特開2019-39613(P2019-39613A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-39613(P2019-39613A)
(43)【公開日】2019年3月14日
(54)【発明の名称】クリーンルーム設備
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20190215BHJP
   A61L 9/015 20060101ALI20190215BHJP
   A61L 2/20 20060101ALI20190215BHJP
   A61L 101/08 20060101ALN20190215BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20190215BHJP
   A61L 101/32 20060101ALN20190215BHJP
   A61L 101/44 20060101ALN20190215BHJP
【FI】
   F24F7/06 C
   A61L9/015
   A61L2/20 106
   A61L2/20 102
   A61L2/20 104
   A61L2/20
   A61L101:08
   A61L101:22
   A61L101:32
   A61L101:44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-162199(P2017-162199)
(22)【出願日】2017年8月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】逵 一弘
(72)【発明者】
【氏名】竹内 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】川口 渚
【テーマコード(参考)】
3L058
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
3L058BF02
4C058AA23
4C058BB07
4C058JJ13
4C058JJ15
4C058JJ16
4C058JJ21
4C180AA07
4C180CA06
4C180EA53X
4C180EA57X
4C180EB03X
4C180EB05X
4C180EB09X
4C180HH05
4C180KK03
4C180MM10
(57)【要約】
【課題】ガス供給装置から筐体内に供給可能なガス量が少なくなって、除染工程が長くなる。
【解決手段】本発明のクリーンルーム設備は、筐体と、筐体の一端側に配置され、筐体の内部にガスを供給するガス供給管と、筐体の一端側に配置され、筐体の内部のガスを筐体の外部に排出するガス排出管とを備え、ガス供給管及びガス排出管のいずれかは、筐体の内部に配置された配管部分を有し、配管部分に形成された開口が筐体の他端側に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
上記筐体の一端側に配置され、上記筐体の内部にガスを供給するガス供給管と、
上記筐体の一端側に配置され、上記筐体の内部のガスを上記筐体の外部に排出するガス排出管とを備え、
上記ガス供給管及び上記ガス排出管のいずれかは、上記筐体の内部に配置された配管部分を有し、上記配管部分に形成された開口が上記筐体の他端側に配置されることを特徴とするクリーンルーム設備。
【請求項2】
上記ガス供給管は、上記筐体の内部に配置された配管部分を有し、上記配管部分に形成された開口が上記筐体の他端側に配置されると共に、
上記ガス供給管の内部を通過するガスの温度は、上記筐体の内部温度より高いことを特徴とする請求項1に記載のクリーンルーム設備。
【請求項3】
上記筐体内には、ファン及びフィルタをそれぞれ有する複数のファンフィルタユニットが、上記筐体の一端側から他端側に配列されたことを特徴とする請求項1または2に記載のクリーンルーム設備。
【請求項4】
上記配管部分に形成された開口は、上記筐体の他端に配置されたファンフィルタユニットの上方または下方に配置されることを特徴とする請求項3に記載のクリーンルーム設備。
【請求項5】
上記筐体の内部温度は、上記筐体の外部温度より高いことを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載のクリーンルーム設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば細胞培養関連分野で使用されるクリーンルーム設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細胞培養関連分野において使用されるロボット搬送装置として、例えば筐体内部に設けられた搬送ロボットを用いて、シャーレ等の培養容器を隣接する処理装置としての培養装置との間で受け渡しを行うように構成されたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−92233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
細胞培養関連分野では、筐体の内部を除染ガスにより除染処理等を行う必要がある。したがって、筐体には、ガス供給装置からのガスが供給されるガス供給管と、筐体内のガスをガス供給装置に向かって排出するガス排出管とが接続される。ガス供給装置から供給されたガスが筐体内の全体を流れるようにするためには、ガス供給管とガス排出管とを離して配置する方がよい。したがって、ガス供給管を筐体の一端側に配置し、ガス排出管を筐体の他端側に配置すると、筐体の外部に配置されるガス供給管またはガス排出管の長さが長くなって、ガス供給装置と筐体との間の配管部分においてガスの温度が低下してしまう。筐体に供給されるガスの温度が低下したときに、高温時と同量のガス量を供給するとガスの結露が発生するため、ガス供給装置から筐体内に供給可能なガス量が少なくなって、除染工程が長くなる問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、除染工程を短縮できるクリーンルーム設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明にかかるクリーンルーム設備は、筐体と、上記筐体の一端側に配置され、上記筐体の内部にガスを供給するガス供給管と、上記筐体の一端側に配置され、上記筐体の内部のガスを上記筐体の外部に排出するガス排出管とを備え、上記ガス供給管及び上記ガス排出管のいずれかは、上記筐体の内部に配置された配管部分を有し、上記配管部分に形成された開口が上記筐体の他端側に配置される。
【0007】
このクリーンルーム設備では、ガス供給管及びガス排出管が筐体の一端側に配置されることにより、筐体の外部においてガス供給装置と筐体とを接続する配管長さを短くできる。したがって、筐体の外部において、ガス供給管及びガス排出管内を流れるガスの温度低下が抑制される。よって、本発明では、筐体に供給されるガスの温度を高温に保つことにより、ガス供給装置から筐体内に供給可能なガス量が多くなって、除染工程を短縮できる。
【0008】
第2の発明にかかるクリーンルーム設備は、第1の発明において、上記ガス供給管は、上記筐体の内部に配置された配管部分を有し、上記配管部分に形成された開口が上記筐体の他端側に配置されると共に、上記ガス供給管の内部を通過するガスの温度は、上記筐体の内部温度より高い。
【0009】
このクリーンルーム設備では、ガス供給管の配管部分が、筐体の内部の一端側から他端側に延びるように配置され、ガス供給管の内部を通過するガスの温度は筐体の内部温度より高いことから、ガス供給管の外周面からの放熱により筐体内のガスを加熱できる。したがって、筐体内の温度を所定温度に維持するためのヒータの消費電力を低減できる。
【0010】
第3の発明にかかるクリーンルーム設備は、第1または第2の発明において、上記筐体内には、ファン及びフィルタをそれぞれ有する複数のファンフィルタユニットが、上記筐体の一端側から他端側に配列される。
【0011】
このクリーンルーム設備では、筐体の内部のガスがフィルタを通過するように循環させることで清浄な雰囲気を保つことができる。
【0012】
第4の発明にかかるクリーンルーム設備は、第3の発明において、上記配管部分に形成された開口は、上記筐体の他端に配置されたファンフィルタユニットの上方または下方に配置される。
【0013】
このクリーンルーム設備では、配管部分に形成された開口が筐体の他端に配置されたファンフィルタユニットの上方または下方に配置されることにより、ガス供給管とガス排出管とが離れて配置される。したがって、ガス供給装置から供給されたガスが筐体の全体を流れるようにできる。
【0014】
第5の発明にかかるクリーンルーム設備は、第1−第4の発明のいずれかにおいて、上記筐体の内部温度は、上記筐体の外部温度より高い。
【0015】
このクリーンルーム設備では、筐体の内部温度が筐体の外部温度より高いことから、ガス供給管及びガス排出管が筐体の外部に配置されたとき、ガスの温度が低下しやすい。したがって、本発明により、ガス供給管及びガス排出管内を流れるガスの温度低下を効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
第1の発明では、ガス供給管及びガス排出管が筐体の一端側に配置されることにより、筐体の外部においてガス供給装置と筐体とを接続する配管長さを短くできる。したがって、筐体の外部において、ガス供給管及びガス排出管内を流れるガスの温度低下が抑制される。よって、本発明では、筐体に供給されるガスの温度を高温に保つことにより、ガス供給装置から筐体内に供給可能なガス量が多くなって、除染工程を短縮できる。
【0018】
第2の発明では、ガス供給管の配管部分が、筐体の内部の一端側から他端側に延びるように配置され、ガス供給管の内部を通過するガスの温度は筐体の内部温度より高いことから、ガス供給管の外周面からの放熱により筐体内のガスを加熱できる。したがって、筐体内の温度を所定温度に維持するためのヒータの消費電力を低減できる。
【0019】
第3の発明では、筐体の内部のガスがフィルタを通過するように循環させることで清浄な雰囲気を保つことができる。
【0020】
第4の発明では、配管部分に形成された開口が筐体の他端に配置されたファンフィルタユニットの上方または下方に配置されることにより、ガス供給管とガス排出管とが離れて配置される。したがって、ガス供給装置から供給されたガスが筐体の全体を流れるようにできる。
【0021】
第5の発明では、筐体の内部温度が筐体の外部温度より高いことから、ガス供給管及びガス排出管が筐体の外部に配置されたとき、ガスの温度が低下しやすい。したがって、本発明により、ガス供給管及びガス排出管内を流れるガスの温度低下を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係るクリーンルーム設備の正面側壁部を取り外した状態の正面図である。
図2図2(a)は図1のa−a線における断面図、図2(b)は図1のb−b線における断面図、図2(c)は図1のc−c線における断面図である。
図3図1のd−d線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るクリーンルーム設備について説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態のクリーンルーム設備1は、細胞培養関連分野で使用され、筐体2を有している。筐体2は、例えば内部に設けられた搬送ロボットを用いて、シャーレ等の培養容器を隣接する処理装置としての培養装置との間で受け渡しを行うように構成されている。このような細胞培養関連分野におけるクリーンルーム設備1においては、筐体2の内部のガスがフィルタ5を通過するように循環させることで清浄な雰囲気を保つと共に、除染処理等により内部を清浄に維持される。本実施形態のクリーンルーム設備1では、除染処理等を行わない場合、クリーンエアを循環させることにより筐体2の内部を清浄な雰囲気を保つ。筐体2の内部の圧力は、外気圧より高い圧力になっている。
【0025】
筐体2は、略直方体形状であって、筐体2の内部には、図1図3に示すように、筐体2の長手方向に沿って、6つのファンフィルタユニット3が配列される。ファンフィルタユニット3は、それぞれ、ファン4及びフィルタ5を有している。ファン4は、フィルタ5の上方に配置され、フィルタ5に向かって風を吹き出すように構成される。したがって、ファンフィルタユニット3は、筐体2の内部において、下方に向かう風の流れを形成する。
【0026】
筐体2の内部において、ファンフィルタユニット3より上方の空間は、ファンフィルタユニット3より上流側空間C1であって、ファンフィルタユニット3より下方の空間は、ファンフィルタユニット3より下流側空間C2である。したがって、ファンフィルタユニット3は、それぞれ、ファンフィルタユニット3より上流側空間C1のガスを、フィルタ5を通過させた後、ファンフィルタユニット3より下流側空間C2に流す。
【0027】
ファンフィルタユニット3には、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタや、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタなどの高性能なフィルタ5が組み込まれており、通過するガスの内部に含まれる微小なパーティクルの捕集を行うことができる。
【0028】
筐体2は、図1及び図2に示すように、6つの壁部2a(正面側壁部、背面側壁部、左側壁部、右側壁部、上側壁部、下側壁部)と、14個の柱部材2bとを有している。14個の柱部材2bは、4つの壁部2a(正面側壁部、背面側壁部、左側壁部及び右側壁部)の内周側に配置される。
【0029】
筐体2の右側壁部2aaには、ガス供給装置10から筐体2の内部にガスを供給するガス供給管6が配置される。図2に示すように、筐体2の正面右側には、処理機器2Aが配置される。図1では、処理機器2Aの図示を省略している。処理機器2Aは、略直方体形状であって、筐体2の内部(ファンフィルタユニット3より下方の下流側空間C2)と連通している。処理機器2Aの高さは、筐体2の高さより低い。処理機器2Aの右側壁部2Aaは、筐体2の右側壁部2aaと略同一平面上に配置される。処理機器2Aの右側壁部2Aaには、筐体2の内部のガスを、筐体2の外部のガス供給装置10に向かって排出するガス排出管7が配置される。したがって、ガス供給装置10と筐体2とは、ガス供給管6及びガス排出管7により接続される。
【0030】
クリーンルーム設備1では、筐体2の内部にガスを供給するガス供給管6と、筐体2内のガスを筐体2の外部に排出するガス排出管7が、いずれも筐体2の右側(長手方向の一端側)に配置される。ガス供給管6は、筐体2の内部に配置された直線状の配管部分6aを有し、配管部分6aに形成されたガス供給口6bが筐体2の左側(長手方向の他端側)に配置される。したがって、ガス供給管6の配管部分6aは、筐体2の内部の一端側から他端側に延びるように配置される。よって、ガス供給管6の配管部分6aは、筐体2の下側壁部に沿って、筐体2の右側壁部2aaから左側壁部2abに向かって延在している。本実施形態では、ガス供給管6の配管部分6aは、ファンフィルタユニット3より下流側空間C2において、仕切部材16より下方の走行空間C2bに配置される。ガス供給管6の配管部分6aの先端部には、ガス供給口6bとなる開口が形成される。ガス供給口6bは、筐体2の左側の端部(長手方向の他端)に配置されたファンフィルタユニット3の下方に配置される。ガス供給口6bは、筐体2の左側壁部2abから所定距離だけ離れて配置され、左側壁部2abに向かってガスを供給する。ガス供給管6の配管部分6aは、ステンレス(SUS304,316等)の金属製である。
【0031】
本実施形態では、筐体2の外部には、除染処理等を行うための除染ガスを供給するガス供給装置10が配置され、ガス供給装置10からガス供給管6を介して筐体2の内部に除染ガスが供給され、筐体2の内部から排出された除染処理等により汚れた除染ガスは、ガス排出管7を介してガス供給装置10の内部において触媒により取り除かれる。したがって、除染処理等が行われる場合、除染処理等を行うための除染ガスをガス供給部6から筐体2の内部(ファンフィルタユニット3より下流側空間C2の走行空間C2b)に供給し、筐体2の内部の除染処理等を行うと共に、筐体2の内部に供給した除染ガス(除染処理等により汚れた除染ガスを含む)をガス排出部7から筐体2の外部に排出し、筐体2の内部の清浄度を向上させることができる。除染処理等が行われるとき、筐体2の内部温度は、図示しないヒータ等により、筐体2の外部温度より高い温度に制御される。ガス供給装置10から供給され、ガス供給管6の内部を通過するガスの温度は、筐体2の内部温度より高い。
【0032】
本実施形態では、除染処理等を行うための除染ガスとして、過酸化水素が使用される。除染処理等を行うための除染ガスは、過酸化水素に限られず、エチレンオキサイド、ホルムアルデヒド、過酢酸、二酸化塩素などを使用してよい。本実施形態において、除染処理とは、筐体2の内部空間の微生物を指定されたレベルまで減少させることである。
【0033】
筐体2の正面側壁部には、5つの開口を塞ぐ扉2cが取り付けられ、背面側壁部には、6つの開口を塞ぐ扉2cが取り付けられている。筐体2の内部において、背面側壁部の内周側の柱部材2bの下端部には、水平方向に延びたガイド部材8が取り付けられる。ガイド部材8は、搬送ロボット11を移動可能に支持する部材である。したがって、搬送ロボット11は、扉2cが開放された開口を介して、シャーレ等の培養容器を隣接する処理装置としての培養装置との間で受け渡しを行うことができる。
【0034】
搬送ロボット11は、搬送物を保持した状態で搬送する搬送部11aと、搬送部11aの下方に配置され、ガイド部材8に対し移動可能に支持された走行部11bと、搬送部11aと走行部11bとを接続した接続部11cとを有している。搬送部11aは、搬送物を保持する部分を有し、走行部11bは、ガイド部材8に対し移動可能に支持された部分を有している。走行部11bの下部には、搬送ロボット11と制御部とを接続する接続部材11dが取り付けられている。したがって、搬送ロボット11の走行部11bは、ガイド部材8に沿って移動可能に構成される。
【0035】
本実施形態において、筐体2の内部は、仕切部材16により、搬送部11aが配置された搬送空間C2aと、走行部11bが配置された走行空間C2bとが仕切られる。したがって、ファンフィルタユニット3より下流側空間C2は、搬送空間C2a及び走行空間C2bとを有している。筐体2の内部において、搬送空間C2aの圧力は、走行空間C2bの圧力より高い。搬送空間C2aの圧力及び走行空間C2bの圧力は、図示しない圧力センサにより検出される。このような圧力を維持するため、搬送空間C2aのガスが走行空間C2bに流れやすい。したがって、走行空間C2bからのパーティクルが搬送空間C2aに逆流する可能性が低くなり、搬送空間C2aの清浄度維持がしやすくなる。
【0036】
仕切部材16は、筐体2の正面側壁部及び背面側壁部の内周面から内側に向かってそれぞれ延びた板部材を有している。仕切部材16は、略水平に延び、ガイド部材8に沿って形成されたスリット16aを有している。スリット16aは、筐体2の長手方向に沿って形成される。スリット16aの内部には、搬送部11aと走行部11bとを接続した接続部11cが配置される。したがって、搬送ロボット11がガイド部材8に沿って移動する場合、搬送部11aと走行部11bとを接続した接続部11cがスリット16aの内側を移動する。
【0037】
本実施形態において、筐体2の内部は、仕切部材16により、搬送部11aが配置された搬送空間C2aと、走行部11bが配置された走行空間C2bとが仕切られ、搬送空間C2aと走行空間C2bとは、仕切部材16のスリット16aの部分だけで連通する。本発明において、搬送空間C2aと走行空間C2bとが仕切部材16により仕切られる場合、搬送空間C2aと走行空間C2bとが連通する部分の面積が、仕切部材16により仕切られない場合と比べ、小さくなる。したがって、筐体2の内部では、ファンフィルタユニット3のファン4により下方に向かってガスが流れるが、搬送空間C2aと走行空間C2bとの連通部分の面積が小さくなることにより、連通部分を流れるガス流速が大きくなる。よって、連通部分において、搬送空間C2aから走行空間C2bに向かう流速が大きいことから、搬送ロボット11が移動した場合の走行空間C2bのパーティクルが搬送空間C2aに移動するのを防止できる。本実施形態において、仕切部材16は、筐体2の正面側に配置された処理機器2Aの内部に延びている。処理機器2Aの内部に配置された仕切部材16には、筐体2内の搬送空間C2aから処理機器2Aの内部へのガス流れと、筐体2内の走行空間C2bから処理機器2Aの内部へのガス流れとを考慮した図示しない穴が形成される。
【0038】
柱部材2bは、図3に示すように、それぞれ、筒状に構成され、鉛直方向に延びている。柱部材2bの下端は、ファンフィルタユニット3より下流側空間C2の走行空間C2bと連通し、柱部材2bの上端は、ファンフィルタユニット3より上流側空間C1と連通している。したがって、筐体2を形成する柱部材2bの内部には、ファンフィルタユニット3より下流側空間C2の走行空間C2bのガスをファンフィルタユニット3より上流側空間C1に循環させる循環流路Dが形成される。
【0039】
循環流路Dの下部にファン4aが配置され、ファン4aを駆動させることで、ファンフィルタユニット3より下流側空間C2の走行空間C2bのガスを循環流路Dに取込み、循環流路D内で上向き気流を作り出すことができる。本実施形態では、ファンフィルタユニット3のファン4と循環流路Dの下部のファン4aとが連動するように制御される。
【0040】
循環流路Dは、図1及び図2に示すように、筐体2の正面側壁部及び背面側壁部の長手方向の両端と、扉2cと処理機器2Aとの連通部との間と、隣接した扉2c間に配置される。循環流路Dは、筐体2の正面側壁部の内周側及び背面側壁部の内周側に配置される。したがって、筐体2の正面側壁部に、5つの扉2cと7つの循環流路Dが配置され、筐体2の背面側壁部に、6つの扉2cと7つの循環流路Dが配置され、筐体2の正面側壁部の内周側の循環流路Dと、背面側壁部の内周側の循環流路Dとはそれぞれ対向する。このように、ファンフィルタユニット3は、それぞれ、隣接した4つの柱部材2bの内側に配置され、4つの循環流路Dは、ファンフィルタユニット3近傍に形成される。
【0041】
筐体2の内部において、ファンフィルタユニット3より上流側空間C1には、送風装置4bが配置される。送風装置4bは、筐体2の内部において、筐体2の長手方向に沿って、左側壁部2abから右側壁部2aaに向かうガス流れを形成する。したがって、送風装置4bは、筐体2の内部において、ガス供給管6の配管部分6aの先端部に形成されたガス供給口6bから、ガス排出管7側に向かうガス流れを形成するガス流れ形成部として構成される。送風装置4bは、ファンフィルタユニット3より上流側空間C1において、循環流路Dの出口近傍に配置される。
【0042】
<本実施形態のクリーンルーム設備の特徴>
本実施形態のクリーンルーム設備では、ガス供給管6及びガス排出管7が筐体2の一端側に配置されることにより、筐体2の外部においてガス供給装置10と筐体2とを接続する配管長さを短くできる。したがって、筐体2の外部において、ガス供給管6及びガス排出管7内を流れるガスの温度低下が抑制される。よって、本発明では、筐体2に供給されるガスの温度を高温に保つことにより、ガス供給装置10から筐体2内に供給可能なガス量が多くなって、除染工程を短縮できる。
【0043】
本実施形態のクリーンルーム設備では、ガス供給管6の配管部分6aが、筐体2の内部の一端側から他端側に延びるように配置され、ガス供給管6の内部を通過するガスの温度は筐体2の内部温度より高いことから、ガス供給管6の外周面からの放熱により筐体2内のガスを加熱できる。したがって、筐体2内の温度を所定温度に維持するためのヒータの消費電力を低減できる。
【0044】
本実施形態のクリーンルーム設備では、ガス供給管6の配管部分6aに形成されたガス供給口6bが、筐体2の左側端部に配置されたファンフィルタユニット3の下方に配置されることにより、ガス供給管6のガス供給口6bとガス排出管7とが筐体2の長手方向に離れて配置される。したがって、ガス供給装置10から供給されたガスが筐体2の全体を流れるようにできる。
【0045】
本実施形態のクリーンルーム設備では、筐体2の内部温度が筐体2の外部温度より高いことから、ガス供給管6及びガス排出管7が筐体2の外部に配置されたとき、ガスの温度が低下しやすい。したがって、本発明により、ガス供給管6及びガス排出管7内を流れるガスの温度低下を効果的に抑制できる。
【0046】
本実施形態のクリーンルーム設備では、ガス供給管6において、筐体2の内部に配置される配管部分6aが金属製である。したがって、従来、ガス供給装置と筐体とを接続するガス供給管及びガス排出管としては、取り回しがしやすいように樹脂系(フッ素等)の配管の表面に断熱材を巻いたものが使用されたが、本発明において、筐体2の内部に配置される配管部分6aとして、樹脂系(フッ素等)の配管を用いた場合、配管の表面にも吸着した過酸化水素ガスを取除くためのエアレーションに時間を要し、作業時間が長くなる問題があるが、金属製の配管を使用することにより、樹脂に比べ表面に吸着する過酸化水素ガスが少なく、エアレーション時間を短縮できる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0048】
上述の本実施形態では、筐体2の内部にガスを供給するガス供給管6が筐体2の一端側に配置され、筐体2の内部のガスを筐体2の外部に排出するガス排出管7が筐体2の一端側に配置され、ガス供給管6が、筐体2の内部に配置された配管部分6aを有し、配管部分6aに形成されたガス供給口6bが筐体2の他端側に配置されていたが、ガス排出管7が、筐体2の内部に配置された配管部分を有し、配管部分に形成された開口が筐体2の他端側に配置されたものであってよい。このとき、ガス供給管6は、ガス供給装置10からのガスを筐体2の内部の一端側に供給するが、筐体2の内部の一端側に供給されたガスは、筐体2の内部を他端側に向かって流れる。その後、ガス排出管7の配管部分に形成された開口が、筐体2の内部の他端側に配置されることから、筐体2の内部の他端側のガスが、ガス排出管7の内部を筐体2の一端側に向かって通過し、筐体2の一端側から筐体2の外部に排出される。
【0049】
上述の本実施形態では、筐体2の内部にガスを供給するガス供給管6、及び、筐体2の内部のガスを筐体2の外部に排出するガス排出管7が、筐体2の右側端部である右側壁部2aaに配置されていたが、ガス供給管6及びガス排出管7が、筐体2の一端側に配置され、ガス供給管6及びガス排出管7のいずれかにおいて、筐体2の内部に配置された配管部分の開口が筐体2の他端側に配置されたものであってよい。本発明において、筐体2の一端側とは、筐体2の長手方向の他方の端部より一方の端部に近い部分を示し、筐体2の他端側とは、筐体2の長手方向の一方の端部より他方の端部に近い部分を示す。
【0050】
上述の本実施形態では、筐体2の正面右側に、筐体2の内部と連通した処理機器2Aが配置され、処理機器2Aの右側壁部2Aaに、筐体2の内部のガスを筐体2の外部に排出するガス排出管7が配置されていたが、処理機器2Aを有しないものであってよい。処理機器2Aを有しないとき、ガス供給管6及びガス排出管7は、筐体2(例えば、筐体2の右側壁部2aa)に配置されてよい。処理機器2Aを有しないとき、筐体2の正面側壁部は、背面側壁部と同様に、扉2c等が配置された構造であったり、他の装置が配置された構造であってよい。上述の本実施形態では、循環流路Dが、筐体2の正面側壁部の内周側及び背面側壁部の内周側に配置されていたが、循環流路Dが、筐体2の壁部の外周側に配置されてよい。上述の本実施形態では、仕切部材16が筐体2の内部に配置されていたが、仕切部材16が筐体2の内部に配置されてなくてよい。
【0051】
上述の本実施形態では、ガス供給管6において、筐体2の内部に配置された配管部分6aが、ステンレス(SUS304,316等)の金属製であったが、除染ガスとして過酸化水素ガスを用いるときは、ガス供給管6の配管部分6aが、アルミの金属製であってよい。また、上記以外にも使用するガスによる耐食性や温度等を考慮すれば、他の金属も用いることができる。上述の本実施形態では、ガス供給管6において、筐体2の内部に配置された配管部分6aが直線状であったが、筐体2の内部に配置された配管部分6aは、湾曲するものであって、直線状の配管部分より表面積が大きい配管部分に構成されてよい。上述の本実施形態のように、ガス供給管6の配管部分6aが、筐体2の内部の一端側から他端側に延びるように配置されることにより、筐体2の内部のガスを加熱するヒータと同様に、ガス供給管6の外周面からの放熱により筐体2内のガスを加熱できるが、ガス供給管6の配管部分6aの表面積が大きいとき、筐体2の内部のガスを効率的に加熱できる。
【0052】
上述の本実施形態では、ガス供給管6において、筐体2の内部に配置された配管部分6aが、ファンフィルタユニット3より下流側空間C2において、仕切部材16より下方の走行空間C2bに配置されていたが、ガス供給管6において、筐体2の内部に配置された配管部分6aの配置は限定されない。したがって、ガス供給管6において、筐体2の内部に配置された配管部分6aが、ファンフィルタユニット3より上流側空間C1や、ファンフィルタユニット3より下流側空間C2において、仕切部材16より上方の搬送空間C2aに配置されてよい。
【符号の説明】
【0053】
1 クリーンルーム設備
2 筐体
3 ファンフィルタユニット
4 ファン
5 フィルタ
6 ガス供給管
6a 配管部分
6b ガス供給口
7 ガス排出管
図1
図2
図3