特開2019-5423(P2019-5423A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スギタの特許一覧

<>
  • 特開2019005423-傘 図000003
  • 特開2019005423-傘 図000004
  • 特開2019005423-傘 図000005
  • 特開2019005423-傘 図000006
  • 特開2019005423-傘 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-5423(P2019-5423A)
(43)【公開日】2019年1月17日
(54)【発明の名称】傘
(51)【国際特許分類】
   A45B 25/02 20060101AFI20181214BHJP
【FI】
   A45B25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-125810(P2017-125810)
(22)【出願日】2017年6月28日
(71)【出願人】
【識別番号】512021003
【氏名又は名称】株式会社スギタ
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】杉田 佳之
(57)【要約】
【課題】傘において、開いた場合にユーザを雨から保護する範囲を広げる一方、閉じた場合に傘をコンパクトにする。
【解決手段】傘10においては、下ロクロ127が上端に位置する場合に、補助骨140の露先142は、補助骨140が取り付けられた親骨115の露先117よりも石突き110から遠い位置にある。そして、下ロクロ127が上端に位置する場合の方が下端に位置する場合よりも、補助骨140の露先142が石突き110から遠い位置にある。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中棒と、
前記中棒に摺動可能に取り付けられた下ロクロと、
前記下ロクロの摺動によって各々が前記中棒に対して開閉する複数の骨群とを備え、
前記複数の骨群の各々は、
一方の端部が前記中棒の上端部に回動可能に取り付けられるとともに、他方の端部に露先が設けられた親骨と、
前記親骨に摺動可能に取り付けられるとともに、外周方向の端部に露先が設けられた補助骨と、
一方の端部が前記補助骨に回動可能に取り付けられるとともに、他方の端部が前記下ロクロに回動可能に取り付けられた受骨とを含み、
前記下ロクロが上端に位置する場合に、前記補助骨の露先は、前記補助骨が取り付けられた親骨の露先よりも前記上端部から遠い位置にあり、
前記下ロクロが上端に位置する場合の方が下端に位置する場合よりも、前記補助骨の露先が前記上端部から遠い位置にある、傘。
【請求項2】
前記下ロクロが下端に位置する場合に、前記補助骨の露先は、前記補助骨が取り付けられた親骨の露先よりも前記上端部に近い位置にある、請求項1に記載の傘。
【請求項3】
前記複数の骨群の各々は、一方の端部が前記受骨に回動可能に取り付けられ、他方の端部が前記親骨に回動可能に取り付けられた連結骨をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017−38898号公報(特許文献1)は、把持部を備える洋傘を開示する。この洋傘において、把持部の形状は五角形である。ユーザがこの把持部を把持すると、洋傘の傘布の中心位置が、一般的な洋傘の把持部を把持する場合と比較してユーザ側に近づく。その結果、ユーザが傘布からはみ出しにくくなる。したがって、この洋傘によれば、ユーザが雨に濡れる可能性を低減することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−38898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが雨に濡れる可能性を低減することは、上記特許文献1に開示される方法の他、傘がユーザを雨から保護する範囲を広げること(たとえば、親骨の延長及び傘布の拡張)でも実現可能である。しかしながら、傘がユーザを雨から保護する範囲を単純に広げると、傘の長さが長くなってしまう。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、傘において、開いた場合にユーザを雨から保護する範囲を広げる一方、閉じた場合に傘をコンパクトにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従う傘は、中棒と、下ロクロと、複数の骨群とを備える。下ロクロは、中棒に摺動可能に取り付けられている。骨群は、下ロクロの摺動によって各々が中棒に対して開閉する。複数の骨群の各々は、親骨と、補助骨と、受骨とを含む。親骨は、一方の端部が中棒の上端部に回動可能に取り付けられるとともに、他方の端部に露先が設けられている。補助骨は、親骨に摺動可能に取り付けられるとともに、外周方向の端部に露先が設けられている。受骨は、一方の端部が補助骨に回動可能に取り付けられるとともに、他方の端部が下ロクロに回動可能に取り付けられている。下ロクロが上端に位置する場合に、補助骨の露先は、補助骨が取り付けられた親骨の露先よりも上端部から遠い位置にある。そして、下ロクロが上端に位置する場合の方が下端に位置する場合よりも、補助骨の露先が上端部から遠い位置にある。
【0007】
この傘においては、下ロクロが上端に位置する場合の方が下端に位置する場合よりも、補助骨の露先が上端部から遠い位置にある。すなわち、この傘においては、傘を開くことによって、補助骨の露先が上端部から遠ざかる方向に移動して親骨の露先よりも遠い位置まで移動するとともに、傘を閉じることによって、補助骨の露先が上端部に近づく方向に移動する。したがって、この傘によれば、ユーザは、傘を開くことによって傘がユーザを雨から保護する範囲を広げることができるとともに、傘を閉じることによって傘をコンパクトにすることができる。
【0008】
上記傘において、下ロクロが下端に位置する場合に、補助骨の露先は、補助骨が取り付けられた親骨の露先よりも上端部に近い位置にあってもよい。
【0009】
この傘においては、下ロクロが下端に位置する場合には、補助骨の露先が、補助骨が取り付けられた親骨の露先よりも上端部に近い位置にある一方、下ロクロが上端に位置する場合には、補助骨の露先が、補助骨が取り付けられた親骨の露先よりも上端部から遠い位置にある。すなわち、この傘においては、傘を開くことによって、補助骨の露先が親骨の露先よりも外側に移動するとともに、傘を閉じることによって、補助骨の露先が親骨の露先よりも内側に移動する。したがって、この傘によれば、ユーザは、傘を開くことによって傘がユーザを雨から保護する範囲を広げることができるとともに、傘を閉じることによって傘を最大限コンパクトにすることができる。
【0010】
上記傘において、複数の骨群の各々は、一方の端部が受骨に回動可能に取り付けられ、他方の端部が親骨に回動可能に取り付けられた連結骨をさらに備えてもよい。
【0011】
この傘においては、連結骨が親骨と受骨との間に設けられている。連結骨が設けられることによって、下ロクロを摺動させることによって生じる力を補助骨を介さずに親骨に伝達することができる。受骨及び親骨は摺動しないため、下ロクロを摺動させることによって生じる力は、親骨に効率的に伝達される。したがって、この傘によれば、ユーザは、傘に連結骨が設けられない場合と比較して、小さい力で傘を開閉することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、傘において、開いた場合にユーザを雨から保護する範囲を広げることができる一方、閉じた場合に傘をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】傘10の斜視図である。
図2】傘10の上面図である。
図3図2のIII−III断面図である。
図4】傘を閉じる途中において、傘を図2のIII−III方向から見た図である。
図5】傘を閉じた状態において、傘を図2のIII−III方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
[1.傘の外観構成]
図1は、本実施の形態に従う傘10の斜視図である。図2は、本実施の形態に従う傘10の上面図である。図1,2に示されるように、傘10は、複数の親骨115と、複数の補助骨140とを含んでいる。親骨115には傘布15が張られ、補助骨140には傘布20が張られている。詳細については後述するが、補助骨140は、親骨115に対してスライド可能に取り付けられている。
【0016】
傘10を閉じると、補助骨140が石突き110に近づく方向にスライドする。その結果、傘布20が傘布15の裏側に隠れる。傘10を開くと、補助骨140が石突き110から離れる方向にスライドする。その結果、傘布20が傘布15よりも外周側に現れる。
【0017】
すなわち、傘10によれば、傘を開いた場合にユーザを雨から保護する範囲を広げることができる一方、傘を閉じた場合に傘をコンパクトにすることができる。以下、傘10の構造及び開閉動作について詳細に説明する。
【0018】
[2.傘の構造]
図3は、図2のIII−III断面図である。なお、図3においては、傘10から傘布15,20が取り外されている。また、他の親骨115及び補助骨140に沿った断面も同様の構造となっている。
【0019】
図3に示されるように、傘10は、中棒100と、手元105と、石突き110と、下ロクロ127と、複数の骨群112とを含んでいる。複数の骨群112の各々は、親骨115と、連結骨120と、受骨125と、補助骨140とを含んでいる。骨群112の骨群の各々は、下ロクロ127の摺動によって中棒100に対して開閉する。
【0020】
中棒100の一端(下端)には手元105が設けられ、中棒100の他端(上端)には石突き110が設けられている。中棒100には、さらに下ロクロ127が摺動可能に取り付けられている。中棒100の上端部には、複数の親骨115が回動可能に取り付けられている。
【0021】
親骨115の外周方向の端部には、露先117が設けられている。また、親骨115には、スライド部材130,135を介して補助骨140が摺動可能に取り付けられている。
【0022】
スライド部材130,135の各々は、補助骨140に固定されており、内部に貫通孔を有している。スライド部材130,135の各々の貫通孔には親骨115が貫通している。親骨115の直径に対して貫通孔の直径にゆとりがあるため、親骨115に対して補助骨140が摺動可能となっている。補助骨140の外周方向の端部には、露先142が設けられている。なお、傘布20は、スライド部材135と露先142との間に張られている。
【0023】
受骨125の一方の端部は補助骨140(又はスライド部材130)に回動可能に取り付けられ、受骨125の他方の端部は下ロクロ127に回動可能に取り付けられている。
【0024】
連結骨120の一方の端部は、受骨125に回動可能に取り付けられている。連結骨120の他方の端部は、親骨115に回動可能に取り付けられている。より具体的には、連結骨120の他方の端部は、親骨115において、補助骨140の石突き110寄りの端部と、石突き110との間の位置に回動可能に取り付けられている。次に、傘10の開閉動作について説明する。
【0025】
[3.傘の開閉動作]
図4は、傘10を閉じる途中において、傘10を図2のIII−III方向から見た図である。図5は、傘10を閉じた状態において、傘10を図2のIII−III方向から見た図である。なお、図4,5においては、傘10から傘布15,20が取り外されている。
【0026】
図4に示されるように、下ロクロ127が上端から下方に下げられると、受骨125が下ロクロ127及び補助骨140に対して回動し、補助骨140が親骨115に対して摺動することによって、補助骨140が石突き110側に移動する。これによって、露先142が石突き110側に移動する。
【0027】
本実施の形態に従う傘10においては、連結骨120が設けられており、下ロクロ127を下方に移動させる力(傘を閉じる力)が親骨115に容易に伝わり、連結骨120が設けられない場合よりも小さい力で傘10の開閉が可能となっている。
【0028】
図5に示されるように、下ロクロ127が下端に達すると、補助骨140の露先142が親骨115の露先117よりも石突き110側に位置する。すなわち、補助骨140が親骨115の内側に完全に隠れる。
【0029】
[4.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う傘10においては、下ロクロ127が上端に位置する場合に、補助骨140の露先142は、補助骨140が取り付けられた親骨115の露先117よりも石突き110から遠い位置にある。そして、下ロクロ127が上端に位置する場合の方が下端に位置する場合よりも、補助骨140の露先142が石突き110から遠い位置にある。
【0030】
すなわち、傘10においては、傘10を開くことによって、補助骨140の露先142が石突き110から遠ざかる方向に移動して親骨115の露先117よりも遠い位置まで移動するとともに、傘10を閉じることによって、補助骨140の露先142が石突き110に近づく方向に移動する。したがって、この傘10によれば、ユーザは、傘10を開くことによって傘10がユーザを雨から保護する範囲を広げることができるとともに、傘10を閉じることによって傘10をコンパクトにすることができる。
【0031】
[5.変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。但し、以下の変形例は適宜組合せ可能である。
【0032】
<5−1>
上記実施の形態に従う傘10は、骨群112を10組含むこととした。しかしながら、骨群112の数はこれに限定されない。たとえば、骨群112の数は、8組であってもよいし、12組であってもよい。骨群112の数は何組であってもよい。
【0033】
<5−2>
上記実施の形態に従う傘10においては、傘10を閉じた場合に、補助骨140の露先142が親骨115の露先117よりも石突き110に近づくこととした。しかしながら、傘10を閉じた場合の露先142の位置はこれに限定されない。たとえば、傘10を閉じた場合に、露先142が露先117よりも石突き110から遠くに位置することとしてもよい。この場合においても、露先142は、傘10を開いている場合よりは、石突き110の近くに位置する必要がある。
【0034】
<5−3>
上記実施の形態に従う傘10においては、連結骨120が設けられた。しかしながら、連結骨120は、必ずしも設けられなくてもよい。連結骨120が設けられなかったとしても、下ロクロ127の摺動に大きい力を用いることによって、傘10を開閉することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 傘、15,20 傘布、100 中棒、105 手元、110 石突き、112 骨群、115 親骨、117,142 露先、120 連結骨、125 受骨、127 下ロクロ、130,135 スライド部材、140 補助骨。
図1
図2
図3
図4
図5