【解決手段】電動オイルポンプ1は、シャフト11を有するモータ部10と、モータ部10のフロント側に位置し、シャフト11を介して駆動されオイルを吐出するポンプ部40と、モータ部10の作動を制御する制御部72と、を有する。モータ部10は、ロータ20とステータ22とこれらを収容するモータハウジング13とを有する。ポンプ部40は、モータ部10からフロント側に突出するシャフト11に取り付けられるポンプロータ47と、ポンプロータ47を収容する収容部60を有したポンプハウジング51と、を有する。制御部72は、モータハウジング13とポンプハウジング51との間であって、モータハウジング13及びポンプハウジング51の軸方向に重なる領域R内に配置される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動オイルポンプについて説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0011】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向他方向と平行な方向とする。X軸方向は、
図1に示す電動オイルポンプ1の幅方向と平行な方向、すなわち、
図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0012】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「リア側」と記し、Z軸方向の負の側(−Z側)を「フロント側」と記す。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。
【0013】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0014】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、第1実施形態に係る電動オイルポンプ1の断面図である。本実施形態の電動オイルポンプ1は、
図1に示すように、モータ部10と、ポンプ部40と、制御部72は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って配置されたシャフト11を有する。ポンプ部40は、モータ部10の軸方向一方側(フロント側)に位置し、モータ部10によってシャフト11を介して駆動されオイルを吐出する。制御部72は、モータ部10のモータハウジング13とポンプ部40のポンプハウジング51との間に位置する中間部材70内に配置されて、モータ部10の作動を制御する。以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0015】
<モータ部10>
モータ部10は、
図1に示すように、シャフト11と、ロータ20と、ステータ22、モータハウジング13と、を有する。
【0016】
モータ部10は、例えば、インナーロータ型のモータであり、ロータ20がシャフト11の外周面に固定され、ステータ22がロータ20の径方向外側に位置する。
【0017】
(モータハウジング13)
モータハウジング13は、ロータ20及びステータ22を収容する。モータハウジング13は、ステータ保持部13aと、中間部材保持部13bと、ベアリング保持部13cと、を有する。モータハウジング13は、金属製である。モータハウジング13は、軸方向他方側(リア側)に底部13fを有した有底筒状である。
【0018】
(ステータ保持部13a)
ステータ保持部13aは、軸方向に延びる円筒状である。ステータ保持部13a内にモータ部10のシャフト11とロータ20とステータ22が配置される。ステータ保持部13aの内周面13a1には、ステータ22の外側面、すなわち、後述するコアバック部22aの外側面が嵌め合わされる。これにより、ステータ保持部13aにステータ22が収容される。
【0019】
(中間部材保持部13b)
中間部材保持部13bは、ステータ保持部13aのフロント側端部13a2に繋がる部分である。本実施形態では、中間部材保持部13bは、フロント側端部13a2からフロント側へ延びる筒状の端部13b1と、端部13b1のフロント側端部から径方向外側に延びる環状のフランジ部13b2と、を有する。
【0020】
端部13b1は、円環状であり、ステータ保持部13aよりも径方向外側に広がってフロント側へ延びる。モータハウジング13の軸方向一方側(フロント側)の端部は、壁部70dと接続される。本実施形態では、端部13b1の内面には、中間部材70のリア側の壁部70dが挿入されて、端部13b1が壁部70dと接続される。
【0021】
(ベアリング保持部13c)
ベアリング保持部13cは、
図1に示すように、モータハウジング13の底部13fに設けられる。ベアリング保持部13cは、モータハウジング13の底部13fにフロント側が開口してリア側へ窪むベアリング収容部13f1を有する。ベアリング収容部13f1は、フロント側から見たときに円形状である。ベアリング収容部13f1は、シャフト11の中心軸Jと同軸上に配置される。ベアリング収容部13f1内に設けられたベアリング16は、シャフト11のリア側端部を支持する。
【0022】
(ロータ20)
ロータ20は、
図1に示すように、シャフト11のリア側に固定される。ロータ20は、ロータコア20aと、ロータマグネット20bと、を有する。ロータコア20aは、シャフト11を軸周り(θ方向)に囲んで、シャフト11に固定される。ロータマグネット20bは、ロータコア20aの軸周り(θ方向)に沿った外側面に固定される。ロータコア20a及びロータマグネット20bは、シャフト11と共に回転する。なお、ロータ20は、ロータ20の内部に永久磁石が埋め込まれた埋込磁石型でもよい。埋込磁石型のロータ20は、永久磁石をロータ20の表面に設けた表面磁石型と比較して、遠心力によって磁石が剥がれる虞を軽減することができ、また、リラクタンストルクを積極的に利用することができる。
【0023】
(ステータ22)
ステータ22は、ロータ20の径方向外側に位置して、ロータ20を軸周り(θ方向)に囲み、ロータ20を中心軸J周りに回転させる。ステータ22は、コアバック部22aと、ティース部22cと、コイル22bと、インシュレータ(ボビン)22dと、を有する。
【0024】
コアバック部22aの形状は、シャフト11と同心の円筒状である。ティース部22cは、コアバック部22aの内側面からシャフト11に向かって延びる。ティース部22cは、複数設けられ、コアバック部22aの内側面の周方向に均等な間隔で配置される。コイル22bは、インシュレータ(ボビン)22dの周囲に設けられ、導電線22eが巻回されてなる。インシュレータ(ボビン)19は、各ティース部22cに装着される。
【0025】
(シャフト11)
シャフト11は、
図1に示すように、軸方向に延びる中心軸Jを中心として延びてモータ部10を貫通する。シャフト11のフロント側(−Z側)は、モータ部10から突出して、中間部材70を貫通してポンプ部40内に延びる。シャフト11のフロント側が後述するベアリング55で支持される。このため、シャフト11は、両端支持の状態となる。
【0026】
<制御部72>
図2は、第1実施形態に係るモータ部10を省略した電動オイルポンプ1の断面斜視図である。
図3は、
図2のIIa−IIa矢視に相当する中間部材70の径方向の断面図である。
図4は、
図2のIIb−IIb矢視に相当する中間部材70の径方向の断面図である。
図5は、
図2のIIc−IIc矢視に相当する中間部材70の径方向の断面図である。
図6は、
図2のIId−IId矢視に相当する中間部材70の径方向の断面図である。
図7は、
図2のIIe−IIe矢視に相当する中間部材70の径方向の断面図である。
【0027】
制御部72は、
図1及び
図2に示すように、中間部材70内に配置され、板状の回路基板72aと、シャフト11の回転角を検出する回転角センサ72bと、を有する。制御部72は、モータハウジング13とポンプハウジング51との間であって、モータハウジング13及びポンプハウジング51の軸方向に重なる領域R内に配置される。本実施形態では、制御部72は、中間部材70内に配置されて、モータハウジング13及びポンプハウジング51の軸方向に重なる領域R内に配置される。回路基板72a、回転角センサ72bの詳細については後述する。
【0028】
<中間部材70>
本実施形態では、中間部材70は、
図1に示すように、モータ部10の作動を制御するための制御部72を有したコネクタアセンブリである。
【0029】
中間部材70は、樹脂により一体成型される。中間部材70は、モータ部10とポンプ部40との間に配置される中間部材本体部70aと、中間部材本体部70aの径方向外側端部に繋がって径方向外側に延びるターミナル部70bと、を有する。中間部材本体部70a及びターミナル部70bのリア側には、同一平面上に延びる底面70cが設けられる。底面70cは、ポンプボディ52のリア側の端面52cに接触して固定される。
【0030】
中間部材本体部70aは、
図1及び
図2に示すように、円筒状であり、中間部材本体部70aの軸方向中間部に径方向内側へ延びる環状の仕切り板部70eを有する。このため、中間部材本体部70aは、仕切り板部70eよりもリア側及びフロント側に円筒状の壁部70dを有する。仕切り板部70eよりもフロント側の壁部70dの径方向内側には、空間部70hが設けられる。仕切り板部70eの中央部には軸方向に貫通する貫通孔70fが設けられる。この貫通孔70fにシャフト11が貫通する。壁部70dのリア側端部は、モータハウジング13の中間部材保持部13bに接続される。
【0031】
貫通孔70fの径方向内側には、貫通孔を通るシャフト11に取付部材74を介して回転角センサ用磁石76が配置される。取付部材74は、環状であり、中央部に軸方向に貫通する貫通孔74aを有する。貫通孔74aにシャフト11が貫通して固定される。取付部材74のフロント側には、フロント側が開口してリア側に窪む環状凹部74bが設けられる。環状凹部74bは、中心軸Jに対して同心円状に配置される。環状凹部74b内には、回転角センサ用磁石76が装着される。
【0032】
回転角センサ用磁石76は、環状であり、径方向及び軸方向に所定幅を有して、環状凹部74b内に収容される。回転角センサ用磁石76の軸方向断面は、四角形状である。このため、回転角センサ用磁石76は、軸方向両側に平らで帯状の面76aを有する。回転角センサ用磁石76は、環状凹部74bに装着された状態で、フロント側の面76aが環状凹部74bから突出する。
【0033】
仕切り板部70eよりもフロント側の空間部70h内には、
図4に示すように、制御部72が配置される。制御部72は、中間部材本体部70a内にシャフト11に隣接して配置される。制御部72には、複数の端子部78が電気的に接続される。
【0034】
端子部78は、
図4及び
図5に示すように、一端部が壁部70dよりも径方向内側に配置され、他端部が壁部70dよりも径方向外側に配置されて径方向に延びる。本実施形態では、端子部78は、一端部が制御部72の径方向外側端部に接続され、他端側がターミナル部70b内を径方向内側から径方向外側へ向かって延びる。端子部78は、板状であって直線状に延びる。端子部78は、ターミナル部70b内を延びる端子本体部78aと、端子本体部78aの径方向内側端部に繋がってフロント側へ屈曲して延びて制御部72に電気的に接続される制御部側端子部78bと、端子本体部78aの径方向外側端部に繋がってリア側へ屈曲して延びて外部コネクタに電気的に接続される外部コネクタ側端子部78c(
図2参照)と、を有する。本実施形態では、5つの端子部78が中間部材70に設けられる。
【0035】
複数の端子部78よりもリア側には、
図7に示すように、複数のバスバー80が配置される。バスバー80は、モータ部10のコイル端と外部コネクタとを電気的に接続する。本実施形態では、3本のバスバー80が中間部材70内に配置される。
【0036】
(バスバー80)
バスバー80は、
図3及び
図7に示すように、金属材料製、例えば、銅にスズメッキが施されたスズメッキ銅である。バスバー80は、仕切り板部70eのリア側の面70e1上に配置される。バスバー80は、シャフト11に隣接して配置される第1バスバー81と、シャフト11よりもY軸方向プラス側に配置される第2バスバー82と、シャフト11よりもY軸方向マイナス側に配置される第3バスバー83と、を有する。
【0037】
第1バスバー81は、バスバー本体部81aと、バスバー本体部81aの一端側に繋がるコイル側端子部81bと、バスバー本体部81aの他端側に繋がる外部コネクタ側端子部81cと、を有する。
【0038】
第2バスバー82は、バスバー本体部82aと、バスバー本体部82aの一端側に繋がるコイル側端子部82bと、バスバー本体部82aの他端側に繋がる外部コネクタ側端子部82cと、を有する。
【0039】
第3バスバー83は、バスバー本体部83aと、バスバー本体部83aの一端側に繋がるコイル側端子部83bと、バスバー本体部83aの他端側に繋がる外部コネクタ側端子部83cと、を有する。
【0040】
第1バスバー81のバスバー本体部81aは、シャフト11よりもX軸方向一方側の位置とシャフト11よりもX軸方向他方側の位置との間を、シャフト11を迂回して周方向に延びる円弧状である。バスバー本体部81aのX軸方向他方側の端部には、径方向外側へ延びる延伸部81a1を有する。延伸部81a1の先端部にはコイル側端子部81bが繋がる。延伸部81a1は、仕切り板部70eに設けられた第1孔部70e2内を貫通して空間部70h内にコイル側端子部81bが配置される。第1孔部70e2は、シャフト11よりもX軸方向マイナス側の仕切り板部70eに設けられる。また、バスバー本体部81aの延伸方向の中間部には、径方向外側へ延びる突出部81a2が設けられる。外部コネクタ側端子部81cは、ターミナル部70bの径方向内側から径方向外側へ延びる。外部コネクタ側端子部81cの径方向外側部分は、リア側へ屈曲して延びる。
【0041】
第2バスバー82のバスバー本体部82aは、第1バスバー81のバスバー本体部81aよりもY軸方向プラス側に位置し、シャフト11よりもX軸方向一方側の位置とシャフト11よりもX軸方向他方側の位置との間を、シャフト11を迂回して周方向に延びる円弧状である。バスバー本体部82aのX軸方向他方側の端部には、径方向外側へ延びる延伸部82a1を有する。延伸部82a1の先端部にはコイル側端子部82bが繋がる。延伸部782a1は、仕切り板部70eに設けられた第2孔部70e3内を貫通して空間部70h内にコイル側端子部82bが配置される。第2孔部70e3は、第1孔部70e2よりもY軸方向プラス側の仕切り板部70eに設けられる。また、バスバー本体部82aの延伸方向の中間部には、径方向内側へ延びる突出部82a2が設けられる。外部コネクタ側端子部82cは、ターミナル部70bの径方向内側から第1バスバー81の外部コネクタ側端子部81c側へ隣接する位置に延びて径方向外側へ屈曲し、径方向外側へ延びる。外部コネクタ側端子部82cの径方向外側部分は、リア側へ屈曲して延びる。
【0042】
第3バスバー83のバスバー本体部83aは、シャフト11よりもY軸方向マイナス側に位置し、シャフト11よりもX軸方向一方側の位置とシャフト11よりもX軸方向他方側の位置との間を、シャフト11を迂回して周方向に延びる円弧状である。バスバー本体部83aのX軸方向他方側の端部には、径方向外側へ延びる延伸部83a1を有する。延伸部83a1の先端部にはコイル側端子部83bが繋がる。延伸部83a1は、仕切り板部70eに設けられた第3孔部70e4内を貫通して空間部70h内にコイル側端子部83bが配置される。第3孔部70e4は、第1孔部70e2よりもY軸方向マイナス側の仕切り板部70eに設けられる。また、バスバー本体部83aの延伸方向の中間部には、径方向内側へ延びる突出部83a3が設けられる。外部コネクタ側端子部83cは、ターミナル部70bの径方向内側から第1バスバー81の外部コネクタ側端子部81c側へ隣接する位置に延びて径方向外側へ屈曲し、径方向外側へ延びる。外部コネクタ側端子部83cの径方向外側部分は、リア側へ屈曲して延びる。
【0043】
本実施形態では、モータ部10のコイル22bが3相巻線の場合であり、U相、V相、W相のいずれかに対応するコイル端とバスバー80とを接続するために、コイル側端子部81b、82b、83bが、シャフト11の径方向外側の周方向に等間隔を有して3か所配置される。
【0044】
第1バスバー81のバスバー本体部81aと第2バスバー82のバスバー本体部82aとの間であって、シャフト11よりもX軸方向プラス側の仕切り板部70eには、
図7に示すように、第1雌ねじ部70e5が設けられる。また、第3バスバー83のバスバー本体部83aとシャフト11との間であって、シャフト11の中心軸Jと第1雌ねじ部70e5との間の仕切り板部70eに第2雌ねじ部70e6が設けられる。これらの第1雌ねじ部70e5及び第2雌ねじ部70e6は、制御部72を固定する際に使用される。
【0045】
<ポンプ部40>
ポンプ部40は、
図1に示すように、中間部材70の軸方向一方側(フロント側)に位置する。ポンプ部40は、モータ部10によってシャフト11を介して駆動される。ポンプ部40は、ポンプロータ47と、ポンプハウジング51と、を有する。本実施形態では、ポンプハウジング51は、ポンプボディ52と、ポンプカバー57と、を有する。以下、各部品について詳細に説明する。
【0046】
(ポンプボディ52)
ポンプボディ52は、
図1に示すように、中間部材70のフロント側(−Z側)において中間部材70のフロント側(−Z側)の底面70cに固定される。ポンプボディ52は、リア側(+Z側)の端面52cからフロント側(−Z側)に窪む凹部54を有する。凹部54内にはリア側からフロント側へ向かってベアリング55及びシール部材59が順に収容される。ベアリング55は、モータ部10から軸方向一方側(フロント側)に突出するシャフト11を支持する。シール部材59は、ポンプロータ47から漏れ出すオイルをシールする。
【0047】
ポンプボディ52は、中間部材70に対してフロント側(−Z側)から覆うことで、中間部材70との間に凹部54内のベアリング55を軸方向に位置決めする。
【0048】
ポンプボディ52は、中心軸Jに沿って貫通する貫通孔56を有する。貫通孔56は軸方向両端が開口してシャフト11が通され、リア側(+Z側)の開口が凹部54に開口し、フロント側(−Z側)の開口がポンプボディ52のフロント側の端面52dに開口する。
【0049】
ポンプボディ52のリア側の径方向外側端部には、
図3に示すように、環状のフランジ部52aが設けられる。フランジ部52aには、周方向に間隔を有して径方向外側へ突出する複数の突出部52bが設けられる。これらの突出部52bは、中間部材70にポンプボディ52を接続させた状態で、中間部材70の複数の突出部70g(
図4参照)と軸方向において重なる位置に配置される。複数の突出部52bの夫々には、ボルト15が貫通する。
【0050】
(ポンプカバー57)
ポンプカバー57は、
図1に示すように、ポンプボディ52のフロント側に取り付けられる。ポンプカバー57は、リア側が開口してフロント側へ窪む収容部60を有する。ポンプカバー57は、ポンプボディ52に対してフロント側から覆うことにより、ポンプボディ52との間に収容部60を設ける。本実施形態では、ポンプカバー57は、リア側にポンプボディ52のフロント側の端面52dに接触する平面状の端面57aを有する。収容部60内にポンプロータ47が配置される。
【0051】
ポンプカバー57のリア側の径方向外側端部には、
図2に示すように、フランジ部(図示せず)が設けられる。フランジ部には、周方向に間隔を有して径方向外側へ突出する複数の突出部(図示せず)が設けられる。これらの突出部は、ポンプボディ52にポンプカバー57を接触させた状態で、ポンプボディ52の複数の突出部52bと軸方向において重なる位置に配置される。複数の突出部の夫々には、ボルト15が螺合可能な雌ねじ部(図示せず)が設けられる。これらの雌ねじ部に、モータハウジング13、中間部材70、ポンプボディ52及びポンプカバー57を貫通したボルトが螺合することで、モータハウジング13、中間部材70、ポンプボディ52及びポンプカバー57を一体的に固定することができる。
【0052】
(ポンプロータ47)
ポンプロータ47は、
図1及び
図2に示すように、シャフト11に取り付けられる。より詳細には、ポンプロータ47は、シャフト11のフロント側(−Z側)に取り付けられる。ポンプロータ47は、シャフト11に取り付けられるインナーロータ47aと、インナーロータ47aの径方向外側を囲むアウターロータ47bと、を有する。インナーロータ47aは、円環状である。インナーロータ47aは、径方向外側面に歯を有する歯車である。
【0053】
インナーロータ47aは、シャフト11に固定される。より詳細には、インナーロータ47aの内側にシャフト11のフロント側(−Z側)の端部が圧入される。インナーロータ47aは、シャフト11と共に軸周り(θ方向)に回転する。アウターロータ47bは、インナーロータ47aの径方向外側を囲む円環状である。アウターロータ47bは、径方向内側面に歯を有する歯車である。
【0054】
インナーロータ47aとアウターロータ47bとは互いに噛み合い、インナーロータ47aが回転することでアウターロータ47bが回転する。すなわち、シャフト11の回転によりポンプロータ47は回転する。言い換えると、モータ部10とポンプ部40とは同一の回転軸を有する。これにより、電動オイルポンプ1が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0055】
また、インナーロータ47aとアウターロータ47bとが回転することで、インナーロータ47aとアウターロータ47bの噛み合わせ部分の間の容積が変化する。容積が減少する領域が加圧領域なり、容積が増加する領域が負圧領域となる。ポンプロータ47の負圧領域のリア側(+Z側)には、吸入ポートが配置される。また、ポンプロータ47の加圧領域Apのリア側(+Z側)には、吐出ポートが配置される。ここで、ポンプカバー57に設けられた吸入口(図示せず)から収容部60内に吸入されるオイルは、インナーロータ47aとアウターロータ47bの間の容積部分に収容され、加圧領域に送られる。その後、オイルは、吐出ポートを通ってポンプカバー57に設けられた吐出口(図示せず)から吐出される。
【0056】
このように、ポンプハウジング51は、モータ部10から軸方向一方側に突出するシャフト11を支持するベアリング55と、ポンプロータ47から漏れ出すオイルをシールするシール部材59と、を有する。また、中間部材70は、シャフト11の回転角度を検出する回転角センサ72bを搭載した制御部72と、シャフト11に取り付けられ、回転角センサ72bによってシャフト11の回転角を検出させる回転角センサ用磁石76と、一端部が制御部72の軸方向他方側(リア側)に位置して他端部が径方向外側へ延び、一端部が制御部72に電気的に接続される端子部78と、を有する。また、ポンプ部40側からモータ部10側へ向かって、シール部材59、ベアリング55、制御部72、回転角センサ用磁石76、ステータ22の順に配置される。
【0057】
<制御部72>
制御部72は、本実施形態では、
図4及び
図6に示すように、回路基板72aと、回路基板72aに搭載された回転角センサ72bと、を有する。回路基板72aは、フロント側から見たときに、Y軸方向に延びる長方形状である。制御部72は、端子部78の一端部が制御部72の径方向外側端部に電気的に接続されて、端子部78を介して片持ち状態で支持される。本実施形態では、回路基板72aの径方向外側端部に、複数の端子部78が電気的に接続される。このため、回路基板72aは、端子部78側を支点とした片持ち状態で支持される。
【0058】
制御部72は、制御部72に端子部78が接続された側と反対側の端部にシャフト11の外周面の周方向に沿って湾曲する切欠き部72a1を有する。本実施形態では、回路基板72aの径方向内側の端部に切り欠き部72a1を有する。切欠き部72a1は、シャフト11の外周面の周方向に沿って湾曲する切欠き面72a2(
図2参照)を有する。制御部72は、切欠き面72a2とシャフト11の外周面との間に隙間を有して配置される。本実施形態では、回路基板72aは、切欠き面72a2とシャフト11の外周面との間に隙間を有して配置される。このため、シャフト11の回転時にシャフト11が回路基板72aに接触する虞はない。
【0059】
制御部72の回転角センサ72bは、切欠き部72a1の切欠き面72a2よりも径方向外側であって回転角センサ用磁石76に対向する制御部72の面72a4上に、切欠き面72a2の湾曲方向に沿って配置される。本実施形態では、回転角センサ72bは、切欠き面72a2よりも径方向外側であって回転角センサ用磁石76に対向する回路基板72aのリア側の面72a4上に、切欠き面72a2の湾曲方向に沿って配置される。また、回転角センサ用磁石76は、回転角センサ72bのシャフト11に対する径方向位置(r1)と同一の径方向位置に配置される。
【0060】
制御部72は、
図2及び
図6に示すように、壁部70dとシャフト11との間であって、回転角センサ用磁石76よりも軸方向一方側(フロント側)に配置される。本実施形態では、回路基板72aは、切り欠き面72a2がシャフト11の外周面に隣接し、回路基板72aの径方向内側端部が回転角センサ用磁石76よりもフロント側に位置した状態で、空間部70h内に配置される。
【0061】
回路基板72aは、複数の端子部78によって片持ち状態で支持されているため、不安定な状態にある。しかしながら、仕切り板部70eのフロント側の面には、
図4に示すように、軸方向において回路基板と重なる位置に複数の突起部71が設けられる。突起部71は、円柱状であり、仕切り板部70eのフロント側の面から延びる大径部71aと、大径部71aのフロント側の端部からフロント側へ延びて大径部71aよりも小径の小径部71bとを有する。一方、回路基板72aには、軸方向において突起部の小径部と重なる位置に軸方向に貫通する孔部72a3が設けられる。孔部72a3に小径部71bが貫通し、小径部71bと大径部71aとの間の段部に回路基板72aが接触する。
【0062】
突起部71は、制御部72に端子部78が接続された側と反対側であって端子部78が延びる方向に対して直交する方向の一方側の位置と、制御部72に端子部78が接続された側であって端子部78が延びる方向に対して直交する方向の他方側の位置に配置される。本実施形態では、突起部71は、回路基板72aのY軸方向プラス側で且つX軸方向のマイナス側の位置と、回路基板72aのY軸方向マイナス側で且つ位置よりもX軸方向プラス側の位置に配置される。即ち、これらの位置は、回路基板72aの中心に対して対角位置にある。
【0063】
制御部72は、固定部材85を介して中間部材70に固定される。固定部材85は、ボルト85aである。固定部材85は、制御部72に端子部78が接続された側と反対側であって端子部78が延びる方向に対して直交する方向の一方側の位置と、制御部72に端子部78が接続された側であって端子部78が延びる方向に対して直交する方向の他方側の位置に配置される。本実施形態では、ボルト85aは、回路基板72aのY軸方向プラス側で且つX軸方向のプラス側の位置と、回路基板72aのY軸方向マイナス側で且つ位置よりもX軸方向マイナス側の位置に配置される。即ち、これらの位置は、回路基板72aの中心に対して対角位置にある。また、仕切り板部70eに設けられた第1雌ねじ部70e5及び第2雌ねじ部70e6(
図7参照)は、ボルト85aの配置された位置と対向する位置に配置される。このため、ボルト85aを回路基板72aの孔部72a3に貫通し、第1雌ねじ部70e5及び第2雌ねじ部70e6に螺合することで、回路基板72aが突起部71の段部に接触した状態で固定することができる。よって、制御部72は、中間部材70内において、強固に且つ安定した状態で固定される。
【0064】
なお、第1雌ねじ部70e5は、
図7に示すように、第1バスバー81のバスバー本体部81aと、第2バスバー82のバスバー本体部82aとの間の仕切り板部70eに位置するので、第1雌ねじ部70e5が第1バスバー81および第2バスバー82に重なることはない。また、第2雌ねじ部70e6は、第3バスバー83のバスバー本体部83aと、シャフト11との間の仕切り板部70eに位置するので、第2雌ねじ部70e6が第3バスバー83に重なることはない。
【0065】
<電動オイルポンプ1の作用・効果>
次に、電動オイルポンプ1の作用・効果について説明する。
図1に示すように、電動オイルポンプ1のモータ部10が駆動すると、モータ部10のシャフト11が回転して、ポンプロータ47のインナーロータ47aの回転にともなってアウターロータ47bも回転する。ポンプロータ47が回転すると、ポンプ部40の吸入口(
図7参照)から吸引されたオイルは、ポンプ部40の収容部60内を移動して、吐出ポートを通って吐出口(
図7参照)から吐出される。
【0066】
(1)ここで、本実施形態に係る電動オイルポンプ1の制御部は、モータハウジング13とポンプハウジング51との間であって、モータハウジング13及びポンプハウジング51の軸方向に重なる領域R内に配置される。このため、制御部72がモータハウジング13及びポンプハウジング51の径方向外側に配置される場合と比較して、電動オイルポンプ1の径方向の大型化を抑制することができる。
【0067】
(2)また、モータハウジング13とポンプハウジング51との間に中間部材70が配置され、制御部72は、中間部材70内に配置される。中間部材70が電動オイルポンプ1に設けられている場合でも、制御部72による電動オイルポンプ1の径方向の大型化を抑制することができる。
【0068】
(3)また、ベアリング55がシール部材59よりもポンプ部40から離れた側に配置されることで、ベアリング55にオイルを入り難くすることができる。また、制御部72をベアリング55よりもモータ部10側に配置し、端子部78の一端部が制御部72の軸方向他方側に位置して他端部が径方向外側へ延びて一端部が制御部72に電気的に接続されることで、端子部78がベアリング55に接触する虞がなく端子部と制御部72との配線を容易にすることができる。
【0069】
(4)さらに、回転角センサ用磁石は、回転角センサのシャフトに対する径方向位置と同一の径方向位置に配置されるので、回転角センサによるシャフトの回転角の検出精度を高めることができる。
【0070】
(5)また、制御部72は、壁部70dとシャフト11との間であって、回転角センサ用磁石76よりも軸方向一方側に配置される。このため、壁部70dとシャフト11と回転角センサ用磁石76とで囲まれる領域内に制御部72が配置される。したがって、中間部材70内のスペースを有効に活用することができる。また、制御部72は軸方向に重ならない位置に配置されるので、電動オイルポンプ1の軸方向の大型化を抑制することができる。
【0071】
(6)また、制御部72は、固定部材85を介して中間部材70に固定される。このため、制御部72を中間部材70に強固に固定することができる。
【0072】
(7)また、固定部材85は、ボルト85aである。このため、制御部72を中間部材70に固定する作業を容易にすることができる。
【0073】
(8)さらに、固定部材85は、制御部72に端子部78が接続された側と反対側であって端子部が延びる方向に対して直交する方向の一方側の位置と、制御部72に端子部78が接続された側であって端子部78が延びる方向に対して直交する方向の他方側の位置に配置される。つまり、固定部材85は、制御部72の対角位置に配置される。このため、制御部72が端子部78によって片持ち支持された状態であっても、制御部72を安定した状態で固定することができる。
【0074】
(9)また、制御部72は、制御部72に端子部78が接続された側と反対側の端部にシャフト11の外周面の周方向に沿って湾曲する切欠き部72a1を有する。制御部72がシャフト11に接触することなく、中間部材70内に配置することができる。
【0075】
(10)また、制御部72の回転角センサ72bは、切欠き部72a1の切欠き面72a2よりもシャフト11から離反する側の回転角センサ用磁石76に対向する面上に切欠き面72a2の湾曲方向に沿って配置される。このため、回転角センサ72bにより回転角センサ用磁石76の位置検出の精度を向上することができる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発名とその均等の範囲に含まれる。