(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-44251(P2019-44251A)
(43)【公開日】2019年3月22日
(54)【発明の名称】ウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置
(51)【国際特許分類】
C21D 1/00 20060101AFI20190222BHJP
C21D 9/00 20060101ALI20190222BHJP
F27B 9/38 20060101ALI20190222BHJP
【FI】
C21D1/00 114B
C21D1/00 117
C21D9/00 101V
F27B9/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-171250(P2017-171250)
(22)【出願日】2017年9月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】小林 節
(72)【発明者】
【氏名】桂 祥裕
【テーマコード(参考)】
4K034
4K050
【Fターム(参考)】
4K034BA05
4K034BA08
4K034DB05
4K034EA15
4K034EB32
4K034EB39
4K050AA02
4K050BA02
4K050CF03
(57)【要約】
【課題】 シリンダーによって伸縮されるプッシャーを伸長させてワークをウォーキングビーム式加熱炉内に装入させるにあたり、ワークが振動して騒音が発生することなく、加熱炉内にワークを一定した間隔で適切に装入できるようにする。
【解決手段】 ウォーキングビーム式の加熱炉10内にワークWを装入させる装入口11の部分に、上下方向に傾斜可能な案内ビーム21を加熱炉の外部から内部に至るように設け、シリンダー30により伸縮されるプッシャー31を伸長させてワークを案内ビームに沿って加熱炉内に装入させる際に、案内ビームを上下方向に傾斜させる傾斜手段20により、案内ビームの加熱炉内部側を上方に傾斜させ、プッシャーにワークを接触させた状態を維持しながら、ワークをプッシャーにより加熱炉の内部の所定位置まで装入させるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ビームと可動ビームとを用いたウォーキングビーム式の加熱炉内にワークを装入させるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、ワークを装入させる加熱炉の装入口の部分に上下方向に傾斜可能な案内ビームを加熱炉の外部から内部に至るように設け、この案内ビームに導かれたワークをシリンダーにより伸縮されるプッシャーを伸長させて加熱炉内に導入させる際に、前記の案内ビームを上下方向に傾斜させる傾斜手段により、案内ビームの加熱炉内部側を上方に傾斜させ、プッシャーにワークを接触させた状態で、ワークをプッシャーにより加熱炉の内部の所定位置まで装入させることを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、前記のプッシャーによってワークを加熱炉の内部に装入させるにあたり、前記のワークを加熱炉の内部における可動ビームによって持ち上げられて保持される位置まで装入させることを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、前記のプッシャーによって加熱炉の内部に装入されたワークが、加熱炉内に保持された状態で、加熱炉内部側を上方に傾斜させた前記の案内ビームを前記の傾斜手段によって水平に戻すと共に、前記のシリンダーにより伸長された前記のプッシャーを収縮させることを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、前記のシリンダーにモーターによってプッシャーを伸縮させるモーター式のシリンダーを用い、前記のプッシャーとワークとの接触状態を、前記のモーターに加わる負荷によって検知する検知装置を設けると共に、この検知装置によって検知された負荷に基づいて、前記の傾斜手段によって前記の案内ビームを傾斜させる角度を制御する制御装置を設けたことを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定ビームと可動ビームとを用いたウォーキングビーム式の加熱炉内にワークを装入させるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置に関するものである。特に、シリンダーによって伸縮されるプッシャーを伸長させて、ワークを前記の加熱炉における装入口から加熱炉内に装入させるにあたり、ワークが振動して騒音が発生したりすることなく、ワークをウォーキングビーム式加熱炉内の所定の位置に一定した間隔で安定して装入できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鋼片、鋼板等のワークを加熱炉内において順々に移動させて連続的に加熱処理する加熱炉として、固定ビームと可動ビームとを用いたウォーキングビーム式加熱炉が広く使用されている。
【0003】
そして、このようなウォーキングビーム式加熱炉において、鋼片、鋼板等のワークを加熱炉内に順々に装入させるにあたっては、特許文献1〜3等に示されるように、加熱炉の装入口の外部に設けられる移送テーブルにワークを載置させ、このワークをプッシャーによって移送テーブルから装入口を通して加熱炉内の所定位置まで装入させ、この状態で前記の可動ビームをウォーキング動作させて、前記のように装入されたワークを前記の可動ビームにより固定ビームの上において順々に移動させ、また前記のようにして移送テーブルからワークをプッシャーによって装入口を通して加熱炉内の所定位置まで装入させ、このような操作を繰り返して行うようにしている。
【0004】
ここで、前記のように移送テーブルからワークをプッシャーによって装入口を通して加熱炉内の所定位置まで装入させるにあたり、ワークを加熱炉内の所定位置に適切に装入させるため、一般に、特許文献1〜3等に示されるように、移送テーブルからワークを加熱炉内の所定位置まで装入させるプッシャーのストローク量を制御するようにしていた。
【0005】
しかし、このように移送テーブルからワークをプッシャーによって装入口を通して加熱炉内の所定位置まで装入させる場合、プッシャーによって押されるワークと移送テーブルやウォーキングビームとの間の摩擦係数の差等によって、ワークがプッシャーによって適切に送られず、プッシャーが伸長動作をする間にワークが滑ってプッシャーから離れたり、またこのようにプッシャーから離れたワークが再度、プッシャーにあたって押されたりし、ワークが振動して騒音が発生したり、またワークが勝手に滑ってプッシャーから離れて、適切な位置に装入されなくなって、ワーク間の間隔が変化する等の問題があった。
【0006】
この結果、前記のように可動ビームをウォーキング動作させて、前記のように装入されたワークを可動ビームにより固定ビームの上において順々に移動させるようにした場合、ワーク相互が接触したり、また各ワークを均等に加熱させたりすることが困難になるという問題があった。
【0007】
また、従来においては、特許文献4に示されるように、固定ビームによって形成されるワークの載置面に対して、可動ビームによって形成される載置面を搬送方向において相対的に前傾又は後傾させて、固定ビーム上に載置された各ワークの間隔を調整するようにしたものが提案されている。
【0008】
しかし、特許文献4に示されるものにおいても、ワークをプッシャーによって装入口を通して加熱炉内の所定位置まで装入させる場合に、ワークが振動して騒音が発生したりするのを防止することはできず、また特許文献4に示されるように、固定ビームによって形成されるワークの載置面に対して、可動ビームによって形成される載置面を搬送方向において相対的に前傾又は後傾させて、固定ビーム上に載置された各ワークの間隔を調整するように制御することは非常に困難であり、制御装置等に要するコストが高くつき、またワークの間隔を適切に調整するのに時間がかかり、各ワークを適切に均等に加熱させることが困難になる等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭48−24905号公報
【特許文献2】特公昭46−43692号公報
【特許文献3】特開平3−223415号公報
【特許文献4】特開2013−139323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、固定ビームと可動ビームとを用いたウォーキングビーム式加熱炉内にワークを装入させる場合における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明は、前記のように固定ビームと可動ビームとを用いたウォーキングビーム式加熱炉内にプッシャーによってワークを装入させるにあたり、ワークが振動して騒音が発生したりすることなく、ワークをウォーキングビーム式加熱炉内の所定の位置に一定した間隔で安定して装入できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置においては、前記のような課題を解決するため、固定ビームと可動ビームとを用いたウォーキングビーム式の加熱炉内にワークを装入させるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、ワークを装入させる加熱炉の装入口の部分に上下方向に傾斜可能な案内ビームを加熱炉の外部から内部に至るように設け、この案内ビームに導かれたワークをシリンダーにより伸縮されるプッシャーを伸長させて加熱炉内に装入させる際に、前記の案内ビームを上下方向に傾斜させる傾斜手段により、案内ビームの加熱炉内部側を上方に傾斜させ、プッシャーにワークを接触させた状態で、ワークをプッシャーにより加熱炉の内部の所定位置まで装入させるようにした。
【0013】
このように、ワークを装入させる加熱炉の装入口の部分に上下方向に傾斜可能な案内ビームを加熱炉の外部から内部に至るように設け、この案内ビームに導かれたワークをシリンダーにより伸縮されるプッシャーを伸長させて加熱炉内に装入させるにあたり、傾斜手段により案内ビームの加熱炉内部側を上方に傾斜させて、プッシャーにワークを接触させるようにすると、ワークが勝手に滑ってプッシャーから離間するのが防止され、ワークが振動して騒音が発生するということがなく、ワークがプッシャーに接触した状態を維持しながら、確実に案内ビームに沿って加熱炉の内部の所定位置に適切に装入されるようになる。
【0014】
ここで、前記のウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、前記のプッシャーによってワークを加熱炉の内部の所定位置まで装入させるにあたっては、加熱炉の内部に装入されたワークが、少なくとも加熱炉の内部に設けた前記の可動ビームによって持ち上げられて保持される位置まで装入させるようにすることが好ましい。このように、ワークを加熱炉の内部に設けた可動ビームによって持ち上げて保持される位置まで装入させると、加熱炉の内部に装入されたワークが可動ビームのウォーキング動作によって確実に加熱炉内において適切に搬送されるようになる。
【0015】
また、前記のウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置においては、前記のようにプッシャーによって加熱炉の内部に装入されたワークが、加熱炉内に保持された状態で、加熱炉内部側を上方に傾斜させた前記の案内ビームを前記の傾斜手段によって水平に戻すと共に、前記のシリンダーにより伸長された前記のプッシャーを収縮させるようにする。このようにすると、シリンダーにより伸長された前記のプッシャーを収縮させる際に、加熱炉内部側を上方に傾斜させた案内ビームに沿ってワークが戻される方向に移動するということがなく、加熱炉内の適切な位置に保持された状態で維持されるようになる。
【0016】
また、前記のウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置においては、前記のシリンダーとして、モーターによってプッシャーを伸縮させるモーター式のシリンダーを用い、前記のプッシャーとワークとの接触状態を、前記のモーターに加わる負荷によって検知する検知装置を設けると共に、この検知装置によって検知された負荷に基づいて、前記の傾斜手段によって前記の案内ビームを傾斜させる角度を制御する制御装置を設けることが好ましい。このようにすると、前記の検知装置によって検知されたモーターに加わる負荷に基づいて、プッシャーとワークとが接触しているかを適切に検知でき、またこの検知装置によって検知されたモーターの負荷に基づいて、前記の制御装置により前記の傾斜手段によって傾斜させる案内ビームの角度を制御させることができる。このため、案内ビームとワークとの摩擦抵抗や、ワークの重量・材質や、加熱炉内の温度等に応じて、案内ビームを傾斜させる角度を適切に制御し、ワークをプッシャーに接触させた状態を維持しながら案内ビームに沿って、ワークを加熱炉の内部に適切に装入させることが容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置においては、前記のようにワークを装入させる加熱炉の装入口の部分に、上下方向に傾斜可能な案内ビームを加熱炉の外部から内部に至るように設け、この案内ビームに導かれたワークをシリンダーにより伸縮されるプッシャーを伸長させて加熱炉内に装入させるにあたり、前記の案内ビームを上下方向に傾斜させる傾斜手段により、案内ビームの加熱炉内部側を上方に傾斜させて、プッシャーにワークを接触させるようにしたため、ワークが勝手に滑ってプッシャーから離間するのが防止され、ワークを加熱炉内に装入させる際に、ワークが振動して騒音が発生するということがなくなり、ワークがプッシャーに接触した状態で、確実に案内ビームに沿って加熱炉の内部の所定の位置に一定した間隔で安定して装入できるようになる。
【0018】
また、本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置においては、前記のようにして加熱炉の内部の所定位置にワークを一定した間隔で適切に装入させることができ、前記のように可動ビームをウォーキング動作させて、前記のように装入されたワークを可動ビームにより固定ビームの上において順々に移動させるようにした場合、ワーク相互が接触することがなく、各ワークを均等に加熱させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、ワークを加熱炉内に装入させる装入口の部分に、加熱炉の外部から内部に至る複数の案内ビームを設け、前記の装入口を装入側扉によって開閉させる状態を示し、(A)は装入側扉を上方に移動させて装入口を開けた状態を示した部分概略説明図、(B)は装入口を装入側扉によって閉じた状態を示した部分概略説明図である。
【
図2】前記の実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置の使用状態を示し、ワークを装入させる加熱炉の装入口を装入側扉によって閉じて、案内ビームを通して加熱炉内に装入させる前の状態を示した概略断面説明図である。
【
図3】前記の実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、シリンダーによりプッシャーを伸長させて、ローラーコンベアからワークを案内ビームに送ると共に、装入側扉を上昇させて前記の装入口を開け、加熱炉の外部から内部に至るように設けた前記の案内ビームの加熱炉内部側を上方に傾斜させ、前記のプッシャーをワークに接触させた状態で伸長させて、ワークを案内ビームに沿って加熱炉内に装入させる状態を示した概略断面説明図である。
【
図4】前記の実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、前記のプッシャーにより案内ビームに沿ってワークを、加熱炉内に設けられた可動ビームによって持ち上げられて保持される位置まで装入させると共に、前記の加熱炉内部側が上方に傾斜された案内ビームを水平にした状態を示した概略断面説明図である。
【
図5】前記の実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、前記のシリンダーにより前記のプッシャーを収縮させて加熱炉内から元の位置に戻すと共に、前記の装入側扉を下降させて装入口を閉じ、前記の可動ビームを上方に移動させて、加熱炉内に装入された各ワークを可動ビームによって案内ビームや固定ビームよりも上方に持ち上げた状態を示した概略断面説明図である。
【
図6】前記の実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、前記のように各ワークを固定ビームよりも上方に持ち上げた可動ビームをワークの搬送方向に移動させて、前記のように加熱炉内に装入された各ワークを固定ビームの上方で移動させた位置に導いた状態を示した概略断面説明図である。
【
図7】前記の実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、前記のようにワークを固定ビームの上方で移動させた可動ビームを下降させて、可動ビームに保持されて移動された各ワークを固定ビームの上に保持させた状態を示した概略断面説明図である。
【
図8】前記の実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置において、各ワークを固定ビームの上に保持させて下降させた状態にある可動ビームを次のワークが装入される装入口側の元の位置に移動させた状態を示した概略断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉へのワーク装入装置は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0021】
本発明の実施形態において使用するウォーキングビーム式加熱炉においては、
図1(A),(B)に示すように、加熱炉10内にワークWを装入させる装入側の壁部10aにワークWを装入させる装入口11を開口させると共に、この装入口11を開閉させる装入側扉12を設けている。
【0022】
そして、この実施形態においては、前記の装入口11の下辺部分に、ワークWを加熱炉10内に案内する上下方向に傾斜可能な案内ビーム21を保持させるための保持用凹部11aを適当な間隔で複数設けると共に、前記の装入側扉12の下辺部分にも、前記の保持用凹部11aに対応するようにして、前記の案内ビーム21と衝突しないように凹んだ嵌め込み用凹部12aを適当な間隔で複数設けている。
【0023】
また、前記の実施形態においては、
図2等に示すように、前記の上下方向に傾斜可能な各案内ビーム21を、前記のようにして加熱炉10における装入口11を通して加熱炉10の外部から内部に至るように設けている。
【0024】
また、前記の案内ビーム21を上下方向に傾斜させる傾斜手段20として、加熱炉10の外部における案内ビーム21の下面に案内ビーム21を上下方向に回動させる支点22を設けると共に、加熱炉10から離れた案内ビーム21の下面の端部に、案内ビーム21の端部を昇降させて前記の支点22を中心にして案内ビーム21を上下方向に傾動させる傾動用シリンダー23を設け、この傾動用シリンダー23におけるロッド24を伸縮させて、案内ビーム21を上下方向に傾斜させるようにしている。なお、案内ビーム21を上下方向に傾斜させる傾斜手段20はこのような傾動用シリンダー23に限られず、図示していないが、回転するカム部材等を設けるようにすることもできる。
【0025】
そして、この実施形態においては、ローラーコンベアRによって紙面の奥行き方向から導かれたワークWを、前記の案内ビーム21に通して加熱炉10内に装入させるにあたり、前記のローラーコンベアRよりも加熱炉10から離れた位置にシリンダー30を設け、このシリンダー30によりプッシャー31を伸長させて、ローラーコンベアRにおけるワークWを前記の案内ビーム21に導き、さらにこのワークWを前記の案内ビーム21に沿って加熱炉10に向けて押すようにしている。
【0026】
そして、この実施形態においては、前記のワークWを前記の案内ビーム21に沿って加熱炉10内に装入させるにあたり、
図3に示すように、前記の装入側扉12を上方に移動させて加熱炉10の装入口11を開口させた状態で、前記のシリンダー30によりプッシャー31を伸長させると共に、前記の傾動用シリンダー23におけるロッド24を収縮させて、前記の案内ビーム21における加熱炉10の内部側を上方に傾斜させ、前記のローラーコンベアRから案内ビーム21に導かれたワークWを自重で傾斜を滑り落ちようとする力を利用して前記のシリンダー30におけるプッシャー31に接触させた状態を維持しながら、シリンダー30によりプッシャー31をさらに伸長させて、ワークWをプッシャー31により装入口11を通して加熱炉10の内部に装入させるようにしている。
【0027】
また、この実施形態においては、前記のシリンダー30として、モーター32によってプッシャー31を伸縮させるモーター式のシリンダー30を用い、前記のように案内ビーム21における加熱炉10の内部側を上方に傾斜させると共に、前記のモーター32によってプッシャー31を伸長させ、案内ビーム21におけるワークWをプッシャー31に接触させて押す際に、前記のモーター32に加わる負荷を電流等で検知する検知装置41を設け、この検知装置41によって検知された結果を制御装置42に出力し、前記の検知された負荷に基づいて制御装置42により、前記の傾斜手段20における傾動用シリンダー23を制御して、前記のように案内ビーム21における加熱炉10の内部側を上方に傾斜させる角度を調整するようにしている。
【0028】
このようにすると、前記の検知装置41によって検知されたモーター32に加わる負荷に基づいて、プッシャー31とワークWとが接触しているかを適切に検知できると共に、この検知装置41によって検知されたモーター32に加わる負荷に基づいて、前記の制御装置42により前記の傾斜手段20によって傾斜させる案内ビーム21の角度を適切に調整することができる。
【0029】
例えば、プッシャー31が伸長動作をしている最中に負荷が軽くなった場合には、ワークWがプッシャー31から離れる恐れがあると判断し、傾動用シリンダー23におけるロッド24を適量収縮させて案内ビーム21の傾斜角度を大きくする。特に、案内ビーム21の炉内側は装入側扉12の開閉によって温度変化が大きく、摩擦抵抗がその時々で変化するので、この動作は有効である。
【0030】
この結果、案内ビーム21とワークWとの摩擦抵抗や、ワークWの重量・材質や、加熱炉10内の温度等に応じて、案内ビーム21を傾斜させる角度を適切に制御し、ワークWをプッシャー31に接触させた状態を維持しながら、ワークWを案内ビーム21に沿って加熱炉10の内部に適切に装入させることが容易に行えるようになる。
【0031】
そして、前記のようにワークWを前記のプッシャー31に接触させた状態で、前記のシリンダー30によりプッシャー31を伸長させて、
図4に示すように、ワークWをプッシャー31により装入口11を通して加熱炉10の内部の所定位置にも導くようにしている。
【0032】
ここで、この実施形態においては、前記のワークWを加熱炉10の内部における固定ビーム13よりも装入口11に近い位置で、加熱炉10の内部に導入された前記の案内ビーム21の先端の下方に存在する可動ビーム14によって持ち上げて保持される位置まで装入させた後、前記の傾斜手段20において、傾動用シリンダー23におけるロッド24を伸長させて、前記のように加熱炉10の内部側を上方に傾斜させた案内ビーム21を水平に戻すようにする。
【0033】
その後、
図5に示すように、前記のシリンダー30によりプッシャー31を収縮させて元の位置に戻し、前記の装入側扉12を下方に移動させて、前記のように水平になった案内ビーム21を、装入口11の下辺部分に設けた保持用凹部11aと装入側扉12の下辺部分に設けた嵌め込み用凹部12aとの間に嵌め込むようにして、前記の装入口11を装入側扉12によって閉塞させると共に、ウォーキング駆動装置(図示せず)を駆動させ、案内ビーム21の先端の下方に位置する前記の可動ビーム14を上方に移動させて、前記の案内ビーム21や固定ビーム13よりも上方に導き、加熱炉10の内部に装入された各ワークWをこの可動ビーム14によって持ち上げた状態で保持させる。
【0034】
そして、このように各ワークWを可動ビーム14によって持ち上げた状態で、
図6に示すように、前記のウォーキング駆動装置により、可動ビーム14を加熱炉10の内部側に移動させて、可動ビーム14によって各ワークWを固定ビーム13が設けられた加熱炉10の内部の所定位置までに搬送させる。
【0035】
その後、
図7に示すように、前記のウォーキング駆動装置により可動ビーム14を固定ビーム13よりも下方に移動させて、前記のように可動ビーム14によって加熱炉10の内部に移動させた各ワークWを、可動ビーム14の上から固定ビーム13の上に保持させるようにする。
【0036】
また、このように可動ビーム14を固定ビーム13よりも下方に移動させた状態で、
図8に示すように、前記の可動ビーム14を、前記のウォーキング駆動装置により加熱炉10の内部における固定ビーム13よりも装入口11に近い
図2に示す元の位置に戻すようにする。
【0037】
そして、
図2〜
図8に示す操作を繰り返して行い、案内ビーム21に導かれたワークWを、装入口11を通して固定ビーム13と可動ビーム14とを用いた加熱炉10の内部に装入させて、ワークWを順々に加熱処理させるようにする。
【0038】
このようにすると、案内ビーム21に導かれたワークWをシリンダー30により伸縮されるプッシャー31を伸長させて加熱炉10内に装入させるにあたり、ワークWが勝手に滑ってプッシャー31から離間するということがなく、ワークWを加熱炉10内に装入させる際に、ワークWが振動して騒音が発生するということがなく、ワークWがプッシャー31に接触した状態で確実に案内ビーム21に沿って加熱炉10の内部の所定位置に適切に装入されるようになると共に、可動ビーム14をウォーキング動作させて、前記のように装入されたワークWを可動ビーム14により固定ビーム13の上において順々に移動させるようにした場合、ワークW相互が接触したりすることがなく、各ワークWを均等に加熱させることができるようになる。
【符号の説明】
【0039】
10 :加熱炉
10a :壁部
11 :装入口
11a :保持用凹部
12 :装入側扉
12a :嵌め込み用凹部
13 :固定ビーム
14 :可動ビーム
20 :傾斜手段
21 :案内ビーム
22 :支点
23 :傾動用シリンダー
24 :ロッド
30 :シリンダー
31 :プッシャー
32 :モーター
41 :検知装置
42 :制御装置
R :ローラーコンベア
W :ワーク