(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-59507(P2019-59507A)
(43)【公開日】2019年4月18日
(54)【発明の名称】自主検定装置用パッカー
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20190322BHJP
B02B 1/02 20060101ALI20190322BHJP
【FI】
B65B51/10 200
B02B1/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-185117(P2017-185117)
(22)【出願日】2017年9月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松木 覚
【テーマコード(参考)】
3E094
4D043
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094BA08
3E094CA06
3E094DA07
3E094DA08
3E094EA02
3E094GA30
3E094HA08
4D043AA02
4D043AA03
4D043BB21
4D043FA06
4D043FA09
(57)【要約】
【課題】包装フィルムを用いて自主検定用サンプルを適切にパッケージングできる自主検定装置用パッカーの提供。
【解決手段】サンプル梱包用の包装フィルム111と、包装フィルム111の搬送手段である引き出し装置部130と、包装フィルム111の端部を熱溶着してシールするヒートブロック141と、装置カバー101を備える自主検定装置用パッカー10において、包装フィルム111の搬送経路112を覆う装置カバー101の内部に配置されるヒータ250と、装置カバー101の内気温を測定する内気温計と、装置カバー101の外気温を測定する外気温計と、を備え、内気温を元に、ヒータ250にて装置カバー101内の温度が一定になるように制御し、外気温が閾値以下の時に、熱溶着部140による溶着時間を長くする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル梱包用のフィルムと、該フィルムの搬送手段と、前記フィルムの端部を熱溶着してシールするシーラーと、装置カバーを備える自主検定装置用パッカーにおいて、
前記フィルムの搬送経路を覆う前記装置カバーの内部に配置されるヒータと、
前記装置カバーの内気温を測定する内気温計と、
前記装置カバーの外気温を測定する外気温計と、を備え、
前記内気温を元に、前記ヒータにて前記装置カバー内の温度が一定になるように制御し、
前記外気温が閾値以下の時に、前記シーラーの溶着時間を長くすること、
を特徴とする自主検定装置用パッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自主検定用のサンプル袋詰めにあたり、サンプル袋を閉じる際に生じるシーリング不足の改善を目指した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カントリーエレベータ等の営農施設は、収穫期に穀物を荷受けした際に、荷受けした穀類の品質を簡易的に検査する必要がある。通常は荷受けした穀類から夾雑物を除き、人手によって少量袋に詰め、パッケージにしサンプルとする作業となるが、繁忙期で多数のサンプルを作るとなるとバッチ処理できる装置が望まれる。このため、種子を投入すると所定の量を切り出してパッケージにする機械が運用されている。
【0003】
特許文献1には、穀類共同乾燥施設に関する技術が開示されている。計量部にトラックスケールを用いて荷受けラインから切り離して張り込みホッパーの後段に粗選部を、粗選部の後段に乾燥部をそれぞれ配置し、サンプル検査ラインのサンプル取り出し位置を張り込みホッパーに設けたものである。計量済みの収穫穀物を張り込みホッパーへ投入するのと同時に、その一部をサンプル検査ラインに取り出して製品歩留まりデータを収録が出来るので、荷受けラインに連続的に収穫穀物を流すことが出来て荷受け処理能力を大幅に向上させることが出来る。
【0004】
特許文献2には自主検定装置に関する技術が開示されている。荷受けされた穀物の一部を自主検定用サンプルとして取り込み、自主検定用サンプルから歩留まりデータを得るための自主検定を行うものである。この自主検定装置は1件ずつ自主検定用サンプルを取り込んで自主検定を行う自主検定装置本体と、作業者が投入した複数件の自主検定用サンプルの自主検定装置本体に対する取り込みを待機可能な複数のホッパーを有し、自主検定装置が自主検定用サンプルを取り込める状態になった時に、待機部で待機させた自主検定用サンプルを自主検定装置本体へ送り込む待機ユニットと、を備えている。
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載されるような自主検定装置は、各地域のカントリーエレベータなどに配置される。荷受けした穀物は、専用のサンプル乾燥機を用いて出荷時の水分に乾燥された後に自主検定装置に投入され、歩留まりデータを得るようになっている。しかしながら、現場でこの様な自主検定装置の運用をするにあたり、サンプルのパッケージングをするにあたっては、外気温の影響によってシールが不十分になるといった問題が考えられる。
【0006】
特許文献3には、種子梱包装置に関する技術が開示されている。種子梱包装置は、内部に種子が梱包され両端部がシール部材によって熱溶着された種子ネットを製造するものであり、送出部と第1溶着部とを備えている。送出部はネット部材を送り出す機能を備えている。第1溶着部は、送出部から送り出されるネット部材を切断し、切断したネット部材の一端部を溶着シール及びネームシールが重なり合う状態でヒータを用いて熱溶着し、一端部が閉じられたネット袋を形成する。この種子梱包装置には送出部を覆うカバーと第1溶着部のヒータが放出する熱をカバー内に送り込む送り込み機構とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−55557号公報
【特許文献2】特開2014−210247号公報
【特許文献3】特開2012−236611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3の種子梱包装置は、パッケージングする素材にネットを用いており、梱包フィルムを用いたパッケージングにそのまま適用するには問題がある。自主検定用サンプルは、事前に乾燥されたサンプルを用いる必要があり、乾燥状態を維持出来ないと正確な検定が行えない。このため、梱包フィルムを用いてパッケージングする必要がある。しかし、熱溶着によってパッケージングするには気温や湿度などに影響され、例えば冬季などには不良が発生しやすくなる。特許文献3においては、この温度対策としてネットの温度を非接触型の温度センサを用いて検出し、熱交換器などを利用して温度を上昇させるような大掛かりな手法を採用しているが、自主検定装置用パッカーは少量のサンプルをパッケージングするために、これをそのまま採用することは困難である。
【0009】
そこで、本発明はこの様な課題を解決する為に、包装フィルムを用いて自主検定用サンプルを適切にパッケージングできる自主検定装置用パッカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による自主検定装置用パッカーは、以下のような特徴を有する。
【0011】
(1)サンプル梱包用のフィルムと、該フィルムの搬送手段と、前記フィルムの端部を熱溶着してシールするシーラーと、装置カバーを備える自主検定装置用パッカーにおいて、前記フィルムの搬送経路を覆う前記装置カバーの内部に配置されるヒータと、前記装置カバーの内気温を測定する内気温計と、前記装置カバーの外気温を測定する外気温計と、を備え、前記内気温を元に、前記ヒータにて前記装置カバー内の温度が一定になるように制御し、前記外気温が閾値以下の時に、前記シーラーの溶着時間を長くすること、を特徴とする。
【0012】
上記(1)に記載の態様によって、フィルムの熱溶着の不良の発生を大きく改善できる。樹脂製のフィルムの溶着については外気に大きく左右されるが、自主検定装置用パッカーではサンプルの大きさが小さいことと、装置カバーの内部にフィルムの搬送経路が覆われていること、そして、その内部の気温を一定に保つことで、フィルムの温度低下を防ぎ、しっかりと熱溶着が出来ることになった。そして、外気温が低い場合に、外気温が閾値以下になった場合にシーラーの溶着時間を長くすることで、熱溶着の確実性を高める事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の、自主検定装置用パッカーの側面図である。
【
図2】本実施形態の、自主検定装置用パッカーの上面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明の実施形態について、図面を用いて説明を行う。
図1に、本実施形態の、自主検定装置用パッカーの側面図を示す。
図2に、自主検定装置用パッカーの上面図を示す。ベース100の上には、装置カバー101が被せられた自主検定装置用パッカー10が固定されている。自主検定装置用パッカー10には、投入部として備えられるホッパー120と、包装フィルムロール110から巻き出される包装フィルム111を引き出す引き出し装置部130、そして熱溶着部140と、熱溶着部140に備えられたヒートブロック141を移動させるための駆動装置部150が備えられている。
【0015】
包装フィルムロール110は、ロール状に巻回されている包装フィルム111よりなり、包装フィルム111は筒状に形成されたビニール素材で、穀類をパッキングする梱包材として用いられる。このビニール素材は、通気性の低い、穀類の湿度を保つのに適した、例えばポリエチレン系の素材が好ましい。この包装フィルム111は、引き出し装置部130に備えられた第1ピンチローラ131と第2ピンチローラ132とに挟まれて包装フィルムロール110より巻き出される。包装フィルム111は搬送経路112を通って、第1ピンチローラ131と第2ピンチローラ132に送られながら、熱溶着部140へと送られる。
【0016】
装置カバー101は、構造的に包装フィルムロール110の全体を覆ってはいないが、そこから引き出される包装フィルム111の搬送経路112と、引き出し装置部130、そして、その先に備えられるシートガイド135までを覆う形になっている。そして、その中央には、駆動装置部150が設けられている。駆動装置部150は、熱溶着部140に設けられた一対のヒートブロック141を、移動させる為のモータ161とその先端に備えられる第1スプロケット162、図示しないベースから立ち上げられたサポートに回動可能に支持されるシャフト151、シャフト151の両端に設けられる第1リンクプレート154及び第2リンクプレート153を備えている。なお、モータ161は細かな角度制御が可能なように、サーボモータを用いる事が好ましい。
【0017】
第2スプロケット152は、第1スプロケット162とチェーンで繋がれてモータ161からの動力を伝え、シャフト151を回転させると共に、第1リンクプレート154と第2リンクプレート153にそれぞれ接続された、外側アーム155と内側アーム156とを駆動させる機能を備えている。
【0018】
そして、1対の外側アーム155と1対の内側アーム156とが、1対のヒートブロック141を近接、離間させる。ヒートブロック141は、包装フィルムロール110から引き出された包装フィルム111を均等に挟み込む構造になっている。また、ヒートブロック141には通電されて、発熱する構造となっているので、包装フィルム111を挟むことで筒状の包装フィルム111を熱溶着してシーリングする。ここで、図示しないフィルムカット装置やフィルム保持機構を用いて、ホッパー120から投入された穀類をパッケージングするのだが、本発明の趣旨を説明するのに不要である為に図には示されず、説明も割愛する。
【0019】
また、駆動装置部150の下部にはヒータ250が備えられる。ヒータ250は制御盤200で制御されて、図示しない内気温計にて装置カバー101の内部の温度を参考に、装置カバー101の内部の気温が一定になるように保たれる。ヒータ250は電熱線などを用いた比較的小型の熱源を想定している。内気温は概ね30度になるように設定されているが、この温度は包装フィルム111の素材にあわせて溶着しやすい条件に設定されることが好ましい。なお、ヒータ250の位置は、装置カバー101内部の全体を暖めるに適した位置であれば、駆動装置部150の下で無くとも良い。また、図示しない外気温計も備えており、外気温が閾値以下になる場合には、シーリングの時間をコンマ数秒だけ長くする構成となっている。
【0020】
本実施形態の自主検定装置用パッカー10は上記構成であるので、以下に示すような作用効果を奏する。
【0021】
まず、本実施形態の自主検定装置用パッカー10を用いる事で、安定したパッケージングが可能となる点が効果として挙げられる。これは、サンプル梱包用の包装フィルム111と、包装フィルム111の搬送手段である引き出し装置部130と、包装フィルム111の端部を熱溶着してシールするヒートブロック141と、装置カバー101を備える自主検定装置用パッカー10において、包装フィルム111の搬送経路112を覆う装置カバー101の内部に配置されるヒータ250と、装置カバー101の内気温を測定する内気温計と、装置カバー101の外気温を測定する外気温計と、を備え、内気温を元に、ヒータ250にて装置カバー101内の温度が一定になるように制御し、外気温が閾値以下の時に、熱溶着部140による溶着時間を長くすること、を特徴とすることによる。
【0022】
自主検定装置用パッカー10で梱包するサンプルは、穀類が米であれば例えば「籾のサンプル」は150g、「籾摺り後」は100g、「くず米」は10g程度を想定している。そして1回のセットで3種類続けてパッキングすることを想定している。そして、このパッキングに用いる包装フィルム111は搬送経路112を10分程度かけて通過する。ホッパー120から投入された図示しない穀類は、30秒程でパッキングされて排出されることになる。装置カバー101は、包装フィルム111の搬送経路112を覆っているので、装置カバー101の内部を所定の温度、本実施形態では30度程度に保つように設定されている。こうすることで、包装フィルム111の温度を適切に制御することができる。
【0023】
また、図示しない外気温を測定する外気温計の数値を使って、所定の温度を閾値とし、外気温が閾値より下がったことをトリガーに、熱溶着部140に備えられたヒートブロック141の溶着時間を長くする制御を行う。溶着時間はコンマ数秒程度長くする。ヒートブロック141はモータ161によって近接、離間を行う為、溶着時間の制御はモータ161の回転角度の制御によって行われる。
【0024】
包装フィルム111の熱溶着は、外気温によって溶け込み不足などが発生するケースがある。自主検定装置用パッカー10は冬季に使われる場合、溶着不足による不具合を発生することが確認されているが、室温の保たれた屋内での使用は困難であり、大抵は屋外の開放スペースに設置されて作業が行われる。そこで、装置カバー101の内気温を一定に制御し、外気温によって更に溶着時間を延ばすことで、自主検定用サンプルの袋詰めにおける不具合を大幅に減らすことができる。
【0025】
以上、本発明に係る自主検定装置用パッカーについての説明をしたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
10 自主検定装置用パッカー
100 ベース
101 装置カバー
110 包装フィルムロール
120 ホッパー
130 引き出し装置部
140 熱溶着部
150 駆動装置部