(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-36702(P2019-36702A)
(43)【公開日】2019年3月7日
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20190208BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20190208BHJP
H01F 27/02 20060101ALI20190208BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20190208BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20190208BHJP
H01F 1/153 20060101ALI20190208BHJP
H01F 1/26 20060101ALI20190208BHJP
【FI】
H01F15/10 C
H01F17/04 Z
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F15/02 K
H01F17/00 B
H01F27/24 D
H01F1/153 108
H01F1/26
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-4788(P2018-4788)
(22)【出願日】2018年1月16日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0104806
(32)【優先日】2017年8月18日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リ、ファン ソー
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ユン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スン ミン
【テーマコード(参考)】
5E041
5E070
【Fターム(参考)】
5E041AA11
5E041AA19
5E041BB05
5E041BD03
5E041BD12
5E041BD13
5E041CA01
5E041NN06
5E070AA01
5E070AB03
5E070BB03
5E070CB06
5E070CB12
5E070CB17
5E070CB18
5E070DA13
5E070DA15
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】パワーインダクタとビーズの機能が一体化された小型のコイル部品を提供することである。
【解決手段】2.4mm
3以下の体積を有し、少なくとも一つのコイル部が埋め込まれた本体と、上記本体の第1面、及び上記第1面に対向する第2面の全部又は一部にそれぞれ形成された第1及び第2外部電極と、を含み、上記本体の第1及び第2外部電極のうち上記本体の第1及び第2面上に配置された領域の面積をS(mm
2)とし、上記本体の第1及び第2面に形成された第1及び第2外部電極間の最小離隔距離をl(mm)とするとき、Ls(μH)とS/l(mm)の積が0.45(μH・mm)以上0.75(μH・mm)以下であるコイル部品が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2.4mm3以下の体積を有し、少なくとも一つのコイル部が埋め込まれた本体と、前記本体の第1面、及び前記第1面に対向する第2面の全部又は一部にそれぞれ形成された第1及び第2外部電極と、を含み、
前記本体の前記第1及び第2外部電極のうち前記本体の前記第1及び第2面上に配置された領域の面積をS(mm2)とし、前記本体の前記第1及び第2面に形成された前記第1及び第2外部電極間の最小離隔距離をl(mm)とするとき、Ls(μH)とS/l(mm)の積が0.45(μH・mm)以上0.75(μH・mm)以下である、コイル部品。
【請求項2】
前記本体は2.2mm3以下の体積を有する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記Ls(μH)とS/l(mm)の積が0.50(μH・mm)以上0.70(μH・mm)以下である、請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記Lsは0.68〜2.2μHの値を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
SRF(Self Resonant Frequency)が95〜105MHzに位置する、請求項1から4項のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1及び第2外部電極は、前記第1及び第2面と連結される他の面のうち少なくとも一つの面に延長形成される、請求項1から5項のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記本体は、平均粒径が異なる第1及び第2磁性粉末を含む、請求項1から6項のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1磁性粉末は1〜3μmの平均粒径を有し、前記第2磁性粉末は20〜24μmの平均粒径を有する、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1磁性粉末はFe系結晶質粉末であり、前記第2磁性粉末はFeCrSi系非晶質粉末である、請求項7又は8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記コイル部は、
コイル基板と、
前記コイル基板の一面、及び前記一面に対向する他面にそれぞれ形成された第1及び第2コイル導体と、を含む、請求項1から9項のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1コイル導体は、前記本体の第1面に露出するように延長形成された第1リードを有し、前記第2コイル導体は、前記本体の第2面に露出するように延長形成された第2リードを有する、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第1及び第2コイル導体は、前記コイル基板を貫通する内部ビアを介して互いに連結されている、請求項10又は11に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記本体の外面のうち前記第1及び第2外部電極が形成された領域を除いた領域に形成された表面絶縁層をさらに含む、請求項1から12項のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線電力伝送技術の応用範囲が広がるにつれて、電力増幅機(Power Amplifier)の効率を向上させるための様々な試みがなされてきており、その中心にアクティブ電圧の制御を用いたエンベロープトラッキング(Envelope Tracking、ET)技術がある。
【0003】
一般に、エンベロープトラッキング(Envelope Tracking、ET)技術を実現するためのET IC(Envelope Tracking Integrated Circuit)の出力(output)端には電力増幅機側にパワーを供給する機能を行いながらも、動作時の高周波ノイズ(50MHz以上、例えば、80〜130MHz)が電力増幅機側に伝達されないように、積層セラミックキャパシタの他にも、パワーインダクタ(power inductor)及びビーズ(bead)が採用されている。
【0004】
一方、最近の電子製品の小型化の傾向に伴い、ET IC(Envelope Tracking Integrated Circuit)の出力(output)端に配置されるパワーインダクタ(power inductor)及びビーズ(bead)の機能をともに行うことができるコイル部品を提供しようとする試みがなされている。しかし一般に、小型のコイル部品の場合は、SRF(Self Resonant Frequency)が過度に高い高周波領域で形成されることから、磁性材料の種類又は電極形状を変更せずには実現することが難しかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの目的のうちの一つは、パワーインダクタ(power inductor)とビーズ(bead)の機能が一体化された小型のコイル部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によるコイル部品は、2.4mm
3以下の体積を有し、少なくとも一つのコイル部が埋め込まれた本体と、上記本体の第1面、及び上記第1面に対向する第2面の全部又は一部にそれぞれ形成された第1及び第2外部電極と、を含み、上記本体の第1及び第2外部電極のうち上記本体の第1及び第2面上に配置された領域の面積をS(mm
2)とし、上記本体の第1及び第2面に形成された第1及び第2外部電極間の最小離隔距離をl(mm)とするとき、Ls(μH)とS/l(mm)の積が0.45(μH・mm)以上0.75(μH・mm)以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、小型でありながらも、SRF(Self Resonant Frequency)が比較的低周波領域で形成され、SRF付近で高インピーダンスを有する、パワーインダクタ(power inductor)とビーズ(bead)の機能が一体化されたコイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態によるコイル部品を示す概略的な斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるコイル部品のコイル部が現れるように示す概略的な斜視図である。
【
図3】
図1のI−I'面に沿って切断した概略的な断面図である。
【
図4】
図1のII−II'面に沿って切断した概略的な断面図である。
【
図5】容量が1μHであり、長さ方向の両端面にそれぞれ第1及び第2外部電極が形成された複数のコイル部品を対象に、S/lに対する寄生容量値を測定したグラフである。
【
図6】
図5の複数のコイル部品を対象に、S/lに対するSRF値を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0010】
本発明で用いられた「一例(one example)」という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対であるか矛盾する説明がない限り、他の一例に関連する説明であると理解されることができる。
【0011】
以下では、本発明の一実施形態によるコイル部品を説明するにあたり、特に薄膜型インダクタを例に挙げて説明するが、必ずしもこれに制限されるものではなく、巻線型インダクタや、積層型インダクタなどにも適用可能であることは言うまでもない。
【0012】
図1は本発明の一実施形態によるコイル部品を示す概略的な斜視図であり、
図2は本発明の一実施形態によるコイル部品のコイル部が現れるように示す概略的な斜視図であり、
図3は
図1のI−I'面に沿って切断した概略的な断面図であり、
図4は
図1のII−II'面に沿って切断した概略的な断面図である。
【0013】
図1に示すことを基準に、下記の説明において、「長さ」方向を
図1の「X」方向、「幅」方向を「Y」方向、及び「厚さ」方向を「Z」方向と定義することができる。
【0014】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるコイル部品は、コイル導体12を含むコイル部10と、コイル部の周りに形成されて、コイル部品の外観を構成する本体20と、及び本体の外部に配置される第1及び第2外部電極31、32と、を含んで構成されることができる。
【0015】
コイル部10は、コイル基板11と、コイル基板の一面、及び上記一面に対向する他面にそれぞれ形成された第1及び第2コイル導体12a、12bと、を含むことができる。
【0016】
第1及び第2コイル導体12a、12bは、らせん(spiral)状を有する平面コイルであってもよく、コイル基板11を貫通する内部ビア13を介して電気的に連結されることができる。
【0017】
第1及び第2コイル導体12a、12bは、コイル基板11上に電気めっき法によって形成されることができる。但し、必ずしもこれに制限されるものではなく、これと類似の効果を奏することができるものであれば当技術分野において公知の他の工程を用いることもできる。
【0018】
第1及び第2コイル導体12a、12bは、電気伝導性に優れた金属を含んで形成されることができ、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、又はこれらの合金などで形成されることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0019】
第1コイル導体12aの一端は延長されて第1リード14aを形成し、上記第1リード14aは本体20の長さ(L)方向の一端面に露出することができる。また、上記第2コイル導体12bの一端は延長されて第2リード14bを形成し、上記第2リード14bは本体20の長さ(L)方向の他端面に露出することができる。但し、必ずしもこれに制限されるものではなく、第1及び第2リード14a、14bは、上記本体20の少なくとも一面に露出することができる。
【0020】
第1及び第2コイル導体12a、12bは、コイル絶縁層17で被覆されて本体20をなす磁性材料と直接接触しない。コイル絶縁層17は、エポキシ(Epoxy)、ポリイミド(Polyimide)、及び液晶性ポリマー(LCP、Liquid Crystalline Polymer)からなる群より選択された1種以上を含むことができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0021】
コイル基板11は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板などであってもよい。
【0022】
コイル基板11の中央部には貫通孔が形成されることができ、上記貫通孔は、磁性材料で充填されて、コア部25を形成することもできる。このように、磁性材料で充填されるコア部25を形成する場合には、磁束が通過する磁性体の面積が増加して、インダクタンス(L)をより向上させることができる。
【0023】
但し、コイル基板11は、必ずしも含まれる必要がなく、コイル基板を含まず、金属ワイヤ(wire)でコイル部を形成することもできる。
【0024】
本体20は、コイル部の周りをカバーしてコイル部品の外観を構成する。本体20は、長さ方向に向かい合う両端面、幅方向に向かい合う両側面、及び厚さ方向に向かい合う上面及び下面で構成されるほぼ六面体状であることができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
本体20は、平均粒径が異なる第1及び第2磁性粉末21a、21bを含むことができる。第1及び第2磁性粉末21a、21bは、熱硬化性樹脂に分散されて含まれることができる。この際、上記熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(Polyimide)などであってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0026】
第1磁性粉末21aは平均粒径が0.5〜3μmであるFe系結晶質粉末であり、第2磁性粉末21bは平均粒径が15〜30μmであるFeCrSi系非晶質粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0027】
ここで、平均粒径とは、磁性粉末の粒度別個数を測定して、正規分布曲線、又はこれと類似の分布曲線を示したとき、頻度が最大の地点における磁性粉末の粒径を意味する。
【0028】
一方、本実施形態では、平均粒度が異なる2種の磁性粉末を有する場合を例示したが、3種又はそれ以上の磁性粉末を有する場合を排除しない。
【0029】
外部電極31、32は、コイル部品が回路基板などに実装されるとき、コイル部品を回路基板などと電気的に連結させる役割を果たす。また、外部電極31、32は、コイル導体12の一対の引き出し部とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極31、32を含むことができる。
【0030】
外部電極31、32は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成されることができ、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、スズ(Sn)の単独又はこれらの合金などで形成されることができる。
【0031】
外部電極31、32を形成する方法は、特に制限されず、例えば、ディッピング法(dipping)又はめっき法(plating)によって形成することができる。
【0032】
外部電極31、32の形状も、特に制限されず、例えば、本体の長さ方向の両端面の全部又は一部にそれぞれ形成されてもよく、長さ方向の両端面の全部又は一部に形成され、上記長さ方向の両端面と連結される他の面のうち少なくとも一つの面に延長形成されて、アルファベットのC字形状又はL字形状を有してもよい。
【0033】
本発明は、本体の体積(長さ×幅×厚さ)が2.4mm
3以下(好ましくは、2.2mm
3以下)である小型のコイル部品を対象とする。一般に、かかる小型のコイル部品の場合は、上述のように、SRF(Self Resonant Frequency)が過度に高い高周波領域(約150MHz)で形成されることから実現することが難しかった。そのため、本体をなす磁性材料を変更したり、又は内部電極の形状を変更したりすることにより、SRFを比較的低周波領域に移動させる試みを行ってきたが、この場合、製品の信頼性、実装時の固着強度などが問題となって商用化が難しくなるという問題があった。
【0034】
そこで、本発明では、磁性材料の種類や内部電極の形状などを変更することなく、外部電極の形状などを調節して、目的とするSRF特性を実現しようとした。以下、これについてより詳細に説明する。
【0035】
下記式1は、コイル部品のSRF特性に関するものである。
【数1】
(ここで、Lとはインダクタンスを意味し、Cとは容量を意味する)
【0036】
上記式1に示すように、SRFの位置を調節するためには、寄生容量の制御が要求されることが分かる。
【0037】
図5は、容量が1μHであり、長さ方向の両端面にそれぞれ第1及び第2外部電極が形成された複数のコイル部品を対象に、S/lに対する寄生容量値を測定したグラフである。
【0038】
ここで、Sとは、本体の長さ方向の両端面上に配置された第1及び第2外部電極の面積(mm
2)を意味する。換言すると、第1及び第2外部電極のうち本体の長さ方向の両端面に形成された部分における本体の長さ方向の両端面と重なる領域の面積(mm
2)を意味する。また、lとは、本体の長さ方向の両端面に形成された第1及び第2外部電極間の最小離隔距離(mm)を意味する。換言すると、第1及び第2外部電極が形成された本体の長さ方向の両端面間の最小離隔距離(mm)を意味する。
【0039】
図5を参照すると、S/lと寄生容量との間に強い線形性が現れることが確認できる。式1をもとに、コイル部品のSRF値は〜1/sqrt(S/l)に従うことが予想できる。
【0040】
よって、
図5の複数のコイル部品を対象にSRF値を測定し、その結果を
図6に示した。
図6を参照すると、予想値と類似の傾向を有することが実験的に確認できる。
【0041】
すなわち、
図5及び
図6から、第1及び第2外部電極のうち本体の長さ方向の両端面に形成された領域のそれぞれの面積と、第1及び第2外部電極が形成された本体の長さ方向の両端面間の最小離隔距離とが、SRF値に大きな影響を及ぼすことが確認できた。
【0042】
一方、式1を参照すると、SRFはインダクタンス(Ls)値によっても敏感に変動することから、Lsを0.68〜2.2μHの範囲で変化させながら、S/lの値を様々に変化させることでSRFの位置を比較的低周波領域(約95〜105MHz)に位置させるための最適な範囲を導出しようと試みていることが分かる。その結果、Ls(μH)とS/l(mm)の積を0.45(μH・mm)以上0.75(μH・mm)以下(より好ましくは、0.50(μH・mm)以上0.70(μH・mm)以下)に制御する場合、SRFが比較的低周波領域(約95〜105MHz)に位置することを確認できた。
【0043】
ET IC(Envelope Tracking Integrated Circuit)の出力(output)端に配置されるパワーインダクタ(power inductor)の場合、SRF値(すなわち、インピーダンスの最大値が位置する周波数)を約100MHzに位置させてRx(受信端)帯域雑音(band noise)を遮断(blocking)しようとするニーズ(needs)が存在する点において、本発明のコイル部品は、ET IC(Envelope Tracking Integrated Circuit)の出力(output)端に配置されるパワーインダクタ(power inductor)として好ましく適用されることができる。
【0044】
一例によると、本体20の外面のうち、第1及び第2外部電極31、32が形成された領域を除いた領域に表面絶縁層22が形成されることができる。この場合、PMIC動作時の高周波帯域(通常1MHz〜SRF区間)のAC漏れ(AC Leakage)を減らすことができるという長所がある。この際、表面絶縁層22は、エポキシ(Epoxy)を含むことができ、約5μm程度の厚さを有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0045】
一方、本明細書において、第1、第2などの表現は、一つの構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるもので、該当する構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、本発明の範囲を外れずに、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0047】
10 コイル部
11 コイル基板
12 コイル導体
12a、12b 第1及び第2コイル導体
13 内部ビア
14a、14b 第1及び第2リード
17 コイル絶縁層
20 本体
21a、21b 第1及び第2磁性粉末
22 表面絶縁層
25 コア部
31、32 第1及び第2外部電極
【手続補正書】
【提出日】2018年12月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2.4mm3以下の体積を有し、少なくとも一つのコイル部が埋め込まれた本体と、前記本体の第1面、及び前記第1面に対向する第2面の全部又は一部にそれぞれ形成された第1及び第2外部電極と、を含み、
前記本体の前記第1及び第2外部電極のうち前記本体の前記第1及び第2面上に配置された領域の面積をS(mm2)とし、前記本体の前記第1及び第2面に形成された前記第1及び第2外部電極間の最小離隔距離をl(mm)とするとき、Ls(μH)とS/l(mm)の積が0.45(μH・mm)以上0.75(μH・mm)以下であり、
前記本体は、Fe系結晶質粉末である第1磁性粉末及びFeCrSi系非晶質粉末である第2磁性粉末を含む、コイル部品。
【請求項2】
前記本体は2.2mm3以下の体積を有する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記Ls(μH)とS/l(mm)の積が0.50(μH・mm)以上0.70(μH・mm)以下である、請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記Lsは0.68〜2.2μHの値を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
SRF(Self Resonant Frequency)が95〜105MHzに位置する、請求項1から4項のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1及び第2外部電極は、前記第1及び第2面と連結される他の面のうち少なくとも一つの面に延長形成される、請求項1から5項のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記本体は、平均粒径が異なる前記第1及び第2磁性粉末を含む、請求項1から6項のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1磁性粉末は0.5〜3μmの平均粒径を有し、前記第2磁性粉末は15〜30μmの平均粒径を有する、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記コイル部は、
コイル基板と、
前記コイル基板の一面、及び前記一面に対向する他面にそれぞれ形成された第1及び第2コイル導体と、を含む、請求項1から8項のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1コイル導体は、前記本体の第1面に露出するように延長形成された第1リードを有し、前記第2コイル導体は、前記本体の第2面に露出するように延長形成された第2リードを有する、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1及び第2コイル導体は、前記コイル基板を貫通する内部ビアを介して互いに連結されている、請求項9又は10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記本体の外面のうち前記第1及び第2外部電極が形成された領域を除いた領域に形成された表面絶縁層をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のコイル部品。