(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-52019(P2019-52019A)
(43)【公開日】2019年4月4日
(54)【発明の名称】コイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/22 20060101AFI20190308BHJP
【FI】
B66C13/22 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-177058(P2017-177058)
(22)【出願日】2017年9月14日
(71)【出願人】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】古賀 久之
(72)【発明者】
【氏名】岸本 至康
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204BA05
3F204CA01
3F204DA03
3F204DA08
3F204DB02
3F204DB04
3F204DB06
3F204DB08
3F204DB10
3F204DC06
3F204DD01
(57)【要約】
【課題】自動クレーンの運行時間に与える影響が少なく迅速に、かつ経済的な方法でコイルの配置位置を検出し、コイルの掴み位置に自動クレーンが自動位置決めを行う自動クレーンシステムを提供すること。
【解決手段】コイルCOの大凡の所在位置に自動クレーンCRが到達する前の自動クレーンCRの移動中に、自動クレーンCRに具備された広域距離センサMSにより、コイルCOと自動クレーンCRとの相関距離とコイルCOの形状を計測し、広域距離センサMSで測定した時の自動クレーンCRの位置と、広域距離センサMSの測定結果とを照合することで、コイルCOの所在位置を認識し、当初の大凡のコイルCOの所在位置の目標地点を、広域距離センサMSにより測定された結果に基づくコイルCOの所在位置に書き換えて自動クレーンCRの移動目標位置とし、該移動目標位置まで自動クレーンCRを自動移動させて停止するようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル運搬トレーラ台車が、停車位置の目印に合わせて大凡の位置に配置されている状態にあって、コイル運搬トレーラ台車の大凡の停車位置と、上位コンピュータからのコイル運搬トレーラ台車上のコイルの積載位置の情報に基づいて、コイルの大凡の所在位置を決定し、該コイルの大凡の所在位置を目標地点として自動クレーンを自動移動させ、コイルの大凡の所在位置に自動クレーンが到達する前の自動クレーンの移動中に、自動クレーンに具備された広域距離センサにより、コイルと自動クレーンとの相関距離とコイルの形状を計測し、広域距離センサで測定した時の自動クレーンの位置と、広域距離センサの測定結果とを照合することで、コイルの所在位置を認識し、当初の大凡のコイルの所在位置の目標地点を、広域距離センサにより測定された結果に基づくコイルの所在位置に書き換えて自動クレーンの移動目標位置とし、該移動目標位置まで自動クレーンを自動移動させて停止するようにすることを特徴とするコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法。
【請求項2】
広域距離センサにより測定した結果、コイルが斜めに置かれていると測定された時に、コイルリフタの上部の旋回装置で、コイルの斜めの角度にコイルリフタの角度を合わせることを特徴とする請求項1に記載のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法。
【請求項3】
コイルの中央の穴にコイルリフタの爪部の位置を合わせた時に、コイルリフタの爪部の四隅の外側に取り付けた通光センサの何れかの通光がなかった場合、通光があるセンサの方向に自動クレーンを移動させ、4組の通光センサのすべてが通光したことで、コイルリフタでコイルを掴む位置に到達したと判断することを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、製鉄所で稼働するコイル運搬用自動クレーンにおいて、コイル運搬トレーラ台車に搭載されて搬入されたコイルのコイル把持位置に自動クレーンを自動移動させて位置決めする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製鉄所において、コイルの運搬作業を行う建屋天井に設置された天井クレーンを自動制御するためには、最初に当該建屋内に持ち込まれたコイルの配置位置と形状を検出する必要がある。
【0003】
この建屋内に最初に持ち込まれたコイルの設置場所を検出する方法として、例えば、特許文献1には、天井クレーンのガーダに設けたレーザ距離計をコイル運搬トレーラ台車上に載置したコイルを横切るように相対移動させ、この間のレーザ距離計の連続した出力データよりコイル位置と大きさを測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−323809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、コイルの位置と形状の検出を行ってからクレーンの自動運転を行っていたので、クレーンの自動運行時間とは別にコイル位置の検出に時間を要するため、自動クレーンの運行時間が長くなり、コイル自動運搬処理能力に影響を与えたり、設備が大掛かりとなり、設備費が高価になる問題があった。
【0006】
そして、この理由から、クレーン手動操作のコイル運搬に比べて自動クレーンの処理能力が劣るため、コイル運搬のクレーンの自動化が進まなかった。
【0007】
本発明は、自動クレーンの運行時間に与える影響が少なく迅速に、かつ経済的な方法でコイルの配置位置を検出し、コイルの掴み位置に自動クレーンが自動位置決めを行う自動クレーンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法は、コイル運搬トレーラ台車が、停車位置の目印に合わせて大凡の位置に配置されている状態にあって、コイル運搬トレーラ台車の大凡の停車位置と、上位コンピュータからのコイル運搬トレーラ台車上のコイルの積載位置の情報に基づいて、コイルの大凡の所在位置を決定し、該コイルの大凡の所在位置を目標地点として自動クレーンを自動移動させ、コイルの大凡の所在位置に自動クレーンが到達する前の自動クレーンの移動中に、自動クレーンに具備された広域距離センサにより、コイルと自動クレーンとの相関距離とコイルの形状を計測し、広域距離センサで測定した時の自動クレーンの位置と、広域距離センサの測定結果とを照合することで、コイルの所在位置を認識し、当初の大凡のコイルの所在位置の目標地点を、広域距離センサにより測定された結果に基づくコイルの所在位置に書き換えて自動クレーンの移動目標位置とし、該移動目標位置まで自動クレーンを自動移動させて停止するようにすることを特徴とする。
【0009】
この場合において、広域距離センサにより測定した結果、コイルが斜めに置かれていると測定された時に、コイルリフタの上部の旋回装置で、コイルの斜めの角度にコイルリフタの角度を合わせるようにすることができる。
【0010】
また、コイルの中央の穴にコイルリフタの爪部の位置を合わせた時に、コイルリフタの爪部の四隅の外側に取り付けた通光センサの何れかの通光がなかった場合、通光があるセンサの方向に自動クレーンを移動させ、4組の通光センサのすべてが通光したことで、コイルリフタでコイルを掴む位置に到達したと判断するようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法によれば、建屋内に、コイル搬送トレーラの台車に載せられて建屋内に持ち込まれたコイルの位置と形状をクレーンの自動運行を行いながら検出することで、その検出時間が、自動クレーンの自動運行時間に影響なくコイル位置と形状の検出を行い、コイルの自動クレーンによる運行時間を短縮することができる。
コイル運搬トレーラ台車に積載されて持ち込まれたコイルを自動クレーンで把持するのに当たり、トレーラ台車の停車位置の目印に大凡合わせてトレーラが置かれた情報と、トレーラ台車上のどの位置にコイルが置かれているかを前工程のコンピュータの記憶から情報を受け、大凡のコイル把持位置を自動クレーンに移動目標位置として設定し、自動クレーンを自動移動させる。自動クレーンの移動方向前方のクレーン先端に広域距離センサが取り付けてあり、自動クレーンが大凡のコイル把持位置に向けて自動移動している最中に広域距離センサによりコイルの位置計測を行う。広域距離センサによるコイルの位置計測が完了すると、自動移動中の目標値である大凡のコイル把持位置のデータを広域距離センサで計測した結果に基づくコイル把持位置に書き換える。これで自動クレーンを連続移動させながら、広域距離センサの計測結果に基づくコイル把持位置に移動が可能となり、コイル位置検出の時間ロスなく自動運転ができる。
この時、広域距離センサによる測定結果にコイル配置の傾斜が計測された場合は、コイルリフタ上部の旋回装置で、測定されたコイルの傾斜角とコイルリフタの角度を合わせる。
広域距離センサでのコイル測定を、定点停止測定ではなく、移動測定とすることにより生じた測定誤差は、コイルリフタをコイル穴に位置合わせを行う時に、コイルリフタ爪部の4隅に取り付けた4組の通光センサのすべてが通光するように、つまり4組の通光センサの何れかが遮光していた場合は通光している方向に自動クレーンを微移動させることによりコイル把持位置の微調整を行い、コイルリフタを閉じて、コイルの把持を行う。
これら一連の動作により、コイル位置測定のロス時間なく確実なコイル把持位置決めを行うコイル運搬用自動クレーンを提供することができる。
また、人が運転する手動運転クレーンによるコイル運搬作業と比べて劣っていた自動クレーンの運搬処理能力と設備費の経済性を改善することにより、クレーンによるコイル運搬作業の自動化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法を適用するコイル運搬用自動クレーンの全体図である。
【
図3】同コイル傾斜角度の修正方法の説明図である。
【
図5】本発明のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜
図5に、本発明のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持方法の一実施例を示す。
【0015】
例えば、製鉄所のコイル自動運搬において、コイルが置かれている位置は、自動クレーン等の自動設備で置かれたものなので、そのコイルの大きさやコイルの配置位置がコンピュータに記録されているコイル設置時のデータを元に自動クレーンが自動でコイルを掴みに行くことができる。
一方、最初にその自動運搬エリアに、コイル運搬トレーラ台車CCでトレーラの運転士が持ち込んだトレーラ台車上のコイルCOは、何らかの方法でコイルの配置位置を特定しないと自動クレーンを用いて自動でコイル把持をすることができない。
本発明は、最初にコイル運搬トレーラ台車で持ち込まれたコイルの位置を効率良く認識し、自動クレーンの自動運行時間を短縮することができるようにしたものである。
【0016】
先ず、コイル運搬トレーラ台車の運転手は、トレーラ停車位置の白線枠等のトレーラ台車停車位置目印PMを目標に大凡の位置にトレーラ台車を停車するようにする(
図5のF01)。
【0017】
コイル運搬トレーラ台車CC上に置かれたコイルCOは、前工程で置かれたものなので、トレーラ台車CC上のどの位置に、どの大きさのコイルCOが置かれているかは、前工程のコンピュータが記憶するようにしている。
【0018】
前記の前工程のコンピュータが記憶している、トレーラ台車CC上のコイルCOの置かれている位置と大きさの記憶と、トレーラ台車停車位置目印PMの大凡の位置にコイル運搬トレーラ台車CCが配置されたという情報に基づいて、コイルCOがある大凡の位置を自動クレーンの大凡の移動目標位置として設定すると(
図5のF02、F03)、大凡の暫定移動目標位置に向けて、自動クレーンCRが自動移動を始める(
図5のF04)。
【0019】
図1に示すとおり、自動クレーンCRには、トレーラ台車停車位置目印PMへ向かう進行方向TFの前方側に広域距離センサMSが配置されている。
トレーラ台車停車位置目印PMが自動クレーンCRの移動範囲の端側にある場合は、広域距離センサMSは、自動クレーンCRの進行方向TFの前方となる片側のみに配置され、トレーラ台車停車位置目印PMが、自動クレーンCRの移動範囲の両側にあったり、自動クレーンCRの移動範囲の中央にある場合は、自動クレーンCRの進行方向TFの前方となる方向が両側になるので、自動クレーンCRの両側の2か所に広域距離センサMSが配置されている。
【0020】
図2に示すとおり、大凡の暫定移動目標位置に、自動クレーンCRが近づいてくると、自動クレーンCRの進行方向TFの前方側に設けられた広域距離センサMSの測定範囲にコイルCOが入ってくる。
この時、
図2に示すとおり、自動クレーンCRの桁方向(横行方向)に広範囲に測定できる広域距離センサMSを用いて、クレーンが走行移動しながら広域距離センサMSで多点測定し、各々多点測定した各点のクレーンが居た位置と突き合わせることで、広範囲で三次元での広域距離センサMSの測定結果を得ることができる。
【0021】
広域距離センサMSは、
図2に示すとおり、クレーンの巻上げ装置の中心位置から、進行方向TF方向前方に寸法Bの位置に取り付けられている。
広域距離センサMSがコイルCOをコイルCO上から走査し、コイルCOを通過してコイルCOを走査し終わった時に、寸法BからコイルCO幅寸法の半分の寸法Aを減算した寸法αだけコイル掴み点より走行手前の位置に自動クレーンCRの位置があり、残りの移動距離である寸法αを移動する間に、この時点での移動目標位置である大凡の暫定移動目標位置から広域距離センサMSによるコイルの測定結果に基づく位置に自動クレーンCRの移動目標位置を変更し、その移動目標位置に自動クレーンCRを自動位置決め停止させる。
この寸法αが、短すぎるとクレーンが位置決め時にオーバーランしてしまい、自動運行時間のロスタイムが発生してしまうので、オーバーランが発生しないように寸法αを適切に設定する。
自動クレーンCRが取り扱うコイルCOの最大寸法は決まっているので、最大幅寸法のA寸法と前記の適切な寸法αを加算した寸法Bの位置に広域距離センサMSを設置する。これにより、オーバーランがなく、かつ自動運行中に広域距離センサMSによるコイルCOの形状、寸法測定を完了させることができるので、自動運行時間にコイルの形状、寸法測定時間が影響を与えないシステムを作ることができる。
【0022】
トレーラ台車CCは、手動で停車されたものなので、
図3に示すとおり、斜めに配置されている場合がある。前記の広域距離センサMSで測定した結果で、コイルCOが斜めに配置されていることが検出された場合は、コイルリフタCLの上部に設けられた旋回装置SLを微動させ、コイルCOの角度とコイルリフタCLの角度を合わせる(
図5のF07)。この角度修正工程も、前記の寸法αを移動中に終了させることで、自動運行時間の時間ロスをなくしたクレーン自動運転ができる。
【0023】
クレーンの横行、走行、旋回の位置合わせが終わると、コイルCOの頂高部CTの真下にコイル中央の穴があるものと想定し、コイルリフタCLの爪部CLNをコイルCOの中央部の穴に合わせるように巻下げを行う(
図5のF08、F09)。
【0024】
ここで、広域距離センサMSによる測定が、定点停止測定ではなく、クレーン移動中に測定しているため、これによる測定誤差が生じる場合がある。この誤差は、
図4に示したコイルリフタCLの爪部CLNに設けた通光センサにより位置補正を行う。
【0025】
図4に示すとおり、コイルリフタCLの爪部CLNの4隅の外側には4組の通光センサPX1〜4、PR1〜4が配置されている。広域距離センサMSの検出値で設定した目標位置にコイルリフタCLの爪部CLNを合わせても、広域距離センサの検出誤差等の要因による位置ずれで、4組の通光センサPX1〜4、PR1〜4の何れかの通光線PXが通光しない場合は、通光のあるセンサの方向(
図4に示す例では、通光センサPX3、PR3の方向)に自動クレーンCRを自動移動させることで、4個の通光センサすべてが通光する状態になる(
図5のF10)。4個の通光センサが通光したところで、コイルリフタCLの爪部CLNを閉じ(
図5のF11)、コイルCOを自動把持することができ、コイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置決めが完了する。
【0026】
以上、本発明のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
オートメーション化された製鉄所等のコイル運搬作業場においては、コイルの位置はコンピュータで管理されているが、人が運転して持ち込まれたトレーラ台車上のコイルの位置だけは、何らかの方法で位置検出を行わないと自動運転のクレーンでコイルを把持することができない。コイルの位置検出を自動クレーンを動かしながら、時間ロスをなくして検出しコイルを把持することができ、本発明は、コイル運搬用クレーンの自動化を行う上で極めて重要である。
【符号の説明】
【0028】
CR 自動クレーン
MS 広域距離センサ
CO コイル
CC トレーラ台車
PM トレーラ台車停車位置目印
CL コイルリフタ
SL 旋回装置
TF 自動クレーンの進行方向
SC 広域距離センサ走査線
A 1/2コイル幅寸法
B 広域距離センサの取付位置寸法
α 移動距離の寸法
CT コイル頂高部
CLN コイルリフタの爪部
PX 通光センサの通光線
PX1 通光センサ発光側(左上)
PX2 通光センサ発光側(右下)
PX3 通光センサ発光側(左下)
PX4 通光センサ発光側(右下)
PR1 通光センサ受光側(左上)
PR2 通光センサ受光側(右下)
PR3 通光センサ受光側(左下)
PR4 通光センサ受光側(右下)
【手続補正書】
【提出日】2018年4月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
この場合において、広域距離センサにより測定した結果、コイルが斜めに置かれていると測定された時に、コイルリフタの上部の旋回装置で、コイルの斜めの角度にコイルリフタの角度を合わせるようにすることができる。
また、広域距離センサにより測定された結果に基づいてコイルの頂高部を特定し、該コイルの頂高部の真下にコイル中央の穴があるものと想定し、当該想定した穴の位置にコイルリフタの爪部を合わせるようにすることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法によれば、建屋内に、コイル搬送トレーラの台車に載せられて建屋内に持ち込まれたコイルの位置と形状をクレーンの自動運行を行いながら検出することで、その検出時間が、自動クレーンの自動運行時間に影響なくコイル位置と形状の検出を行い、コイルの自動クレーンによる運行時間を短縮することができる。
コイル運搬トレーラ台車に積載されて持ち込まれたコイルを自動クレーンで把持するのに当たり、トレーラ台車の停車位置の目印に大凡合わせてトレーラが置かれた情報と、トレーラ台車上のどの位置にコイルが置かれているかを前工程のコンピュータの記憶から情報を受け、大凡のコイル把持位置を自動クレーンに移動目標位置として設定し、自動クレーンを自動移動させる。自動クレーンの移動方向前方のクレーン先端に広域距離センサが取り付けてあり、自動クレーンが大凡のコイル把持位置に向けて自動移動している最中に広域距離センサによりコイルの位置計測を行う。広域距離センサによるコイルの位置計測が完了すると、自動移動中の目標値である大凡のコイル把持位置のデータを広域距離センサで計測した結果に基づくコイル把持位置に書き換える。これで自動クレーンを連続移動させながら、広域距離センサの計測結果に基づくコイル把持位置に移動が可能となり、コイル位置検出の時間ロスなく自動運転ができる。
この時、広域距離センサによる測定結果にコイル配置の傾斜が計測された場合は、コイルリフタ上部の旋回装置で、測定されたコイルの傾斜角とコイルリフタの角度を合わせる。
また、広域距離センサにより測定された結果に基づいてコイルの頂高部を特定し、該コイルの頂高部の真下にコイル中央の穴があるものと想定し、当該想定した穴の位置にコイルリフタの爪部を合わせるようにすることで、コイルリフタの爪部をコイルの中央部の穴に位置合わせすることができる。
広域距離センサでのコイル測定を、定点停止測定ではなく、移動測定とすることにより生じた測定誤差は、コイルリフタをコイル穴に位置合わせを行う時に、コイルリフタ爪部の4隅に取り付けた4組の通光センサのすべてが通光するように、つまり4組の通光センサの何れかが遮光していた場合は通光している方向に自動クレーンを微移動させることによりコイル把持位置の微調整を行い、コイルリフタを閉じて、コイルの把持を行う。
これら一連の動作により、コイル位置測定のロス時間なく確実なコイル把持位置決めを行うコイル運搬用自動クレーンを提供することができる。
また、人が運転する手動運転クレーンによるコイル運搬作業と比べて劣っていた自動クレーンの運搬処理能力と設備費の経済性を改善することにより、クレーンによるコイル運搬作業の自動化を促進することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル運搬トレーラ台車が、停車位置の目印に合わせて大凡の位置に配置されている状態にあって、コイル運搬トレーラ台車の大凡の停車位置と、上位コンピュータからのコイル運搬トレーラ台車上のコイルの積載位置の情報に基づいて、コイルの大凡の所在位置を決定し、該コイルの大凡の所在位置を目標地点として自動クレーンを自動移動させ、コイルの大凡の所在位置に自動クレーンが到達する前の自動クレーンの移動中に、自動クレーンに具備された広域距離センサにより、コイルと自動クレーンとの相関距離とコイルの形状を計測し、広域距離センサで測定した時の自動クレーンの位置と、広域距離センサの測定結果とを照合することで、コイルの所在位置を認識し、当初の大凡のコイルの所在位置の目標地点を、広域距離センサにより測定された結果に基づくコイルの所在位置に書き換えて自動クレーンの移動目標位置とし、該移動目標位置まで自動クレーンを自動移動させて停止するようにすることを特徴とするコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法。
【請求項2】
広域距離センサにより測定した結果、コイルが斜めに置かれていると測定された時に、コイルリフタの上部の旋回装置で、コイルの斜めの角度にコイルリフタの角度を合わせることを特徴とする請求項1に記載のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法。
【請求項3】
広域距離センサにより測定された結果に基づいてコイルの頂高部を特定し、該コイルの頂高部の真下にコイル中央の穴があるものと想定し、当該想定した穴の位置にコイルリフタの爪部を合わせるようにすることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法。
【請求項4】
コイルの中央の穴にコイルリフタの爪部の位置を合わせた時に、コイルリフタの爪部の四隅の外側に取り付けた通光センサの何れかの通光がなかった場合、通光があるセンサの方向に自動クレーンを移動させ、4組の通光センサのすべてが通光したことで、コイルリフタでコイルを掴む位置に到達したと判断することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のコイル運搬用自動クレーンのコイル把持位置の位置決め方法。