【課題】金属板の幅方向において複数の打ち抜き部材が金属板から打ち抜かれる場合に、装置の複雑化を抑制しつつ、打ち抜き部材が、金属板のうちその幅方向のどの位置から打ち抜かれたのかを特定する。
帯状の金属板の幅方向に一列に並ぶ第1〜第N(Nは2以上の自然数)の位置において、所定の第1〜第Nの打ち抜き形状に沿って前記金属板を打ち抜いて、前記第1〜第Nの打ち抜き形状にそれぞれ対応する第1〜第Nの打ち抜き部材を形成する第1の工程と、
複数の前記打ち抜き部材を積層して積層体を形成する第2の工程とを含み、
前記第1〜第Nの打ち抜き部材にはそれぞれ、前記第2の工程での積層時において互いに重なり合う位置に、凹状又は凸状を呈する複数の異形部が形成されており、
前記第k(kは1〜Nの自然数)の打ち抜き部材の形状と前記第m(mは1〜Nで且つm≠kを満たす自然数)の打ち抜き部材の形状とが相互に一致しないように、前記第kの打ち抜き部材における前記複数の異形部のうち少なくとも一つの異形部の形状又は配置が、前記第mの打ち抜き部材における前記複数の異形部のうち少なくとも一つの異形部の形状又は配置と異なっている、積層鉄心の製造方法。
前記異形部は、前記第1〜第Nの打ち抜き部材の周縁にそれぞれ形成されており、前記打ち抜き部材同士を溶接するための溶接部、前記打ち抜き部材の前記金属板からの打ち抜き時に金型と嵌合する嵌合部、又は、転積を識別するための転積識別部のうちいずれか一つである、請求項1に記載の方法。
前記第2の工程では、前記打ち抜き部材、又は、前記打ち抜き部材が所定枚数積層されたブロック体を転積することにより、前記積層体を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
[固定子積層鉄心]
まず、
図1を参照して、固定子積層鉄心1の構成について説明する。固定子積層鉄心1(ステータ)は、円筒形状を呈している。すなわち、固定子積層鉄心1の中央部分には、中心軸Axに沿って延びる貫通孔1aが設けられている。貫通孔1a内には、図示しない回転子積層鉄心(ロータ)が配置可能である。固定子積層鉄心1は、回転子積層鉄心と共に電動機(モータ)を構成する。
【0016】
固定子積層鉄心1は、複数の打ち抜き部材10が積み重ねられた積層体である。固定子積層鉄心1は、ヨーク部2と、複数のティース部3(
図1では6個のティース部3)と、複数の耳金部4(
図1では3個の耳金部4)とを有する。
【0017】
ヨーク部2は、円環状を呈しており、中心軸Axを囲むように延びている。径方向におけるヨーク部2の幅、ヨーク部2の内径、ヨーク部2の外径、及びヨーク部2の厚さはそれぞれ、モータの用途及び性能に応じて種々の大きさに設定しうる。
【0018】
ヨーク部2の外周縁には、複数の異形部5(
図1では6つの異形部)が設けられている。各異形部5は、中心軸Axに向けて窪んでいる。各異形部5は、ヨーク部2の周方向(以下、単に「周方向」という。)において、略等間隔で並んでいる。各異形部5は、固定子積層鉄心1の積層方向(以下、単に「積層方向」という。)において、固定子積層鉄心1の一端面から他端面にかけて直線状に延びている。
【0019】
ヨーク部2の表面には、識別マーク6が形成されている。識別マーク6は、ヨーク部2の表面を識別するためのマークとして機能する。識別マーク6は、例えばレーザマーカによって印字された文字、図形等である。ヨーク部2の裏面には、マークが形成されていなくてもよいし、識別マーク6とは異なるマークが形成されていてもよい。これにより、打ち抜き部材10の表面と裏面とが判別可能となる。
【0020】
各ティース部3はそれぞれ、ヨーク部2の内縁から中心軸Ax側に向かうように固定子積層鉄心1の径方向(以下、単に「径方向」という。)に沿って延びている。
図1に示される固定子積層鉄心1においては、各ティース部3がヨーク部2に一体的に形成されている。
【0021】
各ティース部3は、周方向において、略等間隔で並んでいる。周方向における各ティース部3の幅、径方向における各ティース部3の長さ、隣接するティース部3同士の間隔、及び各ティース部3の厚さはそれぞれ、モータの用途及び性能に応じて種々の大きさに設定しうる。
【0022】
固定子積層鉄心1がモータとして構成される場合には、各ティース部3には、巻線(図示せず)が所定回数巻回される。隣り合うティース部3の間には、巻線を配置するための空間であるスロット1bが画定されている。各ティース部3にはカシメ部7が設けられている。カシメ部7は、積層方向において隣り合う打ち抜き部材10同士を接合する。
【0023】
各耳金部4は、中心軸Axから離れるように、ヨーク部2の外縁から径方向外側に向けて突出している。各耳金部4は、周方向において略等間隔で並んでいる。各耳金部4は、中心軸Ax方向において、固定子積層鉄心1の一端面から他端面にかけて直線状に延びている。
【0024】
各耳金部4には、積層方向において耳金部4を貫通する貫通孔4aが設けられている。貫通孔4aは、固定子積層鉄心1を電動機のハウジング(図示せず)に固定するためのボルトの挿通孔として機能する。
【0025】
打ち抜き部材10は、例えば、電磁鋼板W(
図6〜
図9参照)が加工(例えば、打ち抜き加工、切り曲げ加工等)されることにより得られる。打ち抜き部材10に仮カシメが設けられていない場合、中心軸Ax方向から見た打ち抜き部材10の形状は、中心軸Ax方向から見た固定子積層鉄心1の形状と略同一である(
図1及び
図2参照)。そのため、打ち抜き部材10も、
図2に示されるように、中心軸Ax方向から見て円環状を呈している。打ち抜き部材10の中央部分には、貫通孔10aが設けられている。
【0026】
打ち抜き部材10は、ヨーク部12と、複数のティース部13(
図2では6個のティース部13)と、複数の耳金部14(
図1では3個の耳金部14)とを有する。ヨーク部12、ティース部13及び耳金部14はそれぞれ、固定子積層鉄心1のヨーク部2、ティース部3及び耳金部4に対応している。そのため、ヨーク部12、ティース部13及び耳金部14の形状はそれぞれ、固定子積層鉄心1のヨーク部2、ティース部3及び耳金部4と同一形状である。すなわち、打ち抜き部材10が積層されて固定子積層鉄心1となったとき、打ち抜き部材10のヨーク部12が固定子積層鉄心1のヨーク部2となり、打ち抜き部材10のティース部13が固定子積層鉄心1のティース部3となり、打ち抜き部材10の耳金部14が固定子積層鉄心1の耳金部4となる。
【0027】
ヨーク部12の外周縁には、複数の異形部15(
図1では6つの異形部15A〜15F)が設けられている。各異形部15は、中心軸Axに向けて窪んでいる。各異形部15は、ヨーク部12の周方向において、略等間隔で並んでいる。
図2においては、異形部15A〜15Fが上方から見て時計回りにこの順に並んでいる。ヨーク部12の表面には、識別マーク6が形成されている。
【0028】
隣り合うティース部13の間には、巻線を配置するための空間であるスロット10bが画定されている。耳金部14には、中心軸Ax方向において耳金部14を貫通する貫通孔14aが設けられている。
【0029】
ここで、異形部15は、相互に異なる複数の種類から選択される一の形状を呈する。例えば、異形部15は、
図3(a)〜(c)に示される3種類の形状a〜cのうちいずれか一つであってもよい。そのため、
図2に示される打ち抜き部材10においては、異形部15A〜15Fのそれぞれが、3通りの形状a〜cを取り得る。
【0030】
形状aは、
図3(a)に示されるように、凸状部a1と、一対の凹状部a2とで構成された切り欠きである。凸状部a1は、中心軸Axから離れる側(打ち抜き部材10の径方向外側)に向けて突出する円弧状を呈している。一対の凹状部a2は、中心軸Ax側に向けて窪む円弧状を呈しており、凸状部a1の両側に位置している。一対の凹状部a2の各内端はそれぞれ、凸状部a1の各端に連結されている。一対の凹状部a2の各外端はそれぞれ、打ち抜き部材10の外周縁と連結されている。
【0031】
形状bは、
図3(b)に示されるように、凸状部b1と、一対の凹状部b2と、直線部b3とで構成された切り欠きである。凸状部b1は、中心軸Axから離れる側(打ち抜き部材10の径方向外側)に向けて突出する円弧状を呈している。一対の凹状部b2は、中心軸Ax側に向けて窪む円弧状を呈しており、凸状部b1の両側に位置している。一対の凹状部b2の各内端はそれぞれ、凸状部b1の各端に連結されている。一方の凹状部b2の外端は、打ち抜き部材10の外周縁と連結されている。直線部b3は、打ち抜き部材10の径方向に沿って直線状に延びている。直線部b3は、他の凹状部b2の外端と打ち抜き部材10の外周縁とを連結している。形状bの開口幅d2は、形状15aの開口幅d1よりも小さく設定されている(d1>d2)。
【0032】
形状cは、
図3(c)に示されるように、凸状部c1と、一対の凹状部c2と、一対の直線部c3とで構成された切り欠きである。凸状部c1は、中心軸Axから離れる側(打ち抜き部材10の径方向外側)に向けて突出する円弧状を呈している。一対の凹状部c2は、中心軸Ax側に向けて窪む円弧状を呈しており、凸状部c1の両側に位置している。一対の凹状部c2の各内端はそれぞれ、凸状部c1の各端に連結されている。一対の直線部c3は共に、打ち抜き部材10の径方向に沿って直線状に延びている。一方の直線部c3は、一方の凹状部c2の外端と打ち抜き部材10の外周縁とを連結している。他方の直線部c3は、他方の凹状部c2の外端と打ち抜き部材10の外周縁とを連結している。形状cの開口幅d3は、形状bの開口幅d2よりも小さく設定されている(d2>d3)。
【0033】
図2に示される打ち抜き部材10において、異形部15の位置を示す15A〜15Fの記号と、異形部15の形状を示すa〜cの記号との組み合わせにより、異形部の位置及び形状を表現することができる。例えば、
図4(a)に例示される打ち抜き部材10Aにおいては、異形部15A,15Bが形状cを呈し、異形部15C,15Dが形状bを呈し、異形部15E,15Fが形状aを呈する。そのため、
図4(a)の打ち抜き部材10Aは、異形部15Ac,15Bc,15Cb,15Db,15Ea,15Faを有する。
【0034】
同様に、
図4(b)に例示される打ち抜き部材10Bは、異形部15Aa,15Bc,15Cc,15Db,15Eb,15Faを有する。
図4(c)に例示される打ち抜き部材10Cは、異形部15Ab,15Bc,15Ca,15Db,15Ec,15Faを有する。
図4(d)に例示される打ち抜き部材10Dは、異形部15Ac,15Bb,15Ca,15Dc,15Eb,15Faを有する。
【0035】
図5(a)に例示される打ち抜き部材10Eは、異形部15Aa,15Bc,15Cb,15Dc,15Eb,15Faを有する。
図5(b)に例示される打ち抜き部材10Fは、異形部15Ab,15Bb,15Cc,15Da,15Ea,15Faを有する。
図5(c)に例示される打ち抜き部材10Gは、異形部15Ab,15Bb,15Cb,15Da,15Ea,15Faを有する。
図5(d)に例示される打ち抜き部材10Hは、異形部15Aa,15Ba,15Ca,15Db,15Ea,15Faを有する。
【0036】
なお、異形部15の位置及び形状の組み合わせの数については、耳金部14の有無及び識別マーク6の有無に応じて、円順列(circular permutation)又は数珠順列(necklace permutation)の解法によって求めることができる。
【0037】
固定子積層鉄心1は、いわゆる転積によって構成されていてもよい。「転積」とは、複数の打ち抜き部材10を積層させて固定子積層鉄心1を得るに際し、打ち抜き部材10同士の角度を相対的にずらすことをいい、打ち抜き部材10を回転させつつ積層することを含む。転積は、主に打ち抜き部材10の板厚偏差を相殺することを目的に実施される。固定子積層鉄心1を得るにあたり、打ち抜き部材10を1枚ごとに転積してもよいし、打ち抜き部材10が所定枚数積層された単位ブロック20(
図6参照)ごとに転積してもよい。転積の角度は、打ち抜き部材10が有する耳金部14同士が重なれば、任意の大きさに設定してもよい。例えば、本実施形態では、打ち抜き部材10が3つの耳金部14を有しているので、転積の角度が120°に設定されていてもよい。また、単位ブロック20同士を転積する場合には、積層する単位ブロック20の数を打ち抜き部材10の耳金部14の数のa倍(aは1以上の自然数)としてもよい。この場合、得られる固定子積層鉄心1の平面度、平行度及び直角度の向上を図ることが可能となる。
【0038】
図6に、例えば
図4(a)に例示される打ち抜き部材10Aを単位ブロック20とし、当該単位ブロック20をごとに120°ずつずらして転積して製造された固定子積層鉄心1の例を示す。形状a〜cの形状(幅)がそれぞれ異なっているので、
図6に示されるように、各単位ブロック20の境界を容易に認識可能である。これにより、単位ブロック20同士を溶接によって接合する場合に、単位ブロック20の境界部分をピンポイントで溶接することができる。従って、単位ブロック20同士を接合する溶接部21の大きさを小さくできるので、溶接部21が固定子積層鉄心1の磁気特性に与える影響を低減することができる。
【0039】
[固定子積層鉄心の製造装置]
続いて、
図7を参照して、固定子積層鉄心1の製造装置100について説明する。製造装置100は、帯状の金属板である電磁鋼板W(被加工板)から固定子積層鉄心1を製造するための装置である。製造装置100は、アンコイラー110と、送出装置120(送出部)と、打ち抜き装置130と、コントローラ150(制御部)とを備える。
【0040】
アンコイラー110は、コイル状に巻回された帯状の電磁鋼板Wであるコイル材111が装着された状態で、コイル材111を回転自在に保持する。送出装置120は、電磁鋼板Wを上下から挟み込む一対のローラ121,122を有する。一対のローラ121,122は、コントローラ150からの指示信号に基づいて回転及び停止し、電磁鋼板Wを打ち抜き装置130に向けて間欠的に順次送り出す。
【0041】
コイル材111を構成する電磁鋼板Wの長さは、例えば500m〜10000m程度であってもよい。電磁鋼板Wの厚さは、例えば0.1mm〜0.5mm程度であってもよい。電磁鋼板Wの厚さは、より優れた磁気的特性を有する固定子積層鉄心1を得る観点から、例えば0.1mm〜0.3mm程度であってもよい。電磁鋼板Wの幅は、例えば50mm〜500mm程度であってもよい。
【0042】
コントローラ150は、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、送出装置120及び打ち抜き装置130をそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、送出装置120及び打ち抜き装置130に送信する。
【0043】
[打ち抜き装置]
続いて、
図7〜
図9を参照して、打ち抜き装置130について説明する。打ち抜き装置130は、送出装置120によって間欠的に送り出される電磁鋼板Wを順次打ち抜き加工して打ち抜き部材10を形成する機能と、打抜き加工によって得られた打ち抜き部材10を順次積層しつつ重ね合わせて固定子積層鉄心1を製造する機能とを有する。
【0044】
打ち抜き装置130は、
図7及び
図8に示されるように、ベース131と、下型132と、ダイプレート133と、ストリッパ134と、上型135と、天板136、プレス機137(駆動部)と、吊り具138と、パンチA1〜A6と、押さえピンB1〜B6とを有する。ベース131は、ベース131に載置された下型132を支持する。
【0045】
下型132は、下型132に載置されたダイプレート133を保持する。下型132には、電磁鋼板Wから打ち抜かれた材料(例えば、打ち抜き部材10、廃材等)が排出される排出孔C1〜C6が、パンチA1〜A6に対応する位置にそれぞれ設けられている。排出孔C6内には、
図9に示されるように、シリンダ132aと、ステージ132bと、プッシャ132cとが配置されている。
【0046】
シリンダ132aは、パンチA6によって電磁鋼板Wから打ち抜かれた打ち抜き部材10が下方に落下するのを防止するため、打ち抜き部材10を支持する。シリンダ132aは、コントローラ150からの指示信号に基づいて上下方向に移動可能に構成されている。具体的には、シリンダ132aは、シリンダ132a上に打ち抜き部材10が積み重ねられるごとに間欠的に下方に移動する。シリンダ132a上において打ち抜き部材10が所定枚数まで積層され、固定子積層鉄心1が形成されると、シリンダ132aの表面がステージ132bの表面と同一高さとなる位置にシリンダ132aが移動する。
【0047】
ステージ132bには、シリンダ132aが通過可能な孔が設けられている。プッシャ132cは、コントローラ150からの指示信号に基づいて、ステージ132bの表面上において水平方向に移動可能に構成されている。シリンダ132aの表面がステージ132bの表面と同一高さとなる位置にシリンダ132aが移動した状態で、プッシャ132cは、固定子積層鉄心1をシリンダ132aからステージ132bに払い出す。ステージ132bに払い出された固定子積層鉄心1は、製造装置100外に搬送される。
【0048】
図8に戻って、ダイプレート133は、パンチA1〜A6と共に、打ち抜き部材10を成形する機能を有する。ダイプレート133には、パンチA1〜A6に対応する位置にダイD1〜D6がそれぞれ設けられている。各ダイD1〜D6には、上下方向に延びると共に対応する排出孔C1〜C6と連通する貫通孔D1a〜D6a(ダイ孔)が設けられている。各貫通孔D1a〜D6aの径は、対応するパンチA1〜A6の先端部が挿通可能で且つ当該先端部よりも僅かに小さな大きさである。ダイプレート133には、押さえピンB1〜B6に対応する位置に挿通孔E1〜E6がそれぞれ設けられている。
【0049】
ストリッパ134は、ストリッパプレート134aと、保持プレート134bとを有する。ストリッパプレート134aは、パンチA1〜A6で電磁鋼板Wを打ち抜く際にパンチA1〜A6に食いついた電磁鋼板WをパンチA1〜A6から取り除く機能を有する。ストリッパプレート134aは、ダイプレート133の上方に位置している。保持プレート134bは、ストリッパプレート134aを上方から保持する。
【0050】
ストリッパ134には、パンチA1〜A6に対応する位置に貫通孔F1〜F6がそれぞれ設けられている。各貫通孔F1〜F6はそれぞれ、上下方向に延びると共に、ストリッパプレート134aがダイプレート133と接したときに対応するダイD1〜D6の貫通孔D1a〜D6aと連通する。各貫通孔F1〜F6内にはそれぞれ、パンチA1〜A6の下部が挿通されている。パンチA1〜A6の当該下部はそれぞれ、各貫通孔F1〜F6内においてスライド可能である。
【0051】
ストリッパ134には、押さえピンB1〜B6に対応する位置に貫通孔F7〜F12がそれぞれ設けられている。各貫通孔F7〜F12はそれぞれ、上下方向に延びると共に、ストリッパプレート134aがダイプレート133と接したときに対応する挿通孔E1〜E6と連通する。各貫通孔F7〜F12内にはそれぞれ、押さえピンB1〜B6の下部が挿通されている。押さえピンB1〜B6の当該下部はそれぞれ、各貫通孔F7〜F12内においてスライド可能である。
【0052】
上型135は、ストリッパ134の上方に位置している。上型135には、パンチA1〜A6及び押さえピンB1〜B6の基部(上部)が固定されている。そのため、上型135は、パンチA1〜A6及び押さえピンB1〜B6を保持している。上型135のうち打ち抜き装置130の上流側及び下流側の各端部にはそれぞれ、天板136側に位置し且つ上下方向に延びる収容空間135aと、収容空間135aから下方に向けて貫通する貫通孔135bとが設けられている。
【0053】
天板136は、上型135の上方に位置している。天板136は、上型135を保持している。プレス機137は、天板136の上方に位置している。プレス機137のピストンは、天板136に接続されており、コントローラ150からの指示信号に基づいて動作する。プレス機137が動作すると、ピストンが伸縮して、ストリッパ134、上型135、天板136、吊り具138、パンチA1〜A6及び押さえピンB1〜B6(以下、これらを可動部160という。)が全体的に上下動する。
【0054】
吊り具138は、ストリッパ134を上型135に吊り下げて保持する。吊り具138は、長尺のロッド部138aと、ロッド部138aの上端に設けられた頭部138bとを有する。ロッド部138aの下端部は、ストリッパ134に固定されている。ロッド部138aの上端部は、上型135の貫通孔135bに挿通されている。頭部138bは、下端部よりも径が大きく、上型135の収容空間135a内に収容されている。そのため、頭部138bは、収容空間135a内において上型135に対して上下動可能である。
【0055】
パンチA1〜A6は、ダイプレート133(ダイD1〜D6)と共に、電磁鋼板Wを所定形状に打ち抜く機能を有する。パンチA1〜A6はそれぞれ、打ち抜き装置130の上流側(送出装置120側)から下流側に向けてこの順に並ぶように配置されている。電磁鋼板Wの幅方向(以下、単に「幅方向」という。)において、複数のパンチA1が一列に並んでいる。幅方向において、複数のパンチA2が一列に並んでいる。幅方向において、複数のパンチA3が一列に並んでいる。幅方向において、複数のパンチA4が一列に並んでいる。幅方向において、複数のパンチA5が一列に並んでいる。幅方向において、複数のパンチA6が一列に並んでいる。
【0056】
各パンチA1の先端形状は、いずれも略同一である。すなわち、各パンチA1による電磁鋼板Wの打ち抜き形状は、いずれも略同一である。各複数のパンチA2の先端形状は、いずれも略同一である。すなわち、各パンチA2による電磁鋼板Wの打ち抜き形状は、いずれも略同一である。各パンチA3の先端形状は、相互に異なっている。すなわち、各パンチA3による電磁鋼板Wの打ち抜き形状は、相互に一致しない。
【0057】
各パンチA4の先端形状は、いずれも略同一である。すなわち、各パンチA4による電磁鋼板Wの打ち抜き形状は、いずれも略同一である。各パンチA5の先端形状は、いずれも略同一である。すなわち、各パンチA5による電磁鋼板Wの打ち抜き形状は、いずれも略同一である。各パンチA6の先端形状は、いずれも略同一である。すなわち、各パンチA6による電磁鋼板Wの打ち抜き形状は、いずれも略同一である。
【0058】
押さえピンB1〜B6は、パンチA1〜A6によって電磁鋼板Wが打ち抜かれる際に電磁鋼板Wをダイプレート133に押さえつける機能を有する。押さえピンB1〜B6はそれぞれ、打ち抜き装置130の上流側(送出装置120側)から下流側に向けてこの順に並ぶように配置されている。
【0059】
[固定子積層鉄心の製造方法]
続いて、
図7〜
図10を参照して、固定子積層鉄心1の製造方法について説明する。まず、電磁鋼板Wが送出装置120によって打ち抜き装置130に送り出され、電磁鋼板Wの被加工部位がパンチA1に到達すると、コントローラ150がプレス機137に指示して、プレス機137が可動部160をダイプレート133に向けて下方に押し出す。ストリッパ134がダイプレート133に到達してこれらで電磁鋼板Wが挟持された後も、コントローラ150がプレス機137に指示して、プレス機137が可動部160を下方に向けて押す。
【0060】
このとき、ストリッパ134は移動しないが、パンチA1〜A6及び押さえピンB1〜B6の先端部はストリッパプレート104の貫通孔F1〜F12内を移動して、ダイプレート133のうち対応する貫通孔D1a〜D6a及び挿通孔E1〜E6に到達する。そのため、電磁鋼板WがパンチA1によって所定の打ち抜き形状に沿って打ち抜かれ、電磁鋼板Wの両側縁近傍に一対の貫通孔W1が形成される(
図8及び
図10の位置S1参照)。すなわち、一対の貫通孔W1は、幅方向において一列に並んでいる。打ち抜かれた廃材は、下型132の排出孔C1から排出される。その後、プレス機137が動作して可動部160を上昇させる。
【0061】
次に、電磁鋼板Wが送出装置120によって送り出され、電磁鋼板Wの被加工部位がパンチA2に到達すると、コントローラ150がプレス機137に指示して、プレス機137が可動部160を昇降させる。これにより、幅方向において一列に並ぶ複数のパンチA2によって電磁鋼板Wが所定の打ち抜き形状に沿って打ち抜かれ、複数の打ち抜き部W2が電磁鋼板Wに形成される(
図8及び
図10の位置S3参照)。すなわち、複数の打ち抜き部W2は、幅方向において一列に並んでいる。
【0062】
各打ち抜き部W2は、
図10において、円形状に並ぶ6つの貫通孔によって構成されている。各貫通孔は、打ち抜き部材10のスロット10bに対応する。打ち抜かれた廃材は、下型132の排出孔C2から排出される。パンチA2による電磁鋼板Wの打ち抜きの際、貫通孔W1及び挿通孔E1,E2内には押さえピンB1,B2が挿通される(
図8及び
図10の位置S2,S4参照)。
【0063】
次に、電磁鋼板Wが送出装置120によって送り出され、電磁鋼板Wの被加工部位がパンチA3に到達すると、コントローラ150がプレス機137に指示して、プレス機137が可動部160を昇降させる。これにより、幅方向において一列に並ぶ複数のパンチA3によって電磁鋼板Wが所定の打ち抜き形状に沿って打ち抜かれ、複数の打ち抜き部W3
1〜W3
N(Nは2以上の自然数)が電磁鋼板Wに形成される(
図8及び
図10の位置S5参照)。すなわち、複数の打ち抜き部W3
1〜W3
Nは、幅方向において一列に並んでいる。
【0064】
各打ち抜き部W3
1〜W3
Nは、
図10において、円形状に並ぶ6つの貫通孔によって構成されている。各貫通孔のうち内周縁は、打ち抜き部材10の異形部15に対応する。ここで、幅方向において一列に並ぶ複数のパンチA3の先端形状が相互に異なっているので、各打ち抜き部W3
1〜W3
Nの打ち抜き形状(各貫通孔のうち内周縁の形状)は相互に一致しない。打ち抜かれた廃材は、下型132の排出孔C3から排出される。パンチA3による電磁鋼板Wの打ち抜きの際、貫通孔W1及び挿通孔E2,E3内には押さえピンB2,B3が挿通される(
図8及び
図10の位置S4,S6参照)。
【0065】
次に、電磁鋼板Wが送出装置120によって送り出され、電磁鋼板Wの被加工部位がパンチA4に到達すると、コントローラ150がプレス機137に指示して、プレス機137が可動部160を昇降させる。これにより、幅方向において並ぶ複数のパンチA4によって電磁鋼板Wが所定の打ち抜き形状に沿って打ち抜かれるか半抜き加工され、複数の加工部W4が電磁鋼板Wに形成される(
図8及び
図10の位置S7参照)。すなわち、複数の加工部W4は、幅方向において一列に並んでいる。
【0066】
各加工部W4は、
図10において、円形状に並ぶ6つの貫通孔又は凹凸部によって構成されている。各貫通孔は、カシメ部7の貫通孔に対応する。各凹凸部は、カシメ部7のカシメに対応する。各加工部W4が貫通孔である場合、打ち抜かれた廃材は、下型132の排出孔C4から排出される。パンチA4による電磁鋼板Wの打ち抜きの際、貫通孔W1及び挿通孔E3,E4内には押さえピンB3,B4が挿通される(
図8及び
図10の位置S6,S8参照)。
【0067】
次に、電磁鋼板Wが送出装置120によって送り出され、電磁鋼板Wの被加工部位がパンチA5に到達すると、コントローラ150がプレス機137に指示して、プレス機137が可動部160を昇降させる。これにより、幅方向において一列に並ぶ複数のパンチA5によって電磁鋼板Wが打ち抜かれ、複数の打ち抜き部W5が電磁鋼板Wに形成される(
図8及び
図10の位置S9参照)。すなわち、複数の打ち抜き部W5は、幅方向において一列に並んでいる。
【0068】
各打ち抜き部W5は、
図10において、打ち抜き部W2に囲まれる中央の1つの貫通孔と、打ち抜き部W2よりも外側において円形状に並ぶ3つの貫通孔とによって構成されている。中央の1つの貫通孔は、打ち抜き部材10の貫通孔10aに対応する。外周の3つの貫通孔は、打ち抜き部材10の貫通孔14aに対応する。打ち抜かれた廃材は、下型132の排出孔C5から排出される。パンチA5による電磁鋼板Wの打ち抜きの際、貫通孔W1及び挿通孔E4,E5内には押さえピンB4,B5が挿通される(
図8及び
図10の位置S8,S10参照)。
【0069】
次に、電磁鋼板Wが送出装置120によって送り出され、電磁鋼板Wの被加工部位がパンチA6に到達すると、コントローラ150がプレス機137に指示して、プレス機137が可動部160を昇降させる。これにより、幅方向において一列に並ぶ複数のパンチA6によって電磁鋼板Wが所定の打ち抜き形状に沿って打ち抜かれ、複数の打ち抜き部W6が電磁鋼板Wに形成される(
図8及び
図10の位置S11参照)。すなわち、複数の打ち抜き部W6は、幅方向において一列に並んでいる。換言すれば、各打ち抜き部W6は、幅方向において一列に並ぶ第1〜第Nの位置に位置している。
【0070】
各打ち抜き部W6は、
図10において、打ち抜き部材10のうち異形部15を除く外周縁の形状に対応する環状を呈する。これにより、幅方向において複数の打ち抜き部材10
1〜10
Nが形成される(
図8及び
図10の位置S11参照)。パンチA6による電磁鋼板Wの打ち抜きの際、貫通孔W1及び挿通孔E5,E6内には押さえピンB5,B6が挿通される(
図8及び
図10の位置S10,S12参照)。こうして、各打ち抜き部材10
1〜10
Nはそれぞれ、排出孔C6内においてシリンダ132a上に載置され、次に打ち抜かれた各打ち抜き部材10
1〜10
Nと接合されつつ積層される。以上の工程が繰り返されることにより、固定子積層鉄心1が形成される。なお、識別マーク6は、打ち抜き部材10が金型(下型132及び上型135)から排出されて排出孔C6に至った後に、レーザマーカ等によって形成されてもよい。
【0071】
ここで、各打ち抜き部W3
1〜W3
Nの打ち抜き形状は相互に一致しないので、打ち抜き部材10
1〜10
Nの形状も相互に一致しない。例えば、N=2のときには、打ち抜き部材10
1として
図4(a)に例示される打ち抜き部材10Aが形成され、打ち抜き部材10
2として
図4(b)に例示される打ち抜き部材10Bが形成されてもよい。このとき、打ち抜き部材10
1と打ち抜き部材10
2とでは、異形部15Aの形状がcとaとで異なり、異形部15Cの形状がbとcとで異なり、異形部15Eの形状がaとbとで異なっている。従って、打ち抜き部材10
1における複数の異形部15のうち少なくとも一つの異形部15の形状又は配置が、打ち抜き部材10
2における複数の異形部15のうち少なくとも一つの異形部15の形状又は配置と異なっている。
【0072】
[作用]
以上のような本実施形態では、電磁鋼板Wから打ち抜かれる打ち抜き部材10
1〜10
Nにはそれぞれ、積層時において互いに重なり合う位置に複数の異形部15が形成されている。本実施形態では、打ち抜き部材10
k(kは1〜Nの自然数)の形状と打ち抜き部材10
m(mは1〜Nで且つm≠kを満たす自然数)の形状とが相互に一致しないように、打ち抜き部材10
kにおける複数の異形部15のうち少なくとも一つの異形部の形状又は配置が、打ち抜き部材10
mにおける複数の異形部15のうち少なくとも一つの異形部の形状又は配置と異なっている。そのため、電磁鋼板Wのうちその幅方向における第1〜第Nの位置でそれぞれ打ち抜かれた打ち抜き部材10
1〜10
Nの形状が相互に異なっているので、任意の打ち抜き部材10が第1〜第Nの位置のうちいずれの位置で打ち抜かれたのかを特定することができる。
【0073】
本実施形態では、固定子積層鉄心1の製造上の便宜のために、打ち抜き部材10に複数の異形部15が形成されている。この異形部15の形状又は配置によって、打ち抜き部材10
kの形状と打ち抜き部材10
mの形状とを区別している。そのため、異形部15を形成するための既存のパンチ及び金型等を用いて異なる打ち抜き部材10同士を識別することができるので、打ち抜き部材10を識別するためのパンチ及び金型等を新たに増設する必要がない。以上より、装置の複雑化を抑制しつつ、打ち抜き部材10が、電磁鋼板Wのうちその幅方向のどの位置から打ち抜かれたのかを特定することが可能となる。
【0074】
本実施形態では、異形部15が、打ち抜き部材10の打ち抜き位置を識別するための機能と、打ち抜き部材10同士を溶接によって接合する溶接部21としての機能と、転積の境界を識別するための転積識別部としての機能との3つの機能を併有している。そのため、これらの機能を発揮させるための部材や形状を個別に打ち抜き部材10に設ける必要がない。
【0075】
本実施形態では、打ち抜き部材10の表裏を識別するための識別マーク6が、打ち抜き部材10に形成されている。そのため、表裏をひっくり返したときに異なる2つの打ち抜き部材10同士の形状が一致したとしても、それらの打ち抜き部材10が電磁鋼板Wのいずれの位置で打ち抜かれたのかを特定することができる。従って、異形部15の形状の種類に加えて識別マーク6を用いて、重複のない打ち抜き部材10の形状のパターン数を増やすことができる。
【0076】
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、打ち抜き部材10に識別マーク6が設けられていなくてもよい。
【0077】
打ち抜き部材10は、円環以外の環状を呈していてもよい。打ち抜き部材10は、環状を呈していなくてもよい。すなわち、打ち抜き部材10は、複数の打ち抜き部材10を組み合わせたときに環状となると共に分割型積層鉄心を構成する一つの金属片であってもよい。
【0078】
複数の打ち抜き部材10を締結するために、カシメ部7に加えて、又はカシメ部7に代えて、種々の公知の方法を採用してもよい。例えば、接着剤又は樹脂材料を用いた接合、溶接等によって、複数の打ち抜き部材10を締結してもよい。このうち、低コスト及び作業効率性の観点から、カシメ又は溶接によって複数の打ち抜き部材10を締結してもよい。一方、モータにおける高トルクの発現及び低鉄損の観点から、接着剤又は樹脂材料を用いた接合によって複数の打ち抜き部材10を締結してもよい。また、仮カシメが形成された仮カシメ板(図示せず)を打ち抜き部材10に設け、仮カシメ板の仮カシメを介して複数の打ち抜き部材10を締結して中間体を得た後、仮カシメ板が積層された仮カシメブロックを中間体から除去することによって、固定子積層鉄心1を得てもよい。なお、「仮カシメ」とは、複数の打ち抜き部材10を一時的に一体化させるのに使用されるカシメを意味する。
【0079】
異形部15は、打ち抜き部材10の打ち抜き位置を識別するための機能に加えて、固定子積層鉄心1の製造上の便宜のための他の機能を有していてもよい。例えば、
図11に示されるように、異形部15は、打ち抜き部材10がダイD6の突起と係合可能に構成された切り欠きであってもよい。この場合、パンチA6によって電磁鋼板Wから打ち抜き部材10が打ち抜かれたときに、打ち抜き部材10(ヨーク部12)の外周縁に形成された異形部15がダイD6の突起と嵌合するので、パンチA6がダイD6から引き抜かれるときに、打ち抜き部材10がパンチA6に連れてダイD6から飛び出てしまうことを抑制することができる。すなわち、
図11の形態においては、異形部15は、打ち抜き部材10の打ち抜き位置を識別するための機能と、打ち抜き部材10をダイD6に嵌合させておくための嵌合部としての機能とを併有する。
【0080】
異形部15の形状は特に限定されず、凹形状であってもよいし、凸形状であってもよいし、凹凸形状であってもよい。
【0081】
異形部15は、打ち抜き部材10の耳金部14に形成されていてもよい。すなわち、固定子積層鉄心1の耳金部4に異形部5が形成されていてもよい。このとき、耳金部14(耳金部4)に突起、切り欠き又は凹凸部が設けられる。この場合も、異形部15が、打ち抜き部材10の打ち抜き位置を識別するための機能と、打ち抜き部材10同士を溶接によって接合する溶接部21としての機能と、転積の境界を識別するための転積識別部としての機能との3つの機能を併有しうる。
【0082】
異形部15としてカシメを利用してもよい。例えば、打ち抜き部材10
kにおけるカシメの形状又は配置が、打ち抜き部材10
mにおけるカシメの形状又は配置と異なっていてもよい。
【0083】
図12に示されるように、回転子積層鉄心の打ち抜き部材30に本発明を適用してもよい。
図12に示される形態においては、打ち抜き部材30の内周縁に複数の異形部15(
図12では2つの異形部15)が形成されている。一方の異形部15は、打ち抜き部材30の中心側に向けて突出する1つの凸部である。他方の異形部15は、打ち抜き部材30の外周縁側に向けて窪む2つの凹部である。これらの形状の異なる2つの異形部15により、転積の境界部分を識別することができる。すなわち、
図12の形態においては、異形部15は、打ち抜き部材10の打ち抜き位置を識別するための機能と、転積の境界を識別するための転積識別部としての機能とを併有する。