【課題】排水ポンプにおいて、ロータの回転中心とロアハウジングのロータ収容室の中心軸線とが共通の中心軸線上に確実にあるように、ロータをロータ収容室に配置でき、しかも、組み立て工数を低減できること。
【解決手段】駆動用モータ25の外周部の下部がロアハウジング20の上部開口端部の内周部により位置決めされることにより、駆動用モータ25の出力軸25Sの中心軸線とロアハウジング20の中心軸線Cとが共通の直線上にあるように配置されるもとで、ロアハウジング20、および、モータカバー部材26が、フック部26NAおよび26NBと、フック止め部20LAおよび20LBとにより、互いに着脱可能に連結されるもの。
前記仕切部材は、前記モータカバー部材に保持される前記駆動用モータを受け止める一対のモータ受け部を前記蓋部と一体に有することを特徴とする請求項2記載の排水ポンプ。
前記連結手段は、前記ロアハウジングの外周部に形成される一対のフック止め部と、該一対のフック止め部に対し着脱可能に弾性変位する前記モータカバー部材の一対のフック部とから構成されることを特徴とする請求項1記載の排水ポンプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロアハウジングのロータ収容室を形成するロアハウジングの内周部とロータの外周部との間の隙間は、ロータの全周にわたり、排水ポンプの水掻き音の音圧レベルを抑制するために所定の設定値に維持されることが要望される。即ち、駆動用モータの出力軸に連結されるロータの回転中心とロアハウジングのロータ収容室の中心軸線とが共通の中心軸線上にあるように、カバー、受け部材、および、ロアハウジングが互いに組み付けられ、ロータがロアハウジングのロータ収容室内に配置されることが必要とされる。
【0006】
しかしながら、受け部材の蓋部材の下端と連結されるロアハウジングの端部の製造誤差、ならびに、蓋部材の凸部とロアハウジングの取付脚との組み付け誤差等に起因してロータの回転中心とロアハウジングのロータ収容室の中心軸線とが共通の中心軸線上になく、ロアハウジングの内周部とロータの外周部との間の隙間が、偏り、ロータの全周にわたり均一とならない場合がある。このような場合、ロータの回転中心とロアハウジングのロータ収容室の中心軸線とが共通の中心軸線上にあるようにロータの軸心の煩雑な調整作業がさらに必要となる。
【0007】
また、排水ポンプの生産効率の向上の観点から排水ポンプの組み立て作業時間の短縮化も要望されている。
【0008】
以上の問題点を考慮し、本発明は、ロータを収容するロータ収容室を有するロアハウジングを備えた排水ポンプであって、ロータの回転中心とロアハウジングのロータ収容室の中心軸線とが共通の中心軸線上に確実にあるように、ロータをロータ収容室に配置でき、しかも、組み立て工数を低減できる排水ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係る排水ポンプは、吸入口および吐出口に連通するロータ収容室を、開口端の内周部と同心上に有するロアハウジングと、ロアハウジングにおけるロータ収容室内に回動可能に配されるポンプロータと、ポンプロータに連結される出力軸を有しポンプロータを駆動する駆動用モータと、駆動用モータの上部外周を保持するモータカバー部材と、を備え、ロアハウジングの上部開口端の内周は、駆動用モータの下部外周を保持し、モータカバー部材とロアハウジングが連結手段により着脱可能に連結されることを特徴とする。
【0010】
また、ロアハウジングは、ロータ収容室の一部を形成する蓋部を有する仕切部材を内側に収容するように構成されてもよい。仕切部材は、モータカバー部材に保持される駆動用モータを受け止める一対のモータ受け部を蓋部と一体に有するものでもよい。
【0011】
さらに、連結手段は、ロアハウジングの外周部に形成される一対のフック止め部と、一対のフック止め部に対し着脱可能に弾性変位するモータカバー部材の一対のフック部とから構成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る排水ポンプによれば、吸入口および吐出口に連通するロータ収容室を、開口端の内周部と同心上に有するロアハウジングの上部開口端の内周は、駆動用モータの下部外周を保持し、モータカバー部材とロアハウジングが連結手段により着脱可能に連結されるのでロータの回転中心とロアハウジングのロータ収容室の中心軸線とが共通の中心軸線上に確実にあるように、ロータをロータ収容室に配置でき、しかも、組み立て工数を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係る排水ポンプの第1実施例の外観の概略図、
図2は、第1実施例の分解斜視図、
図3は、第1実施例の上面図、
図4は、
図3におけるIV−IV線に沿って示される断面図、
図5は、
図3におけるV−V線に沿って示される断面図を示す。なお、以下の説明における「上下」の概念は、
図1の図面における上下に対応する。
【0015】
排水ポンプ10は、
図1に示されるように、吸入口20aを形成する吸入管20Eを中央部下端に有する樹脂製のロアハウジング20と、ロアハウジング20内に回動可能に配される樹脂製のポンプロータ22と、ロアハウジング20の内周部とともにロータ収容室20Aを形成する樹脂製の仕切部材24と、ポンプロータ22を駆動する駆動用モータ25と、駆動用モータ25を覆う樹脂製のモータカバー部材26と、を主な要素として含んで構成されている。
【0016】
円筒状のロアハウジング20の下方部分を形成する吸入管20Eの一端は、例えば、空調機内の蒸発器から落下した液体を溜めるドレンパン内(不図示)に配される。ロアハウジング20の下部の内周部は、
図4および
図5に示されるように、吸入口20aを中心として漏斗状に広がるように形成されている。また、ロアハウジング20における下部の側壁の吐出管20J内には、上述の吸入口20aの中心軸線に直交する方向に沿って吐出口20bが延びている。吐出管20Jには、エルボ継ぎ手30が接続されている。エルボ継ぎ手30の一端30Pは、吐出管20Jに設けられるストッパ20JKに係合される切欠部30Kを有している。一端30Pは、吐出口30Cに連通する通路を内側に有している。一端30Pにおける切欠部30Kを除く外周縁には、C型止め輪32が係止される溝30Gが形成されている。また、吐出管20Jは、
図5に示されるように、エルボ継ぎ手30の一端30Pの開口に嵌合される接続端部20JEを有している。接続端部20JEの外周部には、Oリング34が取り付けられている。Oリング34は、接続端部20JEの外周部と一端30Pの開口の周縁との隙間を密封するものとされる。吐出管20Jにおける中心軸線方向に沿ってストッパ20JKに隣接した位置にも、C型止め輪32が係止される溝20JGが形成されている。また、吐出管20Jにおける円周方向に沿ってストッパ20JKの両端に隣接した位置には、それぞれ、一端30Pにおける外周縁の一部が係合される切欠部20Rが形成されている。これにより、吐出管20Jにおけるストッパ20JKがエルボ継ぎ手30の一端30Pの切欠部30Kに係合されるとともに、Oリング34を伴って接続端部20JEが一端30Pの開口に嵌合された後、C型止め輪32が、吐出管20Jの溝20JG、および、エルボ継ぎ手30の溝30Gに係止される。従って、
図1に示されるように、エルボ継ぎ手30の一端30Pが、吐出管20Jに接続されることとなる。ロアハウジング20の側壁における吐出管20Jに向き合う位置には、
図2および
図5に示されるように、矩形状の戻り水排出口20EXが形成されている。
【0017】
ロアハウジング20における側壁の上端部の外周部には、着脱可能な連結手段の一部を構成する被係止部としてのフック止め部20LAおよび20LBが、それぞれ、
図1、
図2および
図4に示されるように、向かい合って一体に形成されている。フック止め部20LAおよび20LBは、ロアハウジング20の中心軸線Cを通り上述の吐出管20Jの中心軸線に対し略直交する直線上に形成されている。
【0018】
ロアハウジング20の側壁の内周部におけるフック止め部20LAおよび20LBの位置に対応した部分には、それぞれ、後述する仕切部材24の案内壁24WAおよび24WBの平坦面24waおよび24wbが係合される平坦面20Dが形成されている。
【0019】
ロアハウジング20の側壁の内周部における下端部には、
図2および
図4に示されるように、Oリング28が挿入される環状の溝20Gが形成されている。これにより、後述する仕切部材24の蓋部24BがOリング28を介してロアハウジング20の内周部の開口端周縁に当接されている。
【0020】
仕切部材24は、例えば、
図2及び
図5に示されるように、樹脂材料で成形され、駆動用モータ25を下方から受け止める一対のモータ受け部24RAおよび24RBと、一対のモータ受け部24RAおよび24RBと一体に形成されロアハウジング20の内周部の開口端を仕切る蓋部24Bとを主な要素として含んで構成されている。円板状の蓋部24Bは、一対の案内壁24WAおよび24WBを所定の間隔をもって有している。一対の案内壁24WAおよび24WBの相互間には、戻り水排出口20EXを通じて外部に排出される流体が通過する流路が形成されている。案内壁24WAおよび24WBは、それぞれ、所定の円周角をもって蓋部24Bの円周方向に沿って延びている。案内壁24WAおよび24WBは、それぞれ、上述のロアハウジング20の側壁の内周部における平坦面20Dに係合される平坦面24wa、および、24wbを有している。これにより、ロアハウジング20の内周部内に配置された仕切部材24全体が、戻り水排出口20EXと一対の案内壁24WAおよび24WBの相互間の流路とが向き合うように位置決めされることとなる。なお、仕切部材24のロアハウジング20の内周部に対する位置決め手段は、斯かる例に限られることなく、例えば、平坦面20D、平坦面24wa、および、24wbの代わりに、小さな突起部、および、それに対応する浅い溝が形成されるように構成されてもよい。
【0021】
また、一対の案内壁24WAおよび24WBの相互間であって、一対のモータ受け部24RAおよび24RBの相互間には、駆動用モータ25の出力軸25Sおよび後述するポンプロータ22のハブ部材22Sが挿入される円筒状部24Cが、蓋部24Bに一体に形成されている。円筒状部24Cは、駆動用モータ25の出力軸25Sが貫通される孔24aを上壁に有している。円筒状部24Cにおけるモータ受け部24RAおよび24RBに向き合う側部の一部には、開口部24bが形成されている。これにより、モータ受け部24RAおよび24RBの相互間に形成される空間とロータ収容室20Aとが、開口部24bを介して連通することとなる。
【0022】
モータ受け部24RAおよび24RBは、所定の間隔をもって円板状の蓋部24Bの半径方向に互いに離隔し、円板状の蓋部24Bの円周方向に沿って所定の円周角をもって延びている。モータ受け部24RAおよび24RBは、上述の一対の案内壁24WAおよび24WBの相互間の流路を横切るように形成されている。また、モータ受け部24RAおよび24RBは、蓋部24Bの案内壁24WAおよび24WBの高さよりも高く中心軸線に沿って上方に向けて延びている。モータ受け部24RAおよび24RBの上端の位置(蓋部24Bの表面からの高さ)は、例えば、
図4および
図5に示されるように、仕切部材24の蓋部24Bがロアハウジング20の内周部の開口端に配置された場合、受け止められた駆動用モータ25の外周部の一部がロアハウジング20の内周部の上部で位置決めされるように設定される。また、モータ受け部24RAおよび24RBは、消音用ガイド壁としての機能も有する。従って、ロータ収容室20Aは、ロアハウジング20の内周部および仕切部材24の蓋部24Bにより囲まれて形成されることとなる。
【0023】
駆動用モータ25は、例えば、扁平型のDCブラシレスモータとされている。駆動用モータ25は、仕切部材24のモータ受け部24RAおよび24RBの上端部で受け止められ、モータカバー部材26により覆われ保持されている。駆動用モータ25のコネクタ部25Cは、
図3および
図5に示されるように、ロアハウジング20の最上端を乗り超えモータカバー部材26の切欠部(不図示)を介して外方に突出している。駆動用モータ25の出力軸25Sの回転数は、所定の最大回転数に維持されている。なお、駆動用モータ25の出力軸25Sの回転数は、吐出流量に応じて制御部により制御されるように構成されてもよい。なお、駆動用モータ25は、斯かる例に限られることなく、ACモータであってもよい。駆動用モータ25は、例えば、エンコーダ付きの隈取モータであってもよい。
【0024】
モータカバー部材26は、例えば、樹脂材料で成形されている。モータカバー部材26の外周部には、
図3に示されるように、上述のフック止め部20LAおよび20LBに着脱可能に係止するフック部26NAおよび26NBが互いに向き合って一体に形成されている。フック部26NAおよび26NBは、それぞれ、弾性変位可能とされ、フック止め部20LAおよび20LBの先端に係止する爪部26naおよび26nbを先端に有している。これにより、フック部26NAおよび26NBの爪部26naおよび26nbがフック止め部20LAおよび20LBに対し押し付けられ、フック部26NAおよび26NBの弾性力に抗して爪部26naおよび26nbが互いに離隔する方向に弾性変位された後、爪部26naおよび26nbがフック止め部20LAおよび20LBに係止状態とされ、一方、爪部26naおよび26nbがフック止め部20LAおよび20LBに対し離隔する方向に引き離されるとき、フック部26NAおよび26NBは、フック止め部20LAおよび20LBの先端に対し非係止状態とされる。モータカバー部材26は、駆動用モータ25の一部を収容するモータ収容部を内側に有している。モータカバー部材26の上面部には、ブラケット部26BK1、26BK2、および、26BK3が、例えば、3箇所に一体に形成されている。ブラケット部26BK1、26BK2、および、26BK3は、それぞれ、取付用ネジが挿入される孔26aを有している。これにより、モータカバー部材26のモータ収容部内に収容された駆動用モータ25の出力軸25Sは、駆動用モータ25の下部がロアハウジング20の内周部の開口端に近い上部内周部に位置決めされているのでロアハウジング20の中心軸線Cと略同軸上にあることとなる。
【0025】
なお、ブラケット部26BK1、26BK2、および、26BK3の個数は、斯かる例に限られることなく、例えば、2個以下、または4個以上であってもよい。
【0026】
ポンプロータ22は、例えば、樹脂材料で一体に形成され、流体に遠心力を付与する撹拌体を構成する複数の回転羽根22B1および22B2(i=1〜4)と、吸入口20a内に挿入される軸部22Bを下端に有し回転羽根22B1および22B2の下端と一体に形成される円錐台状の支持板22Tと、支持板22Tと一体に形成される円環状の側壁22Wと、を含んで構成されている。
【0027】
支持板22Tは、軸部22Bを下端に有している。軸部22Bは、中心軸線に沿って延びる十字形断面を形成する4個の突起を小羽根として有している。
【0028】
支持板22Tの中央部の貫通孔22aの周辺と連結されるハブ部材22Sが、貫通孔22a内に成形されている。ハブ部材22Sは、駆動用モータ25の出力軸25Sが接続されている。ハブ部材22Sは、軸部22Bの中心軸線と共通の中心軸線上に一体に形成され、上述の貫通孔22aを貫通するように突出している。即ち、ハブ部材22Sは、支持板22Tの支持面に対し略垂直に形成されている。
【0029】
撹拌片としての回転羽根22B1および22B2は、例えば、樹脂材料で支持板22Tと一体に放射状に形成されている。隣接する回転羽根22B1相互間には、回転羽根22B2が所定の間隔をもって形成されている。回転羽根22B1におけるポンプロータ22の半径方向に沿った長さは、回転羽根22B2の対応する長さに比して大に設定されている。
【0030】
なお、ポンプロータ22は、回転羽根22B1および22B2の代わりに、例えば、撹拌片としての複数の串形の突起片が、支持板22Tの貫通孔22aの周囲に所定の間隔で縦横に形成されるように構成されてもよい。
【0031】
斯かる構成において、駆動用モータ25が作動状態の場合、例えば、時計回り方向に、回動されるポンプロータ22による遠心力により、
図1において、矢印の示す方向に沿って吸入口20aから吸い込まれた流体は、ロアハウジング20の内周部および仕切部材24の下端部により形成される空間、即ち、ロータ収容室20A内にポンプロータ22の貫通孔を介して導かれ、吐出管20Jおよびエルボ継ぎ手30の吐出口30Cを通じて矢印の示す方向に沿って外部に吐出される。その際、ロアハウジング20、および、モータカバー部材26が、フック部26NAおよび26NBおよびフック止め部20LAおよび20LBにより、互いに連結され、駆動用モータ25の出力軸25Sの中心軸線とロアハウジング20の中心軸線Cとが共通の直線上にあり、即ち、同心上にあるように、ポンプロータ22がロータ収容室20A内に配置される。これにより、排水ポンプの組立て寸法精度が向上する。また、駆動用モータ25の外周部の下部がロアハウジング20の上部開口端部の内周部により位置決めされることにより、駆動用モータ25の出力軸25Sの中心軸線とロアハウジング20の中心軸線Cとが共通の直線上にあるように配置されるのでポンプロータ22がロータ収容室20A内で安定して回転し、異音の発生に繋がる要因を抑制できる。
【0032】
排水ポンプ10を組み立てるにあたっては、例えば、先ず、モータカバー部材26が駆動用モータ25に取り付けられた後、次に、駆動用モータ25の下端面が仕切部材24のモータ受け部24RAおよび24RBの端部に当接するまで駆動用モータ25の出力軸25Sが仕切部材24の円筒状部24Cの孔24aに挿入される。続いて、ポンプロータ22が駆動用モータ25の出力軸25Sの先端部に接着された後、エルボ継ぎ手30が接続されたロアハウジング20の溝20GにOリング28が装着される。そして、エルボ継ぎ手30を伴うロアハウジング20のフック止め部20LAおよび20LBが、駆動用モータ25、ポンプロータ22および仕切部材24を伴うモータカバー部材26のフック部26NAおよび26NBに対し押し付けられることにより、モータカバー部材26が。ロアハウジング20に連結されるので排水ポンプ10の組み立てが完了する。従って、フック止め部20LAおよび20LBと、フック部26NAおよび26NBとからなる連結手段によって、モータカバー部材26が。ロアハウジング20に連結されることにより、排水ポンプ10の組み立てが完了するので従来の排水ポンプに比して排水ポンプの組み立て作業時間を短縮できる。
【0033】
図6は、本発明に係る排水ポンプの第2実施例の構成の概略図、
図7は、第2実施例の仕切部材の外観を示す斜視図、
図8は、
図7に示される仕切部材の平面図を示す。なお、以下の説明における「上下」の概念は、
図6の図面における上下に対応する。
【0034】
排水ポンプは、
図6に示されるように、吸入口40aを形成する吸入管40Eを中央部下端に有する樹脂製のロアハウジング40と、ロアハウジング40内に回動可能に配される樹脂製のポンプロータ22と、ロアハウジング40の内周部とともにロータ収容室40Aを形成する樹脂製の仕切部材44と、ポンプロータ22を駆動する駆動用モータ25と、駆動用モータ25を覆う樹脂製のモータカバー部材26と、を主な要素として含んで構成されている。なお、
図6において、
図1に示される例における構成要素と同一の構成要素に同一の符合を付して示し、その重複説明を省略する。
【0035】
円筒状のロアハウジング40の下方部分を形成する吸入管40Eの一端は、例えば、空調機内の蒸発器から落下した液体を溜めるドレンパン内(不図示)に配される。ロアハウジング40の下部の内周部は、
図6に示されるように、吸入口40aを中心として漏斗状に広がるように形成されている。また、ロアハウジング40における下部の側壁の吐出管40J内には、上述の吸入口40aの中心軸線に直交する方向に沿って吐出口40bが延びている。吐出管40Jには、エルボ継ぎ手30が接続されている。また、吐出管40Jは、エルボ継ぎ手30の一端の開口に嵌合される接続端部40JEを有している。接続端部40JEの外周部には、Oリング34が取り付けられている。これにより、ロアハウジング40の側壁における吐出管40Jに向き合う位置には、矩形状の戻り水排出口40EXが形成されている。
【0036】
ロアハウジング40における側壁の上端部の外周部には、着脱可能な連結手段の一部を構成する被係止部としての一対のフック止め部(不図示)が、向かい合って一体に形成されている。フック止め部の構成は、
図4に示される例におけるフック止め部20LAおよび20LBの構成と同一の構成を有している。
【0037】
ロアハウジング40の側壁の内周部における下端部には、後述する仕切部材44のOリング支持部44Fが嵌合される段差部が形成されている。仕切部材44のOリング支持部44Fは、
図7に拡大されて示されるように、Oリング28が挿入される環状の溝44Gを有している。これにより、後述する仕切部材44の蓋部44B、および、Oリング支持部44Fが、ロアハウジング40の内周部の開口端周縁、および、段差部に当接されている。
【0038】
仕切部材44は、例えば、
図7に示されるように、樹脂材料で成形され、駆動用モータ25を下方から受け止める一対のモータ受け部44RAおよび44RBと、一対のモータ受け部44RAおよび44RBと一体に形成されロアハウジング40の内周部の開口端を仕切る蓋部44Bと、蓋部44Bの外周縁と一体に形成されOリング28を支持するOリング支持部44Fと、を主な要素として含んで構成されている。蓋部44Bの外周縁部には、環状のOリング支持部44Fが一体に形成されている。蓋部44Bは、
図8および
図9に示されるように、中央部に円筒状部44Cを有している。蓋部44Bと一体に形成される円筒状部44Cは、駆動用モータ25の出力軸25Sが貫通される孔44aを上壁に有している。円筒状部44Cの内側の空間には、駆動用モータ25の出力軸25Sに連結されたポンプロータ22のハブ部材22Sが挿入されている。
【0039】
蓋部44Bは、円筒状部44Cに隣接して一対のモータ受け部44RAおよび44RBを有している。円筒状部44Cにおけるモータ受け部44RA、および、44RBに向き合う側部の一部には、開口部44bが形成されている。これにより、モータ受け部44RAおよび44RBの相互間に形成される空間とロータ収容室40Aとが、開口部44bおよび蓋部44Bの貫通孔44dを介して連通することとなる。
【0040】
モータ受け部44RAおよび44RBは、所定の間隔をもって蓋部44Bの半径方向に互いに離隔し、蓋部44Bの円周方向に沿って所定の円周角をもって延びている。また、モータ受け部44RAおよび44RBは、蓋部44BのOリング支持部44Fの高さよりも高く中心軸線に沿って上方に向けて延びている。モータ受け部44RAおよび44RBの上端の位置(蓋部44Bの表面からの高さ)は、例えば、
図6に示されるように、仕切部材44の蓋部44Bがロアハウジング40の内周部の開口端に配置された場合、受け止められた駆動用モータ25の外周部の一部がロアハウジング40の内周部の上部で位置決めされるように設定される。また、モータ受け部44RAおよび44RBは、消音用ガイド壁としての機能も有する。従って、ロータ収容室40Aは、ロアハウジング40の下部の内周部および仕切部材44の蓋部44Bにより囲まれて形成されることとなる。
【0041】
斯かる構成において、駆動用モータ25が作動状態の場合、例えば、時計回り方向に、回動されるポンプロータ22による遠心力により、
図6において、矢印の示す方向に沿って吸入口40aから吸い込まれた流体は、ロアハウジング40の内周部および仕切部材44の下端部により形成される空間、即ち、ロータ収容室40A内にポンプロータ22の貫通孔を介して導かれ、吐出管40Jおよびエルボ継ぎ手30の吐出口30Cを通じて矢印の示す方向に沿って外部に吐出される。その際、ロアハウジング40、および、モータカバー部材26が、フック部26NAおよび26NBとフック止め部(不図示)とにより、互いに連結され、駆動用モータ25の出力軸25Sの中心軸線とロアハウジング40の中心軸線Cとが略同軸上にあるように、ポンプロータ22がロータ収容室40A内に配置される。これにより、排水ポンプの組立て寸法精度が向上する。また、駆動用モータ25の出力軸25Sの中心軸線とロアハウジング40の中心軸線Cとが共通の直線上にあるように配置されるのでポンプロータ22がロータ収容室40A内で安定して回転し、異音の発生に繋がる要因を抑制できる。加えて、仕切部材44の蓋部44BがOリング支持部44Fを有するので蓋部44Bのロアハウジング40における中心軸線Cに沿った位置が、
図5に示される例における仕切部材24の蓋部24Bの対応する位置に比してロータ収容室40Aからより離隔する方向に設定されていることによって、ロータ収容室40Aの容積がロータ収容室20Aの容積に比して大となり、ポンプロータ22よりも大きなポンプロータを設けることも可能となる。
【0042】
なお、上述の本発明に係る排水ポンプの第1実施例および第2実施例において、ロアハウジングの吐出管は、エルボ継ぎ手に接続されるように構成されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、ロアハウジングの吐出管がストレート継ぎ手に接続されるように構成されてもよい。また、排水ポンプの第1実施例および第2実施例において、連結手段としてフック部およびフック止め部が用いられているが、斯かる例に限られることなく、例えば、モータカバー部材およびロアハウジングが、それぞれ、取付け孔を有するフランジ部を複数箇所に有し、連結ネジにより、モータカバー部材およびロアハウジングが互いに連結されるように構成されてもよい。さらに、本発明に係る排水ポンプの第1実施例および第2実施例が、空調機内で適用されているが、斯かる例に限られることなく、他の装置においても適用されてもよいことは勿論である。