【解決手段】本実施形態に係る情報処理装置は、例えばキーボードユニットに対してタブレット端末を回転可能に支持すると共に着脱可能に連結するヒンジ装置20を備える。ヒンジ装置20は、キーボードユニットに固定されたベース部材31と、ベース部材31に回転可能に支持された回転部材33と、回転部材33に一体に形成され、タブレット端末のガイド穴に挿入されるガイドピン45とを有する。
前記回転部材は、前記スライド部が前記第一位置にスライドした状態において前記スライド部のスライド方向の一端部と対向する位置に形成された第一対向部と、前記スライド部が前記第二位置にスライドした状態において前記スライド部のスライド方向の他端部と対向する位置に形成された第二対向部とを有する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の開示する技術の一実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の斜視図であって、タブレット端末12をキーボードユニット13に対して開方向に90度回転した状態を示す図である。また、
図2は、
図1に示される情報処理装置10において、タブレット端末12を接続ユニット14から離脱させた状態を示す斜視図である。
【0012】
なお、各図において、矢印+Lは、情報処理装置10の前後方向前側を示し、矢印−Lは、情報処理装置10の前後方向後側を示している。また、矢印+Wは、情報処理装置10の幅方向一方側(右側)を示し、矢印−Wは、情報処理装置10の幅方向他方側(左側)を示している。さらに、矢印+Hは、情報処理装置10の高さ方向上側を示し、矢印−Hは、情報処理装置10の高さ方向下側を示している。
【0013】
以降、情報処理装置10の前後方向、幅方向、高さ方向を、それぞれ矢印L方向、矢印W方向、矢印H方向と称する。
【0014】
図1、
図2に示されるように、情報処理装置10は、キーボード装置11及びタブレット端末12を備える。また、キーボード装置11は、キーボードユニット13及び接続ユニット14を有する。キーボードユニット13及びタブレット端末12は、それぞれ平面視で長方形の平盤状を成している。
【0015】
キーボードユニット13は、「第一装置」の一例である。キーボードユニット13の表面部には、キーボード部15及びタッチパッド部16などの入力部が設けられている。接続ユニット14は、矢印W方向に沿って延びる長尺状に形成されている。この接続ユニット14は、左右一対のヒンジ部HL、HRを介してキーボードユニット13の表面後端部に回転可能に支持されている。左右一対のヒンジ部HL、HRの回転軸の軸方向は、矢印W方向に設定されており、接続ユニット14は、矢印W方向周りに回転する。
【0016】
タブレット端末12は、「第二装置」の一例である。タブレット端末12の表面部には、例えば、タッチパネルなどのインターフェース部17が設けられている。タブレット端末12は、
図1に示される如く接続ユニット14に接続された状態と、
図2に示される如く接続ユニット14から離脱した状態とを取り得るようになっている。タブレット端末12が接続ユニット14に接続されると、タブレット端末12及びキーボードユニット13は、互いに情報(信号)を送受可能な状態となる。
【0017】
また、タブレット端末12は、
図1に示される如く接続ユニット14に接続された状態では、左右一対のヒンジ部HL、HR及び接続ユニット14を介してキーボードユニット13に回転可能に支持される。
図1では、タブレット端末12がキーボードユニット13に対して開方向に90度回転された状態が示されている。このタブレット端末12は、キーボードユニット13と重なる位置までキーボードユニット13に対して閉方向に回転する。
【0018】
図3は、
図2に示されるキーボード装置11の斜視図であり、
図4は、
図3に示される右側のヒンジ部HRの周辺の拡大図である。
図3、
図4に示されるように、キーボード装置11には、後に詳述する左右一対のガイドピン45と左右一対のフック61が設けられている。
【0019】
タブレット端末12(
図2参照)が接続ユニット14から離脱された状態において、左右一対のガイドピン45と左右一対のフック61とは、接続ユニット14におけるタブレット端末12との接続部から突出する。後に詳述するように、タブレット端末12(
図2参照)は、左右一対のガイドピン45により、接続ユニット14に対して位置決めされ、左右一対のフック61により接続ユニット14に固定される。
【0020】
図5は、
図4に示される右側のヒンジ部HRに適用されるヒンジ装置20を前方上側から見た斜視図である。
図5に示されるように、ヒンジ装置20は、一例として、ヒンジ機構30及びフック部60を有する。以下、ヒンジ機構30及びフック部60を順に説明する。
【0021】
図6は、
図5に示されるヒンジ機構30を前方上側から見た斜視図であり、
図7は、
図6に示されるヒンジ機構30を後方上側から見た斜視図である。
図6、
図7に示されるように、ヒンジ機構30は、ベース部材31と、回転ダンパ機構32と、回転部材33とを有する。
【0022】
ベース部材31は、本体部35及び立壁部36を有する。本体部35は、例えば、上述のキーボードユニット13(
図3等参照)に設けられた筐体の底壁部に固定される。本体部35は、矢印H方向を板厚方向とする板状に形成されている。立壁部36は、本体部35における矢印W方向の他方側の端部から上側に向けて延びており、矢印W方向を板厚方向とする板状に形成されている。本体部35及び立壁部36は、正面視でL字状を成している。
【0023】
回転ダンパ機構32は、立壁部36の上部に設けられている。回転ダンパ機構32は、ボルト38、固定部39、複数のスラストワッシャ40、及び、取付部41を有する。固定部39は、立壁部36に固定され、ボルト38の軸部は、矢印W方向の一方側へ延びており、固定部39及び立壁部36を貫通している。
【0024】
複数のスラストワッシャ40は、ボルト38の頭部と固定部39との間に設けられている。取付部41は、矢印W方向に沿って延びる板状に形成されており、ボルト38の軸部の先端部に設けられている。この回転ダンパ機構32の軸方向は、矢印W方向に設定されている。
【0025】
回転部材33は、接続部43と、支持部44と、ガイドピン45を有する。接続部43は、矢印W方向に沿って延びる板状に形成されている。この接続部43には、取付部41が重ね合わされた状態で固定されている。接続部43が取付部41に固定されることにより、回転部材33は、ベース部材31に回転可能(傾動可能)に支持されている。
【0026】
支持部44は、接続部43における取付部41との固定部と反対側の端部に一体に形成されている。この支持部44は、接続部43から矢印W方向の他方側に延びる長尺状に形成されており、回転ダンパ機構32の径方向外側に位置する。
【0027】
ガイドピン45は、支持部44に一体に形成されており、矢印W方向における支持部44の中央部に位置する。このガイドピン45は、板状に形成された支持部44に立設されており、回転ダンパ機構32と反対側に向けて突出する。また、このガイドピン45は、ベース部材31に対する回転部材33の回転軸の軸方向、すなわち、回転ダンパ機構32の軸方向である矢印W方向に沿って延びる板状に形成されている。
【0028】
図8は、
図5に示されるフック部60を前方上側から見た斜視図である。
図8に示されるように、フック部60は、フック61及びスライド部62を有する。フック61は、スライド部62に一体に形成されている。このフック61及びスライド部62は、それぞれ矢印W方向に沿って延びる板状に形成されている。フック61は、矢印W方向に沿って見た場合にスライド部62とでL字状を成すようにスライド部62に対して折り曲げられている。
【0029】
フック61には、矢印W方向の一方側に突出する突出部63が形成されている。突出部63の上面は、フック61の高さ方向の上側から下側に向かうに従って突出部63の先端側に向かうように傾斜する傾斜面63Aとして形成されている。
【0030】
図9は、
図3に示される右側のフック部60と左側のフック部60とを含むフック部材70を前側から見た斜視図である。
図9に示されるように、フック部材70は、右側のフック部60と左側のフック部60とを連結する板状の連結部71を有している。なお、右側のフック部60のフック61と、左側のフック部60のフック61とは、同じ形状をしており、右側のフック61の突出部63と左側のフック61の突出部63とは同じ方向を向いている。
【0031】
図10は、
図5に示されるヒンジ装置20を前方下側から見た斜視図である。
図10に示されるように、スライド部62におけるガイドピン45が設けられた側の面と反対側の面には、凹状の収容部66が形成されており、この収容部66には、スライド部62が収容されている。収容部66は、矢印W方向におけるスライド部62の長さよりも長く形成されており、スライド部62は、収容部66の内側において矢印W方向にスライド可能となっている。
【0032】
収容部66の矢印W方向の一端部は、第一対向部67として形成されており、収容部66の矢印W方向の他端部は、第二対向部68として形成されている。第一対向部67は、スライド部62が第一対向部67側の位置にスライドした状態においてスライド部62のスライド方向の一端部62Aと対向する位置に形成されている。第二対向部68は、スライド部62が第二対向部68側の位置にスライドした状態においてスライド部62のスライド方向の他端部62Bと対向する位置に形成されている。
【0033】
以降、スライド部62のスライド方向の一端部62Aが第一対向部67と対向したときのスライド部62の位置を第一位置と称し、スライド部62のスライド方向の他端部62Bが第二対向部68と対向したときのスライド部62の位置を第二位置と称する。
【0034】
スライド部62が第一対向部67側の第一位置に移動した場合に、スライド部62のスライド方向の一端部62Aは、第一対向部67と当接又は近接した状態で第一対向部67と対向する。同様に、スライド部62が第二対向部68側の第二位置に移動した場合に、スライド部62のスライド方向の他端部62Bは、第二対向部68と当接又は近接した状態で第二対向部68と対向する。
【0035】
収容部66における第一対向部67と第二対向部68との間には、スライド部62の縁部に沿ってスライド部62のスライド方向に延びるリブ状のガイド部69が形成されている。ガイド部69は、スライド部62が第一位置と第二位置との間でスライドする際にスライド部62をガイドする。
【0036】
図11は、
図10に示されるヒンジ装置20を後方下側から見た斜視図である。
図11に示されるように、ガイドピン45の背面には、凹状の収容部51が形成されている。この収容部51には、フック61が収容されている。板状のフック61は、収容部51に収容されることにより、同じく板状のガイドピン45と重なるように配置されている。
【0037】
収容部51は、矢印W方向の一方側に開口している。フック61の突出部63は、スライド部62が第一対向部67側の第一位置にスライドすると、収容部51からガイドピン45の側方である矢印W方向の一方側に突出する。また、突出部63を含むフック61の全体は、スライド部62が第二対向部68側の第二位置にスライドすると、収容部51に収容される。なお、
図10、
図11では、スライド部62が第一対向部67側の第一位置にあり、フック61の突出部63が収容部51から矢印W方向の一方側に突出した状態が示されている。
【0038】
図11に示されるように、ガイドピン45には、上述の収容部51が形成されることにより、上方保護部52と、側方保護部53と、前方保護部54とが形成されている。上方保護部52は、フック61に対するガイドピン45の高さ方向の上側に形成されており、側方保護部53は、ガイドピン45に対する突出部63の突出方向と反対側に形成されている。また、前方保護部54は、フック61に対するガイドピン45の正面側に形成されている。
【0039】
上方保護部52及び側方保護部53は、平板状の前方保護部54から突出するリブ状を成している。上方保護部52は、矢印W方向に沿って延びており、側方保護部53は、ガイドピン45の高さ方向に延びている。これらリブ状の上方保護部52及び側方保護部53は、L字状に連なって形成されている。
【0040】
上方保護部52は、ガイドピン45の高さ方向の上側からフック61を覆っており、側方保護部53は、ガイドピン45に対する突出部63の突出方向と反対側からフック61を覆っている。また、前方保護部54は、ガイドピン45の正面側からフック61を覆っている。
【0041】
さらに、上方保護部52におけるフック61の上側の縁部と対向する面は、ガイド部55として形成されている。このガイド部55は、フック61の上側の縁部に沿ってスライド部62のスライド方向に延びており、フック61がスライドする際にフック61をガイドする。
【0042】
なお、
図3に示される左側のヒンジ部HLに適用されるヒンジ装置は、ガイドピン45の形状及び向きが右側のヒンジ装置20と同じ以外は、右側のヒンジ装置20と左右対称の構成となっている。左側のヒンジ装置と右側のヒンジ装置20とでガイドピン45の形状及び向きが同じであることは、上述の如く、右側のフック61と左側のフック61の形状及び向きが同じであること(
図9参照)に対応している。
【0043】
図12は、
図4に示される接続ユニット14の筐体からカバー81(
図4参照)を取り外した状態を示す斜視図である。
図12では、
図4に示される接続ユニット14の筐体からカバー81を取り外すことにより、接続ユニット14の内部が見えている。
図12に示されるように、回転部材33の接続部43は、接続ユニット14にネジ止めされて固定される。これにより、接続ユニット14は、矢印W方向周りに回転部材33と一体に回転する。
【0044】
また、接続ユニット14の内部には、バネ82が設けられている。バネ82は、矢印W方向を軸方向として配置されている。バネ82の一端は、フック部材70に形成された突起部83(
図9参照)に固定されており、バネ82の他端は、接続ユニット14の筐体に形成された突起部84に固定されている。接続ユニット14の筐体に形成された突起部84は、フック部材70に形成された突起部83(
図9参照)よりも矢印W方向の一方側に位置する。
図12に示されるように、フック61がガイドピン45から突出するようにフック部材70が矢印W方向の一方側に位置している状態において、バネ82は、自由状態又は引張状態となっている。
【0045】
図13は、
図2に示されるようにタブレット端末12を接続ユニット14から離脱させた状態を示す図であって、ガイドピン45の位置で切断したヒンジ装置20の周辺部の縦断面図である。また、
図14は、
図13に示されるタブレット端末12を接続ユニット14に接続した状態を示す縦断面図である。
図13、
図14に示されるように、タブレット端末12における接続ユニット14との接続部である下端部には、タブレット端末12の上側に凹むガイド穴91が形成されている。
【0046】
ガイド穴91は、ガイドピン45と対応する位置に形成されている。
図14に示されるように、ガイドピン45がガイド穴91に挿入されることにより、タブレット端末12は、接続ユニット14に位置決めされた状態で接続される。タブレット端末12は、接続ユニット14に接続された状態では、ガイドピン45を含むヒンジ装置20(より具体的には、ヒンジ機構30)を介してキーボードユニット13に対して回転可能に支持される。
【0047】
図15は、
図2に示されるようにタブレット端末12を接続ユニット14から離脱させた状態を示す図であって、フック61の位置で切断したヒンジ装置20の周辺部の縦断面図である。また、
図16は、
図15に示されるタブレット端末12を接続ユニット14に接続した状態を示す縦断面図である。
図15、
図16に示されるように、タブレット端末12には、ガイド穴91の側方に凹む凹部94が形成されている。このガイド穴91の側方に凹む凹部94の内周面のうちタブレット端末12の下側に位置する側面(つまり、タブレット端末12の上側を向く面)は、引掛かり部95として形成されている。
【0048】
そして、
図15から
図16に示されるように、タブレット端末12が接続ユニット14に近づけられると、フック61の傾斜面63Aがガイド穴91の周縁部に当接する。フック61の傾斜面63Aがガイド穴91の周縁部に当接すると、スライド部62(フック部材70)に矢印W方向の他方側への力が作用し、スライド部62がバネ82の弾性力に抗して矢印W方向の他方側に移動する。
図15では、矢印W方向の他方側に移動したときのフック61及びスライド部62が想像線(二点鎖線)で示されている。
【0049】
また、
図16に示されるように、ガイドピン45がガイド穴91に挿入され、タブレット端末12が接続ユニット14に接続されると、フック61の突出部63が凹部94と対向する位置に移動する。そして、バネ82によってフック部材70に矢印W方向の一方側への力が作用し、突出部63が凹部94に挿入される。このとき、スライド部62は、第一対向部67側の第一位置に移動し、スライド部62のスライド方向の一端部62Aが第一対向部67と対向する。スライド部62のスライド方向の一端部62Aが第一対向部67と対向することで、スライド部62のスライドが規制される。
【0050】
また、突出部63が凹部94に挿入された状態では、フック61(より具体的には、突出部63)が引掛かり部95に引っ掛けられる。このとき、フック61は、キーボードユニット13及び接続ユニット14に対してタブレット端末12を抜け止めする方向に引掛かり部95に引っ掛けられる。タブレット端末12は、フック61が引掛かり部95に引っ掛けられると、フック61を含むヒンジ装置20を介してキーボードユニット13に着脱可能に連結された状態になる。
【0051】
なお、タブレット端末12は、スライド部62(フック部材70)を矢印W方向の他方側にスライドさせる操作機構が操作されるか、又は、所定以上の力で引き抜かれることにより、接続ユニット14から離脱される。つまり、スライド部62が第二対向部68側の第二位置に移動されると、フック61が引掛かり部95に対してずれた状態になり、タブレット端末12が接続ユニット14から離脱可能になる。
【0052】
また、スライド部62が第二対向部68側の第二位置に移動したときには、スライド部62のスライド方向の他端部62Bが第二対向部68と対向する。スライド部62のスライド方向の他端部62Bが第二対向部68と対向することで、スライド部62のスライドが規制される。
【0053】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0054】
先ず、本実施形態の作用及び効果を明確にするために、比較例について説明する。
図17は、比較例に係るヒンジ機構130を示す斜視図であり、
図18は、
図17に示されるヒンジ機構130において、ガイドピン部材131を回転部材33から取り外した状態を示す斜視図である。
【0055】
図17、
図18に示されるように、比較例に係るヒンジ機構130は、ガイドピン45が形成されたガイドピン部材131を有している。このガイドピン部材131は、回転部材33とは別体であり、回転部材33の支持部44にネジ止めされている。比較例に係るヒンジ機構130において、ガイドピン部材131が回転部材33と別体であり回転部材33にネジ止めされる以外は、上述の本実施形態に係るヒンジ機構30と同様の構成である。
【0056】
しかしながら、上記比較例では、次の問題がある。すなわち、上記比較例では、ガイドピン部材131が回転部材33と別体である。したがって、ガイドピン部材131と、回転部材33と、回転部材33を支持するベース部材31の三つの部品が必要になるため、組立工数が増加する。
【0057】
また、ガイドピン部材131が回転部材33と別体でネジ止めにより回転部材33に固定される。したがって、ガイドピン部材131を回転部材33に固定する際に回転部材33に対するガイドピン45の位置にばらつきが生じることがある。回転部材33に対するガイドピン45の位置にばらつきが生じると、
図1、
図2に示されるタブレット端末12を接続ユニット14に接続する際に、タブレット端末12が接続ユニット14に干渉する虞がある。また、タブレット端末12が傾いた状態で接続ユニット14に接続される虞もある。
【0058】
また、
図17、
図18に示されるように、上記比較例では、ガイドピン部材131が回転部材33にネジ止めされるため、タブレット端末12の開閉時の回転力がネジ132に作用する。このため、タブレット端末12の開閉時の回転力が大きい場合に、ネジ132の破損が懸念される。ここで、ネジ132の破損を回避するために、ネジ132の径を大きくすることも考えられるが、スペース上の制約がある。
【0059】
さらに、上記比較例において、ガイドピン45に重なるようにフック61(
図5参照)が設けられた場合には、ガイドピン部材131を回転部材33に固定するネジ132の先端部が、
図5に示されるフック61を有するフック部材70と干渉する虞がある。そして、フック部材70のスライドが阻害される虞がある。
【0060】
一方、本実施形態では、上記比較例と比較した場合に、以下の作用及び効果を奏する。すなわち、
図6、
図7に示されるように、本実施形態では、ガイドピン45が回転部材33に一体に形成されている。したがって、比較例に比して、部品点数を削減することができるので、組立工数を削減することができる。
【0061】
また、ガイドピン45が回転部材33に一体に形成されることにより、回転部材33に対するガイドピン45の位置にばらつきが生じることを抑制できる。これにより、
図1、
図2に示されるタブレット端末12を接続ユニット14に接続する際に、タブレット端末12が接続ユニット14に干渉したり、タブレット端末12が傾いた状態で接続ユニット14に接続されたりすることを抑制できる。
【0062】
また、
図5に示されるように、本実施形態では、ガイドピン45が回転部材33に一体に形成されることにより、ネジ止めのためのネジが不要になるので、ネジの破損に伴う故障を回避できると共に、スペースに制約が生じることも回避できる。さらに、ネジの先端部がフック61を有するフック部材70と干渉することを抑制できるので、フック61がガイドピン45と重なるように配置されていても、フック部材70のスライドを確保することができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、比較例と比較した場合の上記作用及び効果に加え、以下の作用及び効果を奏する。すなわち、本実施形態では、フック61がガイドピン45と重なるように配置されている。これにより、フック61がガイドピン45からずれている場合に比して、接続ユニット14におけるガイドピン45及びフック61の周辺部と、タブレット端末12におけるガイドピン45及びフック61との接続部とを簡素化できる。
【0064】
また、ヒンジ装置20は、フック部60を有している。そして、
図16に示されるように、ガイドピン45がガイド穴91に挿入された状態では、このフック部60に設けられたフック61がタブレット端末12の引掛かり部95に引っ掛かる。これにより、タブレット端末12を抜け止めできるので、タブレット端末12が不意に接続ユニット14から離脱することを抑制することができる。
【0065】
また、
図6、
図7に示されるように、ガイドピン45は、ベース部材31に対する回転部材33の回転軸の軸方向、すなわち、回転ダンパ機構32の軸方向である矢印W方向に沿って延びる板状に形成されている。したがって、
図14に示されるように、タブレット端末12を接続ユニット14に接続した状態においてタブレット端末12を回転(傾動)させるときには、ガイドピン45の表面全体(広い面)でタブレット端末12からの回転方向の荷重を受けることができる。
【0066】
これにより、タブレット端末12からの回転方向の荷重をガイドピン45に効率良く伝達することができるので、ガイドピン45が形成された回転部材33を円滑に回転させることができる。この結果、タブレット端末12を回転させるときの操作性を良好にすることができる。
【0067】
また、
図10に示されるように、回転部材33には、第一対向部67及び第二対向部68が形成されている。そして、スライド部62が第一対向部67側の第一位置にスライドした状態では、スライド部62のスライド方向の一端部62Aが第一対向部67と対向する。また、スライド部62が第二対向部68側の第二位置にスライドした状態では、スライド部62のスライド方向の他端部62Bが第二対向部68と対向する。これにより、スライド部62のスライド範囲を簡素な構成で規定することができる。
【0068】
また、
図11に示されるように、ガイドピン45には、フック61の上側の縁部に沿ってスライド部62のスライド方向に延びるガイド部55が形成されている。これにより、フック61をガイド部55でガイドすることで、フック61を円滑にスライドさせることができる。
【0069】
また、ガイドピン45には、上方保護部52、側方保護部53、及び、前方保護部54が形成されている。上方保護部52は、ガイドピン45の高さ方向の上側からフック61を覆っており、側方保護部53は、ガイドピン45に対する突出部63の突出方向と反対側からフック61を覆っている。また、前方保護部54は、ガイドピン45の正面側からフック61を覆っている。したがって、ガイドピン45をガイド穴91(
図15参照)に挿入する際に、フック61がガイド穴91の周縁部等と干渉することを抑制することができる。
【0070】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0071】
上記実施形態において、情報処理装置10は、「第一装置」及び「第二装置」の一例として、タブレット端末12及びキーボードユニット13を備えるが、タブレット端末12及びキーボードユニット13以外の種類の第一装置及び第二装置を備えていても良い。この場合に、第一装置及び第二装置は、互いに情報(信号)を送受可能な装置であることが望ましい。
【0072】
また、ガイドピン45は、好ましくは、矢印W方向に延びる板状に形成されるが、その他の形状でも良い。
【0073】
また、ヒンジ装置20は、好ましくは、ヒンジ機構30に加えて、フック部60を一体に有するが、フック部60は、ヒンジ機構30とは別に設けられていても良い。つまり、ヒンジ装置20からフック部60が省かれても良い。さらに、フック部60は、情報処理装置10から省かれても良い。
【0074】
また、フック61は、好ましくは、ガイドピン45と重なるように配置されるが、ガイドピン45とずれた位置に配置されていても良い。
【0075】
また、回転部材33は、好ましくは、第一対向部67及び第二対向部68を有するが、第一対向部67及び第二対向部68は省かれても良い。
【0076】
また、ガイドピン45は、好ましくは、フック61をガイドするガイド部55を有するが、ガイド部55は省かれても良い。
【0077】
また、ガイドピン45は、好ましくは、上方保護部52、側方保護部53、及び、前方保護部54を有する。しかしながら、上方保護部52、側方保護部53、及び、前方保護部54の少なくともいずれかは省かれても良い。
【0078】
また、右側のフック部60と左側のフック部60とは、連結部71によって連結されているが、それぞれ独立していても良い。
【0079】
なお、上述の複数の変形例は、適宜、組み合されて実施されても良い。
【0080】
以上、本願の開示する技術の一実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0081】
なお、上述の本願の開示する技術の一実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0082】
(付記1)
第一装置及び第二装置と、
前記第一装置に対して前記第二装置を回転可能に支持すると共に着脱可能に連結するヒンジ装置と、
を備え、
前記ヒンジ装置は、
前記第一装置に固定されたベース部材と、
前記ベース部材に回転可能に支持された回転部材と、
前記回転部材に一体に形成され、前記第二装置のガイド穴に挿入されるガイドピンと、
を有する、
情報処理装置。
(付記2)
前記ガイドピンは、前記ベース部材に対する前記回転部材の回転軸の軸方向に沿って延びる板状に形成されている、
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記ヒンジ装置は、
前記ガイドピンと重なるように配置され、前記第一装置に対して前記第二装置を抜け止めする方向に前記第二装置の引掛かり部に引っ掛けられるフックと、
前記フックと一体に形成され、前記フックが前記引掛かり部に引っ掛かる第一位置と、前記フックが前記引掛かり部に対してずれる第二位置とにスライドするスライド部と、
を有する、
付記1又は付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記回転部材は、前記スライド部が前記第一位置にスライドした状態において前記スライド部のスライド方向の一端部と対向する位置に形成された第一対向部と、前記スライド部が前記第二位置にスライドした状態において前記スライド部のスライド方向の他端部と対向する位置に形成された第二対向部とを有する、
付記3に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記ガイドピンは、前記フックの縁部に沿って前記スライド部のスライド方向に延びるガイド部を有する、
付記3又は付記4に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記フックは、前記スライド部のスライドに伴い前記ガイドピンの側方に突出する突出部を有し、
前記ガイドピンは、前記ガイドピンの高さ方向の上側から前記フックを覆う上方保護部と、前記ガイドピンに対する前記突出部の突出方向と反対側から前記フックを覆う側方保護部と、前記ガイドピンの正面側から前記フックを覆う前方保護部とを有する、
付記3〜付記5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記第一装置及び前記第二装置は、互いに情報を送受可能な装置である、
付記1〜付記6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記第一装置は、キーボード部を有するキーボードユニットであり、
前記第二装置は、インターフェース部を有するタブレット端末である、
付記1〜付記7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記9)
情報処理装置における第一装置に対して第二装置を回転可能に支持すると共に着脱可能に連結するヒンジ装置であって、
前記第一装置に固定されたベース部材と、
前記ベース部材に回転可能に支持された回転部材と、
前記回転部材に一体に形成され、前記第二装置のガイド穴に挿入されるガイドピンと、
を有するヒンジ装置。