【解決手段】本発明による容器連結装置は、放射線透過性を有するキャップが先端に取り付けられたニードルと、キャップ取外部と、第1アクチュエータと、を備えている。キャップ取外部およびキャップは、ニードルが前進する際、ヘッドが第1外部から貫通孔を通過して第2外部に達することができ、ニードルが後退する際、第2外部に位置付けられたヘッドを含むキャップを係止して、キャップからニードルを引き抜くことができる、ように構成されている。第1アクチュエータは、ヘッドが第2外部に達するまでニードルを前進させ、その後にニードルを後退させる。
前記キャップ取外部は、前記ニードルが前進する際、前記ヘッドが通過可能となるように、前記中心軸線に対して直交する方向において外側に弾性変形可能に構成されている、請求項1に記載の容器連結装置。
前記キャップ取外部の前記第2外部の側の端部は、前記ニードルが後退する際に前記キャップの前記ヘッドが当接するように構成されている、請求項2または3に記載の容器連結装置。
前記キャップは、前記ニードルが前進する際、前記ヘッドが通過可能となるように、前記中心軸線に対して直交する方向において内側に弾性変形可能に構成されている、請求項1に記載の容器連結装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、培養処理システムを例にとって本発明の実施の形態による容器連結装置について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示の理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0025】
各実施の形態による培養処理システムおよび培養処理方法は、あらゆる細胞を培養するために用いることができ、(ヒト)iPS細胞、(ヒト)ES細胞等の多能性幹細胞、骨髄間質細胞(MSC)等の軟骨細胞、樹状細胞等、あるいは血液細胞等の浮遊性細胞等の様々な細胞を培養する際に用いることができる。各実施の形態では、以下、iPS細胞を培養する用途を主に想定して説明するが、これはあくまでも一例である。
【0026】
(第1の実施の形態)
まず、
図1〜
図21を参照して、本発明の第1の実施の形態における容器連結装置および容器連結装置の組立方法について説明する。ここでは、まず、容器連結装置としての培養容器連結装置を備える培養処理システムの概略構成を説明する。培養処理システムは、例えば
図2および
図3に示す閉鎖系の培養容器に対して細胞懸濁液を自動で供給および排出させるためのシステムである。
【0027】
図1に示すように、培養処理システム1は、細胞を培養するための培養容器100が連結される培養容器連結装置2と、培養容器100に各種の液体を供給するとともに培養容器100から各種の液体を排出する液給排装置32と、を備えている。このうち培養容器連結装置2は、液給排装置32を培養容器100に連結するためのものである。本実施の形態では、液給排装置32は、押出流体供給源3と、培地供給源4と、ドレンタンク5と、PBS供給源6と、剥離剤供給源7と、を備えている。液給排装置32は、種々の液体を供給および排出するように構成されている。そのような液体の例としては、例えば、以下に説明する細胞懸濁液、PBS、剥離剤、培地などが挙げられる。
【0028】
培養容器連結装置2は、培養容器100を取り外し可能に保持する容器保持部40と、容器保持部40に保持される培養容器100にそれぞれ連結可能な3つのニードル装置41X、41Y、41Zと、を有している。このうち容器保持部40は、培養容器100が載置されるように構成されており、培養容器100が後述するニードルの進退方向や、進退方向に直交する方向への移動が規制されるように構成されている。3つのニードル装置は、第1ニードル装置41Xと、第2ニードル装置41Yと、第3ニードル装置41Zにより構成されている。各ニードル装置41X、41Y、41Zは、上方から見たときに直線状に整列して配置されている。
【0029】
本実施の形態では、容器保持部40は、第1ニードル装置41Xに対向する第1ニードル対向位置N1と、第2ニードル装置41Yに対向する第2ニードル対向位置N2と、第3ニードル装置41Zに対向する第3ニードル対向位置N3とに、移動可能になっている。容器保持部40は、移動機構部43(
図4参照)によって各位置N1、N2、N3に移動可能になっている。移動機構部43の詳細については、後述する。
【0030】
第1ニードル装置41Xは、第1ニードル対向位置N1に位置付けられた容器保持部40に保持される培養容器100に進退可能な第1入口ニードル41Xaおよび第1出口ニードル41Xbを有している。第2ニードル装置41Yは、第2ニードル対向位置N2に位置付けられた容器保持部40に保持される培養容器100に進退可能な第2入口ニードル41Yaおよび第2出口ニードル41Ybを有している。第3ニードル装置41Zは、第3ニードル対向位置N3に位置付けられた容器保持部40に保持される培養容器100に進退可能な第3入口ニードル41Zaおよび第3出口ニードル41Zbを有している。
【0031】
第1ニードル装置41Xの第1入口ニードル41Xaおよび第1出口ニードル41Xbは、第1ニードル対向位置N1に位置付けられた培養容器100に進退可能になっている。第1入口ニードル41Xaが培養容器100の流入口103(
図2参照)に挿入されるとともに、第1出口ニードル41Xbが培養容器100の流出口105(
図2参照)に挿入れると、第1ニードル装置41Xが培養容器100に連結される。同様に、第2ニードル装置41Yの第2入口ニードル41Yaおよび第2出口ニードル41Ybは、第2ニードル対向位置N2に位置付けられた培養容器100に進退可能になっている。第2入口ニードル41Yaが培養容器100の流入口103に挿入されるとともに、第2出口ニードル41Ybが培養容器100の流出口105に挿入されると、第2ニードル装置41Yが培養容器100に連結される。第3ニードル装置41Zの第3入口ニードル41Zaおよび第3出口ニードル41Zbは、第3ニードル対向位置N3に位置付けられた培養容器100に進退可能になっている。第3入口ニードル41Zaが培養容器100の流入口103に挿入されるとともに、第3出口ニードル41Zbが培養容器100の流出口105に挿入されると、第3ニードル装置41Zが培養容器100に連結される。
【0032】
まず、第1ニードル装置41Xに連結された系統について説明する。第1ニードル装置41Xは、主として、培養容器100内の細胞懸濁液を排出するために用いられる。
【0033】
第1ニードル装置41Xの第1入口ニードル41Xaには、上述した押出流体供給源3が連結されている。この押出流体供給源3は、培養容器100内の細胞懸濁液を押し出して流出させるための押出流体を培養容器100内に供給するためのものである。押出流体としては、例えば、後述するサーマルチャンバ28内の空気などの気体を用いることが好適である。以下の説明では、押出流体供給源3は、当該空気を供給するものとして説明するが、押出流体は、このような空気に限られることはなく、さらには気体ではなくて液体であってもよい。
【0034】
第1入口ニードル41Xaと押出流体供給源3との間には、第1三方弁8が介在されている。第1三方弁8には、押出用バッファタンク9が連結されている。押出用バッファタンク9には、上述した培地供給源4が連結されている。この培地供給源4は、培地ポンプ10が駆動されることによって、押出用バッファタンク9に培地を供給し、押出用バッファタンク9は、供給された培地を貯留する。
【0035】
第1入口ニードル41Xaと第1三方弁8とは、第1入口ライン11によって連結されている。この第1入口ライン11に、押出ポンプ12(供給駆動部)が設けられている。第1三方弁8によって第1入口ライン11と押出流体供給源3とが連通するとともに押出ポンプ12が駆動されることによって、押出流体供給源3から第1入口ニードル41Xaを介して培養容器100内に空気が供給されるようになっている。一方、第1三方弁8によって第1入口ライン11と押出用バッファタンク9とが連通するとともに押出ポンプ12が駆動されることによって、押出用バッファタンク9から第1入口ニードル41Xaを介して培養容器100内に培地が供給されるようになっている。
【0036】
第1出口ニードル41Xbには、第1出口ライン13を介して懸濁液用バッファタンク14が連結されている。この懸濁液用バッファタンク14は、第1ニードル装置41Xに連結された培養容器100内の細胞懸濁液を貯留するためのものである。懸濁液用バッファタンク14には、上述した培地供給源4が連結されている。培地ポンプ10が駆動されることによって、培地供給源4から懸濁液用バッファタンク14にも培地が供給されるようになっている。なお、懸濁液用バッファタンク14は、貯留した細胞懸濁液を撹拌可能に構成されている。撹拌するための構成は、コンタミネーションを抑制可能であれば特に限られることはない。
【0037】
ところで、押出流体供給源3と第1三方弁8との間には、押出流体開閉弁V1が介在されている。この押出流体開閉弁V1は、押出流体供給源3から第1三方弁8への押出流体の供給を制御している。押出用バッファタンク9と第1三方弁8との間には、第1培地開閉弁V2が介在されている。この第1培地開閉弁V2は、押出用バッファタンク9から第1三方弁8への培地の供給を制御している。第1出口ライン13には、第1懸濁液開閉弁V3が設けられている。この第1懸濁液開閉弁V3は、第1出口ニードル41Xbから懸濁液用バッファタンク14への細胞懸濁液の排出を制御している。
【0038】
このような構成により、第1ニードル対向位置N1に位置付けられた容器保持部40に保持された培養容器100に第1ニードル装置41Xが連結されると、培養容器100内の細胞懸濁液が、第1出口ニードル41Xbを介して懸濁液用バッファタンク14に排出される。この場合、第1三方弁8が、押出流体供給源3を第1入口ライン11に連通させ、押出ポンプ12が駆動される。そして、押出流体開閉弁V1および第1懸濁液開閉弁V3が開く。押出ポンプ12の駆動によって、押出流体供給源3から第1入口ライン11を介して第1入口ニードル41Xaに押出流体が供給され、供給された押出流体が培養容器100内に流入される。この流入した押出流体によって培養容器100内の細胞懸濁液が押し出されて流出し、第1出口ニードル41Xbから第1出口ライン13を介して懸濁液用バッファタンク14に排出される。
【0039】
次に、第2ニードル装置41Yに連結された系統について説明する。第2ニードル装置41Yは、主として、培養容器100内に細胞懸濁液を供給するために用いられる。
【0040】
第2入口ニードル41Yaには、第2入口ライン15を介して上述した懸濁液用バッファタンク14が連結されている。この懸濁液用バッファタンク14に貯留された細胞懸濁液が、第2入口ニードル41Yaに供給されるようになっている。
【0041】
第2出口ニードル41Ybには、第2出口ライン16を介して、上述したドレンタンク5(ドレン部)が連結されている。より具体的には、第2出口ライン16とドレンタンク5との間には、第2三方弁17が介在されており、第2出口ライン16は、第2出口ニードル41Ybと第2三方弁17とを連結している。第3三方弁23には、後述する第3出口ニードル41Zbも連結されている。
【0042】
第2三方弁17とドレンタンク5とは、ドレンライン18によって連結されている。このドレンライン18に、ドレンポンプ19(排出駆動部)が設けられている。第2三方弁17によって第2出口ライン16とドレンライン18とが連通するとともにドレンポンプ19が駆動されることによって、第2出口ニードル41Ybを介して培養容器100内の流体がドレンタンク5に排出されるようになっている。
【0043】
ところで、第2入口ライン15には、第2懸濁液開閉弁V4が設けられている。この第2懸濁液開閉弁V4は、懸濁液用バッファタンク14から第2入口ニードル41Yaへの細胞懸濁液の供給を制御している。ドレンライン18に、ドレン開閉弁V5が設けられている。このドレン開閉弁V5は、第2三方弁17からドレンタンク5への流体の排出を制御している。
【0044】
このような構成により、第2ニードル対向位置N2に位置付けられた容器保持部40に保持された培養容器100に第2ニードル装置41Yが連結されると、懸濁液用バッファタンク14内の細胞懸濁液が、第2入口ニードル41Yaを介して培養容器100に供給される。この場合、第2三方弁17が、第2出口ライン16をドレンライン18に連通させ、ドレンポンプ19が駆動される。そして、第2懸濁液開閉弁V4およびドレン開閉弁V5が開く。ドレンポンプ19の駆動によって、培養容器100内の流体が流出され、第2出口ニードル41Ybから第2出口ライン16およびドレンライン18を介してドレンタンク5に排出される。この排出された流体によって、懸濁液用バッファタンク14内の細胞懸濁液が、培養容器100内に引き込まれる。すなわち、懸濁液用バッファタンク14内の細胞懸濁液が、第2入口ライン15を介して第2入口ニードル41Yaに供給され、培養容器100内に流入される。
【0045】
次に、第3ニードル装置41Zに連結された系統について説明する。第3ニードル装置41Zは、主として、培養容器100内に各種処理液を供給するために用いられる。ここでは、処理液の例として、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、剥離剤(Enzyme)および培地が、第3ニードル装置41Zを介して培養容器100に供給される例について説明する。
【0046】
第3入口ニードル41Zaには、第3入口ライン20を介して処理液用バッファタンク21が連結されている。この処理液用バッファタンク21は、第3ニードル装置41Zに連結された培養容器100に供給される各種処理液を貯留させるためのものである。
【0047】
処理液用バッファタンク21には、上述したPBS供給源6が連結されている。処理液ポンプ22によって、PBS供給源6から処理液用バッファタンク21にPBSが供給されるようになっている。また、処理液用バッファタンク21には、上述した剥離剤供給源7が連結されており、処理液ポンプ22が駆動されることによって、剥離剤供給源7から処理液用バッファタンク21に剥離剤が供給されるようにもなっている。さらに、処理液用バッファタンク21には、上述した培地供給源4が連結されており、培地ポンプ10が駆動されることによって、培地供給源4から処理液用バッファタンク21に培地が供給されるようになっている。
【0048】
これらのPBS供給源6、剥離剤供給源7および培地供給源4は、第3三方弁23および第4三方弁24によって処理液用バッファタンク21に選択的に連結されるようになっている。すなわち、処理液用バッファタンク21と、PBS供給源6との間に、第3三方弁23および第4三方弁24が介在されている。第3三方弁23が、PBS供給源6の側に設けられ、第4三方弁24が、処理液用バッファタンク21の側に設けられている。第3三方弁23には、剥離剤供給源7が連結されており、この第3三方弁23によって、PBSと剥離剤とが、第4三方弁24に選択的に供給されるようになっている。処理液ポンプ22は、第3三方弁23と第4三方弁24との間に介在されている。
【0049】
培地供給源4は、第3三方弁23を介在することなく、第4三方弁24に連結されている。この第4三方弁24によって、第3三方弁23から供給される処理液(PBSまたは剥離剤)と、培地とが、処理液用バッファタンク21に選択的に供給されるようになっている。なお、培地供給源4と第4三方弁24との間には、培地切替弁25が設けられている。この培地切替弁25は、培地の供給先を、第4三方弁24と、押出用バッファタンク9と、懸濁液用バッファタンク14とに、切り替え可能に構成されている。
【0050】
第3出口ニードル41Zbには、第3出口ライン26を介して、上述したドレンタンク5が連結されている。より具体的には、第3出口ライン26は、第3出口ニードル41Zbと、上述した第2三方弁17とを連結している。第2三方弁17によって第3出口ライン26とドレンライン18とが連通するとともにドレンライン18に設けられたドレンポンプ19が駆動されることによって、第3出口ニードル41Zbを介して培養容器100内の流体がドレンタンク5に排出されるようになっている。
【0051】
ところで、第3ラインには、処理液開閉弁V6が設けられている。この処理液開閉弁V6は、処理液用バッファタンク21から第3入口ニードル41Zaへの処理液の供給を制御している。
【0052】
このような構成により、第3ニードル対向位置N3に位置付けられた容器保持部40に保持された培養容器100に第3ニードル装置41Zが連結されると、処理液用バッファタンク21内の処理液が、第3入口ニードル41Zaを介して培養容器100に供給される。この場合、第2三方弁17が、第3出口ライン26をドレンライン18に連通させ、ドレンポンプ19が駆動される。そして、処理液開閉弁V6が開く。ドレンポンプ19の駆動によって、培養容器100内の流体が第3出口ニードル41Zb、第3出口ライン26およびドレンライン18を介してドレンタンク5に排出される。この排出された流体によって、処理液用バッファタンク21内の処理液が、培養容器100内に引き込まれる。すなわち、処理液用バッファタンク21内の処理液が、第3入口ライン20を介して第3入口ニードル41Zaに供給され、培養容器100内に流入される。
【0053】
本実施の形態による培養処理システム1においては、例えば、細胞が播種されている培養容器100に、第3ニードル装置41Zを介して、PBS、剥離剤、培地をこの順に供給して超音波振動を付与することができる。このことにより、培養容器100の内壁に付着していた細胞を剥離させることができる。続いて、細胞が剥離された細胞懸濁液を、この培養容器100から第1ニードル装置41Xを介して懸濁液用バッファタンク14に排出して培地で希釈することができる。その後、この希釈された細胞懸濁液を、第2ニードル装置41Yを介して新たな他の培養容器100に供給することができる。このことにより、この新たな培養容器100に細胞を播種させることができる。
【0054】
本実施の形態では、上述した各三方弁8、17、23、24は、ロータリーバルブとして構成されている。ロータリーバルブは、回転式の弁体を含んでおり、この弁体に、連通路が設けられている。弁体が回転することにより、この連通路が、3つのポートのうちの2つのポートを連通させるように構成されている。上述した培地切替弁25は、4つのポートが設けられているが、三方弁8、17、23、24と同様に構成されている。
【0055】
また、上述した各開閉弁V1〜V6は、ピンチバルブとして構成されている。このピンチバルブは、流体が通流するチューブを外側から閉塞可能に構成されている。閉じる際には、チューブを押圧して閉塞し、流体の通流を遮断する。一方、開く際には、チューブを開放する。このことにより、チューブ内の流体が開閉弁の構成部品に触れることを回避でき、コンタミネーションの防止を図っている。
【0056】
また、上述した各ポンプ10、12、19、22は、チューブポンプとして構成されている。このチューブポンプは、流体が通流するチューブを外側から送液方向に押圧して、チューブ内の流体を供給先に送るように動作する。このことにより、チューブ内の流体がポンプの構成部品に触れることを回避でき、コンタミネーションの防止を図っている。
【0057】
なお、このようなピンチバルブおよびチューブポンプを適用することができるチューブとしては、柔軟性を有していれば特に限られることはないが、柔軟な樹脂材料により形成されていることが好適である。例えば、シリコーンチューブやオレフィン系エラストマーチューブを好適に用いることができる。
【0058】
培養容器連結装置2は、無菌チャンバ27内に設けられており、無菌環境下に置かれている。無菌チャンバ27内には、清浄な空気が充満しているとともに、無菌チャンバ27内の温度が、高温(例えば、約37℃)に維持されている。液給排装置32を構成する押出用バッファタンク9、懸濁液用バッファタンク14および処理液用バッファタンク21などは、清浄な空気が充満しているサーマルチャンバ28内に設けられている。サーマルチャンバ28内の温度は、無菌チャンバ27内の温度と同一の温度に維持されている。PBS供給源6は、温度管理されていない室温保管庫(図示せず)に設けられている。無菌チャンバ27の内部空間は、無菌操作を行うニードルが配置されており、無菌状態が維持されている。ここで、無菌という用語は、完全に菌が無い状態のみならず、作業に差し支えのない程度にわずかな菌が存在する状態を許容する用語として用いている。
【0059】
無菌チャンバ27には、過酸化水素ガス供給源33が連結されている。この過酸化水素ガス供給源33は、無菌チャンバ27のガス除染工程(後述)において、無菌チャンバ27に過酸化水素ガス(H
2O
2)を供給する。この過酸化水素ガスによって、無菌チャンバ27内がガス除染される。ここで、除染という用語は、空間や作業室を含む構造設備に生存する菌をあらかじめ指定された菌数レベルまで減少させることを意味する用語として用いている。
【0060】
培地供給源4および剥離剤供給源7は、低温(例えば、約4℃)に温度管理された低温保管庫(図示せず)に設けられている。このため、培地供給源4の培地は、培地ポンプ10と培地切替弁25との間に設けられた第1インレットヒータ29によって加熱されてから、押出用バッファタンク9、懸濁液用バッファタンク14および処理液用バッファタンク21に供給されるようになっている。より具体的には、第1インレットヒータ29によって、培地は、低温(約4℃)から高温(約37℃)になるまで加熱されてから、各バッファタンクに供給される。同様に、剥離剤供給源7の剥離剤は、処理液ポンプ22と第4三方弁24との間に設けられた第2インレットヒータ30によって加熱されてから、処理液用バッファタンク21に供給されるようになっている。
【0061】
また、
図1に示すように、培養処理システム1は、制御部31を更に備えている。この制御部31は、上述したポンプ10、12、19、22、各三方弁8、17、23、24および各開閉弁V1〜V6を制御するように構成されている。
【0062】
次に、
図2および
図3を用いて、本実施の形態による培養容器100について説明する。ここでは、カルチャープレート型の培養容器100を例にとって説明する。
【0063】
図2および
図3に示すように、培養容器100は、容器本体101と、容器本体101の一面に貼り付けられた平板102と、を備えている。容器本体101は、流体(細胞懸濁液や培地、各種処理液、空気)が流入される流入口103と、流入口103から流入した流体が通過する通路104と、通路104を通過した流体が流出される流出口105と、を有している。
【0064】
容器本体101の通路104は、容器本体101の平板102が貼り付けられた一面側に溝状に形成されている。通路104の口径(すなわち溝の深さ及び幅)は、一例として、2mm〜4mmである。また、容器本体101の通路104は、平面視において蛇行する部分、すなわち直線部と折り返し部とが交互に接続された部分を有している。これにより、容器本体101を大型化させることなく、通路104の全長を延伸させて、細長状の通路104が形成されている。
【0065】
図2および
図3に示すように、通路104の通路底面104aには、通路104を通過する細胞が播種される複数の細胞播種領域106が、当該通路104に沿って並んで設けられている。本実施の形態では、通路104の通路底面104aには、細胞播種領域106と同心状に窪み107が凹設されている。
【0066】
流入口103に流入口ゴム栓108が挿入され、流出口105に流出口ゴム栓109が挿入されており、流入口103および流出口105が閉塞されている。流入口ゴム栓108には、上述した各入口ニードル41Xa、41Ya、41Zaが貫通可能であり、流出口ゴム栓109には、上述した各出口ニードル41Xb、41Yb、41Zbが貫通可能になっている。
【0067】
次に、
図4乃至
図6を用いて、本発明の実施の形態による培養容器連結装置2についてより詳細に説明する。
【0068】
図4および
図5に示すように、培養容器連結装置2は、ベース42と、ベース42から上方に延びる4つのサポート部42aと、を更に有している。4つのサポート部42aは、互いに離間するとともに直線状に整列されて配置されており、互いに隣り合うサポート部42aの間に、上述した第1ニードル装置41X、第2ニードル装置41Y、および第3ニードル装置41Zが取り付けられている。各ニードル装置41X、41Y、41Zは、対応するサポート部42aに対して回動可能に取り付けられている。
【0069】
本実施の形態では、容器保持部40には、移動機構部43が連結されている。この移動機構部43は、容器保持部40を、上述した第1ニードル対向位置N1と、第2ニードル対向位置N2と、第3ニードル対向位置N3とに、直線状に移動させるように構成されている。また、本実施の形態では、容器保持部40は、容器保持部40に対する培養容器100の受け渡しを行う受渡位置N4と、培養容器100に超音波振動を付与する超音波位置N5にも、移動可能になっている。第1ニードル対向位置N1、第2ニードル対向位置N2、第3ニードル対向位置N3、受渡位置N4、および超音波位置N5は、直線状に整列されており、この順に配置されている。
【0070】
図4に示すように、移動機構部43は、リニアシャフトモータ44を有している。このリニアシャフトモータ44は、容器保持部40に連結されたモータコイル44aと、磁性を帯びたモータシャフト44bと、を含んでいる。このうちモータシャフト44bは、モータコイル44aを、微少な隙間を介在させて(非接触式に)貫通している。モータシャフト44bは、ベース42に固定されているとともに、容器保持部40の移動方向に延びている。このような構成により、モータコイル44aに電流が供給されてリニアシャフトモータ44が駆動されると、モータシャフト44bの延びる方向に沿って、モータコイル44aが直線移動する。本実施の形態では、リニアシャフトモータ44は、ベース42の下方に配置されており、保持部サポート45を介して、容器保持部40に連結されている。リニアシャフトモータ44は、モータコイル44aとモータシャフト44bとが非接触式であることから、コンタミネーションの防止に効果的である。しかしながら、コンタミネーションの防止を図ることができれば、これに限られることない。
【0071】
ベース42の上面には、リニアガイド46が設けられている。このリニアガイド46は、容器保持部40の移動方向に沿って、すなわちモータシャフト44bと平行に延びている。上述した保持部サポート45には、ガイドブロック47が設けられている。ガイドブロック47は、リニアガイド46に対して、リニアガイド46の延びる方向に直交する方向に嵌合しているとともに、リニアガイド46の延びる方向に摺動可能になっている。このような構成により、リニアガイド46は、容器保持部40の直線移動を案内している。なお、リニアガイド46の摺動面およびガイドブロック47の摺動面のうちの少なくとも一方には、削り屑などが発生することを防止するために、テフロン(登録商標)がコーティングされていることが好ましい。この場合、これらの摺動面にはグリスなどの潤滑剤を塗布することを不要にでき、無菌チャンバ27内の汚染を防止できる。
【0072】
リニアシャフトモータ44は、上述した制御部31によって制御されている。すなわち、リニアシャフトモータ44が制御部31によって制御されることにより、容器保持部40は、各ニードル対向位置N1、N2、N3、受渡位置N4および超音波位置N5に、位置付けられるようになっている。
【0073】
次に、各ニードル装置41X、41Y、41Zの構成について説明する。各ニードル装置41X、41Y、41Zの構成は同一であるため、ここでは代表的に第1ニードル装置41Xについて説明し、第2ニードル装置41Yおよび第3ニードル装置41Zについての詳細な説明は省略する。
【0074】
図6に示すように、第1ニードル装置41Xは、サポート部42aに回動可能に設けられた装置ケース50と、第1入口ニードル41Xaおよび第1出口ニードル41Xbを直線移動させる第1アクチュエータ51(直動アクチュエータ)と、装置ケース50を回動させる第2アクチュエータ52(回動アクチュエータ)と、を有している。第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52は、装置ケース50内に収容されて保持されている。第1入口ニードル41Xaおよび第1出口ニードル41Xbは、装置ケース50の上方に配置されて、後述するようにニードル保持部53で保持されている。
【0075】
第1アクチュエータ51は、ニードル保持部53を介して、第1入口ニードル41Xaおよび第1出口ニードル41Xbを直線移動させる。すなわち、第1アクチュエータ51は、2つのニードル41Xa、41Xbを同時に直線移動可能になっている。
【0076】
第1アクチュエータ51は、回転軸54を有しており、この回転軸54を回転駆動するように構成されている。第1アクチュエータ51には、例えば、ステッピングモータを好適に用いることができる。一方、ニードル保持部53には、ナット55が連結されている。このナット55は、外周面におねじが形成されたねじ軸56(例えば、すべりねじ、ボールねじなど)に螺合している。ねじ軸56は、装置ケース50内に回転可能に保持されている。第1アクチュエータ51の回転軸54とねじ軸56は、互いに平行に配置されている。また、ねじ軸56の両側には、ねじ軸56に平行に延びるガイドロッド57が設けられている。これらのガイドロッド57は、ナット55の直線移動を案内し、ねじ軸56の回転によってナット55が直線移動可能になっている。
【0077】
回転軸54の端部には、第1プーリ58が設けられている。一方、ねじ軸56の端部には、第2プーリ59が設けられている。第1プーリ58と第2プーリ59に、タイミングベルト60が巻き掛けられており、第1プーリ58の回転は、タイミングベルト60を介して第2プーリ59に伝達される。このようにして、第1アクチュエータ51の回転駆動力が、ねじ軸56に伝達され、ニードル保持部53に保持された2つのニードル41Xa、41Xbが、直線移動するように構成されている。
【0078】
このような構成により、第1入口ニードル41Xaおよび第1出口ニードル41Xbは、第1アクチュエータ51によって直線移動可能になっており、培養容器100に対して進退可能になっている。
【0079】
すなわち、容器保持部40に保持された培養容器100の流入口103(
図2参照)および流出口105は、水平方向(後述する第1ニードル装置41Xの回動軸61の軸方向に)に並んで離間して配置されている。2つのニードル41Xa、41Xbは、培養容器100の流入口103および流出口105と同様の間隔で配置され、培養容器100に第1ニードル装置41Xが連結される場合には、流入口103および流出口105と同様に水平方向に並んで配置される。このことにより、第1入口ニードル41Xaが、培養容器100の流入口103に挿入された流入口ゴム栓108を貫通して流入口103に差し込まれ、流入口103が第1入口ニードル41Xaを介して第1入口ライン11(
図1参照)に連結される。一方、第1出口ニードル41Xbが、流出口105に挿入された流出口ゴム栓109を貫通して流出口105に差し込まれ、流出口105が、第1出口ニードル41Xbを介して第1出口ライン13に連結される。
【0080】
図6に示すように、第2アクチュエータ52は、サポート部42aに回動不能に固定された回動軸61を有している。回動軸61は、第2アクチュエータ52の本体を貫通するように形成されている。第2アクチュエータ52には、例えば、ステッピングモータを好適に用いることができる。
【0081】
第2アクチュエータ52は、装置ケース50をサポート部42aに対する反力で回動することにより、装置ケース50を介してニードル41Xa、41Xbを回動可能に構成されている。すなわち、回動軸61がサポート部42aに回動不能に固定されているため、第2アクチュエータ52が駆動されると、回動軸61が回動するのではなく、第2アクチュエータ52自体が回動軸61に対して反力で回動する。この場合、第2アクチュエータ52を保持している装置ケース50がサポート部42aに対して回動し、これにより、2つのニードル41Xa、41Xbが回動するようになる。
【0082】
このような構成により、2つのニードル41Xa、41Xbは、装置ケース50を介して、第2アクチュエータ52によって回動可能になっている。そして、後述する洗浄ブロック70および除染ブロック90に対して進退可能になる。
【0083】
ところで、
図4および
図5に示すように、第1入口ニードル41Xaの基端部に入口固定継手62aが固定されており、この入口固定継手62aがニードル保持部53で保持されている。同様に、第1出口ニードル41Xbの基端部に出口固定継手62bが固定されており、この出口固定継手62bがニードル保持部53で保持されている。第1入口ニードル41Xaは、入口固定継手62aを介して、液給排装置32の第1入口ライン11に連結されており、第1出口ニードル41Xbは、出口固定継手62bを介して、液給排装置32の第1出口ライン13に連結されている。第1入口ライン11を構成する第1入口ラインチューブ11tおよび第1出口ライン13を構成する第1出口ラインチューブ13tは、
図5に示すように、装置ケース50の側面に設けられたチューブ保持部63で保持されている。
図5には、第2ニードル装置41Yの第2入口ニードル41Yaに入口固定継手62aを介して連結された、第2入口ライン15を構成する第2入口ラインチューブ15tと、第2出口ニードル41Ybに出口固定継手62bを介して連結された第2出口ライン16を構成する第2出口ラインチューブ16tとが示されている。同様に、第3ニードル装置41Zの第3入口ニードル41Zaに入口固定継手62aを介して連結された、第3入口ライン20を構成する第3入口ラインチューブ20tと、第3出口ニードル41Zbに出口固定継手62bを介して連結された第3出口ライン26を構成する第3出口ラインチューブ26tとが示されている。
【0084】
入口固定継手62aおよび出口固定継手62bは、放射線(ガンマ線)耐性を有するとともに放射線(ガンマ線)透過性を有していることが好適である。この場合、第1入口ニードル41Xaと入口固定継手62aとの接触界面、および入口固定継手62aと第1入口ラインチューブ11tとの接触界面を滅菌処理することができる。また、第1出口ニードル41Xbと出口固定継手62bとの接触界面、および出口固定継手62bと第1出口ラインチューブ13tとの接触界面を滅菌処理することができる。ここで、滅菌という用語は、完全に菌を死滅させることのみならず、作業に差し支えのない程度にわずかな菌が残存していることを許容する用語として用いている。
【0085】
第1入口ラインチューブ11tは、上述した無菌チャンバ27内に配置された入口固定継手62aから無菌チャンバ27の側壁27aを貫通して、サーマルチャンバ28内に配置された第1三方弁8に延びている。無菌チャンバ27の側壁27aにおいては、
図7に示すように、第1入口ラインチューブ11tは、側壁27aに設けられた側壁開口部27bを貫通している。より具体的には、側壁開口部27bには、アダプタ65が挿入されており、アダプタ65は、シール部材66によって側壁27aに気密に取り付けられている。また、アダプタ65には押圧部材67がねじ込まれており、押圧部材67とアダプタ65との間にフェルール68が配置されている。第1入口ラインチューブ11tは、アダプタ65、押圧部材67およびフェルール68を貫通している。フェルール68は、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)等の弾力性を有する材料によって形成されており、押圧部材67に向かって先細状に形成されている。押圧部材67は、フェルール68の先細形状に沿って形成された受容部を含んでおり、この受容部にフェルール68の先細状の部分が入り込んでいる。これにより、押圧部材67がアダプタ65にねじ込まれると、フェルール68が押圧部材67から圧力を受けて、くさび効果により、フェルール68が第1入口ラインチューブ11tを押圧する。このようにして、第1入口ラインチューブ11tは、気密態様で無菌チャンバ27の側壁27aを貫通しており、無菌チャンバ27とサーマルチャンバ28とが気体連通することを防止している。
【0086】
第1出口ラインチューブ13tは、上述した無菌チャンバ27内に配置された出口固定継手62bから無菌チャンバ27の側壁27aを貫通して、サーマルチャンバ28内に配置された懸濁液用バッファタンク14に延びている。第1入口ラインチューブ11tと同様に、アダプタ65によって気密態様で無菌チャンバ27の側壁27aを貫通している。なお、図示しないが、第1出口ラインチューブ13tが側壁27aを貫通する側壁開口部は、第1入口ラインチューブ11tが貫通する側壁開口部27bとは別個に形成されている。
【0087】
次に、各ニードル装置41X、41Y、41Zの各ニードルを洗浄する洗浄ブロック70および除染ブロック90について
図8を用いて説明する。ここでは、代表的に第1ニードル装置41Xのニードル41Xa、41Xbを例にとって説明する。なお、
図8においては、図面を明瞭にするために、第1入口ニードル41Xaを示し、第1出口ニードル41Xbは省略している。
【0088】
図4に示すように、本実施の形態による培養容器連結装置2は、ニードル41Xa、41Xbを洗浄する洗浄ブロック70(洗浄部)と、ニードル41Xa、41Xbを除染する除染ブロック90(除染部)と、を更に備えている。洗浄ブロック70および除染ブロック90には、ニードル41Xa、41Xbがそれぞれ進退可能になっている。洗浄ブロック70および除染ブロック90は、いずれもベース42に取り付けられている。なお、ニードル41Xa、41Xbの洗浄は、図示しない洗浄液供給源から各ニードル41Xa、41Xbに供給される洗浄液によって行われる。
【0089】
図8に示すように、洗浄ブロック70は、ニードル41Xa、41Xbの内部洗浄を行う2つの内部洗浄孔71と、ニードル41Xa、41Xbの外部洗浄を行う2つの外部洗浄孔72と、を有している。内部洗浄孔71および外部洗浄孔72は、ニードル41Xa、41Xbが進退可能に形成されており、ニードル41Xa、41Xbの少なくとも一部が挿入される。このうち外部洗浄孔72は、垂直方向に延びるように形成されている。
【0090】
2つの内部洗浄孔71には、第1排出ライン73が連結されており、2つの内部洗浄孔71内の洗浄液は、第1排出ライン73に排出されるようになっている。2つの外部洗浄孔72には、第2排出ライン74が連結されており、2つの外部洗浄孔72内の洗浄液は、第2排出ライン74に排出されるようになっている。第1排出ライン73には第1排出弁75が設けられ、第2排出ライン74には第2排出弁76が設けられている。第1排出ライン73および第2排出ライン74は、下流側で第3排出ライン77に合流している。第3排出ライン77には、排出ポンプ78(例えば、真空ポンプ)が設けられており、排出ポンプ78が駆動されることにより、洗浄液が排出可能になっている。
【0091】
2つの内部洗浄孔71は、第1ニードル装置41Xの回動軸61の軸方向に並んで配置されており、培養容器100の流入口103および流出口105と同様の間隔で配置されている。2つの外部洗浄孔72の配置も同様である。このことにより、2つのニードル41Xa、41Xbが、2つの内部洗浄孔71に同時に挿入可能であるとともに、2つの外部洗浄孔72に同時に挿入可能になっている。
図8においては、2つの内部洗浄孔71のうちの一方の内部洗浄孔71を示すとともに、2つの外部洗浄孔72のうちの一方の外部洗浄孔72を示しており、他方の内部洗浄孔71および他方の外部洗浄孔72の図示は省略している。
【0092】
洗浄ブロック70の上面には、2つの凹状の連通路79が設けられている。各連通路79は、一方の内部洗浄孔71と、これに対応する(内部洗浄孔71に挿入されるニードルが挿入される)外部洗浄孔72とを連通しており、外部洗浄孔72からオーバーフローする洗浄液を内部洗浄孔71に案内する。洗浄液をオーバーフローさせる際には、第2排出弁76は閉じられるが、洗浄終了時には第2排出弁76は開き、外部洗浄孔72内の洗浄液を排出する。
【0093】
図4に示すように、除染ブロック90は、ニードル41Xa、41Xbの除染を行う2つの除染孔91を有している。除染孔91は、ニードル41Xa、41Xbが進退可能に形成されており、ニードル41Xa、41Xbの少なくとも一部が挿入される。除染ブロック90は、除染孔91に挿入されたニードル41Xa、41Xbを加熱するヒータ(図示せず)を有している。除染時には、ニードル41Xa、41Xbは200℃程度まで加熱される。2つの除染孔91の配置は、上述した2つの内部洗浄孔71の配置と同様になっており、2つのニードル41Xa、41Xbが2つの除染孔91に同時に挿入可能になっている。
図4においては、一方の除染孔91の図示は省略している。
【0094】
図4に示すように、上述した容器保持部40、洗浄ブロック70および除染ブロック90は、第1ニードル装置41Xの回動中心Oに対してニードル41Xa、41Xbの先端の回動軌跡Lよりも外周側であって、ニードル41Xa、41Xbの回動方向に互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態では、容器保持部40の移動方向に沿って見たときに、容器保持部40、除染ブロック90および洗浄ブロック70が、この順に、取り付け高さが低くなるように配置されている。
【0095】
洗浄ブロック70においては、内部洗浄孔71および外部洗浄孔72が、ニードル41Xa、41Xbの回動方向に互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態では、容器保持部40の移動方向に沿って見たときに、内部洗浄孔71および外部洗浄孔72が、この順に、容器保持部40および除染ブロック90から遠ざかるように配置されている。
【0096】
ニードル41Xa、41Xbは、第2アクチュエータ52によって、容器保持部40に保持された培養容器100の流入口103および流出口105に対向する容器対向位置P1と、洗浄ブロック70に対向する洗浄対向位置(P2、P3)と、に位置付け可能になっている。ニードル41Xa、41Xbが容器対向位置P1に位置付けられた場合、2つのニードル41Xa、41Xbは、その長手方向において、培養容器100の流入口103および流出口105にそれぞれ整列される。
図4に示す形態では、容器対向位置P1においてニードル41Xa、41Xbは水平に配置される。そして、第1アクチュエータ51によって前進して(流入口103および流出口105に向かって直線移動して)、2つのニードル41Xa、41Xbは、流入口ゴム栓108および流出口ゴム栓109を同時に貫通して、培養容器100内に差し込まれる。
【0097】
洗浄対向位置は、ニードル41Xa、41Xbが内部洗浄孔71に対向する内部洗浄対向位置P2と、ニードル41Xa、41Xbが外部洗浄孔72に対向する外部洗浄対向位置P3と、を有している。すなわち、ニードル41Xa、41Xbは、内部洗浄対向位置P2と、外部洗浄対向位置P3と、に位置付け可能になっている。ニードル41Xa、41Xbが内部洗浄対向位置P2に位置付けられた場合、2つのニードル41Xa、41Xbは、その長手方向において、対応する内部洗浄孔71にそれぞれ整列される。そして、第1アクチュエータ51によって前進して、2つのニードル41Xa、41Xbは、2つの内部洗浄孔71に同時に挿入される。ニードル41Xa、41Xbが外部洗浄対向位置P3に位置付けられた場合、2つのニードル41Xa、41Xbは、その長手方向において、対応する外部洗浄孔72にそれぞれ整列される。
図4に示す形態では、外部洗浄対向位置P3においてニードル41Xa、41Xbの長手方向は垂直になる。そして、第1アクチュエータ51よって前進して、2つのニードル41Xa、41Xbは、2つの外部洗浄孔72に同時に挿入される。
【0098】
また、ニードル41Xa、41Xbは、第2アクチュエータ52によって、除染ブロック90の除染孔91に対向する除染対向位置P4に位置付け可能になっている。ニードル41Xa、41Xbが除染対向位置P4に位置付けられた場合、2つのニードル41Xa、41Xbは、その長手方向において、除染ブロック90の対応する除染孔91にそれぞれ整列される。そして、第1アクチュエータ51よって前進して、2つのニードル41Xa、41Xbは、2つの除染孔91に同時に挿入される。
【0099】
第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52は、上述した制御部31に接続されている。制御部31は、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52を制御するように構成されている。
【0100】
本実施の形態では、上述のような洗浄ブロック70および除染ブロック90は、ニードル装置41X、41Y、41Z毎に設けられている。すなわち、図示しないが、洗浄ブロック70および除染ブロック90はそれぞれ3つ設けられており、各洗浄ブロック70が、対応するニードル装置に対向するように配置されており、各除染ブロック90が、対応するニードル装置に対向するように配置されている。洗浄ブロック70および除染ブロック90は、ベース42に取り付けられている。
【0101】
本実施の形態による培養容器連結装置2は、ニードル41Xa、41Xbの先端に取り付けられているキャップ300を取り外すデキャッパ400(キャップ取外部)を更に備えている。以下に、デキャッパ400について、
図8〜
図10を用いて説明する。本実施の形態によるデキャッパ400は、上述した洗浄ブロック70に設けられている。また、以下の説明においても、代表的に第1ニードル装置41Xのニードル41Xa、41Xbを例にとって説明する。
【0102】
図8および
図9に示すように、本実施の形態によるデキャッパ400は、ニードル41Xa、41Xbの先端に取り付けられているキャップ300を、ニードル41Xa、41Xbから取り外すように構成されている。
【0103】
ここではまず、
図9を用いてキャップ300について説明する。キャップ300は、培養容器連結装置2の組立時に、ニードル41Xa、41Xbの先端に取り付けられている。このキャップ300は、ニードル41Xa、41Xbの先端において内部流路の開口を閉塞して、後述する放射線滅菌後のニードル41Xa、41Xbの内部流路の無菌状態を維持するためのものである。ニードル41Xa、41Xbは、キャップ300が取り付けられた状態で、放射線(ガンマ線)滅菌処理される。キャップ300は放射線透過性を有しているため、ニードル41Xa、41Xbとキャップ300との接触界面も滅菌処理される。
【0104】
キャップ300は、円筒状に形成されたキャップ本体301と、キャップ本体301の先端に設けられたヘッド302と、を含んでいる。このうちヘッド302は、キャップ本体301の外径よりも大きい外径を有しており、半径方向外側に突出している。ヘッド302は、先端面(
図8における上面)と側面とを接続した面取部303を含んでいる。
【0105】
キャップ本体301からヘッド302にわたって、ニードル41Xa、41Xbの先端が挿入される挿入孔304が延びている。この挿入孔304は、ヘッド302を貫通しておらず、有底の孔になっている。挿入孔304の直径は、ニードル41Xa、41Xbの外径よりも若干小さいことが好適である。この場合、キャップ300はニードル41Xa、41Xbに軽圧入されるため、培養容器連結装置2の組立時におけるニードル41Xa、41Xbの内部流路の気密性を確保することができる。
【0106】
キャップ300は、放射線耐性および放射線透過性を有することができれば、任意の材料を用いることができる。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などを好適に用いることができる。
【0107】
図9に示すように、デキャッパ400は、直線状に延びる中心軸線CLを含む貫通孔401と、貫通孔401を画定するデキャッパ本体402(取外部本体)と、を有している。この中心軸線CLに沿う方向において、デキャッパ400に対する一方の外部(
図9においては下側の外部)を第1外部403とし、デキャッパ400に対する他方の外部(
図9においては上側の外部)を第2外部404として、以下説明する。ニードル41Xa、41Xbは、上述したニードル装置41Xの第1アクチュエータ51によって、デキャッパ400の中心軸線CLに沿う方向に前進および後退するようになっている。第1外部403から第2外部404に向かう方向が前進方向であり、第2外部404から第1外部403に向かう方向が後退方向になる。
【0108】
キャップ300およびデキャッパ400は、ニードル41Xa、41Xbが第1外部403から第2外部404に向けて前進する際、ヘッド302が第1外部403から貫通孔401を通過して第2外部404に達することができる、ように構成されている。また、キャップ300およびデキャッパ400は、ニードル41Xa、41Xbが第1外部403に向けて後退する際、ヘッド302が第2外部404に位置付けられたキャップ300がデキャッパ400に係止されて、キャップ300からニードル41Xa、41Xbが引き抜かれる、ように構成されている。本実施の形態では、デキャッパ400のデキャッパ本体402は、ニードル41Xa、41Xbが前進する際、ヘッド302が通過可能となるように、中心軸線CLに対して直交する方向において外側に(半径方向外側に)弾性変形可能に構成されている。キャップ300は、デキャッパ本体402が半径方向外側に弾性変形する際には、デキャッパ本体402を半径方向外側に押圧しながら前進することができるように構成されているが、キャップ本体301自体は、実質的には変形しないようになっている。
【0109】
デキャッパ本体402は、第1外部403から第2外部404に向かって先細状に形成されており、概略的には円錐台筒状に形成されている。このような構成により、デキャッパ本体402は、前進するヘッド302によって半径方向外側に弾性変形するが、後退するキャップ300を、係止しやすくなっている。
【0110】
デキャッパ本体402によって画定される貫通孔401も、第1外部403から第2外部404に向かって先細状に形成されており、円錐台状に形成されている。このような構成により、キャップ300のヘッド302が、貫通孔401内をスムースに前進可能になっている。
【0111】
より具体的には、デキャッパ本体402は、第1外部403の側の第1端部405と、第2外部404の側の第2端部406と、を含んでいる。このうち第2端部406に、ニードル41Xa、41Xbの後退時にキャップ300のヘッド302が当接するようになっている。第1端部405における貫通孔401の内径は、ヘッド302の外径よりも大きくなっている。第2端部406における貫通孔401の内径は、弾性変形していない状態では、ヘッド302の外径よりも小さくなっている。このことにより、後退するヘッド302が当接するようになっている。しかしながら、貫通孔401内を前進するヘッド302によって半径方向外側に押圧されると、デキャッパ本体402が半径方向外側に弾性変形し、この状態では、貫通孔401のうち第2端部406の側の部分は、ヘッド302が通過可能となるように拡大する。
【0112】
図10に示すように、デキャッパ本体402に、4つのスリット407が設けられている。各スリット407は、デキャッパ本体402の第2端部406から第1端部405に向かって延びているが、第1端部405において終端しており、デキャッパ本体402を貫通していない。すなわち、デキャッパ本体402は、第1端部405において、周方向に一体に連続状に形成されている。スリット407は、中心軸線CLに沿って見たときに、中心軸線CL(中心点)を基準に対称に配置されていることが好適である。この場合には、デキャッパ本体402の半径方向外側への弾性変形を、周方向で均等化させることができる。
【0113】
図9および
図10に示すように、デキャッパ本体402の第1端部405に、フランジ408が設けられている。このフランジ408は、デキャッパ本体402の外径よりも大きい外径を有している。
【0114】
デキャッパ400に用いる材料は、過酸化水素耐性を有するとともに弾力性を有する材料であれば特に限られることはないが、キャップ300と同様の材料を用いてもよい。
【0115】
本実施の形態では、上述のようなデキャッパ400は、ニードル装置41X、41Y、41Z毎に設けられている。すなわち、デキャッパ400は、対応する洗浄ブロック70にそれぞれ一対ずつ設けられており、各デキャッパ400が、対応するニードル装置41X、41Y、41Zに対向するように配置されている。
図8に示すように、デキャッパ400は、洗浄ブロック70に設けられたデキャッパ取付孔409内に、止め具410(例えば、C字状の止め輪)によって取り付けられている。このことにより、ニードル41Xa、41Xbの後退時に、デキャッパ400が、デキャッパ取付孔409から後退方向に移動することを防止している。一方、デキャッパ400のフランジ408は、デキャッパ取付孔409に設けられた段部411に当接しており、ニードル41Xa、41Xbの前進時に、デキャッパ400が前進方向に移動することを防止している。
【0116】
また、デキャッパ400は、容器保持部40に対してニードル41Xa、41Xbの回動方向において異なる位置に配置されている。本実施の形態では、デキャッパ400は、上述した洗浄ブロック70に設けられている。そして、デキャッパ400が取り付けられるデキャッパ取付孔409は、洗浄ブロック70の内部洗浄孔71および外部洗浄孔72に対しても、ニードル41Xa、41Xbの回動方向において異なる位置に配置されている。本実施の形態では、容器保持部40の移動方向に沿って見たときに、内部洗浄孔71、外部洗浄孔72およびデキャッパ取付孔409が、この順に、容器保持部40および除染ブロック90から遠ざかるように配置されているが、これに限られることはない。
【0117】
図8に示すように、洗浄ブロック70には、デキャッパ400によって取り外されたキャップ300を収容する収容ケース412が取り付けられている。この収容ケース412は、洗浄ブロック70から取り外し可能になっており、取り外されたキャップ300が容易に回収可能になっている。また、収容ケース412は、一方のデキャッパ取付孔409の出口から他方のデキャッパ取付孔409の出口まで延びており、両方のデキャッパ400によって取り外されたキャップ300を収容可能になっている。
【0118】
ニードル41Xa、41Xbは、第2アクチュエータ52によって、デキャッパ400に対向するデキャッパ対向位置P5(取外対向位置)に位置付け可能になっている。ニードル41Xa、41Xbがデキャッパ対向位置P5に位置付けられた場合、2つのニードル41Xa、41Xbは、その長手方向において、対応するデキャッパ400の貫通孔401にそれぞれ整列される。そして、ニードル41Xa、41Xbは、第1アクチュエータ51によって、ヘッド302が第2外部404に達するまで前進し、その後に後退するようになっている。この際、2つのニードル41Xa、41Xbは、同時に前進および後退する。
【0119】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0120】
[培養容器連結装置の組立方法]
まず、本実施の形態による培養容器連結装置の組立方法について、代表的に第1ニードル装置41Xを例にとって説明する。第2ニードル装置41Yおよび第3ニードル装置41Zについての詳細な説明は省略する。
【0121】
まず、ステップS1(連結工程)として、
図11に示すように、キャップ300が取り付けられたニードル41Xa、41Xbが、液給排装置32に連結される。
【0122】
この場合、まず、液給排装置32が部分的にユニット化されて部分組立(サブアセンブリ)され、部分組立体34が形成される。
図11に示す部分組立体34は、例えば、
図1に示す第1三方弁8と、押出用バッファタンク9と、押出ポンプ12と、懸濁液用バッファタンク14と、押出流体開閉弁V1、第1培地開閉弁V2、第1懸濁液開閉弁V3とを含むようにしてもよい。部分組立体34の構成は、液給排装置32の構成や各部品の配置等に応じて任意とすることができる。
【0123】
続いて、図示しないチューブによって第1三方弁8等の部品が連結され、第1三方弁8と第1入口ニードル41Xaが、第1入口ライン11を構成する第1入口ラインチューブ11tによって連結される。この際、第1入口ニードル41Xaに入口固定継手62aが固定されて、この入口固定継手62aに、第1入口ラインチューブ11tが固定される。第1入口ラインチューブ11tには予めアダプタ65、シール部材66、押圧部材67およびフェルール68を貫通させておく。同様に、懸濁液用バッファタンク14と第1出口ニードル41Xbが、第1出口ライン13を構成する第1出口ラインチューブ13tによって連結される。この際、第1出口ニードル41Xbに出口固定継手62bが固定されて、この出口固定継手62bに、第1出口ラインチューブ13tが固定される。第1出口ラインチューブ13tには予めアダプタ65、シール部材66、押圧部材67およびフェルール68を貫通させておく。
【0124】
その後、ニードル41Xa、41Xbの先端に、放射線透過性を有するキャップ300がそれぞれ取り付けられる。キャップ300は、ニードル41Xa、41Xbに、軽圧入されることが好適である。また、固定継手62a、62bに、放射線透過性を有する保護キャップ305が取り付けられる。保護キャップ305は、キャップ300が取り付けられたニードル41Xa、41Xbを覆い、組立作業時にニードル41Xa、41Xbを保護する。保護キャップ305は、組立作業時に不意に取り外されることを防止するために、固定継手62a、62bに軽圧入されることが好適である。
【0125】
ステップS1の後、ステップS2(放射線滅菌工程)として、
図12に示すように、ニードル41Xa、41Xb、第1入口ラインチューブ11t、部分組立体34、アダプタ65などが放射線滅菌される。この際、キャップ300は放射線透過性を有しているため、ニードル41Xa、41Xbとキャップ300との接触界面にも放射線(ガンマ線)が照射されて、この接触界面が滅菌される。また、ニードル41Xa、41Xbと固定継手62a、62bとの接触界面、および固定継手62a、62bとラインチューブ11t、13tとの接触界面にも放射線が照射されて、これらの接触界面が滅菌される。また、このようにして放射線滅菌を行う場合、ニードル41Xa、41Xbや部分組立体34の各部品、各チューブを、均質に滅菌処理することができる。すなわち、各部品の流路に除染液を充填して除染処理する場合には、流路内に気泡が残り、除染液に触れない部分が生じて均質な除染が困難になる場合があり得る。これに対して本実施の形態では、全体的に放射線滅菌を行うことができるため、均質な除染処理を行うことができる。さらに、除染液を用いた場合には除染後に純水洗浄が行われるが、そのような純水洗浄工程を不要にできるため、除染処理の時間短縮を図ることができる。
【0126】
ステップS2の後、ステップS3(設置工程)として、
図13に示すように、ニードル41Xa、41Xbが、無菌チャンバ27内に設けられたニードル装置41Xに設置される。
【0127】
この場合、まず、液給排装置32の部分組立体34が、サーマルチャンバ28内に配置され、ニードル41Xa、41Xbが、サーマルチャンバ28から無菌チャンバ27の側壁27aに設けられた側壁開口部27bを通過して、無菌チャンバ27内に引き込まれる。
【0128】
続いて、第1入口ラインチューブ11tに予め貫通させていたアダプタ65が、シール部材66とともに対応する側壁開口部27bに挿入されて、側壁27aに固定される。そして、押圧部材67がアダプタ65にねじ込まれる。このことにより、第1入口ラインチューブ11tが、気密態様で無菌チャンバ27の側壁27aを貫通し、当該側壁開口部27bが閉塞される。第1出口ラインチューブ13tも同様にして、対応する側壁開口部27bに挿入されて、当該側壁開口部27bが閉塞される。
【0129】
次に、ニードル41Xa、41Xbを固定している固定継手62a、62bが、ニードル装置41Xのニードル保持部53に取り付けられる。これにより、ニードル41Xa、41Xbが、ニードル保持部53に保持される。また、第1入口ラインチューブ11tおよび第1出口ラインチューブ13tは、ニードル装置41Xの装置ケース50の側面に設けられたチューブ保持部63に保持される。ニードル41Xa、41Xbがニードル保持部53に取り付けられた後、保護キャップ305が固定継手62a、62bからそれぞれ取り外される。
【0130】
ステップS3の後、ステップS4(ガス除染工程)として、
図14に示すように、無菌チャンバ27内がガス除染される。この際、無菌チャンバ27内に、過酸化水素ガス供給源33から無菌チャンバ27に過酸化水素ガスが供給されて無菌チャンバ27内に充填される。これにより、無菌チャンバ27の内壁や、各部品の外面、無菌チャンバ27内の空気が除染される。
【0131】
ステップS4の後、ステップS5(キャップ取外工程)として、
図15に示すように、キャップ300がニードル41Xa、41Xbから取り外される。
【0132】
この場合、まず、第2アクチュエータ52が駆動されて、2つのニードル41Xa、41Xbは、デキャッパ対向位置P5に位置付けられる。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、対応するデキャッパ400の貫通孔401にそれぞれ整列される。
【0133】
続いて、第1アクチュエータ51が駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは、デキャッパ対向位置P5から対応するデキャッパ400の貫通孔401に向かって前進する。すなわち、ニードル41Xa、41Xbは、
図16Aに示すように、デキャッパ400の第1外部403から第2外部404に向けて前進し、キャップ300のヘッド302が第1外部403から貫通孔401内に挿入される。
【0134】
貫通孔401内に挿入されたヘッド302は、
図16Bに示すように、デキャッパ本体402のうち第2端部406およびその近傍の部分で、デキャッパ本体402の内面を摺動しながら前進する。この際、ヘッド302は、デキャッパ本体402を半径方向外側に押圧して弾性変形させる。このことにより、貫通孔401のうち第2端部406の側の部分が拡大され、ヘッド302が更に前進する。
【0135】
やがて、ヘッド302は、
図16Cに示すように、デキャッパ400の貫通孔401から抜け出て(貫通孔401を通過して)、デキャッパ400の第2外部404に達する。この時点で、第1アクチュエータ51の駆動を止めて、ニードル41Xa、41Xbを停止させる。ヘッド302がデキャッパ400の貫通孔401から抜け出ると、デキャッパ本体402は、弾性作用によって、拡大していた部分が半径方向内側に変位して、
図16A等に示すような元の状態に戻る。
【0136】
次に、第1アクチュエータ51が逆方向に駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは、第1外部403に向けて後退する。すると、ヘッド302は、
図16Dに示すように、元の状態に戻ったデキャッパ本体402の第2端部406に当接し、キャップ300がデキャッパ400に係止される。ヘッド302が第2端部406に当接した後にも、ニードル41Xa、41Xbは、連続的に後退する。このことにより、
図16Eに示すように、デキャッパ400に係止されたキャップ300からニードル41Xa、41Xbが引き抜かれて、キャップ300がニードル41Xa、41Xbから取り外される。取り外されたキャップ300は、
図15に示すように、収容ケース412に収容される。
【0137】
その後、ニードル41Xa、41Xbは、デキャッパ400の貫通孔401から後退して引き出される。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、再びデキャッパ対向位置P5に位置付けられる。
【0138】
以上により、除染処理を伴う培養容器連結装置の組立方法が終了する。その後、
図1に示す培養処理システム1の培養容器連結装置2と、液給排装置32とを動作させることにより、細胞の播種工程、継代工程および回収工程などの培養処理を行うことができる。ここでは、培養処理方法の詳細な説明は省略する。
【0139】
[ニードル洗浄・除染方法]
ところで、細胞の播種工程、継代工程、回収工程などの間、必要に応じて、各ニードル装置41X、41Y、41Zのニードルは洗浄および除染されることが好適である。例えば、上述したステップS3において培養容器100から細胞懸濁液を排出した場合や、ステップS9において培養容器100に細胞懸濁液を供給した場合などには、コンタミネーションを防止するために、これらのステップの後にニードルは洗浄および除染されることが好ましい。そこで、ニードルの洗浄方法および除染方法について、代表的に第1ニードル装置41Xを例にとって以下に説明する。第2ニードル装置41Yおよび第3ニードル装置41Zについての詳細な説明は省略する。
【0140】
(ニードルの内部洗浄工程)
まず、容器対向位置P1に第1入口ニードル41Xaおよび第1出口ニードル41Xbが位置付けられた第1ニードル装置41Xが回動し、洗浄ブロック70においてニードル41Xa、41Xbが内部洗浄される。
【0141】
この場合、まず、
図17に示すように、第2アクチュエータ52が駆動されて、2つのニードル41Xa、41Xbは、容器対向位置P1(
図4参照)から回動して内部洗浄対向位置P2に位置づけられる。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、洗浄ブロック70の対応する内部洗浄孔71にそれぞれ整列される。
【0142】
続いて、第1アクチュエータ51が駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは、内部洗浄対向位置P2から対応する内部洗浄孔71に向かって前進し、内部洗浄孔71に挿入される。
【0143】
次に、図示しない洗浄液供給源から第1入口ニードル41Xaおよび第1出口ニードル41Xbに洗浄液が供給される。この場合、第1出口ライン13では、洗浄液は、上述した細胞懸濁液が流れる方向とは反対方向に流れる。
【0144】
ニードル41Xa、41Xbの内部洗浄の間、排出ポンプ78が駆動され、第1排出ライン73に設けられた第1排出弁75は開く。このことにより、各ニードル41Xa、41Xbに供給された洗浄液は、ニードル41Xa、41Xbの内部流路を通って、各ニードル41Xa、41Xbの先端から吐出される。吐出された洗浄液は、第1排出ライン73を介して第3排出ライン77に排出される。この間、洗浄液は、各ニードル41Xa、41Xbの内部流路を通り、内部流路が洗浄液で洗浄される(ニードル41Xa、41Xbが内部洗浄される)。
【0145】
内部洗浄の後、第1アクチュエータ51が駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは内部洗浄孔71から後退し、内部洗浄孔71から引き出される。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、再び内部洗浄対向位置P2に位置づけられる。
【0146】
(ニードルの外部洗浄工程)
ニードル41Xa、41Xbが内部洗浄対向位置P2に位置づけられた後、第1ニードル装置41Xが回動し、洗浄ブロック70においてニードル41Xa、41Xbが外部洗浄される。
【0147】
この場合、まず、
図18に示すように、第2アクチュエータ52が駆動されて、2つのニードル41Xa、41Xbは、内部洗浄対向位置P2から回動して外部洗浄対向位置P3に位置づけられる。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、洗浄ブロック70の対応する外部洗浄孔72にそれぞれ整列される。
【0148】
続いて、第1アクチュエータ51が駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは、外部洗浄対向位置P3から対応する外部洗浄孔72に向かって前進し、外部洗浄孔72に挿入される。この際、外部洗浄孔72へのニードル41Xa、41Xbの挿入深さは、内部洗浄孔71への挿入深さよりも深いことが好ましい。また、外部洗浄孔72へのニードル41Xa、41Xbの挿入深さは、上述した細胞の播種工程や継代工程、回収工程時に培養容器100の流入口103および流出口105に差し込まれるニードル41Xa、41Xbの差込深さよりも深いことが好ましい。
【0149】
次に、図示しない洗浄液供給源から第1入口ニードル41Xaおよび第1出口ニードル41Xbに洗浄液が供給される。
【0150】
ニードル41Xa、41Xbの外部洗浄の間、排出ポンプ78が駆動され、第1排出弁75は開くとともに第2排出弁76は閉じる。このことにより、各ニードル41Xa、41Xbに供給された洗浄液は、先端から吐出されて外部洗浄孔72に溜まり、外部洗浄孔72が洗浄液で満たされて、各ニードル41Xa、41Xbの外面が洗浄液で洗浄される(ニードル41Xa、41Xbが外部洗浄される)。
【0151】
外部洗浄孔72からオーバーフローした洗浄液は、洗浄ブロック70の上面に設けられた連通路79を通って対応する内部洗浄孔71に流れる。内部洗浄孔71に達した洗浄液は、第1排出ライン73を介して第3排出ライン77に排出される。外部洗浄の間、第2排出弁76が閉じられているため、外部洗浄孔72内に、下流側から(排出ポンプ78の側から)菌が進入することを防止でき、外部洗浄孔72の清潔性を向上させることができる。また、外部洗浄の間、外部洗浄孔72自体を洗浄することにもなる。一方、第1排出弁75を閉じるとともに第2排出弁76を開いて、排出ポンプ78を駆動して内部洗浄孔71にニードル41Xa、41Xbを挿入して洗浄液を吐出させると、内部洗浄孔71から洗浄液をオーバーフローさせることができ、内部洗浄孔71自体を洗浄することもできる。
【0152】
外部洗浄の後、第1アクチュエータ51が駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは外部洗浄孔72から後退し、外部洗浄孔72から引き出される。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、再び外部洗浄対向位置P3に位置づけられる。
【0153】
(ニードルの除染工程)
ニードル41Xa、41Xbが外部洗浄対向位置P3に位置づけられた後、第1ニードル装置41Xが回動し、除染ブロック90においてニードル41Xa、41Xbが除染される。
【0154】
この場合、まず、
図19に示すように、第2アクチュエータ52が駆動されて、2つのニードル41Xa、41Xbは、外部洗浄対向位置P3から回動して除染対向位置P4に位置づけられる。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、除染ブロック90の対応する除染孔91にそれぞれ整列される。
【0155】
続いて、第1アクチュエータ51が駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは、除染対向位置P4から対応する除染孔91に向かって前進し、除染孔91に挿入される。この際、除染孔91へのニードル41Xa、41Xbの挿入深さは、上述した細胞の播種工程や継代工程、回収工程時に培養容器100の流入口103および流出口105に差し込まれるニードル41Xa、41Xbの差込深さよりも深いことが好ましい。
【0156】
次に、除染ブロック90のヒータが駆動されて、除染孔91に挿入されたニードル41Xa、41Xbが加熱され、除染される。
【0157】
除染の後、ヒータを停止する。また、第1アクチュエータ51が駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは、除染孔91から後退し、除染孔91から引き出される。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、再び除染対向位置P4に位置づけられる。
【0158】
このようにして、ニードル41Xa、41Xbを、洗浄ブロック70で洗浄させることができるとともに、除染ブロック90で除染させることができる。このため、コンタミネーションを防止できるとともに、ニードル41Xa、41Xbの交換を不要にすることができる。
【0159】
その後、上述した細胞の播種工程や、継代工程、回収工程を行う場合には、第2アクチュエータ52が駆動されて、第1ニードル装置41Xが回動する。このことにより、2つのニードル41Xa、41Xbは、容器対向位置P1に位置付けられる。
【0160】
このように本実施の形態によれば、デキャッパ400は、ニードル41Xa、41Xbが前進する際、キャップ300のヘッド302が第1外部403から貫通孔401を通過して第2外部404に達することができ、ニードルが後退する際、ヘッド302が第2外部404に位置付けられたキャップ300を係止する、ように構成されている。そして、第1アクチュエータ51は、ヘッド302が第2外部404に達するまでニードル41Xa、41Xbを前進させ、その後にニードル41Xa、41Xbを後退させる。このことにより、ニードル41Xa、41Xbに取り付けられていたキャップ300を、ニードル41Xa、41Xbから自動的に取り外すことができる。すなわち、無菌チャンバ27内をガス除染した後には、無菌チャンバ27を開放することなく、キャップ300をニードル41Xa、41Xbから取り外すことができる。このため、ニードル41Xa、41Xbを無菌チャンバ27内に設置する前に、ニードル41Xa、41Xbの内部流路を放射線滅菌することができ、内部流路を短時間で均一に除染処理することができる。この結果、除染処理を均質に行うことができるとともに、除染処理時間を短縮させることができる。除染処理時間を短縮させることができる。
【0161】
また、本実施の形態によれば、デキャッパ本体402は、ニードル41Xa、41Xbが前進する際、半径方向外側に弾性変形する。このことにより、前進するキャップ300のヘッド302がデキャッパ本体402の貫通孔401を通過することができ、第2外部404に達することができる。ヘッド302が第2外部404に達した後には、デキャッパ本体402は、弾性作用によって、弾性変形していた部分が半径方向内側に変位して元の状態に戻ることができる。このため、後退するヘッド302をデキャッパ400に係止することができ、キャップ300からニードル41Xa、41Xbを引き抜くことができる。
【0162】
また、本実施の形態によれば、デキャッパ本体402に、スリット407が設けられている。このことにより、ニードル41Xa、41Xbが前進する際、デキャッパ本体402の半径方向外側への弾性変形を容易化させることができる。このため、第1アクチュエータ51の駆動力の増大を抑制できる。
【0163】
また、本実施の形態によれば、ニードル41Xa、41Xbが後退する際、デキャッパ本体402の第2端部406にキャップ300のヘッド302が当接する。このことにより、キャップ300を安定した姿勢で係止させることができ、キャップ300からニードル41Xa、41Xbをより一層確実に引き抜くことができる。
【0164】
さらに、本実施の形態によれば、キャップ300のヘッド302は、先端面と側面とを接続した面取部303を含んでいる。このことにより、ニードル41Xa、41Xbが前進する際、ヘッド302は、デキャッパ本体402を半径方向外側に押圧しながら、スムースに前進することができる。このため、第1アクチュエータ51の駆動力の増大を抑制できる。
【0165】
なお、上述した本実施の形態においては、デキャッパ400のデキャッパ本体402が、円錐台筒状に形成されて、4つのスリット407が設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、スリット407の個数は、ニードル41Xa、41Xbが前進する際、デキャッパ本体402の半径方向外側へ弾性変形させることができれば、任意である。また、スリット407は、デキャッパ本体402を貫通していない例を示したが、デキャッパ本体402の第1端部405が、実質的に変位不能に固定できれば、デキャッパ本体402を貫通させていてもよい。
【0166】
また、上述した本実施の形態においては、デキャッパ400のデキャッパ本体402は、ニードル41Xa、41Xbが前進する際、ヘッド302が通過可能となるように、中心軸線CLに対して直交する方向において外側に(半径方向外側に)弾性変形可能に構成されているとともに、キャップ本体301自体は、実質的には変形しない例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、
図20および
図21に示すように、ニードル41Xa、41Xbが前進する際、ヘッド302が貫通孔401を通過可能となるように、キャップ300が、中心軸線CLに対して直交する方向において内側に(半径方向内側に)弾性変形可能に構成されるようにしてもよい。この場合、デキャッパ本体402自体は、実質的には変形しないようになっている。この場合においても、前進するキャップ300のヘッド302がデキャッパ本体402の貫通孔401を通過することができ、第2外部404に達することができる。ヘッド302が第2外部404に達した後には、キャップ300は、弾性作用によって、半径方向外側に変位して元の状態に戻ることができる。このため、後退するヘッド302をデキャッパ400の第2端部406に当接させることができ、キャップ300からニードル41Xa、41Xbを引き抜くことができる。
図20、
図21においては、キャップ300のヘッド302が湾曲状に形成されている例が示されているが、ニードル41Xa、41Xbの前進時に、半径方向内側に弾性変形することができれば、このような形状に限られることはない。また、デキャッパ本体402は、円筒状に形成されているが、ニードル41Xa、41Xbの後退時に、ヘッド302を第2端部406に当接させることができれば、このような形状に限られることはない。
【0167】
(第2の実施の形態)
次に、
図22および
図23を用いて、本発明の第2の実施の形態における容器連結装置および容器連結装置の組立方法について説明する。
【0168】
図22および
図23に示す第2の実施の形態においては、容器連結装置が、容器保持部に取り外し可能に保持される取外プレートを備え、キャップ取外部が、取外プレートに設けられている点が主に異なり、他の構成は、
図1〜
図21に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図22および
図23において、
図1〜
図21に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0169】
本実施の形態においては、
図22および
図23に示すように、培養容器連結装置2は、容器保持部40(
図1参照)に取り外し可能に保持されるデキャッパプレート500(取外プレート)を更に備えている。このデキャッパプレート500に、デキャッパ400が設けられている。
【0170】
より具体的には、デキャッパプレート500は、プレート本体501と、プレート本体501に設けられた一対の収容孔502と、を有している。このうちプレート本体501は、
図2および
図3に示す培養容器100と同一の外形を有しており、容器保持部40に取り外し可能に保持されるようになっている。収容孔502は、プレート本体501の長手方向(
図22における左右方向)に沿って延びており、プレート本体501を貫通している。
【0171】
収容孔502には、第1の実施の形態と同様の構成を有するデキャッパ400が取り付けられている。収容孔502は、ニードル41Xa、41Xbの側の第1孔端部502aと、第1孔端部502aとは反対側の第2孔端部502bと、を含んでいる。このうち第1孔端部502aに、デキャッパ400が取り付けられている。デキャッパ400の取付け構造は、第1の実施の形態と同様とすることができる。第2孔端部502bは、デキャッパプレート500の外部に開口し連通している。
【0172】
収容孔502には、ニードル41Xa、41Xbから取り外されたキャップ300を収容して回収するように構成されている。すなわち、収容孔502は、円形状の断面を有しており、キャップ300のヘッド302の外径よりも大きい直径を有している。
【0173】
収容孔502の第2孔端部502bには、収容孔502に収容されたキャップ300を係止するストッパ503が脱着可能に設けられている。このストッパ503は、収容孔502に直交する方向(上方)に延びるねじ孔にねじ込まれたボルトによって構成されている。
【0174】
また、
図22および
図23に示すように、デキャッパプレート500の上面に、収容孔502に連通する通気口504が設けられている。本実施の形態では、通気口504は、収容孔502が延びる方向(
図22における左右方向)に沿って細長状に延びており、スリット状に形成されている。この通気口504の第1孔端部502aの側の端部は、デキャッパ400よりも内側に配置され、第2孔端部502bの側の端部は、ストッパ503よりも内側に配置されている。
【0175】
本実施の形態における培養容器連結装置2は、第1の実施の形態で説明した手順と同様にして除染処理を伴う組み立てを行うことができる。ここでは、ステップS5(キャップ取外工程)について説明する。
【0176】
まず、容器保持部40に、デキャッパプレート500が保持される。この場合、まず、移動機構部43のリニアシャフトモータ44が駆動されて、容器保持部40が、受渡位置N4に位置付けられる。続いて、この受渡位置N4において、図示しない受渡装置によってデキャッパプレート500が容器保持部40に保持される。次に、移動機構部43のリニアシャフトモータ44が駆動されて、容器保持部40が、キャップ300を取り外す対象となっているニードル装置のニードル対向位置に位置付けられる。ここでは、第1ニードル装置41Xを対象として説明するため、容器保持部40は、第1ニードル対向位置N1に位置付けられる。
【0177】
続いて、第2アクチュエータ52が駆動されて、2つのニードル41Xa、41Xbが、容器対向位置P1に位置付けられる。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、第1ニードル対向位置N1に位置付けられたデキャッパプレート500の対応するデキャッパ400の貫通孔401にそれぞれ整列される。
【0178】
続いて、第1アクチュエータ51が駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは、容器対向位置P1から対応するデキャッパ400の貫通孔401に向かって前進し、ヘッド302は、デキャッパ400の貫通孔401から抜け出て(貫通孔401を通過して)、デキャッパ400の第2外部404に達する。この時点で、第1アクチュエータ51の駆動を止めて、ニードル41Xa、41Xbを停止させる。
【0179】
次に、第1アクチュエータ51が逆方向に駆動されて、ニードル41Xa、41Xbは、第1外部403に向けて後退する。すると、ヘッド302は、デキャッパ本体402の第2端部406に当接し、キャップ300がデキャッパ400に係止される。このようにして、デキャッパ400に係止されたキャップ300からニードル41Xa、41Xbが引き抜かれて、キャップ300がニードル41Xa、41Xbから取り外される。取り外されたキャップ300は、収容孔502のうちデキャッパ400の近傍に置かれる。
【0180】
その後、ニードル41Xa、41Xbは、デキャッパ400の貫通孔401から後退して引き出される。このことにより、ニードル41Xa、41Xbは、再び容器対向位置P1に位置付けられる。
【0181】
培養処理を行う場合には、移動機構部43のリニアシャフトモータ44が駆動されて、容器保持部40が、受渡位置N4に位置付けられる。続いて、この受渡位置N4において、図示しない受渡装置によって、容器保持部40からデキャッパプレート500が取り出されるとともに、この容器保持部40に、培養容器100が保持される。その後、移動機構部43のリニアシャフトモータ44が駆動されて、容器保持部40が、第1ニードル装置41Xに対向する第1ニードル対向位置N1に位置付けられる。
【0182】
ところで、次にニードル41Xa、41Xbからキャップ300を取り外す場合には、上述した手順と同様の手順が繰り返される。このうち、ニードル41Xa、41Xbを前進させてヘッド302が第2端部406に達した際には、収容孔502で既に収容されている1つめのキャップ300が、前進する2つめのキャップ300によって押圧される。このことにより、1つめのキャップ300は、第2端部406の側に移動し、1つめのキャップ300が存在していた位置(デキャッパ400の近傍)に、2つめのキャップ300が置かれる。このようにして、収容孔502には、1つめのキャップ300がストッパ503に係止されるまで、複数のキャップ300が順々に積み重ねられるようにして収容することができる。
【0183】
収容されたキャップ300は、ストッパ503を取り外すことによって、収容孔502から取り出すことができ、取り外されたキャップ300が容易に回収可能になっている。
【0184】
このように本実施の形態によれば、容器保持部40に取り外し可能に保持されたデキャッパプレート500に、デキャッパ400が取り付けられている。このことにより、キャップ300が取り付けられたニードル41Xa、41Xbを、デキャッパプレート500のデキャッパ400の貫通孔401に前進および後退させることで、キャップ300をニードル41Xa、41Xbから自動的に取り外すことができる。すなわち、無菌チャンバ27内をガス除染した後には、無菌チャンバ27を開放することなく、キャップ300をニードル41Xa、41Xbから取り外すことができる。このため、無菌チャンバ27内に設置する前に、ニードル41Xa、41Xbの内部流路を放射線滅菌することができ、内部流路を短時間で均一に除染処理することができる。この結果、除染処理を均質に行うことができるとともに、除染処理時間を短縮させることができる。
【0185】
また、本実施の形態によれば、デキャッパ400が、容器保持部40に取り外し可能に保持されたデキャッパプレート500に取り付けられているため、容器保持部40に保持される培養容器100のスペースを有効利用して、デキャッパ400を配置することができる。この場合、デキャッパ400を取り付けるための取り付けスペースを不要にできる。また、ニードル41Xa、41Xbがデキャッパ対向位置P5(
図4参照)に位置付けられることを不要にでき、第2アクチュエータ52の制御を簡素化させることができる。このため、培養容器連結装置2の構成が複雑化することを防止できる。
【0186】
また、本実施の形態によれば、デキャッパプレート500は、ニードル41Xa、41Xbから取り外されたキャップ300を収容する収容孔502を有している。このことにより、取り外されたキャップ300を収容孔502に収容することができ、キャップ300を容易に回収することができる。
【0187】
また、本実施の形態によれば、収容孔502の第2孔端部502bに、収容孔502に収容されたキャップ300を係止するストッパ503が脱着可能に設けられている。このことにより、収容孔502に収容されたキャップ300が収容孔502から外部にあふれ出すことを防止でき、キャップ300を収容孔502に収容させることができる。
【0188】
また、本実施の形態によれば、デキャッパプレート500の上面に、収容孔502に連通する通気口504が設けられている。このことにより、容器保持部40にデキャッパプレート500を保持してガス除染工程を行う場合に、通気口504から収容孔502に過酸化水素ガスを供給することができる。このため、収容孔502を均一にガス除染することができる。
【0189】
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0190】
上記各実施の形態では、培養処理システムを例にとって本発明による容器連結装置および容器連結装置の組立方法について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、医薬製造システムや各種の分析システムなどのシステムにおいても、液給排装置を容器に連結する無菌チャンバ内に設けられた容器連結装置を含むシステムであれば、本発明による容器連結装置および容器連結装置の組立方法を適用することができる。