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特開2019-53979ホウ素クラスターをベースとするイオン液体の作製
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-53979(P2019-53979A)
(43)【公開日】2019年4月4日
(54)【発明の名称】ホウ素クラスターをベースとするイオン液体の作製
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0568 20100101AFI20190308BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20190308BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20190308BHJP
   H01M 12/08 20060101ALI20190308BHJP
   H01G 11/62 20130101ALI20190308BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20190308BHJP
【FI】
   H01M10/0568
   H01M10/052
   H01M10/054
   H01M12/08 K
   H01G11/62
   H01G11/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-161028(P2018-161028)
(22)【出願日】2018年8月30日
(31)【優先権主張番号】15/702,997
(32)【優先日】2017年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(71)【出願人】
【識別番号】304044531
【氏名又は名称】モナシュ ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【弁理士】
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】ラナ モタディ
(72)【発明者】
【氏名】オスカー チュチュサウス
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス アール.マクファーレン
(72)【発明者】
【氏名】メガ カー
【テーマコード(参考)】
5E078
5H029
5H032
【Fターム(参考)】
5E078AA03
5E078AB01
5E078DA13
5E078DA18
5H029AJ06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL04
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL13
5H029AL15
5H029AM09
5H029CJ11
5H029HJ02
5H032AA02
5H032AS01
5H032AS02
5H032AS03
5H032AS05
5H032AS09
5H032EE04
5H032HH01
(57)【要約】
【課題】ホウ素クラスターをベースとするイオン液体の作製を提供する。
【解決手段】電解液及び電気化学セルは、第四級カチオン及びホウ素クラスターアニオンを有する新規なイオン液体を含む。幾つかの態様において、ホウ素クラスターアニオンは、官能化された又は官能化されていない二十面体のボラニル又はカルボラニルアニオンである。電気化学セルは、イオン液体を含む電解液を有する。幾つかの態様において、イオン液体を溶媒として用いて、任意選択の共溶媒と共に活物質を移送させるためのイオン性シャトル塩を溶解させる。イオン液体の合成方法は、ホウ素クラスター塩を第四級塩と接触させて、メタセシス反応によりイオン液体を生成することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する、イオン液体を含む、電解液組成物:

{式中、Aは、以下のうち少なくとも1つを含む、第四級カチオンであり、かつ:
以下の構造を有する、アンモニウムカチオン:
【化1】
以下の構造を有する、ホスホニウムカチオン:
【化2】
(式中、R、R、R、及びRは、各々独立して以下からなる群より選択される:
C2−C12アルキル;及び
1−20個のエチレングリコール副単位を有する、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル)、
式中、Qは、ホウ素クラスターアニオンであり、かつpは、1又は2である}。
【請求項2】
前記ホウ素クラスターアニオンが、式[B(y−z−i)2−、式[CB(y−1)H(y−z−i)、式[C(y−2)(y−t−j−1)、式[C(y−3)(y−t−j)、又は式[C(y−3)(y−t−j−1)2−を有し、式中、以下を満たす、請求項1に記載の電解液組成物:
yが、6〜12の範囲の整数であり;
(z+i)が、0〜yの範囲の整数であり;
(t+j)が、0〜(y−1)の範囲の整数であり;
Xが、F、Cl、Br、I、又はこれらの組合せであり;かつ
Rが、以下のいずれかを含む置換基である:
基(i):直鎖、分枝、又は環状でC1〜C18の、アルキル、ペルフルオロアルキル、又は部分的にフッ素化されたアルキル基;
基(ii):C6〜C14の、アリール、ペルフルオロアリール、又は部分的にフッ素化されたアリール基;
基(iii):直鎖、分枝、又は環状でC1〜C18の、アルコキシ、ペルフルオロアルコキシ、又は部分的にフッ素化されたアルコキシ基;
基(iv):C6−C14アリールオキシ、ペルフルオロアリールオキシ、又は部分的にフッ素化されたアリールオキシ基;及び
基(v):基(i)〜(iv)のうちの2つ以上により規定される部分を組み合わせた置換基。
【請求項3】
前記ホウ素クラスターアニオンが、二十面体の、クロソ−ホウ素クラスターアニオンを含む、請求項1に記載の電解液組成物。
【請求項4】
前記ホウ素クラスターアニオンが、クロソ−[B12122−、クロソ−[CB1112又はクロソ−[C1011のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電解液組成物。
【請求項5】
以下を含む、電気化学セル:
少なくとも部分的に充電されている場合に、還元されている状態の活物質を含有している、アノード;
カソード;及び
前記アノードと前記カソードとの間のイオン伝導を媒介しており、かつ以下の式を有する、イオン液体を含む、電解液:

{式中、Aは、以下のうち少なくとも1つを含む、第四級カチオンであり、かつ:
以下の構造を有する、アンモニウムカチオン:
【化3】
以下の構造を有する、ホスホニウムカチオン:
【化4】
(式中、R、R、R、及びRは、各々独立して以下からなる群より選択される:
C2〜C12のアルキル;及び
1〜20個のエチレングリコール副単位を有する、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル)、
式中、Qは、ホウ素クラスターアニオンであり、かつpは、1又は2である}。
【請求項6】
前記ホウ素クラスターアニオンが、式[B(y−z−i)2−、式[CB(y−1)H(y−z−i)、式[C(y−2)(y−t−j−1)、式[C(y−3)(y−t−j)又は式[C(y−3)(y−t−j−1)2−を有し、式中、以下を満たす、請求項5に記載の電気化学セル:
yが、6〜12の範囲の整数であり;
(z+i)が、0〜yの範囲の整数であり;
(t+j)が、0〜(y−1)の範囲の整数であり;
Xが、F、Cl、Br、I、又はこれらの組合せであり;かつ
Rが、以下のいずれかを含む置換基である:
基(i):直鎖、分枝、又は環状でC1〜C18の、アルキル、ペルフルオロアルキル、又は部分的にフッ素化されたアルキル基;
基(ii):C6〜C14の、アリール、ペルフルオロアリール、又は部分的にフッ素化されたアリール基;
基(iii):直鎖、分枝、又は環状でC1〜C18の、アルコキシ、ペルフルオロアルコキシ、又は部分的にフッ素化されたアルコキシ基;
基(iv):C6〜C14の、アリールオキシ、ペルフルオロアリールオキシ、又は部分的にフッ素化されたアリールオキシ基;及び
基(v):基(i)〜(iv)のうちの2つ以上により規定される部分を組み合わせた置換基。
【請求項7】
前記電解液が、前記アノードと前記カソードとの間の前記活物質の輸送を促進するシャトル塩を含み、前記シャトル塩が、酸化されている状態の前記活物質をカチオンとして有する、請求項6に記載の電気化学セル。
【請求項8】
前記活物質が、リチウム又はナトリウムを含み、かつ前記電気化学セルが、Li−イオン又はNa−イオンセルである、請求項6に記載の電気化学セル。
【請求項9】
前記活物質が、マグネシウムを含み、かつ前記電気化学セルが、Mg−イオンセルである、請求項6に記載の電気化学セル。
【請求項10】
前記ホウ素クラスターアニオンが、二十面体の、クロソ−ホウ素クラスターアニオンを含む、請求項6に記載の電気化学セル。
【請求項11】
前記ホウ素クラスターアニオンが、クロソ−[B12122−、クロソ−[CB1112、及びクロソ−[C1011のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の電気化学セル。
【請求項12】
以下を含む、イオン液体の合成方法:
第四級塩を、ホウ素クラスター塩と接触させて、塩メタセシス反応により前記イオン液体を生成すること、ここで、前記第四級塩が、以下のうち少なくとも1つを含む第四級カチオンである:
以下の構造を有する、アンモニウムカチオン:
【化5】
以下の構造を有する、ホスホニウムカチオン:
【化6】
式中、R、R、R、及びRは、各々独立して以下からなる群より選択される:
C2〜C12のアルキル;及び
1〜20個のエチレングリコール副単位を有する、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル。
【請求項13】
前記ホウ素クラスター塩が、アルカリ金属カチオンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ホウ素クラスター塩が、式[B(y−z−i)2−、式[CB(y−1)H(y−z−i)、式[C(y−2)(y−t−j−1)、式[C(y−3)(y−t−j)、又は式[C(y−3)(y−t−j−1)2−を有するホウ素クラスターアニオンを含み、式中、以下を満たす、請求項12に記載の方法:
yが、6〜12の範囲の整数であり;
(z+i)が、0〜yの範囲の整数であり;
(t+j)が、0〜(y−1)の範囲の整数であり;
Xが、F、Cl、Br、I、又はこれらの組合せであり;かつ
Rが、以下のいずれかを含む置換基である:
基(i):直鎖、分枝、又は環状で、C1〜C18の、アルキル、ペルフルオロアルキル、又は部分的にフッ素化されたアルキル基;
基(ii):C6〜C14の、アリール、ペルフルオロアリール、又は部分的にフッ素化されたアリール基;
基(iii):直鎖、分枝、又は環状で、C1〜C18の、アルコキシ、ペルフルオロアルコキシ、又は部分的にフッ素化されたアルコキシ基;
基(iv):C6〜C14の、アリールオキシ、ペルフルオロアリールオキシ、又は部分的にフッ素化されたアリールオキシ基;及び
基(v):基(i)〜(iv)のうちの2つ以上により規定される部分を組み合わせた置換基。
【請求項15】
前記ホウ素クラスター塩が、クロソ−[B12122−、クロソ−[CB1112、及びクロソ−[C1011からなる群より選択される少なくとも1つのホウ素クラスターアニオンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記イオン液体の融点よりも低い温度で、前記イオン液体が不溶性であるメタセシス溶媒中において、前記ホウ素クラスター塩に前記第四級塩を接触させて、前記イオン液体が固体沈殿物として生成するようにすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
以下からなる群より選択される手順により、前記イオン液体を単離させることを更に含む、請求項16に記載の方法:
前記固体沈殿物をろ過すること;及び
前記固体沈殿物を遠心分離すること。
【請求項18】
前記イオン液体の融点よりも高い温度で、前記イオン液体が不溶性であるメタセシス溶媒中において、前記ホウ素クラスター塩に前記第四級塩を接触させて、前記イオン液体が非混和液層として生成するようにすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記非混和液層が可溶性である溶媒により、前記非混和液層を抽出することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
以下からなる群より選択される手順により、前記イオン液体を精製することを更に含む、請求項12に記載の方法:
前記イオン液体を吸着剤と接触させること;
前記イオン液体を高水反応性金属と接触させること;及び
前記イオン液体を真空下に100℃までの温度で配置すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してイオン液体に関し、より具体的には、電気化学セルのための電解液の成分としてのイオン液体に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで提供する背景技術の記載は、本開示の背景を一般的に示す目的のためのものである。本発明者らの研究は、この背景技術の項で記載されている範囲では、出願時における先行技術としてみなすことができない本記載の態様と共に、本技術に対する先行技術としては明示的にも黙示的にも認められたものではない。
【0003】
イオン液体は、幾分はその無視できる程度の揮発性により、電気化学セルにおける電解液として有望な候補である。イオン液体は、それ自体、高温の用途における電解液成分として特に有用であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、良好な解離特性及びイオン伝導度を有する新たなイオン液体、並びにイオン液体を製造するための便利な方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この節は、本開示の一般的な要約を提供するものであり、その全範囲の包括的な開示でも、その態様の全ての包括的な開示でもない。
【0006】
種々の態様において、本教示は、電解液組成物を提供する。電解液組成物は、式AQを有するイオン液体を含む。Aは、4つの側鎖R、R、R、及びRを有する第四級アンモニウム又はホスホニウムカチオンであり、式中、R、R、R、及びRは、各々独立して、C2〜C12のアルキル、及び1〜20個のエチレングリコール副単位を有するポリ(エチレングリコール)メチルエーテルからなる群より選択される。Qは、ホウ素クラスターアニオンであり、かつpは、1又は2である。
【0007】
他の態様において、本教示は、電気化学セルを提供する。セルは、少なくとも部分的に充電されている場合に、還元されている状態の活物質を含有しているアノード;カソード;及びアノードとカソードとの間のイオン伝導を媒介している、電解液を含む。電解液は、式AQを有するイオン液体を含む。Aは、4つの側鎖R、R、R、及びRを有する第四級アンモニウム又はホスホニウムカチオンであり、式中、R、R、R、及びRは、各々独立して、C2〜C12のアルキル、及び1〜20個のエチレングリコール副単位を有するポリ(エチレングリコール)メチルエーテルからなる群より選択される。Qは、ホウ素クラスターアニオンであり、かつpは、1又は2である。
【0008】
更に他の態様において、本教示は、イオン液体の合成方法を提供する。方法は、第四級アンモニウム又はホスホニウム塩を、ホウ素クラスター塩と接触させて、塩メタセシス反応によりイオン液体を生成する工程を含む。この方法は、以下から選択される少なくとも1つの方法により、イオン液体を精製する工程を追加的に含んでもよい:イオン液体を吸着剤と接触させること;イオン液体を高水反応性金属と接触させること;及びイオン液体を真空下に100℃までの温度で配置すること。
【0009】
上記のイオン液体技術を向上させる更なる適応領域及び種々の方法は、ここで提供する記載から明らかとなる。この要約の記載及び特定の例は、単に説明する目的を意図したものであり、本開示の範囲を制限することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
詳細な説明及び添付図面から、本教示はより完全に理解されるようになるであろう。
【0011】
図1A図1Aは、側鎖R、R、R、及びRを有する、一般的な第四級アンモニウムカチオンの線画である;
図1B図1Bは、側鎖R、R、R、及びRを有する、一般的な第四級ホスホニウムカチオンの線画である;
図1C図1Cは、図1Aに示しており、かつ少なくとも1つのポリ(エチレングリコール)メチルエーテル側鎖を有するタイプの第四級カチオンの線画である;
図1D図1Dは、開示した第四級カチオン、N−エチル−N,N,N−トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アンモニウムの線画である;
図1E図1Eは、別の開示した第四級カチオン、N−ブチル−N,N,N−トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アンモニウムの線画である;
図2A図2Aは、本開示のホウ素クラスターアニオン、クロソ−[B12122−の球棒画である;
図2B図2Bは、本開示の別のホウ素クラスターアニオン、クロソ−[CB1112の球棒画である;
図2C図2Cは、本開示の更に別のホウ素クラスターアニオン、クロソ−[C1011の球棒画である;
図2D図2Dは、本開示の更に別のホウ素クラスターアニオン、ニド−[C12の球棒画である;
図2E図2Eは、本開示の更に別のホウ素クラスターアニオン、ニド−[C112−の球棒画である;
図3図3は、図2Bのアニオン及び図1D又は1Eのカチオンを有するイオン液体についての、示差走査熱量測定(DSC)データのプロットである;
図4図4は、図1A及び1Bに示したタイプのカチオン、及び図2A−2Cに示したタイプのアニオンを含む、イオン液体を有する電気化学セルの略図である;
図5図5は、図4において一般的に示したタイプの三電極Li−イオンセルの、複数の非順次的なリチウムストリッピング/堆積サイクルを示す、サイクリックボルタモグラムである;
図6A図6Aは、本開示の未精製のイオン液体のプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルである;
図6B図6Bは、本開示の精製したイオン液体、N−エチル−N,N,N−トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アンモニウムカルバ−クロソ−ドデカボレート[N2(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112]のプロトンNMRスペクトルである;
図6C図6Cは、本開示の精製したイオン液体、N−ブチル−N,N,N−トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アンモニウムカルバ−クロソ−ドデカボレート[N4(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112]のプロトンNMRスペクトルである;
図7図7は、図6B及び6Cのイオン液体についての、粘度の対数の関数としてのモル伝導度の対数を示すWaldenプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで明らかにしている図面は、特定の態様の記載の目的で、本技術の方法、アルゴリズム、及び装置の中でのこれらの一般的な特徴の実例を示すことを意図しているものであることに注目すべきである。これらの図は、随意の所与の態様の特徴を正確に反映したものであることはできず、特定の実施態様を本技術の範囲内に規定又は制限することを必ずしも意図しているものではない。更に、特定の態様は、図面の組合せからの特徴を包含することができる。
【0013】
本教示は、Li−イオン、Mg、Naの電気化学セル、及び他の電気化学セルにおける電解液成分として有用な新規なイオン液体、並びにかかるイオン液体を作製する方法を提供する。本教示のイオン液体は、不揮発性の電解液組成物の作製を促進し、かつ驚くほど低い融点、及びかかる電解液の高いイオン伝導度を支持する優れた解離特性を有する。
【0014】
本教示のイオン液体は、少なくとも1つの第四級カチオン、並びにボラニル及びカルボラニルアニオンを含む少なくとも1つのホウ素クラスターアニオンを含む。作製方法は、適切なアンモニウムカチオンの第四級塩と、ホウ素クラスター塩との間のメタセシス反応を含む。
【0015】
電気化学セルにおける電解質溶媒として有用なイオン液体を開示する。イオン液体は、第四級カチオン及びホウ素クラスターアニオンを有する。イオン液体は、式AQを有していてよく、式中、Aは第四級カチオンであり、Qはホウ素クラスターアニオンであり、かつpは1又は2である。第四級カチオンは、図1A及び1Bでそれぞれ示すように、4つの側鎖R、R、R、及びRを有するアンモニウム又はホスホニウムカチオンであってよい。幾つかの実施態様においては、R、R、R、及びRは、各々独立して以下のものであってよい:C2〜C12のアルキル;又は1〜20個のエチレングリコール副単位を有するポリ(エチレングリコール)メチルエーテル。幾つかの実施態様においては、第四級カチオンは、図1Cに示す構造を有していてよく、この構造では、少なくとも1つの側鎖が1〜20個のエチレングリコール副単位を有するポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(すなわち、式中、nは1〜20の整数を全て含んでいる)であり、かつR、R、及びRは、各々独立して以下のものである:C2−C12アルキル;又は1−20個のエチレングリコール副単位を有するポリ(エチレングリコール)メチルエーテル。幾つかの特定の実施態様においては、第四級カチオンは、図1Dに示すN−エチル−N,N,N−トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アンモニウム、及び図1Eに示すN−ブチル−N,N,N−トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アンモニウムのうちの少なくとも1つであってよい。N−エチル−N,N,N−トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アンモニウムカチオンを、以下では[N2(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)として言及し、かつN−ブチル−N,N,N−トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アンモニウムカチオンを、以下では[N4(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)として言及する。
【0016】
幾つかの実施態様においては、ホウ素クラスターアニオンは、以下のうちの随意の式を有するアニオンであってよい:
[B(y−z−i)2− アニオン式I、
[CB(y−1)(y−z−i) アニオン式II、
[C(y−2)(y−t−j−1) アニオン式III、
[C(y−3)(y−t−j) アニオン式IV、又は
[C(y−3)(y−t−j−1)2− アニオン式V、
式中、yは、6〜12の範囲の整数であり;(z+i)は、0〜yの範囲の整数である;(t+j)は、0〜(y−1)の範囲の整数であり;かつXは、F、Cl、Br、I、又はこれらの組合せである。アニオン式I〜IVに含まれる置換基Rは、以下のいずれかに属する有機置換基である:
基(i) 直鎖、分枝、又は環状でC1〜C18の、アルキル、ペルフルオロアルキル、又は部分的にフッ素化されたアルキル基;
基(ii) C6〜C14の、アリール、ペルフルオロアリール、又は部分的にフッ素化されたアリール基;
基(iii) 直鎖、分枝、又は環状でC1〜C18の、アルコキシ、ペルフルオロアルコキシ、又は部分的にフッ素化されたアルコキシ基;
基(iv) C6〜C14の、アリールオキシ、ペルフルオロアリールオキシ、又は部分的にフッ素化されたアリールオキシ基;、及び
基(v) 基(i)〜(iv)のうちの2つ以上により規定される2つ以上の部分を含む置換基。基(v)の置換基の非限定的な例としては、ベンジル、メトキシエチル、又はトリフルオロメトキシエチル基が挙げられる。
【0017】
z又はtが1超である場合(すなわち、複数のR基がホウ素クラスターアニオンに存在している場合)、複数のR基は、複数の基(i)〜(v)から選択される個々の置換基を含んでよいことが理解されるべきである。このことは、代わりに以下のように述べることができる:随意のアニオン式I−VのRが複数の置換基を規定している場合、複数の置換基は、複数の基(i)〜(v)を含んでいてよい。例えば、ホウ素クラスターアニオンは、アルキル基及び部分的にフッ素化されたアリールオキシ基の両方を同時に含んでいてもよい。
【0018】
同様に、XがF、Cl、Br、I、又はこれらの組合せであることができる位置では、これは、iが2〜yの範囲の整数であるか、又はjが2〜(y−1)の範囲の整数である場合に、複数のハロゲン置換基が存在していることを示すことを示している。かかる状況においては、複数のハロゲン置換基F、Cl、Br、I、又はこれらの随意の組合せを含んでよい。例えば、ホウ素クラスターアニオンが3つのハロゲン置換基を有する場合(すなわち、式中、i又はjが3に等しい場合)、3つのハロゲン置換基は、3個のフッ素置換基;1個の塩素置換基、1個の臭素置換基、及び1個のヨウ素置換基;又は随意の他の組合せであることができよう。
【0019】
用語「部分的にフッ素化されたアルキル」、「部分的にフッ素化されたアリール」、「部分的にフッ素化されたアルコキシ」、及び「部分的にフッ素化されたアリールオキシ」においてここで用いている「部分的にフッ素化された」との表現は、その基が少なくとも1つの炭素−フッ素結合を含有していることを示している。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、及び随意の他の直鎖、分枝、又は環状でC1〜C18のアルキル基が挙げられる。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、及びアントラセニルが挙げられる。
【0020】
pが2に等しい場合、有機イオン液体の化学量論的な単位中に含有されている2つの有機カチオンは、同一のカチオンであってもよく、又は2つの異なるカチオンであってもよいことを理解すべきである。
【0021】
異なる実施態様においては、ホウ素クラスターアニオンは、任意の置換又は非置換のクロソ−及びニド−ホウ素クラスターアニオンを含んでもよい。幾つかの実施態様においては、ホウ素クラスターアニオンは、クロソ−ホウ素クラスターアニオン、例えばクロソ−[B2−、クロソ−[B12122−、クロソ−[CB1112、又はクロソ−[C1011であろう。幾つかの実施態様においては、ホウ素クラスターアニオンは、ニド−ホウ素クラスターアニオン、例えばニド−[C12であろう。多くの実施態様においては、ホウ素クラスターアニオンは、二十面体のホウ素クラスターアニオンであろう。典型的な二十面体のクロソ−ホウ素クラスターアニオンであるクロソ−[B12122−、クロソ−[CB1112、又はクロソ−[C1011を、図2A−2Cにそれぞれ球棒画として概略的に示す。典型的なニド−ホウ素クラスターアニオンであるニド−[C12及びニド−[C112−を、図2D及び2Eにそれぞれ球棒画として概略的に示す。
【0022】
開示したイオン液体は、非常に低い融点を有することがわかる。図3Aは、イオン液体[N2(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112](実線)及び[N4(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112](破線)についての示差走査熱量測定(DSC)データのプロットを示している。この結果は、いずれのイオン液体も、約−50℃;具体的にはそれぞれ−52℃及び−47℃での融解転移を有することを示している。
【0023】
図4に示すように、電気化学セル100も開示する。電気化学セル100は、アノード110、カソード120、及び電解液130を有する。電解液130は、開示したイオン液体を含み、かつアノード110とカソード120との間のイオン伝導を媒介している。電気化学セルは、アノード110とカソード120との間の電気的な伝達を媒介する外部導体140を含んでいてもよい。図4の例の場合、外部導体140は、集電体150に接続している。幾つかの実施態様においては、電気化学セルは、ファラデー疑似キャパシタ(Faradaic pseudocapacitor)であってよい。多くの実施態様においては、電気化学セル100は、電力の貯蔵及び放出において活物質Mの可逆的な酸化/還元を媒介する二次ボルタ電池となる。
【0024】
種々の態様において、活物質は、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、イオン性挿入材料、例えば炭素質材料又はチタネート等の酸化物をベースとする挿入材料、有機活物質のうちの1又は複数を含んでいてよい。有機活物質の適切な例としては、限定されないが、キノン及びキノン誘導体、(2,2,6,6−テトラメチル−ピぺリジン−1−イル)オキシル(TEMPO)及び他のニトロキシ有機分子、並びにアルコキシベンゼンが挙げられる。幾つかの特定の実施態様においては、活物質は、マグネシウム又はリチウムを含んでいよう。
【0025】
活物質は、反応Iによって、電気化学セル100の放電の間に、放電の間のアノード110で酸化され、かつ充電の間にアノード110で還元される:
M→M+e
【0026】
このように、少なくとも部分的に充電されている場合に、アノードは、還元された活物質を含有していることとなる。反応Iの一般的な例が、+1の電荷を有する一価カチオンへと酸化された活性金属の原子、及び単一の電子を示している一方で、活性金属の種別に応じ、一度の酸化反応で二価又は多価カチオン及び1個超の電子を生み出してもよいことが理解できよう。代替的には、有機活物質は、酸化時に電荷を得なくてもよい。活物質が金属/金属カチオンである実例において、アノードは、金属からなっていてよい。他のかかる実例においては、アノードは、マグネシウムセルにおけるマグネシウムの挿入のため、異なる金属、例えばスズ挿入アノードで作られていてよい。幾つかの実例において、アノードは、インターカレーション材料、例えばグラファイト、又は遷移金属ジカルコゲナイドであってよい。
【0027】
上記のように、電解液130は、上記の開示したイオン液体を含む。電解液130はまた、アノード110とカソード120との間の活物質の輸送を促進するため、イオン性シャトル塩(ionic shuttle salt)を含んでいてもよい。多くのかかる態様において、シャトル塩は、酸化されている状態の活物質をカチオンとして含む。例えば、電気化学セルがLi−イオンセルである態様において、電解液130は、LiTFSI、又はLi−イオンセルに適している随意の他のイオン性シャトル塩を含んでいてよい。同様に、電気化学セルがマグネシウムセルである態様において、電解液130は、Mg[CB1112、又はマグネシウムセルに適している随意の他のイオン性シャトル塩を含んでいてよい。幾つかの実施態様においては、電解液はまた、イオン液体と混合されている共溶媒を含んでいてもよい。かかる共溶媒を任意選択的に採用して、電解液130におけるイオン性シャトル塩の溶解性を上昇させること、電解液130の粘度を低減させること、又はこれらの両方により、電解液130の伝導性を向上させることができる。適切な共溶媒の非限定的な例としては、以下が挙げられる:多座配位子として金属カチオンに配位できる溶媒、例えばグリム又は他のポリエーテル;極性であるが非配位性又は弱配位性の溶媒、例えばテトラヒドロフラン;又は無極性で非配位性の溶媒、例えばトルエン。図5は、電解液である[N4(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112]中の0.2M LiTFSI電解液、ニッケル作用電極、及びリチウム対電極を有するLi−イオンセルについての4サイクルのサイクリックボルタメトリーを示している。結果は、顕著に広い電位ウィンドウに亘り、複数のサイクルについて、セルが安定したサイクルを経たことを示している。
【0028】
カソード120は、セル100の電気化学性に適しており、かつアノード110に対して適した酸化還元電位を有する随意の材料からなっていてよい。かかる材料の適切であるが非限定的な例としては、シュブレル相モリブデン化合物、例えばMo、FeSiO、K−αMnO、FePO、Cu、TiS、NbS、Liテレフタレート、ケイ素、グラファイト、硫黄、有機硫黄化合物、空気、酸素、又は随意の他の適切な材料を挙げることができる。
【0029】
イオン液体の合成方法も開示する。イオン液体は、上記のイオン液体のようなものである。開示する方法は、第四級塩を、ホウ素クラスター塩と接触させて、塩メタセシス反応によりイオン液体を生成する工程を含む。第四級塩は、上記の第四級カチオン及び適切なアニオンを有する。このように、第四級塩は、式AZを有すると考えることができ、式中、Aは記載したアンモニウム又はホスホニウムカチオンであり、かつZはアニオンである。ホウ素クラスター塩は、上記のホウ素クラスターアニオン、及び結合カチオンを有する。結合カチオンは、典型的にはアルカリ金属カチオンであるが、潜在的には錯カチオン、又はカチオンの混合物を含む他のカチオンにもできよう。メタセシス反応の化学量論性は、用いた実際の種に依存して変動するが、結合カチオンが+1の電荷を有する変形態様においては、反応IIに従って進む:
Q+pAZ→pMZ+AQ II
式中、Mは結合カチオンであり、かつA、Q、Z及びpは、上で定義したとおりである。結合カチオンが+1の電荷を有するかかる態様においては、ホウ素クラスターアニオンが−2の電荷を有する場合には、pが2となり、かつホウ素クラスターアニオンが−1の電荷を有する場合には、pが1となる。例えば、メタセシス反応は、反応III又はIVに従って進むことができよう:
Cs[B1212]+2[N2(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)]Br
→2CsBr+[N2(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)[B1212] III
Cs[CB1112]+[N4(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)]Br
→CsBr+[N4(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112] IV
【0030】
メタセシスは、ハロゲン化合物及び結合カチオンの塩を、副生成物として生成することが容易に理解できよう。
【0031】
イオン液体を合成する方法は、新たに合成したイオン液体を単離する工程を更に含んでもよい。多くの実施態様においては、第四級塩をホウ素クラスター塩と接触させる工程(以下では、「メタセシス」として代わりに言及する)は、反応体及び副生成物が可溶性であるが、イオン液体生成物が実質的に不溶性及び/又は非混和性、例えば0.01M未満、又は0.001M未満の溶解性を有する、メタセシス溶媒中で行うことができる。したがって、メタセシスをイオン液体の融点よりも低い温度で行った場合、イオン液体生成物は、不溶性の固体沈殿物を生成する;また、メタセシスをイオン液体の融点よりも高い温度で行った場合、イオン液体生成物は、分離した非混和液層として生成する。イオン液体が不溶性固体として生成する態様においては、新たに合成したイオン液体を単離する工程は、例えばろ過又は遠心分離してデカントすることにより容易に行うことができる。イオン液体が非混和液層として生成する態様において、イオン液体を単離させる工程は、ジクロロメタン等の抽出溶媒による溶媒抽出により行うことができる。固体沈殿物又は非混和液層としてイオン液体が生成する適切なメタセシス溶媒としては、種々の態様において、水、メタノール、エタノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
イオン液体を合成する方法は、単離したイオン液体を精製する工程を更に含んでもよい。種々の態様において、単離したイオン液体を精製する工程は、以下により行うことができる:単離したイオン液体を固体吸着剤、例えば活性アルミナ、シリカ、又は活性炭と接触させること;単離したイオン液体を高水反応性金属、例えばリチウム金属又はマグネシウムの削り屑と接触させること;単離したイオン液体を真空で100℃までの温度に加熱すること;及び上記の方法の随意の組合せ。単離したイオン液体を精製する工程は、イオン液体と混和性である共溶媒、例えばジクロロメタン又はトルエンの存在中で行うことができる。
【0033】
図6Aは、メタセシス反応混合物から単離したが、追加の精製を施していない、開示したイオン液体のH NMRスペクトルを示している。ホウ素クラスターアニオンからのプロトン、及びアンモニウム側鎖のアームからのC−Hプロトンを符号付けしている。ジメチルスルホキシドを測定基準として添加している。図6Aからわかるように、合成して抽出したが、追加の精製を施していないイオン液体は、メタセシス反応混合物からの実際の水を維持している。このように、少量の水の存在が有害となり得る用途、例えば多くの電気化学的用途のためには、精製が恐らく好ましいことが認識できよう。図6B及び6Cは、単離したイオン液体を精製する工程を含む、開示した方法に従って合成した、[N2(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112]及び[N4(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112]のH NMRスペクトルをそれぞれ示している。図6B及び6CのNMRスペクトルは、精製したイオン液体が実質的に乾燥されており、かつ少量の水が有害となり得る用途における使用に適していることを確証している。
【0034】
図6B及び6Cのイオン液体は、図7に示すWaldenプロット、すなわち典型的なイオン液体のイオン性の程度を示す、モル伝導度(Λ)対粘度(η)のlog−logプロットにより決定されているように、良好な解離特性を有する。開示したイオン液体は、良好な直線性を、実質的に10%超の、完全に解離した0.01MのKClの「理想的な」場合に近い電離と共に示している。
【0035】
次の実施例に関連して、本発明を更に説明する。これらの実施例は、本発明の特定の実施例を説明するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0036】
〈実施例:イオン液体の合成〉
いずれの実例においても、第四級塩[N2(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)]Br及び[N4(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)]Brを、それぞれCsCB1112に水中で12時間接触させた。その後のメタセシスは、それぞれ水不溶性の[N2(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112]又は[N4(2O2O1)(2O2O1)(2O2O1)][CB1112]、及びCsBrの生成を溶液中でもたらす。新たに合成したイオン液体を、ジクロロメタンによる抽出により精製し、その後に溶離液としてジクロロメタンを用いて、木炭及び活性アルミナに接触させた。
【0037】
ここまでの記載は、実際には単に例示的なものであり、本開示、その用途、又は使用を制限することを決して意図しているものではない。ここで用いる場合には、A、B及びCのうちの少なくとも1つとのフレーズは、非排他的論理的な「又は」を用いた、論理的な(A又はB又はC)を意味するものと解釈されるべきである。方法における種々の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で実行してもよいことが理解されるべきである。範囲の開示は、範囲全体のうちの、全ての範囲及び細分化された範囲を含む。
【0038】
ここで用いた見出し(例えば「背景」及び「概要」)並びに小見出しは、本開示におけるトピックの一般的な体系化のみを意図したものであり、本技術の開示又はその随意の態様を制限することを意図したものではない。上記の特徴を有する複数の実施態様の記述は、追加の特徴を有する他の実施態様、又は上記の特徴の異なる組合せを組み込んだ他の実施態様を排除することを意図したものではない。
【0039】
ここで用いる場合には、「含む(comprise)」及び「含む(include)」という用語及びそれらの変化形は、連続する又はリスト内の項目の記述が、本技術のデバイス及び方法においても有用であり得る他の同様の項目を排除することのないように、非限定的であることを意図している。同様に、「できる(can)」及び「してもよい、得る(may)」という語句及びそれらの変化形は、実施例がある要素若しくは特徴を含むことができ又は含んでもよい、との記述が、これらの要素又は特徴を包含していない本技術の他の実施態様を除外しないように、非限定的であることを意図している。
【0040】
本開示の広範囲な教示は、種々の形態で実施することができる。したがって、本開示は、特定の例を含む一方で、本開示の真の範囲はそれに制限されるべきでない、なぜならば、当業者には、本明細書及び以下の特許請求の範囲を考察すれば他の修正態様が明らかであるからである。1つの態様又は種々の態様に対するここでの参照は、実施態様又は特定のシステムに関連して記述された特定の特徴、構造又は特性が、少なくとも1つの実施態様又は態様に含まれることを意味する。「1つの態様において」(又はその変化形)との表現の出現は、必ずしも同一の態様又は実施態様を言及していない。本開示で論じられた種々の方法工程が、図示されたのと同一の順序で実施される必要はなく、各方法工程が各態様又は実施態様で必要とされるわけでもないことも理解されるべきである。
【0041】
実施態様のここまでの記載は、図示及び説明の目的のために提供している。この記載は、網羅的であること又は本開示を制限することを意図していない。特定の実施態様の個々の要素又は特徴は、概して特定の実施態様の要素又は特徴に限定されないが、必要に応じ、具体的に明示又は記載していなくても、選択した実施態様において互いに代替可能であり、かつ用いることができる。選択した実施態様は、様々に変化させてもよい。かかる変形態様は、本開示を逸脱するものとみなすべきではなく、全てのかかる変形態様が、本開示の範囲内に含まれることを意図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
【外国語明細書】
2019053979000001.pdf