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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-418(P2019-418A)
(43)【公開日】2019年1月10日
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 1/00 20190101AFI20181207BHJP
   A63H 1/02 20060101ALI20181207BHJP
【FI】
   A63H1/00 F
   A63H1/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-118297(P2017-118297)
(22)【出願日】2017年6月16日
(11)【特許番号】特許第6405415号(P6405415)
(45)【特許公報発行日】2018年10月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(71)【出願人】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村木 誠
(72)【発明者】
【氏名】前田 竹明
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA25
2C150DA39
2C150DJ08
2C150EB36
(57)【要約】
【課題】衝撃を受けるに伴って攻撃力が変化するコマ玩具を提供すること。
【解決手段】軸部10と胴部40とを備え、前記胴部40への衝撃によって前記軸部10に対して前記胴部40が回転し、前記軸部10に対して前記胴部40が離脱するように構成されたコマ玩具1であって、
前記軸部10又は前記胴部40の一方に設けられ、遠心力の作用によって動作し前記軸部10又は前記胴部40の他方に圧接されて前記軸部10に対する前記胴部40の回転を抑制する制動部材42,44が設けられている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と胴部とを備え、前記胴部への衝撃によって前記軸部に対して前記胴部が回転し、前記軸部に対して前記胴部が離脱するように構成されたコマ玩具であって、
前記軸部又は前記胴部の一方に設けられ、遠心力の作用によって動作し前記軸部又は前記胴部の他方に圧接されて前記軸部に対する前記胴部の回転を抑制する制動部材が設けられていることを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記胴部は、前記胴部への衝撃によって前記軸部に対して段階的に回転するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記軸部と前記胴部とは、突き合わせ状態で前記軸部に対して前記胴部を一方向に回転させた際に結合され、結合状態から他方向に回転させた際に結合解除されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
前記制動部材は少なくとも動作時に半径方向外方に張り出す攻撃部材であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項5】
前記制動部材は前記軸部又は前記胴部の他方から離間する方向に付勢され、遠心力の作用によって動作し前記軸部又は前記胴部の他方に圧接されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コマ玩具を使用したバトルゲームとして、コマ玩具を互いに衝突させ、その衝撃力によって相手方のコマ玩具の回転を止めたり、相手方のコマ玩具を弾き飛ばしたり、相手方のコマ玩具を分解させたりするものがある。
【0003】
ところで、この種のコマ玩具として、例えば、特許文献1に記載のコマ玩具が知られている。
このコマ玩具では、結合解除位置で軸部と胴部とを上下方向から突き合わせ、突き合わせた状態で、軸部に対して胴部を結合位置まで一方向に相対回転させることで軸部側の爪と胴部側の爪と係合させることで軸部と胴部とを結合させている。そして、このコマ玩具では、自分のコマ玩具の胴部が相手方のコマ玩具に衝突するとその衝撃で軸部に対して胴部が他方向に回転して結合解除位置に至り、軸部と胴部とが分解されるようになっている。
また、このコマ玩具では、1回の衝撃によって軸部と胴部とが分解されないようにするため軸部と胴部との間に回転抵抗を設け、衝撃を受ける毎に、軸部に対して胴部が段階的に回転するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5793631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このコマ玩具によれば、バトル中において、回転速度の変化の点は除いて、攻撃力や防御力は一様であるため、攻撃力や防御力の変化に乏しく、意外性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、回転中に攻防特性が変化するコマ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段は、
軸部と胴部とを備え、前記胴部への衝撃によって前記軸部に対して前記胴部が回転し、前記軸部に対して前記胴部が離脱するように構成されたコマ玩具であって、
前記軸部又は前記胴部の一方に設けられ、遠心力の作用によって動作し前記軸部又は前記胴部の他方に圧接されて前記軸部に対する前記胴部の回転を抑制する制動部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
第2の手段は、第1の手段であって、前記胴部は、前記胴部への衝撃によって前記軸部に対して段階的に回転するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段であって、前記軸部と前記胴部とは、突き合わせ状態で前記軸部に対して前記胴部を一方向に回転させた際に結合され、結合状態から他方向に回転させた際に結合解除されることを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれか一の手段であって、制動部材は少なくとも動作時に半径方向外方に張り出す攻撃部材であることを特徴とする。
【0011】
第5の手段は、第1の手段から第4の手段のいずれか一の手段であって、前記制動部材は前記軸部又は前記胴部の他方から離間する方向に付勢され、遠心力の作用によって動作し前記軸部又は前記胴部の他方に圧接されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記手段によれば、遠心力が大きい回転初期において制動部材が軸部又は胴部の一方に圧接され軸部に対する胴部の回転が抑制される。その結果、軸部と胴部とが分解されるまでの時間を長くすることができるとともに、回転初期においては、軸部と胴部とが相対回転し難くなるため攻撃力が高まる。また、制動部材が少なくとも動作時に半径方向外方に張り出す攻撃部材となっているものでは、コマ玩具の外形が拡がるので、攻撃力を更に増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るコマ玩具とランチャ(コマ発射装置)とを示した斜視図である。
図2】本実施形態のコマ玩具の遊び方を説明するための斜視図である。
図3】本実施形態のコマ玩具の軸部を示した斜視図である。
図4】本実施形態のコマ玩具のフライホイールを上方から見た状態を示した斜視図である。
図5】本実施形態のコマ玩具のフライホイールを下方から見た状態を示した斜視図である。
図6】本実施形態のコマ玩具の胴部を上方から見た状態を示した分解斜視図である。
図7】本実施形態のコマ玩具の胴部を下方から見た状態を示した分解斜視図である。
図8】本実施形態のコマ玩具の制動部材を上方から見た状態を示した分解斜視図である。
図9】本実施形態のコマ玩具の制動部材を下方から見た状態を示した分解斜視図である。
図10】本実施形態のコマ玩具の制動部材を示した図であり、(A)は動作前の状態を示した側断面図、(B)は動作後の状態を示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のコマ玩具を図面に示した実施形態に基づいて説明する。
【0015】
(全体構成)
図1は、本実施形態のコマ玩具1及びランチャ(コマ発射玩具)60を備えた玩具セットを示している。
このうちコマ玩具1は、いわゆるバトルゲームに使用することが可能なコマ玩具である。このコマ玩具1は、例えば、互いの衝突による衝撃力で相手方のコマ玩具1を図2に示すように分解させて遊ぶようなバトルゲームに使用される。
このコマ玩具1は、図2に示すように、軸部10、フライホイール30及び胴部40によって構成されている。
【0016】
(細部)
1.軸部10
図3は軸部10を示した斜視図である。軸部10の説明において、上下、左右、前後は図3に示す方向を言うものとする。
このうち軸部10は、下端部に接地部である回転軸11、上下方向中間部に鍔12、上端部に円筒体13を備えている。
鍔12と円筒体13とは一体に形成されている。円筒体13の軸心には柱体14が設けられている。この柱体14の上端部は大径となっており、その大径部分の外周には前後それぞれに半径方向外方に張り出す爪17が1個ずつ形成されている。この柱体14は、軸下部10aに固定して設けられている。軸下部10aの外周面は、鍔12側から回転軸11の先端側に向けて段階的に縮径し、全体として略逆円錐状に形成されている。この軸下部10aは、図示しないねじ等によって鍔12に固定されている。
鍔12及び円筒体13には、前後それぞれに孔13aが1個ずつ鍔12及び円筒体13に亘って形成されている。また、円筒体13の外周面には、左右それぞれに突出部16が1個ずつ形成されている。各突出部16の外面は鍔12の外周面と面一となっている。
【0017】
また、軸部10は円筒状の押圧部材18を備えている(図10(A),(B)参照)。押圧部材18は、柱体14の上端部の外側に嵌まり合う形の環状の天板を有するとともに、内部は中空で下方に開口している。この押圧部材18は、円筒体13の内側で柱体14を取り囲むようにして設置されている。押圧部材18の下端部外周には、前後それぞれに半径方向外方に張り出す脚部18aが1個ずつ形成されている。
【0018】
この押圧部材18は、図3に示すように、各脚部18aがそれに対応する孔13aから露出するように組み付けられる。この孔13aは脚部18aの上下方向の移動を許容するが、孔13aの上縁で上方への移動を規制する。また、押圧部材18は、スプリング19によって上方に付勢され、常態では、押圧部材18の上端面は円筒体13の上端と略同一高さ位置となる。
なお、押圧部材18の上面には、左右それぞれに半径方向に延びる凸条(突起)20が1個ずつ形成されている。
【0019】
(削除)
【0020】
2.フライホイール30
図4はフライホイール30を上方から見た斜視図、図5はフライホイール30を下方から見た斜視図である。
フライホイール30は環状に形成されている。フライホイール30の底面内周側には軸部10の鍔12を下方から収容可能な環状段部30aが形成されている。このフライホイール30の上面には左右それぞれに上方に向けて張り出す突出部31が1個ずつ形成されている。各突出部31の下側部分には、軸部10の突出部16を下方から収容可能な凹部32が形成されている。また、フライホイール30の上面には、各突出部31の直ぐ外側に上方に延びる舌片33が形成されている。舌片33は突出部31よりも上方に突出している。
【0021】
3.胴部40
図6は胴部40を上方から見た状態を示した分解斜視図、図7は胴部40を下方から見た状態を示した分解斜視図である。この胴部40は、上板41、制動部材42,44及び下板43を備えている。なお、胴部40の説明において上下、左右、前後は特に断らない限り図6に示す方向を言うものとする。
【0022】
(1)上板41
上板41には、左右それぞれにフライホイール30の各舌片33を下方から挿入可能な孤状スリット41cが1個ずつ形成されている。この各孤状スリット41cの幅は、円周方向の一端側が広く、他端側が狭くなっている。
また、上板41の下側には、左右それぞれに円柱状のボス41eが1個ずつ形成されている。各ボス41eの中央の孔の内壁には雌ねじが形成されている。
【0023】
(2)下板43
下板43は環状の枠体43aを有している。この枠体43aの内側には当該枠体43aを支持する連結部43bが設けられている。枠体43aと連結部43bとの隙間は舌片33を受容する隙間である。連結部43bの中央には孔43cが形成されている。また、枠体43aの左右それぞれにねじ挿通孔43gが1個ずつ設けられている。各挿通孔43gには上下それぞれに座繰り穴を有している。上側の座繰り穴には上記ボス41eが着座する。そして、上板41と下板43とで制動部材42,44を挟み込み、ねじ挿通孔43gに下方から通した雄ねじ(図示せず)をボス41eの雌ねじに螺合させることによって胴部40が形成される。
一方、下板43の下側には、上記孔43cの径と同じ大きさの内径を有する環状壁43dが形成されている。環状壁43dの下端部内面には軸心を挟んで対峙する2箇所のそれぞれに爪43eが1個ずつ半径方向内方に張り出して形成されている。さらに、各爪43eの下面の円周方向一端部には、軸部10の上記凸条20に噛合する起伏部43fが形成されている。ここで、起伏部43fは凹条を複数円周方向に連ねて形成されている。
なお、下板43には、前後それぞれに後述の屈曲部42f,44fを受容可能な孔43iが1個ずつ形成されている。
【0024】
(3)制動部材42
図8は制動部材42,44を上方から見た分解斜視図、図9は制動部材42,44を下方から見た分解斜視図である。制動部材42,44は略錨状に形成されている。
制動部材42は、重錘として機能する孤状部分42aと、孤状部分42aの内周の中央部分から半径方向内側に向けて突出するスライダ片42bとを備えている。孤状部分42aの両端には、上記ボス41eの外周に嵌まり合う半円状の切欠き部42cが形成されている。また、孤状部分42aの中央部分に形成された凹部内の底にはねじ挿通孔42dが形成されている。そして、ねじ挿通孔42dを下方から通した雄ねじ(図示せず)を矢羽根状の装飾部品45aの雌ねじ(図示せず)に螺合させることによって、制動部材42に装飾部品45aが取り付けられる。
スライダ片42bには矩形の孔42eが形成されている。また、スライダ片42bの先端は下側に屈曲され、その屈曲部42fの内側には鋸歯状の起伏部42gが形成されている。また、スライダ片42bの孔42eの両脇には段部42hが形成されている。
一方、制動部材44は、重錘として機能する孤状部分44aと、孤状部分44aの内周の中央部分から半径方向内側に向けて突出するスライダ片44bとを備えている。孤状部分44aの両端には、上記ボス41eに外周に嵌まり合う半円状の切欠き部44cが形成されている。また、孤状部分44aの中央部分に形成された凹部内にはねじ挿通孔44dが形成されている。そして、ねじ挿通孔44dを下方から通した雄ねじ(図示せず)を矢羽根状の装飾部品45bの雌ねじ(図示せず)に螺合させることによって、制動部材44に装飾部品45bが取り付けられる。
スライダ片44bには孔44eが形成されている。孔44eは広幅部と狭幅部とを有している。また、スライダ片44bの先端は下側に屈曲され、その屈曲部44fの内側には鋸歯状の起伏部44gが形成されている。
このように構成された制動部材42,44は次のようにして互いに組み付けられる。
すなわち、制動部材42と制動部材44とは、屈曲部44fを孔42eに上方から挿入させるようにして、制動部材42のスライダ片42bに制動部材44のスライダ片44bを載せることにより、互いに組み付けられる。このとき、制動部材44の孔44eの両脇の縁部分を繋ぐ横木部分44iは段部42hに着座する。
また、制動部材42,44の寸法について説明すれば、制動部材42,44を互いに組み付けて胴部40に組み込んだ場合、孤状部分42a,44aは胴部40の外形を構成し、屈曲部42f,44fは円筒体13を乗り越え、孤状部分42a,44aとは反対側まで延在している。これにより、孤状部分42a,44aが遠心力によって半径方向外方に動作した際に起伏部42g,44gが円筒体13の外周に当接する。
さらに、制動部材42の基端側には孔42eとは別の孔42jが形成され、孔42eと孔42jとを仕切る仕切り42kと、孔43iの壁との間にはスプリング46aが介装されている。同様に、制動部材44の基端側には孔44eとは別の孔44jが形成され、孔44eと孔44jとを仕切る仕切り44kと、孔43iの壁との間にはスプリング46bが介装されている。これによって、胴部40に組み込まれた制動部材42,44の起伏部42g,44gは互いに離反する方向に付勢される。この状態では、起伏部42g,44gは軸部10の円筒体13の外周に当接していない。
【0025】
4.コマ玩具1の組立方法
次に、コマ玩具1の組立方法を説明する。なお、ここでは、軸部10と胴部40それぞれの組立は、図2に示したように、既に終了しているものとする。
まず、軸部10の突出部16を下方からフライホイール30の凹部32に合致させるようにして、軸部10とフライホイール30を嵌合状態に組み付ける。次に、この組付け体を胴部40に下方から近付ける。
そして、フライホイール30の舌片33を下方から胴部40の弧状スリット41cに挿入する。この状態は、軸部10の爪17と胴部40の爪43eとが上下方向で重なっていない状態である。この状態が結合解除状態である。その後、上記組付け体の軸部10を胴部40側に押圧する。すると、まず、フライホイール30が胴部40の下面に押し当てられる。さらに、軸部10内のスプリング19が縮み押圧部材18が下がり、軸部10の爪17が胴部40の爪43eよりも上方に相対的に押し上げられる。そして、軸部10をフライホイール30と一体的に上板41及び下板43に対して所定方向(コマ玩具1の回転方向とは反対の方向)に回転させる。すると、胴部40の爪43eが軸部10の爪17の下側に潜り込み、爪17と爪43eとが上下で重なった状態となる。そして、軸部10から手を離すと、軸部10内のスプリング19の付勢力によって、軸部10の爪17の下面と胴部40の爪43eの上面とが当接される。この状態、すなわち軸部10の爪17の下面と胴部40の爪43eの上面とが当接された状態が結合状態である。これにより、凸条20と起伏部43fが噛合して、コマ玩具1が組み立てられる。この状態では、スプリング46a,46bによって制動部材42の起伏部42gが制動部材44の起伏部44gと離間する方向に付勢され、円筒体13の外周から離間している。
【0026】
5.遊び方等
続いて、このコマ玩具1を使用しての遊び方の一例を説明する。
図1は、コマ玩具1を回転駆動させるランチャの一例を示した斜視図である。
この遊び方の一例では、コマ玩具1を回転させて、相手方のコマ玩具1とバトルを行う。
この場合、コマ玩具1の回転力のチャージは、図1に示すランチャ60によって行われる。このランチャ60は、内部に図示しない円板を備え、その円板を図示しないゼンマイばねで一の回転方向に付勢するとともに、円板の周囲に卷回させた図示しない紐をハンドル61で引くと、円板が回転され、コマホルダー62が回転されるように構成されている。このコマホルダー62の回転は、下方に突設されたフォーク63によってコマ玩具1に伝達され、コマ玩具1を回転させる。この場合、フォーク63は胴部40の弧状スリット41cに差し込まれる。そして、ランチャ60のハンドル61を引き切ると、円板ひいてはコマホルダー62の回転が停止する一方で、コマ玩具1は慣性力によって尚も回転するので、フォーク63の傾斜面63aに倣ってコマ玩具1がコマホルダー62から外れる。
【0027】
このようにして発射されたコマ玩具1は回転初期においては遠心力が大きいため、制動部材42,44の孤状部分42a,44aが半径方向外方に動作する。これによって、起伏部42g,44gがスプリング46a,46bの付勢力に抗して円筒体13の外周に圧接される(図10(B))。したがって、例えば同方向に回転する相手方のコマ玩具1に衝突し、衝突による衝撃力を受け、上板41及び下板43に軸部10及びフライホイール30の回転方向とは反対の方向の力が作用したとしても、上板41及び下板43が軸部10及びフライホイール30の回転方向に対して反対の方向に相対的に回転し難くなる。そのため、相手方のコマ玩具と衝突した場合、相手方のコマ玩具に強い衝撃を与えることができる一方、自己のコマ玩具1においては分解までの時間を長くすることができる。また、本実施形態では、これに相俟って、制動部材42,44が動作時に半径方向外方に張り出す攻撃部材となっているので、下板43から突出し、攻撃力を更に増大させることができる。
一方、回転後期においては遠心力が小さくなるため、起伏部42g,44gの円筒体13の外周への圧接力が弱まる(図10(A))。したがって、例えば同方向に回転する相手方のコマ玩具1に衝突し、衝突による衝撃力を受け、上板41及び下板43に軸部10及びフライホイール30の回転方向とは反対の方向の力が作用したときに、上板41及び下板43が軸部10及びフライホイール30の回転方向に対して反対の方向に相対的に回転し易くなる。
このように回転初期と回転後期において、コマ玩具1の特性を変化させることができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0029】
例えば、実施形態では、制動部材42,44を胴部40に設置し、その起伏部42g,44gを軸部10の円筒体13に対向させているが、制動部材42,44を軸部10に設置し、起伏部42g,44gを胴部40の周壁に対向させることもできる。
【0030】
また、圧接部を起伏部42g,44gとしているが、これに代えて、圧接部を摩擦抵抗の大きな材料によって形成したり、粗面に加工したり、摩擦抵抗の高い材質のシートを貼付してもよい。
【0031】
また、実施形態では、制動部材42,44は動作時に胴部本体(下板43や上板41)から突出するように構成されているが、最初は胴部本体に隠れているものであってもよく、動作時だけ胴部本体から突出するものでもよい。さらに、制動部材42,44は動作時においても胴部本体に隠れているものであってもよい。
【0032】
また、実施形態では、2つの制動部材42,44を設けているが、1つ又は3つ以上設けてもよい。
【0033】
さらに、実施形態では、スプリング46a,46bによって制動部材42の起伏部42gが制動部材44の起伏部44gと離間する方向に付勢されているが、スプリング46a,46bがないものであってもよい。また、制動部材42と制動部材44との間にスプリングが介装されていてもよい。
【0034】
また、実施形態では、起伏部42g,44gが制動部材42,44側に設けられていたが、円筒体13側又は双方に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 コマ玩具
10 軸部
13 円筒体
40 胴部
41 上板
41c 孤状スリット
42 制動部材
43 下板
44 制動部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2018年8月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第1の手段は、
軸部と胴部とを備え、発射後、前記胴部への衝撃が無い場合に前記軸部と前記胴部とが一体的に所定方向に回転し、前記胴部への衝撃によって前記軸部に対して前記胴部が前記所定方向とは反対の方向に相対的に回転して所定回転位置で前記軸部に対して前記胴部が離脱するように構成されたコマ玩具であって、
前記軸部又は前記胴部の一方に設けられ、遠心力の作用によって動作し前記軸部又は前記胴部の他方に圧接されて前記軸部に対する前記胴部の前記反対の方向への相対的な回転を抑制する制動部材が設けられていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれか一の手段であって。前記胴部と前記胴部が上下方向から突き合わされて結合され、前記制動部材は、前記胴部の下板の上に配置されるスライダ片と、前記スライダ片から下側に屈曲され前記下板の孔から下方に突出する屈曲部とを備え、遠心力の作用によって前記屈曲部が前記軸部の上部に半径方向外方から圧接されることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と胴部とを備え、発射後、前記胴部への衝撃が無い場合に前記軸部と前記胴部とが一体的に所定方向に回転し、前記胴部への衝撃によって前記軸部に対して前記胴部が前記所定方向とは反対の方向に相対的に回転して所定回転位置で前記軸部に対して前記胴部が離脱するように構成されたコマ玩具であって、
前記軸部又は前記胴部の一方に設けられ、遠心力の作用によって動作し前記軸部又は前記胴部の他方に圧接されて前記軸部に対する前記胴部の前記反対の方向への相対的な回転を抑制する制動部材が設けられていることを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記胴部は、前記胴部への衝撃によって前記軸部に対して段階的に回転するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記軸部と前記胴部とは、突き合わせ状態で前記軸部に対して前記胴部を一方向に回転させた際に結合され、結合状態から他方向に回転させた際に結合解除されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
前記胴部と前記胴部が上下方向から突き合わされて結合され、前記制動部材は、前記胴部の下板の上に配置されるスライダ片と、前記スライダ片から下側に屈曲され前記下板の孔から下方に突出する屈曲部とを備え、遠心力の作用によって前記屈曲部が前記軸部の上部に半径方向外方から圧接されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項5】
前記制動部材は前記軸部又は前記胴部の他方から離間する方向に付勢され、遠心力の作用によって動作し前記軸部又は前記胴部の他方に圧接されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコマ玩具。