(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-3181(P2019-3181A)
(43)【公開日】2019年1月10日
(54)【発明の名称】偏光型視野角制御素子、偏光型視野角制御表示モジュール及び偏光型視野角制御光源モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20181207BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20181207BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20181207BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20181207BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20181207BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20181207BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20181207BHJP
【FI】
G02B5/30
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/02
G02F1/13363
G02F1/13 505
G09F9/00 313
G09F9/00 324
G09F9/00 336E
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-106595(P2018-106595)
(22)【出願日】2018年6月4日
(31)【優先権主張番号】201710452927.2
(32)【優先日】2017年6月15日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】510097611
【氏名又は名称】揚昇照明股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲氷▼▲彦▼
(72)【発明者】
【氏名】方 崇仰
(72)【発明者】
【氏名】王 文俊
(72)【発明者】
【氏名】徐 熊群
【テーマコード(参考)】
2H088
2H149
2H291
3K107
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA45
2H088EA47
2H088HA15
2H088HA18
2H088HA28
2H088MA07
2H088MA20
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB01
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2H149FB03
2H149FD05
2H149FD06
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA81Z
2H291FD09
2H291FD12
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2H291LA26
2H291MA20
2H291PA23
2H291PA42
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC37
3K107EE26
5G435AA01
5G435BB05
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5G435FF02
5G435FF05
5G435FF12
5G435FF15
(57)【要約】
【課題】本発明は、偏光型視野角制御素子を提供する。
【解決手段】偏光型視野角制御素子は、2軸補償膜及び複数の偏光子を含む。複数の偏光子は、2軸補償膜の相対する側に配置される。また、偏光型視野角制御表示モジュール及び偏光型視野角制御光源モジュールを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光型視野角制御素子であって、
2軸補償膜;及び
前記2軸補償膜の相対する側に配置される複数の偏光子を含む、偏光型視野角制御素子。
【請求項2】
請求項1に記載の偏光型視野角制御素子であって、
前記2軸補償膜の主軸屈折率は、Nx、Ny及びNzを含み、そのうち、Nzは、前記2軸補償膜の厚み方向に平行であり、Nx、Ny及びNzのうちの各二つは、互いに垂直であり、Nx及びNyは、それぞれ、前記複数の偏光子の透過軸と45度の夾角を成す、偏光型視野角制御素子。
【請求項3】
請求項2に記載の偏光型視野角制御素子であって、
Nx>Nzであり、且つ前記2軸補償膜の相対する側に配置される前記複数の偏光子の透過軸は、互いに垂直である、偏光型視野角制御素子。
【請求項4】
請求項2に記載の偏光型視野角制御素子であって、
Nz>Nxであり、且つ前記2軸補償膜の相対する側に配置される前記複数の偏光子の透過軸は、互いに平行である、偏光型視野角制御素子。
【請求項5】
請求項1に記載の偏光型視野角制御素子であって、
前記2軸補償膜の数量は、Nであり、且つ前記複数の偏光子の数量は、N+1であり、そのうち、Nは、1以上の正の整数であり、且つ前記複数の偏光子のうちの任意の2つの隣接する偏光子の間には、1つの前記2軸補償膜が配置される、偏光型視野角制御素子。
【請求項6】
請求項1に記載の偏光型視野角制御素子であって、
A型板、C型板、或いは、前記A型板と前記C型板との組み合わせをさらに含み、
前記A型板、前記C型板、或いは、前記A型板と前記C型板との組み合わせは、前記複数の偏光子の間に位置し、且つ前記2軸補償膜と重畳する、偏光型視野角制御素子。
【請求項7】
請求項1に記載の偏光型視野角制御素子であって、
前記偏光型視野角制御素子の面内遅延値は、200nmから300nmまでの範囲にあり、前記偏光型視野角制御素子の面外遅延値は、300nmから800nmまでの範囲にある、偏光型視野角制御素子。
【請求項8】
偏光型視野角制御表示モジュールであって、
表示モジュール偏光子を含む表示モジュール;
前記表示モジュールの、前記表示モジュール偏光子に近い一方側に配置される2軸補償膜;及び
前記表示モジュール偏光子とそれぞれ前記2軸補償膜の相対する側に配置される偏光子を含む、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
前記2軸補償膜の主軸屈折率は、Nx、Ny及びNzを含み、そのうち、Nzは、前記2軸補償膜の厚み方向に平行であり、Nx、Ny及びNzのうちの各2つは、互いに垂直であり、Nx及びNyは、それぞれ、前記偏光子の透過軸と45度の夾角を成し、且つNx及びNyは、それぞれ、前記表示モジュール偏光子の透過軸と45度の夾度を成す、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
Nx>Nzであり、且つ前記偏光子は、前記表示モジュール偏光子の透過軸と互いに垂直である、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項11】
請求項9に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
Nz>Nxであり、且つ前記偏光子は、前記表示モジュール偏光子の透過軸と互いに平行である、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項12】
請求項8に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
前記2軸補償膜及び前記偏光子の数量は、それぞれ、Nであり、そのうち、Nは、1よりも大きい正の整数であり、且つN個の前記2軸補償膜及びN個の前記偏光子は、前記表示モジュールの、前記表示モジュール偏光子に近い一方側に交替配列される、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項13】
請求項8に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
前記2軸補償膜の数量は、Nであり、且つ前記偏光子の数量は、N+1であり、そのうち、Nは、1以上の正の整数であり、N個の前記2軸補償膜及びN+1個の前記偏光子は、前記表示モジュールの、前記表示モジュール偏光子に近い一方側に交替配列される、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
二分の一波長板をさらに含み、
前記二分の一波長板は、前記表示モジュール偏光子と、前記表示モジュール偏光子に最も近い前記偏光子との間に配置され、前記表示モジュール偏光子、及び、前記表示モジュール偏光子に最も近い前記偏光子のうちの1つの透過軸は、前記二分の一波長板の透過軸と夾角θを成し、且つ前記表示モジュール偏光子と、前記表示モジュール偏光子に最も近い前記偏光子の透過軸との夾角は、2θ±5°又は2θ+π/2±5°の範囲にある、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項15】
請求項8に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
前記2軸補償膜と前記表示モジュール偏光子との間に配置される二分の一波長板をさらに含む、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項16】
請求項8に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
A型板、C型板、或いは、前記A型板と前記C型板との組み合わせをさらに含み、
前記A型板、前記C型板、或いは、前記A型板と前記C型板との組み合わせは、前記偏光子と前記表示モジュール偏光子との間に位置し、且つ前記2軸補償膜と重畳する、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項17】
請求項8に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
前記偏光型視野角制御表示モジュールの面内遅延値は、200nmから300nmまでの範囲にあり、前記偏光型視野角制御表示モジュールの面外遅延値は、300nmから800nmまでの範囲にある、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項18】
請求項8に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
前記表示モジュールは、液晶表示パネルをさらに含み、
前記偏光型視野角制御表示モジュールは、光源モジュールをさらに含み、
前記表示モジュールは、前記2軸補償膜と前記光源モジュールとの間に位置し、又は、前記2軸補償膜及び前記偏光子は、前記表示モジュールと前記光源モジュールとの間に位置する、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項19】
請求項8に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
前記表示モジュールは、有機エレクトロルミネセンス性表示パネルをさらに含み、
前記表示モジュール偏光子は、前記有機エレクトロルミネセンス性表示パネルと前記2軸補償膜との間に位置する、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項20】
請求項19に記載の偏光型視野角制御表示モジュールであって、
前記表示モジュール偏光子と前記2軸補償膜との間に配置される電気制御視野角切替器をさらに含み、
前記電気制御視野角切替器は、2つの透光性基板、前記2つの透光性基板の間に位置する2層の透光性導電層、前記2層の透光性導電層の間に位置する液晶層、及び、前記電気制御視野角切替器の、前記表示モジュールを離れる一方側に位置する電気制御視野角切替器偏光子を含み、
前記液晶層は、複数の液晶分子を含み、且つ前記複数の液晶分子の光軸は、前記電気制御視野角切替器偏光子の透過軸に平行又は垂直である、偏光型視野角制御表示モジュール。
【請求項21】
偏光型視野角制御光源モジュールであって、
光源モジュール;及び
前記光源モジュールの出光側に配置される偏光型視野角制御素子を含み、
前記偏光型視野角制御素子は、
2軸補償膜;及び
前記2軸補償膜の相対する側に配置される複数の偏光子を含む、偏光型視野角制御光源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子、表示モジュール及び光源モジュールに関し、特に、偏光型視野角制御素子、偏光型視野角制御表示モジュール及び偏光型視野角制御光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、表示装置は、複数の使用者が一緒に見ることができるようにさせるために、通常、広視野角の表示効果を有する。しかし、ある状況又は場合に、例えば、公開の場合に、プライベートホームページ又は機密情報を見る時やパスワードを入力する時に、広視野角の表示効果は、機密情報が他人に盗み見られて流出してしまうことをもたらしやすい。覗き見防止のニーズを達成するために、一般的な方法として、表示装置の前方に光制御膜(Light Control Film、LCF)を設けることで、大角度の光線をフィルターリングする。しかし、光制御膜は、値段が高くて且つ厚みが厚い他に、表示装置全体の輝度が約30%低下するようにさせることができる。また、光制御膜の周期的構造は、表示装置とモアレパターン(Moire pattern)を生じやすいため、表示品質に悪い影響を与えることもできる。
【0003】
なお、この「背景技術」の部分が、本発明の内容への理解を助けるためだけのものであるため、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、当業者に知られていない技術を含む可能性がある。よって、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、該内容、又は、本発明の1つ又は複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に既に当業者に周知されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、視野角を制限し且つモアレパターンの生成及び輝度の大幅な低下を避けることができる偏光型視野角制御素子を提供することにある。
【0005】
本発明のもう1つの目的は、上述の偏光型視野角制御素子を用いる偏光型視野角制御表示モジュール及び偏光型視野角制御光源モジュールを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的及び利点は、本発明に開示されている技術的特徴からさらに理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例は、偏光型視野角制御素子を提供し、それは、2軸補償膜及び複数の偏光子を含む。複数の偏光子は、2軸補償膜の相対する側に配置される。
【0008】
上述の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例は、偏光型視野角制御表示モジュールを提供し、それは、表示モジュール、2軸補償膜及び偏光子を含む。表示モジュールは、表示モジュール偏光子を含む。2軸補償膜は、表示モジュールの、表示モジュール偏光子に近い一方側に配置される。偏光子及び表示モジュール偏光子は、それぞれ、2軸補償膜の相対する側に配置される。
【0009】
上述の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例は、偏光型視野角制御光源モジュールを提供し、それは、光源モジュール及び偏光型視野角制御素子を含む。偏光型視野角制御素子は、光源モジュールの出光側(即ち、光が出る側。以下、同様)に配置され、且つ2軸補償膜及び複数の偏光子を含む。複数の偏光子は、2軸補償膜の相対する側に配置される。
【0010】
上述により、本発明の実施例は、少なくとも、以下の1つの利点又は機能/効果を有する。本発明の実施例の偏光型視野角制御素子では、2軸補償膜、2軸補償膜とA型板との組み合わせ、2軸補償膜とC型板との組み合わせ、又は、2軸補償膜とA型板とC型板との組み合わせにより、200nmから300nmまでの範囲にある面内遅延値及び300nmから800nmまでの範囲にある面外遅延値を提供することで、視野角を制限する効果を達成することができ、且つ偏光型視野角制御素子を用いる偏光型視野角制御表示モジュール及び偏光型視野角制御光源モジュールは、方位角の角度を制限することもできる。偏光型視野角制御素子の視野角が方形であり、且つ偏光型視野角制御素子が光束の収束角度を制御し得るため、市場のニーズを満足することができる。また、偏光型視野角制御素子が周期的構造を用いず視野角を制御するため、モアレパターンの生成を避けることもできる。市販製品、例えば、光制御膜に比べ、偏光型視野角制御素子は、比較的高い正視野角輝度、比較的安い価格及び比較的薄い厚さを有することができる。一実施例では、偏光型視野角制御素子は、全覗き見防止表示器又は車載表示器に適用することもできる。
【0011】
本発明の上述の特徴及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げて添付した図面を参照することにより、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一実施例による偏光型視野角制御素子の断面図である。
【
図2】
図1の偏光型視野角制御素子の視野角の分布図である。
【
図3】
図1の偏光型視野角制御素子の入光角−透過率の関係図である。
【
図4A】
図1の偏光型視野角制御素子の入光角−透過率の関係図である。
【
図4B】
図1の偏光型視野角制御素子の、同じ面外遅延値且つ異なる面内遅延値の下での視野角の分布図である。
【
図4C】
図1の偏光型視野角制御素子の、同じ面外遅延値且つ異なる面内遅延値の下での視野角の分布図である。
【
図4D】
図1の偏光型視野角制御素子の、同じ面外遅延値且つ異なる面内遅延値の下での視野角の分布図である。
【
図5】本発明の第二実施例による偏光型視野角制御素子の断面図である。
【
図6】
図5の偏光型視野角制御素子の視野角の分布図である。
【
図7】本発明の第三実施例による偏光型視野角制御素子の断面図である。
【
図8】
図7の偏光型視野角制御素子の視野角の分布図である。
【
図9】
図7の偏光型視野角制御素子におけるA型板がC型板で置換された後の視野角の分布図である。
【
図10】本発明の第一実施例の偏光型視野角制御表示モジュールの断面図である。
【
図11】本発明の第二実施例の偏光型視野角制御表示モジュールの断面図である。
【
図12】本発明の第三実施例の偏光型視野角制御表示モジュールの断面図である。
【
図13】本発明の第四実施例の偏光型視野角制御表示モジュールの断面図である。
【
図14】本発明の第五実施例の偏光型視野角制御表示モジュールの断面図である。
【
図15】本発明の第六実施例の偏光型視野角制御表示モジュールの断面図である。
【
図16A】本発明の第七実施例の偏光型視野角制御表示モジュールの断面図である。
【
図17】本発明の一実施例による偏光型視野角制御光源モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の上述した及び他の技術的内容、特徴、機能及び効果は、添付した図面に基づく次のような好適な実施例の詳細な説明により明確になる。なお、次の実施例に言及びされている方向についての用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、添付した図面の方向に過ぎない。よって、使用されている方向の用語は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0014】
図1は、本発明の第一実施例による偏光型視野角制御素子の断面図である。
図1を参照するに、本発明の第一実施例の偏光型視野角制御素子100は、2軸補償膜110、偏光子120及び偏光子130を含む。偏光子120及び偏光子130は、2軸補償膜110の相対する側に配置される。例えば、偏光子130、2軸補償膜110及び偏光子120は、偏光型視野角制御素子100の厚み方向上で連続してスタックされる。言い換えると、偏光型視野角制御素子100では、偏光子120は、2軸補償膜110に直接接触し、且つ偏光子130は、2軸補償膜110に直接接触する。よって、偏光子120と2軸補償膜110との間には、他の膜層が配置されず、且つ偏光子130と2軸補償膜110との間にも、他の膜層が配置されない。
【0015】
2軸補償膜110の主軸屈折率は、Nx、Ny及びNzを含み、そのうち、Nzは、2軸補償膜110の厚み方向DTに平行であり、且つNx、Ny及びNzのうちの各2つは、互いに垂直である。また、Nxと偏光子120の透過軸T120との間には、45度の夾角を成し、且つNxと偏光子130の透過軸T130との間には、45度の夾角を成す。Nyと偏光子120の透過軸T120との間には、45度の夾角を成し、且つNyと偏光子130の透過軸T130との間には、45度の夾角を成す。Nx>Nzのときに、偏光子120の透過軸T120は、偏光子130の透過軸T130と互いに垂直である。逆に、Nz>Nxのときに、偏光子120の透過軸T120は、偏光子130の透過軸T130と互いに平行である。偏光型視野角制御素子100では、2軸補償膜110が提供する面内遅延値は、200nmから300nmまでの範囲にあり、且つ2軸補償膜110が提供する面外遅延値は、300nmから800nmまでの範囲にある。
【0016】
偏光子120及び偏光子130は、吸収型偏光子又は反射型偏光子であっても良い。例えば、偏光子120及び偏光子130は、ともに、吸収型偏光子であっても良い。或いは、偏光子120及び偏光子130は、ともに、反射型偏光子であっても良い。さらに、偏光子120及び偏光子130のうちの1つは、吸収型偏光子であっても良く、且つ偏光子120及び偏光子130のうちもう1つは、反射型偏光子であっても良い。
【0017】
図2は、
図1の偏光型視野角制御素子の視野角の分布図である。具体的には、
図2の視野角の分布図は、「2軸補償膜のNxが0度の方位角にあり、2軸補償膜の面内遅延値が入射波長の二分の一(即ち、λ/2)に等しく、出光処(即ち、光が出る箇所。以下、同様)の偏光子の透過軸が45度の方位角であり、且つ入光処(即ち、入光する箇所。以下、同様)の偏光子の透過軸が135度の方位角である」アーキテクチャの下で得られたシミュレーション結果である。各シミュレーションパラメターは、表1に示すようである。表1では、Dは、2軸補償膜の厚みを表す。R0は、2軸補償膜の面内遅延値を表し、且つR0=(Nx-Ny)*Dである。Rthは、2軸補償膜の面外遅延値を表し、且つRth=[(Nx+Ny)/2-Nz]*Dである。
図2から分かるように、正視野角の光束は、出光処の偏光子により吸収されず、且つ偏光型視野角制御素子の視野角の分布は、方形に近い。また、視野角と偏光型視野角制御素子との間の夾角が増大する(即ち、方位角が増大する)時に、Nz≠Nx≠Nyのため、偏光型視野角制御素子の位相遅延量がλ/2よりも大きくなり、これにより、吸収率が増加し、透過率が低下する。
【0018】
【表1】
図3及び
図4Aは、それぞれ、
図1の偏光型視野角制御素子の入光角−透過率の関係図である。
図4B乃至
図4Dは、それぞれ、
図1の偏光型視野角制御素子の、同じ面外遅延値且つ異なる面内遅延値の下での視野角の分布図である。
図3は、同じR0(275.1nm)の下で、異なるRthの、0度から180度までの方位角における透過率の曲線を示す。
図3を参照するに、偏光型視野角制御素子の吸収値は、主に、Rthに関係する。
図3から分かるように、Rthが大きいほど、偏光型視野角制御素子の視野角が狭い。しかし、図から分かるように、Rthが大きくなるにつれて、偏光型視野角制御素子の大角度での部分は、次第に漏光する現象が生じるが、Rthが小さくなるにつれて、偏光型視野角制御素子の視野角は、次第に広くなる。よって、Rthが300nmから800nmまでの範囲にあるときに、偏光型視野角制御素子は、狭視野角を有し、且つ大角度の漏光現象を有しない。
図4Aは、同じRth(467nm)の下で、異なるR0の、0度から180度までの方位角における透過率の曲線を示す。
図4Bから
図4Dまでは、同じRth(467nm)の下で、R0が、それぞれ、275.1nm、250nm及び200nmである視野角の分布図を示す。
図4A乃至
図4Dから分かるように、R0が減少するときに、横方向角度(視野角の分布図における0度から180度までの方位角を参照)の光束の透過率が上がり、即ち、R0が小さくなるにつれて、横方向の視野角が次第に広くなるが、縦方向角度(視野角の分布図における90度から270度までの方位角を参照)の光束の透過率が少し下がり、即ち、縦方向の視野角が次第に狭くなる。正視野角輝度が下がるが、R0が200nm以上であれば、依然として一定の透過率を維持することができる。
【0019】
車載表示器(例えば、ナビゲーション用表示パネル)を例とすると、車載表示器の上方に遮蔽物がないときに、車載表示器の斜め方向の光束は、通常、フロントガラス上で倒影を形成することができる。昼のときに、外部の光束が、車載表示器において前記倒影を形成する斜め方向の光束よりも遥かに高いので、前記倒影は、運転者に影響を与えることがあまりない。しかし、夜のときに、外部の光束が、車載表示器において前記倒影を形成する斜め方向の光束よりも低いので、運転者は、前記倒影が形成された領域において車外の状況を確認することができず、危険を生じさせることができる。また、車載表示器が運転者の真正面でなく、一方側に偏って設置されるので、車載表示器の横方向の視野角が十分に広くなる必要があり、これにより、運転者は、表示情報を見ることができる。車載表示器は、本実施例の偏光型視野角制御素子と一緒に使用される場合、偏光型視野角制御素子により、前記倒影を形成する斜め方向の光束(大角度の光束)を消去することができ、且つR0を減少させることにより、横方向角度の光束(例えば、30度乃至45度の光束)の透過率を上げることができる。よって、運転者は、車載表示器が一方側に偏って設置される場合でも、依然として表示情報を見ることができる。
【0020】
図3乃至
図4Dに基づいて、Rth又はR0を変えることで、偏光型視野角制御素子の視野角の分布を変更することができるため、複数層の2軸補償膜を設置することで、全覗き見防止効果を達成することができる。
図5は、本発明の第二実施例による偏光型視野角制御素子の断面図である。
図5を参照するに、本発明の第二実施例の偏光型視野角制御素子200は、
図1の偏光型視野角制御素子100に類似し、そのうち、同じ素子は、同じ符号で表されるので、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0021】
偏光型視野角制御素子200と
図1の偏光型視野角制御素子100との主な相違点は、次の通りである。偏光型視野角制御素子200は、さらに、2軸補償膜140及び偏光子150を含み、そのうち、2軸補償膜140及び2軸補償膜110は、偏光子120の相対する側に配置され、且つ偏光子150及び偏光子120は、2軸補償膜140の相対する側に配置される。例えば、偏光子130、2軸補償膜110、偏光子120、2軸補償膜140及び偏光子150は、偏光型視野角制御素子200の厚み方向上で連続してスタックされる。言い換えると、偏光型視野角制御素子200では、偏光子130は、2軸補償膜110に直接接触し、2軸補償膜110は、偏光子120に直接接触し、偏光子120は、2軸補償膜140に直接接触し、且つ2軸補償膜140は、偏光子150に直接接触する。よって、偏光子130と2軸補償膜110との間には、他の膜層が配置されず、2軸補償膜110と偏光子120との間には、他の膜層が設置されず、偏光子120と2軸補償膜140との間には、他の膜層が設置されず、且つ2軸補償膜140と偏光子150との間には、他の膜層が設置されない。
【0022】
偏光子120の透過軸T120は、2軸補償膜110のNxと45度の夾角を成す他に、2軸補償膜140のNxと45度の夾角も成す。また、偏光子150の透過軸T150も、2軸補償膜140のNxと45度の夾角を成す。Nx>Nzの場合、偏光子150の透過軸T150は、偏光子120の透過軸T120と互いに垂直であり、且つ偏光子150の透過軸T150は、偏光子130の透過軸T130と互いに平行である。逆に、Nz>Nxの場合、偏光子150の透過軸T150、偏光子120の透過軸T120及び偏光子130の透過軸T130は、互いに平行である。
【0023】
図6は、
図5の偏光型視野角制御素子の視野角の分布図である。具体的には、
図6の視野角の分布図は、「2つの2軸補償膜のNxがすべて0度の方位角に位置し、2つの2軸補償膜の面内遅延値がすべて入射波長の二分の一(即ち、λ/2)に等しく、出光処及び入光処の偏光子の透過軸が135度の方位角であり、且つ2つの2軸補償膜の間に位置する偏光子の透過軸が45度の方位角である」アーキテクチャの下で得られたシミュレーション結果である。各シミュレーションパラメターは、表2に示すようである。
図6から分かるように、正視野角の光束は、出光処の偏光子に吸収されず、且つ偏光型視野角制御素子の視野角の分布は、方形に近い。複数層の2軸補償膜を設置することにより、全覗き見防止効果を達成することができる。
【0024】
【表2】
なお、偏光型視野角制御素子中の2軸補償膜及び偏光子の数量は、上述に限られない。他の実施例では、2軸補償膜の数量は、2より大きくても良い。それ相応に、偏光子の数量は、3より大きくても良い。さらに言えば、2軸補償膜及び偏光子の数量は、次のような条件を満足し、即ち、2軸補償膜の数量がNであり、且つ複数の偏光子の数量がN+1であり、Nは、1以上の正の整数であり、且つ複数の偏光子のうちの任意の2つの隣接する偏光子の間には、1つの2軸補償膜が配置される。
【0025】
2軸補償膜のR0又はRthの数値は、材料の選択により、所望の数値と異なるようになる可能性があるので、本発明の実施例は、さらに、A型板、C型板、又は、A型板とC型板との組み合わせにより、R0又はRthの偏差を補償することもできる。
図7は、本発明の第三実施例による偏光型視野角制御素子の断面図である。
図7を参照するに、本発明の第三実施例の偏光型視野角制御素子300は、
図1の偏光型視野角制御素子100に類似し、そのうち、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その説明を省略する。
【0026】
偏光型視野角制御素子300と
図1の偏光型視野角制御素子100との主な相違点は、次の通りである。偏光型視野角制御素子300は、さらに、A型板160を含み、そのうち、A型板160は、偏光子120と偏光子130との間に位置し且つ2軸補償膜110と重畳する。例えば、2軸補償膜110は、A型板160と偏光子120との間に位置しても良く、又は、A型板160は、2軸補償膜110と偏光子120との間に位置しても良い。また、A型板の光軸Iは、2軸補償膜110のNxに平行である。本実施例では、2軸補償膜110及びA型板160が提供する面内遅延値の総和は、200nmから300nmまでの範囲にあり、且つ2軸補償膜110及びA型板160が提供する面外遅延値の総和は、300nmから800nmまでの範囲にある。
【0027】
図8は、
図7の偏光型視野角制御素子の視野角の分布図である。具体的には、
図8の視野角の分布図は、「2軸補償膜のNxが0度の方位角に位置し、2軸補償膜の面内遅延値が入射波長の二分の一(即ち、λ/2)に等しく、入光処の偏光子の透過軸が135度の方位角であり、且つ出光処の偏光子の透過軸が45度の方位角である」アーキテクチャの下で得られたシミュレーション結果であり、そのうち、2軸補償膜のRth及びR0は、それぞれ、400nm及び120nmであり、且つA型板のRth及びR0は、それぞれ、0nm及び175.1nmである。
【0028】
比較として、
図9は、
図7の偏光型視野角制御素子中のA型板がC型板で置換された視野角の分布図である。具体的には、
図9の視野角の分布図は、「2軸補償膜のNxが0度の方位角に位置し、2軸補償膜の面内遅延値が入射波長の二分の一(即ち、λ/2)に等しく、入光処の偏光子の透過軸が145度の方位角であり、且つ出光処の偏光子の透過軸が45度の方位角である」アーキテクチャの下で得られたシミュレーション結果であり、そのうち、2軸補償膜のRth及びR0は、それぞれ、300nm及び275.1nmであり、且つC型板のRth及びR0は、それぞれ、100nm及び0nmである。
【0029】
図8及び
図9のシミュレーション結果によれば、Rthの総和及びR0の総和が同じである場合、2軸補償膜及びA型板を利用して得られた視野角の分布図は、2軸補償膜及びC型板を利用して得られた視野角の分布図に近い。よって、もう一つの実施例では、C型板で
図7のA型板160を置換し、また、2軸補償膜及びC型板が提供する面内遅延値の総和が200nmから300nmまでの範囲にあるようにさせ、且つ2軸補償膜及びC型板が提供する面外遅延値の総和が300nmから800nmまでの範囲にあるようにさせることができる。また、他の実施例では、A型板とC型板との組み合わせで
図7のA型板160を置換し、また、2軸補償膜及びA型板とC型板のとの組み合わせが提供する面内遅延値の総和が200nmから300nmまでの範囲にあるようにさせ、且つ2軸補償膜及びA型板とC型板との組み合わせが提供する面外遅延値の総和が300nmから800nmまでの範囲にあるようにさせることができる。
【0030】
図10乃至
図16Aは、それぞれ、本発明の第一実施例乃至第七実施例の偏光型視野角制御表示モジュールの断面図である。
図10を参照するに、本発明の第一実施例の偏光型視野角制御表示モジュール10は、表示モジュールDM及び
図1の偏光型視野角制御素子100を含む。表示モジュールDMは、表示パネルDP及び表示モジュール偏光子Pを含んでも良い。偏光型視野角制御素子100は、表示モジュールDMの、表示モジュール偏光子Pに近い一方側に配置され、且つ偏光型視野角制御素子100中の表示モジュール偏光子Pに近い偏光子(例えば、偏光子130)の透過軸(例えば、透過軸T130)は、表示モジュール偏光子Pの透過軸TPに平行である。
【0031】
表示パネルDPは、自己発光表示パネル又は非自己発光表示パネルであっても良い。表示パネルDPが非自己発光表示パネルのときに、偏光型視野角制御表示モジュール10は、さらに、光源モジュール、例えは、直下型光源モジュール又はエッジ型光源モジュールを、照明光束を提供するように含んでも良い。他方では、表示パネルDPが自己発光表示パネルのときに、光源モジュールを省略しても良い。
【0032】
例えば、表示パネルDPが液晶表示パネルのときに、表示モジュールDMは、2つの表示モジュール偏光子P(
図10には、1つのみの表示モジュール偏光子Pが示されている)を含んでも良い。2つの表示モジュール偏光子Pは、表示パネルDPの相対する側に配置され、且つ2つの表示モジュール偏光子Pの透過軸TPは、互いに垂直又は平行であっても良い。表示モジュールDMは、偏光型視野角制御素子100と光源モジュールLMとの間に位置しても良いが、これに限定されない。もう一つの実施例では、表示パネルDPが有機エレクトロルミネセンス性表示パネルのときに、
図10の光源モジュールLMを省略しても良い。
【0033】
偏光型視野角制御素子100と表示モジュールDMとを統合することで、偏光型視野角制御表示モジュール10から射出した表示光束の方位角の角度を制限することができ、これにより、偏光型視野角制御表示モジュール10が覗き見防止効果を有するようにさせることができる。また、偏光型視野角制御素子100が周期的構造を用いず視野角を制御するので、モアレパターンの生成を避けることもできる。
【0034】
一実施例では、
図10の偏光型視野角制御素子100は、複数層の2軸補償膜を有する偏光型視野角制御素子(例えば、
図5の偏光型視野角制御素子200)、或いは、2軸補償膜及びA型板、C型板、又は、A型板とC型板との組み合わせを有する偏光型視野角制御素子(例えば、
図7の偏光型視野角制御素子300)で置換されても良い。以下の実施例は、すべて、このように調整され得るため、ここでは、その説明を省略する。
【0035】
図11を参照するに、本発明の第二実施例の偏光型視野角制御表示モジュール20は、
図10の偏光型視野角制御表示モジュール10に類似し、そのうち、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その説明を省略する。
【0036】
偏光型視野角制御表示モジュール20と
図10の偏光型視野角制御表示モジュール10との主な相違点は、次の通りである。偏光型視野角制御表示モジュール20では、偏光型視野角制御素子100は、表示モジュールDMと光源モジュールLMとの間に位置し、且つ偏光型視野角制御素子100中の表示モジュール偏光子Pに近い偏光子(例えば、偏光子120)の透過軸(例えば、透過軸T120)は、表示モジュール偏光子Pの透過軸TPに平行である。表示モジュールDMは、例えば、非自己発光表示パネル、例えば、液晶表示パネルである。
【0037】
図12を参照するに、本発明の第三実施例の偏光型視野角制御表示モジュール30は、
図10の偏光型視野角制御表示モジュール10に類似し、そのうち、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その説明を省略する。
【0038】
偏光型視野角制御表示モジュール30と
図10の偏光型視野角制御表示モジュール10との主な相違点は、次の通りである。偏光型視野角制御表示モジュール30では、偏光型視野角制御素子100中の表示モジュール偏光子Pに近い偏光子(例えば、偏光子130)の透過軸(例えば、透過軸T130)は、表示モジュール偏光子Pの透過軸TPに平行でない。また、偏光型視野角制御表示モジュール30は、さらに、二分の一波長板170を含む。二分の一波長板170は、表示モジュール偏光子Pと、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子130)との間に配置され、そのうち、表示モジュール偏光子P、及び、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子130)のうちの1つの透過軸(例えば、透過軸TP)は、二分の一波長板170の光軸T170と夾角θを成し、且つ表示モジュール偏光子Pの透過軸TPと、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子130)の透過軸(例えば、透過軸T130)との夾角は、2θ又は2θ+π/2であるが、これに限られない。表示モジュール偏光子Pの透過軸TPと、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子130)の透過軸(例えば、透過軸T130)との夾角が2θ±5°又は2θ+π/2±5°の範囲にある時に、正視野角輝度に与える影響が大きくない。
【0039】
図13を参照するに、本発明の第四実施例の偏光型視野角制御表示モジュール40は、
図11の偏光型視野角制御表示モジュール20に類似し、そのうち、同じ素子は、同じ標号で表され、ここでは、その説明を省略する。
【0040】
偏光型視野角制御表示モジュール40と
図11の偏光型視野角制御表示モジュール20との主な相違点は、次の通りである。偏光型視野角制御表示モジュール40では、偏光型視野角制御素子100中の表示モジュール偏光子Pに近い偏光子(例えば、偏光子120)の透過軸(例えば、透過軸T120)は、表示モジュール偏光子Pの透過軸TPに平行でない。また、偏光型視野角制御表示モジュール40は、さらに、二分の一波長板170を含む。二分の一波長板170は、表示モジュール偏光子Pと、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子120)との間に位置し、そのうち、表示モジュール偏光子P、及び、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子120)のうち1つの透過軸(例えば、透過軸TP)は、二分の一波長板170の光軸T170と夾角θを成し、且つ表示モジュール偏光子Pの透過軸TPと、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子120)の透過軸(例えば、透過軸T120)との夾角は、2θ又は2θ+π/2であるが、これに限定されない。表示モジュール偏光子Pの透過軸TPと、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子120)の透過軸(例えば、透過軸T120)との夾角が2θ±5°又は2θ+π/2±5°の範囲にあるときに、正視野角輝度に与える影響が大きくない。
【0041】
図14を参照するに、本発明の第五実施例の偏光型視野角制御表示モジュール50は、
図10の偏光型視野角制御表示モジュール10に類似し、そのうち、同じ素子は、同じ標号で表され、ここでは、その説明を省略する。
【0042】
偏光型視野角制御表示モジュール50と
図10の偏光型視野角制御表示モジュール10との主な相違点は、次の通りである。偏光型視野角制御表示モジュール50では、
図10中の表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子130)は、省略され、且つ偏光子120及び表示モジュール偏光子Pは、それぞれ、2軸補償膜110の相対する側に配置される。
【0043】
なお、
図11の実施例では、偏光型視野角制御表示モジュール20では、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子120)を省略しても良い。
【0044】
図15を参照するに、本発明の第六実施例の偏光型視野角制御表示モジュール60は、
図12の偏光型視野角制御表示モジュール30に類似し、そのうち、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その説明を省略する。
【0045】
偏光型視野角制御表示モジュール60と
図12の偏光型視野角制御表示モジュール30との主な相違点は、次の通りである。偏光型視野角制御表示モジュール60では、
図12中の表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子130)を省略する。
【0046】
なお、
図13の実施例では、偏光型視野角制御表示モジュール40では、表示モジュール偏光子Pに最も近い偏光子(例えば、偏光子120)を省略しても良い。
【0047】
図16Aを参照するに、本発明の第七実施例の偏光型視野角制御表示モジュール70は、
図15の偏光型視野角制御表示モジュール60に類似し、そのうち、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その説明を省略する。
【0048】
偏光型視野角制御表示モジュール70と
図15の偏光型視野角制御表示モジュール60との主な相違点は、次の通りである。偏光型視野角制御表示モジュール70では、表示モジュールDMの表示パネルDPは、例えば、有機エレクトロルミネセンス性表示パネルであり、且つ偏光型視野角制御表示モジュール70では、
図15の光源モジュールLMを省略する。偏光型視野角制御表示モジュール70は、さらに、一つ又は複数の電気制御視野角切替器180を含む。
図16Aは、偏光型視野角制御表示モジュール70には2つの電気制御視野角切替器180が含まれることを示しているが、電気制御視野角切替器180の数量は、これに限定されない。電気制御視野角切替器180は、表示モジュール偏光子Pと2軸補償膜110との間に配置され、且つ電気制御視野角切替器180は、例えば、表示モジュール偏光子Pと二分の一波長板170との間に位置する。
【0049】
図16Bは、
図16A中の電気制御視野角切替器の断面図である。
図16A及び
図16Bを参照するに、電気制御視野角切替器180は、透光性基板181、透光性基板182、透光性基板181と透光性基板182との間に位置する透光性導電層183及び透光性導電層184、透光性導電層183と透光性導電層184との間に位置する液晶層185、並びに、電気制御視野角切替器180の、表示モジュールDMを離れる一方側に位置する電気制御視野角切替器偏光子186を含んでも良い。電気制御視野角切替器偏光子186の透過軸T186は、表示モジュール偏光子Pの透過軸TPに平行である。
【0050】
透光性基板181及び透光性基板182の材質(材料)は、ガラス又はプラスチックであっても良いが、これに限られない。透光性導電層183及び透光性導電層184の材質(材料)は、金属酸化物であっても良いが、これに限定されない。液晶層185は、複数の液晶分子を含み、且つ複数の液晶分子の光軸T185は、電気制御視野角切替器偏光子186の透過軸T186に平行又は垂直である。
【0051】
少なくとも一つの電気制御視野角切替器180を設置することで、偏光型視野角制御表示モジュール70の視野角をさらに狭くすることができるので、覗き見防止効果を向上させることができる。
【0052】
図17は、本発明の一実施例による偏光型視野角制御光源モジュールの断面図である。
図17を参照するに、本発明の一実施例の偏光型視野角制御光源モジュール80は、偏光型視野角制御素子82及び光源モジュール84を含む。偏光型視野角制御素子82は、光源モジュール84の出光側(即ち、光が出る側。以下、同様)に配置され、且つ偏光型視野角制御素子82は、
図1の偏光型視野角制御素子100、
図5の偏光型視野角制御素子200又は
図7の偏光型視野角制御素子300を採用しても良い。光源モジュール84は、直下型光源モジュール又はエッジ型光源モジュールであっても良い。
【0053】
偏光型視野角制御素子82を光源モジュール84の出光側に配置することで、光源モジュール84から射出した照明光束の方位角の角度を制限することができ、これにより、偏光型視野角制御光源モジュール80は、視野角制限有りの装置に応用することができる。
【0054】
以上のことから、本発明の実施例は、少なくとも、以下の1つの利点又は機能/効果を有する。即ち、本発明の実施例の偏光型視野角制御素子では、2軸補償膜、2軸補償膜とA型板との組み合わせ、2軸補償膜とC型板との組み合わせ、或いは、2軸補償膜とA型板とC型板との組み合わせにより、200nmから300nmまでの範囲にある面内遅延値及び300nmから800nmまでの範囲にある面外遅延値を提供することができ、これにより、視野角制限の効果を達成することができ、且つ偏光型視野角制御素子の偏光型視野角制御表示モジュール及び偏光型視野角制御光源モジュールを用いることで、方位角の角度を制限することもできる。偏光型視野角制御素子の視野角が方形であり、且つその収束角度が制御され得るので、市場のニーズを満足することができる。また、偏光型視野角制御素子は、周期的構造を利用せず視野角を制御するので、モアレパターンの生成を避けることができる。また、市販製品に比べ、偏光型視野角制御素子は、比較的高い正視野角輝度を有する。また、光制御膜に比べ、偏光型視野角制御素子は、比較的に安くて且つ厚みが比較的薄い。一実施例では、偏光型視野角制御素子は、全覗き見防止表示器又は車載表示器に適用することもできる。
【0055】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の精神と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の一部と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及びされている「第一」、「第二」などの用語は、要素(element)に名前を付け、又は、異なる実施例又は範囲を区別するためのもののみであり、要素の数量上の上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0056】
10、20、30、40、50、60、70:偏光型視野角制御表示モジュール
80:偏光型視野角制御光源モジュール
82、100、200、300:偏光型視野角制御素子
84、LM:光源モジュール
110、140:2軸補償膜
120、130、150:偏光子
160:A型板
170:二分の一波長板
180:電気制御視野角切替器
181、182:透光性基板
183、184:透光性導電層
185:液晶層
186:電気制御視野角切替器偏光子
DM:表示モジュール
DP:表示パネル
DT:厚み方向
I、T170、T185:光軸
Nx:主軸屈折率
P:表示モジュール偏光子
T120、T130、T150、T186、TP:透過軸
θ、2θ:夾角