【解決手段】色補正処理と色追加処理とを行ってFRGBデータを生成し、FRGBデータに応じてR副画素とG副画素とB副画素とF副画素とを備える表示パネルを駆動するように構成された表示ドライバに色補正パラメータを設定する設定方法が提供される。当該設定方法は、F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに表示パネルに表示される色の色座標データを取得するステップと、評価対象色補正パラメータを決定するステップと、校正対象RGBデータに対して評価対象色補正パラメータに基づいて色補正処理を行い、更に、色追加処理を行って評価対象FRGBデータを生成するステップと、評価対象FRGBデータと色座標データとに基づいて評価対象色補正パラメータが適正か否かを判断するステップとを具備する。
複数の画素を含み、前記複数の画素のそれぞれが、原色Rを表示するR副画素と、原色Gを表示するG副画素と、原色Bを表示するB副画素と、原色R、原色G、原色B以外の色である追加色を表示するF副画素とを備える表示パネルに対応する表示ドライバであって、RGBデータに対して色補正パラメータに応じて色補正処理を行って色補正後RGBデータを生成し、前記色補正後RGBデータに対して色追加処理を行って前記F副画素の階調を指定するF階調値と前記R副画素の階調を指定するR階調値と前記G副画素の階調を指定するG階調値と前記B副画素の階調を指定するB階調値とを含むFRGBデータを生成し、前記FRGBデータに応じて前記表示パネルを駆動するように構成された表示ドライバに前記色補正パラメータを設定する設定方法であって、
前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される第1表示色の、所定の色空間における色座標を示す第1色座標データを取得するステップと、
評価対象色補正パラメータを決定するステップと、
校正対象RGBデータに対して前記評価対象色補正パラメータに基づいて前記色補正処理を行って評価対象色補正後RGBデータを生成するステップと、
前記評価対象色補正後RGBデータに対して前記色追加処理を行って評価対象FRGBデータを生成するステップと、
前記評価対象FRGBデータと前記第1色座標データとに基づいて前記評価対象色補正パラメータが適正か否かを判断するステップと、
前記評価対象色補正パラメータが適正であると判断した場合に、前記評価対象色補正パラメータを前記表示ドライバに設定すべき前記色補正パラメータとして決定するステップ
とを具備する
表示ドライバの設定方法。
複数の画素を含み、前記複数の画素のそれぞれが、原色Rを表示するR副画素と、原色Gを表示するG副画素と、原色Bを表示するB副画素と、原色R、原色G、原色B以外の色である追加色を表示するF副画素とを備える表示パネルに対応する表示ドライバであって、RGBデータに対して色補正パラメータに応じて色補正処理を行って色補正後RGBデータを生成し、前記色補正後RGBデータに対して色追加処理を行って前記F副画素の階調を指定するF階調値と前記R副画素の階調を指定するR階調値と前記G副画素の階調を指定するG階調値と前記B副画素の階調を指定するB階調値とを含むFRGBデータを生成し、前記FRGBデータに応じて前記表示パネルを駆動するように構成された表示ドライバに前記色補正パラメータを設定する色調整装置であって、
演算装置と、
インターフェース
とを具備し、
前記演算装置は、
前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される第1表示色の、所定の色空間における色座標を示す第1色座標データを取得し、
評価対象色補正パラメータを決定し、
校正対象RGBデータに対して前記評価対象色補正パラメータに基づいて前記色補正処理を行って評価対象色補正後RGBデータを生成し、
前記評価対象色補正後RGBデータに対して前記色追加処理を行って評価対象FRGBデータを生成し、
前記評価対象FRGBデータと前記第1色座標データとに基づいて前記評価対象色補正パラメータが適正か否かを判断し、
前記評価対象色補正パラメータが適正であると判断した場合に、前記評価対象色補正パラメータを前記表示ドライバに設定すべき前記色補正パラメータとして決定するように構成され、
前記インターフェースは、前記色補正パラメータを前記表示ドライバに送信する
色調整装置。
複数の画素を含み、前記複数の画素のそれぞれが、原色Rを表示するR副画素と、原色Gを表示するG副画素と、原色Bを表示するB副画素と、原色R、原色G、原色B以外の色である追加色を表示するF副画素とを備える表示パネルに対応する表示ドライバであって、RGBデータに対して色補正パラメータに応じて色補正処理を行って色補正後RGBデータを生成し、前記色補正後RGBデータに対して色追加処理を行って前記F副画素の階調を指定するF階調値と前記R副画素の階調を指定するR階調値と前記G副画素の階調を指定するG階調値と前記B副画素の階調を指定するB階調値とを含むFRGBデータを生成し、前記FRGBデータに応じて前記表示パネルを駆動するように構成された表示ドライバに前記色補正パラメータを設定するためのプログラムであって、
演算装置に、下記ステップ:
前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示す色座標データを取得するステップ、
評価対象色補正パラメータを決定するステップ、
校正対象RGBデータに対して前記評価対象色補正パラメータに基づいて前記色補正処理を行って評価対象色補正後RGBデータを生成するステップと、
前記評価対象色補正後RGBデータに対して前記色追加処理を行って評価対象FRGBデータを生成するステップ、
前記評価対象FRGBデータと前記色座標データとに基づいて前記評価対象色補正パラメータが適正か否かを判断するステップ、及び、
前記評価対象色補正パラメータが適正であると判断した場合に、前記評価対象色補正パラメータを前記表示ドライバに設定すべき前記色補正パラメータとして決定するステップ
を実行させる
プログラム。
複数の画素を含み、前記複数の画素のそれぞれが、原色Rを表示するR副画素と、原色Gを表示するG副画素と、原色Bを表示するB副画素と、原色R、原色G、原色B以外の色である追加色を表示するF副画素とを備える表示パネルと、
前記表示パネルを駆動する表示ドライバと、
ホスト
とを具備し、
前記表示ドライバは、
RGBデータに対して色補正パラメータに応じて色補正処理を行って色補正後RGBデータを生成する色補正回路と、
前記色補正後RGBデータに対して色追加処理を行って前記F副画素の階調を指定するF階調値と前記R副画素の階調を指定するR階調値と前記G副画素の階調を指定するG階調値と前記B副画素の階調を指定するB階調値とを含むFRGBデータを生成する色追加回路と、
前記FRGBデータに応じて前記表示パネルを駆動する駆動部と、
前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示す色座標データを不揮発的に記憶する不揮発性メモリ
とを備え、
前記ホストは、前記表示ドライバから前記色座標データを受け取り、評価対象色補正パラメータを決定し、校正対象RGBデータに対して前記評価対象色補正パラメータに基づいて前記色補正処理を行って評価対象色補正後RGBデータを生成し、前記評価対象色補正後RGBデータに対して前記色追加処理を行って評価対象FRGBデータを生成し、前記評価対象FRGBデータと前記色座標データとに基づいて前記評価対象色補正パラメータが適正か否かを判断し、前記評価対象色補正パラメータが適正であると判断した場合に、前記評価対象色補正パラメータを前記表示ドライバに設定すべき前記色補正パラメータとして決定し、前記表示ドライバに設定すべき前記色補正パラメータを前記表示ドライバに転送するように構成された
表示システム。
【背景技術】
【0002】
最も典型的な画像データの形式の一つが、RGB形式である。RGB形式の画像データは、画像の各画素について原色R、原色G及び原色Bの階調を指定する階調値を記述する形式を有している。最も典型的には、原色R、原色G及び原色Bの階調値が、それぞれ、8ビットで記述される。以下では、RGB形式の画像データを、単に、RGBデータということがある。
【0003】
一方で、近年の表示パネル(例えば、液晶表示パネルやOLED(organic light emitting diode)表示パネル)は、画質を向上するために、各画素が、原色Rを表示するR副画素、原色Gを表示するG副画素、原色Bを表示するB副画素に加え、原色R、G、B以外の追加の色を表示する追加の副画素を含んでいることがある。当該追加の色としては、例えば、黄色Y、水色C、白色Wが用いられ得る。以下では、当該追加の色を記号“F”によって表すこととし、色Fを表示する副画素をF副画素と記載することがある。
【0004】
RGBデータに応じて各画素がR副画素、G副画素、B副画素に加えてF副画素を備える表示パネルに画像を表示する場合、当該RGBデータに対して色追加処理が行われることがある。RGBデータにはF副画素の階調値は記述されていないから、RGBデータに応じてF副画素を備える表示パネルに画像を表示する場合、RGBデータから、R副画素、G副画素、B副画素、F副画素の階調値を記述する画像データを生成するデジタル画像処理を行う必要がある。このようなデジタル画像処理が、本明細書でいう色追加処理である。色追加処理を適正に設計することは、表示パネルの画質を向上するために有用である。なお、以下において、各画素のR副画素、G副画素、B副画素、F副画素の階調値を記述する形式の画像データを、FRGBデータということがある。本明細書においては、色追加処理とは、RGBデータからFRGBデータを生成する画像処理を指すことになる。
【0005】
表示パネルの画質の向上に寄与する他の技術として、色補正処理が挙げられる。色補正処理は、表示パネルの色調整(表示パネルに表示される色の調整)のために画像データに対して行われるデジタル画像処理である。色補正処理は、例えば、画像データの生成において用いられる色域と、表示パネルに表示される画像の色域とを一致させる色域調整(color space management)のために行われる。画像データの生成において用いられる色域(例えば、sRGB規格やAdobeRGB規格に規定された色域)と表示パネルに表示される画像の色域とが相違していると、画像データの生成において意図されていた色と異なる色が表示パネルに表示されることになる。これは、画質の向上の観点で好ましくない。色域調整は、画像データの生成において意図された色で表示パネルに画像を表示するために行われる。
【0006】
発明者が見出した問題の一つは、色追加処理と色補正処理(例えば、色域調整)とを個別に行うことは、画質や回路特性を劣化させ得るということである。
【0007】
図1は、RGBデータに応じて各画素がR副画素、G副画素、B副画素及びF副画素を備えている表示パネルに画像を表示する場合に行われる画像処理の一例を示している。
図1に図示されている画像処理では、RGBデータに対して色追加処理を行うことでFRGBデータを生成し、そのFRGBデータに対して色域調整を行うことで色調整後FRGBデータを生成し、その色調整後FRGBデータに対してガンマ補正を行うことでガンマ補正後FRGBデータを生成する。表示パネルは、ガンマ補正後FRGBデータに応じて駆動される。
【0008】
図1の画像処理では、FRGBデータに対応した色域調整の技術が必要になるが、FRGBデータに対応した色域調整の技術は知られていない。また、
図1の画像処理を行う場合、色域調整において4色の階調値を記述した画像データを取り扱うことになるので、RGBデータに対して色域調整を行う場合に比べて回路規模や消費電力が単純計算で33%増大する。
【0009】
図2は、RGBデータに応じて各画素がR副画素、G副画素、B副画素及びF副画素を備えている表示パネルに画像を表示する場合に行われる画像処理の他の例を示している。
図2に図示されている画像処理では、RGBデータに対して色域調整を行うことで色調整後RGBデータを生成し、その色調整後RGBデータに対して色追加処理を行うことでFRGBデータを生成し、そのFRGBデータに対してガンマ補正を行うことでガンマ補正後FRGBデータを生成する。表示パネルは、ガンマ補正後FRGBデータに応じて駆動される。
図2の画像処理では、従来知られている色域調整の技術が適用可能であり、また、回路規模や消費電力の増大も抑制できる。
【0010】
図2の画像処理における一つの問題は、色追加処理において色が変化する可能性があることである。追加の色Fが白色Wである場合に最も典型的に行われる色追加処理は、RGBデータに記述されているR副画素、G副画素、B副画素の階調値のうちの最小値を白色Wの階調値として決定すると共に、色追加処理後の画像データのR副画素、G副画素、B副画素の階調値を、元のRGBデータのR副画素、G副画素、B副画素の階調値から当該最小値を減じることで算出する処理である。しかしながら、このような色追加処理では、色が変化してしまう。色追加処理において色が変化すると、色補正処理によって実現されるべき色調整(例えば、色域調整)の成果が失われ、画質が劣化してしまう。
【0011】
したがって、色が変化するような色追加処理が行われても所望の色調整(例えば、所望の色域調整)を実現できるようにするための技術を提供することには、技術的なニーズが存在する。
【0012】
なお、色域調整及び色追加処理に関連して、下記の技術が公知である。
【0013】
特開2008−40305号公報は、RGB−XYZ変換、XYZ−LMS変換、色補正、LMS−XYZ変換、XYZ−RGB変換を順次に行って色合いを加工する技術を開示している。
【0014】
特開2008−141723号公報は、YCbCrデータに対して、YCbCr−RGB変換、RGB−RGB変換を行うことで、AdobeRGB規格に規定された色域を実現する技術を開示している。
【0015】
特開2002−116750号公報は、マトリックス変換によって色域を調整する技術を開示している。
【0016】
国際公開第2012/137819号は、色追加処理に関して、画素毎にRGBデータをRGBXデータに変換する際に、白(W)の輝度を、当該画素を含む所定領域に含まれる画素の白(W)の輝度と略同一となるように決定する技術を開示している。
【0017】
特開2006−133711号公報は、RGB入力信号からRGBW信号を算出する色追加処理を開示している。この公報に開示されている色追加処理は、RGB入力信号の最小値を決定するステップ、RGB入力信号から該最小値を減算するステップ、RGB入力信号が該最小値である場合に対応するRGBW信号を算出するステップ、算出されたRGBW信号に対して、RGB入力信号から該最小値を減算するステップで得られたRGB信号の対応する信号を加算することにより、最終的に出力すべきRGBW信号を求めるステップを備えている。
【0018】
特開2008−131349号公報は、デバイスデータに基づく最外殻面の計算、RGBの減色ベクトルを彩度方向に拡大する原色拡大処理、RGBW−XYZ−RGB変換処理、RGBW分離処理及びW値調整処理を順次に行う色追加処理を開示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図3は、一実施形態において、本発明の表示ドライバの設定方法が適用される表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0027】
本実施形態では、表示装置100が、表示パネル1と表示ドライバ2とを備えている。表示装置100は、ホスト3から画像データを受け取り、受け取った画像データに対応する画像を表示パネル1に表示するように構成されている。本実施形態では、ホスト3から表示ドライバ2に供給される画像データは、RGB形式を有しており、各画素について原色R、原色G及び原色Bの階調を指定する階調値を記述している。一実施形態では、原色R、原色G及び原色Bの階調は、8ビットの階調値で指定されてもよい。
【0028】
表示パネル1は、アクティブ領域4とゲートドライバ回路5とを備えている。アクティブ領域4には、複数のゲート線6と複数のソース線7と複数の画素回路8とが配置される。画素回路8は、行列に配置されており、各画素回路8は、対応するゲート線6とソース線7とが交差する位置に設けられている。なお、以下においては、ゲート線6が延伸する方向を「水平方向」と呼ぶことがある。
【0029】
表示パネル1が液晶表示パネルとして構成されている場合、一実施形態では、各画素回路8は、選択トランジスタと、画素電極と、保持容量とを含んでいてもよい(いずれも図示されない)。この場合、各画素回路8の画素電極と表示パネル1の共通電極(図示されない)の間に駆動電圧が印加され、画素電極と共通電極の間に存在する液晶の配向が、画素電極と共通電極の間に発生する電界によって制御される。
【0030】
また、表示パネル1がOLED(organic light emitting diode)表示パネルとして構成されている場合、画素回路8は、OLED素子と、該OLED素子を駆動する駆動回路と、駆動電極を記憶する保持容量とを含んでいてもよい(いずれも図示されない)。この場合、保持容量に保持されている電圧に対応する電流がOLED素子に供給されてOLED素子が駆動される。
【0031】
図4は、表示パネル1の各画素10の構成の例を示す図である。本実施形態では、各画素10は、原色R(赤色)、原色G(緑色)、原色B(青色)をそれぞれ表示する画素回路8に加え、追加の色Fを表示する画素回路8を含んでいる。追加の色Fとしては、例えば、黄色Y、水色C、白色Wが用いられ得る。原色Rを表示する画素回路8は、R副画素として用いられ、原色Gを表示する画素回路8は、G副画素として用いられる。また、原色Bを表示する画素回路8は、B副画素として用いられ、色Fを表示する画素回路8は、F副画素として用いられる。以下では、原色R、原色G、原色B、色Fを表示する画素回路8を、それぞれ、R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B、F副画素8Fと記載することがある。本実施形態では、各画素10に含まれるR副画素8R、G副画素8G、B副画素8B及びF副画素8Fは、水平方向に並んで配置されており、同一のゲート線6に接続される。
【0032】
図4には、各画素10においてF副画素8F、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bがこの順に並んでいる、即ち、F副画素8Fが各画素10の左端に位置している配置が図示されているが、F副画素8F、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bの配置は、
図4に図示されている配置に限られない。例えば、F副画素8F、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bが並ぶ順序は適宜に変更され得る。
【0033】
図3に戻り、ゲートドライバ回路5は、表示ドライバ2から受け取った制御信号に応じてゲート線6を駆動する。本実施形態では、アクティブ領域4の左右に一対のゲートドライバ回路5が設けられている。ゲートドライバ回路5は、SoG(System on Glass)技術によって表示パネル1に集積化されている。
【0034】
表示ドライバ2は、下記のように動作する半導体集積回路である。第1に、表示ドライバ2は、表示パネル1のソース線7に接続されたソース出力を有しており、ホスト3から受け取った画像データに応じて表示パネル1の各画素回路8を駆動する。第2に、表示ドライバ2は、ホスト3から受け取った制御データに応じてゲート制御信号をゲートドライバ回路5に供給し、これにより、ゲートドライバ回路5を制御する。
【0035】
図5は、本実施形態における表示ドライバ2の構成を概略的に示すブロック図である。表示ドライバ2は、インターフェース回路21と、画像処理IPコア22と、ソースドライバ回路23と、パネルインターフェース回路24と、レジスタ回路25と、不揮発性メモリ26と、タイミングコントローラ27とを備えている。
【0036】
インターフェース回路21は、ホスト3からRGB形式の画像データを受け取り、受け取った画像データを画像処理IPコア22に転送する。インターフェース回路21は、更に、ホスト3から制御データを受け取り、制御データに含まれるコマンドや制御パラメータをレジスタ回路25に格納する。
【0037】
画像処理IPコア22は、インターフェース回路21から受け取ったRGB形式の画像データに対して所望の画像処理を行い、処理後画像データを生成する画像処理回路として動作する。処理後画像データは、R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B及びF副画素8Fの階調を指定する階調値を記述する形式を有している。
【0038】
なお、画像処理IPコア22において行われる画像処理は、色補正処理及び色追加処理以外の画像処理を含んでいてもよく、この場合、当該画像処理を行うための回路が画像処理IPコア22に追加されてもよい。
【0039】
ソースドライバ回路23は、画像処理IPコア22から受け取った処理後画像データに応答して表示パネル1のソース線7を駆動する駆動回路部として動作する。
【0040】
パネルインターフェース回路24は、ホスト3から受け取った制御データに応じてゲート制御信号を生成し、生成したゲート制御信号をゲートドライバ回路5に供給する。
【0041】
レジスタ回路25は、表示ドライバ2の制御に用いられるコマンドや制御パラメータを保持する。ホスト3から受け取った制御データに含まれるコマンドや制御パラメータは、レジスタ回路25に格納される。
【0042】
不揮発性メモリ26は、表示ドライバ2の制御に用いられる制御パラメータを不揮発的に保持する。表示ドライバ2の起動時に、不揮発性メモリ26に格納された制御パラメータが読み出されてレジスタ回路25に格納され、レジスタ回路25に格納された制御パラメータが表示ドライバ2の制御に用いられる。
【0043】
タイミングコントローラ27は、レジスタ回路25に格納されているコマンドや制御パラメータに応じて、表示ドライバ2に含まれる回路群(例えば、画像処理IPコア22、ソースドライバ回路23及びパネルインターフェース回路24)のタイミング制御を行う。
【0044】
本実施形態では、画像処理IPコア22が、色補正処理と色追加処理を実行するように構成されている。より具体的には、画像処理IPコア22が、色補正回路28と色追加処理回路29とを備えている。
【0045】
色補正回路28は、インターフェース回路21から受け取ったRGB形式の画像データに対して色補正処理を行い、色補正後RGBデータを生成する。色補正回路28における色補正処理は、レジスタ回路25から供給される色補正パラメータに応じて行われる。色補正パラメータにより、色補正回路28における色補正処理の態様(例えば、各原色が強調される程度、彩度が強調される程度等)が指定される。
【0046】
色補正パラメータは、不揮発性メモリ26の色補正パラメータ格納領域31に不揮発的に格納される。表示ドライバ2の起動時に、色補正パラメータ格納領域31に格納されている色補正パラメータが読み出されてレジスタ回路25に格納され、レジスタ回路25に格納された色補正パラメータが色補正回路28に供給される。色補正回路28は、レジスタ回路25から受け取った色補正パラメータに応じて色補正処理を行う。
【0047】
色追加処理回路29は、色補正回路28から受け取った色補正後RGBデータに対して色追加処理を行ってFRGBデータを生成する。上述のように、FRGBデータは、各画素のR副画素、G副画素、B副画素、F副画素の階調値を記述する形式の画像データである。生成されたFRGBデータ又は該FRGBデータに対して所望の画像処理を行って得られる画像データが、処理後画像データとしてソースドライバ回路23に供給される。
【0048】
所望の色調整(例えば、所望の色域調整)を実現するためには、色補正処理において用いられる色補正パラメータを最適に算出することが望まれる。発明者の検討によれば、色補正パラメータの算出において考慮すべきことの一つは、色補正処理の後に行われる色追加処理において色の変化が発生し得ることである。色追加処理における色の変化を考慮して色補正パラメータを算出すれば、所望の色調整を行った画像データを最終的に得ることができる。以下では、色追加処理における色の変化を考慮して適切な色補正パラメータを算出して表示ドライバ2に設定する(即ち、色補正パラメータ格納領域31に書き込む)ための技術が提示される。
【0049】
本実施形態では、色補正パラメータの算出において、最大階調値の色Fの所定の色空間における色座標を示す色座標データが取得され、取得された色座標データが色補正パラメータの算出に用いられる。最大階調値の色Fの色座標データとは、より厳密には、表示パネル1のR副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bを最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、F副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに表示パネル1に表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示すデータである。
【0050】
本実施形態では、取得された最大階調値の色Fの色座標データが、色補正パラメータの適正さを評価するために用いられる。色補正パラメータの適正さの評価は、概略的には、下記のようにして行われる。
【0051】
予め、校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)と、それに対応づけられた目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)とが用意される。校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)とは、色補正パラメータが適正かを判断する対象のRGBデータである。目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)は、校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対して色補正処理及び色追加処理を行ったときに実現されるべき目標の色をRGB形式で表すデータであり、対応する校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)について色補正パラメータが適正か否かを判断するために用いられる。
【0052】
校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対して、適正性を評価すべき色補正パラメータを用いて色補正処理が行われて色補正後RGBデータが生成され、更に、色補正後RGBデータに対して色追加処理が行われてFRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)が生成される。ここで、Fa、Ra、Ga、Baは、それぞれ、F副画素8F、R副画素8R、G副画素8G、B副画素8Bの階調値である。このFRGBデータに応じて表示パネル1を駆動したときに表示パネル1に表示される色をRGB形式で表したRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が、最大階調値の色Fの色座標データを用いて算出される。RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)は、当該FRGBデータに応じて表示パネル1を駆動したときに表示パネル1に表示される色の原色R、原色G、原色Bの成分を示すことになる。最大階調値の色Fの色座標データは、F副画素8Fによって表示される色の情報を含んでいるから、FRGBデータからRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)を算出可能である。
【0053】
色補正パラメータの適正性は、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)との比較の結果(即ち、類似性)に基づいて決定される。RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)に一致する、又は、目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)に近い場合、色補正パラメータが適正であると判断される。RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)と大きく相違する場合、色補正パラメータが適正でないと判断され、色補正パラメータが調整される。色補正パラメータが調整された場合、調整後の色補正パラメータに対して同様の評価が行われる。このような手順が、色補正パラメータが適正であると判断されるまで繰り返して行われる。適正であると判断された色補正パラメータが、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26に格納される。
【0054】
一実施形態では、表示パネル1に対して実際に測定を行うことによって最大階調値の色Fの色座標データが取得されてもよい。この場合、最大階調値の色Fの色座標データとして、表示パネル1の全ての画素10について、F副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示す色座標データが測定装置(例えば、輝度計)によって測定される。色空間としては、例えば、xyY表色系が使用され得る。この場合、色Fの色座標データは、xyY表色系における刺激値(輝度)Y及び色度座標(x,y)を示す輝度座標データとして取得されてもよい。
【0055】
他の実施形態では、表示パネル1の設計データ、例えば、表示パネル1に設けられたフィルタの特性を示すデータから、最大階調値の色Fの色座標データ、即ち、表示パネル1のR副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bを最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、F副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに表示パネル1に表示される表示色の色座標データ(輝度座標データ)が算出されてもよい。
【0056】
なお、原色R、原色G、原色Bに追加される色Fの数は、1に限定されない。追加の色Fの数が2以上である場合、追加の色Fのそれぞれについて最大階調値の色Fの色座標データが取得され、取得された色座標データが、色補正パラメータの適正さを評価するために用いられる。
【0057】
以下では、本実施形態における色補正パラメータの算出について詳細に説明する。
図6は、本実施形態において、表示ドライバ2に設定すべき色補正パラメータを最適に算出するために用いられる色調整装置200の構成を示すブロック図である。色調整装置200は、輝度計11と、演算装置12とを備えている。
【0058】
輝度計11は、表示パネル1に表示される表示色の所定の色空間における色座標を測定し、該色座標を示す色座標データを生成して演算装置12に供給する。本実施形態では、輝度計11は、xyY表色系における刺激値(輝度)Y及び色度座標(x,y)を測定し、測定した刺激値Y及び色度座標(x,y)を示す輝度座標データを上記の色座標データとして演算装置12に供給する。後述されるように、本実施形態では、最大階調値で原色R、原色G、原色B及び色Fを表示パネル1に表示したときの刺激値Y及び色度座標(x,y)を示す輝度座標データ、及び、表示パネル1のホワイトポイント(WP)の刺激値Y及び色度座標(x,y)を示す輝度座標データが輝度計11によって取得され、取得された輝度座標データが演算装置12に供給される。
【0059】
演算装置12は、輝度計11から受け取った色座標データ(本実施形態では、輝度座標データ)から表示ドライバ2に設定すべき色補正パラメータを算出する。
図7は、演算装置12の構成の一例を示すブロック図である。
【0060】
本実施形態では、演算装置12は、色調整ソフトウェア13がインストールされているコンピュータとして構成されており、インターフェース14、記憶装置15、プロセッサ16及びインターフェース17を備えている。インターフェース14は、輝度計11から色座標データ(本実施形態では、輝度座標データ)を受け取る。
【0061】
記憶装置15は、色補正パラメータを算出する色調整ソフトウェア13を格納している。色補正パラメータの算出は、プロセッサ16が色調整ソフトウェア13を実行することで行われる。色調整ソフトウェア13は、色補正パラメータの算出に加え、色補正パラメータの算出の過程において表示ドライバ2に供給すべき画像データや制御データを生成する処理も行う。記憶装置15は、色補正パラメータの算出のためのワークエリアとしても用いられる。記憶装置15は、色補正パラメータの算出の過程で用いられ、又は算出の過程で生成される様々なデータ(例えば、上述の輝度座標データ)を格納する。インターフェース17は、算出された色補正パラメータを表示ドライバ2に送信し、更に、色補正パラメータの算出の過程において表示ドライバ2に供給すべき画像データ及びや制御データを表示ドライバ2に送信する。
【0062】
演算装置12の記憶装置15には、校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)と、それに対応づけられた目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)とが格納されている。校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)とは、色補正パラメータが適正かを判断する対象のRGBデータである。目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)は、校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対して色補正処理及び色追加処理を行ったときに実現されるべき目標の色を示すデータであり、対応する校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)について、色補正パラメータが適正か否かを判断するために用いられる。記憶装置15に格納されている校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)の組の数は、1つでもよいし、複数であってもよい。
【0063】
続いて、
図6に図示されている色調整装置200を用いた色補正パラメータの算出の手順を説明する。
図8は、本実施形態における色補正パラメータの算出の手順を示すフローチャートである。なお、
図8に図示されている各ステップは、演算装置12のプロセッサ16が色調整ソフトウェア13を実行することで実行される。
【0064】
まず、最大階調値の原色R、原色G、原色B及び色Fの輝度座標データ、並びに、ホワイトポイント(WP)の輝度座標データが取得される(ステップS01)。
【0065】
本実施形態では、最大階調値の原色Rの輝度座標データは、表示パネル1のR副画素8Rを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(F副画素8F、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして取得される。以下では、最大階調値の原色Rの輝度座標データを、(RY,Rx,Ry)と記載することがある。ここで、RYは、原色Rの刺激値Yであり、Rx、Ryは、それぞれ、原色Rの色度座標x,yである。
【0066】
一実施形態では、最大階調値の原色Rの輝度座標データの取得において、色調整ソフトウェア13が、画像処理IPコア22にソースドライバ回路23に供給される処理後画像データとして全ての画素10についてR副画素8Rの階調値が最大階調値でありF副画素8F、G副画素8G、B副画素8Bの階調値が最小階調値である画像データを供給するように指示する制御データを表示ドライバ2に送信する。ソースドライバ回路23がこのように生成された処理後画像データに応じて表示パネル1を駆動している間に、色調整ソフトウェア13は、輝度計11を制御して表示パネル1に表示されている表示色の輝度座標データを測定する。このようにして取得された輝度座標データが、最大階調値の原色Rの輝度座標データである。
【0067】
同様に、最大階調値の原色Gの輝度座標データは、表示パネル1のG副画素8Gを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(F副画素8F、R副画素8R、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして取得される。以下では、最大階調値の原色Gの輝度座標データを、(GY,Gx,Gy)と記載することがある。ここで、GYは、原色Gの刺激値Yであり、Gx、Gyは、それぞれ、原色Gの色度座標x,yである。最大階調値の原色Gの輝度座標データは、全ての画素10についてG副画素8Gの階調値が最大階調値であり、F副画素8F、R副画素8R、B副画素8Bの階調値が最小階調値である画像データがソースドライバ回路23に供給されることを除けば、最大階調値の原色Rの輝度座標データと同様にして測定される。
【0068】
また、最大階調値の原色Bの輝度座標データは、表示パネル1のB副画素8Bを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(F副画素8F、R副画素8R、G副画素8G)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして取得される。以下では、最大階調値の原色Bの輝度座標データを、(BY,Bx,By)と記載することがある。ここで、BYは、原色Bの刺激値Yであり、Bx、Byは、それぞれ、原色Bの色度座標x,yである。最大階調値の原色Bの輝度座標データは、全ての画素10についてB副画素8Bの階調値が最大階調値であり、F副画素8F、R副画素8R、G副画素8Gの階調値が最小階調値である画像データがソースドライバ回路23に供給されることを除き、最大階調値の原色R及び原色Gの輝度座標データと同様にして測定される。
【0069】
更に、最大階調値の色Fの輝度座標データは、表示パネル1のF副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして取得される。以下では、色Fの輝度座標データを、(FY,Fx,Fy)と記載することがある。ここで、FYは、色Fの刺激値Yであり、Fx、Fyは、それぞれ、色Fの色度座標x,yである。最大階調値の色Fの輝度座標データは、全ての画素10についてF副画素8Fの階調値が最大階調値であり、R副画素8R、G副画素8G、B副画素8Bの階調値が最小階調値である画像データがソースドライバ回路23に供給されることを除き、最大階調値の原色R、原色G、原色Bの輝度座標データと同様にして測定される。
【0070】
一方、ホワイトポイント(WP)の輝度座標データは、表示パネル1のR副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、F副画素8Fを最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして測定される。以下では、ホワイトポイントの輝度座標データを、(WY,Wx,Wy)と記載することがある。ここで、WYは、ホワイトポイントの刺激値Yであり、Wx、Wyは、それぞれ、ホワイトポイントの色度座標x,yである。
【0071】
ホワイトポイント(WP)の輝度座標データの取得においては、色調整ソフトウェア13は、画像処理IPコア22に、ソースドライバ回路23に供給される処理後画像データとして、全ての画素10について、R副画素8R、G副画素8G、B副画素8Bの階調値が最大階調値であり、F副画素8Fの階調値が最小階調値である画像データを供給するように指示する制御データを表示ドライバ2に送信する。ソースドライバ回路23が、このように生成された処理後画像データに応じて表示パネル1を駆動している間に、色調整ソフトウェア13は、輝度計11を制御して表示パネル1に表示されている表示色の輝度座標データを測定する。このようにして取得された輝度座標データが、ホワイトポイント(WP)の輝度座標データである。
【0072】
図9の色度図は、xyY表色系における、最大階調値の原色R、原色G、原色B及び色Fの輝度座標データ、並びに、ホワイトポイント(WP)の輝度座標データを図示している。
【0073】
なお、上記では、表示パネル1に対して実際に測定を行うことで、最大階調値の原色R、原色G、原色B及び色Fの輝度座標データ、並びに、ホワイトポイント(WP)の輝度座標データが取得されているが、表示パネル1の設計データ(例えば、表示パネル1に設けられたフィルタの特性を示すデータ)から、最大階調値の原色R、原色G、原色B及び色Fの輝度座標データ、並びに、ホワイトポイント(WP)の輝度座標データが取得されてもよい。
【0074】
図8を再度に参照して、ステップS01に続いて、表示パネル1について、(F副画素8Fを用いずに)R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bのみを用いて画像を表示した場合の表示パネル1の表示特性を表すRGB−XYZ変換マトリクスM及びその逆行列であるXYZ−RGB変換マトリクスM
−1が算出される(ステップS02)。一実施形態では、RGB−XYZ変換マトリクスM及びXYZ−RGB変換マトリクスM
−1の算出は、下記の手順で行われる。
【0075】
まず、ステップS01において取得された最大階調値の原色R、原色G、原色B及びホワイトポイント(WP)の輝度座標データに基づいて、表示パネル1の表示特性を表すRGB−XYZ変換マトリクスが算出される。RGB−XYZ変換マトリクスは、下記式(1a)の変換行列Mとして算出される:
【数1】
ここで、r、g、bは、それぞれ、ホワイトポイントの輝度を1としたときの原色R、G、Bの輝度を表しており、下記の連立方程式(1b)を解くことによって得られる:
【数2】
【0076】
XYZ−RGB変換マトリクスは、RGB−XYZ変換マトリクスMの逆行列M
−1として得られる。即ち、XYZ−RGB変換マトリクスM
−1は、下記式(2)によって表される:
【数3】
【0077】
更に、最大階調値の色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy)とXYZ−RGB変換マトリクスM
−1とに基づいて、色FのRGBデータ(FR,FG,FB)が算出される(ステップS03)。色FのRGBデータ(FR,FG,FB)は、表示パネル1のF副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、原色Rの成分、原色Gの成分、及び、原色Bの成分の比率を示すデータである。
【0078】
詳細には、まず、最大階調値の色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy)が、下記(3a)、(3b)に従ってXYZ表色系の色座標データ(FX,FY,FZ)に変換される。
FX=FY×Fx/Fy ・・・(3a)
FZ=FY×(1−Fx−Fy)/Fy ・・・(3b)
XYZ表色系の色座標データのFYとしては、輝度座標データの刺激値FYが、そのまま用いられる。
【0079】
更に、色Fの色座標データ(FX,FY,FZ)にXYZ−RGB変換マトリクスを適用してXYZ−RGB変換を行うことにより、色FのRGBデータ(FR、FG、FB)が算出される。色FのRGBデータ(FR、FG、FB)は、下記式(4)のように表される:
【数4】
【0080】
このようにして算出された色FのRGBデータ(FR、FG、FB)を用いて色補正パラメータの算出が行われる(ステップS04〜ステップS09)。色補正パラメータの算出は、下記の手順で行われる。
【0081】
まず、適宜の手法により、色補正パラメータが初期的に選択される(ステップS04)。一実施形態では、演算装置12の記憶装置15に予め用意された色補正パラメータが選択される。後に行われるステップにおいて、色補正パラメータが適正でない場合には色補正パラメータの調整が行われるので、ステップS04においては、適宜に色補正パラメータを選択してよい。
【0082】
続いて、選択された色補正パラメータが適正であるか否かが判断される(ステップS05〜S08)。
【0083】
詳細には、校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対してステップS04で選択された色補正パラメータに基づいて色補正処理が行われて色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)が算出される(ステップS05)。上述のように、校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)とは、色補正パラメータが適正かを判断する対象のRGBデータである。色調整ソフトウェア13は、表示ドライバ2の画像処理IPコア22の色補正回路28において行われる色補正処理と同一の色補正処理をソフトウェア処理によって行うように構成されており、ステップS05においては、色補正回路28において行われる色補正処理と同一の色補正処理が色調整ソフトウェア13によって実行されて色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)が算出される。校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)との組が複数用意されている場合には、複数の校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)のそれぞれに対応する複数の色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)が算出される。
【0084】
続いて、色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)に対して色追加処理が行われてFRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)が算出される(ステップS06)。色調整ソフトウェア13は、表示ドライバ2の画像処理IPコア22の色追加処理回路29において行われる色追加処理と同一の色追加処理をソフトウェア処理によって行うように構成されており、ステップS06においては、色追加処理回路29において行われる色追加処理と同一の色追加処理が色調整ソフトウェア13によって実行されてFRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)が算出される。校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)との組が複数用意されている場合、即ち、ステップS06において複数の色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)が算出されている場合には、それぞれに対応する複数のFRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)が算出される。
【0085】
続いて、ステップS03で算出された色FのRGBデータ(FR,FG,FB)を用いて、FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)からRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が計算される(ステップS07)。RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)は、FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)に基づいて表示パネル1を駆動したときに表示パネル1に表示される色の原色R、原色G、原色Bの輝度成分を示すデータであり、本実施形態では、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が、下記式(5a)〜(5c)に従って算出される:
【数5】
ここで、γは、表示装置100に設定されるガンマ値である。また、FRGB
MAXは、FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)に記述されたR副画素8R、G副画素8G、B副画素8B、F副画素8Fの階調値に許容される最大階調値であり、R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B、F副画素8Fの階調値が8ビットで表される場合、FRGB
MAXは“255”である。この場合、式(5a)〜(5c)は、下記式(5a’)〜(5c’)に書き直すことができる:
【数6】
【0086】
算出されたRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)に基づいてステップS04で選択された色補正パラメータが適正か否かが判断される(ステップS08)。上述のように、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)は、FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)に基づいて表示パネル1を駆動したときに表示パネル1に表示される色の原色R、原色G、原色Bの輝度成分を示している。よって、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)とに基づいて色補正パラメータが適正か否かを判断することができる。例えば、ステップS08で算出されたRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)に一致する、又は、近い目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)に近い場合には、色補正パラメータが適正であると判断される。一方、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)から大きく相違する場合には、色補正パラメータが適正でないと判断される。
【0087】
一実施形態では、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)との類似度が算出されてもよい。一実施形態では、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)との類似度は、下記式(6)で定義される距離Dとして算出されてもよい:
【数7】
一実施形態では、距離Dが所定値よりも小さい場合に色補正パラメータが適正であると判断され、そうでない場合、色補正パラメータが適正でないと判断されてもよい。
【0088】
校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)との組が複数用意されている場合には、そのそれぞれに対応するRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)との組のそれぞれに対して類似度(距離D)が算出され、算出された類似度に基づいて色補正パラメータが適正か否かが判断されてもよい。一実施形態では、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)との組のそれぞれに対して算出された類似度(距離D)の和に基づいて、色補正パラメータが適正か否かが判断されてもよい。
【0089】
ステップS08において色補正パラメータが適正でないと判断された場合、色補正パラメータが調整され(ステップS09)、更に、調節後の色補正パラメータが適正か否かが、上述した手順によって再度に判断される(ステップS05〜S08)。詳細には、調整後の色補正パラメータに基づいて校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対して色補正処理が行われて色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)が算出され(ステップS05)、更に、色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)に対して色追加処理が行われてFRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)が算出される(ステップS06)。更に、ステップS03で算出された色FのRGBデータ(FR,FG,FB)を用いてFRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)から、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が算出され(ステップS07)、算出されたRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)に基づいてステップS09における調節で得られた色補正パラメータが適正か否かが判断される(ステップS08)。色補正パラメータの調整と色補正パラメータの適正性の判断は、色補正パラメータが適正であると判断されるまで繰り返して行われる。
【0090】
色補正パラメータが適正であると判断された場合、該色補正パラメータが演算装置12から表示ドライバ2に送信され、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26の色補正パラメータ格納領域31に書き込まれる(ステップS10)。以上で色補正パラメータの算出、及び、算出された色補正パラメータの表示ドライバ2への設定が完了する。
【0091】
以上に説明された色補正パラメータの算出の手順によれば、色追加処理により色が変化する場合にも、その色の変化を考慮して所望の色調整(例えば、所望の色域調整)を実現することができる。
【0092】
上述の色補正パラメータの算出の手順では、最大階調値の色Fの色座標データ(より具体的には、最大階調値の色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy))を用いて色補正パラメータの適正さが判断されているが、加えて、特定の中間階調値midの色Fの色座標データを用いて色補正パラメータの適正さを判断してもよい。中間階調値midの色Fの色座標データとは、より厳密には、表示パネル1のR副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bを最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、F副画素8Fを中間階調値midに対応する駆動信号で駆動したときに表示パネル1に表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示すデータである。ここで、中間階調値midは、最小階調値より大きく最大階調値よりも小さい所定の階調値である。出力FRGBデータにおいてF副画素8Fの階調値が8ビットで表される場合、最小階調値は“0”であり、最大階調値は“255”であり、この場合、中間階調値midは、0より大きく255より小さい整数値に決められる。中間階調値midの色Fの色座標データを追加的に用いることにより、色補正パラメータの適正さをより精度よく判断することができる。
【0093】
中間階調値midの色Fの色座標データとしては、中間階調値midの色Fの輝度座標データ(FY
mid,Fx
mid,Fy
mid)を用いてもよい。ここで、FY
midは、中間階調値midの色Fの刺激値Yであり、Fx
mid、Fy
midは、それぞれ、中間階調値midの色Fの色度座標x,yである。以下では、最大階調値の色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy)に加え、中間階調値midの色Fの輝度座標データ(FY
mid,Fx
mid,Fy
mid)を用いて色補正パラメータの適正さを判断する場合の色補正パラメータの算出について説明する。なお、以下においては、中間階調値midの色Fの輝度座標データ(FY
mid,Fx
mid,Fy
mid)と明確に区別するために、最大階調値の色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy)を(FY
max、Fx
max、Fy
max)と記載する。
【0094】
図10は、中間階調値midの色Fの輝度座標データ(FY
mid,Fx
mid,Fy
mid)を用いて色補正パラメータの適正さを判断する場合における色補正パラメータの算出の手順を示すフローチャートである。
【0095】
最大階調値の原色R、原色G、原色B及び色Fの輝度座標データ、並びに、ホワイトポイント(WP)の輝度座標データが取得される(ステップS11)。最大階調値の原色R、原色G、原色B及び色Fの輝度座標データ、並びに、ホワイトポイント(WP)の輝度座標データは、上述のステップS01と同様にして行われる。
【0096】
更に、中間階調値midの色Fの輝度座標データが取得される(ステップS12)。中間階調値midの色Fの輝度座標データは、表示パネル1のF副画素8Fを中間階調値midに対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして取得される。
【0097】
一実施形態では、中間階調値midの色Fの輝度座標データの取得において、色調整ソフトウェア13が、画像処理IPコア22にソースドライバ回路23に供給される処理後画像データとして全ての画素10についてF副画素8Fの階調値が中間階調値midでありR副画素8R、G副画素8G、B副画素8Bの階調値が最小階調値である画像データを供給するように指示する制御データを表示ドライバ2に送信する。ソースドライバ回路23がこのように生成された処理後画像データに応じて表示パネル1を駆動している間に、色調整ソフトウェア13は、輝度計11を制御して表示パネル1に表示されている表示色の輝度座標データを測定する。このようにして取得された輝度座標データが、中間階調値midの色Fの輝度座標データである。
【0098】
続いて、表示パネル1について、(F副画素8Fを用いずに)R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bのみを用いて画像を表示した場合の表示パネル1の表示特性を表すRGB−XYZ変換マトリクスM及びその逆行列であるXYZ−RGB変換マトリクスM
−1が算出される(ステップS13)。RGB−XYZ変換マトリクスM及びXYZ−RGB変換マトリクスM
−1の算出は、上述のステップS02と同様にして行われる。RGB−XYZ変換マトリクスは、上記式(1a)に従って算出され、XYZ−RGB変換マトリクスM
−1は、上記式(2)に従って算出される。
【0099】
更に、最大階調値の色Fの輝度座標データ(FY
max,Fx
max,Fy
max)とXYZ−RGB変換マトリクスM
−1とに基づいて、最大階調値の色FのRGBデータ(FR
max,FG
max,FB
max)が算出され、更に、中間階調値midの色Fの輝度座標データ(FY
mid,Fx
mid,Fy
mid)とXYZ−RGB変換マトリクスM
−1とに基づいて、中間階調値midの色FのRGBデータ(FR
mid,FG
mid,FB
mid)が算出される(ステップS14)。ここで、最大階調値の色FのRGBデータ(FR
max,FG
max,FB
max)は、表示パネル1のF副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、原色Rの成分、原色Gの成分、及び、原色Bの成分の比率を示すデータである。また、中間階調値midの色FのRGBデータ(FR
mid,FG
mid,FB
mid)は、表示パネル1のF副画素8Fを中間階調値midに対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、原色Rの成分、原色Gの成分、及び、原色Bの成分の比率を示すデータである。
【0100】
より具体的には、最大階調値の色FのRGBデータ(FR
max,FG
max,FB
max)は、下記のようにして算出される。最大階調値の色Fの輝度座標データ(FY
max,Fx
max,Fy
max)が、下記(7a)、(7b)に従ってXYZ表色系の色座標データ(FX,FY,FZ)に変換される。
FX
max=FY
max×Fx
max/Fy
max ・・・(7a)
FZ
max=FY
max×(1−Fx
max−Fy
max)/Fy
max ・・・(7b)
XYZ表色系の色座標データのFY
maxとしては、輝度座標データの刺激値FY
maxが、そのまま用いられる。
【0101】
更に、色座標データ(FX
max,FY
max,FZ
max)にXYZ−RGB変換マトリクスを適用してXYZ−RGB変換を行うことにより、最大階調値の色FのRGBデータ(FR
max,FG
max,FB
max)が算出される。最大階調値の色FのRGBデータ(FR
max,FG
max,FB
max)は、下記式(8)のように表される:
【数8】
【0102】
中間階調値midの色FのRGBデータ(FR
mid,FG
mid,FB
mid)も同様にして算出される。詳細には、中間階調値midの色Fの輝度座標データ(FY
mid,Fx
mid,Fy
mid)が、下記(9a)、(9b)に従ってXYZ表色系の色座標データ(FX
mid,FY
mid,FZ
mid)に変換される。
FX
mid=FY
mid×Fx
mid/Fy
mid ・・・(9a)
FZ
mid=FY
mid×(1−Fx
mid−Fy
mid)/Fy
mid ・・・(9b)
XYZ表色系の色座標データのFY
midとしては、輝度座標データの刺激値FY
midが、そのまま用いられる。
【0103】
更に、色座標データ(FX
mid,FY
mid,FZ
mid)にXYZ−RGB変換マトリクスを適用してXYZ−RGB変換を行うことにより、中間階調値midの色FのRGBデータ(FR
mid,FG
mid,FB
mid)が算出される。中間階調値midの色FのRGBデータ(FR
mid,FG
mid,FB
mid)は、下記式(10)のように表される:
【数9】
【0104】
このようにして算出された最大階調値の色FのRGBデータ(FR
max,FG
max,FB
max)及び中間階調値midの色FのRGBデータ(FR
mid,FG
mid,FB
mid)を用いて色補正パラメータの算出が行われる(ステップS15〜ステップS21)
【0105】
まず、適宜の手法により、色補正パラメータが初期的に選択される(ステップS15)。一実施形態では、演算装置12の記憶装置15に予め用意された色補正パラメータが選択される。後に行われるステップにおいて、色補正パラメータが適正でない場合には色補正パラメータの調整が行われるので、ステップS15においては、適宜に色補正パラメータを選択してよい。
【0106】
続いて、選択された色補正パラメータが適正であるか否かが判断される(ステップS16〜S20)。
【0107】
詳細には、校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対してステップS15で選択された色補正パラメータに基づいて色補正処理が行われて色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)が算出される(ステップS16)。色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)の算出は、上述のステップS05と同様にして行われる。
【0108】
更に、色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)に対して色追加処理が行われてFRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)が算出される(ステップS17)。FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)の算出は、上述のステップS06と同様にして行われる。
【0109】
更に、ステップS17において算出されたFRGBデータのF階調値Faと、ステップS14において算出された最大階調値の色FのRGBデータ(FR
max,FG
max,FB
max)及び中間階調値midの色FのRGBデータ(FR
mid,FG
mid,FB
mid)とから、F階調値Faの色FのRGBデータ(FR
intp,FG
intp,FB
intp)が算出される(ステップS18)。F階調値Faの色FのRGBデータ(FR
intp,FG
intp,FB
intp)とは、F階調値Faに対応する駆動信号でF副画素8Fが駆動されたときにF副画素8Fによって表示される表示色の原色R、原色G、原色Bの輝度成分を示すデータであり、下記式(11a)〜(11c)に従って算出される。
【数10】
FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)においてR副画素8R、G副画素8G、B副画素8B、F副画素8Fの階調値が8ビットで表される場合、FRGB
MAXは“255”である。この場合、式(11a)〜(11c)は、下記式(11a’)〜(11c’)に書き直すことができる:
【数11】
【0110】
続いて、ステップS18で算出されたF階調値Faの色FのRGBデータ(FR
intp,FG
intp,FB
intp)を用いて、FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)からRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が計算される(ステップS19)。RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)は、FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)に基づいて表示パネル1を駆動したときに表示パネル1に表示される色の原色R、原色G、原色Bの輝度成分を示すデータであり、本実施形態では、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が、下記式(12a)〜(12c)に従って算出される:
【数12】
ここで、γは、表示装置100に設定されるガンマ値である。
【0111】
FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)においてR副画素8R、G副画素8G、B副画素8B、F副画素8Fの階調値が8ビットで表される場合、FRGB
MAXは“255”である。この場合、式(12a)〜(12c)は、下記式(12a’)〜(12c’)に書き直すことができる:
【数13】
【0112】
算出されたRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)に基づいてステップS15で選択された色補正パラメータが適正か否かが判断される(ステップS20)。上述のように、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)は、FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)に基づいて表示パネル1を駆動したときに表示パネル1に表示される色の原色R、原色G、原色Bの輝度成分を示している。よって、RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)と目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)とに基づいて色補正パラメータが適正か否かを判断することができる。RGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)に基づく色補正パラメータの適正性の判断は、上記のステップS08と同様にして行われる。
【0113】
ステップS20において色補正パラメータが適正でないと判断された場合、色補正パラメータが調整され(ステップS21)、更に、上述した手順により、調節された色補正パラメータが適正か否かが、再度に判断される(ステップS16〜S20)。調整後の色補正パラメータに基づいて校正対象RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対して色補正処理が行われて色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)が算出され(ステップS16)、更に、色補正後RGBデータ(Rc,Gc,Bc)に対して色追加処理が行われてFRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)が算出される(ステップS17)。更に、ステップS17において算出されたFRGBデータのF階調値Faと最大階調値の色FのRGBデータ(FR
max,FG
max,FB
max)と中間階調値midの色FのRGBデータ(FR
mid,FG
mid,FB
mid)とから、F階調値Faの色FのRGBデータ(FR
intp,FG
intp,FB
intp)が算出される(ステップS18)。更に、ステップS18で算出されたF階調値Faの色FのRGBデータ(FR
intp,FG
intp,FB
intp)を用いて、FRGBデータ(Fa,Ra,Ga,Ba)からRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)が算出され、算出されたRGB輝度成分データ(Rr,Gr,Br)に基づいて調節後の色補正パラメータが適正か否かが判断される(ステップS20)。色補正パラメータの調整と色補正パラメータの適正性の判断は、色補正パラメータが適正であると判断されるまで繰り返して行われる。
【0114】
色補正パラメータが適正であると判断された場合、該色補正パラメータが演算装置12から表示ドライバ2に送信され、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26の色補正パラメータ格納領域31に書き込まれる(ステップS10)。以上で色補正パラメータの算出、及び、算出された色補正パラメータの表示ドライバ2への設定が完了する。
【0115】
図10に示されている色補正パラメータの算出の手順によれば、色追加処理により色が変化する場合にも、その色の変化を考慮して所望の色調整(例えば、所望の色域調整)を実現することができる。また、
図10に示されている手順では、最大階調値の色Fの輝度座標データ(FY
max,Fx
max,Fy
max)に加えて中間階調値midの色Fの輝度座標データ(FY
mid,Fx
mid,Fy
mid)を用いて色補正パラメータの適正さが判断されているため、色補正パラメータの適正さをより精度よく判断することができる。
【0116】
上述の実施形態においては、色補正回路28に設定すべき色補正パラメータが、色調整装置200の演算装置12によって算出され、算出された色補正パラメータが色調整装置200から表示ドライバ2の不揮発性メモリ26に書き込まれているが、色補正パラメータの算出及び設定の手法は、様々に変更され得る。
【0117】
図11、
図12は、他の実施形態における輝度座標測定装置200A及び表示装置100の構成を概略的に示すブロック図である。
図11を参照して、本実施形態においては、色調整装置200の代わりに、輝度座標データの測定を行う輝度座標測定装置200Aが用いられる。また、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26には、色補正パラメータを格納する色補正パラメータ格納領域31に加え、輝度座標データを格納する輝度座標データ格納領域32が用意される。
【0118】
輝度座標測定装置200Aは、輝度計11と演算装置12とを備えており、演算装置12には輝度座標データ測定ソフトウェア18がインストールされている。輝度座標データの測定は、演算装置12が輝度座標データ測定ソフトウェア18を実行することによって実行される。
図8の手順で色補正パラメータが算出される場合、最大階調値の原色R、原色G、原色B、色Fの輝度座標データ及びホワイトポイント(WP)の輝度座標データが測定される。
図10の手順で色補正パラメータが算出される場合には、加えて、中間階調値midの色Fの輝度座標データが測定される。測定された輝度座標データは、表示ドライバ2の輝度座標データ格納領域32に書き込まれる。
【0119】
図12に図示されているように、本実施形態では、表示装置100の実装において、ホスト3と表示装置100とによって表示システムが構成される。この表示システムにおいて、色補正回路28に設定すべき色補正パラメータが、ホスト3によって算出される。ホスト3には色調整ソフトウェア41がインストールされており、ホスト3が色調整ソフトウェア41を実行することによって色補正パラメータが算出される。
【0120】
当該表示システムが起動されると、
図12に図示されているように、不揮発性メモリ26の輝度座標データ格納領域32に書き込まれている輝度座標データが読み出されて表示ドライバ2からホスト3に転送される。ホスト3は、読み出された輝度座標データから、上述された手順で色補正回路28に設定すべき色補正パラメータを算出する。なお、この構成では、色補正パラメータに用いられる目標RGBデータ(Rt,Gt,Bt)は、ホスト3の記憶装置に格納される。ホスト3によって算出された色補正パラメータは、表示ドライバ2に転送され、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26の色補正パラメータ格納領域31に書き込まれる。
【0121】
表示ドライバ2の実動作においては、
図13に図示されているように、色補正パラメータ格納領域31からレジスタ回路25に色補正パラメータが読み出され、更に、読み出された色補正パラメータがレジスタ回路25から色補正回路28に供給される。ホスト3は、表示ドライバ2に画像データを供給する。色補正回路28は、ホスト3から供給された画像データに対して、レジスタ回路25から受け取った色補正パラメータに基づいて色補正処理を行う。
【0122】
このような構成は、表示装置100のユーザが所望の色調整を行うために有用である。表示装置100の製造者は、輝度座標測定装置200Aによって測定した輝度座標データを表示ドライバ2の不揮発性メモリ26に書き込む。表示装置100のユーザは、ホスト3によって所望の色調整ソフトウェア41を実行することにより、所望の色調整を精度よく実行することができる。
【0123】
図14、
図15は、更に他の実施形態における輝度座標測定装置200A及び表示装置100の構成を概略的に示すブロック図である。
図14に図示されているように、本実施形態では、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26が、色補正パラメータを格納する色補正パラメータ格納領域31と汎用メモリ領域33とを備えている。輝度座標測定装置200Aによって測定された輝度座標データは、表示ドライバ2の汎用メモリ領域33に書き込まれる。
【0124】
図15に図示されているように、本実施形態においても、表示装置100の実装において、ホスト3と表示装置100とで表示システムが構成される。該表示システムにおいては、色補正パラメータを算出する場合、汎用メモリ領域33に書き込まれている輝度座標データが読み出されて表示ドライバ2からホスト3に転送される。ホスト3には、色調整ソフトウェア41がインストールされており、ホスト3は、読み出された輝度座標データから、上述された手順で色補正回路28に設定すべき色補正パラメータを算出する。ホスト3によって算出された色補正パラメータは、表示ドライバ2に転送され、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26の色補正パラメータ格納領域31に書き込まれる。これ以後、輝度座標データが書き込まれていた汎用メモリ領域33が、輝度座標データの保持以外の用途に開放される。
【0125】
このような構成は、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26を有効利用するために有用である。輝度座標データは、色補正回路28に設定する色補正パラメータの算出が完了した後は必ずしも保持する必要がない。色補正回路28に設定する色補正パラメータの算出が一度しか行われない場合には、色補正パラメータの算出が完了した後、輝度座標データを記憶している汎用メモリ領域33を輝度座標データの保持以外の用途に用いることで、不揮発性メモリ26を有効利用することができる。なお、色調整、即ち、色補正回路28の色補正パラメータの算出を所望のタイミングで実行できるようにするためには、汎用メモリ領域33に輝度座標データを継続して保持しておいてもよい。
【0126】
図16、
図17は、更に他の実施形態における輝度座標測定装置200A及び表示装置100の構成を概略的に示すブロック図である。
図16に図示されているように、本実施形態では、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26が輝度座標データ/色補正パラメータ格納領域34を備えている。輝度座標測定装置200Aによって測定された輝度座標データは、表示ドライバ2の輝度座標データ/色補正パラメータ格納領域34に書き込まれる。
【0127】
図17に図示されているように、本実施形態においても、表示装置100の実装において、ホスト3と表示装置100とで表示システムが構成される。本実施形態では、ホスト3が、輝度座標データ格納メモリ42を備えている。
【0128】
該表示システムにおいては、色補正パラメータを算出する場合、輝度座標データ/色補正パラメータ格納領域34に書き込まれている輝度座標データが読み出されて表示ドライバ2からホスト3に転送され、ホスト3の輝度座標データ格納メモリ42に書き込まれる。ホスト3には、色調整ソフトウェア41がインストールされており、ホスト3は、輝度座標データ格納メモリ42に格納された輝度座標データから、上述された手順で色補正回路28に設定すべき色補正パラメータを算出する。ホスト3によって算出された色補正パラメータは、表示ドライバ2に転送され、表示ドライバ2の輝度座標データ/色補正パラメータ格納領域34に書き込まれる。色補正パラメータの書き込みにおいては、輝度座標データ/色補正パラメータ格納領域34に格納されていた輝度座標データは、色補正パラメータによって上書きされる。このような構成によれば、表示ドライバ2の不揮発性メモリ26の容量を低減することができる。
【0129】
ホスト3の輝度座標データ格納メモリ42に格納された輝度座標データは、色補正パラメータの算出の後、保持されていてもよいし、破棄されてもよい。色調整、即ち、色補正回路28に設定する色補正パラメータの算出を所望のタイミングで実行できるようにする場合には、輝度座標データが、輝度座標データ格納メモリ42に保持され続ける。一方、色補正パラメータの算出が一度だけ行われる場合、輝度座標データは、色補正パラメータの算出の後、破棄される。この場合、輝度座標データ格納メモリ42として汎用メモリが用いられてもよい。色補正パラメータの算出の後、汎用メモリは、輝度座標データの保持以外の用途に用いてもよい。このような構成は、メモリ資源の有効利用のために好ましい。
【0130】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されると解釈してはならない。本発明が様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には自明的であろう。特に、本発明は、表示パネルを駆動する専用の半導体集積回路として構成された表示ドライバのみならず、タッチパネルのタッチ検出のための動作を行うタッチパネルコントローラがモノリシックに(即ち、同一チップに)集積化された表示ドライバを含むものとして解釈すべきであることに留意されたい。