特開2019-54345(P2019-54345A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-54345(P2019-54345A)
(43)【公開日】2019年4月4日
(54)【発明の名称】信号検出回路
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20190308BHJP
   G08B 17/00 20060101ALN20190308BHJP
【FI】
   H04Q9/00 301C
   G08B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-175913(P2017-175913)
(22)【出願日】2017年9月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】森林 真介
(72)【発明者】
【氏名】木村 誠一
【テーマコード(参考)】
5G405
5K048
【Fターム(参考)】
5G405AA01
5G405AA03
5G405AA06
5G405AC02
5G405AC05
5G405AD02
5G405AD04
5G405BA01
5G405CA01
5G405CA09
5G405CA27
5G405CA36
5G405CA52
5G405DA05
5G405DA11
5G405DA13
5G405DA21
5G405EA02
5G405EA03
5G405EA22
5G405EA27
5G405EA31
5G405EA33
5K048AA09
5K048BA51
5K048DA05
5K048DC03
5K048EA23
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】変調信号を精度良く復調する。
【解決手段】信号検出回路10は、火災報知設備の通信に係る通信線Lcの電圧に基づく電圧と、基準電圧との差に基づく比較信号を出力するコンパレータ13と、比較信号に基づいて周波数変調された通信信号が通信線Lcに流れていることを検出した後に、第1基準電圧又は第1基準電圧よりも低レベルの第2基準電圧を基準電圧としてコンパレータ13に入力する基準電圧発生部14と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信線の電圧に基づく電圧と、基準電圧との差に基づく比較信号を出力する電圧比較部と、
前記比較信号に基づいて周波数変調された通信信号が前記通信線に流れていることを検出した後に、第1基準電圧又は第1基準電圧よりも低レベルの第2基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力する基準電圧発生部と、
を有する信号検出回路。
【請求項2】
前記電圧比較部は、前記通信線の電圧に基づく電圧が前記基準電圧以上の電圧である場合に、第1レベルの前記比較信号を出力し、前記通信線の電圧に基づく電圧が前記基準電圧未満の電圧である場合に、前記第1レベルと反対の論理の第2レベルの前記比較信号を出力し、
前記基準電圧発生部は、前記第1基準電圧を前記電圧比較部に入力している間に前記比較信号が前記第2レベルから前記第1レベルに変化したことに応じて、前記電圧比較部に入力する前記基準電圧を、前記第1基準電圧から前記第2基準電圧に切り替える、
請求項1に記載の信号検出回路。
【請求項3】
前記基準電圧発生部は、前記第2基準電圧を前記電圧比較部に入力している間に前記比較信号が前記第1レベルから前記第2レベルに変化したことに応じて、前記電圧比較部に入力する前記基準電圧を、前記第2基準電圧から前記第1基準電圧に切り替える、
請求項2に記載の信号検出回路。
【請求項4】
前記基準電圧発生部は、前記電圧比較部における前記比較信号の出力部と、前記基準電圧の入力部との間に設けられ、前記第1基準電圧と前記第2基準電圧とを切り替えるための抵抗及びコンデンサを有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の信号検出回路。
【請求項5】
前記基準電圧発生部は、前記比較信号の電圧が所定の時間以上にわたって変化しない状態において前記第2基準電圧よりも低レベルの第3基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力し、前記比較信号が、前記通信線の電圧に基づく電圧が前記第3基準電圧以上の状態から前記第3基準電圧未満の状態に遷移したことを示した後に、前記第1基準電圧又は前記第2基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の信号検出回路。
【請求項6】
前記基準電圧発生部は、前記比較信号の電圧が前記所定の時間よりも短い時間に変化している間は、前記第1基準電圧又は前記第2基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力し、前記比較信号の電圧が所定の時間以上にわたって変化しない状態に遷移すると、前記第3基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力する、
請求項5に記載の信号検出回路。
【請求項7】
前記基準電圧発生部は、前記電圧比較部における前記比較信号の出力部と、前記基準電圧の入力部との間に設けられ、前記第3基準電圧を生成するためのトランジスタ回路を有する、
請求項5又は6に記載の信号検出回路。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災報知設備の通信に係る通信信号を検出する信号検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送信対象のデータをFSK(Frequency Shift Keying)変調して通信を行う方式が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−183782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FSK変調された変調信号は、検波された後にコンパレータに入力される。コンパレータは、検波された変調信号の電圧と、基準電圧とに基づいて、第1レベル信号又は第1レベルと反対の論理の第2レベル信号を出力する。コンパレータの後段に接続されているCPU(Central Processing Unit)は、第1レベル信号及び第2レベル信号に基づいて二値のデータに変換し、復調を行う。
【0005】
ところで、変調信号には、信号の立上がり時又は立下り時にリンギングが発生したり、信号にノイズ等が重畳されたりすることにより、変調信号の電圧が変動する場合がある。変調信号が、コンパレータに入力される基準電圧の値の付近で変動する場合にはチャタリングが発生し、CPUにおいて変調信号を正しく復調できないという問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、変調信号を精度良く復調することができる信号検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る信号検出回路は、通信線の電圧に基づく電圧と、基準電圧との差に基づく比較信号を出力する電圧比較部と、前記比較信号に基づいて周波数変調された通信信号が前記通信線に流れていることを検出した後に、第1基準電圧又は第1基準電圧よりも低レベルの第2基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力する基準電圧発生部と、を有する。
【0008】
前記電圧比較部は、前記通信線の電圧に基づく電圧が前記基準電圧以上の電圧である場合に、第1レベルの前記比較信号を出力し、前記通信線の電圧に基づく電圧が前記基準電圧未満の電圧である場合に、前記第1レベルと反対の論理の第2レベルの前記比較信号を出力し、前記基準電圧発生部は、前記第1基準電圧を前記電圧比較部に入力している間に前記比較信号が前記第2レベルから前記第1レベルに変化したことに応じて、前記電圧比較部に入力する前記基準電圧を、前記第1基準電圧から前記第2基準電圧に切り替えてもよい。
【0009】
前記基準電圧発生部は、前記第2基準電圧を前記電圧比較部に入力している間に前記比較信号が前記第1レベルから前記第2レベルに変化したことに応じて、前記電圧比較部に入力する前記基準電圧を、前記第2基準電圧から前記第1基準電圧に切り替えてもよい。
【0010】
前記基準電圧発生部は、前記電圧比較部における前記比較信号の出力部と、前記基準電圧の入力部との間に設けられ、前記第1基準電圧と前記第2基準電圧とを切り替えるための抵抗及びコンデンサを有してもよい。
【0011】
前記基準電圧発生部は、前記比較信号の電圧が所定の時間以上にわたって変化しない状態において前記第2基準電圧よりも低レベルの第3基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力し、前記比較信号が、前記通信線の電圧に基づく電圧が前記第3基準電圧以上の状態から前記第3基準電圧未満の状態に遷移したことを示した後に、前記第1基準電圧又は前記第2基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力してもよい。
【0012】
前記基準電圧発生部は、前記比較信号の電圧が前記所定の時間よりも短い時間に変化している間は、前記第1基準電圧又は前記第2基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力し、前記比較信号の電圧が所定の時間以上にわたって変化しない状態に遷移すると、前記第3基準電圧を前記基準電圧として前記電圧比較部に入力してもよい。
【0013】
前記基準電圧発生部は、前記電圧比較部における前記比較信号の出力部と、前記基準電圧の入力部との間に設けられ、前記第3基準電圧を生成するためのトランジスタ回路を有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、変調信号を精度良く復調することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る防火システムの構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る信号検出回路の構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る基準電圧発生部の回路構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る信号検出回路に入力される入力信号の電圧波形と、コンパレータの入力端子に入力される電圧の波形と、出力端子から出力される比較信号の電圧波形とを示す図である。
図5図4に示すコンパレータの入力端子に入力される電圧の波形と、コンパレータの出力端子から出力される電圧の波形との部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[防火システム100の概要]
図1は、本実施形態に係る防火システム100の構成を示す図である。防火システム100は、火災報知設備としての複数の感知器1、区画閉鎖装置2、防災制御盤3、制御装置4及び火災センサー7により構成されている。防火システム100は、複数の感知器1のいずれかが火災を感知した場合に、防災制御盤3及び制御装置4が連動して区画閉鎖装置2を閉めることで、火災が他の区画に広がることを防ぐためのシステムである。防災制御盤3と制御装置4とは、防災制御盤3から制御装置4に電力を供給する電源線Lp、及び信号を伝送するための通信線Lcにより接続されている。防災制御盤3と感知器1とは、通信線Lcにより接続されている。なお、電源線Lpを介して防災制御盤3から感知器1に電力を供給してもよい。また、通信線Lcが電源線Lpを兼ねていてもよい。
【0017】
感知器1は、火災を感知すると、防災制御盤3との間で接続された通信線Lcを介して、火災を感知したことを示す通信信号である火災信号を防災制御盤3に送信する。区画閉鎖装置2は、例えば、防火シャッター又は防火扉であり、建物内の区画の境界位置に設けられている。
【0018】
防災制御盤3は、複数の感知器1の少なくともいずれかから火災信号を受信した場合に、通信線Lcを介して、区画閉鎖装置2を閉鎖させるための指示を含む通信信号である連動信号を制御装置4に送信する。防火システム100には、複数の区画閉鎖装置2が設置されており、防災制御盤3は、火災信号を送信した感知器1に対応する区画閉鎖装置2に対して連動信号を送信する。火災信号を送信した感知器1に対応する区画閉鎖装置2は、例えば、火災信号を送信した感知器1が含まれている区画と、当該区画と隣接する区画との間に設けられた区画閉鎖装置2である。
【0019】
制御装置4は、防災制御盤3から連動信号を受信した場合に区画閉鎖装置2を閉鎖させる。また、制御装置4は、電源線Lp及び通信線Lcの少なくともいずれかの異常を検出した場合にも、区画閉鎖装置2を閉鎖させる。この場合、制御装置4は、区画閉鎖装置2を閉鎖するための電力を、電源線Lpを介して防災制御盤3から供給される電力から、制御装置4が内蔵する電池が供給する電力に切り換えて、電池が供給する電力により区画閉鎖装置2を閉鎖させる。
【0020】
制御装置4は、中継器5と装置制御盤6とを有する。中継器5と装置制御盤6との間は、通信線Lc、電源線Lp及び制御線Dにより接続されている。制御線Dは、中継器5が防災制御盤3から連動信号を受信したことに応じて、区画閉鎖装置2を閉鎖させるための指示を装置制御盤6に通知するためのケーブルである。
【0021】
中継器5は、連動信号に基づいて装置制御盤6に区画閉鎖装置2を閉鎖させるための制御信号を発生させる。具体的には、中継器5は、区画閉鎖装置2を閉鎖させる指示を含む連動信号を受信した場合に、制御線Dの電圧を所定の電圧に変化させることにより制御信号を発生する。
【0022】
装置制御盤6は、例えば中継器5から電源線Lpを介して供給される電力、又は装置制御盤6が内蔵する電池により供給される電力を用いて区画閉鎖装置2を駆動するためのソレノイドを動作させることにより、区画閉鎖装置2を閉鎖させる。装置制御盤6は、電源線Lp及び通信線Lcに異常が発生していない状態において、中継器5から入力される制御信号に基づいて区画閉鎖装置2を駆動し、電源線Lp及び通信線Lcの少なくともいずれかに異常が発生している状態において、火災センサー7から入力される火災検知信号に基づいて区画閉鎖装置2を駆動する。
【0023】
本実施形態において、感知器1、防災制御盤3、中継器5及び装置制御盤6等の火災報知設備は、火災報知設備の通信に係る通信信号を検出する信号検出回路10を備える。ここで、通信信号は、FSK変調されている。
【0024】
信号検出回路10は、通信線Lcに通信信号が流れていることを検出すると、第1基準電圧又は第1基準電圧よりも低レベルの第2基準電圧を基準電圧とし、当該基準電圧と、通信線Lcに対応する電圧との差に基づく比較信号を出力信号として出力する。火災報知設備は、信号検出回路10から出力される出力信号に対応する処理を行う。
【0025】
このようにすることで、信号検出回路10は、通信信号の立上がり時又は立下り時にリンギングが発生したり、通信信号にノイズ等が重畳されていることによりリンギングが発生したりしても、チャタリングを防止して通信信号を精度良く検出することができる。
続いて、信号検出回路10の構成について説明する。
【0026】
[信号検出回路10の構成]
図2は、本実施形態に係る信号検出回路10の構成を示す図である。信号検出回路10は、フィルタ部11と、信号レベル調整部12と、電圧比較部としてのコンパレータ13と、基準電圧発生部14とを備える。
【0027】
フィルタ部11は、例えば、抵抗及びコンデンサにより構成されるローパスフィルタ及びハイパスフィルタを含む。フィルタ部11には、通信線Lcを介して受信した入力信号が入力される。フィルタ部11は、ローパスフィルタにより入力信号に含まれる低周波成分を除去するとともに、ハイパスフィルタにより所定周波数よりも高い周波数の信号を通過させて、信号レベル調整部12に出力する。
信号レベル調整部12は、抵抗、コンデンサ、及びダイオードを有し、フィルタ部11を通過した信号のレベルが所定範囲内となるように調整する回路である。
【0028】
コンパレータ13は、火災報知設備の通信に係る通信線Lcの電圧に基づく電圧と、基準電圧との差に基づく比較信号を出力する。コンパレータ13のマイナス入力端子には、通信線Lcの電圧に基づく電圧として、例えば、フィルタ部11及び信号レベル調整部12によって電圧レベルが低く調整された信号の電圧が入力される。また、コンパレータ13のプラス入力端子には、基準電圧が入力される。
【0029】
コンパレータ13は、マイナス入力端子に入力される通信線Lcの電圧に基づく電圧が、プラス入力端子に入力される基準電圧以上の電圧である場合に、ローレベル(第1レベル)の比較信号を出力する。また、コンパレータ13は、マイナス入力端子に入力される通信線Lcの電圧に基づく電圧が、プラス入力端子に入力される基準電圧未満の電圧である場合に、ローレベルと反対の論理のハイレベル(第2レベル)の比較信号を出力する。
【0030】
コンパレータ13は、信号検出回路10を内蔵している火災報知設備に、出力信号として比較信号を出力する。また、コンパレータ13は、基準電圧発生部14に比較信号を出力する。
【0031】
なお、信号検出回路10を備える火災報知設備は、ハイレベルの出力信号が入力されるまでCPUを動作させないスリープモードで動作する。そして、火災報知設備は、ハイレベルの出力信号が入力されたことに応じてCPUを動作させ、コンパレータ13から出力された信号の復調処理を行う。
【0032】
基準電圧発生部14は、コンパレータ13のプラス入力端子に入力する基準電圧を発生させる回路である。基準電圧発生部14は、電圧レベルが最も高い第1基準電圧と、第1基準電圧よりも低レベルの第2基準電圧と、第2基準電圧よりも低レベルの第3基準電圧とのいずれかを、基準電圧としてコンパレータ13のプラス入力端子に入力する。
【0033】
具体的には、基準電圧発生部14は、比較信号の電圧が所定の時間以上にわたって変化しない状態において、第3基準電圧を基準電圧としてコンパレータ13のプラス入力端子に入力する。基準電圧発生部14は、通信線Lcの電圧に基づく電圧が第3基準電圧以上の状態から第3基準電圧未満の状態に遷移し、コンパレータ13から出力された比較信号が変化したことに基づいて、周波数変調された通信信号が通信線Lcに流れていることを検出する。基準電圧発生部14は、通信信号が通信線Lcに流れていることを検出すると、第1基準電圧又は第2基準電圧を基準電圧としてコンパレータ13のプラス入力端子に入力する。
【0034】
基準電圧発生部14は、第1基準電圧をコンパレータ13に入力している間に比較信号が第2レベルから第1レベルに変化したことに応じて、コンパレータ13に入力する基準電圧を、第1基準電圧から第2基準電圧に切り替える。
【0035】
基準電圧発生部14は、第2基準電圧をコンパレータ13に入力している間に比較信号が第1レベルから第2レベルに変化したことに応じて、コンパレータ13に入力する基準電圧を、第2基準電圧から第1基準電圧に切り替える。
【0036】
基準電圧発生部14は、コンパレータ13から出力される比較信号の電圧が所定の時間よりも短い時間に変化している間は、第1基準電圧又は第2基準電圧を基準電圧としてコンパレータ13に入力し、比較信号の電圧が所定の時間以上にわたって変化しない状態に遷移すると、第3基準電圧を基準電圧としてコンパレータ13に入力する。第3基準電圧が第1基準電圧及び第2基準電圧よりも低く設定されているので、信号検出回路10に変調信号が入力されていない状態で通信線Lcにノイズが重畳された場合に、信号検出回路10がノイズを変調信号であると誤検知して、スリープモードになっているCPUを誤って起動させてしまうことを防止できる。
【0037】
[基準電圧発生部14の回路構成]
続いて、基準電圧発生部14の回路構成を説明し、その後、基準電圧発生部14の詳細な動作を説明する。図3は、本実施形態に係る基準電圧発生部14の回路構成を示す図である。基準電圧発生部14は、電源P1と、抵抗R1〜R4と、コンデンサC1〜C2と、トランジスタ回路141とを備える。
【0038】
抵抗R1は、一端がコンパレータ13に電力を供給する電源P1に接続され、他端がコンパレータ13のプラス入力端子に接続されている。
抵抗R2は、一端がコンパレータ13のプラス入力端子に接続され、他端がグランドに接続されている。
【0039】
抵抗R3は、一端がコンパレータ13のプラス入力端子に接続され、他端がトランジスタ回路141に接続されている。
抵抗R4は、一端がコンパレータ13のプラス入力端子に接続され、他端がコンデンサC2に接続されている。
【0040】
抵抗R1〜抵抗R4は、コンパレータ13のプラス入力端子に入力する基準電圧を切り替えるために用いられる。基準電圧を切り替える場合の動作の詳細については後述する。
【0041】
コンデンサC1は、一端がコンパレータ13のプラス入力端子に接続され、他端がグランドに接続されている。コンデンサC1は、コンデンサC2を通過した高周波信号をグランドに流し、コンパレータ13のプラス入力端子に高周波信号が入力されないようにする。
【0042】
コンデンサC2は、一端がコンパレータ13の出力端子に接続され、他端が抵抗R4に接続されている。コンデンサC2と抵抗R4とは、コンパレータ13の出力端子と、プラス入力端子との間に設けられ、第1基準電圧と第2基準電圧とを切り替えるために用いられる。
【0043】
トランジスタ回路141は、電源P2と、抵抗R5〜R9と、コンデンサC3と、トランジスタTr1、Tr2とを備える。トランジスタ回路141は、コンパレータ13の出力端子と、コンパレータ13のプラス入力端子との間に設けられ、第3基準電圧を生成するために用いられる。
【0044】
抵抗R5は、一端が電源P2に接続され、他端が抵抗R6に接続されている。ここで、図3では、電源P1と電源P2とを分けているが、電源P1と電源P2とは同一の電源であってもよい。
抵抗R6は、一端が抵抗R5に接続され、他端がグランドに接続されている。
抵抗R5及び抵抗R6は、トランジスタTr1のベースに印加する電圧を調整するために用いられる。
【0045】
抵抗R7は、一端が抵抗R5と抵抗R6との接続点に接続され、他端がトランジスタTr2のエミッタに接続されている。抵抗R7は、トランジスタTr1のベースに印加する電圧を調整するために用いられる。
【0046】
コンデンサC3は、一端が抵抗R5と抵抗R6との接続点に接続され、他端がグランドに接続されている。コンデンサC3は、トランジスタTr2がオフ状態からオン状態に変化した後に、再びオフ状態に変化した場合に、所定時間にわたってトランジスタTr1をオン状態にさせないようにするために用いられる。
【0047】
抵抗R8は、一端がコンパレータ13の出力端子に接続され、他端が抵抗R9に接続されている。
抵抗R9は、一端が抵抗R8に接続され、他端がグランドに接続されている。
抵抗R8及び抵抗R9は、トランジスタTr2のベースに印加する電圧を調整するために用いられる。
【0048】
トランジスタTr1は、ベースが抵抗R5と抵抗R6との接続点に接続され、コレクタが抵抗R3に接続され、エミッタがグランドに接続されている。
トランジスタTr2は、ベースが抵抗R8と抵抗R9との接続点に接続され、コレクタが抵抗R7に接続され、エミッタがグランドに接続されている。
【0049】
トランジスタTr2は、トランジスタTr1のオン・オフ状態を切り替えるために用いられる。トランジスタTr1は、抵抗R3に流れる電流を制御し、基準電圧を切り替えるために用いられる。
【0050】
[基準電圧発生部14の動作]
続いて、基準電圧発生部14の動作について説明する。図4は、信号検出回路10に入力される入力信号の電圧波形と、コンパレータ13の入力端子に入力される電圧の波形と、出力端子から出力される比較信号の電圧波形とを示す図である。
【0051】
図4(a)は、通信線Lcを介して信号検出回路10に入力される通信信号の電圧波形を示す図である。図4(b)は、コンパレータ13の入力端子に入力される電圧の波形を示す図である。図4(c)は、コンパレータ13の出力端子から出力される電圧の波形を示す図である。
【0052】
なお、図4(b)において、電圧波形Wpは、コンパレータ13のプラス入力端子に入力される基準電圧の波形を示し、電圧波形Wmは、コンパレータ13のマイナス入力端子に入力される通信信号の電圧波形を示す。
【0053】
また、図5は、図4に示すコンパレータ13の入力端子に入力される電圧の波形と、コンパレータ13の出力端子から出力される電圧の波形との部分拡大図である。図5(a)は、通信信号の入力開始時の電圧波形を示し、図5(b)は、通信信号の入力終了時の電圧波形を示している。
【0054】
まず、図5(a)に示す通信信号の入力開始前、すなわち時間T1よりも前は、コンパレータ13のマイナス入力端子に入力される入力信号が所定時間以上にわたって変化していない。このため、コンパレータ13は、時間T1よりも前にローレベルの比較信号を出力する。
【0055】
また、時間T1よりも前では、トランジスタTr2がオフ状態であり、抵抗R7には電流が流れない。これにより、トランジスタTr1のベースにトランジスタTr1をオン状態とする電圧が印加され、トランジスタTr1はオン状態となっている。また、コンデンサC2はローレベルの比較信号による充電が完了していることから、抵抗R4には電流が流れない状態である。
【0056】
したがって、コンパレータ13のプラス入力端子に入力される基準電圧は、抵抗R2と抵抗R3との並列抵抗と、抵抗R1との抵抗値の比率によって決定される第3基準電圧Vb3となる。例えば、抵抗R1の抵抗値が1MΩ、抵抗R2の抵抗値が1.2MΩ、抵抗R3の抵抗値が3.3MΩ、電源P1の電圧が3.3Vであるとすると、第3基準電圧Vb3は、約1.5Vとなる。これにより、通信信号が入力されていない状態にマイナス端子に入力される電圧と、基準電圧とを十分に乖離させることができ、ノイズ等が入力されてもコンパレータ13にハイレベルの比較信号を出力させないようにすることができる。
【0057】
その後、図5(a)に示す時間T1において、コンパレータ13のマイナス入力端子に第3基準電圧Vb3よりも低い電圧の通信信号が入力されたとする。この場合、コンパレータ13は、ハイレベルの比較信号を出力する。
【0058】
時間T1においてハイレベルの比較信号が出力されると、トランジスタTr2のベースに、トランジスタTr2をオン状態とする電圧が印加され、トランジスタTr2はオン状態に変化する。この場合、コンデンサC3は瞬時に放電するとともに、電源P2から供給される電流が抵抗R7を流れ、トランジスタTr1がオフ状態に変化する。これにより、抵抗R3に電流が流れない状態に変化する。また、時間T1において比較信号がローレベルからハイレベルに変化したことにより、コンデンサC2が充電を開始し、抵抗R4に電流が流れる。
【0059】
したがって、時間T1において、コンパレータ13のプラス入力端子に入力される基準電圧は、抵抗R1と抵抗R4との並列抵抗と、抵抗R2との比率によって決定される第1基準電圧Vb1に変化する。例えば、抵抗R1の抵抗値が1MΩ、抵抗R2の抵抗値が1.2MΩ、抵抗R4の抵抗値が9.1MΩであるとすると、第1基準電圧Vb1は、約2.0Vとなる。ここで、抵抗R4とコンデンサC2とのRC直列回路の過渡応答により、第3基準電圧Vb3から第1基準電圧Vb1に変化するまで若干の遅延が発生する。
【0060】
このように、コンパレータ13のマイナス入力端子に第3基準電圧Vb3よりも低い電圧の通信信号が入力されたことに応じて、基準電圧を第3基準電圧Vb3よりも高い第1基準電圧Vb1に切り替えることにより、通信信号の電圧と基準電圧とを乖離させ、比較信号にチャタリングが発生しないようにすることができる。
【0061】
続いて、時間T2において、コンパレータ13のマイナス入力端子に入力される通信信号の電圧が、第1基準電圧Vb1以上になる。これにより、コンパレータ13は、ローレベルの比較信号を出力する。
【0062】
時間T2においてローレベルの比較信号が出力されると、トランジスタTr2はオフ状態となる。この場合、コンデンサC3は充電を開始するので、トランジスタTr1のベース電圧は低い状態を維持し、トランジスタTr1がオフ状態を維持する。これにより、比較信号がローレベルに変化しても、コンデンサC3の容量に基づいて定められる時間は、抵抗R3に電流が流れない状態が維持される。この時間は、変調信号の最大の周期よりも長い時間となっている。したがって、信号検出回路10に変調信号が入ることにより比較信号のレベルが変化しても、基準電圧発生部14は、変調信号の中央値付近の第1基準電圧Vb1又は第2基準電圧Vb2を発生し続けることができるので、変調信号のレベルが低下してもCPUが高い精度で変調信号を復調することが可能になる。
【0063】
また、比較信号がハイレベルからローレベルに変化したことにより、コンデンサC2は放電を開始し、抵抗R4に電流が流れる。その結果、コンパレータ13のプラス入力端子に入力される基準電圧は、抵抗R2と抵抗R4との並列抵抗と、抵抗R1との比率によって決定される第2基準電圧Vb2に変化する。例えば、抵抗R1の抵抗値が1MΩ、抵抗R2の抵抗値が1.2MΩ、抵抗R4の抵抗値が9.1MΩであるとすると、第2基準電圧Vb2は、約1.8Vとなる。ここで、抵抗R4とコンデンサC2とのRC直列回路の過渡応答により、第1基準電圧Vb1から第2基準電圧Vb2に変化するまで若干の遅延が発生する。
【0064】
このように、コンパレータ13のマイナス入力端子に第1基準電圧Vb1よりも高い電圧の通信信号が入力されたことに応じて、基準電圧を第1基準電圧Vb1よりも低い第2基準電圧Vb2に切り替えることにより、通信信号の電圧と基準電圧とを乖離させ、比較信号にチャタリングが発生しないようにすることができる。
【0065】
続いて、時間T3において、コンパレータ13のマイナス入力端子に入力される通信信号の電圧が、第2基準電圧Vb2未満になる。この場合、コンパレータ13は、ハイレベルの比較信号を出力する。
【0066】
時間T3においてハイレベルの比較信号が出力されると、トランジスタTr2はオン状態となる。この場合、コンデンサC3は瞬時に放電するとともに、電源P2から供給される電流が抵抗R7を流れることから、トランジスタTr1がオフ状態を維持する。これにより、抵抗R3に電流が流れない状態が維持される。
【0067】
また、比較信号がローレベルからハイレベルに変化したことにより、コンデンサC2は充電を開始し、抵抗R4に電流が流れる。したがって、コンパレータ13のプラス入力端子に入力される基準電圧は、抵抗R1と抵抗R4との並列抵抗と、抵抗R2との比率によって決定される第1基準電圧Vb1に変化する。
【0068】
その後、通信信号が入力され続けている間は、コンパレータ13のプラス入力端子に入力される基準電圧は、第1基準電圧Vb1と第2基準電圧Vb2とに交互に切り替わる。
【0069】
続いて、図5(b)に示す通信信号の入力終了時の動作について説明する。時間T27において通信信号の入力が終了すると、コンパレータ13のマイナス入力端子に入力される通信信号の電圧が第1基準電圧Vb1以上になる。この場合、コンパレータ13は、ローレベルの比較信号を出力する。
【0070】
時間T27においてローレベルの比較信号が出力されると、トランジスタTr2はオフ状態となる。この場合、コンデンサC3は充電を開始するので、トランジスタTr1のベース電圧は低い状態を維持し、トランジスタTr1のオフ状態が維持される。これにより、抵抗R3に電流が流れない状態が維持される。
【0071】
また、比較信号がハイレベルからローレベルに変化したことにより、コンデンサC2は放電を開始し、抵抗R4に電流が流れる。したがって、コンパレータ13のプラス入力端子に入力される基準電圧は、抵抗R2と抵抗R4との並列抵抗と、抵抗R1との比率によって決定される第2基準電圧Vb2に変化する。
【0072】
その後もコンパレータ13は、ローレベルの比較信号を出力し続けることから、コンデンサC3の充電が完了する。そうすると、コンデンサC3には電流が流れなくなることから、トランジスタTr1のベースにトランジスタTr1をオン状態とする電圧が印加される。時間T28においてコンデンサC3の充電が完了したとすると、トランジスタTr1はオン状態に変化し、抵抗R3に電流が流れる状態に変化する。
【0073】
また、時間T28においてコンデンサC2の放電も完了したとすると、時間T28では、抵抗R4に電流が流れない状態となる。したがって、時間T28において、コンパレータ13のプラス入力端子に入力される基準電圧は、抵抗R2と抵抗R3との並列抵抗と、抵抗R1との抵抗値の比率によって決定される第3基準電圧Vb3に変化する。
【0074】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、本実施形態に係る信号検出回路10は、火災報知設備の通信に係る通信線Lcに対応する電圧と、基準電圧との差に基づく比較信号を出力するコンパレータ13を有する。また、信号検出回路10は、比較信号に基づいて周波数変調された通信信号が通信線Lcに流れていることを検出した後に、第1基準電圧Vb1又は第1基準電圧Vb1よりも低レベルの第2基準電圧Vb2を基準電圧としてコンパレータ13に入力する基準電圧発生部14を有する。このようにすることで、信号検出回路10は、通信信号の立上がり時又は立下り時にリンギングが発生したり、通信信号にノイズ等が重畳されたりすることにより基準電圧付近で電圧が変動しても、出力信号にチャタリングが生じることを防止できる。したがって、出力信号を復調するCPUにおいて、変調された通信信号に含まれているデータを精度良く復調することができる。
【0075】
また、通信線Lcにはノイズが重畳されることがあるが、第3基準電圧Vb3が第1基準電圧Vb1及び第2基準電圧Vb2よりも低く設定されているので、信号検出回路10に変調信号が入力されていない状態で通信線Lcにノイズが印加された場合に、信号検出回路10がノイズを変調信号であると誤検知して、スリープモードになっているCPUを誤って起動させてしまうことを防止できる。このように、CPUが不要なタイミングで起動されることを防止できるので、CPUの消費電力を低減できる。
【0076】
また、信号検出回路10においては、変調信号を受信している間は、比較信号がローレベルに変化しても、抵抗R3に電流が流れない状態が維持され、第1基準電圧Vb1又は第2基準電圧Vb2を発生し続けることができる。したがって、信号検出回路10は、変調信号を受信する前は、基準電圧を低く抑えて変調信号の誤検知を防ぐとともに、変調信号を検出した後は、変調信号の中央値付近を閾値として変調信号を復調できるので、復調の精度を向上させることができる。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、以上の説明においては、通信信号がFSK変調されている場合を例示したが、通信信号の変調方式はFSK変調に限らない。通信信号は、PSK(Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の他の変調方式で変調されていてもよい。また、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0078】
1 感知器
2 区画閉鎖装置
3 防災制御盤
4 制御装置
5 中継器
6 装置制御盤
7 火災センサー
10 信号検出回路
11 フィルタ部
12 信号レベル調整部
13 コンパレータ
14 基準電圧発生部
141 トランジスタ回路
100 防火システム
図1
図2
図3
図4
図5