【課題】連結部での屈曲の発生を抑制し、大量の商品等が荷崩れをおこすことなく、スムーズに運ぶことを目的とする。また、荷物を押して運ぶのを抑制することにより、商品等が荷崩れや商品の入っているダンボールの凹み等をおこすことなく、スムーズに運ぶことを目的とする。
【解決手段】荷物を搭載する運搬台とこの運搬台下面部に設けられたキャスターとを具備する運搬台車であって、運搬台の一方の側面部に、複数の連結受け部が配され、連結受け部が配された一方の側面部と対向する他方の側面部に、運搬台車連結部材が配され、1つの運搬台車の運搬台車連結部材は、他の運搬台車の連結受け部に着脱自在に連結される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明について、
図1〜
図14を用いて詳細に説明する。
<運搬台車>
この発明に係る連結可能な運搬台車は、複数の運搬台車を連結することを可能とする運搬台車に係る発明である。
【0020】
この発明にかかる運搬台車11は、
図1〜
図3、
図7〜
図8に示すように、荷物を搭載する運搬台12とこの運搬台12の下面部に設けられたキャスター13とを具備する運搬用の台車である。
【0021】
この運搬台車11は、連結受け部15と連結離脱機構21とを有する。そして、1つの運搬台車11(
図6(a)の11a)の連結離脱機構21を構成する一部である運搬台車連結部材22が、他の運搬台車11(
図6(a)の11b)の連結受け部15に着脱自在に連結される。
【0022】
この連結離脱機構21は、前記連結受け部15と連結するための一対の運搬台車連結部材片22a、22bを有する。この一対の運搬台車連結部材片22a、22bは、
図1〜
図3に示すように、地面と直角方向に配置される場合や、
図7〜
図8に示すように、地面と平行な方向に配される場合がある。また、運搬台車連結部材22の数については、特に限定されないが、少なくとも2つあることが好ましい。
【0023】
また、前記連結受け部15は、前記運搬台車連結部材22の数に合わせて複数設けられ、この連結受け部15を有する運搬台車11の側面部に、押圧段部16、16’が設けられる。そして、前記連結受け部15は、前記押圧段部16’に設けられるか、又は前記押圧段部16とは別に設けられる。前記連結受け部15が前記押圧段部16と別に設けられる場合は、連結受け部15としては
図1に示すような、連結ピン15a等を例としてあげることができる。また、前記連結受け部15が前記押圧段部16’に設けられる場合は、
図8に示すように、前記押圧部材16’に開口部を設け、この開口部の周縁部(開口周縁部)15bを連結受け部として用いることができる。これらのとき、前記運搬台車連結部材片22a、22bに設けられる凹部22cは、ピン15aの太さや、開口周縁部15bの厚みに合わせて設ければよい。
【0024】
なお、第1例として、一対の運搬台車連結部材片22a、22bが地面と直角方向に配置され、前記連結受け部15が前記押圧段部16とは別に設けられ、連結受け部15として連結ピン15aを用いた場合について、
図1〜
図3を用いて説明する。
また、第2例として、一対の運搬台車連結部材片22a、22bが地面と平行な方向に配置され、前記連結受け部15が前記押圧段部16’に設けられ、連結受け部15として前記押圧部材16’に設けられた開口の開口部の周縁部15bを用いた場合について、
図7〜
図8を用いて説明する。
なお、第1例及び第2例は、あくまで例であり、設けられる運搬台車連結部材22の数、連結受け部15を設ける場所、形等の組み合わせについて、限定するものではない。
【0025】
まず、第1例について説明する。
前記連結受け部15は、前記運搬台12の一方の側面部に、複数(
図1〜
図3では2つ)設けられる。この2つの連結受け部15の配列は、上下、すなわち、運搬台12の側面部の上面から下面に向かう方向に並べて配される。
この連結受け部15の具体例としては、
図1や
図2に示すような、水平に配された連結ピン15aがあげられる。
この連結受け部15を上下方向に並べて配すると、これに前記運搬台車連結部材22が連結された場合において、段差のある場所や、でこぼこのある場所を通る際、連結部分が上下方向に2箇所あるため、運搬台車11の連結部での屈曲を減らすことができ、当該場所の状況によっては、運搬台車11の連結部での屈曲を無くしたりすることも可能となる。
【0026】
なお、この連結受け部15は、その連結受け部15の形状に合わせて設けることができる。例えば、連結受け部15として連結ピン15aを用いる場合は、
図1や
図2に示すように、運搬台12の一方の側面部に垂直方向、すなわち、運搬台12の上面から下面に向かう方向にピン保持板31を設け、これに連結ピン15aを取り付けることにより、設けることができる。
【0027】
また、前記運搬台12の前記連結受け部15が配される一方の側面部には、押圧段部16が設けられる。これは、後記するように、前記1つの運搬台車11aの前記運搬台車連結部材22が配される側面部と、前記他の運搬台車11bの前記連結受け部15が配される側面部を相対させたとき、この押圧段部16は、後記する連結部押し当て部材27と対向する位置に配させる。
【0028】
また、前記運搬台車連結部材22は、前記連結受け部15が配された前記一方の側面部と対向する他方の側面部に配される。これにより、この発明に係る運搬台車11を直列に連結することが可能となる。
【0029】
前記連結離脱機構21は、前記運搬台12の下面部に配された機構であり、前記他の運搬台車11の連結受け部15との着脱が自在となる前記運搬台車連結部材22、この運搬台車連結部材22の回動を補助する第1連結部材23からなる連結機構と、前記連結機構に加え、前記運搬台12の下面部に配された足踏み部材26、この足踏み部材26に回動自在に取り付けられた第2連結部材24、この第2連結部材24に取り付けられた軸方向の移動が可能な軸部材25からなる離脱機構から構成される。
【0030】
次に連結脱離機構21を構成する部材について説明する。まず、連結機構を構成する部
材について説明する。
前記運搬台車連結部材22は、
図3(a)や
図4に示すように、先端部に前記連結ピン15を挿入できる凹部22cを有する2つの運搬台車連結部材片22a、22bからなる。また、この2つの運搬台車連結部材片22a、22bは、それぞれ前記運搬台12の下面部の支点22d、22d’に回動自在に取り付けられる。
前記2つの運搬台車連結部材片22a、22bの先端部は、その先端から凹部22cにかけて傾斜部が形成されるのが好ましい。この傾斜部を設けると、他の運搬台車11bの連結ピン15aがこの運搬台車連結部材片22a、22bの先端部に接触した場合、この連結ピン15aを前記傾斜部に沿って、運搬台車連結部材片22a、22bの先端部に設けられた凹部22cとの連結位置にスムーズに誘導することが可能となる。このとき、2つの運搬台車連結部材片22a、22bは、回動自在なため、それぞれ凹部22cは配された側と反対側に回動することができるので、凹部22cの位置に連結ピン15aを誘導することが容易となる。
【0031】
前記の第1連結部材23は、
図3(a)や
図4に示すように、2つの連結部材片23a、23bが連結軸23cで回動自在に連結されたものである。
また、前記2つの運搬台車連結部材片22a、22bの、支点22d、22d’を基準として凹部22cが設けられた先端部側と反対側の後端部側の部分で、この第1連結部材23を構成する前記2つの連結部材片23a、23bの一端部が、それぞれ回動自在に取り付けられる。
【0032】
また、連結部押し当て部材27が、前記連結軸23cを前記運搬台車連結部材片22a、22bの先端部が配される側から押すように配される。
そして、前記したように、前記1つの運搬台車11aの前記運搬台車連結部材22が配される側面部と、前記他の運搬台車11bの前記連結受け部15が配される側面部を相対させたとき、前記押圧段部16が、この連結部押し当て部材27と対向するように配される。
【0033】
この連結部押し当て部材27は、前記連結軸23cを前記運搬台車連結部材片22a、22bの先端部が配される側から押すための部材として、連結軸23cを押すための部材と、押された部材を元の位置に戻そうとするばね等の付勢材とから構成される。
ところで、前記2つの運搬台車連結部材片22a、22bの後端部の間には、ばね等の付勢材28が取り付けられており、前記の連結部押し当て部材27が連結軸23c等を押す力が働いたとき、この力を付勢することができる。
【0034】
前記運搬台車連結部材22は、その目的に合わせて1つ又は2つ以上設けられる。
図1においては、2つの運搬台車連結部材22が設けられている。この運搬台車連結部材22が2つ以上の場合は、1本の連結軸23cに取り付けられればよく、また、この運搬台車連結部材22が1つの場合は、1本の連結軸23cに取り付けると共に、この連結軸23cの一端部又は両端部を連結軸23cの移動範囲を確保した上で保持部材で保持すればよい。
【0035】
次に、離脱機構を構成する部材であって、前記連結機構を構成する部材以外の部材を説明する。
前記足踏み部材26は、
図3(b)に示すように、支点26aを有する。そして、この足踏み部材26の一端部は、
図1や
図2に示すように、運搬台12の下面部から外部に露出して、足踏み部26bを形成する。
そして、この足踏み部材26の他端部は、
図1〜
図3に示すように、第2連結部材24の一端部と回動自在に連結される。
【0036】
この第2連結部材24は、その他端部が前記軸部材25の一端部と回動自在に連結され
ており、足踏み部材26の動きを軸部材25に伝える伝達部材の役割を果たす。
この第2連結部材24の形状は、
図1、
図3(a)に示すように、足踏み部材26の動きをより的確に軸部材25に伝えるため、L字状に形成された部材が使用される。なお、この形状は、足踏み部材26の動きをより的確に軸部材25に伝えることができれば、L字状形状に限定されない。
そして、この第2連結部材のL字状の折れ曲がり部を支点24aとして第2連結部材24を回動自在に支持する。これにより、
図3(a)に示すように、足踏み部材26の足踏み部26bを踏み込むことにより生じる踏み込み部材26の他端部の上昇という動きを第2連結部材24を介して、軸部材25をこの軸部材25の軸方向への移動という動きに変換することができる。
【0037】
この軸部材25は、その他端部で、第1連結部材23の連結軸23cと接触する。このため、連結軸23cに向かう軸部材25の軸方向の移動運動は、連結軸23cを押す運動となる。
【0038】
なお、足踏み部26bの踏み込みを解除すると、軸部材25が、第2連結部材24のある方向に戻されるバネ等の付勢材(図示せず)によって、軸部材25は移動し、これに伴い、第2連結部材24、及び足踏み部材26の回動が生じ、足踏み部26bは、踏み込まれる前の状態に戻る。このため、軸部材25の他端部は、開放されている方が好ましい。
【0039】
次に、この発明にかかる連結可能な運搬台車について、1つの運搬台車11aと他の運搬台車11bとを連結・離脱させる機構について説明する。
まず、1つの運搬台車11aと他の運搬台車11bとを連結させる機構について説明する。
【0040】
まず、
図5(a)に示すように、前記1つの運搬台車11aの前記運搬台車連結部材22が配された側面部に、前記他の運搬台車11bの前記2つの連結ピン15aが配された側面部を押し当てる。
このとき、前記2つの運搬台車連結部材片22a、22bは、
図5(a)に示されるような、互いに接近した位置に配されていたり、
図4に示すような、互いに離れる位置に配されていたりする。前者の場合は、前記連結ピン15aの間に1つの運搬台車連結部材片22a、22bが挿入される。一方、後者の場合は、前記連結ピン15aは、前記2つの運搬台車連結部材片22a、22bの先端部と接触する。
そして、前記連結ピン15aは、前記凹部22cとの連結位置に移動する。すなわち、前者の場合は、そのまま前記凹部22cとの連結位置に移動し、後者の場合は、2つの運搬台車連結部材片22a、22bの先端部に形成される傾斜部に沿って前記凹部22cとの連結位置に移動する。
また、
図5(b)に示すように、前記他の運搬台車11bの前記押圧段部16が前記連結部押し当て部材27を押す。これにより、前記第1連結部材23の連結軸23cを移動させ、これに伴って、前記2つの運搬台車連結部材片22a、22bの先端部が前記連結ピン15cのある方向に回動する。これにより、2つの前記運搬台車連結部材片22a、22bの先端部の凹部22cに、前記他の運搬台車11bの前記2つの連結ピン15aが挿入される。
これにより1つの運搬台車11aと他の運搬台車11bが連結される。
【0041】
次に、1つの運搬台車11aと他の運搬台車11bとを離脱させる機構について説明する。ここで、
図4を用いて説明するが、離脱機構においては、
図4に示す矢印は、反対方向となる。
1つの運搬台車11aと他の運搬台車11bとが連結された状態において、1つの運搬台車11aの足踏み部材26の足踏み部26bを踏む。これにより、足踏み部材26の他
端部が上方に移動する。これに伴い、
図4に示すように、第2連結部材24が回動し、軸部材25が前記第1連結部材23のある方向に移動し、軸部材25の他端部が第1連結部材23の連結軸23cを押す。これにより、第1連結部材23の連結軸23cが運搬台車連結部材片22a、22bの先端部の方向に移動する。このとき、運搬台車連結部材片22a、22bの後端部が押し広げられる方向に動く。これに伴い、2つの運搬台車連結部材片22a、22bの先端部の凹部22cが前記連結ピン15aから外れる。
これにより1つの運搬台車11aと他の運搬台車11bとの連結が外される。
【0042】
ところで、前記の通り、この発明に係る運搬台車11の連結は、直接的に運搬台車連結部材22と連結ピン15aとの連結で行われる。このため、これらの上部が開放されると、上方から商品や他の物が衝突したりして、これらが破損し、連結が困難になる場合がある。これを防止するため、例えば、
図5(a)(b)に示すように、運搬台車連結部材22が配される運搬台12の側面部の上部及び必要に応じて下部に、カバー用の鍔部材33aを設け、連結ピン15aが配される運搬台12の側面部の上部に、カバー用の鍔部材33bを設けることが好ましい。このとき、運搬台車連結部材22と連結ピン15aとの連結が妨げられないように、鍔部材33aと鍔部材33bとは、
図5(a)(b)に示すように、互いに衝突しない位置にずらして設けることが好ましい。
【0043】
また、この鍔部材33aと33bは、
図1に示すように、運搬台12の側面部の、連結受け部15、押圧段部16や、運搬台車連結部材22や連結部押し当て部材27のある部分の側面部上部に設けられるので、鍔部材33aと33bは、連結受け部15と運搬台車連結部材22とを連結するためのガイドの役割も果たすことができる。
【0044】
このような連結された運搬台車としては、
図6(a)に示すように、3台の運搬台車11a、11b、11cを直列に連結した例が挙げられる。
【0045】
次に、第2例について説明する。
第2例は、
図7〜
図8に示すように、一対の運搬台車連結部材片22a、22bが地面と平行な方向に配置され、前記連結受け部15が前記押圧段部16’に設けられ、連結受け部15として前記押圧部材16’に設けられた開口の開口部の周縁部15bを用いた場合である。
この場合の、運搬台車の連結機構及び離脱機構は、
図7〜
図9に示すように、前記の相違点を置き換えた以外は、第1例と同様の機構を有する。
なお、第1例は、一対の運搬台車連結部材片22a、22bが地面と直角の方向に配置され、一方、第2例は、一対の運搬台車連結部材片22a、22bが地面と平行な方向に配置されるが、これは、連結離脱機構21の配置を、一対の運搬台車連結部材片22a、22bを地面と直角の方向となるように配置するか、一対の運搬台車連結部材片22a、22bを地面と平行な方向となるように配置するかの違いに過ぎない。
【0046】
<運搬台車用把持部材>
次いで、本発明にかかる運搬台車用の把持部材について説明する。
図6(a)に示す運搬台車用把持部材32は、一列の支柱からなる、又は複数列の支柱を連結した支柱群からなる支柱部36の上部に把持部37を有する運搬台車用把持部材32からなる。この運搬台車用把持部材32の下部の底材には連結部として穴部を有する。
また、前記運搬台車11の前記連結受け部15が配された一方の側面部、及び前記運搬台車連結部材が配された他方の側面部の片方又は両方に穴部38が形成される。
そして、運搬台車用把持部材32の底材の穴部と運搬台車32の穴部38を合わせ、ピンからなる係止部材32aを差し込むことにより、両者を固定することができ、運搬台車11の一側面部又は両側面部に運搬台車用把持部材32を取り付けることができる。これにより、手押しがより容易な運搬台車とすることができる。
【0047】
この運搬台車用把持部材32を取り付けた運搬台車11aは、荷物を運んだ後、
図6(b)に示すように、それぞれの連結を解除し、運搬台車11aの上に他の運搬台車11b、第3の運搬台車11c等の複数の運搬台車11を順に重ねて載せて移動することができる。これにより、荷物を降ろした後、トラック等に戻る際に、運搬台車全体をコンパクト化することができ、移動が容易となる。
【0048】
また、把持部材としては、
図10(a)に示す運搬台車用把持部材41をあげることができる。これは、一列の支柱からなる、又は複数列の支柱を連結した支柱群からなる支柱部42の上部に把持部43を有する。複数列の支柱を連結した支柱群からなる支柱部42の場合、複数の支柱群を連結する連結部材も支柱部42に含まれる。
そして、前記支柱部42の下部に、前記運搬台車11に連結可能な連結部40を有する。この連結部40としては、前記の連結ピン15a及び押圧段部16や、開口周縁部15b及び押圧段部16’等の連結受け部15及び押圧段部16,16’の組み合わせがあげられる。
図10(a)においては、連結部40として、前記押圧段部16’に設けた前記開口周縁部15bを例示する。
【0049】
この開口周縁部15bは、前記運搬台車11の運搬台車連結部材22と連結させることにより、運搬台車用把持部材41と運搬台車11を連結させることができ、運搬台車11の手押しがより容易となる。このとき、スムーズに運搬台車用把持部材41と運搬台車11を連結させるために、
図11に示すように、運搬台車用把持部材41の支柱部42にガイドピン48を取り付け、このガイドピン48を挿入する穴部44を運搬台車11の運搬台車連結部材22が配された側面部に設ける。このガイドピン48を運搬台車11の穴部44に挿入し、次いで、運搬台車11又は運搬台車用把持部材41を回動することにより、運搬台車用把持部材41と運搬台車11を容易に連結させることができる。
【0050】
<把持部材付き移動用運搬台車>
また、この運搬台車用把持部材41は、
図12(a)(b)に示すように、その支柱部42、具体的には、支柱部42を構成する支柱、又は複数の支柱を連結する連結部材にベルトリール45を取り付ける。このベルトリール45は上向きにベルト46の取り出しができるように取り付けられており、その先端部には、ひっかけ部47を有する。また、ベルトリール45にストッパー機構を有するか、又は支柱部42にベルトを係止するストッパーを取り付ける。これにより、急なベルトの引き出しを防止することができる。
【0051】
このストッパーとしては、ローラーバックルの機構を有するストッパー71を例としてあげることができる。このストッパー71は、ベルトリール45の上方の支柱部42、すなわち、ベルトリール45からベルトが引き出される側の支柱部42に取り付けられる。
このストッパー71は、支柱部42に取り付けるためのストッパー本体72、ベルト46を係止するシャフト73、シャフト73を案内するシャフトガイド74、シャフト73を動かすためのシャフト用把手75、シャフト73を付勢する付勢材76から構成される。
【0052】
前記ストッパー本体72は、方形状はコの字状となっており、必要に応じて、ストッパー本体72を前記支柱部42に固定するための固定材を配する鍔部72aが設けられる。また、このストッパー本体72は、支柱部42に取り付けた際、上下の面は開放される。そして、このストッパー71の内部、特に支柱部42と対向するストッパー本体71の正面部近くをベルト46が通る。また、ストッパー本体71の両側面部に、その下方の辺、及び正面部側の辺に沿って折れ曲がったL字状の穴部であるシャフトガイド74が形成され、ストッパー本体71の両方の側面部のシャフトガイド74をシャフト73が渡される。さらに、シャフトガイド73の支柱側の端部は、少し上方に折れ曲がっており、ストッパーとして使用しないときのシャフト73の置き場として使用される。
【0053】
前記シャフト73のストッパー本体72より外方の部分には、シャフト用把手75が設けられている。このシャフト用把手75は、シャフト73の移動を行う把手部の役割を果たす。
また、前記シャフト73のストッパー本体72の正面部に配される部分は、ストッパーの役割を果たすため、必要に応じて、周面に凹凸を設けてもよい。
【0054】
前記ストッパー本体72のその側面より外方に出た前記シャフト73の両端部と、前記ストッパー本体72の鍔部72aの上縁部、又は支柱部42であって、前記ストッパー本体72の上縁部の位置に相当する部分との間に、前記シャフト73を引き上げるためのばね等の付勢材76をそれぞれ配する。
この付勢材76により、シャフトガイド74のL字状の部分のうち、ストッパー本体72の正面部の辺に沿った部分にシャフト73があるときは、上方への力がかかり、ベルト46を挟み込む状態が保持される。また、シャフト73がシャフト置き場にあるときは、上方への力がかかり、シャフト73がL字状のシャフトガイド74を勝手に移動してベルト46の移動を制御してしまうのを防止できる。
【0055】
次に、このストッパー71の機構について説明する。
まず、シャフト73をシャフトガイド74のシャフト置き場に移動させる。
次いで、ベルト46を引き出し、前記運搬台車用把持部材41の上端を経由して、前記運搬台車11のうち、前記運搬台車用把持部材41から最も離れた運搬台車11にベルト46の先端の引っかけ部47を引っかける。これにより、荷物や重ねた運搬台車11に、ベルト46を渡すことができる。
次いで、シャフトガイド74のL字状の部分のうち、ストッパー本体72の正面部の辺に沿った部分にシャフト73を移動させる。すると、ベルト46は、ストッパー本体72の正面部とシャフト73とに挟まれる。このとき、付勢材76により、シャフト73は上方への力がかかっており、ベルト46をストッパー本体72の正面部とシャフト73によって挟み込む状態が保持される。
このとき、ベルト46が緩む方向、すなわち、上方に移動しようとすると、シャフト73は、L字状の先端方向にさらに移動する力が加えられることとなり、ベルト46は挟まれた状態を解消できないため、移動が困難となる。
一方、ベルト46をより締めるため、ベルト46が締まる方向、すなわち、下方に移動しようとすると、シャフト73は、L字状の折れ曲がり部の方向に移動することとなり、ベルト46は挟まれた状態を一時的に解消することが可能となり、移動が容易となる。
このため、いったん締め付けられたベルト46が自然と緩むことが防止される。
次に、ベルト46を外す場合は、シャフト73をシャフトガイド74のシャフト置き場に移動させる。これにより、ベルト46は移動自在となり、ベルト46を緩めることができ、ベルト46を荷物や重ねた運搬台車11から外すことができる。
【0056】
図12(a)に示すように、前記の運搬台車用把持部材41に前記運搬台車11aを連結し、また、必要に応じて、数台の運搬台車11(
図12(a)においては、運搬台車11b、11c)を直列に連結する。これにより、把持部材付き移動用運搬台車が形成される。
そして、運搬台車の上に荷物49を載せる。そして、前記ベルトリール45からベルト46を引き出し、前記運搬台車用把持部材41の上端を経由して、前記運搬台車11のうち、前記運搬台車用把持部材41から最も離れた運搬台車11(
図12(a)においては、運搬台車11c)の連結受け部15が配された側面部側の上面部に、ベルト受け部50を設け、このベルト受け部50に前記引っかけ部47を引っかける。そして、ストッパーを稼働させ、ベルトを引きながら、ベルトが緊張するように張る。これにより、載せられた荷物49のずれや脱落を抑制することができ、把持部材付き移動用運搬台車として使用することができる。このベルト受け部50としては、
図8や
図12(a)に示すように、複数の開口部を開けてできる開口部の周縁部をベルト受け部50として用いることができる。これを用いると、引っかけ部47を1つの開口部に通し、他の開口部から引っかけ部の先端を上に出すことにより、ベルト受け部50に引っかけ部47を引っかけることができる。
【0057】
また、
図12(b)に示すように、前記の運搬台車用把持部材41に前記1つの運搬台車11aが連結され、この取り付けられた1つの運搬台車11aの上に、数台の運搬台車11(
図12(b)においては、運搬台車11b、11c)を順に載せる。これにより、荷物を降ろした後、トラック等に戻る際に、運搬台車全体をコンパクト化することができ、移動が容易となる。
このとき、前記した場合と同様にして、ベルトリール45からベルトを引き出し、前記運搬台車用把持部材41の上端を経由して、前記運搬台車用把持部材41に連結された前記運搬台車11aのいずれかの箇所に前記引っかけ部47を引っかけ、ベルト46を張る。これにより、載せられた運搬台車11のずれや脱落を抑制することができる。
なお、このとき、引っかけ部47をベルト受け部50に引っかけないのは、
図12(b)から明らかなように、一番下になる運搬台車11aのベルト受け部50は、1つ上の運搬台車11bが載るためである。
【0058】
<運搬台車用ガイド車>
次に、前記運搬台車用把持部材41を連結した運搬台車11の側面と対向する側面に連結される運搬台車用ガイド車51について
図14(a)〜(d)を用いて説明する。
この運搬台車用ガイド車51は、台部52とこの台部52の下面部に設けられた、タイヤ53が連結されたシャフト61とを具備する。
そして、台部52の一方の側面部に、前記の運搬台車連結部材22が配される。また、台部52の当該一方の側面部の両端部にそれぞれ支柱が設けられてガイド部54を形成する。このガイド部54には、必要に応じて、支え材55を配してもよい。このガイド部54は、前記運搬台車用把持部材32、41の支柱部36、42と運搬台車用ガイド車51のガイド部54によって、運搬台車11上に載せた荷物がずれるのを防止でき、このガイド部54の方向に荷物が落ちるのを防止できる。
【0059】
この運搬台車用ガイド車51の運搬台車連結部材22に、運搬台車11の連結受け部15を着脱自在に連結できる。この運搬台車連結部材22は、
図10(b)、
図14(a)に示すように、前記台部52の下面部に配された連結離脱機構の一部である。
この連結離脱機構は、前記運搬台車11の連結受け部15との着脱が自在となる前記運搬台車連結部材22、この運搬台車連結部材22の回動を補助する第1連結部材23からなる連結機構と、前記連結機構に加え、前記台部52の下面部に配された足踏み部材56、この足踏み部材56に回動自在に取り付けられた第2連結部材24’、この第2連結部材24’に取り付けられた軸方向の移動が可能な軸部材25aからなる離脱機構から構成される。
そして、前記足踏み部材56の端部である足踏み部56aは、運搬台車連結部材22が配される台部51の一方の側面部と対向する側面部近傍の台部52の上面部に設けられる。
したがって、足踏み部材56、第2連結部材24’、軸部材25a以外は、前記運搬台車11の各機構と同様である。このため、運搬台車用ガイド車51の運搬台車連結部材22の連結は、前記の運搬台車11の連結と同様の方法で行うことができる。
【0060】
そして、前記の足踏み部材56、第2連結部材24’、軸部材25aは、
図14(b)に示すように、前記の足踏み部材56は屈曲部を有する軸部材25aと回動自在とする回動支点からなる第2連結部材24’を用いて回動自在の連結部を構成する。
なお、軸部材25aが屈曲部を有するのは、
図14(b)に示すように、タイヤ53と連結するシャフト61、及びこのシャフト61を回転自在に支持するシャフト支持管62との接触を回避するためである。
【0061】
運搬台車用ガイド車51が運搬台車11と連結されているとき、運搬台車11が連結されている台部52の側面と対向する側面の方向に向いた足踏み部56aを踏む。すると、屈曲部を有する足踏み部材56の屈曲部である支点56bを中心に回動する。すると、足踏み部材56の先端部で連結された第2連結部材24’は運搬台車11が連結されている方向に移動する。そして、この第2連結部材24’に連結された軸部材25aは、運搬台車11が連結されている方向に移動し、第1連結部材23を押す。そして、前記した運搬台車11の第1連結部材23と同様の動きをして、運搬台車用ガイド車51の運搬台車連結部材22が運搬台車11の連結受け部15から外れ、連結されていた運搬台車用ガイド車51と運搬台車11とを外すことができる。
【0062】
また、この運搬台車用ガイド車51は、タイヤ53が前記運搬台車11のキャスター13より大きな径のものが用いられる。このため、1台又は連結された複数台の前記運搬台車11を前記運搬台車用ガイド車51に連結し、荷物を載せて運ぶ際、運搬台車11の移動がぶれずに安定して目的方向に移動することができる。
【0063】
このとき、運搬台車用ガイド車51のタイヤ53は前記運搬台車11のキャスター13より径が大きいため、両者を連結するとき、高さが異なり、連結が困難となる。この問題を解消するため、運搬台車用ガイド車51のタイヤ53を上下動させることにより、前記運搬台車用ガイド車51と前記運搬台車11との連結を容易とすることとした。次に、運搬台車用ガイド車51のタイヤ53を上下動させる機構について、
図14(a)〜(d)を用いて説明する。
【0064】
まず、前記タイヤ53を連結するシャフト61を前記台部52下部でシャフト支持管62で回転自在に保持する。
このシャフト支持管62は、上下に貫通した穴を有し、この穴に付勢材押圧管63が上下動自在に配されると共に、この付勢材押圧管63と前記台部52の下面部との間に、バネ等の付勢材64が配される。
そして、前記シャフト61は、前記シャフト支持管62及び前記付勢材押圧管63の中に配される。
前記シャフト支持管62は、後記する機構により、シャフト61を引き上げる役目を有し、前記付勢材押圧管63は、付勢材64によってシャフト61を下方に押す役目を有する。このため、この付勢材押圧管63の下面は開放されてもよい。
【0065】
また、前記台部52の上面部に円周部を有するカム65が配される。このカム65は、円周方向に回動自在となるカム軸66を有し、このカム軸66は、カム65の円周部の中心からずれた位置に配される。
そして、前記カム軸66は、シャフト支持管62に連結されたシャフト引き上げ部材67に連通される。このため、カム軸66が上下動すると、それに合わせて、シャフト引き上げ部材67も上下動する。
【0066】
次に、シャフト61及びタイヤ53の上下動について、
図14(b)と
図14(d)を用いて説明する。
まず、
図14(d)は、シャフトが引き下げられた状態にある。この状態で、前記カム65を回動させ、カム軸66を上方に引き上げる。これに伴って、シャフト引き上げ部材67が引き上げられると共に、シャフト支持管62が引き上げられる。このため、前記シャフト61及びタイヤが引き上げられ、
図14(b)の状態となる。
このとき、地面と運搬台車連結部材22との距離を、運搬台車11の地面と運搬台車連結部材22との距離と合わせることにより、運搬台車11と、運搬台車用ガイド車51の連結を容易にすることができる。
【0067】
また、
図14(b)の状態において、前記カム65の回動を元に戻す。これにより、カム軸66が下方に下げられる。このため、シャフト61が下方に下げられることとなり、シャフト支持管62の上昇により、圧縮されていた付勢材64は、その付勢が開放され、この付勢材64の付勢力によって、付勢材押圧管62を下方に押し下げる。これにより、前記シャフト61及びタイヤ53を下方に押し下げ、
図14(d)の状態となる。
このようにして、タイヤの位置を上下動させることが可能となる。
なお、前記カム65は、その回動を制御するため、カム係止部材68を設けてもよい。
【0068】
ところで、タイヤの位置を下げてあるのは、荷物搬送後、運搬台車11を外した運搬台車用ガイド車51をトラック等に持ち帰る際、運搬台車用ガイド車51の台部と地面との距離があったほうが、段差の対応等を行いやすく、移動が容易となるからである。
【0069】
前記の運搬台車用ガイド車51は、
図12(a)(b)に示す把持部材付き移動用運搬台車の、運搬台車用前記把持部材41が取り付けられた運搬台車11と反対側の運搬台車11に取り付けることができる。このようにすることにより、載せられた荷物49や運搬台車11のずれや脱落を抑制することができると共に、安定して目的方向に移動することが可能となる。