特開2019-40284(P2019-40284A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-40284保護フィルムを貼付したタッチパネルとその使用方法
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  • 特開2019040284-保護フィルムを貼付したタッチパネルとその使用方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-40284(P2019-40284A)
(43)【公開日】2019年3月14日
(54)【発明の名称】保護フィルムを貼付したタッチパネルとその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20190215BHJP
【FI】
   G06F3/041 662
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-160027(P2017-160027)
(22)【出願日】2017年8月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】西山 将人
(72)【発明者】
【氏名】明尾 伸基
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保護フィルムを貼付したタッチパネルにおいて、保護フィルムに傷や汚れが付くことで視認性が悪くなった場合にも視認性を容易に回復することのできる保護フィルムを貼付したタッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチパネルを用いて操作を行う装置において、タッチパネル操作部にタッチパネル用の保護フィルムを貼付したタッチパネルである。タッチパネル用保護フィルムは、基材フィルム4と接着剤層5と粘着剤層6を有する保護フィルム層を複数枚層状に重ね、複数枚重なっている基材フィルムを1枚ずつ剥がすことができるようにした保護フィルム積層体3とする。また、保護フィルム積層体3は基材フィルム4の一部に接着剤を塗布していない剥がし端部8を設けておく。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを用いて操作を行うようにしている装置であって、前記タッチパネル操作部にはタッチパネル用の保護フィルムを貼付するようにしている保護フィルムを貼付したタッチパネルにおいて、前記のタッチパネル用保護フィルムは、基材フィルムと粘着剤層を有する保護フィルム層を複数枚層状に重ね、複数枚重なっている基材フィルムを1枚ずつ剥がすことができるようにした保護フィルム積層体であることを特徴する保護フィルムを貼付したタッチパネル。
【請求項2】
請求項1に記載の保護フィルムを貼付したタッチパネルにおいて、保護フィルム積層体は基材フィルムの一部に粘着剤層を塗布していない剥がし端部を持っているものであることを特徴する保護フィルムを貼付したタッチパネル。
【請求項3】
タッチパネルを用いて操作を行うようにしている装置であって、前記タッチパネル操作部にはタッチパネル用の保護フィルムを貼付するようにしている保護フィルムを貼付したタッチパネルにおいて、前記のタッチパネル用保護フィルムは、基材フィルムと粘着剤層を有する保護フィルム層を複数枚層状に重ねたものであり、基材フィルム表面に傷や汚れが生じた場合には複数枚重なっている基材フィルムを表面側から1枚ずつ剥がすことで傷や汚れを取り除くようにしていることを特徴する保護フィルムを貼付したタッチパネルの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護フィルムを貼付したタッチパネルに関するものであり、より詳しくは保護フィルムに傷や汚れが付くことでタッチパネルの視認性が悪くなった場合に容易に視認性を回復させることを可能としている保護フィルムを貼付したタッチパネルとその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2006−155452号公報に記載があるように、画面に直接触れて操作するタッチパネルでは、表面を保護する保護フィルムを貼り付けて使用することが行われている。保護フィルムは片面に粘着材を塗布したプラスチックフィルムであり、タッチパネルの表面に、粘着材を介して保護フィルムを貼付する。保護フィルムに傷がついた場合には、保護フィルムを剥がして新たなものに取り替えることにより、タッチパネルの操作面を良好な状態に維持することができる。しかし特開2006−155452号公報では、保護フィルムを貼り付ける際、保護フィルムの位置がずれて貼り付けられることや、タッチパネル表面と保護フィルムとの間に空気が取り込まれて気泡が残るといったことがあり、一般のユーザーによる保護フィルムの貼り替えは難しいとの課題を指摘している。
【0003】
食品を扱う装置、特に加熱調理した食品を急速に冷却するようにしている冷却装置では、雑菌の繁殖防止が求められているものであるため、冷却装置自体に雑菌が繁殖するようなものであってはならず、手で触れる操作部は常に清潔にしておく必要がある。タッチパネルの操作部は頻繁に触れるところであるため、常に清潔に保たれるように随時洗浄を行うようにしている。しかし洗浄のためにタッチパネル表面を擦ることで、保護フィルムに傷がつくことがあり、洗浄を頻繁に行うようにするほど、短期間で保護フィルムに傷が付くことになる。また洗浄では落としきれない汚れが生じることもある。保護フィルムに傷や汚れが付くと、タッチパネルの視認性が低下することになるため、保護フィルムの貼り替えが必要となる。
【0004】
そのため一般ユーザーでも保護フィルムの貼り替えが容易に行えるようにすることで、保護フィルムに傷が入った場合にも容易にタッチパネルの視認性を回復させることができるようにすることが考えられていた。特開2006−155452号では、保護フィルムに補助フィルムを積層したものを使用し、補助フィルムを利用して保護フィルムの貼り付けを行う。補助フィルムは保護フィルムの全領域がタッチパネルに貼り付いたら引きはがすようにしている。このことにより保護フィルムの位置合わせが容易になり、また保護フィルムの端部から徐々に貼り付けていくことが容易になるので、保護フィルム貼り付け面に気泡が取り込まれる可能性が減少すると説明されている。しかしこの場合でも、一般ユーザーによる保護フィルムの貼り替え時には、貼り方によって位置ずれが発生することや、保護フィルムとタッチパネルの間に異物を取り込んでの貼り付けを完全に排除することは難しいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−155452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、保護フィルムを貼付したタッチパネルにおいて、保護フィルムに傷や汚れが付くことで視認性が悪くなった場合にも視認性を容易に回復することのできる保護フィルムを貼付したタッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、タッチパネルを用いて操作を行うようにしている装置であって、前記タッチパネル操作部にはタッチパネル用の保護フィルムを貼付するようにしている保護フィルムを貼付したタッチパネルにおいて、前記のタッチパネル用保護フィルムは、基材フィルムと粘着剤層を有する保護フィルム層を複数枚層状に重ね、複数枚重なっている基材フィルムを1枚ずつ剥がすことができるようにした保護フィルム積層体であることを特徴する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記保護フィルムを貼付したタッチパネルにおいて、保護フィルム積層体は基材フィルムの一部に粘着剤層を塗布していない剥がし端部を持っているものであることを特徴する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、タッチパネルを用いて操作を行うようにしている装置であって、前記タッチパネル操作部にはタッチパネル用の保護フィルムを貼付するようにしている保護フィルムを貼付したタッチパネルにおいて、前記のタッチパネル用保護フィルムは、基材フィルムと粘着剤層を有する保護フィルム層を複数枚層状に重ねたものであり、基材フィルム表面に傷や汚れが生じた場合には複数枚重なっている基材フィルムを表面側から1枚ずつ剥がすことで傷や汚れを取り除くようにしていることを特徴する保護フィルムを貼付したタッチパネルの使用方法である。
【発明の効果】
【0010】
保護フィルムに傷が入ることによってタッチパネルの表示が不鮮明になると、複数の層になっている基材フィルムの最も表層の基材フィルムを剥がすことで保護フィルムに入っていた傷をなくすことができ、タッチパネルの視認性を容易に回復させることがきる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例でのタッチパネルを持った真空冷却装置の斜視図
図2】本発明の一実施例での保護フィルム断面図
図3】本発明の一実施例での保護フィルムの剥ぎ方説明図
図4】本発明の一実施例でのタッチパネル部分正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施例でのタッチパネルを持った真空冷却装置の斜視図、図2は本発明の一実施例での保護フィルム断面図、図3は本発明の一実施例での保護フィルムの剥ぎ方説明図、図4は本発明の一実施例でのタッチパネル部分正面図である。
【0013】
真空冷却装置1は、加熱調理を行った食品を雑菌が繁殖しにくい温度まで急速に冷却する用途に使用されている。真空冷却装置1の冷却槽内に冷却する食品を収容し、冷却槽は密閉しておき、冷却槽に接続した真空発生装置にて冷却槽内の空気を排出する。冷却槽内の空気が無くなって冷却槽内の圧力が低下すると、冷却槽内での飽和蒸気温度も低下し、冷却しようとしている食品の温度よりも飽和蒸気温度の方が低くなると、食品内の水分が蒸発する。水分が蒸発する際には周囲から熱を奪うため、冷却槽内の食品温度は低下していく。水分の蒸発は被冷却食品の内部から発生するため、食品を内部から冷却することができ、短時間で冷却を行うことができる。
【0014】
真空冷却装置1は雑菌の繁殖を防止するために急速に冷却するものであるため、真空冷却装置自体に雑菌が繁殖することはないようにしておく。そのため真空冷却装置では、頻繁に洗浄を行って雑菌が溜まることがないようにしている。真空冷却装置1では、食品を収容する冷却槽内や、運転操作を行うタッチパネル操作部2は、特に清潔にしておかなければならない箇所となる。操作部は頻繁に手で触るところであるため、操作部に雑菌が付着していると、操作部を触ることで手に雑菌が付着し、その手で食品に触ると食品に雑菌が付着することになる。そのため、タッチパネル操作部2も頻繁に洗浄を行う必要がある。
【0015】
タッチパネル操作部2は、図4に記載しているようなタッチパネル式の操作部とすることが広く行われている。タッチパネルの場合、表示を階層化しておいて操作するごとに表示を変化させていくことができるため、画面表示は分かりやすい大きなアイコンとして操作を簡単にすることができる。ただしタッチパネルは、表示部を直接触って操作するものであるため、表面に傷が付きやすく、また傷が付くと画面表示が見づらくなってしまうことがある。
【0016】
そのためタッチパネルには保護フィルムを貼るようにしている。ここで使用する保護フィルムは、図2に記載しているように基材フィルム4と接着剤層5と粘着剤層6からなる保護フィルムを複数層重ねた保護フィルム積層体3とする。
【0017】
基材フィルム4は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエーテルサルファン)などの透過可能な素材が使用される。基材フィルム4の下面には接着剤層5を塗布し、その下方に粘着剤層6を塗布しておく。接着剤層5は、基材フィルム4と粘着剤層6の間で両者と強力に接着するものとし、接着剤層5の下面に塗布する粘着剤層6は、接着剤層5よりも接着力の弱いものとする。粘着剤層6は、接着剤層5を介して接着している上側の基材フィルム4と、下側の基材フィルム4またはタッチパネル表層7とを接着するものである。基材フィルム4、接着剤層5、粘着剤層6はいずれも透明な素材のものを使用し、かつ指やペンでタッチパネルの操作した場合に操作を妨げないものを使用する。
【0018】
また、基材フィルム4の端には、基材フィルム4をつまむことができる程度の剥がし端部8を設けておく。剥がし端部8は接着剤層5及び粘着剤層6を塗布していないものであり、接着していないため浮き上がっている。
【0019】
保護フィルム積層体3では、接着剤層5は、基材フィルム4と粘着剤層6の間で両者と強く接着するものであるため、基材フィルム4に強く接着している接着剤層5と、接着剤層5に強く接着している粘着剤層6が一体となっている。それに比べて粘着剤層6では、その下層の基材フィルム4又はタッチパネル表層7の間の接着力は、比較的容易に剥離させることができるものであり、接着剤層5による接着力より低くなる。
【0020】
そのため、基材フィルム4の剥がし端部8を持って基材フィルム4を剥がすと、基材フィルム4はその下の接着剤層5、さらにその下の粘着剤層6と一体のままで、粘着剤層6とその下層の基材フィルム4又はタッチパネル表層7の間で剥がれることとなり、基材フィルム4、接着剤層5、粘着剤層6からなる一組の基材フィルム層を剥がすことができる。
【0021】
真空冷却装置1の洗浄は、真空冷却装置1の日常操作を行うユーザーによって行われ、洗浄を繰り返すうちにタッチパネル操作部2に貼り付けている保護フィルム積層体3の表面に細かな傷が入る。タッチパネル操作部2のタッチパネルは、内側から光を当てることによって画面を表示させているものであり、画面の表示は保護フィルム積層体3を通して画面の観察者に届く。この時、保護フィルム積層体3の表面に傷が入っていると、奥から送られてきた光が傷部分で屈折し、画面の観察者に届く光が変化するために画面が見づらくなる。保護フィルム積層体3の表面に入った傷は、表層の基材フィルム4を剥がすことによって取り除くことができる。そして表層の基材フィルムを取り除くことで、タッチパネルの視認性を取り戻すことができる。
【0022】
保護フィルム積層体3は、複数の基材フィルム4を重ねており、表層の基材フィルム4を剥ぎ取っても次の層の基材フィルム4が現れるため、毎回保護フィルムを貼り直す必要はない。全ての基材フィルム4が無くなるまでは、基材フィルム4を剥がすだけで傷のない基材フィルム4を表面に出すことができ、基材フィルム4を剥がすだけであれば保護フィルム貼り付けの熟練性がない一般ユーザーでも容易に行うことができる。
【0023】
なお、全ての基材フィルム4を使い切ればタッチパネルに保護フィルムが無くなることになるため、その場合には新たに保護フィルム積層体3を貼り直す必要がある。その場合はユーザーが自分で保護フィルム積層体3を貼り直してもよいし、真空冷却装置1のような産業用の装置は、製造業者などによるメンテナンス体制が整備されているため、メンテナンス員に依頼して行うようにしてもよい。
【0024】
その場合でも貼り直すのは基材フィルム4が複数層となっている保護フィルム積層体3であると、複数枚セットされている基材フィルム4を全て使い切るまでは次の貼り直しは必要なく、1枚ものの保護フィルムを貼っていた場合に比べて保護フィルム貼り直しの頻度は大幅に少なくすることができる。
【0025】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 真空冷却装置
2 タッチパネル操作部
3 保護フィルム積層体
4 基材フィルム
5 接着剤層
6 粘着剤層
7 タッチパネル表層
8 剥がし端部
図1
図2
図3
図4