【課題】発色濃度、白色度、および印字部の保存性などの感熱記録材料としての要求性能を全て満足し、かつ環境衛生上の懸念があるフェノール化合物を含まないジフェニルメタン誘導体を用いた感熱記録材料の提供。
(式中、Rはトルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニル、ベンジルスルホニルおよびエチルスルホニルのいずれかを表す。)で表されるジフェニルメタン誘導体を用いる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層は、少なくとも、常温で無色ないし淡色の塩基性染料(ロイコ染料)と有機顕色剤とがそれぞれ微細な粒子に粉砕された状態で水溶液に分散する2種類の分散液を混合し、得られた混合物分散液にバインダー、増感剤、充填剤、滑材、その他各種添加剤等を添加して得た感熱記録用塗料を調製し、これを紙、プラスティックフィルム、加工紙等の支持体上に塗布し、乾燥して形成される。例えば、バインダーを水溶液に添加することや、増感剤も分散液としてロイコ染料分散液および顕色剤分散液と混合することもできる。
【0017】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層において、ロイコ染料および顕色剤は、それぞれが、独立した固体の状態で存在するが、感熱記録層に対して、感熱ヘッド、熱ペン等を用いて熱エネルギー(ジュール熱)を加えることにより、ロイコ染料および顕色剤は溶融して両者が接触するようになる。両者の接触により、無色または淡色であったロイコ染料が発色反応を起こして、熱エネルギーを印加した領域に発色記録(印字など)することができる。
【0018】
本発明の感熱記録材料において、前記顕色剤が一般式(1)で表される新規なジフェニルメタン誘導体である。
【0019】
特に、一般式(2)および(3)で表される化合物は耐油性の面で優れているので好ましい。
【0022】
本発明の感熱記録材料において、常温で無色ないし淡色の塩基性染料(ロイコ染料)としてトリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、スピロ系、フルオレン系、チアジン系化合物が挙げられ、従来公知のロイコ染料から選ぶことができる。
【0023】
本発明に用いることができるロイコ染料として、限定されないが、例えば、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドル-3-イル)-4-アザフタリド、3,3-ビス(p-メチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノベンゾ[α]フルオラン、3-(1-エチル-2-メチルインドル-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-n-ヘキシルオキシフェニル-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドル-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドル-3-イル)フタリド、3-(2-メチル-1-n-オクチルインドル-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、3-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-[N-(3-エトキシプロピル)-N-エチルアミノ]-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-n-ヘキシル-N-エチルアミノ)-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-2-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2,2-ビス{4-[6’-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-3’-メチルスピロ[フタリド-3,9’-キサンテン]-2’-イルアミノ]フェニル}プロパン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-ピロリジノ-6-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7,8-ジベンゾフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,7-ジメチルフルオラン、3-(N-メチル-p-トルイジノ)-7-メチルフルオラン、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7,8-ベンゾフルオラン、3,3’-ビス(1-n-アミル-2-メチルインドル-3-イル)フタリド、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7-フェノキシフルオラン、3,3’-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドル-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(1-エチル-2-メチルインドル-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-7-(N-フェニル-N-メチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-ジベンジルアミノフルオランなどが挙げられる。これらのロイコ染料は単独または2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明は従来公知の増感剤を併用することができる。本発明に用いることができる増感剤として、例えば、ステアリン酸アミド、ビスステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド;p-トルエンスルホンアミド、ステアリン酸、ベヘン酸やパルミチン酸などのカルシウム、亜鉛あるいはアルミニウムなどの脂肪酸金属塩;p-ベンジルビフェニル、ジフェニルスルホン、ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2-ベンジルオキシナフタレン、1,2-ビス(p-トリルオキシ)エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,3-ビス(フェノキシ)プロパン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸p-メチルベンジル、m-ターフェニル、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸などの芳香族化合物等が挙げられる。
【0025】
さらに、本発明は従来公知の保存安定剤を併用することができる。本発明に用いることができる保存安定剤として、限定されないが、例えば、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4、6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチルm-クレゾール)、トリス(2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-チオビス(3-メチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物;1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸グリシジル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物;N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウム塩または多価金属塩;ビス(4-エチレンイミンカルボニルアミノフェニル)メタン;さらに、一般式(4):
【0026】
【化4】
(式中、nは、1〜7の整数である。)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。
【0027】
また、助剤としては、限定されないが、例えば、ジオクチオルコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類;アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物;グリオキザール、ホウ酸、ジアルデヒドスターチ、メチロール尿素、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物等の耐水化剤;消泡剤;着色染料;蛍光染料;および顔料等が挙げられる。
【0028】
本発明で感熱記録層に使用されるバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコールなどの重合度200〜1900のポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレンーブタジエン共重合体およびエチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラールポリスチロールおよびそれらの共重合体;ポリアミド樹脂;シリコーン樹脂;石油樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;クロマン樹脂などが挙げられる。これらのバインダーは単独または2種以上を併用してもよく、溶剤に溶解して使用するほか、水または他の媒体中に乳化あるいはペースト状に分散した状態で使用することもできる。
【0029】
感熱記録層に配合される顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体や中空プラスチックピグメント等の無機あるいは有機顔料等が挙げられる。
【0030】
本発明において感熱記録層に使用される塩基性染料、顕色剤、増感剤、バインダー、顔料およびその他の添加剤の種類や使用量は、感熱記録層に要求される品質性能に応じて適宜決定される。
【0031】
本発明による感熱記録層において、顕色剤として前記一般式(1)で表されるジフェニルメタン誘導体の含有量は、発色濃度の観点から、感熱記録層の塩基性染料1質量部に対して、0.3〜5質量部が好ましく、さらには0.4〜3質量部がより好ましい。
【0032】
さらに、増感剤はロイコ染料1質量部に対し0.2〜4質量部、バインダーは全固形分中5〜50質量%が適当である。支持体としては、紙、再生紙、合成紙、プラスティックフィルム、不織布、金属箔等が使用可能である。また、これらを組み合せた複合シートも使用可能である。
【0033】
また、保存性を高める目的で有機顔料を含有する高分子物質からなるオーバーコート層を設けてもよい。さらにサーマルヘッドヘの粕付着を防止、印字画質向上、感度を向上させる目的で有機顔料、無機顔料、中空微粒子および発泡粒子などを含有するアンダーコート層を設けてもよい。
【0034】
本発明において感熱記録層に使用されるロイコ染料、顕色剤、増感剤および必要により保存安定剤等は、例えば水を分散媒体として、ボールミル、アトライター、サンドミル等の攪拌粉砕機によって平均粒子径が2μm以下になるように微分散され使用される。
【0035】
このように微分散されたロイコ染料、顕色剤、増感剤および必要により保存安定剤等の混合物を含む分散液に、必要により顔料、バインダー、助剤等を混合撹拌することで感熱記録用塗料を調製する。
【0036】
このようにして調製された感熱記録用塗料を、乾燥後の塗布量が1.5〜12g/m
2程度、より好ましくは3〜7g/m
2程度になるように、支持体上に塗布し、乾燥することで感熱記録層が形成される。
【実施例】
【0037】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は「質量部」および「質量%」を表す。
【0038】
(実施例1)
[アンダーコート用塗料の作成]
プラスチック中空粒子(商品名:ローペイクSN−1055:中空率:55% 固形分26.5%)100部、焼成カオリンの50%分散液100部、スチレン−ブタジエン系ラテックス(商品名:L−1571 固形分48%)25部、酸化澱粉の10%水溶液50部および水20部を混合して、アンダーコート用塗料を作成した。
【0039】
[顕色剤の合成]
300ml三ツ口フラスコに3-(p-トルエンスルホニルオキシ)アニリン10.3g、THF150gを仕込み、内温を60℃にした。THFに溶解したメチレンジフェニルジイソシアネート4.35gを滴下し5時間攪拌反応した。反応終了後、冷却して析出している結晶を濾別して化合物を得た。得られた化合物が一般式(2)で表されるジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンであることをIRで確認した(
図1のIRチャートを参照)。
【0040】
[感熱記録用塗料の作成]
まず、表1に示す配合で、ロイコ染料3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、上記で得られた顕色剤ジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンおよび増感剤1,2-ビス(m-トリルオキシ)エタンのそれぞれに、分散バインダーとして10%ポリビニルアルコール水溶液を混合して、A液(ロイコ染料分散液)、B液(顕色剤分散液)およびC液(増感剤分散液)を調製した。
【0041】
【表1】
【0042】
上記A液、B液およびC液の分散液のそれぞれをサンドグラインダーで平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕し、得られた分散液を表2に示す割合で混合して混合物分散液とした。
【0043】
【表2】
【0044】
得られた混合物分散液165部に、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42)27部、無定形シリカ(商品名:ミズカシルP−527)10部、酸化澱粉の10%溶解物100部、ステアリン酸亜鉛分散液:(商品名:ハイドリンZ−8−36)19.4部および水50部からなる組成分を混合して感熱記録用塗料を作製した。
【0045】
【表3】
【0046】
[感熱記録材料の作成]
支持体として坪量が53gの上質紙(酸性紙)にアンダーコート用塗料を乾燥後の面積当たりの質量が6g/m
2となるように塗布および乾燥してアンダーコート層を形成し、その後、アンダーコート層に感熱記録用塗料を乾燥後の面積当たりの質量が3.8g/m
2になるように塗布および乾燥して感熱記録層を形成した。得られたシートをス−パーカレンダーで平滑度(JISP8155:2010)が900〜1200sになるように処理して感熱記録材料を作成し、各種試験を行った。
【0047】
[各種試験]
1.加水分解性(水安定性試験)
アセトニトリルと水との混合液(アセトニトリル/水=80/20体積比)に、本発明の顕色剤を0.5重量%溶解し、50℃にて5時間攪拌して、分解量を嶋津製作所製高速液体クロマトグラフィー(検出波長:205nm)で測定した。
分解量が1%以上あれば安定性が悪く(×)、1%以下であれば安定性が良い(〇)と判断する。
【0048】
2.感熱記録性試験
本発明の顕色剤を用いて作成した感熱記録材料について、感熱記録紙印字試験機(大倉電気社製TH−PMD)を用い、印加エネルギー0.38mJ/dotで印字した。試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計RD−914で測定した。
【0049】
3.耐熱性試験
感熱記録性試験において印加エネルギー0.38mJ/dotで印字した感熱記録材料を試験温度60℃の恒温環境下に24時間放置した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0050】
4.耐湿熱性試験
感熱記録性試験において印加エネルギー0.38mJ/dotで印字した感熱記録材料を試験温度40℃、90%RHの環境下に24時間放置した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0051】
5.耐光性試験
感熱記録性試験において印加エネルギー0.38mJ/dotで印字した感熱記録材料を5000Luxに100時間暴露した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0052】
6.耐油性試験
感熱記録性試験において印加エネルギー0.38mJ/dotで印字した感熱記録材料にサラダオイル中に10分間浸漬し、試験片の油をふき取った後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0053】
7.耐水性試験
感熱記録性試験において印加エネルギー0.38mJ/dotで印字した感熱記録材料を水中に15時間浸漬し、試験片を風乾させた後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0054】
8.耐可塑剤性試験
ポリカーボネートパイプ(直径48mm)上にラップフィルム(商品名:ハイラップKMA 三井化学製)を3重に巻き付け、感熱記録性試験において印加エネルギー0.38mJ/dotで印字した感熱記録材料を乗せ、さらにその上にラップフィルムを3重に巻き付け20℃/65%RHの環境下で24時間放置した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0055】
(実施例2)
実施例1の顕色剤の合成において、3-(p-トルエンスルホニルオキシ)アニリン10.3gを3-(フェニルスルホニルオキシ)アニリン9.70gに代える以外は実施例1と同様の操作を行って、一般式(3)で表される化合物ジ-{[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンを合成した。
実施例1のB液に使用するジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンをジ-{[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタン(一般式(3)で表される化合物)に代える以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作成し、各種試験を行った。
【0056】
(実施例3)
実施例1の顕色剤の合成において、3-(p-トルエンスルホニルオキシ)アニリン10.3gを3-(1-ナフタレンスルホニルオキシ)アニリン11.65gに代える以外は実施例1と同様の操作を行って、ジ-{[3-(1-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンを合成した。
実施例1のB液のジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンをジ-{[3-(1-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンに代える以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作成し、各種試験を行った。
【0057】
(比較例1)
実施例1のB液のジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンを4,4’-イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)に代える以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作成し、各種試験を行った。
【0058】
(比較例2)
実施例1のB液のジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンを4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)に代える以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作成し、各種試験を行った。
【0059】
(比較例3)
実施例1のB液のジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンを4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホンに代える以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作成し、各種試験を行った。
【0060】
(比較例4)
実施例1のB液のジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンを4-ヒドロキシ-4’-イソプロピルオキシ-ジフェニルスルホンに代える以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作成し、各種試験を行った。
【0061】
(比較例5)
実施例1のB液のジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンをN-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素に代える以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作成し、各種試験を行った。
【0062】
(比較例6)
実施例1のB液のジ-{[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]アミノカルボニルアミノ}フェニルメタンをN-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミドに代える以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作成し、各種試験を行った。
【0063】
実施例1〜3および比較例1〜6における顕色剤の加水分解性および感熱記録材料の各種試験の結果は表4に記載の通りであった。
【0064】
【表4】
【0065】
表4の結果から明らかなように、本発明によるジフェニルメタン誘導体は水により分解されることがなく、本発明によるジフェニルメタン誘導体を用いて作成された感熱記録材料は、白色度が良好であり、高い発色濃度を示し、かつ、印字部の耐熱性、耐湿熱性、耐光性、耐油性、耐水性および耐可塑剤性の全ての保存性試験においても優れていた。