前記光源の発光スペクトルにおいて、前記蛍光体が発する光の発光ピーク強度(F)に対する前記青色光のピーク強度(B)の比率〔(B)/(F)〕が、3%以下である光源である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(光源)
本発明の光源は、青色LEDと、蛍光体とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記光源は、前記光源の発光スペクトルにおいて、前記蛍光体が発する光の発光ピーク強度(F)に対する前記青色光のピーク強度(B)の比率〔(B)/(F)〕が、3%以下である。前記比率の下限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記比率が小さすぎると、蛍光体の発光ピーク強度自体が小さくなるため、0.01%以上が好ましく、0.10%以上がより好ましい。
前記比率が3%以下であると、半値幅の狭い蛍光体の発光ピークが得られる。半値幅の狭い発光ピークを有する光源は、広い色域を得るのに有効な光源である。なお、半値幅が狭いことを色純度が高いと表現することもある。
【0016】
前記比率を小さくする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光吸収、及び励起確率の高い蛍光体を使用すること、前記光源における蛍光体の使用量を多くすることなどが挙げられる。
【0017】
<青色LED>
前記青色LEDとしては、青色光を発するLED(light emitting diode)であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、440nm〜475nmの間に発光ピーク波長を有するLEDなどが挙げられる。
前記青色LEDとしては、例えば、GaN系、SiC系、ZnS系、ZnSe系などが挙げられる。
【0018】
<蛍光体>
前記蛍光体としては、前記青色LEDが発する前記青色光により励起される限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、緑色蛍光体、赤色蛍光体、黄色蛍光体などが挙げられる。これらの中でも、発光ピークの半値幅をより狭くできる点で、緑色蛍光体、赤色蛍光体が好ましい。
【0019】
前記緑色蛍光体の発光ピーク波長としては、例えば、波長530nm〜550nmが挙げられる。
前記赤色蛍光体の発光ピーク波長としては、例えば、波長620nm〜670nmが挙げられる。
【0020】
前記蛍光体が前記緑色蛍光体の場合、前記光源は緑色光源である。
前記緑色光源において、前記緑色蛍光体が発する光の発光ピークの半値幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、46.0nm以下が好ましく、45.0nm以下がより好ましい。前記半値幅の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記半値幅は、例えば、35.0nm以上であってもよいし、38.0nm以上であってもよい。
【0021】
前記蛍光体が前記赤色蛍光体の場合、前記光源は赤色光源である。
前記赤色光源において、前記赤色蛍光体が発する光の発光ピークの半値幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、61.0nm以下が好ましく、60.0nm以下がより好ましい。前記半値幅の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記半値幅は、例えば、50.0nm以上であってもよいし、54.0nm以上であってもよい。
【0022】
前記蛍光体としては、例えば、硫化物系蛍光体、酸化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、フッ化物系蛍光体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記蛍光体としては、上記に限定されるものではなく、任意の蛍光体を適用可能であることは当業者に当然に理解され、例えば、CdSe/ZnSなどによる量子ドット蛍光体をも用いることができる。
【0023】
前記蛍光体としては、構成成分として硫黄を含むことが、発光ピークの半値幅をより狭くできる点で好ましい。
【0024】
<<硫化物系蛍光体>>
前記硫化物系蛍光体としては、例えば、以下の蛍光体が挙げられる。
(i)青色励起光の照射により波長620nm〜670nmの赤色蛍光ピークを有する赤色硫化物蛍光体(CaS:Eu(硫化カルシウム(CS)蛍光体)、SrS:Eu)
(ii)青色励起光の照射により波長530nm〜550nmの緑色蛍光ピークを有する緑色硫化物蛍光体(チオガレート(SGS)蛍光体(Sr
xM
1−x−y)Ga
2S
4:Eu
y(Mは、Ca、Mg、Baのいずれかであり、0≦x<1、0<y<0.2を満たす。)
(iii)前記緑色硫化物蛍光体と前記赤色硫化物蛍光体(Ca
1−x)S:Eu
x(0<x<0.05を満たす。)との混合物
これらの中でも、緑色蛍光体としてはSrGa
2S
4:Euが好適に挙げられ、赤色蛍光体としてはCaS:Euが好適に挙げられる。ここで、前記硫化物系蛍光体が、二酸化ケイ素を含有する被覆膜で被膜されていてもよい。また、前記二酸化ケイ素を含有する被覆膜が酸化亜鉛粉末を含んでいてもよい。
【0025】
前記硫化物系蛍光体の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CaS:Eu(硫化カルシウム(CS)蛍光体)、SrS:Eu、SrGa
2S
4:Eu、CaGa
2S
4:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)Ga
2S
4:Eu(チオガレート(SGS)蛍光体)、(Sr,Ca,Ba)S:Eu、Y
2O
2S:Eu、La
2O
2S:Eu、Gd
2O
2S:Euなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
<<酸化物系蛍光体>>
前記酸化物系蛍光体の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(Ba,Sr)
3SiO
5:Eu、(Ba,Sr)
2SiO
4:Eu、Tb
3Al
5O
12:Ce、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ceなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
また、前記酸化物系蛍光体としては、青色励起光の照射により波長590nm〜620nmの赤色蛍光を発する酸化物系蛍光体が挙げられ、(Ba,Sr)
3SiO
5:Eu、(Ba,Sr)
2SiO
4:Euなどが好適に挙げられる。
【0028】
<<窒化物系蛍光体>>
前記窒化物系蛍光体の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Ca
2Si
5N
8:Eu、Sr
2Si
5N
8:Eu、Ba
2Si
5N
8:Eu、(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Eu、Ca
x(Al,Si)
12(O,N)
16:Eu(0<x≦1.5)、CaSi
2O
2N
2:Eu、SrSi
2O
2N
2:Eu、BaSi
2O
2N
2:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si
2O
2N
2:Eu、CaAl
2Si
4N
8:Eu、CaSiN
2:Eu、CaAlSiN
3:Eu、(Sr,Ca)AlSiN
3:Euなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
<<フッ化物系蛍光体>>
前記フッ化物系蛍光体の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、K
2TiF
6:Mn
4+、Ba
2TiF
6:Mn
4+、Na
2TiF
6:Mn
4+、K
3ZrF
7:Mn
4+、K
2SiF
6:Mn
4+などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
<<蛍光体シート>>
前記光源において、前記蛍光体は、樹脂を含有する蛍光体シートに含有されていることが好ましい。
前記蛍光体シートは、例えば、前記蛍光体と、樹脂とを含有する蛍光体含有樹脂組成物(いわゆる蛍光体塗料)を透明基材に塗布することにより得られる。
前記蛍光体シートの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記蛍光体シートにおける前記蛍光体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0031】
<<<樹脂>>>
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、光硬化型樹脂などが挙げられる。
【0032】
−熱可塑性樹脂−
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水添スチレン系共重合体、アクリル系共重合体などが挙げられる。
前記水添スチレン系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水添物などが挙げられる。
前記スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体におけるスチレン単位の割合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20モル%〜30モル%が好ましい。
また、前記アクリル系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸ブチル(BA)のブロック共重合体などが挙げられる。なお、蛍光体が硫化物の場合、熱可塑性樹脂としては、アクリル系共重合体よりも、水添スチレン系共重合体が好ましい。
【0033】
−光硬化型樹脂−
前記光硬化型樹脂は、光硬化型化合物を用いて作製される。
前記光硬化型化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート等の光硬化型(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここで、前記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオールとポリイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)とを反応して得られるイソシアネート基を含有する生成物をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなど)でエステル化したものである。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの前記光硬化型(メタ)アクリレート100質量部中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量部以上が好ましい。
【0034】
−樹脂組成物−
前記樹脂を含む樹脂組成物は、ポリオレフィン共重合体成分又は光硬化性(メタ)アクリル樹脂成分のいずれかを含むことが好ましい。
前記ポリオレフィン共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系共重合体、スチレン系共重合体の水添物などが挙げられる。
前記スチレン系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、などが挙げられる。これらの中でも、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水添物が、透明性やガスバリア性の点で、好ましい。前記ポリオレフィン共重合体成分を含有させることにより、優れた耐光性と低い吸水性を得ることができる。
前記水添スチレン系共重合体におけるスチレン単位の含有割合としては、低すぎると機械的強度の低下となる傾向があり、高すぎると脆くなる傾向があるので、10質量%〜70質量%が好ましく、20質量%〜30質量%がより好ましい。また、水添スチレン系共重合体の水添率は、低すぎると耐候性が悪くなる傾向があり、50%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
前記光硬化型アクリレート樹脂成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、光硬化後の耐熱性の観点から、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。このような光硬化型(メタ)アクリレート樹脂成分を含有させることにより、優れた耐光性と低い吸水性を得ることができる。
【0035】
なお、蛍光体シートには、必要に応じて、光吸収が非常に少ない無機物等の粒子(拡散材)を添加してもよい。封止材の屈折率と添加した粒子の屈折率とが異なる場合、この粒子によって、励起光を拡散(散乱)させることにより、励起光の蛍光体への吸収を高めることができるため、蛍光体の添加量を低減することができる。前記粒子(拡散材)としては、例えば、シリコーン粒子、シリカ粒子、樹脂粒子、メラミンとシリカとの複合粒子、などが挙げられる。前記樹脂粒子の樹脂としては、例えば、メラミン、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレンなどが挙げられる。前記粒子(拡散材)の具体例としては、例えば、信越化学工業株式会社製のシリコーンパウダーKMPシリーズ、日産化学工業株式会社製のオプトビーズ、積水化成品工業株式会社製のテクポリマーMBXシリーズ、SBXシリーズ等の市販品、などが挙げられる。
【0036】
<<<透明基材>>>
前記透明基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂フィルム、熱硬化性樹脂フィルム、光硬化性樹脂フィルムなどが挙げられる(特開2011−13567号公報、特開2013−32515号公報、特開2015−967号公報)。
【0037】
前記透明基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステルフィルム;ポリアミドフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスルホンフィルム;トリアセチルセルロースフィルム;ポリオレフィンフィルム;ポリカーボネート(PC)フィルム;ポリスチレン(PS)フィルム;ポリエーテルスルホン(PES)フィルム;環状非晶質ポリオレフィンフィルム;多官能アクリレートフィルム;多官能ポリオレフィンフィルム;不飽和ポリエステルフィルム;エポキシ樹脂フィルム;PVDF、FEP、PFA等のフッ素樹脂フィルム;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムが、特に好ましい。
【0039】
斯かるフィルムの表面には、蛍光体シート形成用樹脂組成物に対する密着性を改善するために、必要に応じて、コロナ放電処理、シランカップリング剤処理等を施してもよい。
【0040】
前記透明基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜100μmが好ましい。
【0041】
また、前記透明基材は、硫化物蛍光体の加水分解をより低減できる点で、水蒸気バリアフィルムであることが好ましい。
【0042】
前記水蒸気バリアフィルムは、PET(Polyethylene terephthalate)等のプラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物薄膜を形成したガスバリア性フィルムである。また、PET/SiO
x/PET等の多層構造を用いてもよい。
【0043】
前記バリアフィルムの水蒸気透過率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05g/m
2/日〜5g/m
2/日程度(例えば、0.1g/m
2/日程度の比較的低いバリア性能)が好ましい。斯かる範囲内であると、水蒸気の侵入を抑制して蛍光体シートを水蒸気から保護することができる。
【0044】
ここで、本発明の光源の一例を、図を用いて説明する。
図4は、本発明の光源の一例の模式図である。
図4の光源は、蛍光体シート1と、青色LEDパッケージ2と、を有する。蛍光体シート1は、青色LEDパッケージ2に接するように配置されている。蛍光体シート1は、シート状の樹脂1Bと、樹脂1B中に分散された蛍光体1Aとを有する。青色LEDパッケージ2は、基板2Bと、基板2B上に配された青色LED2Aと、青色LED2Aを封止する封止樹脂2Cとを有する。
図4の光源では、蛍光体シート1に含有される蛍光体1Aの含有量が従来の蛍光体シートに含有される蛍光体の含有量よりも多いことにより、青色LEDが発する青色光のほとんどが蛍光体の励起に使用され、蛍光体は強い蛍光を発する。そして、光源の発光スペクトルにおいて、蛍光体が発する光の発光ピーク強度(F)に対する青色光のピーク強度(B)の比率〔(B)/(F)〕が3%以下になり、半値幅の狭い蛍光体の発光ピークが得られる。
【0045】
図5は、本発明の光源の一例の模式図である。
図5の光源は、蛍光体シート1と、青色LEDパッケージ2と、を有する。蛍光体シート1は、青色LEDパッケージ2に離間して配置されている。蛍光体シート1は、シート状の樹脂1Bと、樹脂1B中に分散された蛍光体1Aとを有する。青色LEDパッケージ2は、基板2Bと、基板2B上に配された青色LED2Aと、青色LED2Aを封止する封止樹脂2Cとを有する。
蛍光体シート1が、青色LEDパッケージ2に離間して配置されていることで、青色LED2Aの発熱による蛍光体1Aの劣化を低減できる。
図5の光源では、蛍光体シート1に含有される蛍光体1Aの含有量が従来の蛍光体シートに含有される蛍光体の含有量よりも多いことにより、青色LEDが発する青色光のほとんどが蛍光体の励起に使用され、蛍光体は強い蛍光を発する。そして、光源の発光スペクトルにおいて、蛍光体が発する光の発光ピーク強度(F)に対する青色光のピーク強度(B)の比率〔(B)/(F)〕が3%以下になり、半値幅の狭い蛍光体の発光ピークが得られる。
【0046】
図6は、本発明の光源の一例の模式図である。
図6の光源は、蛍光体が、青色LEDパッケージに一体化されている態様である。即ち、光源である青色LEDパッケージ2は、基板2Bと、基板2B上に配された青色LED2Aと、青色LED2Aを封止する封止樹脂2Cとを有し、封止樹脂2C中に蛍光体1Aが分散されている。
図6の光源では、封止樹脂2C中に分散された蛍光体1Aの含有量が従来の蛍光体シートに含有される蛍光体の含有量よりも多いことにより、青色LEDが発する青色光のほとんどが蛍光体の励起に使用され、蛍光体は強い蛍光を発する。そして、光源の発光スペクトルにおいて、蛍光体が発する光の発光ピーク強度(F)に対する青色光のピーク強度(B)の比率〔(B)/(F)〕が3%以下になり、半値幅の狭い蛍光体の発光ピークが得られる。
【0047】
(白色光源装置)
本発明の白色光源装置の第1の態様は、本発明の前記光源を少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
本発明の白色光源装置の第2の態様は、青色光源と、本発明の前記光源である緑色光源と、赤色光源とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
本発明の白色光源装置の第3の態様は、青色光源と、緑色光源と、本発明の前記光源である赤色光源とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【0048】
通常、前記白色光源装置においては、前記青色光源、前記緑色光源、及び前記赤色光源は、それぞれが複数配される。また、前記白色光源装置においては、前記青色光源、前記緑色光源、及び前記赤色光源は、交互かつ等間隔で配置されることが好ましい。
【0049】
<青色光源>
前記青色光源としては、青色光を発する青色LEDを有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記青色LEDとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記光源の前記青色LEDと同じ青色LEDなどが挙げられる。
【0050】
<第2の態様>
本発明の白色光源装置の第2の態様においては、前記緑色光源は、本発明の前記光源である緑色光源である。一方で、前記赤色光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】
<<緑色光源>>
本発明の白色光源装置の第2の態様においては、前記緑色光源は、本発明の前記光源である緑色光源である。
【0052】
<<赤色光源>>
前記第2の態様において、前記赤色光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤色LEDであってもよいし、青色LEDと赤色蛍光体との組合せであってもよい。これらの中でも、前記赤色光源は、本発明の前記光源である赤色光源であることが好ましい。
【0053】
前記赤色LEDとしては、例えば、AlGaAs(アルミニウムガリウム砒素)、GaAsP(ガリウム砒素リン)、InGaAsP(インジウムガリウム砒素リン)などが挙げられる。
【0054】
前記青色LEDとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記光源の前記青色LEDと同じ青色LEDなどが挙げられる。
【0055】
前記赤色蛍光体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記光源の前記蛍光体の説明で例示した赤色蛍光体などが挙げられる。
【0056】
<第3の態様>
本発明の白色光源装置の第3の態様においては、前記赤色光源は、本発明の前記光源である赤色光源である。一方で、前記緑色光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0057】
<<緑色光源>>
前記第3の態様において、前記緑色光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、緑色LEDであってもよいし、青色LEDと緑色蛍光体との組合せであってもよい。これらの中でも、前記緑色光源は、本発明の前記光源である緑色光源であることが好ましい。
【0058】
前記緑色LEDとしては、例えば、InGaN(インジウム窒化ガリウム)、GaN(窒化ガリウム)、AlGaN(アルミニウム窒化ガリウム)などが挙げられる。
【0059】
前記青色LEDとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記光源の前記青色LEDと同じ青色LEDなどが挙げられる。
【0060】
前記緑色蛍光体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記光源の前記蛍光体の説明で例示した緑色蛍光体などが挙げられる。
【0061】
<<赤色光源>>
本発明の白色光源装置の第3の態様においては、前記赤色光源は、本発明の前記光源である赤色光源である。
【0062】
<その他の部材>
前記その他の部材としては、いわゆる光学フィルム群が挙げられる。前記光学フィルム群は、プリズムシート及び光拡散シートなどから成る。
【0063】
本発明の前記白色光源装置は、いわゆる直下型の光源装置であってもよいし、エッジライト式の光源装置であってもよいが、3色の光源を配置しやすい点で直下型の光源装置が好ましい。
【0064】
ここで、本発明の白色光源装置の一例を図を用いて説明する。
図7の白色光源装置20においては、赤色光源21と、緑色光源22と、青色光源23とが同一面上に配置され、かつ発光面には、拡散板24、並びに3つの光学フィルム25A、25B、及び25Cがこの順で配置されている。
青色光源23は、青色LED23aを有する青色LEDパッケージ23Aである。
緑色光源22は、青色LED22aを有する青色LEDパッケージ22Aと緑色蛍光体シート22Bが組み合わされ、且つ、青色光ピーク強度/緑色光ピーク強度は3%以下のものが用いられる。
赤色光源21は、青色LED21aを有する青色LEDパッケージ21Aと赤色蛍光体シート21Bが組み合わされ、且つ、青色光ピーク強度/赤色光ピーク強度は3%以下のものが用いられる。
【0065】
図7においては、緑色光源、及び赤色光源においては、青色LEDパッケージと蛍光体シートとが接しているが、
図5に示す光源のように、青色LEDパッケージと蛍光体シートとは離間していてもよい。
また、
図7における緑色光源、及び赤色光源は、
図6に示すような、蛍光体が青色LEDパッケージに一体化されている態様であってもよい。
【0066】
(表示装置)
本発明の表示装置は、本発明の前記白色光源装置を少なくとも有し、更に必要に応じて、カラーフィルターなどのその他の部材を有する。
【0067】
<カラーフィルター>
前記カラーフィルターの透過スペクトルは、光の三原色をなす、RGBのそれぞれの色の光フィルターの透過スペクトルからなる。用いる液晶パネルによって、カラーフィルターの透過スペクトルが異なるため、カラーフィルターは、目的に応じて適宜選択すればよい。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0069】
(硫化物緑色蛍光体、SrGa
2S
4:Eu)
以下の実施例、及び比較例で使用する硫化物緑色蛍光体(SrGa
2S
4:Eu)は、以下の方法で作製した。
【0070】
ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、塩を加えることで粉体を得た後(具体的には、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物を析出するための塩を加えることで粉体を得た後)、この粉体を焼成した。即ち、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、次いで、塩を加えることで、ユウロピウムとストロンチウムとを含む粉体と粉末ガリウム化合物との混合物から成る粉体(粉体混合物)を得た後、この粉体(粉体混合物)を焼成した。ここで、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、亜硫酸塩を滴下することで、Sr、Eu及びGaを含む粉体を得た。
具体的には以下の方法を実施した。
【0071】
先ず、株式会社高純度化学研究所製の試薬であるGa
2O
3(純度7N)、Sr(NO
3)
2(純度3N)、及び、Eu
2O
3(純度3N)、並びに、関東化学株式会社製の硝酸水溶液(濃度20%)及び亜硫酸アンモニウム一水和物を準備した。
【0072】
そして、Eu
2O
3を硝酸水溶液に添加して80℃で攪拌することでEu
2O
3を硝酸水溶液に溶解し、その後、溶媒を蒸発させることによって、Eu(NO
3)
3を得た。
【0073】
次いで、ユウロピウム化合物[Eu(NO
3)
3]とストロンチウム化合物[Sr(NO
3)
2]とを500mLの純水に添加し、攪拌した。こうして、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液を得ることができた。尚、Eu(NO
3)
3とSr(NO
3)
2の割合を変えることで、xの値を変えることができ、これによって、発光中心であるEu濃度を調整した。その後、この溶液に、所望の割合の粉状ガリウム化合物(具体的には、粉状Ga
2O
3)を加え、攪拌しながら、この溶液に亜硫酸塩を滴下した。具体的には、この溶液を攪拌しながら、Sr及びEuのモル数の合計の1.5倍のモル数の亜硫酸アンモニウムを含む溶液を滴下することで析出・沈殿物を得た。この析出・沈殿物は、Sr、Eu及びGaを含み、より具体的には、亜硫酸ユウロピウム・ストロンチウム粉体と酸化ガリウム粉体の混合物である。そして、伝導率が0.1mS/cm以下になるまで沈殿物を純水で洗浄、濾過し、120℃で6時間、乾燥させることで、ユウロピウム、ストロンチウム及びガリウムを含む粉体(ユウロピウムとストロンチウムとを含む粉体と粉末ガリウム化合物との混合物から成る粉体混合物〔より具体的には、亜硫酸ユウロピウム・ストロンチウム粉体[(Sr,Eu)SO
3から成る粉体]と酸化ガリウム粉体の混合物〕)を得た。
【0074】
そして、こうして得られた粉体(粉体混合物)20gとジルコニアボール200gとエタノール200mLとを、500mLのポットに入れ、回転速度90rpmで30分間回転させることで混合した。混合終了後、濾過し、120℃で6時間、乾燥させた。その後、公称目開き100μmの金網を通し、粉体混合品を得た。
【0075】
次いで、粉体混合品を電気炉で焼成した。焼成条件を以下のとおりとした。即ち、1.5時間で925℃まで昇温し、その後、1.5時間、925℃を保持し、次いで、2時間で室温まで降温させた。焼成中、0.5L/分の割合で電気炉に硫化水素を流した。その後、公称目開き25μmのメッシュを通し、Sr
1−xGa
2S
4:Eu
x(xは約0.1)から成る硫化物緑色蛍光体(SrGa
2S
4:Eu)を得た。得られた硫化物緑色蛍光体(SrGa
2S
4:Eu)の平均粒子径は約4μmであった。
【0076】
(硫化物赤色蛍光体、CaS:Eu)
以下の実施例、及び比較例では、硫化物赤色蛍光体(CaS:Eu)として、三井金属鉱業株式会社製のR660N(平均粒子径は約15μm)を使用した。
【0077】
(比較例1)
まずは、従来例(比較例)として、硫化物緑・赤色蛍光体を用いた蛍光体シートと青色LED光源を用いたLCDに関して説明を行う。
【0078】
<蛍光体シートの作製>
硫化物緑色蛍光体(SrGa
2S
4:Eu)と、硫化物赤色蛍光体(CaS:Eu)とを混合した蛍光体シートを用いたLCDの評価結果を示す。硫化物緑色蛍光体SrGa
2S
4:Euを60質量%、硫化物赤色蛍光体CaS:Euを40質量%の比率で混合したものと、熱可塑性樹脂〔スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック(SEBS)樹脂、クラレ社製セプトンV9827〕と溶剤(トルエン)と混合して蛍光体ペーストを作製した。ロールコーターを用いて、38μm厚のPETフィルム上に上記蛍光体ペーストを塗布し、溶剤を揮発させた蛍光体層の上に38μm厚のPETフィルムを熱ラミネートした。この時の蛍光体量は10.1g/m
2(硫化物緑色蛍光体SrGa
2S
4:Eu 6.1g/m
2、硫化物赤色蛍光体CaS:Eu 4.0mg/m
2)であった。作製したシートのサイズは300mm×200mmであった。蛍光体シートの構造の模式図を
図8に示す。
図8の蛍光体シート50では、熱可塑性樹脂中51C中に硫化物緑色蛍光体51Aと硫化物赤色蛍光体51Bとが分散されてなる蛍光体層51が、PETフィルム52及びPETフィルム53に挟持されている。
【0079】
<光源及びLCDの評価>
本評価に用いた光源構成は
図9の通りである。光源60の大きさは、長さ300mm×幅200mm×高さ30mmであり、青色LEDパッケージ61は30mmピッチで正方配列されている。発光面側には、拡散板62、上記蛍光体シート50、並びに3つの光学フィルム63A、63B、及び63Cがこの順で配置されている。用いた青色LEDの発光時のピーク波長は約449nmであった。青色LEDには5.5Wの電力が投入された。発光特性の測定の為に分光放射輝度計(トプコン社製SR−3)を用いた。測定された光源の分光放射輝度(発光スペクトル)を
図10に示す。
図10に示した分光放射輝度における緑蛍光の半値幅は55nm、赤蛍光の半値幅は68nmであった。同様に分光放射輝度計を用いて、
図9に示す光源を市販の液晶パネルと組み合わせて、赤・緑・青の各色の色度を測定することにより、色域を導出した。使用した液晶パネルの各色の分光透過率を
図11に示す。また、赤・緑・青の各色の色度点を
図12A及び
図12Bに示す。
図12AがCIE1931色度座標系(x,y)、
図12BがCIE1976色度座標系(u’,v’)である。得られた色域は、89.0%(NTSC−xy面積比)、109.7%(NTSC−u’v’面積比)であった。
【0080】
(実施例1〜2及び比較例2〜3)
次に本発明の説明を行う。まずは、本発明のベースとなる事項に関して説明を行う。次に本発明の具体的な例について説明を行う。
【0081】
<蛍光体シートの作製>
硫化物緑色蛍光体(SrGa
2S
4:Eu)を熱可塑性樹脂と溶剤と混合して蛍光体ペーストを作製した。ロールコーターを用いて、38μm厚のPETフィルム上に上記蛍光体ペーストを塗布し、溶剤を揮発させた蛍光体層の上に38μm厚のPETフィルムを熱ラミネートした。蛍光体シートの構造の模式図を
図13に示す。
図13の蛍光体シート10では、熱可塑性樹脂中11B中に硫化物緑色蛍光体11Aが分散されてなる蛍光体層11が、PETフィルム12及びPETフィルム13に挟持されている。ペースト中の蛍光体濃度及び塗布厚み(蛍光体層11の厚み)を変えることにより、様々な蛍光体量を持つ蛍光体シートを作製した。各蛍光体シートの蛍光体量を表2にまとめる。また、硫化物赤色蛍光体(CaS:Eu)においても同様の作業を行った。表3にまとめる。なお、作製したシートのサイズは300mm×200mmであった。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
<光源の評価>
青色LEDを配列させた光源を準備した。光源上部に上記蛍光体シートを配置して光源の発光特性を評価した。
図9に光源構造を示す。光源の大きさは、長さ300mm×幅200mm×高さ30mmであり、青色LEDパッケージは30mmピッチで正方配列されている。用いた青色LEDの発光時のピーク波長は約449nmであった。青色LEDには5.5Wの電力が投入された。発光特性の測定の為に分光放射輝度計(トプコン社製SR−3)を用いた。硫化物緑色蛍光体を用いた場合に測定された光源の分光放射輝度(スペクトル)を
図14に示す。硫化物赤色蛍光体を用いた場合に測定された光源の分光放射輝度(スペクトル)を
図15に示す。蛍光体量が増大すると、青色光強度が低下すると同時に蛍光強度が増大する。その理由は、蛍光体量が増大すると、青色光→蛍光の変換量が増す為である。但し、蛍光体量が更に大きくなると、蛍光強度の低下が見られる。蛍光体量が増大しすぎると、青色光→蛍光の変換の過程において、蛍光体層内部において励起光吸収増大に伴う損失が発生する為と考えられる。
【0085】
さて、蛍光スペクトルの幅を理解する際に、
図14及び
図15においては、蛍光強度ピーク値が様々であり理解しにくい。そこで、分かりやすく示す為に蛍光強度ピーク値を1として規格化したグラフを
図16、及び
図17に示す。いずれの蛍光体においても、蛍光体量が大きくなると蛍光スペクトルの幅が狭くなることがわかる。
【0086】
以上の結果を表4、表5、及び
図18A、
図18Bにまとめた。蛍光体量を増やすという蛍光体への青色光吸収・励起確率を高める工夫により、「青色光ピーク強度/蛍光ピーク強度」を小さくすることにより、蛍光の半値幅を小さくすることができると考えられる。表4、表5をみると、「青色光ピーク強度/蛍光(緑または赤色光)ピーク強度」が数%以下になると、蛍光の半値幅が顕著に小さくなることがわかる。3%以下であることが一つの目安と考えられる。蛍光体への青色光吸収・励起確率を高める手法として、蛍光体量を増やす以外にも、光拡散材を付与する等の手法等が考えられる。上記の手法により、蛍光の半値幅を小さくすることが、LCDを通して得られる原色の色純度を高める、即ちLCDの色域拡大に大きく寄与する。但し、蛍光体量を増やしすぎると、蛍光体発光強度の低下が見られ、LCDの輝度損失に繋がるので、注意が必要であることが表4、表5から読み取れる。
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
(実施例3)
<上記光源を組合せた白色光源を使用したLCDの色域の見積もり>
本発明の目的であるLCDの色域の拡大に関して説明する。
まず、本発明の一実施例である白色光源装置を
図19に示す。
図19の白色光源装置20においては、赤色光源21と、緑色光源22と、青色光源23とが同一面上に配置され、かつ発光面には、拡散板24、並びに3つの光学フィルム25A、25B、及び25Cがこの順で配置されている。
青色光源23として、青色LED23aを有する青色LEDパッケージ23Aを用いたれる。
緑色光源22として、青色LED22aを有する青色LEDパッケージ22Aと緑色蛍光体シート22Bが組み合わされ、且つ、青色光ピーク強度/緑色光ピーク強度は3%以下のものを用いた。ここでは、表4のG5に相当するものを用いた。
赤色光源21として、青色LED21aを有する青色LEDパッケージ21Aと赤色蛍光体シート21Bが組み合わされ、且つ、青色光ピーク強度/赤色光ピーク強度は3%以下のものを用いた。ここでは、表5のR5に相当するものを用いた。
【0090】
図19の白色光源を用いたLCDの色域を導出する際には、上記において評価された各種データを組み合わせればよい。即ち、青色光源、緑色光源、及び赤色光源から放出される青色光、緑色光、及び赤色光の発光スペクトルを合成した白色光のスペクトルを作り出す。
・青色光:
分光放射輝度(スペクトル)をI
b(λ)とする。λは波長。
図9の青色LED光源データを使用する。
・緑色光:
分光放射輝度をI
g(λ)とする。
図9の青色LED光源と、表2に示す硫化物緑色蛍光体(SrGa
2S
4:Eu)シートを組み合わせた光源データを使用する。ここでは、表4のG5を用いる。
・赤色光
分光放射輝度をI
r(λ)とする。
図9の青色LED光源と、表3に示す硫化物赤色蛍光体(CaS:Eu)シートを組み合わせた光源データを使用する。ここでは、表5のR5を用いる。
【0091】
以上のデータを合成した白色光の分光放射輝度I(λ)は、
I(λ)=k
b・I
b(λ)+k
g・I
g(λ)+k
r・I
r(λ)
ここで、k
b+k
g+k
r=1
と表すことができる。k
i(i=b,g,r)は、各色の配分を示す係数である。これらの係数は、I(λ)から導出される白色光源の色度(x,y)が、ある白色の色度値となるように決めることができる。白色光源の色度は、下記に述べる液晶パネル透過後の白色色度が上記従来例とほぼ同一となる様に決定されている。
【0092】
次に液晶パネルの分光透過率を上記白色光の分光放射輝度I(λ)に掛け合わせることにより、LCDの赤・緑・青、及び白色の各色の色度を計算した。各色の色度から、色域を導出することができる。なお、本評価に用いた液晶パネルの分光透過率は
図11の通りである。
【0093】
上記の説明に基づいて、2種類の白色光源スペクトルが合成された。
図20に、蛍光体シートG5、R5を用いた白色光源の発光スペクトルを示す。
図21A及び
図21Bに、導出された色度を示す。LCDの色域を導出したものを表6にまとめる。
図20、
図21A、
図21B、表6について、比較例1も併記する。本発明例である蛍光体シートG5,R5を用いた白色光源におけるLCDの色域は、NTSC−xy面積比91.4%(比較例1:89.0%)、NTSC−u’v’面積比116.2(比較例1:109.7%)であり、従来よりも色域が拡大されることを確認できた。また、本発明例である蛍光体シートG5,R5を用いた白色光源の赤蛍光及び緑蛍光の半値幅は、それぞれ60nm(従来68nm)、45.5nm(従来55nm)であり、従来よりも半値幅が低減されている。
【0094】
(比較例4)
実施例3において、蛍光体シートG5を蛍光体シートG2に替え、蛍光体シートR5を蛍光体シートR1に替えた以外は、実施例3と同様にして、LCDの色域の見積もりを行った。結果を、
図20、
図21A、
図21B、表6に示す。
NTSC−xy色域、NTSC−u’v’色域を総合的に見ると、実施例3が最も優れる。比較例4を見ると、NTSC−xy色域は実施例3と同等であるが、NTSC−u’v’色域は実施例3のほうが優れる。総合的に見て、半値幅の小さな実施例3が優れると判断される。
【0095】
【表6】
【0096】
以上のように、青色光を発する青色LEDと、前記青色LEDが発する前記青色光により励起される蛍光体とを有する光源において、前記光源の発光スペクトルにおいて、前記蛍光体が発する光の発光ピーク強度(F)に対する前記青色光のピーク強度(B)の比率〔(B)/(F)〕を、3%以下とすることにより、半値幅の狭い発光ピークを得ることができた。更には、その光源を白色光源装置に用いることで、色域の広い白色光源装置をえることができた。