装置20aについて>
以下、図を参照して、短塩基配列の存在割合に基づいて、菌種情報KB及び割合情報RBを検出する菌種割合検出装置20aの詳細について説明する。
図2は、本実施形態の短塩基配列の存在割合に基づいて、菌種情報KB及び割合情報RBを検出する菌種割合検出装置20aの構成の一例を示す機能構成図である。
菌種割合検出装置20aは、シーケンサー21aと、制御部22aと、記憶部23aとを備える。記憶部23aは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SDカード、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等によって実現される。記憶部23aには、例えば、短塩基情報231aと、対応情報232aとが予め記憶される。
【0017】
短塩基情報231aとは、シーケンサー21aの解析対象デオキシリボ核酸(Deoxy Ribonucleic Acid:以下、DNA)塩基配列を示す情報であって、5つのヌクレオチドの組み合わせによって示される短塩基配列を示す情報である。本実施形態の一例において、シーケンサー21aの解析対象とは、唾液SV(被験者ETの口腔内)に存在する菌である。
シーケンサー21aは、唾液SV(被験者ETの口腔内)に存在する菌のDNA塩基配列のうち、短塩基情報231aが示す解析対象の塩基配列を解析する。このような配列比較はアラインメントと呼ばれる。シーケンサー21aは、アライメントし、得られた短塩基配列の種類を示す情報(以下、短塩基配列情報SB)を制御部22aに供給する。また、シーケンサー21aは、アライメントし、得られた短塩基配列が唾液SV中における量(割合)を、当該短塩基配列の種類毎に示す情報(以下、短塩基割合情報RSB)を制御部22aに供給する。
【0018】
制御部22aは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、記憶部23aに記憶されたプログラムを実行することにより、各機能部を実現する。制御部22aは、例えば、判定部221aと、出力部222aとをその機能部として実現する。制御部22aは、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0019】
判定部221aは、シーケンサー21aから短塩基配列情報SBと、短塩基割合情報RSBとを取得する。判定部221aは、短塩基配列情報SBと、短塩基割合情報RSBと、対応情報232aとに基づいて、被験者ETの口腔内に存在する菌(菌種情報KB)と、当該菌が口腔内に存在する割合(割合情報RB)とを判定する。対応情報232aとは、短塩基配列情報SB及び短塩基割合情報RSBと、菌種情報KB及び割合情報RBの対応を示す情報である。
【0020】
以下、図を参照して対応情報232aの詳細について説明する。
図3は、本実施形態の対応情報232aの一例を示す第1の図である。
図3に示す通り、対応情報232aには、短塩基配列情報SBと、短塩基割合情報RSBと、菌種情報KBと、割合情報RBとが対応付けられる。
ここで、ある被験者ETの短塩基配列情報SBと、短塩基割合情報RSBとが分かる場合、被験者ETの口腔内に存在する菌の種類(菌種情報KB)と、当該菌が口腔内に存在する割合(割合情報RB)とが一意に定まる。短塩基配列情報SB及び短塩基割合情報RSBと、菌種情報KB及び割合情報RBとの対応付けは、短塩基情報231aが示す短塩基配列と、当該塩基配列が存在する唾液SV中の菌との解析結果に基づいて行われる。
【0021】
図3に示す一例では、n個の種類の短塩基配列情報SBと、当該短塩基配列情報SBに対応する数(n個)の短塩基割合情報RSBとが、短塩基情報231aとして対応付けられる。nとは、自然数である。具体的には、
図3は、唾液SVには、「GGACC(短塩基配列情報SB1)」が0.25%(短塩基割合情報RSB1)の割合で存在し、「CCCCC(短塩基配列情報SB2)」が0.5%(短塩基割合情報RSB2)の割合で存在し、…、「CCTAG(短塩基配列情報SBn)」が0.25%(短塩基割合情報RSBn)の割合で存在することを示す。
また、
図3に示す一例では、上述した短塩基配列情報SB1〜短塩基配列情報SBn及び短塩基割合情報RSB1〜短塩基割合情報RSBnには、菌種情報KB1〜菌種情報KB4、及び割合情報RB1〜割合情報RB4が短塩基情報231aとして対応付けられる。具体的には、
図3に示す短塩基情報231aは、唾液SVに短塩基配列情報SB1〜短塩基配列情報SBnの短塩基配列が短塩基割合情報RSB1〜短塩基割合情報RSBnの割合で存在する場合、被験者ETの口腔内には、アクチノミセテムコミタンス(菌種情報KB1)が19%(割合情報RB1)の割合で存在し、ヌクレアータム(菌種情報KB2)が29%(割合情報RB2)の割合で存在し、ジンジバリス(菌種情報KB3)が21%(割合情報RB3)の割合で存在し、ミュータンス(菌種情報KB4)が31%(割合情報RB4)の割合で存在することを示す。なお、対応情報232aは、短塩基配列情報SB及び短塩基割合情報RSBの組み合わせ毎に菌種情報KB及び割合情報RBが対応付けられる。対応情報232aとは、基準情報の一例である。
【0022】
図2に戻り、判定部221aは、取得した短塩基配列情報SB及び短塩基割合情報RSBを検索キーとして、対応情報232aを検索する。判定部221aは、対応情報232aのうち、検索キーと合致する短塩基配列情報SB及び短塩基割合情報RSBに対応付けられた菌種情報KB及び割合情報RBを判定(抽出)する。判定部221aは、判定した菌種情報KB及び割合情報RBを出力部222aに供給する。
出力部222aは、判定部221aから取得した菌種情報KB及び割合情報RBを口臭判定装置10に供給する。
【0023】
なお、上述では、短塩基情報231aが5つのヌクレオチドの組み合わせを示す情報である場合について説明したが、これに限られない。短塩基情報231aは、少なくとも5つ以上のヌクレオチドの組み合わせを示す情報であれば、いずれの長さの塩基配列を示す情報であってもよい。
また、シーケンサー21aは、唾液SVに存在する菌のDNA塩基配列を示す塩基配列情報を制御部22aに供給する構成であってもよい。この場合、制御部22aは、シーケンサー21aから取得した塩基配列情報と、短塩基情報231aとに基づいて、短塩基配列の種類を検出する機能部(例えば、検出部)を備えていていもよい。また、制御部22aは、検出した短塩基配列の種類毎に短塩基配列が唾液SV中における量(割合)を取得する機能部(例えば、割合取得部)を備えていていもよい。
【0024】
<菌種割合検出装置20bについて>
以下、図を参照して、16SrRNA遺伝子の存在割合に基づいて、菌種情報KB及び割合情報RBを検出する菌種割合検出装置20bの詳細について説明する。
図4は、本実施形態の16SrRNA遺伝子の存在割合に基づいて、菌種情報KB及び割合情報RBを検出する菌種割合検出装置20bの構成の一例を示す機能構成図である。
菌種割合検出装置20bは、シーケンサー21bと、制御部22bと、記憶部23bとを備える。記憶部23bには、例えば、既知塩基情報231bと、対応情報232bとが予め記憶される。
【0025】
既知塩基情報231bとは、シーケンサー21bの解析対象のDNA塩基配列を示す情報であって、既知の16SrRNA遺伝子の塩基配列を示す情報である。以降の説明において、既知の16SrRNA遺伝子の塩基配列を既知塩基配列と記載する。
シーケンサー21bは、唾液SV(被験者ETの口腔内)に存在する菌のDNA塩基配列のうち、既知塩基情報231bが示す解析対象の塩基配列を解析する。シーケンサー21bは、アライメントし、得られた既知塩基配列の種類を示す情報(以下、既知塩基配列情報EB)を制御部22bに供給する。また、シーケンサー21bは、アライメントし、得られた既知塩基配列が唾液SV中における量(割合)を、当該既知塩基配列の種類毎に示す情報(以下、既知塩基割合情報REB)を制御部22bに供給する。
【0026】
制御部22bは、CPU等のプロセッサが、記憶部23bに記憶されたプログラムを実行することにより、各機能部を実現する。制御部22bは、例えば、判定部221bと、出力部222bとをその機能部として実現する。
【0027】
判定部221bは、シーケンサー21bから既知塩基配列情報EBと、既知塩基割合情報REBとを取得する。判定部221bは、既知塩基配列情報EBと、既知塩基割合情報REBと、対応情報232bとに基づいて、被験者ETの口腔内に存在する菌(菌種情報KB)と、当該菌が口腔内に存在する割合(割合情報RB)とを判定する。対応情報232bとは、既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBと、菌種情報KB及び割合情報RBの対応を示す情報である。
【0028】
以下、図を参照して対応情報232bの詳細について説明する。
図5は、本実施形態の対応情報232bの一例を示す第2の図である。
図5に示す通り、対応情報232bには、既知塩基配列情報EBと、既知塩基割合情報REBと、菌種情報KBと、割合情報RBとが対応付けられる。
ここで、ある被験者ETの既知塩基配列情報EBと、既知塩基割合情報REBとが分かる場合、被験者ETの口腔内に存在する菌の種類(菌種情報KB)と、当該菌が口腔内に存在する割合(割合情報RB)とが一意に定まる。既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBと、菌種情報KB及び割合情報RBとの対応付けは、既知塩基情報231bが示す既知塩基配列と、当該既知塩基配列が存在する唾液SV中の菌との解析結果に基づいて行われる。
【0029】
図5に示す一例では、m個の既知塩基配列情報EBと、当該既知塩基配列情報EBに対応する数の(m個)の既知塩基割合情報REBとが、既知塩基情報231bとして対応付けられる。mとは、自然数である。具体的には、
図5は、唾液SVには、「GGACC(既知塩基配列情報EB1)」が0.25%(既知塩基割合情報REB1)の割合で存在し、「CCCCC(既知塩基配列情報EB2)」が0.5%(既知塩基割合情報REB2)の割合で存在し、…、「CCTAG(既知塩基配列情報EBm)」が0.25%(既知塩基割合情報REBm)の割合で存在することを示す。
また、
図5に示す一例では、上述した既知塩基配列情報EB1〜既知塩基配列情報EBm及び既知塩基配列情報EB1〜既知塩基配列情報EBmには、菌種情報KB1〜菌種情報KB4、及び既知塩基割合情報REB1〜既知塩基割合情報REB4が既知塩基情報231bとして対応付けられる。具体的には、
図5に示す既知塩基情報231bは、唾液SVに既知塩基配列情報EB1〜既知塩基配列情報EBmの既知塩基配列が既知塩基割合情報REB1〜既知塩基割合情報REBmの割合で存在する場合、被験者ETの口腔内には、アクチノミセテムコミタンス(菌種情報KB1)が19%(割合情報RB1)の割合で存在し、ヌクレアータム(菌種情報KB2)が29%(割合情報RB2)の割合で存在し、ジンジバリス(菌種情報KB3)が21%(割合情報RB3)の割合で存在し、ミュータンス(菌種情報KB4)が31%(割合情報RB4)の割合で存在することを示す。なお、対応情報232bは、既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBの組み合わせ毎に菌種情報KB及び割合情報RBが対応付けられる。対応情報232bとは、基準情報の一例である。
【0030】
図4に戻り、判定部221bは、取得した既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBを検索キーとして、対応情報232bを検索する。判定部221bは、対応情報232bのうち、検索キーと合致する既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBに対応付けられた菌種情報KB及び割合情報RBを判定(抽出)する。判定部221bは、判定した菌種情報KB及び割合情報RBを出力部222bに供給する。
出力部222bは、判定部221bから取得した菌種情報KB及び割合情報RBを口臭判定装置10に供給する。
【0031】
なお、シーケンサー21bは、唾液SVに存在する菌のDNA塩基配列を示す塩基配列情報を制御部22bに供給する構成であってもよい。この場合、制御部22bは、シーケンサー21bから取得した塩基配列情報と、既知塩基情報231bとに基づいて、既知塩基配列の種類を検出する機能部(例えば、検出部)を備えていていもよい。また、制御部22bは、検出した既知塩基配列の種類毎に既知塩基配列が唾液SV中における量(割合)を取得する機能部(例えば、割合取得部)を備えていていもよい。
また、菌種割合検出装置20は、菌種割合検出装置20a及び菌種割合検出装置20bの機能をいずれも備える構成であってもよい。
【0032】
以下、図を参照し、口臭判定装置10の詳細について説明する。
図6は、本実施形態の口臭判定装置10の構成の一例を示す機能構成図である。
図6に示す通り、口臭判定装置10は、制御部11と記憶部12とを備える。
記憶部12には、学習済みモデル121が予め記憶される。学習済みモデル121とは、口腔内の細菌叢に存在する菌の種類を示す教師菌種情報(以下、教師菌種情報TKB)と、細菌叢に存在する菌のうち、教師菌種情報TKBが示す菌の割合を菌の種類毎に示す教師割合情報TRBとに基づいて、結果情報RTを出力するように隠れ層の活性化関数のパラメータが機械学習されたモデルである。結果情報RTとは、口腔に口臭があるか否かを示す情報である。結果情報RTは、例えば、口腔に口臭がある場合「1」を示し、口腔に口臭がない場合「0」を示す。口腔に口臭がある場合とは、例えば、呼気のうち、口臭の原因となるガス(例えば、メチルメルカプタン)の濃度が所定の閾値以上である場合である。したがって、結果情報RTは、菌種情報KB及び割合情報RBに基づいて、呼気に含まれる口臭の原因となるガス(以下、特定ガス)の濃度が所定の閾値以上であると推定される場合、「1」を示し、所定の閾値より低いと推定される場合、「0」を示す。機械学習とは、例えば、SVM(Support Vector Machine)やディープラーニングである。本実施形態の一例では、学習済みモデル121がディープラーニングによって学習された場合について説明する。
【0033】
学習済みモデル121は、例えば、呼気に含まれる特定ガスの濃度を検出することにより予め結果情報RTが取得されている複数の被験者ETの唾液SVに基づいて学習される。具体的には、学習済みモデル121は、当該唾液SVに基づいて、上述した構成の菌種割合検出装置20によって取得した菌種情報KB及び割合情報RBをそれぞれ教師菌種情報TKB及び教師割合情報TRBとし、学習される。
学習済みモデル121は、例えば、教師菌種情報TKB及び教師割合情報TRBと、隠れ層の活性化関数のパラメータとに基づいて、結果情報RTを算出する。また、学習済みモデル121は、教師菌種情報TKB及び教師割合情報TRBに基づいて算出した結果情報RTが誤りの場合、誤差逆伝搬法によって隠れ層の活性化関数のパラメータが調整される。
【0034】
なお、結果情報RTが、呼気に含まれる特定ガスの濃度の値を示す情報であってもよい。この場合、学習済みモデル121は、呼気に含まれる特定ガスの濃度を示す結果情報RTが予め取得されている複数の被験者ETの唾液SVに基づいて学習される。
【0035】
制御部11は、CPU等のプロセッサが、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、各機能部を実現する。制御部11は、例えば、取得部111と、演算部112と、出力部113とをその機能部として実現する。
【0036】
取得部111は、菌種割合検出装置20から菌種情報KB及び割合情報RBを取得する。取得部111は、取得した菌種情報KB及び割合情報RBを演算部112に供給する。
演算部112は、取得した菌種情報KB及び割合情報RBと、学習済みモデル121とに基づいて、結果情報RTを算出する。演算部112は、算出した結果情報RTを出力部113に供給する。
出力部113は、演算部112から結果情報RTを取得する。出力部113は、取得した結果情報RTを出力する。出力部113は、例えば、結果情報RTを示す画像をディスプレイパネル等の表示装置に出力し、当該画像を表示させる。また、出力部113は、例えば、被験者ETの検査結果を記憶するサーバ装置に結果情報RTを送信する。
【0037】
以下、図を参照して口臭判定システム1の動作について説明する。
図7は、本実施形態の口臭判定システム1の動作の一例を示す流れ図である。
菌種割合検出装置20が備えるシーケンサー21は、被験者ETの唾液SVに基づいて、唾液SV内に存在するDNA塩基配列の種類及び当該種類の塩基配列が唾液SV内に存在する割合を種類毎に解析する(ステップS110)。具体的には、シーケンサー21aは、被験者ETの唾液SVと、短塩基情報231aとに基づいて、短塩基配列情報SBと、短塩基割合情報RSBとを解析する。また、シーケンサー21bは、被験者ETの唾液SVと、既知塩基情報231bとに基づいて、既知塩基配列情報EBと、既知塩基割合情報REBとを解析する。判定部221は、シーケンサー21が解析した情報と、対応情報232とに基づいて、菌種情報KBと、割合情報RBとを判定する(ステップS120)。具体的には、判定部221aは、対応情報232aのうち、取得した短塩基配列情報SB及び短塩基割合情報RSBが対応付けられた菌種情報KB及び割合情報RBを判定する。また、判定部221は、対応情報232bのうち、取得した既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBが対応付けられた菌種情報KB及び割合情報RBを判定する。出力部222は、判定部221が判定した菌種情報KB及び割合情報RBを口臭判定装置10に出力する(ステップS130)。
【0038】
口臭判定装置10が備える取得部111は、菌種割合検出装置20から菌種情報KB及び割合情報RBを取得する(ステップS140)。演算部112は、取得部111が取得した菌種情報KB及び割合情報RBと、学習済みモデル121とに基づいて、結果情報RTを演算する(ステップS150)。出力部113は、演算部112が演算した結果情報RTを出力する(ステップS160)。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の口臭判定システム1は、口臭判定装置10と、菌種割合検出装置20とを備える。口臭判定装置10は、制御部11を備え、取得部111と、演算部112と、出力部113とをその機能部として実現する。取得部111は、菌種割合検出装置20が検出した情報であって、被験者ETの口腔内の細菌叢(この一例では、唾液SV)に存在する菌の種類を示す菌種情報KBと、菌種情報KBが示す菌の唾液SV内における割合を種類毎に示す割合情報RBとを取得する。演算部112は、取得部111が取得した菌種情報KBと、取得部111が取得した割合情報RBと、学習済みモデル121とに基づく演算する。出力部113は、演算部112の演算結果を示す情報であって、被験者ETに口臭があるか否かを示す口臭情報(この一例では、結果情報RT)を出力する。ここで、学習済みモデル121は、唾液SVに存在する菌の種類を示す教師菌種情報TKBと、教師菌種情報TKBが示す菌の唾液SV内における割合を種類毎に示す教師割合情報TRBとに基づいて、結果情報RTを出力するように、機械学習によって学習された学習済みモデルである。
【0040】
これにより、本実施形態の口臭判定装置10は、唾液SVに基づいて、被験者ETに口臭があるか否かを判定する。したがって、本実施形態の口臭判定装置10は、呼気に含まれるガスを検出する装置を用いることなく、被験者ETに口臭があるか否かを判定することができる。また、本実施形態の口臭判定装置10は、唾液SV内に存在する菌及び当該菌の割合に基づいて口臭があるか否か判定するため、口腔内に存在する菌を培養し、口臭があるか否かを判定する方法と比較して、短い時間で被験者ETに口臭があるか否かを判定することができる。
【0041】
また、本実施形態の学習済みモデル121は、ディープラーニングによって学習されたモデルである。ここで、口臭の原因となるガスを発生させる菌が口腔内に存在する場合であっても、必ずしも口臭がある(呼気に含まれる口臭の原因となるガスの濃度が高まる)とは限らない。具体的には、口臭が発生する条件は、口腔内に存在する菌の種類と、口腔内に存在する菌の種類毎の割合とに関係する。だだし、菌の種類と、当該種類毎の割合の組み合わせをすべて基準情報(短塩基情報231aや既知塩基情報231b)として解析することは困難である。
本実施形態の口臭判定装置10は、学習済みモデル121によって結果情報RTを演算し、簡便な処理によって被験者ETに口臭があるか否を判定することができる。
【0042】
また、本実施形態の教師菌種情報TKB及び教師割合情報TRBは、複数の被験者ETの唾液SVを解析した結果に基づく情報である。具体的には、教師菌種情報TKBは、菌種割合検出装置20が複数の唾液SVに基づいて検出した複数の菌種情報KBである。また、教師割合情報TRBは、菌種割合検出装置20が複数の唾液SVに基づいて検出した複数の割合情報RBである。教師菌種情報TKB及び教師割合情報TRBを取得する際に用いられる細菌叢が唾液SVである場合、細菌叢が呼気である場合と比較して、短期間で口臭の有無を判定することができる。
【0043】
また、本実施形態の菌種割合検出装置20aは、シーケンサー21aと、制御部22aと、記憶部23aとを備える。制御部22aは、その機能部として、判定部221aと、出力部222aとを実現する。シーケンサー21aは、唾液SVに存在する短塩基配列の種類を検出する。また、シーケンサー21aは、検出した短塩基配列の種類毎に、当該種類の短塩基配列が唾液SV中に存在する割合を取得する。判定部221aは、短塩基情報231aと、短塩基配列情報SBと、短塩基配列情報SBが示す短塩基配列毎の短塩基割合情報RSBとに基づいて、菌種情報KBと、割合情報RBとを判定する。
【0044】
ここで、唾液SV中に含まれるDNA塩基配列は、コピー数の変動、キメラ形成、ポリメラーゼ連鎖反応法によるエラー及びバクテリア間の水平遺伝子伝達等が影響し、菌種情報KB及び割合情報RBを判定する際に用いられる塩基配列として特定することが困難である可能性がある。本実施形態の菌種割合検出装置20aは、唾液SVに含まれる短塩基配列に基づいて、菌種情報KBと、割合情報RBを判定する。短塩基配列は、判定の対象となるヌクレオチドの数が少ない(この一例では、5塩基)ため、コピー数の変動、キメラ形成、ポリメラーゼ連鎖反応法によるエラー及びバクテリア間の水平遺伝子伝達等によって受ける影響を低減することができる。したがって、本実施形態の菌種割合検出装置20は、精度高く菌種情報KB及び割合情報RBを判定し、判定した菌種情報KBと、割合情報RBによって口臭判定装置10に被験者ETの口臭の有無を判定させることができる。
【0045】
また、本実施形態の菌種割合検出装置20bは、シーケンサー21bと、制御部22bと、記憶部23bとを備える。制御部22bは、その機能部として、判定部221bと、出力部222bとを実現する。シーケンサー21bは、唾液SVに存在する既知塩基配列の種類を検出する。また、シーケンサー21bは、検出した既知塩基配列の種類毎に、当該種類の既知塩基配列が唾液SV中に存在する割合を取得する。判定部221bは、既知塩基情報231bと、既知塩基配列情報EBと、既知塩基配列情報EBが示す既知塩基配列毎の既知塩基割合情報REBとに基づいて、菌種情報KBと、割合情報RBとを判定する。
【0046】
ここで、菌種情報KB及び割合情報RBを判定する際に用いられる塩基配列の種類が膨大である場合、菌種情報KB及び割合情報RBを判定する処理に係る時間を低減することが困難である可能性がある。本実施形態の菌種割合検出装置20bは、唾液SVに含まれるDNA塩基配列のうち、口腔内に存在し、特定ガスを発生させる可能性がある菌の既知塩基配列(例えば、16SrRNA遺伝子)に基づいて、菌種情報KBと、割合情報RBを判定する。したがって、本実施形態の菌種割合検出装置20は、簡便な処理によって菌種情報KB及び割合情報RBを判定し、判定した菌種情報KBと、割合情報RBによって口臭判定装置10に被験者ETの口臭の有無を判定させることができる。
【0047】
なお、口臭判定装置10は、学習済みモデル121を再学習する構成を有していてもよい。この場合、口臭判定装置10の制御部11は、入力部と、判定部と、更新部とをその機能部として備える。入力部は、被験者ETに口臭が生じているか否かを示す検査情報を取得する。
入力部とは、例えば、キーボード等の文字情報を入力するデバイス、マウス、タッチパネル等のポインティングデバイス等である。判定部は、結果情報RTと、検査情報とが合致するか否かを判定する。
更新部は、判定部が結果情報RTと、検査情報とが合致しないと判定する場合、学習済みモデル121を再学習(更新)させる。学習済みモデル121の再学習とは、教師データ(教師菌種情報TKB及び教師割合情報TRB)を直近のものに更新し、新たにモデルの学習をし直すことである。具体的には、更新部は、結果情報RTと検査情報とが一致しなかった検査の被験者ETの菌種情報KB及び割合情報RBを、教師菌種情報TKB及び教師割合情報TRBとする。また、更新部は、教師菌種情報TKB及び教師割合情報TRBに基づく結果情報RTが検査情報と合致するように、学習済みモデル121の隠れ層の活性化関数のパラメータを誤差逆伝搬法によって調整する。ここで、更新部の更新は、判定部が結果情報RTと、検査情報とが合致しないと判定する度に行われてもよく、結果情報RTと、検査情報とが合致しないと判定された菌種情報KB及び割合情報RBが隠れ層の活性化関数のパラメータを更新可能な数だけ取得された際に行われてもよい。また、更新部の更新には、結果情報RTと検査情報とが一致した検査の被験者ETの菌種情報KB及び割合情報RBが、教師菌種情報TKB及び教師割合情報TRBとして用いられてもよい。
また、口臭判定装置10は菌種情報KB及び既知塩基割合情報REBに重み付けを行う機能部(重要度付加部)を備える構成であってもよい。この場合、重要度付加部は、菌種情報KB及び既知塩基割合情報REBのうち、口臭の有無を判定する際に重要となる菌種情報KBや既知塩基割合情報REBには高い重み付けを行い、重要ではない菌種情報KBや既知塩基割合情報REBには低い重み付けを行う。
【0048】
<変形例>
なお、上述では、口臭判定装置10が菌種情報KB及び割合情報RBに基づいて、結果情報RTを出力する場合について説明したが、これに限られない。口臭判定装置10は、既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBに基づいて、結果情報RTを出力する構成であってもよい。
この場合、学習済みモデル121は、予め結果情報RTが取得されている複数の被験者ETの唾液SVに基づいて、学習される。具体的には、学習済みモデル121は、当該唾液SVに基づいて、上述した構成の菌種割合検出装置20bが取得した既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBをそれぞれ教師データ(以下、教師既知塩基配列情報TEB、教師既知塩基割合情報TREB)とし、学習される。学習済みモデル121は、教師既知塩基配列情報TEB及び教師既知塩基割合情報TREBと、隠れ層の活性化関数のパラメータとに基づいて、結果情報RTを算出する。また、学習済みモデル121は、教師既知塩基配列情報TEB及び教師既知塩基割合情報TREBに基づいて算出した結果情報RTが誤りの場合、誤差逆伝搬法によって隠れ層の活性化関数のパラメータが調整される。
この場合、菌種割合検出装置20bは、菌種情報KB及び割合情報RBに代えて、既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBを口臭判定装置10に供給する。口臭判定装置10は、取得した既知塩基配列情報EB及び既知塩基割合情報REBと、学習済みモデル121とに基づいて、結果情報RTを出力する。
これにより、変形例の口臭判定システム1は、菌種割合検出装置20bが菌種情報KB及び割合情報RBを検出する処理を省略することができるため、結果情報RTの出力に係る処理をより高速に行うことができる。
【0049】
なお、上記の各実施形態における口臭判定装置10及び菌種割合検出装置20が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0050】
なお、口臭判定装置10及び菌種割合検出装置20が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、口臭判定装置10及び菌種割合検出装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0051】
また、口臭判定装置10及び菌種割合検出装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0052】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態を、図を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。