【解決手段】カバー4の閉じ状態で接続部材6が挿入空間S1に挿入されるときに、挿入空間S1への接続部材6の挿入途中位置で、凸部70が接続部材6の一方の面6aの介在部67と当接する。このため、接続部材6が接触部32aから離隔する側に変位されて導体部62と接触部32aとの間に隙間Qが形成される。挿入空間S1への接続部材6の挿入完了位置で、凸部70の少なくとも一部が孔部66に挿入される。このため、カバー4によって接続部材6が接触部32a側に変位されて導体部62と接触部32aとが加圧接触される。
長手方向に延びるフレキシブルな接続部材であって、一方の面に形成され絶縁部から露出して前記長手方向の一端から前記長手方向に延びる導体部と、前記一方の面において前記導体部を避けた位置であって前記一端から介在部を介して前記長手方向に離隔する位置に形成された貫通または非貫通の孔部とを含む接続部材が接続される、コネクタであって、
前記接続部材が前記一端側から挿入方向に挿入される挿入空間と、前記挿入空間への挿入途中位置にある前記接続部材の前記介在部と当接し、前記挿入空間への挿入完了位置にある前記接続部材の前記孔部に少なくとも一部が挿入可能な凸部とを含むコネクタ本体と、
前記コネクタ本体に保持され前記導体部と接触する接触部を含むコンタクトと、
前記接続部材を前記接触部側へ加圧可能な第1状態と前記加圧を解除する第2状態とに変位可能に前記コネクタ本体に支持された加圧部材と、を備え、
前記加圧部材が前記第1状態にあって、且つ、前記加圧部材と前記凸部との間、および前記加圧部材と前記コンタクトとの間に、前記接続部材が未挿入である状態で、前記加圧部材と前記凸部との最小隙間である第1最小隙間が、前記接触部と前記加圧部材との最小隙間である第2最小隙間よりも小さくされている、コネクタ。
請求項1に記載のコネクタにおいて、前記挿入空間への挿入途中位置にある前記接続部材が前記第1状態の加圧部材によって加圧される状態で、前記挿入途中位置の前記接続部材の前記介在部と前記凸部とが当接することにより、前記導体部と前記接触部との間に隙間が形成される、コネクタ。
請求項1または2に記載のコネクタにおいて、前記挿入方向に関して、前記接触部の少なくとも一部の位置が、前記凸部の少なくとも一部の位置と重なっている、コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)および(b)は、本発明の一実施形態に係るコネクタ1の概略斜視図であり、
図1(a)は接続部材6が接続される前の状態を示し、
図1(b)は接続部材6が接続された状態を示している。
図1(a)および(b)を参照して、コネクタ1は、基板10の表面に実装されるコネクタであって、接続部材6と基板10とを接続するためのコネクタである。
【0014】
コネクタ1は、コネクタ本体2と、仕様の異なるコンタクト3A,3B,3Cと、加圧部材としてのカバー4と、一対の補強タブ5とを備える。仕様の異なるコンタクト3A,3B,3Cが、この順で横並びに並んで配置されている。以下では、複数仕様のコンタクト3A〜3Cを総称して言うときは、単にコンタクト3と言う。
まず、
図2(a)〜(f)を参照して、接続部材6について説明する。接続部材6は、FFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)やFPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)などのフレキシブルな平形の接続部材である。本実施形態では、接続部材6がFFCである場合に則して説明する。
【0015】
接続部材6は、当該接続部材6の長手方向Lに延びる絶縁部61と複数の導体部62とを含む。絶縁部61は、接続部材6の厚み方向Tに積層されたベース部63とカバー部64と補強板65と含む。カバー部64は、各導体部62の端部62aが露出するように、ベース部63および各導体部62を覆っている。
補強板65は、ベース部63に対してカバー部64とは反対側に配置されている。補強板65は、ベース部63に対して接続部材6の長手方向Lの一端6eから所定距離までの端部部分に積層され、該端部部分を補強している。
【0016】
図2(a)を参照して、複数の導体部62は、接続部材6の長手方向Lの一端6eから長手方向Lに平行に延びている。
図2(f)も参照して、複数の導体部62は、互いの間に長手方向Lおよび厚み方向Tと直交する幅方向Wに等間隔を隔てて配置されている。
図2(a)に示すように、接続部材6の一方の面6aにおいて導体部62を避けた位置で、
図2(d)に示すように、ベース部63および補強板65を貫通する孔部66が形成されている。
【0017】
図2(a)に示すように、孔部66は、幅方向Wに隣り合う導体部62どうしの間に、例えば1つ置きで配置されている。ただし、孔部66は、幅方向Wに隣接する導体部62どうしの間に、2つ置き以上で配置されてもよい。また、孔部66は、幅方向Wに隣接する導体部62どうし全ての間に、配置されてもよい。また、孔部66は、幅方向Wの両端の導体部62を挟んだ両側に配置される一対の孔部66を含んでいてもよい。
【0018】
接続部材6の一方の面6aにおいて、長手方向Lに関して、接続部材6の一端6eと孔部66との間に、介在部67が介在している。すなわち、孔部66は、接続部材6の一方の面6aにおいて、接続部材6の一端6eから介在部67を介して長手方向Lに離隔する位置に形成されている。介在部67は、絶縁部であるベース部63の一部で形成されている。
【0019】
図1(a)を参照して、接続部材6は一端6e側から、コネクタ本体2に対して挿入方向X1に挿入され、挿入方向X1の反対側である抜脱方向X2に抜脱される。
次いで、
図3(a)〜(c)を参照して、コンタクト3について説明する。コンタクト3は、金属材料製であり、接続部材6の導体部62と同数設けられている。コンタクト3は、固定部31と、接触部32aを含む第1弾性片部32と、カバー4を付勢する第2弾性片部33と、リード部34aを含む接続片部34とを備える。
【0020】
固定部31は、略矩形板状に形成されており、コネクタ本体2に圧入固定される。具体的には、固定部31は圧入によりコネクタ本体2に係止される係止突起31aを有している。第1弾性片部32は、固定部31から挿入方向X1の反対側である抜脱方向X2に向けて片持ち状に延設されている。接触部32aは、第1弾性片部32の先端部に配置されて第2弾性片部33側に突出する1ないし複数の山形部により形成されている。
【0021】
第2弾性片部33は、固定部31から第1弾性片部32と略平行に抜脱方向X2に向けて延設されている。第2弾性片部33の先端部33aが、第1状態(閉じ状態)にあるカバー4を接続部材6側に押圧付勢する。
リード部34aは、基板の導体部分(図示せず)と接続される。接続片部34は、固定部31から基板側へ延びる第1部分34bと、第1部分34bの延設端部34cから抜脱方向X2へ向けて延設された第2部分34dと、第3部分34eとを含む。第3部分34eの延設端部によって、リード部34aが形成されている。
【0022】
コンタクト3Aの第2部分34dの長さは、コンタクト3B,3Cの第2部分34dの長さの略2倍とされている。コンタクト3A,3Bでは、第3部分34eが、第2部分34dの延設端部34fから基板側に向けて直交状に延設されている。コンタクト3Cでは、第3部分34eが、第2部分34dに対して直交配置された状態で第1部分34bの延設端部34cから基板側へ延設さている。
【0023】
これにより、挿入方向X1(ないし抜脱方向X2)に関して、コンタクト3A〜3Cの各リード部34aの位置関係は、下記である。すなわち、コンタクト3Aのリード部34aが、最も抜脱方向X2側に配置され、コンタクト3Cのリード部34aが最も挿入方向X1側に配置される。また、コンタクト3Bのリード部34aは、挿入方向X1に関して、コンタクト3Aのリード部34aとコンタクト3Cのリード部34aとの中間部に配置される。
【0024】
次いで、コネクタ本体2について説明する。
図4(a)は、コネクタ本体2およびカバー4の分解斜視図である。
図5(a)および
図5(b)は、カバー4が閉じ位置にある状態のコネクタ1の側断面図である。
図6(a)は、カバー4が開放位置にある状態のコネクタ1の側断面図である。
図4(a)に示すように、コネクタ本体2は、絶縁材料により形成されている。コネクタ本体2は、底壁部21と、天壁部22と、一対の後側側壁部23と、複数の仕切り壁部24と、一対の前側側壁部25と、一対の保持壁部26とを含む。
【0025】
図5(a)に示すように、底壁部21は、挿入方向X1に関して天壁部22よりも長く形成されている。底壁部21は、天壁部22に対向する後側部分21aと、天壁部22よりも前側(抜脱方向X2側)に突出する前側部分21bとを含む。底壁部21の前側部分21bの上方に開放部27が形成されている。
図5(a)および
図6(a)に示すように、開放部27は、カバー4の回動によって開閉される。
【0026】
図4(a)に示すように、一対の後側側壁部23は、天壁部22の両側部と底壁部21の後側部分21aの両側部とを連結する。複数の仕切り壁部24は、互いの間にコンタクト固定孔28を区画する。具体的には、コンタクト固定孔28は、天壁部22と、底壁部21と、隣合う一対の仕切り壁部24とによって区画される。
図5(a)に示すように、コンタクト固定孔28には、コンタクト3の固定部31、第1弾性片部32の一部および第2弾性片部33の一部が収容される。コンタクト3の固定部31は、コンタクト固定孔28内において天壁部22と底壁部21の間に圧入固定される。コンタクト固定孔28は、開放部27側と連通されており、第1弾性片部32および第2弾性片部33は、コンタクト固定孔28から開放部27側へ突出されている。
【0027】
図4(a)に示すように、一対の前側側壁部25は、底壁部21の前側部分21bの両側部から立ち上がり状に延設されている。一対の保持壁部26は、一対の前側側壁部25の延設端25aから互いに近づくように内向きに突出している。
図5(a)に示すように、コネクタ本体2には、底壁部21の後側部分21a上に、接続部材6が一端6e側から挿入される挿入空間S1が形成されている。各コンタクト固定孔28は、挿入空間S1と連通されている。また、閉じ位置にあるカバー4と底壁部21との間に、挿入空間S1への挿入路S2が区画形成される。
【0028】
底壁部21は、基板側の底壁部外面21cと、カバー4側の底壁部内面21dとを含む。底壁部21の底壁部内面21dには、挿入方向X1(長手方向Lに一致)に平行に延びる複数の弾性片部収容溝29が形成されている。各弾性片部収容溝29は、挿入路S2および挿入空間S1に臨んでいる。各弾性片部収容溝29に、対応するコンタクト3の第1弾性片部32が、収容され保持される。第1弾性片部32の無負荷状態で、接触部32aは、底壁部内面21dから挿入空間S1ないし挿入路S2へ突出している。
【0029】
図4(a)に示すように、底壁部21の底壁部内面21dにおいて、隣り合う弾性片部収容溝29の間に、ブロック状の凸部70が形成されている。
図5(a)に示すように、挿入方向X1に関して、凸部70の少なくとも一部の位置と、接触部32aの少なくとも一部の位置とが重なっている。
図5(b)に示すように、凸部70は、前壁面である傾斜部71と、底壁部内面21dと平行な平坦面からなる頂部72と、底壁部内面21dに対して直交する後壁面73と、頂部72と後壁面73との間に形成されたコーナ部74とを含む。
【0030】
傾斜部71は、挿入方向X1に向かうにしたがって底壁部内面21dから突出するように傾斜し、頂部72と接続されている。接続部材6が一端6e側から挿入路S2を介して挿入されるときに、傾斜部71は、一端6eと当接して該一端6eを閉じ状態のカバー4と凸部70の頂部72との間に案内する機能を果たす。
図8(a)に示すように、挿入空間S1への接続部材6の挿入完了位置で、凸部70が接続部材6の孔部66内に挿入され、且つ凸部70の後壁面73が孔部66の内周面と対向する。この状態で接続部材6が抜脱方向X2に抜かれようとすると、後壁面73が孔部66の内周面と当接することにより、接続部材6が抜け止めされる。コーナ部74は、頂部72と後壁面73とを接続する断面凸湾曲状の部分である。
【0031】
図5(a)に示すように、底壁部内面21dからの突出量としては、凸部70(の頂部72)の突出量が、無負荷状態の第1弾性片部32の接触部32a(の頂部)の突出量よりも大きくされている。
底壁部21の底壁部外面21cに、凹部21eが形成されている。凹部21eには、各コンタクト3の接続片部34の第2部分34dが収容保持される接続片部収容溝21fが形成されている。
【0032】
次いで、
図4(a)を参照して、カバー4について説明する。カバー4は、カバー本体41と、一対の支軸42aを含む一対の軸部42と、一対の係合部43aを含む一対の突起部43とを含む。
カバー本体41は、幅方向Wに長い矩形板状をなす。カバー本体41は、矩形の長辺部である基端部41aおよび先端部41bと、加圧部41cを含む内面41d[
図5(a)も参照]と、外面41eと、一対の側面41fとを含む。
【0033】
図4(a)に示すように、一対の軸部42は、カバー本体41の基端部41aにおける両側面41fから幅方向Wの両側に突出している。各軸部42の先端部に、円柱軸からなる支軸42aが形成されている。
図1(a)、
図4(a)および(b)に示すように、各支軸42aが、コネクタ本体2の対応する後側側壁部23の保持溝23aの内面、および対応する補強タブ5の保持溝5aの内面により支持されている。
【0034】
カバー4は、両保持溝23a,5aの内面によって構成される回動支持部RSによって、支軸42aを介して、閉じ状態(第1状態)と開放状態(第2状態)とに回動可能に支持される。カバー4は、回動に伴って、コネクタ本体2の開放部27を開閉する。
また、回動支持部RSは、支軸42aを挿入方向X1および幅方向Wと直交する方向(底壁部内面21dと直交する方向)に所定量、変位できるように、
図4(b)に示される遊びを設けて支持している。
【0035】
カバー4のカバー本体41は、回動に伴って、コネクタ本体2の底壁部21と略平行になる閉じ状態で開放部27を閉じる。カバー4によって開放部27が閉じられた状態で、カバー本体41と底壁部21との間に、挿入路S2が形成される。また、
図6(a)に示すように、カバー4のカバー本体41は、コネクタ本体2の底壁部21から起立する開放状態で開放部27を開放させる。
【0036】
図5(a)に示すように、カバー本体41の内面41dは、閉じ状態で底壁部21の前側部分21bと対向する面である。加圧部41cは、基端部41aにおける内面41dに配置されている。加圧部41cは、カバー4の閉じ状態で、コネクタ本体2の凸部70およびコンタクト3の接触部32aと対向し、接続部材6を凸部70側および接触部32a側に加圧する機能を果たす。
【0037】
また、
図6(a)および(b)に示すように、カバー本体41の基端部41aは、内面41dと外面41eとを接続する基端面で構成される加圧解除部41hを含む。加圧解除部41hは、加圧解除部41hは、カバー4の開放状態で、コネクタ本体2の凸部70およびコンタクト3の接触部32aと対向し、凸部70側および接触部32a側への接続部材6の加圧を解除する[
図9(a)も参照]。
【0038】
カバー4の加圧動作と加圧解除動作を可能にするべく、
図6(b)に示すように、カバー4の側面視で、支軸42aの中心軸線C1と加圧部41cとの距離K1が、支軸42aの中心軸線C1と加圧解除部41hとの距離K2よりも大きくされている(K1>K2)。
図1(a)、
図5(a)および
図6(a)に示すように、カバー本体41の基端部41aは、受け部41jと、挿通孔41kとを含む。受け部41jは、カバー本体41の基端部41aにおいて、外面41eに設けられる。
図5(a)に示すように、受け部41jは、カバー4の閉じ状態でコンタクト3の第2弾性片部33の先端部33aを受ける。第2弾性片部33は、受け部41jを介して、閉じ状態のカバー4のカバー本体41の加圧部41cを接続部材6側に付勢する機能を果たす。
【0039】
図1(a)に示すように、挿通孔41kは、基端部41aにおいて、受け部41jの先端部41b側に隣接して設けられている。
図6(a)に示すように、挿通孔41kには、カバー4の開放状態で、第2弾性片部33の先端部33aが挿入される。第2弾性片部33の先端部33aが挿通孔41kに挿通された状態で、挿通孔41kは、挿通孔41kの内面と先端部33aとの当接を回避する逃げ孔として機能する。
【0040】
図4(a)に示すように、コネクタ本体2の一対の保持壁部26の対向面26aには、カバー4を閉じ状態に保持するためのロック部26b[
図4(a)では、一方のロック部26bのみを示す]が設けられている。
各ロック部26bが、カバー4の対応する突起部43の係合部43aと係合することにより、カバー4が閉じ状態に所定の保持力で保持される。ロック部26bおよび係合部43aは、カバー4の開閉時に、互いに他を乗り越え可能な一対の凸部により構成されてもよい。ロック部26bは、閉じ状態のカバー4が、接触部32a側(凸部70側)から離間する方向に所定量、変位されることを許容する位置に配置されている。
【0041】
図4(a)に示すように、補強タブ5[
図4(a)では、一方の補強タブ5のみを示す]は、本体部51と、第1固定部52と、第2固定部53とを含む。本体部51は、コネクタ本体2の前側側壁部25の外側面に沿わされる例えば矩形板状の部分である。本体部51の後縁部51aの上部に、カバー4の支軸42aが嵌められる保持溝5aが形成されている。
【0042】
第1固定部52は、保持溝5aの下方において本体部51の後縁部51aから後方(挿入方向X1)へ延設された片部である。第1固定部52は、コネクタ本体2の後側側壁部23に設けられた固定孔23bに前側から圧入固定されている。第2固定部53は、本体部51の下縁部51bから下方の基板10側へ延設された片部であって、基板10に挿通固定される片部である。
【0043】
図5(a)および(b)に示すように、カバー4が閉じ状態にあって、且つ、カバー4(加圧部材)とコネクタ本体2の凸部70との間、およびカバー4とコンタクト3の接触部32aとの間に、接続部材6が未挿入の状態で、カバー4(加圧部41c)とコネクタ本体2の凸部70との最小隙間である第1最小隙間E1[
図5(b)を参照]が、接触部32aとカバー4(加圧部41c)との最小隙間である第2最小隙間E2[
図5(a)を参照]よりも小さくされている。すなわち、下記式(1)が成立する。
【0044】
E1<E2 …(1)
図5(b)に示すように、第1最小隙間E1は、閉じ状態のカバー4と凸部70とで挟持される接続部材6の部分の厚み(ベース部63と補強板65との合計厚みt1に相当)よりも小さくされている。すなわち、下記式(2)が成立する。
t1>E1 …(2)
図5(a)に示すように、第2最小隙間E2は、閉じ状態のカバー4と接触部32aとで挟持される接続部材6の部分の厚み(ベース部63と導体部62と補強板65との合計厚みt2に相当)よりも小さくされている。すなわち、下記式(3)が成立する。
【0045】
E2>t2 …(3)
式(2)、(3)から、下記式(4)が成立する。
t1+E2>E1+t2 …(4)
式(4)から、下記式(5)が成立する。
E2−E1>t2−t1 …(5)
一方、
図2(f)を参照して、合計厚みt1と合計厚みt2の差分が、導体部62の厚みt3に相当する。すなわち、下記式(6)が成立する。
【0046】
t3=t2−t1 …(6)
式(5)、(6)から、下記式(7)が成立する。
E2−E1>t3 …(7)
すなわち、第2最小隙間E2と第1最小隙間E1との差分(E2−E1)が、導体部62の厚みt3よりも大きい。換言すると、底壁部内面21dからの突出高さに関して、凸部70の頂部72の突出高さから、接触部32aの突出高を減じた差分が、導体部62の厚みt3よりも大きくされている。
【0047】
本実施形態によれば、カバー4(加圧部材)の閉じ状態で、接続部材6が一端6e側から挿入方向X1にそってコネクタ本体2の挿入空間S1に挿入される。この挿入に際して、
図7(a)に示すように、挿入空間S1への接続部材6の挿入途中位置で、コネクタ本体2の凸部70が、接続部材6の一方の面6aにおけるベース部63の介在部67と当接する。
【0048】
このため、
図7(b)に示すように、挿入途中位置の接続部材6が、コンタクト3の接触部32aから離隔する側に変位されて、接続部材6の導体部62と接触部32aとの間に、隙間Q[
図7(c)を参照]が形成される。これにより、導体部62と接触部32aとの加圧接触が回避される。すなわち、接続部材6の挿入時の導体部62の削れの発生が抑制される。
【0049】
また、接続部材6の挿入に際して、
図8(a)に示すように、挿入空間S1への接続部材6の挿入完了位置で、凸部70の少なくとも一部が、接続部材6の孔部66に挿入される。このため、
図8(b)に示すように、カバー4側からの加圧付勢によって接続部材6が接触部32a側に変位されることが許容され、接続部材6の導体部62と接触部32aとが加圧接触される。このように、接続部材6の挿入の一動作で接続部材6の装着作業(コネクタ1への接続作業)が達成され且つ導体部62の削れの発生が抑制される。
【0050】
本実施形態では、カバー4が閉じ状態にあって、且つ、カバー4と凸部70との間、およびカバー4とコンタクト3との間に、接続部材6が未挿入である状態で、カバー4(加圧部41c)とコネクタ本体2の凸部70との最小隙間である第1最小隙間E1が、カバー4(加圧部41c)とコンタクト3の接触部32aとの最小隙間である第2最小隙間E2よりも小さくされている[E1<E2。式(1)を参照]。また、第2最小隙間E2と第1最小隙間E1との差分E2−E1が、導体部62の厚みt3よりも大きくされている[E2−E1>t3。式(7)を参照]。このため、
図7(c)に示すように、接続部材の挿入途中位置において、導体部62と接触部32aとの間に隙間Qが形成されて、導体部62と接触部32aとの間の加圧接触が抑制される。これにより、導体部62の削れの発生が確実に防止される。
【0051】
ただし、第2最小隙間E2と第1最小隙間E1との差分(E2−E1)が、導体部62の厚みと同等とされる場合(E2−E1≒t3の場合)にも、接続部材6の挿入途中位置における導体部62と接触部32aとの加圧接触を抑制して、導体部62の削れの発生を抑制することができる。
また、
図5(a)に示すように、挿入方向X1に関して、コネクタ本体2の凸部70の少なくとも一部の位置と、コンタクト3の接触部32aの少なくとも一部の位置とが重なっている。このため、
図7(a)に示すように、挿入途中位置の接続部材6の介在部67とコネクタ本体2の凸部70との当接によって、接触部32aと導体部62との距離を拡大し易くなる。したがって、導体部62の削れを抑制し易い。
【0052】
また、コンタクト3が、接触部32aを接続部材6側へ弾性的に付勢する付勢部(第1弾性片部32)を有している。このため、
図9(a)に示すように、カバー4が開放状態に変位されて、挿入完了位置にある接続部材6に対するカバー4側からの加圧が解除されることにより、コンタクト3の第1弾性片部32の付勢力によって、
図9(b)に示すように、接続部材6が孔部66が凸部70から離脱される側へ変位されることが許容される。このため、接続部材6をコネクタ本体2から抜脱方向X2へ容易に抜き出すことができる。
【0053】
通例、カバー4の開放状態で、接続部材6が抜脱されるときは、基板10から離れる側へ接続部材6が引っ張られる。このため、
図9(b)に示すように、凸部70が若干量、孔部66内に挿入された状態にあっても、接続部材6をコネクタ本体2から抜脱方向X2へ容易に抜き出すことができる。また、カバー4の開放状態における、接続部材6の抜脱時に、孔部66の縁部66aが、凸部70の断面凸湾曲状のコーナ部74と当接することにより、接続部材6が抜脱され易くなっている。
【0054】
また、加圧部材が開放部27を開放させるカバー4で形成され、
図7(b)に示すように、カバー4が、閉じ状態で接触部32a側およびその反対側に変位可能とされている。具体的には、
図1(a)に示すように、カバー4の支軸42aが、回動支持部RSによって、挿入方向X1および幅方向Wと直交する方向Y(底壁部内面21dと直交する方向に相当)に変位可能に支持されている。また、
図7(b)に示すように、閉じ状態のカバー4を接触部32a側へ弾性的に付勢する第2弾性片部33(付勢要素)が備えられている。このため、接続部材6が挿脱されるときに、閉じ状態のカバー4が、第2弾性片部33によって弾性的に付勢された状態で、接触部32a側とその反対側とに変位される。このため、接続部材6の挿脱をスムーズに行うことができる。
【0055】
また、凸部70が、可動側であるカバー4ではなく、固定側であるコネクタ本体2に設けられているため、各凸部70の位置精度が良い。このため、接続部材6の挿入時に、各凸部70を接続部材6の対応する介在部67に位置精度良く当接させることができる。したがって、接続部材6の挿入時に、凸部70と導体部62との干渉が防止されるので、凸部70によって導体部62が削られるおそれがない。
【0056】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、図示していないが、接続部材6の孔部66として、接続部材6の一の面6aに非貫通の孔部が用いられてもよい。
また、図示していないが、加圧部材として、回動されるカバーに代えて、コネクタ本体2に対して挿入方向X1に接続部材6とともにスライド可能に装着されるスライダであって、接続部材6とともに挿入される一動作で、コネクタ本体2に装着されるスライダが用いられてもよい。
【0057】
また、図示していないが、接続部材として、FPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)が用いられてもよい。その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。