特開2019-60143(P2019-60143A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019060143-カンパニー・イン・シェルター 図000003
  • 特開2019060143-カンパニー・イン・シェルター 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-60143(P2019-60143A)
(43)【公開日】2019年4月18日
(54)【発明の名称】カンパニー・イン・シェルター
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/08 20060101AFI20190322BHJP
   F41H 11/02 20060101ALI20190322BHJP
【FI】
   E04H9/08
   F41H11/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-185878(P2017-185878)
(22)【出願日】2017年9月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000211569
【氏名又は名称】中松 義郎
(72)【発明者】
【氏名】中松 義郎
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA25
2E139AA30
2E139AB25
(57)【要約】
【課題】ミサイル攻撃等を効果的に防御する。
【解決手段】会社全体(建物14)を地下空間9に収容する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミサイル攻撃等から防御するため、会社全体をシェルター内に収容する
ことを特徴とするカンパニー・イン・シェルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミサイル攻撃等を効果的に防御することが可能なシェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
爆弾などの攻撃に対する防御施設として防空壕がある。
防空壕には、図1に示すように、地面1を比較的浅く掘削し、その上部を掩蓋(えんがい)5と呼ばれる屋根状の部材で覆うことで壕内に内部空間3を設けたものが知られている。
この種の防空壕は、例えば、縦型の出入口4が設けられており、この出入口4から人6が内部空間3に入ることで、一時的に上記攻撃から身を護ることできるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このような従来の防空壕では、近代のミサイルや爆弾を使った攻撃(以下、ミサイル攻撃等という)に対し、内部空間3に居る人6を十分に防御することができないといった問題がある。
例えば、バンカーバスター(貫通爆弾)と呼ばれる爆弾による上からの攻撃7を直接受けた場合、掩蓋5は容易に貫通・破壊されるため、内部空間3に居る人6は甚大な被害を受ける。
また、ミサイル攻撃等を直接受けない場合でも、例えば、水爆などが周辺地域に投下された場合、地表2に沿って爆風や爆弾破片の飛散が生じ、これが横からの攻撃8となって出入口4を破壊して、内部空間3に居る人6に被害を及ぼすことになる。
【0004】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、会社全体に相当する建物14そのものを地下空間9に収容することで、ミサイル攻撃等から人や物を効果的に防御することができるカンパニー・イン・シェルターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のカンパニー・イン・シェルターは、ミサイル攻撃等から防御するため、会社全体をシェルター内に収容するようにしてある。
また、本発明は、ミサイル攻撃等から防御するため、建物そのものを地下空間に収容するとともに、前記建物を複数階からなる階層構造としてある。
また、前記階層構造は、ミサイル攻撃等により各階において想定される被害度又は安全度に対応した階数に基づいて設計・構成するようにしてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、会社全体に相当する建物そのものを地下空間9内に収容するようにしているため、ミサイル攻撃等から人や物を含め会社組織のすべてを効果的に防御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】公知の防空壕の説明図である。
図2】本発明のカンパニー・イン・シェルターの概要を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る建物の西東断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る建物の東西断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る建物の北南断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る建物の南北断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る建物の昇降路を示す断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る建物の地下階の平面図である。
図9】本発明の実施形態に係る建物の地上階(3階)の平面図である。
図10】上からの攻撃7に対する建物14における各階において想定される被害度及び安全度を示す図であり、(a)は地上2階・地下1階の建物14の場合、(b)は地上3階・地下1階の建物14の場合、(c)は地上4階・地下1階の建物14の場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のカンパニー・イン・シェルターの実施形態について、地上3階及び地下階からなるオフィスビル(以下、建物14という)を例に挙げ、図面を参照しながら説明する。
なお、建物14には、少なくとも1つの会社が入居しており、各階の各部屋は、部署ごとに割り当てられ、それぞれ人(社員)や、設備(机、ロッカーなどの什器等)が配置されている。
【0009】
図2は、本発明のカンパニー・イン・シェルターの概要を示す図であり、建物14の断面を模式的に示した図である。
図3図9は、建物14の建築図であり、本発明の説明図である。
図3は、西東断面図であり、図4は、東西断面図であり、図5は、北南断面図であり、図6は、南北断面図である。なお、図3図4は、同じ断面をそれぞれ反対方向から見た断面図であり、図5図6も同様である。
図7は、エレベータ11の昇降路10の断面を示す昇降路断面図であり、図8は、地下階の平面図であり、図9は、3階の平面図である。
【0010】
これらの図に示すように、本発明のカンパニー・イン・シェルターは、会社(カンパニー)に属する人や物が配置されたオフィスビルなどの建物14が、まるごと、シェルターに収容されているところに特徴を有する。
すなわち、ミサイル攻撃等から防御するため、建物そのものを地下空間に収容するとともに、前記建物を複数階からなる階層構造としている。
具体的には、敷地の全体にわたり、地面1を一定の深さ(例えば、BFの高さに相当する深さ)に掘削して地下空間9を作り、この地下空間9をシェルターとして建物14を収容する。
【0011】
このようにすると、ミサイル攻撃等、上からの攻撃7に対し、各階の建築構造(鉄筋、コンクリートなど)がそれぞれ障害物となってこれを大幅に軽減したり無力化することができる。
例えば、ミサイルが最上階(例えば3階)を貫通したとしても(図2の大×参照)、その下位の階(2階)でミサイルの貫通を防ぐことができ、また、仮に、その階(2階)をミサイルが貫通したとしても(図2の小×参照)、さらに、その下位の階(1階)でミサイルの貫通を防ぐことができる。
このように、上からの攻撃7を建物14の階層構造13によって段階的に弱めることができるため、多階数の建物14ほど、また、下位の階ほど、上からの攻撃7に対するダメージを小さくすることができる。
例えば、各部署を、その重要度に応じ、地下階→1階→2階→3階といった順に配することもできる。
特に、地下階は、地表2より低い階層であるため、周辺地域における爆発に伴う爆風や爆弾破片を受ける可能性が少ない。
このため、地下階は、上からの攻撃7のみならず、横方向からの攻撃8に対し、極めて高い防御効果を発揮することができる。
本実施形態において、建物14の地下階には、最も重要な部署の一例として総務部と社長室を配置している(図3〜8参照)。
このため、仮にミサイル攻撃等を受けたとしても、少なくともこれらの重要な部署は、何らダメージを受けることなく、通常通り業務を続けることができる。
【0012】
このほか、上位階と下位階との間の部分(天井や床)に対し鋼板等の補強を行うことによって、上からの攻撃7に対する防御能力をさらに高めることができる。
また、同様に壁部分(外壁や内壁)を補強することによって、横からの攻撃8に対する防御能力を高めることができる。
また、出入口を地下階に設けることもできる(図示省略)。
このようにすると、地表2に沿った爆風・爆弾破片などによって出入口が破壊されるおそれがないため、横からの攻撃8に対する防御能力をより高めることができる。
【0013】
また、建物14に内部への採光手段として、吹き抜け12を設けることもできる。例えば、本実施形態の建物14は、地下階の中庭の上部に吹き抜け12を設け、日中は、日光によって中庭が明るく照らされるようにしている(図2〜4,7〜9参照)。
このため、建物14内に長時間にわたり人6が快適に過ごすことができる。
ところで、採光手段として、外壁にガラス戸などの窓を設けるのが一般的だが、この種の窓は、横からの攻撃8に対して脆弱である。
このため、吹き抜け12を設けることで、窓を設けずとも建物14の内部に採光することができ、かつ、横からの攻撃8に対して防御能力を高めることができる。また、核爆発の閃光による失明を防ぐことができる。
また、建物14には、各階への移動手段としてエレベータ11を設けることができる(図2,7〜9参照)。
ここで、オフィスビル等、一定規模の建物14にエレベータ11を設ける場合、昇降路10は、鋼板等の防火壁により区画する必要がある。
このため、エレベータ11を、移動手段として用いつつも、ミサイル攻撃等があったときは、これをより強固な避難空間として活用することができる。
【0014】
加えて、建物14は、ミサイル攻撃等により各階において想定される被害度又は安全度に対応した階数に基づいて構成又は設計することもできる。
図10は、上からの攻撃7に対する建物14における各階において想定される被害度及び安全度を示す図であり、(a)は地上2階・地下1階の建物14の場合、(b)は地上3階・地下1階の建物14の場合、(c)は地上4階・地下1階の建物14の場合をそれぞれ示している。
「被害度」は、想定されるミサイルや爆弾の種別に対応した破壊力を最小値0〜最大値100の範囲で数値化したものである。
「安全度」は、被害度に対応して求まる安全の度合いであり、被害度0〜30は安全「高」、被害度30〜50は安全度「やや高」、被害度50〜70は安全度「中」、被害度70〜90は安全度「やや低」、被害度90〜100は安全度「低」とすることができる。
このため、例えば、安全度「中」以上のフロアを少なくとも3つ確保した建物14を実現するには、5階層以上の建物14を設計・建築すればよい(図10(c)参照)。
【0015】
以上のように、本発明のカンパニー・イン・シェルターにおいては、会社全体に相当する建物14をそのままシェルターとしての地下空間9に収容するようにしているため、会社組織(社員、設備など)をまるごとミサイル攻撃等から防御することができる。
これにより、仮にミサイル攻撃等があっても、通常通り、会社業務を続けることができる。
例えば、わが国においては、ミサイル攻撃等を受ける可能性がある場合、Jアラートと呼ばれる警報が発動されるが、このJアラートに対し、どのように対応していいか混乱するケースがみられる。
この点、本発明のカンパニー・イン・シェルターによれば、ミサイル攻撃等に対し極めて高い防御能力を有するため、Jアラート不要のミサイル防御システムを構築することができる。
さらに、一般のシェルターは、当該シェルターのためだけに確保した空間・場所に設けられるが、本発明のカンパニー・イン・シェルターは、人6が通常的に行動又は居住する空間・場所に設けるようにしているため、専用のスペースを別に用意する必要もない。
【0016】
以上、本発明のカンパニー・イン・シェルターの好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。
例えば、地下1階のみならず、複数階を地下空間9に収容することで、より安全な空間を増やすことができる。
また、建物14を新たに建設する場合だけでなく、既設の建物14に本発明を適用することができる。
例えば、既設の建物14を油圧ジャッキなどにより浮揚させ、横方向に移動させた後、元の場所又は別の場所に設けた地下空間9に設置する。
これにより、比較的短期間で、かつ、低コストで、本発明を実施することができる。
また、オフィスビルのみならず、マンションなどの集合住宅、商業ビル、ホテルなどに本発明を適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、ミサイル攻撃等に対する防御に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 地面
2 地表
3 内部空間
4 出入口
5 掩蓋
6 人
7 上からの攻撃
8 横からの攻撃
9 地下空間
10 昇降路
11 エレベータ
12 吹き抜け
13 階層構造
14 建物(オフィスビル)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10