(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-34909(P2019-34909A)
(43)【公開日】2019年3月7日
(54)【発明の名称】美白化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20190208BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20190208BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20190208BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20190208BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/85
A61K8/9789
A61Q19/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-157825(P2017-157825)
(22)【出願日】2017年8月18日
(11)【特許番号】特許第6401838号(P6401838)
(45)【特許公報発行日】2018年10月10日
(71)【出願人】
【識別番号】512192532
【氏名又は名称】メディカランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 信一
(72)【発明者】
【氏名】泉 篤史
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD662
4C083CC04
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】優れた美白効果を有する新規な美白化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】美白化粧料組成物は、乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)と、レチノールと、マンダリンオレンジ果皮エキスとを含む。美白化粧料組成物は、化粧水、クリーム、ゲルなどの形態をとり得る。
【効果】優れた美白効果を発揮する新規な美白化粧料組成物が提供された。美白化粧料組成物は、種々の公知の美白成分やそれらの組合せ又はそれらとPLGAの組合せと比較しても美白効果が高い。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸−グリコール酸共重合体と、レチノールと、マンダリンオレンジ果皮エキスとを含む美白化粧料組成物。
【請求項2】
乳酸−グリコール酸共重合体100質量部に対し、レチノールを0.001質量部〜20.00質量部、マンダリンオレンジ果皮エキスを0.01質量部〜20.00質量部含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物全量に対する乳酸−グリコール酸共重合体の含有量が0.00001質量%〜10.00質量%である請求項1又は2記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美白化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
美白化粧料に含まれる美白成分として、レチノール(特許文献1)やマンダリンオレンジ果皮エキス(特許文献2)が知られている。
【0003】
一方、乳酸−グリコール酸共重合体(以下、「PLGA」と呼ぶことがある)は、内部に物質を抱合できるナノ粒子を形成することが公知の物質であり、PLGAナノ粒子の内部に医薬品を抱合させて体内の必要箇所に送達する、薬剤送達系(DDS)が知られている。特に、PLGAにレチノールを抱合させたものも知られている(特許文献3〜5)。しかしながら、PLGAにレチノールを抱合させたものを美白成分として用いることは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-186324号公報
【特許文献2】特開2016-94439号公報
【特許文献3】特開2006-28031号公報
【特許文献4】特開2006-131577号公報
【特許文献5】特開2011-529492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れた美白効果を有する新規な美白化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、PLGAと、レチノールと、マンダリンオレンジ果皮エキスとを含む化粧料が、顕著な美白効果を発揮することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、PLGAと、レチノールと、マンダリンオレンジ果皮エキスとを含む美白化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、優れた美白効果を発揮する新規な美白化粧料組成物が提供された。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の美白化粧料組成物中に必須成分として含まれるPLGA自体及びその製造方法は公知であり、市販もされているので、市販品を用いることができる。PLGAは、ナノ粒子を形成してその内部に所望の物質を抱合することができ、DDSに用いられている。PLGAナノ粒子の粒径は特に限定されず、通常、平均粒径が10nm〜1000nm程度、特に50nm〜400nm程度であるが、これに限定されるものではない。PLGAの配合量は、特に限定されないが、組成物全量に対して通常、0.00001質量%〜10質量%程度、好ましくは、0.01質量%〜5.00質量%程度である。
【0010】
本発明の美白化粧料組成物中に必須成分として含まれるレチノール自体及びその製造方法は公知であり、化粧料に含まれる美白成分としても公知のものである。レチノールも市販されているので、市販品を用いることができる。レチノールの配合量は、特に限定されないが、PLGA100質量部に対して通常、0.001質量部〜20.00質量部程度、好ましくは0.10質量部〜5.00質量部程度である。
【0011】
本発明の美白化粧料組成物中に必須成分として含まれるマンダリンオレンジ果皮エキス自体及びその製造方法は公知であり、化粧料に含まれる美白成分としても公知のものである。マンダリンオレンジ果皮エキスも市販されているので、市販品を用いることができる。レチノールの配合量は、特に限定されないが、PLGA100質量部に対して通常、0.001質量部〜20.00質量部程度、好ましくは0.10質量部〜5.00質量部程度である。
【0012】
本発明の化粧料組成物は、上記各成分を溶媒中に含むものでよく、溶媒としては水が好ましい(少量(5質量%以下程度)のエタノールを含んでいてもよい)。溶媒が水の場合、化粧水の形態となる。化粧水の場合、各成分を水に入れ、ホモジナイズすることにより、本発明の化粧料を製造することができる。また、本発明の化粧料組成物は、化粧水の形態に限らず、周知の方法によりクリームやゲルの形態とすることもできる。クリームの形態にする場合、周知のとおり、モノステアリン酸グリセリル, モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリソルベート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類等の添加剤を、例えば0.10質量%〜20.00質量%程度添加することによりクリームの形態にすることができる。また、ゲルの形態にする場合、周知のとおり、カルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル )クロスポリマー、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、アクリレーツクロスポリマー、ベントナイト類、ヘクトライト類、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、ポリグルタミン酸Na、ポリビニルピロリドン、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、シロキクラゲ多糖体等の添加剤を、例えば0.01質量%〜10.00質量%程度添加することによりゲルの形態にすることができる。
【0013】
本発明の化粧料組成物は、上記した必須成分に加え、化粧料に用いられている各種の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、抗酸化剤、抗菌剤、保湿剤、抗炎症剤等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。抗酸化剤としては、アスコルビン酸およびその誘導体、プラセンタ、ハイドロキノンおよびその誘導体、トラネキサム酸、コウジ酸、トコフェロール、レモン果汁等を例示することができる。抗菌剤としては、パラベン類、フェノキシエタノール、ペンチレングリコール、オクタンジオール等を例示することができる。保湿剤としては、グリセリン、ブチレングリコール、ヒアルロン酸Na、セラミド類、コンドロイチン硫酸Na、コラーゲン、カンゾウ葉エキス、アマチャヅル葉エキス、ゲットウ葉エキス等を例示することができる。抗炎症剤としては、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、オウゴンエキス、オタネニンジンエキス、カミツレエキス、カンゾウフラボノイド等を例示することができる。
【0014】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
実施例1、比較例1〜5
1. 化粧料組成物の調製
下記表1に示す組成の化粧水を調製した。表1に示す各成分を、表1に示す量だけ計り取り、精製水を加えて全量を100gとした。この際、精製水を適量加えた後にホモジナイズし、さらに精製水を加えて全量を100gとした。陽性対照は、トコフェロール(ビタミンE)0.01gを、99%エタノール5.0gに溶解し、精製水を加えて全量を100gとした。陰性対照としては、精製水を用いた。なお、各成分としては市販品を用いた。PLGAの平均粒子径は88nmであった。
【0016】
【表1】
【0017】
2. 美白効果試験
美白効果の評価は、メラノサイト含有ヒト3次元培養表皮モデル(商品名ラボサイト メラノ・モデル、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社製)を使用し、その取り扱い説明書に従って、メラニン生成量を測定することにより行った。具体的には次のとおりに行った。
【0018】
メラノサイト含有ヒト3次元培養表皮モデルに、上記各例の組成物を表2に示す量だけ加え、14日間培養した。陽性対照及び陰性対照は、各0.05mL添加した。培養した3次元培養表皮をマイクロチューブに回収し、緩衝液(1% SDS、0.05mmol/L EDTA、10 mmol/L Tris-HCl)150μLを加えて浸漬させた。これに、プロテアーゼK(5mg/mL)3μLを添加し、45℃で16時間処理し、さらに、プロテアーゼK(5mg/mL)3μLを添加し、45℃で4時間処理した。前記処理後、500mmol/L 炭酸ナトリウムを含有する30% 過酸化水素水25μLを添加し、80℃で30分反応させた。前記反応液を遠心分離(15,000rpm、10分)して、上清を回収した。前記上清について、波長405nmの吸光度(Abs.405nm)と波長570nmの吸光度(Abs.570nm)とを測定し、Abs.405nmからAbs.570nmを差し引いた。そして、別途作成した検量線から、ウェルあたりのメラニン量を算出した。また、生成メラニン量について、陰性対照における生成メラニン量を100%として、相対値を求めた。なお、同じ実験を3回行い、平均値をとった。結果を下記表2に示す。
【0019】
メラニン量(%)=〔Bs-Bb / Bn-Bb〕×100
Bs: 評価物質の吸光度(405nm-570nm)
Bn: 陽性対照(ビタミンE:)の吸光度(405nm-570nm)
Bb:陰性対象(ブランク):精製水(IPA単独)吸光度
【0020】
また、メラノサイトの生存率も確認した。これは具体的には、MTT(3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)試薬を使用して、前記取り扱い説明書に従って求めた。陰性対照の生細胞数を100%として、相対値を求めた。その結果、各例、各添加量とも、生存率は97%以上であり、細胞の死滅はほとんど起きていないことが確認された。
【0021】
【表2】
【0022】
表2に示されるとおり、特に添加量0.5mLの結果に最もよく表されているように、本発明の組成物を0.5mL添加した場合には、メラニン生成量が32%にまで低減されるのに対し、公知の美白成分や、それらとPLGAとの様々な組合せである比較例1〜5では、最良のもの(比較例2)でもメラニン生成量は51%にまでしか低減されておらず、本発明の組成物の顕著な美白効果が確認された。
【手続補正書】
【提出日】2018年8月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸−グリコール酸共重合体と、レチノールと、マンダリンオレンジ果皮エキスとを含む美白化粧料組成物であって、乳酸−グリコール酸共重合体100質量部に対し、レチノールを0.10質量部〜5.00質量部、マンダリンオレンジ果皮エキスを0.10質量部〜5.00質量部含み、組成物全量に対する乳酸−グリコール酸共重合体の含有量が0.01質量%〜5.00質量%である、美白化粧料組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
すなわち、本発明は、PLGAと、レチノールと、マンダリンオレンジ果皮エキスとを含む美白化粧料組成物
であって、PLGA100質量部に対し、レチノールを0.10質量部〜5.00質量部、マンダリンオレンジ果皮エキスを0.10質量部〜5.00質量部含み、組成物全量に対するPLGAの含有量が0.01質量%〜5.00質量%である、美白化粧料組成物を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の美白化粧料組成物中に必須成分として含まれるPLGA自体及びその製造方法は公知であり、市販もされているので、市販品を用いることができる。PLGAは、ナノ粒子を形成してその内部に所望の物質を抱合することができ、DDSに用いられている。PLGAナノ粒子の粒径は特に限定されず、通常、平均粒径が10nm〜1000nm程度、特に50nm〜400nm程度であるが、これに限定されるものではない。PLGAの配合量
は、組成物全量に対し
て0.01質量%〜5.00質量
%である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の美白化粧料組成物中に必須成分として含まれるレチノール自体及びその製造方法は公知であり、化粧料に含まれる美白成分としても公知のものである。レチノールも市販されているので、市販品を用いることができる。レチノールの配合量
は、PLGA100質量部に対し
て0.10質量部〜5.00質量
部である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の美白化粧料組成物中に必須成分として含まれるマンダリンオレンジ果皮エキス自体及びその製造方法は公知であり、化粧料に含まれる美白成分としても公知のものである。マンダリンオレンジ果皮エキスも市販されているので、市販品を用いることができる。
マンダリンオレンジ果皮エキスの配合量
は、PLGA100質量部に対し
て0.10質量部〜5.00質量
部である。