(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-44382(P2019-44382A)
(43)【公開日】2019年3月22日
(54)【発明の名称】貯水施設
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20190222BHJP
E03B 3/03 20060101ALI20190222BHJP
E03B 3/02 20060101ALI20190222BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20190222BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
E03F1/00 A
E03B3/03 B
E03B3/02 Z
E03B11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-166251(P2017-166251)
(22)【出願日】2017年8月30日
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA01
2D063AA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造が安定で強度が高く、土圧等に対して強いと共に、間隙を空けてブロックを配置することにより、使用するブロックの量や空隙組立体のサイズおよび強度を容易に調整できる貯水施設を提供する。
【解決手段】複数のブロックを有する空隙組立体10と、空隙組立体10に支持される複数の柱部材15、16と、空隙組立体10の上部に載置された天井20を有し、柱部材15、16の上端を天井20に固定して貯水施設を構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブロックを有する空隙組立体と、
前記空隙組立体に固定された複数の柱部材と、
前記空隙組立体の上に配置された天井を有し、
前記柱部材の上端を前記天井に固定したことを特徴とする貯水施設。
【請求項2】
前記天井に凹部が形成され、前記柱部材の上端が前記凹部に収容されている、請求項1の貯水施設。
【請求項3】
前記ブロックは、水平方向に間隔を空けて配列されている、請求項1又は2貯水槽地。
【請求項4】
水平方向に隣接する前記ブロックを連結する連結部材を更に有し、
前記柱部材は、前記連結部材に形成された開口に挿通されている、請求項1〜3のいずれかの貯水施設。
【請求項5】
前記柱部材は、前記ブロックに形成された開口に挿通されている、請求項1〜4のいずれかの貯水施設。
【請求項6】
前記空隙組立体の周囲に立設された前記空隙組立体よりも背が高い外周壁を更に有し、
前記天井は、前記外周壁に架設されている、請求項1〜4のいずれかに記載の貯水施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水等を貯留又は浸透させるための貯水施設に関する。
【背景技術】
【0002】
窪地等に複数のブロックを立体配置した高空隙率の空隙組立体を設置し、土で埋戻すことで雨水の貯留空間を形成した貯水施設が知られている(特許文献1,2)。この貯水施設は、低コストであり、空隙組立体の空隙に大量の貯水が可能である。特許文献7は、ブロックを水平方向に間隔を空けて配置して連結部材を用いて連結することで、資材量を削減することを提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−211316号公報
【特許文献2】特開2012−092552号公報
【特許文献3】特開平10−252108号公報
【特許文献4】特開平11−222886号公報
【特許文献5】特開2008−280775号公報
【特許文献6】特開2007−332692号公報
【特許文献7】特開2010−048010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2は、多量の資材を要する問題がある。引用文献7は、連結部材の寸法が決まっているので、空隙組立体の微妙なサイズ調整が難しい。引用文献1,2,7は、いずれもプラスチック製のブロックだけで構造を支えているので、土圧等に対する強度が充分でない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願には、下記発明が開示される。
<構成1>
複数のブロックを有する空隙組立体と、
前記空隙組立体に固定された複数の柱部材と、
前記空隙組立体の上に配置された天井を有し、
前記柱部材の上端を前記天井に固定したことを特徴とする貯水施設。
<構成2>
前記天井に凹部が形成され、前記柱部材の上端が前記凹部に収容されている、構成1の貯水施設。
<構成3>
前記柱部材は、前記ブロックに形成された開口に挿通されている、構成1又は2の貯水施設。
<構成4>
水平方向に隣接する前記ブロックを連結する連結部材を更に有し、
前記柱部材は、前記連結部材に形成された開口に挿通されている、構成1〜3のいずれかの貯水施設。
<構成5>
前記空隙組立体の周囲に立設された前記空隙組立体よりも背が高い外周壁を更に有し、
前記天井は、前記外周壁に架設されている、構成1〜4のいずれかに記載の貯水施設。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の1実施形態の貯水施設1を示す。
【
図2】
図2は、例示的なブロック11の斜視図、平面図及び側断面図を示す。
【
図3】
図3は、ブロック11を連結するための連結部材12を示す。
【
図4】
図4(a)は、空隙組立体10を側方から示し、
図4(b)は、空隙組立体10を上方から示す。
【
図6】
図6は、支持部材50の斜視図、平面図及び側断面図を示す。
【
図10】
図10は、変形形態の連結部材13Aの平面図及び側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の1実施形態の貯水施設1を示す。貯水施設1は、空隙組立体10と空隙組立体10の上に載置された天井20を有する。天井20は、コンクリート・鉄筋コンクリート等の剛性材料(耐クリープ性の硬質材料)で形成するのがよい。貯水施設1は、窪地2に設置するのが好ましい。窪地2内の貯水施設1の周囲の空間は、地面3まで土で埋め戻すと、貯水施設1の上の空間を駐車場や公園等任意の目的で利用できる。空隙組立体10の下地4は、砕石層や基礎コンクリート層とするとよい。貯水施設1は、図示しない流入管、流出管、溢流管、泥だめます、オリフィスなど必要に応じた付帯設備を有し得る。
【0008】
空隙組立体10は、複数のブロックで形成される。ブロックは、空隙を形成できるよう、凹凸形状がよい。
図2は、例示的なブロック11の斜視図、平面図及び側断面図を示す。図のブロック11は、基部と、基部から上に延びる4本の脚11aを有する。脚11aは、中空の柱状又は錐台状の形状であり、貫通孔11bを有する。ブロック11は、他の形状でもよい(例えば、特許文献3〜5や
図8a、b)。
【0009】
図3は、ブロック11を連結するための連結部材12を示す。連結部材12は、開口12aを有する。連結部材12は、ブロック11と連結する連結構造12bを有するとよい。ブロック11の連結は、他の方法(例えば、特許文献6)で行ってもよい。
【0010】
ブロック11及び連結部材12は、硬質のプラスチック等で形成するとよい。
【0011】
図4(a)は、空隙組立体10を側方から示し、
図4(b)は、空隙組立体10を上方から示す。図のように、空隙組立体10では、複数のブロック11が立体配列(前後左右上下に配列)されている。特に、水平方向では、隣接するブロック11の間に間隔Wがあり、その間が連結部材12で連結されている。隙間Wがすべて同じである必要はない。垂直方向の配列は任意であるが、本例では、ブロック11が一列に積み上げられている。空隙組立体10では、ブロック11の脚11aの間に空隙Wが形成されるので、大量の貯水が可能である。空隙組立体10は、耐水性又は透水性のシート(不図示)で覆ってもよい。
【0012】
空隙組立体10には、複数の柱部材15,16が固定されている。本例では、複数の柱部材15は、ブロック11の開口11bに挿通されており、複数の柱部材16は、連結部材12の開口12aに挿通されている。柱部材15,16は、コンクリート又は鉄筋コンクリートで形成できる。塩ビ等のパイプにコンクリートを流し込んだ柱部材15が特に好ましい。
【0013】
空隙組立体10の上部には、天井20が載置されおり、柱部材15,16の上端は、天井20に固定されている。天井20に形成された凹部に柱部材15,16の上端を挿入保持することで柱部材15,16を固定するとよい。
【0014】
好ましい一態様では、空隙組立体10の周囲に複数の外周壁40が配置される。外周壁40は、空隙組立体10よりも背が高い。各外周壁40は、支持部材50で支持するとよい。
図4に示すように、支持部材50は、
図3に示すように、ブロック積層体13の間の隙間Wに配置するとよい。天井20は、各外周壁40の上端に架設するとよい。
【0015】
図5は、外周壁40の斜視図を示す。外周壁40は、下部両側に切欠41を有する。
図6は、支持部材50の斜視図、平面図及び側断面図を示す。支持部材50は、上面に係合凹部51を有する。隣接外周壁40の間に支持部材40を配置し、切欠41と係合凹部51を一致させて係合凹部51に外周壁40を挿入することで、相欠き継ぎ式で支持部材50に外周壁40を固定することができる。
【0016】
外周壁40の内面と下地4の上を遮水シートで覆うと貯水施設1に貯水できる。浸透槽として使用する場合は、浸透シートで覆ってもよい。
【0017】
図7は、天井20の架設方法の例を示す。空隙組立体10、柱部材15,16及び外周壁40を設置した後に、
図7(a)のように、それらの上部を保護シート60で覆い、
図7(b)のように、その上から生コンクリート20を打設して硬化させる。これにより、天井20に凹部21a,21b,21cが形成され、そこに柱部材15,16、外周壁40の上端が収容(埋設)保持される。本方法によれば、天井20と柱部材15,16(又は外周壁40)が保護シート60で縁切りされているため、将来柱部材15,16(又は外周壁40)の取り替え/取り外しが必要になったときに、容易に取り替え/取り外しが可能である。
【0018】
貯水施設1では、柱部材15,16の上端を天井20に固定したため、構造が安定で強度が高く、土圧等(
図1矢印参照)に対して強くなる。しかも、間隔Wを空けてブロック11を配置したので、ブロック11の使用量を削減できる。間隔Wを増減させることで、ブロック11の使用量や空隙組立体10のサイズ・強度を容易に調整できる。よって、貯水施設1の上の空間の利用態様(駐車場、運動場、建物等)や資材削減の必要度を勘案して適切な強度の貯水施設1を容易に設計できる。空隙組立体10の周囲に外周壁40を設け、外周壁40に天井20を架設すれば、強度を一層高くできる。外周壁40の幅W1は、間隔Wに応じて調節するとよい。
【0019】
図9〜11は、変形形態のブロック11A、連結部材12A及び空隙組立体10Aを示す。
図9のように、中央に開口11cを有するブロック11Aを使用してもよい。
図10のように、形状の異なる連結部材12Aを使用してもよい。
図11のように、空隙組立体11Aでは、柱部材15Aは、ブロック11Aの開口11cに挿通され、柱部材16Aは、連結部材12Aの開口12aに挿通されている。
【0020】
上記実施形態では、柱部材15,16は下地4の表面に載置された状態であるが、柱部材15,16の下端を下地4に埋設してもよい。柱部材15,16の一方を省略してもよい。
【0021】
上記実施形態に記載した貯水施設やその要素の寸法、形状、配置、個数、材料等は例示であり、他の態様も可能である。
【符号の説明】
【0022】
1・・・貯水施設
2・・・窪地
3・・・地面
4・・・下地
10・・・空隙組立体
11・・・ブロック
11a・・・脚
11b・・・開口
12・・・連結部材
12a・・・開口
12b・・・嵌合構造
15,16・・・柱部材
20・・・天井
21a,21b,21c・・・凹部
40・・・外周壁
41・・・切欠
50・・・支持部材
51・・・係合凹部
50・・・保護シート