特開2019-5928(P2019-5928A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019005928-中芯および段ボールの製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-5928(P2019-5928A)
(43)【公開日】2019年1月17日
(54)【発明の名称】中芯および段ボールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31F 1/20 20060101AFI20181214BHJP
【FI】
   B31F1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-121272(P2017-121272)
(22)【出願日】2017年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】308020803
【氏名又は名称】有限会社グッドワーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】平井 信明
【テーマコード(参考)】
3E078
【Fターム(参考)】
3E078AA07
3E078AA20
3E078BB04
3E078BB13
3E078BB23
3E078BB39
3E078BB44
3E078CC12
3E078CC42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】中芯原紙の幅方向に対して傾斜する段を容易且つ確実に形成することができる中芯の製造方法を提供する。
【解決手段】中芯原紙を、外周面に螺旋状の突条11が形成された第1のローラ10と、外周面に螺旋状の溝22が形成された第2のローラ20との隙間に挿入して、突条11および溝22により挟み込むことにより、幅方向に対して傾斜した段を有する中芯を製造する方法であって、第1ローラ10および第2ローラ20を、互いに逆方向に同期回転駆動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中芯原紙を、外周面に螺旋状の突条が形成された第1のローラと、外周面に螺旋状の溝が形成された第2のローラとの隙間に挿入して、前記突条および溝により挟み込むことにより、幅方向に対して傾斜した段を有する中芯を製造する方法であって、
前記第1ローラおよび第2ローラを、互いに逆方向に同期回転駆動する中芯の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の中芯の製造方法により製造される中芯を複数積層して段ボールを製造する方法であって、
複数の前記中芯を、それぞれの段が平面視で互いに交差するように配置する段ボールの製造方法。
【請求項3】
複数の前記中芯を、前記中芯原紙の幅方向に対して段が45°傾斜するように形成し、それぞれの段が平面視で互いに直交するように積層する請求項2に記載の段ボールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中芯の製造方法、および、段ボールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールの中芯の段は、幅方向に沿って形成されるのが一般的であるが、段ボールの強度向上を図るため、幅方向に対して傾斜した段を有する中芯の製造方法が従来から検討されている。例えば、特許文献1には、外周面に螺旋状の溝を有する一対のローラの間に中芯原紙を通過させる中芯の製造方法が開示されている。
【0003】
この中芯の製造方法によれば、一対のローラの一方を駆動させることにより、中芯原紙を一対のローラの間に巻き込みつつ、他方のローラが一対のローラとは逆方向に回転するように従動して、中芯原紙に傾斜した段が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−289337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の中芯の製造方法は、幅方向に対する段の傾斜角度を大きくすると(例えば、30°以上)、一方のローラの駆動に対して他方のローラがスムーズに追従せずに、中芯原紙の噛み込みが生じて段の形成が困難になるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、中芯原紙の幅方向に対して傾斜する段を容易且つ確実に形成することができる中芯の製造方法の提供を目的とする。
【0007】
更に、本発明は、この中芯の製造方法により製造される中芯を用いて強度を向上させた段ボールの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前記目的は、中芯原紙を、外周面に螺旋状の突条が形成された第1のローラと、外周面に螺旋状の溝が形成された第2のローラとの隙間に挿入して、前記突条および溝により挟み込むことにより、幅方向に対して傾斜した段を有する中芯を製造する方法であって、前記第1ローラおよび第2ローラを、互いに逆方向に同期回転駆動する中芯の製造方法により達成される。
【0009】
また、本発明の前記目的は、上記の中芯の製造方法により製造される中芯を複数積層して段ボールを製造する方法であって、複数の前記中芯を、それぞれの段が平面視で互いに交差するように配置する段ボールの製造方法により達成される。
【0010】
この段ボールの製造方法は、複数の前記中芯を、前記中芯原紙の幅方向に対して段が45°傾斜するように形成し、それぞれの段が平面視で互いに直交するように積層することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中芯原紙の幅方向に対して傾斜する段を容易且つ確実に形成することができる中芯の製造方法を提供することができ、更に、この中芯を用いて強度を向上させた段ボールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る中芯の製造方法を説明するための中芯製造装置の正面図である。
図2図1に示す中芯製造装置の平面図である。
図3図1に示す中芯製造装置の要部側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る段ボールの製造方法を説明するための段ボール製造装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、 本発明の一実施形態に係る中芯の製造方法を実施する中芯製造装置の正面図であり、図2は、図1に示す中芯製造装置の平面図である。図1および図2に示すように、中芯製造装置1は、左右一対の支持板2,3に回転軸10a,20aが回転自在に支持された第1のロール10および第2のロール20を備えている。第1のロール10および第2のロール20は、円柱状に形成されており、回転軸10a,20aが平行になるように上下に隣接して配置されている。第1のロール10と第2のロール20との間には、中芯原紙ロール40から繰り出された中芯原紙42が挿入される。
【0014】
第1のロール10および第2のロール20の外周面には、突条11,21が螺旋状に設けられており、突条11,21の頂部の間に溝12,22が形成されている。図3に示すように、突条11,21は側面視三角形状に形成されており、第1のロール10と第2のロール20との間に中芯原紙が挿入されると、第1のロール10および第2のロール20が矢示のように互いに逆方向に回転することによって、第1のロール10の突条11の頂部111が、第2のロール20の溝22との間に中芯原紙を挟み込んで、中芯原紙に複数の段を形成する。
【0015】
図1および図2に示すように、第1のロール10および第2のロール20の回転軸10a,20aには、歯車13,23が互いに噛合するように設けられている。第2のロール20の回転軸20aの端部には、歯車24が設けられている。この歯車24は、駆動モータ(図示せず)に連結軸30aを介して連結された駆動歯車30に噛合されている。
【0016】
上記の構成を備える中芯製造装置1によれば、駆動歯車30の回転駆動によって、第1のロール10および第2のロール20を、互いに逆方向に同期回転駆動することができるので、第1のロール10と第2のロール20との間に挿入した中芯原紙42に、幅方向に対して傾斜する段42aを確実に形成して、中芯42’を製造することができる。また、このように第1のロール10および第2のロール20の双方が駆動することにより、第1のロール10および第2のロール20に対する中芯原紙42の挿入および排出を、回転軸10a,20aと平面視で直交する方向に沿って確実に行うことができるため、中芯42’の段42aを所望の傾斜角度で正確に形成することができる。
【0017】
第1のロール10および第2のロール20の同期回転は、本実施形態のように、共通の駆動源から歯車やベルト等の動力伝達機構を介して動力を伝達することにより行うことができるが、第1のロール10および第2のロール20を、それぞれACサーボモータ等の別々の駆動源により駆動し、一方の回転軸10a,20aの回転数をエンコーダ等により検知して、他方の回転軸10a,20aの回転数を同期させるように駆動制御を行うことも可能である。
【0018】
中芯42’の幅方向に対する段42aの傾斜角度(図2のθ)は、特に限定されるものではなく、第1のロール10および第2のロール20の突条11および溝22の螺旋角度を調整することで、所望の角度にすることができる。後述するように、高強度の段ボールを製造する上では、上記の傾斜角度θを30度以上60度以下に設定することが好ましく、45度がより好ましい。傾斜角度θが45度に近づくほど、突条11と溝22との間に中芯原紙42が挟み込まれることによる負荷が大きくなるが、第1のロール10および第2のロール20を同期回転駆動することによって、第1のロール10および第2のロール20がロックすることなく、段42aの形成をスムーズに行うことができる。中芯42’の幅方向に対する段42aの傾斜方向は、第1のロール10および第2のロール20の突条11および溝22の螺旋の巻き方向を変えることで、変更可能である。
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る段ボールの製造方法を説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る段ボールの製造方法を実施する段ボール製造装置の概略構成図である。図4に示す段ボール製造装置は、中芯原紙ロール40および裏ライナロール50を、それぞれ2つずつ備えており、更に、表ライナロール60を備えている。
【0020】
中芯原紙ロール40から繰り出された中芯原紙42は、上記の中芯製造装置1に供給され、第1のロール10および第2のロール20によって幅方向に対して傾斜した段が形成されて中芯42’が製造された後、この段の頂部に糊付け装置44で糊付けされて、裏ライナロール50から供給された裏ライナ52に、ベルトプレス装置46により貼合される。こうして、2組の中芯原紙ロール40および裏ライナロール50から、それぞれ片面段ボールシート54が形成される。2つの中芯42’は、幅方向に対する段の傾斜方向が互いに相違する。
【0021】
各片面段ボールシート54は、それぞれ糊付け装置44により段の頂部に糊付けされた後、表ライナロール60から供給された表ライナ62と共に、ダブルフェーサ64に供給されて貼合される。こうして、複両面段ボールシート70が形成される。
【0022】
上述した段ボールの製造方法は、複両面段ボールの製造方法として従来公知のものと同様であるが、本実施形態においては、幅方向に対して段が傾斜する片面段ボールシート54を複数積層し、これらの片面段ボールシート54の段が平面視で互いに交差するように配置する。これにより、製造された複両面段ボールシート70の強度向上を図ることができる。
【0023】
本発明者らが、上記の複両面段ボールシートを構成する2つの中芯の段の傾斜角度を変えて、複両面段ボールシートの垂直圧縮強さ試験を行ったところ、以下の知見が得られた。複両面段ボールシートは、ABフルート(Aフルートの中芯とBフルートの中芯との組み合わせ)を使用した。
【0024】
まず、比較例として、幅方向に平行な段を有する2つの中芯を、段が直交するように配置したところ、Aフルートの段方向に圧縮した場合は最大荷重が3271Nであり、Bフルートの段方向に圧縮した場合は最大荷重が2736Nであった。
【0025】
一方、幅方向に対する段の傾斜方向が左右対称である2つの中芯を備える複両面段ボールシートについて、段の傾斜角度θ(図2参照)をそれぞれ30度、45度、60度として、幅方向と直交方向に圧縮した場合の最大荷重は、それぞれ、3198N、4376N、4547Nであった。傾斜角度θが30度の複両面段ボールシートの最大荷重は、上記比較例の最大荷重(3271N)よりも小さな値になっているが、この複両面段ボールシートを幅方向に圧縮した場合には、傾斜角度θが60度の上記試験結果と同等の最大荷重になると推測されることから、総合的には比較例に対して高強度である。傾斜角度θが45度の複両面段ボールシートは、幅方向と直交方向の最大圧縮荷重が比較例よりもはるかに大きく、幅方向の最大圧縮荷重もこれと同等と推測されることから、特に好ましい。
【符号の説明】
【0026】
1 中芯製造装置
10 第1のロール
11 突条
20 第2のロール
22 溝
40 原紙ロール
42 中芯原紙
42’ 中芯
42a 段
70 複両面段ボールシート
図1
図2
図3
図4