(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-49087(P2019-49087A)
(43)【公開日】2019年3月28日
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 27/20 20060101AFI20190301BHJP
A45F 3/02 20060101ALI20190301BHJP
【FI】
A41D27/20 L
A45F3/02 420
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-118521(P2018-118521)
(22)【出願日】2018年6月22日
(31)【優先権主張番号】10 2017 210 667.0
(32)【優先日】2017年6月23日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ピーター アンドレア シュワーツ
(72)【発明者】
【氏名】コンロイ ジェームズ ナッハティガール
【テーマコード(参考)】
3B035
3B045
【Fターム(参考)】
3B035AA03
3B035AA16
3B035AA19
3B035AB03
3B035AB08
3B035AB09
3B045AA35
3B045DA02
3B045GA02
3B045GA03
3B045GB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】身に着けている衣服を脱ぎたいと思うよう時に、衣服を持ち運ぶための、改善された折畳み可能な衣服を提供すること。
【解決手段】使用されていないときに、衣服10を中に詰めることができる一体型の第1のポケット55を備えており、第1のポケットが、衣服の下端部に配置された開口部を備え、開口部が下側に向けられており、開口部が閉鎖手段を備えていなく、第1のポケットが、衣服の背中パネルの垂直方向範囲の大部分に沿って延在しているている、衣服。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服であって、
a.使用されていないときに、衣服を中に詰めることができる一体型の第1のポケットを備えており、
b.第1のポケットが、衣服の下端部に配置された開口部を備えている、衣服。
【請求項2】
開口部が下側に向けられている、請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
開口部が閉鎖手段を備えていない、請求項1または2に記載の衣服。
【請求項4】
第1のポケットが、衣服の背中パネルの垂直方向範囲の大部分に沿って延在している、請求項1から3のいずれかに記載の衣服。
【請求項5】
第1のポケットが、衣服の少なくとも2つのパネルを相互連結している継ぎ目と、継ぎ目を共有している材料の層を備えている、請求項1から4のいずれかに記載の衣服。
【請求項6】
第1のポケットは、衣服が第1のポケットに詰められたときに、第1のポケットを中に詰めることができる第2のポケットを備えている、請求項1から5のいずれかに記載の衣服。
【請求項7】
衣服であって、
a.使用されていないときに、衣服を中に詰めることができる一体型の第1のポケットを備えており、
b.第1のポケットが、衣服の背中パネルの垂直方向範囲の大部分に沿って延在している、衣服。
【請求項8】
衣服であって、
a.使用されていないときに、衣服を中に詰めることができる一体型の第1のポケットを備えており、
b.第1のポケットは、衣服が第1のポケットに詰められたときに、第1のポケットを中に詰めることができる第2のポケットを備えている、衣服。
【請求項9】
衣服が使用されているとき、第2のポケットは、第1のポケットの内側に配置される、請求項1から8のいずれかに記載の衣服。
【請求項10】
衣服であって、
a.使用されていないときに、衣服を中に詰めることができる一体型の第1のポケットを備えており、
b.第1のポケットが、衣服の少なくとも2つのパネルを相互連結している継ぎ目と、継ぎ目を共有している材料の層を備えている、衣服。
【請求項11】
第1のポケットが、第1のポケットに入るように衣服を下向きに引っ張るように適合された引き手要素をさらに備えている、請求項1から10のいずれかに記載の衣服。
【請求項12】
引き手要素が、第1のポケットに取り付けられた第2の固定要素と相互作用するように適合された第1の固定要素を備えており、それにより第1のポケット用の持運びストラップが形成される、請求項1から11のいずれかに記載の衣服。
【請求項13】
第1のポケットおよび/または衣服を反転させることによって、衣服を第1のポケットの中に詰めることができる、請求項1から12のいずれかに記載の衣服。
【請求項14】
衣服が、上半身用の衣服である、請求項1から13のいずれかに記載の衣服。
【請求項15】
バッグであって、
a.使用されていないときに、バッグを中に詰めることができる一体型の第1のポケットを備えており、b.第1のポケットは、バッグが第1のポケットに詰められたときに、第1のポケットを中に詰めることができる第2のポケットを備えている、バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用されていないときに簡便に保管および持運びができるように、一体型ポケットに詰めることができる衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服を着用している人の環境条件および/または活動レベルが変わると、身に着けている衣服を脱ぎたいと思うようになることがある。人が衣服を持ち運ばなければならないということは、特にアウトドアおよびスポーツ活動中に持運び手段がない場合には、不都合であり得る。この文脈において、衣服を持ち運ぶための一体型バッグを有する折畳み可能な衣服は、従来技術、例えば米国特許第2,143,931号明細書、米国特許第254,636号明細書、米国特許第4,502,154号明細書、米国特許出願公開第2006/0150297号明細書、米国特許第8,032,948号明細書、米国特許第5,850,634A号明細書、米国特許出願公開第2015/0096097号明細書、米国特許第4,689,831A号明細書、米国特許第5,787,504A号明細書、および米国特許第3,670,340号明細書において、よく知られている。
【0003】
しかし、従来技術で開示されている衣服には、様々な欠点がある。例えば一体型バッグは、いくつかの事例では、衣服が使用されるときに、水分、汚れ、および虫が容易にバッグに入り得るように配置されており、それにより追加的な閉鎖手段(ジッパーまたはボタン)が必要になる。そしてこの閉鎖手段は、衣服の使用中に着用者にとって不快なものとなり得る。それに加えて閉鎖手段は、製造に費用がかかり、例えば薄いジッパーに関して知られているように、短期間で壊れる恐れがある。
【0004】
先行技術の折畳み可能な衣服の別の欠点は、一体型バッグが典型的には非常に小さいことであり、これにより、衣服が使用されないときには、衣服をバッグに密に詰め込まなくてはならない。バッグの内側に密に詰め込まれる衣服をきつく折り畳むことは、衣服の耐水性および通気性のある膜などの繊細な材料を容易に傷つける可能性がある。
【0005】
最後に、そのような一体型バッグを、前述した先行技術の衣服の一部として製造することは、典型的には、製造中に手が届きにくい衣服の位置に追加的な継ぎ目を提供することなど、複雑な、したがって時間のかかる製造ステップを必要とする。
【0006】
したがって、本発明は、先行技術の前述した欠点のうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に克服するために、そのような折畳み可能な衣服をさらに改善するという課題に基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2,143,931号明細書
【特許文献2】米国特許第254,636号明細書
【特許文献3】米国特許第4,502,154号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0150297号明細書
【特許文献5】米国特許第8,032,948号明細書
【特許文献6】米国特許第5,850,634A号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2015/0096097号明細書
【特許文献8】米国特許第4,689,831A号明細書
【特許文献9】米国特許第5,787,504A号明細書
【特許文献10】米国特許第3,670,340号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題は、本願の独立請求項の主題によって少なくとも部分的に解決される。一実施形態では、本発明は、使用されていないときに、衣服を中に詰めることができる一体型の第1のポケットを備えた衣服であって、第1のポケットが、衣服の下端部に配置された開口部を備えている、衣服を提供する。
【0009】
例えば、衣服が防雨用衣服である場合には、この実施形態によって、相当な量の水分および/または汚れが開口部を通って入り、第1のポケット内に溜まるということがなくなる。したがって衣服は、ポケットを乾燥した清潔な状態にしておくために、ポケットの開口部を閉鎖するための専用の手段を備える必要がない。この態様によって、製造コストおよび複雑さが低減し、閉鎖手段が壊れる恐れがなくなる。
【0010】
本発明のさらなる実施形態では、第1のポケットの開口部は下側に向けられており、それにより、水分および/または汚れがポケットに入るリスクがさらに低減される。それに加えて、この配置によって、衣服、例えばレインコート、が使用されている間に、またはコートフックもしくは帽子ラックに掛けられている間に、水分および/または汚れがポケットから取り除かれることが容易になる。さらに、衣服の下端部に配置され、下側に向けられている開口部は、衣服が使用されている間完全に隠されることが可能であり、それにより外観および着心地が改善される。
【0011】
本発明のさらなる実施形態では、第1のポケットは、衣服の背中パネルの垂直方向範囲の大部分に沿って延在するように配置されている。この配置によって、使用されていないときに衣服をそれほど密に詰め込まなくてもよくなり、衣服は、衣服の背中パネルに沿って延在している数本の折畳み線に沿ってのみ、折り畳まれてもよい。衣服の外側材料が、耐水性および/または通気性のある膜などの繊細な材料を備えている場合には、そのような折畳みパターンは、衣服を詰めることによって膜にかかる負担を、著しく減らすことができる。それに加えて、衣服がポケットの内側に詰められたときに衣服の外表面をなお覆っているかもしれない水分を、それによりポケットから容易に排出し、取り除くことができる。
【0012】
本発明のさらなる実施形態では、ポケットは、衣服の少なくとも2つのパネルを相互連結している継ぎ目と、継ぎ目を共有している材料の層を備えている。この配置は、追加的な継ぎ目の必要性を減らすことによってポケットの製造を容易にする。衣服が、例えば左前パネル、右前パネル、および頭部ピースに、継ぎ目によって連結される背中パネルを備えている場合には、背中パネルを他のパネルに連結する継ぎ目と全継ぎ目を共有する単一の追加的な材料層によって、背中パネルの内側にポケットを形成することができる。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、第1のポケットは、第1のポケットに入るように衣服を下向きに引っ張るように適合された引き手要素を備えている。引き手要素を引くことによって、衣服は、容易に第1のポケット内に引き込まれ、第1のポケットは同時に反転され、それにより複雑で時間のかかる折畳み手順の必要性がなくなる。例えばこの特徴は、競技で競争しており、気象条件の変化にさらされるプロスポーツ選手にとって重要なものであり得る。
【0014】
引き手要素は、第1のポケットに取り付けられた第2の固定要素と相互作用するように適合された第1の固定要素を備えていてもよく、それにより第1のポケット用の持運びストラップが形成される。したがって引き手要素は、例えば引き手要素を上半身に斜めに掛けて持ち運ぶことによって、詰められた衣服を持ち運ぶためにも使用することができ、それにより両腕および両手が空いて他の活動ができるようになるが、衣服はすぐに再使用できるようになお利用可能である。
【0015】
本発明のさらなる実施形態では、第1の一体型ポケットは、衣服が第1のポケットに詰められたときに、第1のポケットを中に詰めることができる第2のポケットを備えている。この構成は、衣服の2つの別々の詰め込み構成を可能にする。例えば、第2のポケットが第1のポケットよりもはるかに小さい場合、上述したように衣服材料への負担を低減するために、より大きな詰め込み容量が許容可能でありそれが望ましい場合には、衣服を第1のポケットに詰めておくことができる。より小さい詰め込み容量が望ましいとき、例えばすでに荷物が入っているハイキング用バックパックまたは任意の他の保管装置の、制限された残りの容量内に衣服を保管する必要がある場合には、第1のポケットを第2のポケットに詰めることによって、詰め込み容量を容易にさらに低減させることができる。
【0016】
本発明のさらなる実施形態では、第2のポケットは、衣服が使用されているときに、第1のポケットの内側に配置される。例えば、衣服の背中パネルと、背中パネルの内表面に取り付けられた追加的な材料層との間に、第1のポケットが形成される場合には、第2のポケットは完全に第1のポケット内に隠され、衣服が使用されているときに、外観を悪くすることも、衣服の着心地を悪くすることもない。それに加えて、それにより第2のポケットは、第1のポケット内で物理的な損傷から保護される。
【0017】
本発明のさらなる実施形態では、衣服は、頑丈なレインコート、冬用パーカなどの上半身用衣服を備える。
【0018】
本発明のさらなる実施形態では、上記に提示された教示がバッグに適用され、バックは、使用されていないときに、バッグを中に詰めることができる一体型の第1のポケットを備えており、第1のポケットは、バッグが第1のポケットに詰められたときに、第1のポケットを中に詰めることができる第2のポケットを備えている。衣服と同様に、この構成は、バッグの2つの別々の詰め込み構成を可能にする。例えば、第2のポケットが第1のポケットよりもはるかに小さい場合、バッグ材料の負担を低減するために、より大きな詰め込み容量が許容可能でありそれが望ましい場合には、バッグを第1のポケットに詰めておくことがでる。より小さい詰め込み容量が望ましいとき、例えばすでに荷物が入っているハイキング用バックパックまたは任意の他の保管装置の、制限された残りの容量内にバッグを保管する必要がある場合には、第1のポケットを第2のポケットに詰めることによって、詰め込み容量を容易にさらに低減させることができる。
【0019】
添付図面を参照しながら、本発明の態様が以下でより詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態による、防雨パーカの前面図および分解図である。
【
図2】本発明の実施形態による、第1のポケットのサブアセンブリの分解図、および第2のポケットの断面図である。
【
図3】本発明の実施形態による、パーカの背中パネルと横パネルとの間の連結継ぎ目、および、第1のポケットを形成するために使用される追加的な材料層を詳細に示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態による、パーカが第1のポケットに詰められたときの防雨パーカの前面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、パーカが第1のポケットに詰められたときの防雨パーカの断面図である。
【
図6】本発明の実施形態による、パーカが第2のポケットの内側に保管され、引き手要素が持運びストラップを形成するときの、防雨パーカの前面図である。
【
図7】バッグを第1のポケットに詰めるのに必要なステップを示す、折畳み可能なバッグの4つの別々の図である。
【
図8】バッグが使用されているとき、およびバッグが第1のポケットの内側にあるときに、バッグを着用している人の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、一体型ポケットに詰めることができる本発明の衣服の例示的な実施形態を、防雨パーカなどの上半身の衣服を参照しながら、より詳細に記述する。しかし、本発明は、そのような具体的な実施形態には限定されず、例えばズボン、コート、またはジャケットなどの他のタイプの衣服にも同じく適用可能であることが、理解されるべきである。
【0022】
さらに、本発明の特定の実施形態に関して、具体的な特徴の組合せが以下で記述されるが、本開示はそのような実施形態に限定されないことが理解されるべきである。言い換えれば、本発明を実現するために必ずしもすべての特徴が存在しなくてはならないわけではなく、1つの実施形態の特定の特徴を、別の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせることによって、実施形態が修正されてもよい。
【0023】
図1は、本発明の実施形態による防雨パーカ10を示している。
図1の左部分は、パーカ10の前面図を描いている。
図1の右部分は、パーカ10の分解図を描いている。パーカ10は、背中パネル20と、袖およびフードの一部分を備える右前パネル30と、同じく袖およびフードの一部分を備える左前パネル40と、頭部パネル50と、内裏地層60と、背中パネル20と内裏地層60との間に形成されている第1のポケット55(下の
図4も参照)と、第2のポケット70と、引き手要素80とを備えている。本発明の他の実施形態は、異なる数のパネルを備えてもよく、それらのパネルは、本実施形態とは異なる形状および材料のものであってもよい。
【0024】
内裏地層60は、パーカのパネル20、30、40、50と同じ材料を備えても、異なる材料を備えてもよい。パネル20、30、40、50も、同じ材料備えても、異なる材料を備えてもよい。分解図の切断線は、パーカ10のパネル20、30、40、50が接合される継ぎ目を示している。継ぎ目は、縫い付け、接着、溶接などによって提供されてもよい。内裏地層60は、背中パネル20と同じ周囲寸法を有していてもよい。したがって、パーカ10の他のパネル30、40、50を背中パネル20に連結するのに使用されるのと同じ継ぎ目によって、内裏地層60を背中パネル20に連結することができる。第1のポケット55を背中パネル20に提供するのに必要な追加的な継ぎ目の数が減る、または追加的な継ぎ目が必要ないことから、そのような配置によって、パーカ10の製造が容易になる。
【0025】
こうして、背中パネル20と内裏地層60との間で、細長い第1のポケット55が形成される。第1のポケット55は、パーカ10の下端部に開口部を備えている。開口部のふちは、背中パネル20の下縁部と内裏地層60の下縁部によって形成される。第1のポケット55は、背中パネル20の垂直方向範囲の全体、または少なくともその大部分に沿って、延在していてもよく、背中パネル20の水平方向範囲の一部分または全体に沿って、延在していてもよい。
【0026】
引き手要素80は、第1のポケット55の内側に配置され、背中パネル20、頭部ピース50、および内裏地層60を接合する上側継ぎ目に連結されていてもよい。他の取付け点も考えられる。引き手要素80は、パーカ10の下端部に位置付けられた開口部を通して容易に手が届くように、第1のポケット55の一部の垂直方向範囲または全垂直方向範囲に沿って、延在していてもよい。第2のポケット70は、パーカ10の他の要素とは異なる材料を備えていても備えていなくてもよく、第1のポケット55の内側に配置され、内裏地層60の表面に取り付けられている。第2のポケット70は、背中パネル20に取り付けることもでき、または内裏地層60の外表面にさえ取り付けることができる。第1のポケット55の内側の第2のポケット70の寸法、形状、および正確な位置は、本発明の様々な実施形態に応じて異なっていてもよい。
【0027】
図2は、本発明の実施形態による防雨パーカ10のサブアセンブリを描いている。
図2の右部分は、細長い第1のポケット55を形成する要素のうちのいくつかの分解図を描いている。図からわかるように、内裏地層60は、第2のポケット70の表面の上縁部と下縁部に連結された上側部分110と下側部分120とを備えていてもよい。本発明の他の実施形態では、内裏地層60は、異なる材料を備える異なる数の部分を備えていてもよい。また第2のポケット70は、内裏地層60またはパーカ10の任意の他の要素と一体ではなく、単にそれに取り付けられているだけである完全に別個の要素であってもよい。
【0028】
引き手要素80は、内裏地層60の上側部分110の上縁部に連結されており、当技術分野において知られている、バックル、フック、カラビナなどの一部分などの固定要素90を備えていてもよい。第2のポケット70は、第2のポケット70を閉じるための蓋130、およびバックルまたは任意の固定要素150を備えていてもよい。
【0029】
図2の右部分は、内裏地層60の上側部分110、第2のポケット70の裏側135、および内裏地層60の下側部分120が、縫い継ぎ目140によって互いに連結されたときの、内裏地層60と第2のポケット70の断面図を描いている。第2のポケット70は、内裏地層60に取り付けられてもよく、パーカ10がその中に詰められたときに、第2のポケット70が反転され得るように、裏返しの構成で配置されてもよい。
【0030】
図3は、本発明の実施形態によるパーカ10の連結継ぎ目160のうちの1つ、および隣接した部分の断面図を描いている。背中パネル20は、単一の縫い継ぎ目160によって右前パネル30および内裏地層60に連結され、縫い継ぎ目160は、例えば、パックライト(PACLITE)(登録商標)などの柔軟性のある防水材料を備える材料170のストリップによって補強されてもよい。本発明の他の実施形態では、衣服の要素間の連結継ぎ目は、溶接、接着、またはさらにジッパーなどの異なる手段によって連結されてもよい。
【0031】
この例では、背中パネル20、右前パネル30、および内裏地層60は、単一の製造ステップ中に連結されてもよく、それにより一体型ポケットを有するパーカ10を生産するための製造ステップの総数が減る。
図1に描かれている実施形態については、
図3に示されている連結方法が、第1のポケット55を形成している全縁部に対して使用され、それにより、第1のポケット55をパーカ10に一体化するのに追加的な製造ステップを必要としない。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態については、第1のポケット55を形成する2つの材料層が、防水性および/また通気性を有し得る同じ材料を備えていてもよい。この場合、パーカ10は、使用時、および第1のポケット55内に保管されているときには、防水である。また内裏地層60は、パーカ10の外側パネル20、30、40、50よりも軽く、柔軟性のある材料を備えてもよく、それにより潜在的に、パーカ10の重量が低減され、第1のポケット55にパーカ10を入れる素早く簡単な折畳み工程が容易になる。
【0033】
図4は、本発明の実施形態による一体型の第1のポケット55内にパーカ10が包まれたときの、パーカ10の前面図を描いている。パーカ10の背中パネル20と内裏地層60との間に形成されている第1のポケット55は、反転された状態で描かれており、一方パーカ10は、第1のポケット55の内側にある。この構成では、第2のポケット70は、内裏地層60の外表面に取り付けられている。裏返しの構成で配置されている第2のポケット70の内側には、
図2に描かれているように、閉鎖蓋130、およびバックル150があってもよい。
【0034】
引き手要素80、例えばウェビング引き手ストラップ、コード、または薄いロープなどは、継ぎ目、またはカラビナ、フック、もしくはバックルなどの追加的な固定要素によって、第1のポケット55の上縁部62に連結されてもよい。引き手要素80の端部に取り付けられていてもよい固定要素90は、反転された第1のポケット55または第2のポケット70の外側に取り付けられていてもよい第2の固定要素に連結されてもよく、それにより、第1のポケット55の内側に詰められたパーカ10の持運びストラップが形成される。このように、パーカ10を人の背中で簡便に持ち運ぶことができ、その間、引き手要素80は、人の胸に斜め掛けされた持運びストラップとしての役割を果たしている。パーカ10を第1のポケット55の内側に詰めるために用いられる素早く簡単な折畳み工程と組み合わされると、この追加的な特徴によって、パーカ10を着用している人は、迅速にパーカ10を脱ぎ、保管し、持ち運ぶことができ、また、必要に応じてパーカ10を迅速に取り出し、再度使用することができるようになる。装備を変えるのに必要な時間を可能な限り短くしなければならず、気象条件の変化が多い競技に参加しているトレイルランナーおよび/またはマウンテンバイカーなどのプロスポーツ選手にとって、本発明のこの態様は非常に有用であり得る。
【0035】
図4は、第1のポケット55の下端部に位置付けられ、下側に向けられていてもよい第1のポケットの開口部180も描いている。開口部180の縁部は、バックパネル20の下縁部、および内裏地層60の下縁部によって形成される。この構成によって、第1のポケット55の内側に折り畳まれたときに、パーカ10を覆っているかもしれない水分を排出し、取り除くことができる。このようにパーカ10は、折り畳まれて人の背中で持ち運ばれているときでも、乾くことが可能になる。
【0036】
図5は、本発明の実施形態による、
図4に示されるようにパーカ10が第1のポケット55に詰められたときのパーカ10の断面図を描いている。背中パネル20および内裏地層60は、左縁部および右縁部に沿った縫い継ぎ目160によって連結されており、縫い継ぎ目160は、同時に、左前パネル40および右前パネル30の縁部を、背中パネル20の左縁部および右縁部に連結させる。この縫い継ぎ目160は、材料ストリップ170によって補強されてもよい。
【0037】
図6は、本発明の実施形態による第2のポケット70の内側にパーカ10が詰められたときの、パーカ10の前面図を描いている。第2のポケット70は、蓋130およびバックル150によって閉じられてもよく、引き手要素80の一方の端部に連結されていてもよいバックル90の対応する部分と相互作用することができるバックル92の追加的な部分を備えていてもよく、それにより、第2のポケット用の持運びストラップが形成される。引き手要素80も第2のポケット70内に保管することができ、それにより使用していないときにパーカ10の容量をさらに低減させることができる。第2のポケット70によって、パーカ10を第1のポケットよりもはるかに小さい容量で保管することが可能になる。それに加えて第2のポケット70は、第2のポケット70の表面に取り付けられた、鍵、小銭などの小さい物品を保管するのに適した少なくとも第3のポケット75を備えてもよい。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のポケット70は、非常に軽い材料を備えていてもよく、追加的なバックルコネクタ92、蓋130、バックル150のいずれも備えていなくてもよい。したがってパーカ10の重量を低減させることができ、パーカ10が使用されているときに、外観と着心地を改善することができる。
【0039】
以下では、一体型ポケットに詰めることができる本発明のバッグの例示的な実施形態がより詳細に記述される。本発明は、この具体的な実施形態に限定されず、例えば旅行バッグ、スポーツバッグ、バックパックなどの任意のタイプのバッグにも同じく適用可能であることが、理解されるべきである。
【0040】
図7は、本発明の実施形態による折畳み可能なバッグ200の4つの異なる図を描いている。
図7a)では、バッグ200は広げられた構成で描かれており、これはバックの使用時に該当し得る。
図7b)は、第1のポケット55にバッグ200を詰めるために実行することができる折畳み工程の中間ステップを描いている。この構成では、この実施形態においてストラップとして実現されている引き手要素80が、すでにいくらか引き出されている。
図7c)は、第1のポケット55の内側にあるときのバッグ200を描いている。引き手要素80は、第1のポケット55の上端部に取り付けられた固定要素210に連結されて、それにより第1のポケット55用の持運びストラップが形成されてもよい。
図7d)は、180°回転した
図7c)と同じ構成を描いている。
図7d)で見ることができる特徴に加えて、第2のポケット70が描かれており、バッグ200が第1のポケット55に詰められたときに、第1のポケット55をその第2のポケット70の中に詰めることができる。
【0041】
図8は、2つの異なる構成でバッグ200を持ち運ぶ人の背面図を描いている。
図8の左部分では、人は、広げられた構成でバッグ200を持ち運んでいる、すなわち、バッグ200内に保管された追加的な物品を持ち運ぶためにバッグ200が使用されているときである。
図8の右部分は、バッグが第1のポケット55の内側にあるときに、バックを持ち運んでいる人を描いている。
【0042】
引き手要素80は、2つの端部において第1のポケット55に連結され、それにより人の上半身に斜め掛けされる持運びストラップが形成される。
【0043】
以下では、本発明の理解を容易にするために、さらなる実施形態が記述される。
1.衣服であって、
a.使用されていないときに、衣服(10)を中に詰めることができる一体型の第1のポケット(55)を備えており、
b.第1のポケット(55)が、衣服(10)の下端部に配置された開口部(180)を備えている、衣服。
2.開口部(180)が下側に向けられている、実施形態1に記載の衣服。
3.開口部(180)が閉鎖手段を備えていない、実施形態1または2に記載の衣服。
4.第1のポケット(55)が、衣服(10)の背中パネル(20)の垂直方向範囲の大部分に沿って延在している、実施形態1から3のいずれかに記載の衣服。
5.第1のポケット(55)が、衣服(10)の少なくとも2つのパネルを相互連結している継ぎ目と、継ぎ目を共有している材料の層(60)を備えている、実施形態1から4のいずれかに記載の衣服。
6.第1のポケット(55)は、衣服(10)が第1のポケット(55)に詰められたときに、第1のポケット(55)を中に詰めることができる第2のポケット(70)を備えている、実施形態1から5のいずれかに記載の衣服。
7.衣服であって、
a.使用されていないときに、衣服(10)を中に詰めることができる一体型の第1のポケット(55)を備えており、
b.第1のポケット(55)が、衣服(10)の背中パネル(20)の垂直方向範囲の大部分に沿って延在している、衣服。
8.衣服であって、
a.使用されていないときに、衣服(10)を中に詰めることができる一体型の第1のポケット(55)を備えており、
b.第1のポケット(55)は、衣服(10)が第1のポケット(55)に詰められたときに、第1のポケット(55)を中に詰めることができる第2のポケット(70)を備えている、衣服。
9.衣服(10)が使用されているとき、第2のポケット(70)は、第1のポケット(55)の内側に配置される、実施形態1から8のいずれかに記載の衣服。
10.衣服であって、
a.使用されていないときに、衣服(10)を中に詰めることができる一体型の第1のポケット(55)を備えており、
b.第1のポケット(55)が、衣服の少なくとも2つのパネルを相互連結している継ぎ目と、継ぎ目を共有している材料の層(60)を備えている、衣服。
11.第1のポケット(55)が、第1のポケット(55)に入るように衣服(10)を下向きに引っ張るように適合された引き手要素(80)をさらに備えている、実施形態1から10のいずれかに記載の衣服。
12.引き手要素(80)が、第1のポケット(55)に取り付けられた第2の固定要素と相互作用するように適合された第1の固定要素(90)を備えており、それにより第1のポケット(55)用の持運びストラップが形成される、実施形態1から11のいずれかに記載の衣服。
13.第1のポケット(55)および/または衣服(10)を反転させることによって、衣服(10)を第1のポケット(55)の中に詰めることができる、実施形態1から12のいずれかに記載の衣服。
14.衣服(10)が、上半身用の衣服である、実施形態1から13のいずれかに記載の衣服。
15.バッグであって、
a.使用されていないときに、バッグ(200)を中に詰めることができる一体型の第1のポケット(55)を備えており、b.第1のポケット(55)は、バッグ(200)が第1のポケット(55)に詰められたときに、第1のポケット(55)を中に詰めることができる第2のポケット(70)を備えている、バッグ。
【符号の説明】
【0044】
10 衣服
20 背中パネル
30 右前パネル
40 左前パネル
50 頭部パネル
55 第1のポケット
60 内裏地層
62 上縁部
70 第2のポケット
75 第3のポケット
80 引き手要素
90 固定要素
92 バックル
110 上側部分
120 下側部分
130 蓋
135 裏側
140 縫い継ぎ目
150 バックル
160 継ぎ目
170 材料ストリップ
180 開口部
200 バッグ
【外国語明細書】