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特開2019-4306ホーンスピーカー、スピーカーユニット、メガホン、ホーン、アダプター、及び放送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-4306(P2019-4306A)
(43)【公開日】2019年1月10日
(54)【発明の名称】ホーンスピーカー、スピーカーユニット、メガホン、ホーン、アダプター、及び放送システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/30 20060101AFI20181207BHJP
   H04R 27/00 20060101ALI20181207BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20181207BHJP
   H04R 27/04 20060101ALI20181207BHJP
   H04R 3/02 20060101ALI20181207BHJP
【FI】
   H04R1/30 A
   H04R27/00 A
   H04R1/40 310
   H04R27/04 A
   H04R3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-117248(P2017-117248)
(22)【出願日】2017年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163979
【弁理士】
【氏名又は名称】濱名 哲也
(72)【発明者】
【氏名】福山 和男
(72)【発明者】
【氏名】米原 俊男
【テーマコード(参考)】
5D018
5D220
【Fターム(参考)】
5D018AE12
5D018AE31
5D018AF22
5D220CC08
(57)【要約】
【課題】後方の回り込む音を低減できるホーンスピーカー、スピーカーユニット、メガホン、ホーン、アダプター、及び放送システムを提供する。
【解決手段】ホーンスピーカー1は、音を形成するドライバユニット2と、ドライバユニット2に取り付けられるホーン3と、ホーン3の開口端4の外周に配置される位相調整板6とを備える。位相調整板6は、ホーン3の開口端4と位相調整板6との間に音が通過する隙間Sが形成されるようにホーン3に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンと、前記ホーンの開口端の外周に配置される位相調整板とを備え、
前記位相調整板は、前記ホーンの開口端と前記位相調整板との間に音が通過する隙間が形成されるように前記ホーンに取り付けられる
ホーンスピーカー。
【請求項2】
音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンとを備え、
前記ホーンは音を通過させる音孔を有し、前記音孔は、前記ホーンの開口端から前記ドライバユニットまでの半分の位置よりも前記開口端側に設けられる
ホーンスピーカー。
【請求項3】
所定のパターンで配列された複数のホーンスピーカーと、複数の前記ホーンスピーカーにより構成されるユニットの両側に設けられる一対の位相調整板とを備え、
一対の前記位相調整板は、前記ユニットの正面の側端と前記位相調整板との間に音が通過する隙間が形成されるように前記ユニットに取り付けられる
スピーカーユニット。
【請求項4】
音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンと、前記ホーンの後方に取り付けられるマイクとを備え、
前記ホーンは、音を通過させる音孔を有し、前記音孔は、前記ホーンの開口端から前記ドライバユニットまでの半分の位置よりも前記開口端側に設けられる
メガホン。
【請求項5】
ホーンに取り付け可能なアダプターであって、
前記アダプターは、前記ホーンの開口端が入る開口部を有し、前記ホーンの開口端と前記アダプターとの間に音が通過する隙間が形成されるように、前記ホーンの開口端の外周に取り付け可能である
アダプター。
【請求項6】
ホーンに取り付け可能なアダプターであって、
前記アダプターは、前記ホーンの開口端が入る開口部及び音が通過する音孔を有し、前記ホーンの開口端の外周に取り付け可能である
アダプター。
【請求項7】
音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンとを備えたホーンスピーカーのホーンにおいて、
前記ホーンは音を通過させる音孔を有し、前記音孔は、前記ホーンの開口端から前記ドライバユニットまでの半分の位置よりも前記開口端側に設けられる
ホーン。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載のホーンスピーカーを備える放送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホーンスピーカー、スピーカーユニット、メガホン、ホーン、ホーンスピーカーに取り付けられるアダプター、及び放送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホーンスピーカーとして、特許文献1に記載の技術や特許文献2に記載の技術が知られている。
ホーンスピーカーは、ドライバユニットと、ホーンとを備える。ホーンは、前方に音を伝播させるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−193112号公報
【特許文献2】特開平11−308690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホーンスピーカーは、所定領域に音声が伝わるように設置される。具体的には、ホーンは所定方向に向けられる。しかし、ホーンスピーカーから出た音の一部は後方にも回り込む。出力が大きい場合には、後方に回り込んだ音は騒音になり得る。また、複数のホーンスピーカーが設置される場合、1つのホーンスピーカーから出て後方に回り込む音と、他のホーンスピーカーから出て前方に伝播する音とが干渉し、音声が不明瞭になる虞がある。このように、ホーンスピーカーにおいては、後方に回り込む音は少ないことが望ましい。
そこで、後方の回り込む音を低減できるホーンスピーカー、スピーカーユニット、メガホン、ホーン、アダプター、及び放送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するホーンスピーカーは、音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンと、前記ホーンの開口端の外周に配置される位相調整板とを備え、前記位相調整板は、前記ホーンの開口端と前記位相調整板との間に音が通過する隙間が形成されるように前記ホーンに取り付けられる。
【0006】
この構成によれば、位相調整板は、ホーンの開口端で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、位相調整板の端で回折して後方に回り込む音と、ホーンの開口端と位相調整板との間の隙間を通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
【0007】
(2)上記課題を解決するホーンスピーカーは、音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンとを備え、前記ホーンは音を通過させる音孔を有し、前記音孔は、前記ホーンの開口端から前記ドライバユニットまでの半分の位置よりも前記開口端側に設けられる。
【0008】
この構成によれば、ホーンは、ホーンの開口端で回折して後方に回り込む音と、ホーンの開口端よりもドライバユニット側にある音孔を通過して後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に伝達される音を低減できる。
【0009】
(3)上記課題を解決するスピーカーユニットは、所定のパターンで配列された複数のホーンスピーカーと、複数の前記ホーンスピーカーにより構成されるユニットの両側に設けられる一対の位相調整板とを備え、一対の前記位相調整板は、前記ユニットの正面の側端と前記位相調整板との間に音が通過する隙間が形成されるように前記ユニットに取り付けられる。
【0010】
この構成によれば、位相調整板は、ユニットの正面の側端で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、位相調整板の端で回折して後方に回り込む音と、ユニットの正面の側端と位相調整板との間の隙間を通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
【0011】
(4)上記課題を解決するメガホンは、音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンと、前記ホーンの後方に取り付けられるマイクとを備え、前記ホーンは、音を通過させる音孔を有し、前記音孔は、前記ホーンの開口端から前記ドライバユニットまでの半分の位置よりも前記開口端側に設けられる。
【0012】
この構成によれば、ホーンは、ホーンの開口端で回折して後方に回り込む音と、ホーンの開口端よりもドライバユニット側にある音孔を通過して後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に伝達される音を低減できる。また、この減衰効果によりハウリングを抑制できる。
【0013】
(5)上記課題を解決するアダプターは、ホーンに取り付け可能なアダプターであって、前記アダプターは、前記ホーンの開口端が入る開口部を有し、前記ホーンの開口端と前記アダプターとの間に音が通過する隙間が形成されるように、前記ホーンの開口端の外周に取り付け可能である。
【0014】
この構成によれば、アダプターは、ホーンの開口端で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、アダプターは、アダプターの外端で回折して後方に回り込む音と、ホーンの開口端とアダプターとの間の隙間を通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
【0015】
(6)上記課題を解決するアダプターは、ホーンに取り付け可能なアダプターであって、前記アダプターは、前記ホーンの開口端が入る開口部及び音が通過する音孔を有し、前記ホーンの開口端の外周に取り付け可能である。
【0016】
この構成によれば、アダプターは、ホーンの開口端で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、アダプターは、アダプターの外端で回折して後方に回り込む音と、アダプターの音孔を通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
【0017】
(7)上記課題を解決するホーンは、音を形成するドライバユニットと、前記ドライバユニットに取り付けられるホーンとを備えたホーンスピーカーのホーンにおいて、前記ホーンは音を通過させる音孔を有し、前記音孔は、前記ホーンの開口端から前記ドライバユニットまでの半分の位置よりも前記開口端側に設けられる。
【0018】
この構成によれば、ホーンは、ホーンの開口端で回折して後方に回り込む音と、ホーンの開口端よりもドライバユニット側にある音孔を通過して後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に伝達される音を低減できる。
【0019】
(8)上記課題を解決する放送システムは、上記ホーンスピーカーを備える。この構成によれば、後方の回り込む音を低減できる。
【発明の効果】
【0020】
上記ホーンスピーカー、スピーカーユニット、メガホン、ホーン、アダプター、及び放送システムによれば、後方の回り込む音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係るホーンスピーカーの断面図。
図2】第1実施形態に係るホーンスピーカーの部分正面図。
図3】第1実施形態に係るホーンスピーカーの作用を示す模式図。
図4】トンネルに設置される放送システムの模式図。
図5】第1実施形態に係るホーンスピーカーと従来構造のホーンスピーカーとについて、正面の周波数特性を示すグラフ。
図6】第1実施形態に係るホーンスピーカーと従来構造のホーンスピーカーとについて、背面の周波数特性を示すグラフ。
図7】第1実施形態に係るホーンスピーカーと従来構造のホーンスピーカーとについて、2kHzの音における指向特性を示す極座標グラフ。
図8】第2実施形態に係るスピーカーユニットの側面図。
図9】他の形態の音孔を有するホーンの側面図。
図10】他の形態の音孔を有するホーンの側面図。
図11】第3実施形態に係るスピーカーユニットの正面図。
図12】第3実施形態に係るスピーカーユニットと従来構造のスピーカーユニットとについて、正面の周波数特性を示すグラフ。
図13】第3実施形態に係るスピーカーユニットと従来構造のスピーカーユニットとについて、背面の周波数特性を示すグラフ。
図14】第3実施形態に係るスピーカーユニットと従来構造のスピーカーユニットとについて、2kHzの音における指向特性を示す極座標グラフ。
図15】第4実施形態に係るメガホンの側面図。
図16】第4実施形態に係るメガホンと従来構造のメガホンとについて、正面の周波数特性を示すグラフ。
図17】第4実施形態に係るメガホンと従来構造のメガホンとについて、背面の周波数特性を示すグラフ。
図18】第5実施形態に係るアダプターの正面図。
図19】第6実施形態に係るアダプターの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
図1図7を参照して、第1実施形態に係るホーンスピーカーについて説明する。
図1及び図2に示されるように、ホーンスピーカー1は、音を形成するドライバユニット2と、ドライバユニット2に取り付けられるホーン3と、位相調整板6とを備える。ドライバユニット2は、コイルを有する振動板、磁石、ヨーク、及びプレートにより構成される。コイルに信号が入力されると、電磁作用により、振動板が振動し、音が形成される。ホーン3は折り畳み構造をとる。例えば、ホーン3は、筒状の第1リフレクタ3aと、第1リフレクタ3aが挿通される第2リフレクタ3bと、第2リフレクタ3bが挿通される第3リフレクタ3cとを備える。音が通過する音道は、第1リフレクタ3a、第2リフレクタ3b、第3リフレクタ3cをこの順に音が通る通路として構成される。音道の断面積(伝播方向に垂直な面の面積)は、ホーン3の開口端4に向かって徐々に拡大する。ホーン3の開口端4の外形は、例えば、円形、楕円形、長円または矩形に構成される。
【0023】
位相調整板6は、ホーン3の開口端4を取り囲むように、ホーン3に取り付けられる。位相調整板6は、支持部5を介してホーン3に取り付けられる。支持部5は、ホーン3及び位相調整板6とは別部材であってもよく、また、ホーン3及び位相調整板6のいずれかに一体に設けられるものであってもよい。また、ホーン3と支持部5と位相調整板6とは一体成形されてもよい。
【0024】
位相調整板6は次の角度でホーン3に取り付けられる。すなわち、ホーンスピーカー1の断面視において、位相調整板6の前面とホーンスピーカー1の中心軸Cに平行な線Cpとの間の角度AGは、ホーン3の延長線(ホーン3の開口端4における接線)とホーンスピーカー1の中心軸Cに平行な線Cpとの間の角度AHよりも大きいかまたは等しいことが望ましい。
【0025】
ホーン3の開口端4と位相調整板6との間には、音が通過する隙間Sが設けられる。隙間Sの幅長LS1は、後方に伝播する音の音圧低減効果(後述参照)が顕れる長さとされる。例えば、本実施形態のホーンスピーカー1の場合、隙間Sの幅長LS1は、1mm以上10mm以下が望ましい。実験した結果、隙間Sの幅長LS1が1mm未満の場合、後方に伝播する音の音圧低減効果が十分に得られなかった。この理由としては、隙間Sを通って後方に伝播する音圧が小さ過ぎて、位相調整板6を回って後方に伝搬する音圧とつり合わず、音を打ち消さないことが考えられる。また、隙間Sの幅長LS1が10mm以上の場合、逆に、隙間Sを通って後方に伝搬する音圧が大き過ぎて、位相調整板6を回って後方に伝搬する音圧とつり合わず、音を打ち消さないことが考えられる。なお、「隙間Sの幅長LS1」は、ホーンスピーカー1の中心軸Cに垂直な方向(以下「径方向」)における長さとして定義される。
【0026】
位相調整板6の幅長LAは、後方に伝播する各周波数の音について、低減させる音の周波数を規定する。「位相調整板6の幅長LA」は、径方向における長さとして定義される。
後述するように、音の半波長が位相調整板6の幅長LAと一致すると、ホーンスピーカー1の後方において、その波長に対応する周波数の音の音圧が低減する。この効果に基づけば、位相調整板6の幅長LAを調整することにより、後方において所望の周波数の音の音圧を低減させることができる。具体的には、位相調整板6の幅長LAを長くするほど、低周波数の音の音圧を低減できる。
【0027】
図3を参照して、ホーンスピーカー1の作用を説明する。
ホーンスピーカー1のドライバユニット2から出る音波は、ホーン3によって前方に伝播する。一方、ホイヘンスの原理によれば、隙間S付近の点を波源とする2次波(以下、「2次音波」という。)は隙間S付近の点を中心に広がる。
【0028】
隙間S付近の点を波源とする2次音波は、位相が揃っている。隙間S付近の点を波源とする2次音波の一部は、隙間Sを通って後方に伝播する。ここでは、この2次音波を、「直接2次音波」という。隙間S付近の点を波源とする2次音波の他の一部は、位相調整板6を回って後方に伝播する。ここでは、この2次音波を、「迂回2次音波」という。迂回2次音波は、直接2次音波よりも遅れて後方に伝播する。すなわち、位相調整板6によって、直接2次音波に対して迂回2次音波の遅れが形成される。直接2次音波と迂回2次音波とが干渉し合う地点における両者の位相差が半波長相当であると、2つの2次音波は干渉しあって打ち消し合う。このようにして、ホーンスピーカー1の後方に伝播する音の音圧が低減する。
【0029】
直接2次音波と迂回2次音波との打ち消し作用を有効に起させるためには、位相調整板6の幅長LAは、低減目的の音波の半波長の1/4倍以上1.0倍未満の長さであることが好ましい。例えば、2kHzの音をホーンスピーカー1の後方で低減させるためには、位相調整板6の幅長LAは、2kHzの半波長である85mmの1/4倍以上1.0倍未満、すなわち、21mm以上85mm未満であることが好ましい。
【0030】
2kHzの音は、可聴域のなかでも人が聞き取り易い音である。したがって、ホーンスピーカー1からの音声の重なりに起因する不明瞭性を低減するためには、ホーンスピーカー1の2kHz前後の音を低減させることが好ましく、大きな効果が期待できる。このようなことから、ホーンスピーカー1の後方において2kHzの音の低減が大きくなるように、上述のように、ホーンスピーカー1の位相調整板6の幅長LAは21mm以上85mm未満に設定される。
【0031】
図4を参照し、放送システム10を一例として、本実施形態のホーンスピーカー1の効果を説明する。
トンネル9には、防災用の放送システム10が設置されている。
本実施形態の放送システム10は、複数のホーンスピーカー1を備える。トンネル9内において、ホーンスピーカー1は、所定間隔で、同じ方向に向くように配列される。放送システム10が音声を発生すると、音声(音)がトンネル9内で同じ方向に向かって伝播する。ホーンスピーカー1の音の大部分は、前方に伝播するが、一部の音は、後方にも回り込む。このため、2つのホーンスピーカー1の間にいる人には、前後にある2つのホーンスピーカー1から音声(音)が伝わる。人が2つのホーンスピーカー1から等距離の位置に立っていることは殆どないため、人には、2つの同じ内容の音声(音)が時間的にずれて伝えられる。2つの音声が時間的にずれて重なるため、音声(音)が不明瞭になり、放送内容が聴き取り難くなる。
【0032】
この点において、本実施形態のホーンスピーカー1は、上記に説明したように、従来構造のホーンスピーカー(位相調整板6を有しないもの。以下同じ。)に比べて、後方に回り音の音圧が小さい。2つの音声が時間的にずれて重なる場合において、後方から回り込む音の影響が小さいため、2つの音声の重なりに起因する不明瞭性が低下する。
【0033】
なお、実施形態のホーンスピーカー1の効果は、放送システム10だけなく、ホーンスピーカー1の様々な利用態様において発揮する。例えば、大音量のスピーカーが、宴会場、展示会場のような会場に設置されるとき、後方の音が会場の周り広がり、これが騒音になる場合がある。実施形態のホーンスピーカー1によれば、従来構造のホーンスピーカーに比べて、後方の回り込み音の音圧が小さいため、放送エリアの外(例えば、会場の周り)に漏れる音を抑制できる。
【0034】
また、ホーンスピーカー1の後方に音が回り込むことを抑制するために、ホーンスピーカー1の周囲に防音壁を設ける場合もある。しかし、防音壁は、ホーンスピーカー1から出る音を遮断するような構造であり、大掛かりであり、設置に費用がかかるといった問題がある。この点で、位相調整板6は、人に対して効果のある周波数の音を低減させるものであって、防音壁よりも大掛かりなものでないため、設置費用を抑制できる。
【0035】
図5図7を参照して、本実施形態に係るホーンスピーカー1の特性を説明する。
図5及び図6の周波数特性グラフは、次のようにして得られる。無響室にて、ホーンスピーカー1の開口端4から正面側に(または裏面側に)4m離れたところにマイクを設置し、ホーンスピーカー1に1Wの試験信号を入力し、各周波数についてマイクの出力を検出する。なお、他の実施形態に示す周波数特性グラフも同様の方法(ただし、測定条件は異なる場合もある。各図参照。)にて得られたグラフである。
第1実施形態に係るホーンスピーカー1の周波数特性は、実線で示される。従来構造のホーンスピーカーの周波数特性は、破線で示される。なお、実線と破線の意味は、他の実施形態で示される周波数特性グラフにおいても同じである。
【0036】
図7の極座標グラフの測定方法を説明する。極座標グラフは、次のようにして得られる。無響室にて、ホーンスピーカー1から4m離れたところにマイクを設置し、ホーンスピーカー1に1Wの試験信号を入力し、ホーンスピーカー1を360度回転させて、各角度についてマイクの出力を検出する。極座標グラフにおいて、径方向の軸において最も外側の線は100dBであり、最も内側の線は50dBを示す(この点は、図14において同じ。)。また、極座標グラフにおいて、0度は、ホーンスピーカー1の真正面の位置を示し、180度は、ホーンスピーカー1の真後ろの位置を示す。
また、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の指向特性は、実線で示される。従来構造のホーンスピーカーの指向特性は、破線で示される。なお、実線と破線の意味は、他の実施形態で示される極座標グラフにおいても同じである。
【0037】
図5に示されるように、正面において、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の周波数特性と、従来構造のホーンスピーカーの周波数特性とは、実質的に変わらない。
図6に示されるように、背面において、第1実施形態に係るホーンスピーカー1は、従来構造のホーンスピーカーに比べて、1kHz以上3kHzの周波数で音圧が低い。
図7に示されるように、2kHzの音において、第1実施形態に係るホーンスピーカー1は、従来構造のホーンスピーカーに比べて、165度以上195度の範囲で、音圧が低く、特に、180度において10dB低い。
このように、本実施形態のホーンスピーカー1は、正面の周波数特性を変化させず、後方において、2kHz前後の音の音圧を低減できる。
【0038】
以下、本実施形態に係るホーンスピーカー1の効果を説明する。
(1)ホーンスピーカー1は、ホーン3の開口端4の外周に配置される位相調整板6を備える。位相調整板6は、ホーン3の開口端4と位相調整板6との間に音が通過する隙間Sが形成されるようにホーン3に取り付けられる。
この構成によれば、位相調整板6は、ホーン3の開口端4で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、位相調整板6の端で回折して後方に回り込む音と、ホーン3の開口端4と位相調整板6との間の隙間Sを通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
【0039】
(2)放送システム10は、ホーンスピーカー1を備える。複数のホーンスピーカー1は、一列または複数列に配置される。複数のホーンスピーカー1の向きは、ホーンスピーカー1の並びの一方向に揃う。
各ホーンスピーカー1の後方に回り込む音の音圧は、従来構造のホーンスピーカーに比べ、小さい。ホーンスピーカー1から直接音が伝わり、かつ他のホーンスピーカー1から後方に回り込んだ音が伝わるところでは、これらの音が重なり、音声が不明瞭になる。この点、ホーンスピーカー1の後方に回り込む音の音圧は、従来構造のホーンスピーカーに比べて小さく、音の重なりにおける後方に回り込む音の影響が小さいため、音の不明瞭性が低減する。このようにして、放送システム10によれば、音声の明瞭性を向上できる。
【0040】
<第2実施形態>
図8図10を参照して、第2実施形態に係るホーンスピーカー11について説明する。
本実施形態のホーンスピーカー11は、音を形成するドライバユニット12と、ドライバユニット12に取り付けられるホーン13とを備える。第1実施形態のホーン3と同様に複数のリフレクタにより構成される。
【0041】
ホーン13は、音を通過させる音孔15を有する。具体的には、複数のリフレクタのうち最も外側のリフレクタに、音が通過する音孔15が設けられている。
音孔15の個数は、1つまたは複数である。音孔15は、ホーン13の開口端14からドライバユニット12までの半分の位置よりも開口端14側に設けられる。例えば、複数の音孔15は、ホーン13の中心軸C(ホーンスピーカー11の中心軸Cと同じ。)を中心とする円に沿うように設けられる。好ましくは、複数の音孔15の幅長LS2(ホーン13の中心軸Cを含む断面において、ホーン13の外形に沿う長さ)は等しい。音孔15の幅長LS2は、1mm以上10mm以下とされる。この点は、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の隙間Sの幅長LS1と同じである。
【0042】
ホーン13の開口端14から音孔15までの長さ(以下、「設定長LB」)は、第1実施形態の位相調整板6の幅長LAと同じように設定され得る。2kHzの音をホーンスピーカー11の後方で低減させるためには、設定長LBは、2kHzの半波長である85mmの1/4倍以上1.0倍未満、すなわち、21mm以上85mm未満であることが好ましい。
【0043】
「ホーン13の開口端14から音孔15までの長さ(設定長LB)」は、ホーン13の曲面に沿う長さであって、開口端14のいずれか点から音孔15までの無数の経路のうち、最も短い経路の長さを示す。具体的には、「ホーン13の開口端14から音孔15までの長さ(設定長LB)」は、側面視において、ホーン13の外形線上で開口端14から音孔15までの長さに等しい(図8参照)。
【0044】
ホーンスピーカー11の作用を説明する。
ホーンスピーカー11の音孔15は、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の隙間Sと同様の作用を有する。
具体的には、音孔15付近の点を波源とする2次音波の一部(直接2次音波)は、音孔15を通って後方に伝播する。また、音孔15付近の点を波源とする2次音波の他の一部(迂回2次音波)は、ホーン13の開口端14を回って後方に伝播する。迂回2次音波は、直接2次音波よりも遅れて後方に伝播する。直接2次音波と迂回2次音波とが干渉し合う地点における両者の位相差が、半波長相当であると、2つの2次音波は干渉しあって打ち消し合う。このようにして、ホーンスピーカー11の後方に伝播する音の音圧が低減する。具体的には、設定長LBが、21mm以上85mm未満であるとき(すなわち、設定長LBが、2kHzの半波長である85mmの1/4倍以上1.0倍未満のとき)、2kHzの音がホーン13の後方で有効に低減する。
【0045】
図9は、他の形態の音孔15xを有するホーン13xの側面図である。
この形態では、音孔15xは、ホーンスピーカー11の中心軸Cに沿う方向(音の伝播方向)に長い長孔として構成され得る。複数の音孔15xの間隔は等しい。
【0046】
図10は、他の形態の音孔15yを有するホーン13yの側面図である。
この形態では、ホーン13yは、複数の列に配列される音孔15yを有する。例えば、音孔15yは、2列16,17に配置される。2つの列16,17は、ホーンスピーカー11の中心軸Cに沿う方向において前後に配置される。各列の音孔15yは、複数の音孔15yにより構成される。各列の音孔15yは、所定間隔を隔てて、ホーン13の中心軸C(ホーンスピーカー11の中心軸Cと同じ。)を中心とする円に沿うように設けられる。また、各列の音孔15yは、ホーン13の開口端14からドライバユニット12までの半分の位置よりも開口端14側に設けられる。
【0047】
後列17の音孔15yから開口端14までの距離と、前列16の音孔15yから開口端14までの距離とは相違する。このため、後列17の音孔15yを通る直接2次音波と迂回2次音波とが干渉する周波数範囲と、前列16の音孔15yを通る直接2次音波と迂回2次音波とが干渉する周波数範囲とがずれる。この結果、全体として、干渉により音が打ち消される周波数範囲が広くなる。
【0048】
以下、本実施形態に係るホーンスピーカー11の効果を説明する。
(1)ホーンスピーカー11は、ホーン13を備える。ホーン13は音を通過させる音孔15を有する。音孔15は、ホーン13の開口端14からドライバユニット12までの半分の位置よりも開口端14側に設けられる。
【0049】
この構成によれば、ホーン13は、ホーン13の開口端14で回折して後方に回り込む音と、ホーン13の開口端14よりもドライバユニット12側にある音孔15(15x,15y)を通過して後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、ホーンスピーカー11によれば、後方に伝達される音を低減できる。
【0050】
(2)図10に示されるように、ホーン13に設けられる音孔15yは、複数の列に配列され得る。複数の列16,17は、ホーン13の中心軸Cを中心とする円に沿うように設けられる。この構成によれば、干渉により音が打ち消される周波数範囲を広くできる。
【0051】
<第3実施形態>
図11図14を参照して、第3実施形態に係るスピーカーユニットについて説明する。スピーカーユニット20は、所謂、「ホーンアレイスピーカー」、「ラインアレイスピーカー」などと呼ばれるものである。
【0052】
スピーカーユニット20は、複数のホーンスピーカー21と、一対の位相調整板24とを備える。複数のホーンスピーカー21は、所定のパターンで配列される。例えば、複数のホーンスピーカー21は、所定間隔で一列または複数列(例えば、2列×8行)に配列される。各ホーンスピーカー21の向きは、全部、同じ方向に揃っている。好ましくは、複数のホーンスピーカー21は、これらを収容する箱状の筐体に収容される。
【0053】
位相調整板24は、複数のホーンスピーカー21により構成されるユニットの両側にそれぞれ配置される。位相調整板24と、ホーンスピーカー21のホーン23の開口端とは、ホーンスピーカー21の中心軸に沿う方向において同じ位置に配置される。位相調整板24は、支持部25を介してホーンスピーカー21の近くに配置される。位相調整板24は、ホーンスピーカー21に直接的に取り付けられ、または、筐体に取り付けられる。
【0054】
位相調整板24の幅長LCは、第1実施形態で説明した位相調整板6の幅長LAと同じように設定される。例えば、2kHzの音をホーンスピーカー1の後方で低減させるためには、位相調整板24の幅長LCは、2kHzの半波長である85mmの1/4倍以上1.0倍未満、すなわち、21mm以上85mm未満であることが好ましい。
【0055】
位相調整板24と、複数のホーンスピーカー21により構成されるユニットとの間には隙間Sが設けられる。具体的には、複数のホーン23の開口端の周囲を覆う前面部材26と位相調整板24との間には、音が通過する隙間Sが設けられる。
【0056】
隙間Sの幅長LS3は、第1実施形態で説明した隙間Sと同じように構成される。具体的には、隙間Sの幅長LS3は、1mm以上10mm以下とされる。好ましくは、隙間Sの幅長LS3は、3mm以上7mm以下である。
【0057】
図12図14を参照して、本実施形態に係るスピーカーユニット20の特性を説明する。
図12及び図13の周波数特性グラフは、図5及び図6の周波数特性グラフと同様の測定方法で得られたものである。図14の極座標グラフは、図7の極座標グラフと同様の測定方法で得られたものである。
【0058】
図12に示されるように、正面において、本実施形態の係るスピーカーユニット20の周波数特性と、従来構造のスピーカーユニット(位相調整板24がないもの。以下同じ。)の周波数特性とは、実質的に変わらない。
図13に示されるように、背面において、本実施形態のスピーカーユニット20は、従来構造のスピーカーユニットに比べて、1kHz以上3kHzの周波数で音圧が低い。
図14に示されるように、2kHzの音において、本実施形態のスピーカーユニット20は、従来構造のスピーカーユニットに比べて、120度以上240度の範囲で、音圧が低く、特に、180度では、8dB程度低い。
このように、本実施形態のスピーカーユニット20は、正面の周波数特性を変化させず、後方において、2kHz前後の音の音圧を低減できる。
【0059】
以下、本実施形態に係るスピーカーユニット20の効果を説明する。
スピーカーユニット20は、所定のパターンで配列された複数のホーンスピーカー21と、一対の位相調整板24とを備える。一対の位相調整板24は、複数のホーンスピーカー21により構成されるユニットの両側に設けられる。一対の位相調整板24は、ユニットに取り付けられる。ユニットの正面の側端と位相調整板24との間に音が通過する隙間Sが形成される。
【0060】
この構成によれば、位相調整板24は、ユニットの正面の側端で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、位相調整板24の端で回折して後方に回り込む音と、ユニットの正面の側端と位相調整板24との間の隙間Sを通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
【0061】
<第4実施形態>
図15図17を参照して、第4実施形態に係るメガホンについて説明する。
図15に示されるように、メガホン31は、音を形成するドライバユニット32と、ドライバユニット32に取り付けられるホーン33と、ホーン33の後方に取り付けられるマイク36とを備える。マイク36は、ホーン33に一体に、または、ホーン33から離間可能に、取り付けられる。ドライバユニット32は、コイルを有する振動板、磁石、ヨーク、及びプレートにより構成される。ホーン33は折り畳み構造をとる。ホーン33は、第1実施形態のホーン3と同様に複数のリフレクタにより構成される。
ホーン33は、音を通過させる音孔35を有する。複数のリフレクタのうち最も外側のリフレクタに、音が通過する音孔35が設けられている。音孔35の構成は、第2実施形態に示した音孔35の構成に準ずる。また、ホーン33の開口端34から音孔35までの長さ(以下、「設定長LD」)についても第2実施形態の例に準ずる。
【0062】
メガホン31の作用を説明する。
メガホン31の音孔35は、第2実施形態のホーンスピーカー11の音孔15と同様の作用を有する。
具体的には、音孔35付近の点を波源とする2次音波の一部(直接2次音波)は、音孔35を通って後方に伝播する。また、音孔35付近の点を波源とする2次音波の他の一部(迂回2次音波)は、ホーン33の開口端34を回って後方に伝播する。迂回2次音波は、直接2次音波よりも遅れて後方に伝播する。そして、直接2次音波と迂回2次音波とが干渉しあって打ち消し合う。このようにして、メガホン31の後方に伝播する音の音圧が低減する。
【0063】
例えば、設定長LDが、21mm以上85mm未満であるとき(すなわち、設定長LDが、2kHzの半波長である85mmの1/4倍以上1.0倍未満のとき)、2kHzの音がメガホン31の後方で有効に低減する。2kHz前後の音が後方で有効に低減するため、ハウリングが生じ難くなる。このようにハウリングが生じ難いため、音孔35がない場合に比べて、メガホン31の出力を上げることができる。
【0064】
図16及び図17を参照して、本実施形態に係るメガホン31の特性を説明する。
図16及び図17の周波数特性グラフは、図5及び図6の周波数特性グラフと同様の測定方法(ただし、背面での測定距離が異なる。)で得られたものである。図17に示されるように、メガホン31の背面の周波数特性を測定するときの測定距離は34cmである。
【0065】
図16に示されるように、正面において、本実施形態のメガホン31の周波数特性と、従来構造のメガホン(音孔35がないもの。以下同じ。)の周波数特性とは、実質的に変わらない。
図17に示されるように、背面において、本実施形態のメガホン31は、従来構造のメガホンに比べて、1kHz以上3kHzの周波数で音圧が低い。
このように、本実施形態のメガホン31は、正面の周波数特性を変化させず、後方において、2kHz前後の音の音圧を低減できる。
【0066】
以下、本実施形態に係るメガホン31の効果を説明する。
メガホン31は、音を形成するドライバユニット32と、ドライバユニット32に取り付けられるホーン33と、ホーン33の後方に取り付けられるマイク36とを備える。ホーン33は、音を通過させる音孔35を有する。音孔35は、ホーン33の開口端34からドライバユニット32までの半分の位置よりも開口端34側に設けられる。
【0067】
この構成によれば、ホーン33は、ホーン33の開口端34で回折して後方に回り込む音と、ホーン33の開口端34よりもドライバユニット32側にある音孔35を通過して後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に伝達される音を低減できる。また、この低減効果によりハウリングを抑制できる。
【0068】
<第5実施形態>
図18を参照して、第5実施形態に係るアダプターについて説明する。
第5実施形態に係るアダプター41は、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の位相調整板6に相当するものである。アダプター41は、ホーン49に取り付け可能である。例えば、アダプター41は、従来構造のホーンスピーカーのホーン、または、従来構造のメガホンのホーンに取り付け可能である。好ましくは、アダプター41は、ホーン49に着脱可能に構成される。
【0069】
アダプター41の内周と外周との間の幅長LEは、第1実施形態の「位相調整板6の幅長LA」と同じように設定される。例えば、アダプター41の内周と外周との間の幅長LEは、21mm以上85mm未満であることが好ましい。
アダプター41は、ホーン49の開口端が入る開口部42を有する。アダプター41をホーン49の開口端の外周に取り付けると、ホーン49の開口端とアダプター41の開口部42との間に音が通過する隙間Sが形成される。アダプター41をホーン49に取り付けることにより隙間Sが形成されるようにするため、アダプター41には、ホーン49の開口端に係合する係合突起43が設けられる。係合突起43は、アダプター41の開口部42とホーン49の開口端との間に隙間Sを形成するようにして、ホーン49の開口端に係合する。隙間Sの幅長は、第1実施形態における隙間Sと同様に設定される。
【0070】
以下、本実施形態に係るアダプター41の効果を説明する。
アダプター41は、ホーン49に取り付け可能である。アダプター41は、ホーン49の開口端が入る開口部42を有する。ホーン49の開口端とアダプター41との間に音が通過する隙間Sが形成されるように、ホーン49の開口端の外周に取り付け可能である。
【0071】
このようなアダプター41によれば、アダプター41を従来構造のホーンスピーカーまたは従来構造のメガホンに装着できる。
ホーン49に装着されたアダプター41は、ホーン49の開口端で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、アダプター41は、アダプター41の外端で回折して後方に回り込む音と、ホーン49の開口端とアダプター41との間の隙間Sを通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
【0072】
<第6実施形態>
図19を参照して、第6実施形態に係るアダプターについて説明する。
第6実施形態に係るアダプター51は、第1実施形態に係るホーンスピーカー1の位相調整板6の変形例である。アダプター51は、ホーン59に取り付け可能である。例えば、アダプター51は、従来構造のホーンスピーカーのホーン、または、従来構造のメガホンのホーンに取り付け可能に構成される。
【0073】
アダプター51は、ホーン59の開口端が入る開口部52と音が通過する音孔53とを有する。開口部52を構成する内周部54は、ホーン59に密着して取り付け可能に構成される。例えば、内周部54は、弾性体(例えば、ゴム、エラストマー、または弾性を有する樹脂)により構成される。アダプター51の開口部52がホーン59の開口端に嵌められると、弾性体が弾性変形して、アダプター51がホーン59に固定される。
【0074】
音孔53は、内周と外周との間の部分に設けられる。音孔53は、ホーンスピーカーまたはメガホンの中心軸を中心とする円に沿う。音孔53の幅長LS4は、1mm以上10mm以下とされ、好ましくは、3mm以上7mm以下である。なお、「音孔53の幅長LS4」は、ホーン59の中心軸に垂直な方向(径方向)における長さとして定義される。
【0075】
アダプター51の音孔53と外周との間の幅長LFは、第1実施形態の「位相調整板6の幅長LA」と同じように設定される。例えば、アダプター51の内周と外周との間の幅長LFは、21mm以上85mm未満であることが好ましい。
アダプター51をホーン59の開口端の外周に取り付けると、ホーン59の開口端とアダプター51の開口部52とは密着する。
【0076】
以下、本実施形態に係るアダプター51の効果を説明する。
アダプター51は、ホーン59の開口端が入る開口部52及び音が通過する音孔53を有する。また、アダプター51は、ホーン59の開口端の外周に取り付け可能である。
【0077】
このようなアダプター51によれば、アダプター51を従来構造のホーンスピーカーまたは従来構造のメガホンに装着できる。
ホーン59に装着されたアダプター51は、ホーン59の開口端で回折して後方に回り込む音の進行を遮る。さらに、アダプター51は、アダプター51の外端で回折して後方に回り込む音と、アダプター51の音孔53を通って後方に回り込む音とを干渉させて減衰させる。このようにして、後方に回り込む音を低減できる。
【0078】
<その他の実施形態>
各実施形態は、上記の構成に限定されない。以下、各実施形態の変更例を説明する。
・第1実施形態において、位相調整板6は、折り畳み可能であってもよい。例えば、位相調整板6は、円周方向に複数個の分割体に分割され、各分割体は、ヒンジを介してホーンに取り付けられる。各分割体は、ホーン3の後ろ側に折り畳まれる。各分割体が拡げられて、円周方向に係合すると、位相調整板6が形成される。このような折り畳み可能な位相調整板6によれば、ホーンスピーカー1の収容スペースの増大がなく、収容性の低下(位相調整板6を設けたことに起因する収容性の低下)を低減できる。
・第2実施形態に示された音孔15x,15yの変形例(図9及ぶ図10)は、メガホンにも適応できる。
【符号の説明】
【0079】
AG…角度、AH…角度、C…中心軸、Cp…線、LS1…幅長、LS2…幅長、LS3…幅長、LS4…幅長、LA…幅長、LB…設定長、LC…幅長、LD…設定長、LE…幅長、LF…幅長、S…隙間、1…ホーンスピーカー、2…ドライバユニット、3…ホーン、3a…第1リフレクタ、3b…第2リフレクタ、3c…第3リフレクタ、4…開口端、5…支持部、6…位相調整板、9…トンネル、10…放送システム、11…ホーンスピーカー、12…ドライバユニット、13…ホーン、13x…ホーン、13y…ホーン、14…開口端、15…音孔、15x…音孔、15y…音孔、16…前列、17…後列、20…スピーカーユニット、21…ホーンスピーカー、23…ホーン、24…位相調整板、25…支持部、26…前面部材、31…メガホン、32…ドライバユニット、33…ホーン、34…開口端、35…音孔、36…マイク、41…アダプター、42…開口部、43…係合突起、49…ホーン、51…アダプター、52…開口部、53…音孔、54…内周部、59…ホーン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19