特開2019-6243(P2019-6243A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-6243(P2019-6243A)
(43)【公開日】2019年1月17日
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 29/00 20060101AFI20181214BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20181214BHJP
   B61D 17/12 20060101ALI20181214BHJP
   B60Q 3/43 20170101ALI20181214BHJP
   B60Q 3/51 20170101ALI20181214BHJP
   B60Q 3/233 20170101ALI20181214BHJP
【FI】
   B61D29/00
   B61D37/00 F
   B61D17/12
   B60Q3/43
   B60Q3/51
   B60Q3/233
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-123463(P2017-123463)
(22)【出願日】2017年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509251682
【氏名又は名称】エイアンドエフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】古屋 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤井 忠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 永次
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 修
(72)【発明者】
【氏名】中村 征広
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】福田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】福田 哲夫
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040BA01
3K040CA05
3K040EA03
3K040GA01
3K040GC01
(57)【要約】
【課題】間接光によって客室を明るく照らすこと。
【解決手段】天井パネル50が、第1内面51及び第2内面52を備え、それら第1内面51及び第2内面52は、客室Rから離間する方向へ円弧状に凹む湾曲形状にそれぞれ形成されると共に、車両幅方向中央側ほど下方に位置し、第1内面51及び第2内面52の車両幅方向外側の外縁側に灯具62が配設されるので、間接光の一部が灯具62により遮られることを抑制できると共に、灯具62の光の照射方向を車両幅方向内側とできるので、間接光が側構体4側へ流れることを抑制できる。その結果、間接光によって客室Rを明るく照らすことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客室の天井側に配設される天井パネルと、その天井パネルに光を照射する光照射手段とを備えた鉄道車両において、
前記天井パネルの客室側の内面は、車両幅方向に並設される第1内面および第2内面を備え、
それら第1内面および第2内面は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が前記客室から離間する方向へ円弧状に凹む湾曲形状にそれぞれ形成されると共に、車両幅方向中央側ほど下方に位置し、
前記第1内面および第2内面の車両幅方向外側の外縁側に前記光照射手段がそれぞれ配設されることを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
前記天井パネルの客室側の内面は、前記第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁どうしが直接接続されるか、又は、前記第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁間に介設される介設内面を備え、
前記第1内面および第2内面の境界、又は、前記介設内面が、前記第1内面の車両幅方向外側の外縁側に配設される前記光照射手段と前記第2内面の車両幅方向外側の外縁側に配設される前記光照射手段とを結ぶ第1仮想線よりも下方に位置することを特徴とする請求項1記載の鉄道車両。
【請求項3】
側構体から客室内へ突設され上面が載置面となる荷棚を備え、
前記第1内面および第2内面の境界、又は、前記介設内面が、前記荷棚の突設先端とその荷棚に対し前記第1内面および第2内面の境界または前記介設内面を挟んで車両幅方向の反対側に配設される前記光照射手段とを結ぶ第2仮想線よりも上方に位置することを特徴とする請求項2記載の鉄道車両。
【請求項4】
前記天井パネルの客室側の内面は、前記介設内面を備え、
前記介設内面は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が前記客室側へ略円弧状に突出する湾曲形状に形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の鉄道車両。
【請求項5】
前記天井パネルの客室側の内面は、前記介設内面を備え、
前記介設内面は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が前記客室側へ円弧状に突出する湾曲形状に形成される複数の曲面を備え、
前記複数の曲面の曲率が、車両幅方向中央に位置する前記曲面から車両幅方向外側に位置する前記曲面にかけて徐々に小さく設定されることを特徴とする請求項2又は3に記載の鉄道車両。
【請求項6】
前記天井パネルは、車両長手方向に複数並設され、
それら複数の天井パネルは、前記介設内面の車両長手方向における少なくとも一方の端部を切除する態様で形成される切欠き部をそれぞれ備え、
前記複数の天井パネルの前記介設内面どうしが車両長手方向で離間することを特徴とする請求項4又は5に記載の鉄道車両。
【請求項7】
客室の天井側に配設される天井パネルを備えた鉄道車両において、
前記天井パネルの客室側の内面は、車両幅方向に並設されると共に車両幅方向中央側ほど下方に位置する第1内面および第2内面を備え、
前記天井パネルの客室側の内面は、前記第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁どうしが直接接続されるか、又は、前記第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁間に介設される介設内面を備え、
前記天井パネルは、車両長手方向に複数並設され、
それら複数の天井パネルは、前記第1内面および第2内面の境界の車両長手方向における少なくとも一方の端部、又は、前記介設内面の車両長手方向における少なくとも一方の端部を切除する態様で形成される切欠き部をそれぞれ備え、
前記複数の天井パネルの前記第1内面および第2内面の境界どうし、又は、前記介設内面どうしが車両長手方向で離間することを特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関し、特に、間接光によって客室を明るく照らすことができる鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の天井パネルで光を反射させ、その間接光を利用して客室(車室)の照明を行う天井構造が知られている。例えば、特許文献1には、天井に凹部を設け、その凹部へ向けて下方から光を照射する位置に灯具(光照射手段)を配置する天井構造が開示される。この天井構造によれば、凹部の中央から外縁にかけて反射角度が変化することを利用して、光の明暗を生じさせることができるので、車室の雰囲気を向上させることができる。また、特許文献2には、灯具(光照射手段)を下方および車両幅方向内側から覆い、車両幅方向外側へ向けて照射された光を側天井パネルで反射させる天井構造が開示される。この天井構造によれば、乗客に光源を視認させ難くできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−321437号公報(例えば、図4
【特許文献2】特開2014−172516号公報(例えば、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術のうち、前者の技術では、凹部の下方に灯具(光照射手段)が位置するため、天井パネルで反射した光(間接光)の一部が灯具によって遮られる。また、後者の技術では、灯具(光照射手段)の光の照射方向が車両幅方向外側となるため、天井パネルで反射した光(間接光)が側構体側へ流れてしまう。そのため、間接光によって客室を明るく照らすことが困難であるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、間接光によって客室を明るく照らすことができる鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の鉄道車両は、客室の天井側に配設される天井パネルと、その天井パネルに光を照射する光照射手段とを備えたものであり、前記天井パネルの客室側の内面は、車両幅方向に並設される第1内面および第2内面を備え、それら第1内面および第2内面は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が前記客室から離間する方向へ円弧状に凹む湾曲形状にそれぞれ形成されると共に、車両幅方向中央側ほど下方に位置し、前記第1内面および第2内面の車両幅方向外側の外縁側に前記光照射手段がそれぞれ配設される。
【0007】
請求項2記載の鉄道車両は、請求項1記載の鉄道車両において、前記天井パネルの客室側の内面は、前記第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁どうしが直接接続されるか、又は、前記第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁間に介設される介設内面を備え、前記第1内面および第2内面の境界、又は、前記介設内面が、前記第1内面の車両幅方向外側の外縁側に配設される前記光照射手段と前記第2内面の車両幅方向外側の外縁側に配設される前記光照射手段とを結ぶ第1仮想線よりも下方に位置する。
【0008】
請求項3記載の鉄道車両は、請求項2記載の鉄道車両において、側構体から客室内へ突設され上面が載置面となる荷棚を備え、前記第1内面および第2内面の境界、又は、介設内面が、前記荷棚の突設先端とその荷棚に対し前記第1内面および第2内面の境界または介設内面を挟んで車両幅方向の反対側に配設される前記光照射手段とを結ぶ第2仮想線よりも上方に位置する。
【0009】
請求項4記載の鉄道車両は、請求項2又は3に記載の鉄道車両において、前記天井パネルの客室側の内面は、前記介設内面を備え、前記介設内面は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が前記客室側へ円弧状に突出する湾曲形状に形成される。
【0010】
請求項5記載の鉄道車両は、請求項2又は3に記載の鉄道車両において、前記天井パネルの客室側の内面は、前記介設内面を備え、前記介設内面は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が前記客室側へ円弧状に突出する湾曲形状に形成される複数の曲面を備え、前記複数の曲面の曲率が、車両幅方向中央に位置する前記曲面から車両幅方向外側に位置する前記曲面にかけて徐々に小さく設定される。
【0011】
請求項6記載の鉄道車両は、請求項4又は5に記載の鉄道車両において、前記天井パネルは、車両長手方向に複数並設され、それら複数の天井パネルは、前記介設内面の車両長手方向における少なくとも一方の端部を切除する態様で形成される切欠き部をそれぞれ備え、前記複数の天井パネルの前記介設内面どうしが車両長手方向で離間する。
【0012】
請求項7記載の鉄道車両は、客室の天井側に配設される天井パネルを備えるものであり、前記天井パネルの客室側の内面は、車両幅方向に並設されると共に車両幅方向中央側ほど下方に位置する第1内面および第2内面を備え、前記天井パネルの客室側の内面は、前記第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁どうしが直接接続されるか、又は、前記第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁間に介設される介設内面を備え、前記天井パネルは、車両長手方向に複数並設され、それら複数の天井パネルは、前記第1内面および第2内面の境界の車両長手方向における少なくとも一方の端部、又は、前記介設内面の車両長手方向における少なくとも一方の端部を切除する態様で形成される切欠き部をそれぞれ備え、前記複数の天井パネルの前記第1内面および第2内面の境界どうし、又は、前記介設内面どうしが車両長手方向で離間する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の鉄道車両によれば、天井パネルの客室側の内面が、車両幅方向に並設される第1内面および第2内面を備え、それら第1内面および第2内面は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が客室から離間する方向へ円弧状に凹む湾曲形状にそれぞれ形成されると共に、車両幅方向中央側ほど下方に位置し、第1内面および第2内面の車両幅方向外側の外縁側に光照射手段が配設されるので、第1内面の車両幅方向外側の外縁側に配設された光照射手段の光を第1内面で反射させると共に、第2内面の車両幅方向外側の外縁側に配設された光照射手段の光を第2内面で反射させることで、その間接光によって客室を明るく照らすことができる。
【0014】
即ち、光照射手段が第1内面または第2内面の車両幅方向外側の外縁側に配設されるので、間接光の一部が光照射手段により遮られることを抑制できると共に、光照射手段の光の照射方向を車両幅方向内側にできるので、間接光が側構体側へ流れることを抑制できる。その結果、間接光によって客室を明るく照らすことができるという効果がある。
【0015】
請求項2記載の鉄道車両によれば、請求項1記載の鉄道車両の奏する効果に加え、天井パネルの客室側の内面は、第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁どうしが直接接続されるか、又は、第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁間に介設される介設内面を備え、第1内面および第2内面の境界、又は、介設内面が、第1内面の車両幅方向外側の外縁側に配設される光照射手段と第2内面の車両幅方向外側の外縁側に配設される光照射手段とを結ぶ第1仮想線よりも下方に位置するので、第1内面(第2内面)の車両幅方向外側の外縁側に配設された光照射手段から照射されて第1内面(第2内面)で反射された間接光が第2内面側(第1内面側)の側構体へ流れることを抑制できる。その結果、間接光によって客室を明るく照らすことができるという効果がある。
【0016】
請求項3記載の鉄道車両によれば、請求項2記載の鉄道車両の奏する効果に加え、第1内面および第2内面の境界、又は、介設内面が、荷棚の突設先端とその荷棚に対し第1内面および第2内面の境界または介設内面を挟んで車両幅方向の反対側に配設される光照射手段とを結ぶ第2仮想線よりも上方に位置するので、光照射手段(荷棚に対し第1内面および第2内面の境界または介設内面を挟んで車両幅方向反対側に配設されるもの)から照射される光の一部を直接光として荷棚の上面側の載置面に到達させることができる。よって、かかる直接光を荷棚の上面で反射させて、荷棚の上部空間(側天井パネル)を明るく照らすことができるという効果がある。
【0017】
請求項4記載の鉄道車両によれば、請求項2又は3に記載の鉄道車両の奏する効果に加え、天井パネルの客室側の内面が介設内面を備え、介設内面は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が客室側へ円弧状に突出する湾曲形状に形成されるので、介設内面に光照射手段から照射された光が直接到達しない領域を形成できる。即ち、光が直接到達しない領域に形成される影を利用して、意匠性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項5記載の鉄道車両によれば、請求項2又は3に記載の鉄道車両の奏する効果に加え、天井パネルの客室側の内面が介設内面を備え、介設内面は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が客室側へ円弧状に突出する湾曲形状に形成される複数の曲面を備え、それら複数の曲面の曲率が、車両幅方向中央に位置する曲面から車両幅方向外側に位置する曲面にかけて徐々に小さく設定される。
【0019】
よって、介設内面が単一の曲率の曲面から構成される場合に比べ、介設内面に形成される影の領域を車両幅方向外側に拡大することができるので、天井パネルが車両長手方向に複数に分割されている場合に、天井パネルどうしのつなぎ目における車両幅方向の位置ずれを目立ちにくくすることができるという効果がある。
【0020】
請求項6記載の鉄道車両によれば、請求項4又は5に記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。天井パネルは、車両長手方向に複数並設され、それら複数の天井パネルは、介設内面の車両長手方向における少なくとも一方の端部を切除する態様で形成される切欠き部をそれぞれ備え、複数の天井パネルの介設内面どうしが車両長手方向で離間する。よって、車両長手方向に沿った影が介設内面に形成される場合であっても、かかる影のずれを認識させ難くできるので、複数の天井パネルのつなぎ目における車両幅方向の位置ずれを目立ちにくくすることができるという効果がある。
【0021】
請求項7記載の鉄道車両は、客室の天井側に配設される天井パネルを備えるものであり、天井パネルの客室側の内面は、車両幅方向に並設されると共に車両幅方向中央側ほど下方に位置する第1内面および第2内面を備え、天井パネルの客室側の内面は、第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁どうしが直接接続されるか、又は、第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の外縁間に介設される介設内面を備え、天井パネルは、車両長手方向に複数並設され、それら複数の天井パネルは、第1内面および第2内面の境界の車両長手方向における少なくとも一方の端部、又は、介設内面の車両長手方向における少なくとも一方の端部を切除する態様で形成される切欠き部をそれぞれ備え、複数の天井パネルの第1内面および第2内面の境界どうし、又は、介設内面どうしが車両長手方向で離間する。
【0022】
よって、第1内面および第2内面の境界、又は、介設内面が天井パネルの下方に突出して形成され、かかる突出部分が車両長手方向に沿って延設される場合であっても、その突出部分のずれを認識させ難くできる。従って、複数の天井パネルどうしのつなぎ目における車両幅方向の位置ずれを目立ちにくくすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施の形態における鉄道車両の側面図である。
図2図1のII−II線における鉄道車両の断面模式図である。
図3図1のII−II線における鉄道車両の断面模式図である。
図4】第2実施の形態における鉄道車両の断面模式図である。
図5】第2実施の形態における鉄道車両の断面模式図である。
図6】(a)は、第3実施の形態における鉄道車両の部分断面模式図であり、(b)は、図6(a)の矢印VIb方向から視た天井パネルの部分模式図である。
図7】(a)は、第4実施の形態における鉄道車両の部分断面模式図であり、(b)は、図7(a)の矢印VIIb方向から視た天井パネルの部分模式図である。
図8】(a)は、図7(a)の矢印VIIIa方向から視た天井パネルの下面図であり、(b)は、図8(a)の矢印VIIIb方向から視た天井パネルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照し、鉄道車両1の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における鉄道車両1の側面図である。
【0025】
図1に示すように、鉄道車両1は、複数の車輪2と、それら複数の車輪2を軸支する台車(図示せず)と、その台車に支持される車体台枠3(図2参照)と、その車体台枠3の車両幅方向端部から立設される一対の側構体4と、それら一対の側構体4の車両上方の端部(図1の上側の端部)どうしを連結する屋根構体5とを備え、内部に客室R(図2参照)が形成される。
【0026】
次いで、図2及び図3を参照して客室Rの詳細構成について説明する。図2及び図3は、図1のII−II線における鉄道車両1の断面模式図である。なお、理解を容易にするために、図1のII−II線における鉄道車両1の断面模式図が図2及び図3の2図で図示される。また、図2及び図3では、側構体4及び屋根構体5の厚みが省略して図示されると共に、鉄道車両1の一部が省略して図示される。
【0027】
図2及び図3に示すように、客室Rには、車体台枠3の上面に形成される床面10と、その床面10の車両幅方向(図2の左右方向)両端側に配設される一対の座席20と、その座席20に隣接して配設されると共に床面10の車両幅方向端部から立設される一対の側パネル30と、それら一対の側パネル30それぞれの上端に配設される側天井パネル40と、それら一対の側天井パネル40の対向間に配設される天井パネル50と、その天井パネル50及び一対の側天井パネル40の対向間に配設される照明部材60とが設けられる。
【0028】
これら床面10、側パネル30、側天井パネル40、天井パネル50及び照明部材60のそれぞれが車両長手方向(図2の紙面垂直方向)に沿って延設されると共に、車両幅方向に直交する平面であって、車両幅方向中央における平面に面対称に形成されることにより、客室Rが形成される。また、座席20は、車両長手方向に沿って複数個(図示せず)が配設される。
【0029】
側パネル30は、客室Rの車両幅方向両側の壁面を形成するパネルであり、側構体4に連結されると共に、その上端には荷棚31が配設される。荷棚31は、側パネル30から客室Rの内方(車両幅方向中央側)へ突出して形成され、その上面には載置面32が形成される。
【0030】
側天井パネル40は、荷棚31の上方(図2の上側)を覆うパネルであり、その一端が側構体4(荷棚31の根元(側パネル30の上面))に連結されると共に、他端が屋根構体5に連結される。側天井パネル40の客室R側の面には、客室Rから離間する方向へ凹むように(車両外方へ向けて凸形状に)湾曲する湾曲面41が形成される。
【0031】
天井パネル50は、一対の側天井パネル40の対向間における天井面を形成するパネルであり、その車両幅方向両側の端部が屋根構体5に連結される。この天井パネル50の客室R側の内面は、車両幅方向に並設される第1内面51及び第2内面52を備え、それら第1内面51及び第2内面52は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が客室Rから離間する方向へ円弧状に凹む湾曲形状にそれぞれ形成されると共に、第1内面51及び第2内面52の接続部分である境界53が下方(図2の下側)へ突出される。即ち、第1内面51及び第2内面52は、それぞれ車両幅方向中央側ほど下方に位置する形状で形成される。
【0032】
第1内面51及び第2内面52は、一端(車両幅方向外側の端部)が後述する一対の灯具62の光源よりも上方に位置し、一端から他端(境界53側)にかけて一定の曲率の曲面にそれぞれ形成される。また、第1内面51及び第2内面52は、光が拡散反射する反射面として表面が加工されるが、少なくとも正反射(鏡面反射)する光成分が生じる反射面として形成される。
【0033】
天井パネル50の車両幅方向両端と、一対の側天井パネル40の他端(屋根構体5側の端部)との間には、一対の照明部材60が配設され、これら一対の照明部材60は、屋根構体5に連結される取付部61と、その取付部61に連結される灯具62と、その灯具62の下方に配設される被覆板63とをそれぞれ備える。
【0034】
取付部61は、屋根構体5から下方へ向けて突設され、その突設先端に灯具62が配設される。即ち、灯具62は、第1内面51及び第2内面52の車両幅方向外側の外縁側にそれぞれ配設され、光源を車両幅方向中央側(第1内面51及び第2内面52)に向けた姿勢で対向配置される。
【0035】
被覆板63は、灯具62の光源を被覆するための板状のパネルであり、車両長手方向に沿って延設される。被覆板63の車両幅方向における長さは、灯具62の車両幅方向における長さよりも長く、且つ、側天井パネル40の車両幅方向中央側の端部(側天井パネル40と屋根構体5との連結位置)と、天井パネル50の車両幅方向両側の端部(天井パネル50と屋根構体5との連結位置)との対向間隔よりも長く形成される。
【0036】
被覆板63の車両幅方向外側の端部は、側天井パネル40の他端(屋根構体5に連結される側の端部)及び灯具62の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に配置される。また、被覆板63の車両幅方向中央側の端部は、天井パネル50の車両幅方向両側の端部(天井パネル50と屋根構体5との連結位置)及び灯具62の車両幅方向中央側の端部よりも車両幅方向中央側に配置される。これにより、被覆板63が、灯具62の光源を被覆するための部材と、側天井パネル40及び天井パネル50の継ぎ目を被覆するための部材とを兼ねるので、部品点数が低減する。
【0037】
また、湾曲面41の車両幅方向中央側の端部と、被覆板63の下面(図2の下側の面)とは、同じ高さの位置(面一)に配設される。これにより、客室Rの見栄えが向上する。
【0038】
ここで、湾曲面41(側天井パネル40)の車両幅方向中央側の端部と、被覆板63とを一体に形成し、被覆板63の上面に灯具62を配設することも可能であるが、本実施の形態では、それら側天井パネル40と被覆板63とが別体に構成される。これにより、照明部材60のみを屋根構体5に対して着脱可能にできるので、照明部材60(灯具62)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0039】
灯具62は、LEDライトから構成され、一対の灯具62(車両幅方向に対向配置される一対の灯具62)それぞれが同じ高さに配設されると共に、それぞれの光軸ALを車両幅方向に沿って第1内面51及び第2内面52へ向けた姿勢で配設される。この場合、第1内面51及び第2内面52が、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が客室Rから離間する方向へ円弧状に凹む湾曲形状にそれぞれ形成されると共に、第1内面51及び第2内面52の連設部分である境界53が下方へ突出されるので、灯具62から照射される光を第1内面51及び第2内面52で反射させ、その間接光によって客室Rを明るく照らすことができる。
【0040】
即ち、一対の灯具62が第1内面51または第2内面52の車両幅方向外側の外縁側にそれぞれ配設されるので、光軸AL方向へ進む光は、第1内面51及び第2内面52で反射することにより座席20へ向けて(図2の矢印AL´の方向へ)照射される。また、光軸ALとは異なる方向(図2の一点鎖線矢印L1,L2の方向)へ進む光も、第1内面51及び第2内面52で反射することにより、座席20へ向けて(図2の一点鎖線矢印L1´,L2´の方向へ)照射される。
【0041】
これにより、間接光(第1内面51及び第2内面52での反射光)の一部が灯具62(被覆板63)により遮られることを抑制できる。また、灯具62の光の照射方向(光軸AL)を車両幅方向内側とすることができるので、間接光が側構体4側へ流れることを抑制できる。その結果、間接光によって客室Rを明るく照らすことができる。
【0042】
ここで、本実施の形態では、第1内面51及び第2内面52の境界53は、一対の灯具62の光源どうしを結ぶ第1仮想線V1よりも下方に位置して形成される。これにより、一対の灯具62から照射され、第1内面51(第2内面52)で反射された間接光が第2内面52側(第1内面51側)の側構体4へ流れることを抑制できる。
【0043】
即ち、境界53を第1仮想線V1よりも下方に位置させることにより、灯具62から光軸AL方向へ照射される光が第1内面51及び第2内面52によって遮られ、側構体4側に直接光が照射されるのを抑制することができる。更に、一対の灯具62の高さよりも下方に光の反射面を位置させる(座席20に近づける)ことができる。よって、間接光によって客室Rを明るく照らすことができる。
【0044】
また、第1内面51及び第2内面52の境界53は、荷棚31の突設先端(載置面32の車両中央側の端部)と、その荷棚31に対し境界53を挟んで車両幅方向(図3の左右方向)の反対側に配設される灯具62の光源とを結ぶ第2仮想線V2よりも上方(図3の上側)に位置して形成される。
【0045】
これにより、灯具62(荷棚31に対し境界53を挟んで車両幅方向反対側に配設されるもの)から照射される光の一部(図3の一点鎖線矢印L3の方向へ照射される光)を直接光として荷棚31の上面側の載置面32に到達させることができる。よって、荷棚31の上面側の載置面32に直接光を照射し、載置面32で光を反射させることにより、荷棚31(載置面32)の上部空間(側天井パネル40)を明るく照らすことができる。
【0046】
ここで、境界53と灯具62(第1内面51に光を照射する灯具62)の光源とを結ぶ直線を第3仮想線V3、境界53と床面10の車両幅方向外側の端部(境界53を挟んで第1内面51とは反対側における床面10の端部)とを結ぶ直線を第4仮想線V4、境界53における接線(第1内面51の境界53側の端部における接線)を接線T1と定義する。この場合、本実施の形態では、第1内面51及び第2内面52の曲面は、第3仮想線V3と接線T1とがなす第1角度θ1が、第4仮想線V4と接線T1とがなす第2角度θ2よりも大きな角度になる曲率で形成される。
【0047】
これにより、灯具62の光源から境界53へ向けて照射される光(図3の一点鎖線矢印L4の方向へ照射される光)は、境界53(第1内面51の境界53側の端部)で反射し、床面10における車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向中央側へ(図3の一点鎖線矢印L4´の方向へ)照射される。即ち、灯具62から照射される光の一部を床面10に向けて照射する(側構体4へ流れることを抑制する)ことができる。これにより、間接光によって客室Rを明るく照らすことができる。
【0048】
次いで、図4及び図5を参照し、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1内面51及び第2内面52が、車両幅方向一端から他端にかけて一定の曲率の曲面にそれぞれ形成される場合を説明したが、第2実施の形態では、第1内面251及び第2内面252のそれぞれが平面と曲面とから形成されると共に、その曲面の曲率が第1実施の形態よりも大きく形成される。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0049】
図4及び図5は、第2実施の形態における鉄道車両1の断面模式図である。なお、理解を容易にするために、第2実施の形態における鉄道車両1の断面模式図が図4及び図5の2図で図示される。また、図4及び図5では、側構体4及び屋根構体5の厚みが省略して図示されると共に、鉄道車両1の一部が省略して図示される。
【0050】
図4に示すように、天井パネル250は、車両幅方向に並設される第1内面251及び第2内面252を備える。第1内面251及び第2内面252は、一端側(車両幅方向外側)が車両幅方向に沿った平面としてそれぞれ形成され、他端側(境界253側)が第1実施の形態の第1内面51及び第2内面52よりも曲率の大きい(曲率半径が小さい)曲面としてそれぞれ形成され、それら平面と曲面とが接続される。
【0051】
ここで、灯具62(第1内面251に光を照射する灯具62)の光軸ALと第1内面251との交点を交点Pとし、その交点Pと床面10の車両幅方向外側の端部(境界253を挟んで第1内面251とは反対側における床面10の端部)とを結ぶ直線を第5仮想線V5、交点Pにおける第1内面251の接線を接線T2と定義する。この場合、本実施の形態では、第1内面251及び第2内面252の曲面は、光軸ALと接線T2とが成す第3角度θ3が、第5仮想線V5と接線T2とがなす第4角度θ4よりも大きな角度になる曲率で形成される。
【0052】
これにより、灯具62の光軸ALの光は、交点P(第1内面251)で反射し、床面10における車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向中央側へ(図4の矢印AL´の方向へ)照射される。即ち、灯具62の光軸ALの光(強度の高い光)を床面10に向けて照射する(側構体4へ流れることを抑制する)ことができるので、間接光によって客室Rを明るく照らすことができる。
【0053】
図5に示すように、本実施の形態では、第1内面251及び第2内面252の曲面は、境界253における接線T3(第1内面251の境界253側の端部における接線)が床面10と交差する曲率で形成される。これにより、灯具62から照射され、第1内面251(第2内面252)の曲面に沿って繰り返し反射する間接光(図5の一点鎖線矢印L5の方向へ繰り返し反射する光)を床面10へ到達させる(図5の一点鎖線矢印L5´の方向へ照射する)ことができ、かかる間接光が側構体4側へ流れることを抑制できる。即ち、第1内面251(第2内面252)の曲面に沿って複数回反射する光の全てを床面10に到達させることができる。その結果、間接光によって客室Rを明るく照らすことができる。
【0054】
次いで、図6を参照し、第3実施の形態について説明する。上記各実施の形態では、第1内面51,251及び第2内面52,252が車両幅方向中央側で接続される(境界53,253が形成される)場合を説明したが、第3実施の形態では、第1内面351及び第2内面352の車両幅方向中央側の外縁間に介設内面354か形成される。なお、上述した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0055】
図6(a)は、第3実施の形態における鉄道車両1の部分断面模式図であり、図6(b)は、図6(a)の矢印VIb方向から視た天井パネル350の部分模式図である。なお、図6では、理解を容易にするために、側構体4及び屋根構体5の厚みと鉄道車両1の一部とが省略して図示される。また、天井パネル350のハッチングが省略して図示されると共に、天井パネル350に形成される明暗が模式的に図示される。
【0056】
図6に示すように、天井パネル350の客室R側の内面は、車両幅方向に並設されると共にそれぞれ所定の曲率で形成される第1内面351及び第2内面352と、それら第1内面351及び第2内面352の車両幅方向中央側の外縁にそれぞれ接続される介設内面354とを備える。
【0057】
介設内面354は、車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が客室R側へ円弧状に突出する湾曲形状に形成されると共に、第1内面351及び第2内面352よりも曲率が大きい湾曲面として形成される。また、介設内面354の曲率は、第1内面351との接続部分から第2内面352との接続部分にかけて一定に曲率に設定される。
【0058】
ここで、介設内面354の湾曲面における接線のうち、灯具62の光源を通過する接線を接線T4と定義し、その接線T4と介設内面354との接点を接点T4aと定義する。この場合、接点T4aよりも車両幅方向外側における介設内面354には灯具62から直接光が照射されるのに対し、接点T4aよりも車両幅方向中央側における介設内面354には直接光が照射されない。
【0059】
ここで、接点T4aよりも車両幅方向外側における介設内面354には直接光が照射されるが、車両幅方向外側から接点T4aにかけて徐々に灯具62の光源からの距離が遠くなるため、車両幅方向外側から接点T4aにかけて徐々に暗くなる態様で明暗が生じる。また、接点T4aよりも車両幅方向中央側における介設内面354には直接光が照射されないが、接点T4aに向けて照射された光(矢印L6の方向へ照射される光)が回折することにより、接点T4aよりも車両幅方向中央側も僅かに光が届くと共に、車両幅方向中央における介設内面354には灯具62からの光が照射されない領域が形成される(客室R側からの反射光等、その他の介設内面354に入射する光を除く)。
【0060】
即ち、介設内面354には、接点T4a付近から車両幅方向中央(介設内面354の車両幅方向における中央)にかけて徐々に暗くなる態様で明暗が生じるが、図6(b)では、理解を容易にするために、接点T4aよりも車両幅方向中央側の領域R1に形成される影のみをハッチングによって図示し、その明暗が模式的に図示される。
【0061】
領域R1は、灯具62からの光が直接照射されない領域であり、影が形成される。即ち、客室R側へ円弧状に突出する湾曲形状に介設内面354を形成することにより、その介設内面354に影を形成して(介設内面354に形成される明暗を利用して)、意匠性の向上を図ることができる。
【0062】
次いで、図7及び図8を参照し、第4実施の形態について説明する。第3実施の形態では、介設内面354の曲率が、第1内面351との接続部分から第2内面352との接続部分にかけて一定の曲率に設定される場合を説明したが、第4実施の形態では、曲率の異なる複数の曲面から介設内面454が形成される場合について説明する。なお、上述した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0063】
図7(a)は、第4実施の形態における鉄道車両1の部分断面模式図であり、図7(b)は、図7(a)の矢印VIIb方向から視た天井パネル450の部分模式図である。図8(a)は、図7(a)の矢印VIIIa方向から視た天井パネル450の下面図であり、図8(b)は、図8(a)の矢印VIIIb方向から視た天井パネル450の側面図である。
【0064】
なお、理解を容易にするために、図7では、側構体4及び屋根構体5の厚みと鉄道車両1の一部とが省略して図示され、図8では、天井パネル450のみが図示される。また、図7では、天井パネル450のハッチングが省略して図示されると共に、天井パネル450に形成される明暗がハッチングの濃淡によって模式的に図示される。
【0065】
図7に示すように、天井パネル450の客室R側の内面は、車両幅方向に並設されると共にそれぞれ同一の曲率で形成される第1内面451及び第2内面452と、それら第1内面451及び第2内面452の車両幅方向中央側の外縁にそれぞれ接続される介設内面454とを備える。
【0066】
介設内面454は、車両幅方向中央に位置する第1曲面454aと、その第1曲面454aの車両幅方向外側の両端に接続される一対の第2曲面454bと、それら一対の第2曲面454bの車両幅方向外側の外縁を、第1内面451および第2内面452の車両幅方向中央側の外縁に接続する一対の第3曲面454cとを備える。第1曲面454aは、第3実施の形態の介設内面354と同一の曲率の湾曲面として形成される。
【0067】
第1曲面454a、第2曲面454b及び第3曲面454cは、それぞれ車両長手方向に直交する平面で切断した断面形状が客室R側へ円弧状に突出する湾曲形状に形成される。また、第1曲面454aの曲率よりも第2曲面454bの曲率が小さく設定され、第2曲面454bの曲率よりも第3曲面454cの曲率が小さく設定される。
【0068】
また、第2曲面454bは、第1曲面454aの車両幅方向外側の端部T4a(接点T4a)に接する湾曲面として構成され、第3曲面454cは、第2曲面454bの車両幅方向外側の端部T4bに接する湾曲面として構成される。よって、第1曲面454aに沿う第6仮想線V6よりも下方(客室R側)に第2曲面454bが位置し、その第2曲面454bに沿う仮想線(図示せず)よりも下方(客室R側)に第3曲面454cが位置する。これにより、例えば、第3実施の形態の介設内面354(図7の第6仮想線V6に相当)のように単一の曲率の曲面から構成される場合に比べ、灯具62の光源からの光が第2曲面454b及び第3曲面454cに直接照射され難くなる。従って、介設内面354のように単一の曲率の曲面から構成される場合に比べ、介設内面454に形成される影の領域を車両幅方向に拡大することができる(図7(b)参照)。
【0069】
ここで、図8に示すように、天井パネル450は、車両長手方向に複数並設されるため、それら複数の天井パネル450の取り付け誤差に起因して、天井パネル450どうしのつなぎ目(境界)において影の筋にずれが生じる(影が一本の直線状にならない)。即ち、天井パネル450どうしのつなぎ目における影のずれによって、天井パネル450の車両幅方向の位置ずれが際立つため、天井パネル450の位置ずれを目立たなくする(影の筋のずれを認識し難くする)ためには、その分、天井パネル450の取り付けに高い精度が必要となる。
【0070】
これに対して、本実施の形態の鉄道車両1によれば、第1曲面454a、第2曲面454b及び第3曲面454cの曲率が、第1曲面454aから第2曲面454b及び第3曲面454cにかけて徐々に小さく設定されるので、単一の曲率の曲面から構成される場合に比べ、介設内面454に形成される影の領域を車両幅方向に拡大することができる(図7(b)参照)。よって、複数の天井パネル450どうしのつなぎ目における車両幅方向の位置ずれを目立ちにくくさせることができる。
【0071】
即ち、影の明暗がはっきりしている場合(領域R1のみに影が形成される場合)は、影の筋のずれが際立つが、本実施の形態では、介設内面454に形成される影の領域を車両幅方向に拡大する(領域R1の車両幅方向外側の縁をぼかす)ことができるので、天井パネル450のつなぎ目における影のずれ(天井パネル450の位置ずれ)を目立ちにくくすることができる。
【0072】
よって、介設内面454に形成される影によって意匠性の向上を図ることができると共に、複数の天井パネル450の取り付け誤差を吸収し、天井パネル450を取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。
【0073】
また、本実施の形態の天井パネル450は、介設内面454の車両長手方向両端部を切除する態様で形成される一対の切欠き部455(図8参照)をそれぞれ備える。この切欠き部455は、天井パネル450の車両長手方向両端部と介設内面454とを接続する平面として形成され、天井パネル450の車両長手方向両端部から天井パネル450の中央側へ向けて傾斜する傾斜面として形成される。
【0074】
これにより、複数の天井パネル450のつなぎ目には、断面(側面視)V字状の溝が形成され、複数の天井パネル450の介設内面454どうしを車両長手方向(図8の上下方向)で離間させることができる。これにより、車両長手方向に沿う影の筋が介設内面454に形成される場合であっても、天井パネル450どうしの影のずれを認識させ難くできる。よって、複数の天井パネル450どうしのつなぎ目における車両幅方向の位置ずれを目立ちにくくさせることができるので、複数の天井パネル450の取り付け誤差を吸収し、天井パネル450を取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。
【0075】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0076】
上記各実施の形態では、第1内面51,251及び第2内面52,252が、少なくとも正反射する光成分が生じる反射面として形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、正反射する光成分が生じない反射面として第1内面51,251及び第2内面52,252を形成しても良い。
【0077】
上記各実施の形態では、光軸ALが車両幅方向に沿った姿勢で灯具62を配設する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無く、例えば、車両幅方向に対して車両上方または下方に光軸ALが傾斜する姿勢(例えば、図2の一点鎖線矢印L1,L2の方向へ光を照射する姿勢)で灯具62を配設しても良い。
【0078】
この場合にも、第2実施の形態と同様に、光軸ALと接線T2とが成す第3角度θ3を、第5仮想線V5と接線T2とがなす第4角度θ4よりも大きな角度に設定することが好ましい。これにより、車両幅方向に対して車両上方または下方に光軸ALが傾斜する姿勢で灯具62を配置しても、灯具62の光軸ALの光は、交点Pで反射し、床面10における車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向中央側へ照射される。よって、間接光が側構体4側へ流れることを抑制し、間接光によって客室Rを明るく照らすことができる。
【0079】
上記各実施の形態では、湾曲面41の車両幅方向中央側の端部と、被覆板63の下面とが同じ高さの位置(面一)に設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、被覆板63の下面を、湾曲面41の車両幅方向中央側の端部よりも下方または上方に位置させる構成でも良い。
【0080】
この場合には、被覆板63の下面を、湾曲面41の車両幅方向中央側の端部よりも上方に位置させることが好ましい。これにより、湾曲面41、被覆板63の下面、第1内面51,251(第2内面52,252)の順に配設位置が高くなるので、客室Rの見栄えが向上する。
【0081】
上記各実施の形態では、第1内面51,251及び第2内面52,252の一端(車両幅方向外側の端部)が一対の灯具62の光源よりも上方に位置する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第1内面51,251及び第2内面52,252の一端(車両幅方向外側の端部)を、一対の灯具62の光源の上端と同じ高さ(面一)に位置させる構成でも良い。
【0082】
この場合、光軸ALの光が第1内面51,251及び第2内面52,252を繰り返し反射するので、境界53,253における接線T1,T3が床面10と交差する曲率で第1内面51,251及び第2内面52,252の曲面を形成することが好ましい。これにより、光軸ALの光を床面10へ到達させ、間接光が側構体4へ流れることを抑制できるので、間接光によって客室Rを明るく照らすことができる。
【0083】
上記各実施の形態では、境界53,253が、第1内面51,251と第2内面52,252の連設部分(曲面どうしが交わる部位)として形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。境界53,253とは、第1内面51,251及び第2内面52,252の車両幅方向中央側の端部(曲面の端部)として定義される部位である。即ち、第1内面および第2内面の曲面の端部どうしが交わらない構成の場合には、それら第1内面および第2内面の車両幅方向中央側の端部(曲面の端部)が上記各実施の形態における境界53,253に相当する。
【0084】
上記各実施の形態では、第1内面51,251及び第2内面52,252で反射する光が、床面10における車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向中央側へ到達することが好ましいと説明したが、床面10の車両幅方向中央と、床面10の車両幅方向外側の端部との中間に光軸ALの光が到達することがより好ましい。これにより、客室Rを明るく、且つ、均一に照らすことができる。
【0085】
上記第1実施の形態では、境界53が第1仮想線V1よりも下方に位置して形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、境界53を第1仮想線V1よりも上方に位置させる構成でも良い。この場合には、光軸ALを少なくとも境界53よりも上方の第1内面51及び第2内面52へ向ける姿勢で灯具62を配設すれば良い。
【0086】
上記第1実施の形態では、境界53が第2仮想線V2よりも上方に位置して形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、境界53を第2仮想線V2より下方に位置させる構成でも良い。これにより、側構体4側に直接光が照射されるのを抑制することができる。
【0087】
この場合、載置面32の明るさを確保するために、載置面32に光を照射するための灯具を別途設ける際には、車両幅方向における照明部材60と側天井パネル40との対向間に灯具を設けることが好ましい。これにより、載置面32に光を照射するための灯具を設けるためのスペースを別途設ける必要がなく、客室Rの空間を有効に利用することができる。更に、被覆板63によって、灯具62と、載置面32に光を照射するための灯具との双方を被覆することができるので、部品点数が低減する。
【0088】
上記第2実施の形態では、光軸ALと接線T2とが成す第3角度θ3が、第5仮想線V5と接線T2とがなす第4角度θ4よりも大きな角度となる曲率で第1内面251及び第2内面252の曲面が形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
【0089】
例えば、交点Pと側パネル30の車両高さ方向の中央とを結ぶ直線を仮想線とし、光軸ALと接線T2とが成す角度が、その仮想線と接線T2とがなす角度よりも大きな角度となる曲率で第1内面251及び第2内面252の曲面を形成しても良い。これにより、側パネル30の車両高さ方向の中央よりも下方に光軸ALの光を照射することができるので、客室Rを明るく照らすことができる。
【0090】
上記第4実施の形態では、車両幅方向外側に灯具62(光照射手段)が配設される天井パネル450に対し、一対の切欠き部455を形成し、天井パネル450の車両幅方向における位置ずれ(影のずれ)を目立ちにくくさせる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
【0091】
例えば、かかる切欠き部455に相当する構成を第1,2実施の形態の天井パネル50,250に適用しても良い。即ち、第1,2実施の形態における天井パネル50,250は、介設内面を備えていないため、第3,4実施の形態のような影の筋は形成され難い。しかしながら、境界53,253が天井パネル50,250の下方(客室R側)に突出して形成されるため、天井パネル50,250が車両長手方向に複数並設される場合、下方に突出する境界53,253のずれによって天井パネル50,250どうしの位置ずれが際立つ。これに対して、天井パネル50,250に切欠き部455を形成することにより、かかる境界53,253の車両幅方向における位置ずれを認識させ難くできる。
【0092】
また、車両長手方向に影の筋が形成される天井パネルではなく、例えば、車両長手方向に沿って直線状に装飾が形成される天井パネルに切欠き部455の技術思想を適用しても良い。例えば、車両長手方向に沿った直線状の装飾(例えば、直線状の溝や、模様)が複数の天井パネルにわたって形成される場合、かかる装飾のずれによって天井パネルの車両幅方向における位置ずれが際立つ。これに対して、複数の天井パネルの装飾どうしを車両長手方向に離間させる態様で切欠き部455を形成すれば、装飾のずれによる天井パネルの位置ずれを認識させ難くできる。
【0093】
上記第4実施の形態では、天井パネル450に切欠き部455を形成することにより、天井パネル450どうしのつなぎ目に断面(側面視)V字状の溝が形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、切欠き部によって、天井パネル450どうしのつなぎ目に断面矩形状の溝を形成する構成でも良く、少なくとも切欠き部を形成することで介設内面どうしを車両長手方向で離間させるための手段は限定されない。
【符号の説明】
【0094】
1 鉄道車両
4 側構体
10 床面
31 荷棚
32 載置面
50,250,350,450 天井パネル
51,251,351,451 第1内面
52,252,352,452 第2内面
53,253 境界
62 灯具(光照射手段)
354,454 介設内面
454a 第1曲面(曲面)
454b 第2曲面(曲面)
454c 第3曲面(曲面)
455 切欠き部
R 客室
V1 第1仮想線
V2 第2仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8