(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-59518(P2019-59518A)
(43)【公開日】2019年4月18日
(54)【発明の名称】葉状農作物収納カセット及び葉状農作物処理装置
(51)【国際特許分類】
B65B 35/02 20060101AFI20190322BHJP
B65B 35/18 20060101ALI20190322BHJP
B07C 5/02 20060101ALI20190322BHJP
B65B 25/04 20060101ALN20190322BHJP
【FI】
B65B35/02
B65B35/18
B07C5/02
B65B25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-186879(P2017-186879)
(22)【出願日】2017年9月27日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、知の拠点あいち重点研究プロジェクト「次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト・ロボット分野」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健介
(72)【発明者】
【氏名】爪 光男
(72)【発明者】
【氏名】坂田 順
(72)【発明者】
【氏名】三浦 純
(72)【発明者】
【氏名】三好 孝典
(72)【発明者】
【氏名】増沢 広朗
【テーマコード(参考)】
3E028
3E054
3F079
【Fターム(参考)】
3E028AA02
3E028BA06
3E028CA01
3E028GA02
3E028GA10
3E054AA01
3E054BA03
3E054CA05
3E054GA01
3E054GB10
3E054GC09
3E054JA05
3F079AC23
3F079BA05
3F079CA41
3F079DA01
3F079EA02
(57)【要約】
【課題】収穫後の作業を削減できる葉状農作物収納カセット及び葉状農作物処理装置を提供する。
【解決手段】葉状農作物を処理する葉状農作物処理装置に対して着脱可能な、細長形状又は四角形状の箱状体2であって、内部に複数の葉状農作物を箱状体2の長手方向に積層して収納できるように構成され、側面のうち少なくとも一面には、収納状態での葉状農作物の最大幅よりも大きい幅で開口するように開閉可能な収穫用開口部2Kを備え、長手方向両端面には、葉状農作物の収納状態での最大平面積よりも大きい開口面積で開口するように開閉可能な一対の装置装着用開口部24A,25Aを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉状農作物を処理する葉状農作物処理装置に対して着脱可能な、細長形状又は四角形状の箱状体であって、内部に複数の葉状農作物を前記箱状体の長手方向に積層して収納できるように構成され、
側面のうち少なくとも一面には、収納状態での前記葉状農作物の最大幅よりも大きい幅で開口するように開閉可能な収穫用開口部を備え、
長手方向両端面には、前記葉状農作物の収納状態での最大平面積よりも大きい開口面積で開口するように開閉可能な一対の装置装着用開口部を備える、葉状農作物収納カセット。
【請求項2】
内部に、前記葉状農作物の外縁形状の一部に対応して長手方向に延びる規制部を有する、請求項1に記載の葉状農作物収納カセット。
【請求項3】
前記一対の装置装着用開口部は、収納された各葉状農作物の面に平行な方向に移動することで開閉される蓋部を備える、請求項1または2に記載の葉状農作物収納カセット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の葉状農作物収納カセットを、前記一対の装置装着用開口部を開放させた状態で、長手方向が上下方向となるようにセットされるカセットポートと、
前記カセットポートの下方において、上下に移動し、前記葉状農作物収納カセットに収納された複数の葉状農作物を下方から支持する昇降台と、
前記カセットポートの上方において、少なくとも上下に移動し、前記葉状農作物収納カセットに収納された前記複数の葉状農作物のうち最上層に位置する葉状農作物を吸着できる吸着パッドと、を備える葉状農作物処理装置。
【請求項5】
前記カセットポートの上方に設けられ、前記葉状農作物収納カセットの上側の装置装着用開口部越しに現れる葉状農作物の画像を得るカメラと、
前記カメラで得られた画像を処理する画像処理部と、
前記吸着パッドの移動を制御する吸着パッド制御部と、を備え、
前記吸着パッドは水平方向にも移動するように構成され、
前記画像処理部は、前記最上層に位置する葉状農作物の外縁を識別することにより、当該葉状農産物の重心位置を求め、
前記吸着パッド制御部は、前記画像処理部により求められた前記重心位置に吸着中心位置を一致させるように前記吸着パッドを移動させる、請求項4に記載の葉状農作物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉状農作物を積層して収納する葉状農作物収納カセット及び該葉状農作物収納カセットに収納された葉状農作物を処理する葉状農作物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大葉等の葉状農作物を商品化するために、収穫した葉状農作物を選別して包装等の処理を行う処理装置が知られている(例えば特許文献1に記載)。
【0003】
この処理装置は、複数の葉状農作物を供給するためのカセットを備える。しかし、このカセットは、処理装置に付属するものであって、処理に先立って畑から収穫してきた葉状農作物を処理装置のそばでカセットに入れる作業が必要であった。このため、畑から運んだ収穫用コンテナからカセットに葉状農作物を移し替える必要があって不便であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5612324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、収穫後の作業を削減できる葉状農作物収納カセット及び葉状農作物処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の葉状農作物収納カセットは、葉状農作物を処理する葉状農作物処理装置に対して着脱可能な、細長形状又は四角形状の箱状体であって、内部に複数の葉状農作物を前記箱状体の長手方向に積層して収納できるように構成され、側面のうち少なくとも一面には、収納状態での前記葉状農作物の最大幅よりも大きい幅で開口するように開閉可能な収穫用開口部を備え、長手方向両端面には、前記葉状農作物の収納状態での最大平面積よりも大きい開口面積で開口するように開閉可能な一対の装置装着用開口部を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、畑にて、収穫用開口部を開放した状態で収穫した葉状農作物を収納でき、葉状農作物を収納した葉状農作物収納カセットを、葉状農作物処理装置に装着すると共に装置装着用開口部を開放するだけで葉状農作物処理装置での処理を行える。このため、葉状農作物を移し替える手間を省くことができる。
【0008】
また、本発明の葉状農作物収納カセットは、内部に、前記葉状農作物の外縁形状の一部に対応して長手方向に延びる規制部を有していてもよい。
【0009】
上記構成によれば、規制部により、積層された複数の葉状農作物の位置がずれることが規制されるため、葉状農作物処理装置において葉状農作物が詰まる等のトラブルが発生しにくい。
【0010】
また、本発明の葉状農作物収納カセットは、前記一対の装置装着用開口部が、収納された各葉状農作物の面に平行な方向に移動することで開閉される蓋部を備えていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、蓋部を開放する際に、蓋部が葉状農作物と平行に移動させられるので、葉状農作物の積層状態が崩れにくい。
【0012】
また、本発明の葉状農作物処理装置は、前記葉状農作物収納カセットを、前記一対の装置装着用開口部を開放させた状態で、長手方向が上下方向となるようにセットされるカセットポートと、前記カセットポートの下方において、上下に移動し、前記葉状農作物収納カセットに収納された複数の葉状農作物を下方から支持する昇降台と、前記カセットポートの上方において、少なくとも上下に移動し、前記葉状農作物収納カセットに収納された前記複数の葉状農作物のうち最上層に位置する葉状農作物を吸着できる吸着パッドと、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、葉状農作物収納カセットをカセットポートにセットして、複数の葉状農作物を昇降台により上昇させることによって、葉状農作物収納カセットに収納された最上層に位置する葉状農作物を吸着パッドで吸着して所望の箇所まで移送して処理することができる。
【0014】
また、本発明の葉状農作物処理装置は、前記カセットポートの上方に設けられ、前記葉状農作物収納カセットの上側の装置装着用開口部越しに現れる葉状農作物の画像を得るカメラと、前記カメラで得られた画像を処理する画像処理部と、前記吸着パッドの移動を制御する吸着パッド制御部と、を備え、前記吸着パッドは水平方向にも移動するように構成され、前記画像処理部は、前記最上層に位置する葉状農作物の外縁を識別することにより、当該葉状農産物の重心位置を求め、前記吸着パッド制御部は、前記画像処理部により求められた前記重心位置に吸着中心位置を一致させるように前記吸着パッドを移動させる構成であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、最上層に位置する葉状農作物をカメラで撮って得られた画像を画像処理部で画像処理し、当該葉状農作物の外縁を識別することにより、当該葉状農産物の重心位置を求める。求められた重心位置に吸着中心位置を一致させるように吸着パッドを移動させることで、最上層に位置する葉状農作物を吸着パッドで吸着して確実に持ち上げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、畑で収穫した葉状農作物を収納した葉状農作物収納カセットを、葉状農作物処理装置に装着すると共に装置装着用開口部を開放するだけで葉状農作物処理装置での処理を行えるので、収穫後の作業を削減できる葉状農作物収納カセット及び葉状農作物処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の葉状農作物収納カセットの分解斜視図である。
【
図2】同葉状農作物収納カセットの横断平面図である。
【
図3】同葉状農作物収納カセットの斜視図を示し、(a)は上蓋を取り外した状態を示し、(b)は上蓋を取り付けた状態を示している。
【
図4】同葉状農作物収納カセットをカセットポートにセットする直前の状態を示す斜視図である。
【
図5】同葉状農作物収納カセットをカセットポートにセットした状態の斜視図である。
【
図6】同葉状農作物収納カセットをカセットポートにセットし、上下の蓋部を取り外した状態を示している。
【
図7】同葉状農作物収納カセット内に収納されている葉状農作物を昇降台で所定位置まで上昇させた状態の斜視図である。
【
図8】
図7で上昇させた最上部に位置する葉状農作物をカメラで撮像している状態を示す斜視図である。
【
図9】葉状農作物を吸着する吸着パッドを備えるロボットアームを動作させるピッキング装置の斜視図である。
【
図10】(a)はカメラで撮像した最上部に位置する葉状農作物を下方に位置している葉状農作物と識別する処理を行っている平面図、(b)は画像処理後の葉状農作物の葉身の重心位置を示す画像である。
【
図11】葉状農作物の葉身の重心位置に対する吸着パッドの吸着位置を示す平面図である。
【
図12】吸着パッドの動作を制御するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る葉状農作物収納カセット(以下において、単にカセットという)の一実施形態を、図面に基づいて説明を行う。なお、葉状農作物としては、
図10(a)に示す葉身部1A及び葉柄部1Bを有する大葉1を挙げて説明する。
【0019】
図1、
図3(a),(b)に、畑で収穫した複数の大葉1を収納するためのカセット2を示している。このカセット2は、アルミニウム製で作製されているが、各種の合成樹脂等で作製されてもよい。また、カセット2は、細長で長方形状の箱状体に構成されるとともに、後述する葉状農作物処理装置3(例えば、
図4参照)に対して着脱可能に構成されている。箱状体の内部に、複数の大葉1が該箱状体の長手方向に積層されて収納される。また、箱状体は、収穫した複数の大葉1を収納する時に底部となる底板部21と、底板部21の幅方向両端から上方に延びる前側板部22及び後側板部23と、該箱状体の長手方向両端面に位置する一対の装置装着用開口部24A,25Aを塞ぐ一対の蓋部24,25と、からなるカセット本体2Aと、前側板部22の上端と後側板部23の上端と一対の蓋部24,25の上端とで形成される大葉1を入れるための収穫用開口部2Kを閉じる開閉可能な上側蓋部2Bと、を備えている。また、箱状体の長手方向両端部のそれぞれには、略Uの字状の補強枠26と、補強枠26の両側部の端面に設けられる長方形状の板状部材27,27と、を備えている。なお、細長形状の箱状体のカセット2は、長方形状の他、正方形等の四角形状等の箱状体であってもよい。
【0020】
前記補強枠26は、
図1において前側板部22及び後側板部23よりも上方に突出し、かつ、長手方向外側に突出するように、前側板部22及び後側板部23並びに底板部21の外面に取り付けられている。また、前記前側板部22及び後側板部23の長手方向両端面のそれぞれとこれに対向する前記板状部材27,27の内面との間に、前記蓋部24,25を差し込める隙間が形成されている。従って、蓋部24,25を隙間に差し込むことによって、蓋部24,25を前側板部22及び後側板部23と板状部材27,27との間に保持させて、装置装着用開口部24A,25Aを閉じることができる。また、保持された蓋部24,25を抜き取ることで装置装着用開口部24A,25Aを開放することができる。また、上側蓋部2Bは、取り外し可能に構成されているが、カセット本体2Aに取り外し不能に取り付けられていてもよい。この上側蓋部2Bを取り外し不能に取り付ける場合には、カセット本体2Aに上側蓋部2Bをカセット本体2Aにスライド開閉自在に取り付ける、又はカセット本体2Aに例えば長手方向の軸芯回りで揺動開閉自在に取り付けることになる。
【0021】
収穫用開口部2Kは、収納状態での大葉1の最大幅よりも大きい幅に構成されており、大葉1をカセット本体2A内に容易に収納することができる。また、一対の蓋部24,25は、大葉1の表裏の面に平行な方向に移動することで、一対の装置装着用開口部24A,25Aを開閉するように構成されている。また、一対の蓋部24,25を開放すると、一対の装置装着用開口部24A,25Aが、収納状態での大葉1の最大平面積よりも大きい幅で開口する。従って、蓋部24,25を開放する際に、大葉1と平行に移動させられるので、大葉1の積層状態が崩れにくい。このように構成されたカセット2を畑に持ち出して、上側蓋部2Bを開放する(取り外す)ことによって、収穫用開口部2Kを開放した状態で収穫した大葉1を収納できる(
図3(a)参照)。そして、大葉1が収納されたカセット2を、葉状農作物処理装置3に装着すると共に装置装着用開口部24A,25Aを開放するだけで葉状農作物処理装置3での処理を行える。このため、大葉1を移し替える手間を省くことができる。
図3(b)では、上側蓋部2Bを閉じて収穫した大葉1を収納する時の状態を示している。
【0022】
また、カセット2の内部には、
図1及び
図2に示すように、大葉1の外縁形状の一部に対応して長手方向略全域に亘るように延びる2つの規制部28,29を有している。一方の規制部28は、底板部21の幅方向中央部よりも少し後側部分と後側板部23の高さ方向略中央部とに亘る後側傾斜板部からなり、他方の規制部29は、底板部21の幅方向中央部よりも少し前側部分と前側板部22の高さ方向略中央部とに亘る前側傾斜板部からなっている。これら規制部28,29を備えることによって、積層された複数の大葉1の位置がずれることが規制されるため、葉状農作物処理装置3において大葉1が詰まる等のトラブルが発生しにくい。尚、カセット2の内部に収納する大葉(葉状農作物)1の形状に応じて規制部28,29の形状や配置を変更することになる。
【0023】
図3(a)に大葉1の収穫時のカセット2の状態を示し、
図3(b)に大葉1のカセット2への収納が終わり、上側蓋部2Bを閉じた状態を示している。この
図3(b)の状態のカセット2を後述する葉状農作物処理装置3に装着して各種の処理を行う。
【0024】
次に、葉状農作物処理装置3(以下、単に処理装置3という)について説明する。
図4〜
図7に示すように、処理装置3は、カセット2を、一対の装置装着用開口部24A,25Aを開放させた状態、つまり一対の蓋部24,25を取り外した状態で、長手方向が上下方向となるようにセットされるカセットポート31と、カセットポート31の下方において、上下に移動し、カセット2に収納された複数の大葉1を下方から支持する昇降台32と、カセットポート31の上方において、上下に移動し、カセット2に収納された複数の大葉1のうち最上層に位置する大葉1を吸着できる3つの吸着パッド33…(
図9参照)と、を備えている。
【0025】
カセットポート31は、4つの縦長状の柱311…と、4つの柱311…の下端を連結する4つの下側連結部材312…と、4つの柱311…の上端に載置固定された上側プレート313と、4つの柱311…の上下方向中央部にカセット2を載置する載置プレート314と、を備えている。
【0026】
上側プレート312の中心部には、カセット2内に積み重ねられた大葉1を上方へ移動可能な矩形状の開口部3121が形成され、開口部3121には、積み重ねられた大葉1の崩れを防止するための防止枠3122が取り付けられている。防止枠3122は、開口部3121に嵌合固定される矩形状の外枠部3122Aと、カセット2の内部に設けられている前記規制部28,29の上端から上方へ上昇される大葉1の外縁形状の一部に対応するように該規制部28,29と同一形状の第2規制部3122B,3122Cと、を備えている。
【0027】
載置プレート314の中心部には、カセット2内に積み重ねられた大葉1を載置可能な大きさに構成されている前記昇降台32の挿通を許容する開口部314Aが形成されている。カセット2内に積み重ねられた大葉1を載置した状態では、載置プレート314の上面と昇降台32の上面とが面一となっており、この面一状態から昇降台32を上昇させる。
【0028】
昇降台32は、カセット2の内部を昇降できるようにカセット2の内部に応じた形状になっている。具体的には、昇降台32は、カセット2の規制部28,29の内側を通過することができるようにカセット2の奥行き方向奥側が奥側ほど先細りとなる台形状の第1部分321と、カセット2の奥行き方向手前側が矩形状となる第2部分322と、を備えている。また、昇降台32は、図示していない駆動機構により昇降自在に構成されている。
【0029】
3つの吸着パッド33…は、
図9に示すように、ロボットアーム4の下端に取り付けられた取付プレート5に周方向において同一距離を置いて取り付けられている。ロボットアーム4は、昇降機構Hを用いることにより図に示すXの方向とYの方向とZの方向のどの方向にも移動可能に構成され、このロボットアーム4の移動により3つの吸着パッド33…をXの方向、Yの方向、Zの方向のどの方向にも移動させることができる。
【0030】
次に、前記のように構成されたカセットポート31に、カセット2を装着する場合について説明する。まず、
図4及び
図5に示すように、長手方向が上下方向となる状態でカセット2をカセットポート31にセットする(図では大葉1を表示していない)。カセット2をセットすると、上下に位置している一対の蓋部24,25を手前側に引き出して取り外す(
図6参照)。この後、上側蓋部2Bを取り付けてカセット2の装着が完了する。このように、カセット2をカセットポート31にセットすれば、複数の大葉1を昇降台32により上昇させて、カセット2に収納された最上層に位置する大葉1を3つの吸着パッド33…で吸着して所望の箇所まで移送して処理することができる。尚、一対の蓋部24,25を取り外すタイミングは、前記のようにカセット2をカセットポート31にセットしたセット後が好適であるが、セット前であってもよいし、セット中であってもよい。また、上側蓋部2Bを取り付けるタイミングは、一対の蓋部24,25を取り外した後に行うのが好適であるが、カセットポート31にセットする前に取り付けてもよい。
【0031】
また、カセットポート31には、カセット2が正しくセットされているか否かを検出する検出手段としてのセンサ(図示せず)を備えるとともに、最上層に位置する大葉1の上下方向の位置を検出する大葉検出手段(例えば透過式光電センサ)を備えている。大葉1の中には、上下方向で大きく湾曲した形状の大葉1も存在していることもあり、大葉検出手段で大葉1を検出する毎に、昇降台32を一旦下降させてから上昇させながら、大葉検出手段で大葉1を検出するように構成することで、大葉1の検出精度を高めるようにしている。
図7では、大葉検出手段の検出信号に基づいて昇降台32を昇降させた状態を示している。尚、
図7では、カセット2の内部が分かり易くするために、上側蓋部2Bを取り外した状態にしている。
【0032】
また、処理装置3は、
図8及び
図12に示すように、カセットポート31の上方に設けられ、カセット2の上側の装置装着用開口部25A越しに現れる大葉1の画像を得るカメラ34と、カメラ34で得られた画像を処理すべく、カメラ34に接続される画像処理部35と、3つの吸着パッド33…の移動を制御する吸着パッド制御部36と、を備え、3つの吸着パッド33…は前述のように水平方向(Xの方向とYの方向)にも移動するように構成され、画像処理部35は、前記最上層に位置する大葉1の外縁を識別することにより、大葉1の重心位置を求めるように構成されている。吸着パッド制御部36は、
図10(a),(b)及び
図11に示すように、カメラ34で得られた画像を画像処理部35により求められた重心位置1Xに吸着中心位置33Xを一致させるように3つの吸着パッド33…を移動させるように構成されている。実際には、ロボットアーム4の動きを駆動制御することによって、3つの吸着パッド33…の移動を制御している。このようにすることによって、最上層に位置する大葉1をカメラ34で撮って得られた画像を画像処理部35で画像処理し、大葉1の外縁を識別することにより、大葉1の重心位置1Xを求める。求められた重心位置1Xに吸着中心位置33Xを一致させるように3つの吸着パッド33…を移動させることで、最上層に位置する大葉1を3つの吸着パッド33…で確実に持ち上げることができる。3つの吸着パッド33…の吸着中心位置33Xは、3つの吸着パッド33…を結ぶ円周の中心部に相当する。3つの吸着パッド33…で吸着した大葉1は、不良品の選別や大きさ毎の選別を行った後、結束処理や包装処理される。
【0033】
尚、本発明に係る葉状農作物収納カセット及び葉状農作物処理装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0034】
前記実施形態では、葉状農作物として、大葉1を用いたが、サンチュ、葉タバコ、紅葉(もみじ)等の他の葉状農作物であってもよい。本発明に係る葉状農作物は、特に平面積に対して厚みの小さい平坦な形状のさ葉状農作物に適している。
【0035】
また、前記実施形態では、画像処理部35により求められた大葉1の重心位置1Xに3つの吸着パッド33…の吸着中心位置33Xを一致させるように3つの吸着パッド33…を移動させるように構成したが、画像処理部35により大葉1の葉脈を画像処理し、大葉1の重心位置1Xに3つの吸着パッド33…の吸着中心位置33Xを一致させた時に、葉脈を3つの吸着パッド33…ができるだけ吸着しないように3つの吸着パッド33…の位置を少しずらすような制御を行うように構成してもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、4つの側面のうちの1つの側面のみ開閉可能な収穫用開口部2Kを備えた構成を示したが、2つの側面以上が開閉可能に構成された複数の収穫用開口部2K…を備えた構成であってもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、カセット2の内部に収納される大葉1(葉状農作物)の外縁形状の一部に対応して長手方向に延びる規制部28,29を備えたが、省略してもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、3つの吸着パッド33…で大葉1を吸着するようにしたが、1つ又は2つの吸着パッドで大葉1を吸着してもよいし、4つ以上の任意の数の吸着パッドで大葉1を吸着することもできる。
【0039】
また、前記実施形態では、収穫時にカセット2内に大葉1を縦向き(大葉1の軸方向が上下に沿う方向)に収納したが、カセット2の構成を変更することによって、カセット2内に大葉1を横向き(大葉1の軸方向が水平方向に沿う方向)に収納するようにしてもよい。この場合、収穫時に大葉1を収納し易い利点がある。
【符号の説明】
【0040】
1…大葉、1A…葉身部、1B…葉柄部、1X…重心位置、2…葉状農作物収納カセット(箱状体)、2A…カセット本体、2B…上側蓋部、2K…収穫用開口部、3…葉状農作物処理装置、4…ロボットアームアーム、5…取付プレート、21…底板部、22…前側板部、23…後側板部、24,25…蓋部、24A,25A…装置装着用開口部、26…補強枠、27…板状部材、28,29…規制部、31…カセットポート、32…昇降台、33…吸着パッド、33X…吸着中心位置、34…カメラ、35…画像処理部、36…吸着パッド制御部、311…柱、312…下側連結部材、313…上側プレート、314…載置プレート、314A…開口部、321…第1部分、322…第2部分、3121…開口部、3122…防止枠、3122A…外枠部、3122B,3122C…第2規制部、H…昇降機構