【解決手段】ガラス基板の製造方法は、炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板を下方向に搬送させて冷却する冷却工程を有している。前記空間には、前記空間を複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材が設けられている。前記冷却工程では、前記ガラス板を前記スリットを通過させるよう搬送しながら、前記ガラス板の温度を制御する温度調整装置を用いて、前記ガラス板の冷却を行う。前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御する。前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有している。
前記仕切部材は、さらに、前記先端部と接続され、前記ガラス板から遠ざかるように延在する後端部であって、前記温度調整装置の上方において、前記温度調整装置を前記搬送方向の上流側の空間に対して仕切る後端部を有している、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
前記搬送ローラ対のローラの回転軸中心の位置は、前記搬送方向に沿った方向において、前記温度調整装置が位置する高さ範囲の上方又は下方に位置している、請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
前記搬送ローラ対のうち少なくとも一部の搬送ローラ対は、前記搬送方向に隣り合う前記温度調整装置の間に回転軸中心が位置するよう配置され、前記搬送方向の下流側に位置する前記搬送ローラ対であるほど、当該搬送ローラ対のローラと、当該ローラの上方に当該ローラと最も接近して配置された温度調整装置との前記搬送方向に沿った距離が小さい、請求項5に記載のガラス基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートガラスは、搬送される途中で、割れが生じる場合がある。そして、割れが生じたシートガラスからは、ガラス片やガラス屑が下方に落下する場合がある。このようなシートガラスからの落下物は、例えば、仕切部材に衝突し、弾んでヒータに接触したり、ヒータに直接衝突したりして、ヒータを損傷させる場合がある。また、シートガラスからの落下物が仕切部材の上面に堆積して、温度調整装置からシートガラスに向かう輻射熱が遮られてしまう場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、ガラス板からの落下物による温度調整装置の損傷を防止できるガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置を提供することを目的とする。より具体的には、温度調整装置による温度制御を適切に行いつつ、落下物から温度調整装置を保護し、落下物が仕切部材に堆積することを防止できるガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ガラス基板の製造方法であって、
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形工程と、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けた複数の搬送ローラ対で挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送させて冷却する冷却工程と、を有し、
前記空間には、前記搬送方向に沿って前記空間を複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材が設けられ、
前記冷却工程では、前記ガラス板を前記スリットを通過させるよう搬送しながら、前記ガラス板の温度を制御する温度調整装置を用いて、前記ガラス板の冷却を行い、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有している、ことを特徴とする。
【0008】
前記先端部の先端位置は、前記温度調整装置が位置する前記搬送方向の高さ範囲内に位置していることが好ましい。
【0009】
前記仕切部材は、さらに、前記先端部と接続され、前記ガラス板から遠ざかるように延在する後端部であって、前記温度調整装置の上方において、前記温度調整装置を前記搬送方向の上流側の空間に対して仕切る後端部を有していることが好ましい。
【0010】
前記先端部は、前記ガラス板の幅方向の両側の領域及び前記両側の領域の間の領域と向かい合うよう、前記ガラス板の幅方向に沿って延在しており、
前記先端部の傾斜角度は、前記両側の領域と向かい合う前記先端部の部分において、前記両側の領域の間の領域と向かい合う前記先端部の部分よりも小さいことが好ましい。
【0011】
前記温度調整装置を第1の温度調整装置、前記仕切部材を第1の仕切部材、前記先端部を第1の先端部というとき、
前記冷却工程では、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けられ、前記第1の温度調整装置と、前記第1の温度調整装置の下方に配置された第2の温度調整装置と、を少なくとも含む温度調整装置列を用いて、前記ガラス板の温度が搬送方向に順次下がるよう前記ガラス板の冷却を行い、
前記第2の温度調整装置は、少なくとも前記第2の温度調整装置と前記ガラス板との水平方向間に延在する第2の仕切部材によって、前記搬送方向の上流側の空間に対して仕切られ、
前記第2の仕切部材は、前記第2の温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する第2の先端部を有し、
前記第1の先端部の延在方向の長さは、前記第2の先端部の延在方向の長さより長いことが好ましい。
【0012】
前記搬送ローラ対のローラの回転軸中心の位置は、前記搬送方向に沿った方向において、前記温度調整装置が位置する高さ範囲の上方又は下方に位置していることが好ましい。
【0013】
前記搬送ローラ対のうち少なくとも一部の搬送ローラ対は、前記搬送方向に隣り合う前記温度調整装置の間に回転軸中心が位置するよう配置され、前記搬送方向の下流側に位置する前記搬送ローラ対であるほど、当該搬送ローラ対のローラと、当該ローラの上方に当該ローラと最も接近して配置された温度調整装置との前記搬送方向に沿った距離が小さいことが好ましい。
【0014】
本発明の別の一態様は、ガラス基板製造装置であって、
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形装置を備え、
前記成形装置は、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の搬送方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する複数の搬送ローラ対と、
前記空間を前記搬送方向に沿って複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材と、
前記スリットを通過するよう搬送される前記ガラス板の温度を制御し、前記ガラス板の冷却を行う温度調整装置と、を有し、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、水平方向に対して前記ガラス板を向くよう下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガラス板からの落下物による温度調整装置の損傷を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態に係るガラス基板の製造方法では、例えばTFTディスプレイ用のガラス基板を製造する。ガラス板は、オーバーフローダウンドロー法を用いて製造される。以下、図面を参照しながら、本実施形態に係るガラス基板の製造方法について説明する。
【0018】
(1)ガラス基板の製造方法の概要
まず、
図1および
図2を参照して、ガラス基板の製造方法に含まれる複数の工程および複数の工程に用いられるガラス基板の製造装置100を説明する。ガラス基板の製造方法は、
図1に示すように、主として、溶融工程S1と、清澄工程S2と、成形工程S3と、冷却工程S4と、切断工程S5とを含む。
【0019】
溶融工程S1は、ガラスの原料が溶融される工程である。ガラスの原料は、所望の組成になるように調合された後、上流に配置された溶融装置11に投入される。ガラス原料は、例えば、SiO
2,Al
2O
3,B
2O
3,CaO,SrO,BaO等の組成からなる。具体的には、歪点が660℃以上となるガラス原料を用いる。ガラスの原料は、溶融装置11で溶融されて、溶融ガラスFG(
図3及び
図4参照)になる。溶融温度は、ガラスの種類に応じて調整される。本実施形態では、ガラス原料が1500℃〜1650℃で溶融される。溶融ガラスFGは、上流パイプ23を通って清澄装置12に送られる。
【0020】
清澄工程S2は、溶融ガラスFG中の気泡の除去を行う工程である。清澄装置12内で気泡が除去された溶融ガラスFGは、その後、下流パイプ24を通って、成形装置40へと送られる。
【0021】
成形工程S3は、溶融ガラスFGをシート状のガラス(シートガラス)SGに成形する工程である。具体的に、溶融ガラスFGは、成形装置40に含まれる成形体41(
図3及び
図4参照)に連続的に供給された後、成形体41からオーバーフローする。オーバーフローした溶融ガラスFGは、成形体41の表面に沿って流下する。溶融ガラスFGは、その後、成形体41の下端部41a(
図3及び
図4参照)で合流してシートガラスSGへと成形される。シートガラスSGは、幅方向の端に位置する側部(耳部、端部)と、側部に挟まれた幅方向の中央領域と、を有する。シートガラスSGの側部の板厚は、中央領域の板厚と比べて厚く成形される。シートガラスSGの中央領域は、一定の板厚からなるガラス基板の製品となる領域である。シートガラスSGの中央領域の板厚は、例えば0.4mm以下の薄板に成形される。なお、シートガラスSGの幅方向は、シートガラスSGが流下する方向(流れ方向、搬送方向)及びシートガラスSGの厚み方向、と直交する方向である。
【0022】
冷却工程S4は、図示されない炉壁で囲まれた空間において、シートガラスSGの幅方向の両側の領域を、シートガラスSGの搬送方向に設けられた、後述する引下げローラで挟持しつつ、シートガラスSGを下方向に搬送させて冷却(徐冷)する工程である。引下げローラによって挟持される領域は、中央領域と側部との境界に位置する挟持領域である。シートガラスSGは、冷却工程S4を経て室温に近い温度へと冷却される。なお、冷却工程S4における、冷却の状態に応じて、ガラス基板の厚み(板厚)、ガラス基板の反り量、およびガラス基板の歪量が決まる。
【0023】
切断工程S5は、室温に近い温度になったシートガラスSGを、所定の大きさに切断する工程である。
【0024】
なお、所定の大きさに切断されたシートガラスSGは、その後、端面加工等の工程を経て、ガラス基板となる。
【0025】
次に、
図3〜
図5を参照して、ガラス基板の製造装置100に含まれる成形装置40の構成を説明する。
【0026】
(2)成形装置の構成
図3および
図4に、成形装置40の概略構成を示す。
図3は、成形装置40の断面図である。
図4は、成形装置40の側面図である。
【0027】
成形装置40は、シートガラスSGが通過する通路と、通路を取り囲む空間とを有する。通路を取り囲む空間は、炉壁で囲まれた空間であり、オーバーフローチャンバー20、フォーミングチャンバー30、および冷却チャンバー80で構成されている。
【0028】
オーバーフローチャンバー20は、清澄装置12から送られる溶融ガラスFGをシートガラスSGに成形する空間である。溶融ガラスFGは、成形体41の表面に沿って流下し、成形体41の下端部41aで合流してシートガラスSGへと成形される。
【0029】
フォーミングチャンバー30は、オーバーフローチャンバー20の下方に配置され、シートガラスSGの厚みおよび反り量を調整するための空間である。フォーミングチャンバー30では、冷却工程ST4の一部が実行される。シートガラスSGの温度は、成形体41の下端部41aより下流において徐々に下げられる。
【0030】
冷却チャンバー80は、オーバーフローチャンバー20の下方に配置され、シートガラスSGの歪量を調整するための空間である。具体的に、冷却チャンバー80では、フォーミングチャンバー30内を通過したシートガラスSGが、徐冷点、歪点を経て、室温近傍の温度まで冷却される。なお、冷却チャンバー80の内部は、シートガラスSGの搬送方向に間隔をあけて配置された複数の仕切部材83によって、複数の空間に区分けされ(間仕切りされ)ている。仕切部材83の詳細については後述する。
【0031】
また、成形装置40は、主として、成形体41と、断熱部材50と、冷却ローラ51と、冷却ユニット60と、引下げローラ(搬送ローラ)81a〜81gと、ヒータ(温度調整装置)82a〜82gと、仕切部材83と、切断装置90と、から構成されている。さらに、成形装置40は、制御装置500を備える(
図5参照)。制御装置500は、成形装置40に含まれる各構成の駆動部を制御する。
【0032】
以下、成形装置40に含まれる各構成について詳細に説明する。
【0033】
(2−1)成形体
成形体41は、オーバーフローチャンバー20内に設けられる。成形体41は、溶融ガラスFGをオーバーフローさせることによって、溶融ガラスFGをシートガラスSGへと成形する。
【0034】
図3に示すように、成形体41は、断面形状で略5角形の形状(楔形に類似する形状)を有する。略5角形の先端は、成形体41の下端部41aに相当する。
【0035】
また、成形体41は、第1端部に流入口42(
図4参照)を有する。流入口42は、上述の下流パイプ24と接続されており、清澄装置12から流れ出た溶融ガラスFGは、流入口42から成形体41に流し込まれる。成形体41には、溝43が形成されている。溝43は、成形体41の長手方向(
図4の左右方向)に延びている。具体的には、溝43は、第1端部から、第1端部の反対側の第2端部に延びている。溝43は、流入口42近傍において最も深く、第2端部に近づくにつれて徐々に浅くなるように形成されている。成形体41に流し込まれた溶融ガラスFGは、成形体41の一対の頂部41b,41bからオーバーフローし、成形体41の一対の側面(表面)41c,41cに沿って流下する。その後、溶融ガラスFGは、成形体41の下端部41aで合流してシートガラスSGになる。
【0036】
このとき、成形体41の下端部41aでのシートガラスSGの液相温度は1100℃以上であり、液相粘度は2.5×10
5poise以上であり、より好ましくは、液相温度は1160℃以上であり、液相粘度は1.2×10
5poise以上である。また、成形体41の下端部41aでのシートガラスSGの側部(耳部、端部)の粘度は10
5.7Poise未満である。
【0037】
(2−2)断熱部材
断熱部材50は、オーバーフローチャンバー20からフォーミングチャンバー30への熱の移動を遮断する部材である。断熱部材50は、溶融ガラスFGの合流ポイントの近傍に配置されている。また、
図3に示すように、断熱部材50は、合流ポイントで合流した溶融ガラスFG(シートガラスSG)の厚み方向両側に配置される。断熱部材50は、溶融ガラスFGの合流ポイントの上側雰囲気および下側雰囲気を仕切ることにより、断熱部材50の上側から下側への熱の移動を遮断する。
【0038】
(2−3)冷却ローラ
冷却ローラ51は、フォーミングチャンバー30内に設けられる。より具体的に、冷却ローラ51は、断熱部材50の直下に配置されている。また、冷却ローラ51は、シートガラスSGの厚み方向両側、及び、シートガラスSGの幅方向両側に配置される。シートガラスSGの厚み方向両側に配置された冷却ローラ51は対で動作する。すなわち、シートガラスSGの両側の領域のうち挟持領域が、二対の冷却ローラ51,51,・・・によって挟み込まれる。
【0039】
冷却ローラ51は、内部に通された空冷管により空冷されている。冷却ローラ51は、シートガラスSGの側部(耳部、端部)R,Lに接触し、熱伝導によりシートガラスSGの側部(耳部、端部)R,Lを急冷する(急冷工程)。冷却ローラ51に接触したシートガラスSGの側部R,Lの粘度は、所定値(具体的には、10
9.0poise)以上である。
【0040】
冷却ローラ51は、冷却ローラ駆動モータ390(
図5を参照)により回転駆動される。冷却ローラ51は、シートガラスSGの側部R,Lを冷却すると共に、シートガラスSGを下方に引き下げる機能も有する。
【0041】
(2−4)冷却ユニット
冷却ユニット60は、オーバーフローチャンバー20内及びフォーミングチャンバー30内に設けられ、シートガラスSGを徐冷点近傍まで冷却するユニットである。冷却ユニット60は、複数の冷却要素61〜65を有する。
図4において、冷却ユニット60はフォーミングチャンバー30内にのみ示されている。複数の冷却要素61〜65は、シートガラスSGの幅方向及びシートガラスSGの流れ方向に沿って配置されている。具体的に、複数の冷却要素61〜65には、中央領域冷却要素61〜63と、側部冷却要素64,65とが含まれる。
中央領域冷却要素61〜63は、空冷され、シートガラスSGの中央領域CAを冷却する。ここで、シートガラスSGの中央領域とは、シートガラスSGの幅方向中央部分であって、シートガラスSGの有効幅およびその近傍を含む領域である。言い換えると、シートガラスSGの中央領域は、シートガラスSGの両側部(両耳部、両端部)の間に位置する領域である。中央領域冷却要素61〜63は、シートガラスSGの中央領域CAの表面と対向する位置に、流れ方向に沿って配置される。中央領域冷却要素61〜63に含まれる各ユニットは、独立して制御可能である。
また、側部冷却要素64,65は、水冷され、シートガラスSGの側部(耳部、端部)R,Lを冷却する。側部冷却要素64,65は、シートガラスSGの側部R,L(幅方向の両端部)の表面と対向する位置に、流れ方向に沿って配置される。側部冷却要素64,65に含まれる各ユニットは、独立して制御可能である。
【0042】
(2−5)引下げローラ
引下げローラ81a〜81gは、冷却チャンバー80内に設けられ、フォーミングチャンバー30内を通過したシートガラスSGを、シートガラスSGの流れ方向へ引き下げ、シートガラスSGの搬送を行う。引下げローラ81a〜81gは、冷却チャンバー80の内部で、流れ方向に沿って間隔をあけて配置される。
図3及び
図4に示される例において、引下げローラ81a〜81gは、仕切部材83によって仕切られた空間ごとに配置されている。なお、引下げローラ81a〜81gは、シートガラスSGの温度が徐冷点以下となる、冷却チャンバー80内の領域に配置されている。シートガラスSGの温度が徐冷点以下となる領域とは、シートガラスSGの中央領域の温度が徐冷点以下となる領域であり、シートガラスSGが徐冷点、歪点を経て、室温近傍の温度まで冷却される領域をいう。徐冷点は、粘度が10
13ポワズとなるときの温度であり、ここでは、715.0℃である。
図3及び
図4に示す例において、シートガラスSGの温度が徐冷点となる位置は、搬送方向の最も上流側にある仕切部材83と、引下げローラ81aとの搬送方向の間にある。
引下げローラ81a〜81gは、それぞれ、シートガラスSGの厚み方向両側(
図3参照)、および、シートガラスSGの幅方向両側(
図4参照)配置されている。これにより、引下げローラ81a〜81gは、シートガラスSGの幅方向の両側部(両耳部、両端部)R,Lの、シートガラスSGの厚み方向の両側の表面に接触しながらシートガラスSGを下方に引き下げる。シートガラスSGの厚み方向両側に配置された引下げローラ81a〜81gは、対で動作し、対の引下げローラ(搬送ローラ対)81a,81a,・・・が、シートガラスSGを下方向に引き下げる。
引下げローラ81a〜81gは、引下げローラ駆動モータ391(
図5参照)によって駆動される。また、引下げローラ81a〜81gは、それぞれ、上流側の部分がシートガラスSGに近づく方向に回転する。引下げローラ81a〜81gの周速度は、下流側に位置する引下げローラであるほど大きい。すなわち、複数の引下げローラ81a〜81gのうち、引下げローラ81aの周速度が最も小さく、引下げローラ81gの周速度が最も大きい。
【0043】
(2−6)ヒータ(温度調整装置)
ヒータ82(82a〜82g)は、冷却チャンバー80の内部に設けられ、冷却チャンバー80の内部空間の温度を調整する。具体的に、ヒータ82a〜82gは、シートガラスSGの流れ方向およびシートガラスSGの幅方向に複数配置される。
図3及び
図4に示す例では、シートガラスSGの流れ方向に、7つのヒータ82a〜82gが間隔をあけて配置され、仕切部材83によって仕切られた(間仕切りされた)空間ごとに配置されている。各空間に配置されたヒータは、例えば7つのヒータ要素(図示せず)がシートガラスの幅方向に並ぶよう配置されて構成される。各空間に配置されたヒータは、幅方向に沿ったシートガラスSGの温度を制御するよう、仕切られた空間の温度を制御する。ヒータ要素は、例えば、純ニッケル等のように熱伝導が良好な金属部材や、セラミック材等から構成されている。ヒータ要素は、シートガラスSGの両側の領域及び両側の領域の間の領域と対向する位置に配置される。
ヒータ82は、引下げローラ81a〜81gよりも、シートガラスSGから離れて配置されている。
【0044】
ヒータ82a〜82gは、後述する制御装置500によって出力が制御される。これにより、冷却チャンバー80内部を通過するシートガラスSGの近傍の雰囲気温度が制御され、シートガラスSGの温度制御が行われる。これによって、シートガラスSGの温度が搬送方向に沿って順次下がるよう、シートガラスSGは冷却される。この温度制御により、シートガラスSGは、粘性域から粘弾性域を経て弾性域へと推移する。冷却チャンバー80では、ヒータ82a〜82gの制御により、シートガラスSGの温度が、徐冷点近傍の温度から室温近傍の温度まで冷却される。
【0045】
ヒータ要素は、制御装置500によって出力が独立して制御され、シートガラスSGにおいて、予め設計された温度プロファイルが実現されるよう、シートガラスSG近傍の雰囲気温度を調整する。温度プロファイルは、具体的に、シートガラスSGの温度が幅方向に均一になるよう設計されている。ここで、温度が均一であるとは、少なくとも挟持領域及び中央領域における幅方向の温度分布をなす温度が、挟持領域及び中央領域の平均温度に対して±20℃の範囲内にあることをいう。シートガラスSGの温度が幅方向に均一になるよう冷却されることで、シートガラスSGの挟持領域、及び、挟持領域に隣接する領域において歪が発生することが抑制される。
【0046】
各ヒータ82a〜82gの近傍には、雰囲気温度を検出する手段として、例えば、熱電対380が設けられている。具体的には、複数の熱電対380が、シートガラスSGの流れ方向およびシートガラスSGの幅方向に間隔をあけて配置されている。熱電対380は、シートガラスSGの中心部Cの温度と、シートガラスSGの側部R,Lの温度とをそれぞれ検出する。ヒータ82a〜82gの出力は、熱電対380によって検出される雰囲気温度に基づいて制御される。
【0047】
(2−7)仕切部材
仕切部材83は、板状の断熱部材である。仕切部材83は、冷却チャンバー80を、シートガラスSGの搬送方向に沿って複数の空間に間仕切りしつつ、シートガラスSGを通過させるスリットSを形成する。スリットSは、
図3に示す例において、シートガラスSGの板厚方向の両側に配置され、互いに向き合う2つの仕切部材83の間に形成される隙間である。スリットSは、シートガラスSGの幅方向に沿って延びている。仕切部材83は、少なくともヒータ82とシートガラスSGとの水平方向間に延在しており、少なくともヒータ82とシートガラスSGとの間において、仕切部材83の上方の空間から下方の空間への熱の移動が遮断される。上方の空間から下方の空間への熱の移動はシートガラスSGの周りで特に大きいため、これにより、温度プロファイルに基づいたシートガラスSGの温度制御を適切に行うことができる。
仕切部材83は、ヒータ82の上方から、その上面がシートガラスSGを向くよう水平方向に対して傾斜して、シートガラスSGに向かって延在する先端部83aを有している。シートガラスSGは、搬送される途中で割れが発生して、シートガラスSGから、ガラス片やガラス屑が落下する場合がある。シートガラスSGの割れは、例えば、シートガラスSGの両側の表面に沿って上昇する気流の変化等に起因して、シートガラスSGが撓むように変形し、仕切部材83と接触してシートガラスSG上に発生した傷が進展することで発生する場合がある。また、例えば、引下げローラ81a〜81gが摩耗し、シートガラスSGが挟持される位置が変化することに起因して発生する場合がある。本実施形態では、仕切部材83の先端部83aが、ヒータ82の上方からシートガラスSGに向かって下方に延在し、落下物からヒータ82を遮るように配置されているため、ガラス片等の落下物が、ヒータ82に直接衝突したり、先端部83aに衝突し、弾んでヒータ82に接触したりすることが防止される。このため、ヒータ82の損傷が防止される。
また、先端部83aの上面が、シートガラスSGを向くよう水平方向に対して傾斜していることで、先端部83a上に落下した落下物は、先端部83aの上面に沿って滑り落ちることができる。このため、落下物が先端部83aに残り、堆積することが防止される。これによって、例えば、ヒータ82からの輻射熱が、堆積した落下物によって遮られて、シートガラスSGの温度制御を適切に行えないことが防止される。
すなわち、本実施形態によれば、仕切部材83の仕切り機能によって、ヒータ82による温度制御を適切に行いながら、シートガラスSGに割れが生じたときに、ヒータ82を落下物から保護し、仕切部材83に落下物が堆積することを防止することができる。
【0048】
先端部83aの傾斜角度は、水平方向に対して、先端部83aの上面がシートガラスSGを向く側に、20〜50°であることが好ましく、例えば30〜40°である。傾斜角度が20°未満であると、落下物が先端部83a上を滑り落ち難く、堆積する場合がある。傾斜角度が50°を超えると、ヒータ82からの輻射熱が先端部83aによって遮られてシートガラスSGの温度制御を適切に行えない場合がある。
なお、シートガラスSGの厚み方向(
図3の左右方向)に沿った先端部83aの傾斜角度は、
図3に示す例では、一定であるが、シートガラスSGに向かって延在する途中で変化していてもよく、例えば、先端部83aは、先端部83aの延在方向(シートガラスSGから離れる側からシートガラスSGに近づく側に向かう方向)及び厚み方向と直交する方向に見て、湾曲または屈曲していてもよい。
【0049】
図6に、
図3の成形装置の一部を拡大して示す。
図6に示されるように、先端部83aの延在方向の長さL1は、ヒータ82とシートガラスSGとの水平方向の間隔L2の50%より大きいことが好ましい。先端部83aの延在方向の長さL1が、ヒータ82とシートガラスSGとの水平方向の間隔L2の50%以下の長さであると、ヒータ82を落下物から十分に保護できず、また、仕切部材83によって熱の移動を十分に遮断できず、仕切り機能が低下する場合がある。
一方で、先端部83aの上記長さL1は、シートガラスSGと向かい合うヒータ82の端のうち上端と、この上端の下方に位置する引下げローラのうち当該ヒータ82に最も接近して配置される引下げローラ(例えば、ヒータ82eの上端の下方に最も接近して配置される引下げローラ81e)との間隔L3より小さいことが好ましい。先端部83aは、シートガラスSGからの輻射熱を反射するため、先端部83aの上記長さL1が上記間隔L3以上の長さであると、先端部83aの上方に当該先端部83aに最も近接して配置された引下げローラ(例えば、
図6に示す2つの仕切部材83のうちの下方の仕切部材83の先端部83aの上方に当該先端部83aに最も近接して配置された引下げローラ81e)が加熱され、損傷する場合がある。
【0050】
仕切部材83それぞれにおいて、シートガラスSGに最も接近して配置される先端部83aの端の位置(先端位置)は、
図6に示すように、ヒータ82が位置する搬送方向の範囲(高さ範囲)H内に位置していることが好ましい。言い換えると、先端部83aの先端は、ヒータ82の前方(ヒータ82から水平方向に沿ってシートガラスSGに向かう側)に位置していることが好ましい。このように、先端部83aの先端位置がヒータ82の前方に位置していることで、ヒータ82を落下物から保護する機能が増す。
【0051】
仕切部材83は、
図3に示す例のように、先端部83aと接続され、シートガラスSGから遠ざかるように延在する後端部83bを、さらに有していることが好ましい。後端部83bは、ヒータ82の上方において、ヒータ82を搬送方向の上流側の空間に対して仕切る機能を有している。仕切部材83が後端部83bを有していることによって、上記した仕切り機能が増す。
図3に示す例において、後端部83bは、水平方向に延在しているが、水平方向に対して、後端部83bの上面がシートガラスSGを向くよう水平方向に対して傾斜していてもよい。この場合、先端部83a及び後端部83bの傾斜角度は等しくてもよい(
図8参照)。また、仕切部材83は、後端部を有していなくてもよい。
【0052】
先端部83aは、
図4に示される例では、シートガラスSGの幅方向の両側の領域及び両側の領域の間の領域(中央領域)と向かい合うよう、シートガラスSGの幅方向に沿って延在している。この場合、先端部83aの傾斜角度は、両側の領域と向かい合う部分において、中央領域と向かい合う部分よりも小さいことが好ましい。シートガラスSGの両側の領域と向かい合う先端部83aの部分に落下したガラス屑等が滑り落ちると、下方の引下げローラ81a〜81gの表面に付着し、割れの起点となる傷をシートガラスSGに生じさせる場合があるためである。
これと同様の理由から、先端部83aの延在方向の長さは、シートガラスSGの幅方向の両側の領域と向かい合う先端部83aの部分において、中央領域と向かい合う先端部83aの部分よりも短いことも好ましい。
【0053】
図7及び
図8に、仕切部材の変形例を示す。
図7は、仕切部材83の変形例を示す図である。
図8は、仕切部材83の別の変形例を示す図である。
仕切部材83は、
図7に示す変形例のように、先端部83aが後端部83bに対して回動するよう構成されていてもよい。この変形例において、先端部83aは、ヒンジによって後端部83bと連結され、
図7の破線で示すように回動することができる。
図7に示す変形例では、先端部83aのみが、水平方向に対して傾斜するため、仕切部材83の全体が回動して傾斜する場合と比べ、水平方向に対する傾斜角度を大きくしやすい。
【0054】
また、仕切部材83は、
図8に示す変形例のように、その全体が炉壁に対して回動するよう構成されていてもよい。炉壁は、オーバーフローチャンバー20、フォーミングチャンバー30、および冷却チャンバー80を取り囲む、断熱部材から構成される構造体である。
図8に示す変形例は、上述した、先端部83a及び後端部83bの傾斜角度が等しい例である。この変形例では、シートガラスSGから最も離れた後端部83bの端(後端)が、炉壁に設けられた回転軸の周りに回動するよう、仕切部材83は構成されている。仕切部材83は、
図8において破線で示すように回動することができる。
【0055】
先端部83aがヒータ82の前方に位置していると、その傾斜角度によっては、ヒータ82からの熱の放射が遮られてしまう。上記説明した変形例では、仕切部材83を用いて、操業中に、先端部83aあるいは仕切部材83の全体を回動させ、先端部83aの上面が水平方向に延在するよう、あるいは、水平方向に対する傾斜角度が小さくなるよう回動させることが可能である。これにより、ヒータ82から放射される熱量を調節して、シートガラスSGの温度を調整することができる。
また、シートガラスSGが割れて落下したガラス片等が先端部83a上に存在する場合に、例えば、上記説明した変形例の仕切部材83を用いて、操業中に、
図7及び
図8において実線で示した状態から、先端部83aあるいは仕切部材83の全体を回動させ、傾斜角度を大きくすることが可能である。これにより、先端部83a上に存在するガラス片等を滑らせて、下方に落とすことができる。このような傾斜角度の変更は、例えばバネやシリンダーによって発生する機械的な力を、先端部83aまたは仕切部材83に対して作用させる方法を用いて、手動あるいは自動で行うことができる。
【0056】
図9(a)及び
図9(b)は、
図8に示す仕切部材83の変形例を、シリンダー71を備える駆動装置70を用いて回動させる例を説明する図である。駆動装置70は、具体的に、シリンダー71と、シリンダー71に対して往復移動するシャフト72と、を備える。シリンダー71は、炉壁に対して回動するよう設けられる。シャフト72は、仕切部材83に接続されている。この変形例では、シャフト72がシリンダー71に対して移動することで、仕切部材83の傾斜角度が変化する。例えば、
図9(a)に示す、水平方向に延在した状態と、
図9(b)に示す、水平方向に対して傾斜した状態との間で、仕切部材83は回動する。
【0057】
先端部83aまたは仕切部材83を回動させるための稼動方式は、
図9に示す例に制限されず、炉内の構造や、仕切部材83が設置される炉内の温度に応じて適宜選択される。上記説明した仕切部材83の変形例は、ガラス片の除去等を目的として、適宜採用することができる。
【0058】
一実施形態によれば、複数の仕切部材83のうち、上流側の仕切部材83の先端部83a(第1の先端部)の延在方向の長さは、下流側の仕切部材83の先端部83a(第2の先端部)の延在方向の長さより長いことが好ましい。ヒータ82からの輻射熱の熱量は、上流側に位置するヒータ82であるほど大きいため、第1の先端部83aの延在方向の長さを長くして、仕切部材83の仕切り機能を向上させることが好ましい。この場合、仕切部材83の延在方向の長さは、上流側から下流側にかけて、連続的にあるいは段階的に短くなっていることが好ましい。
また、一実施形態によれば、複数の仕切部材83において、上流側の仕切部材83の先端部83a(第1の先端部)の水平方向に対する傾斜角度は、下流側の仕切部材83の先端部83a(第2の先端部)の水平方向に対する傾斜角度より小さいことが好ましい。上述したように、ヒータ82からの輻射熱の熱量は、上流側に位置するヒータ82であるほど大きいため、第1の先端部83aの傾斜角度を小さくして、ヒータ82からの輻射熱が遮られることによるシートガラスSGの温度調整に対する影響を小さくすることが好ましい。この場合、仕切部材83の傾斜角度は、上流側から下流側にかけて、連続的にあるいは段階的に大きくなっていることが好ましい。
【0059】
引下げローラ81a〜81gの回転軸中心Oの位置は、
図3に示されるように、搬送方向に沿った方向において、ヒータ82が位置する高さ範囲H(
図6参照)の上方又は下方に位置していることが好ましい。例えば、引下げローラ81aの回転軸中心Oの位置は、ヒータ82aの下端の下方で、かつ、ヒータ82bの上端の上方に位置している。このように、引下げローラ81a〜81gの回転軸中心Oの位置と、ヒータ82が位置する高さ範囲Hとが、搬送方向に重なっていない(ずれている)ことで、ヒータ82からの輻射熱が引下げローラ81a〜81gによって遮られ難く、シートガラスSGの両側の領域で温度が低下することを抑制できる。このため、シートガラスSGにおいて幅方向に均一な温度プロファイルを効果的に実現することができる。
【0060】
この場合において、引下げローラ81a〜81fの回転軸中心Oの位置は、搬送方向の上方及び下方に接近して配置される2つのヒータ82のうち、上方に接近して配置されるヒータ82との間隔が、下方に接近して配置されるヒータ82との間隔よりも長いことが好ましい。シートガラスSGは、搬送方向に沿って順次温度が下がるよう冷却されるため、上流側に位置するヒータ82であるほど、輻射熱が大きくなるよう制御される。引下げローラ81a〜81fは下方のヒータ82とは仕切部材83によって仕切られているため、引下げローラ81a〜81fと下方のヒータ82との距離が、引下げローラ81a〜81fと上方のヒータ82との距離より短くても、引下げローラ81a〜81fが下方のヒータ82から受け取る熱量が抑制される。これにより、引下げローラ81a〜81fがヒータ82によって過度に加熱されることを抑制できる。
【0061】
(2−8)切断装置
切断装置90は、冷却チャンバー80内で室温近傍の温度まで冷却されたシートガラスSGを、所定のサイズに切断する。切断装置90は、所定の時間間隔でシートガラスSGを切断する。これにより、シートガラスSGは、複数のガラス板になる。切断装置90は、切断装置駆動モータ392(
図5を参照)によって駆動される。
【0062】
(2−9)制御装置
制御装置500は、CPU、RAM、ROM、およびハードディスク等から構成されており、ガラス基板の製造装置100に含まれる種々の機器の制御を行う。
図5は、一実施形態における制御装置500の構成の一例を示すブロック図である。
【0063】
具体的には、
図5に示すように、制御装置500は、ガラス基板の製造装置100に含まれる各種のセンサ(例えば、熱電対380)やスイッチ(例えば、主電源スイッチ381)等による信号を受けて、冷却ユニット60、ヒータ82a〜82g、冷却ローラ駆動モータ390、引下げローラ駆動モータ391、切断装置駆動モータ392等の制御を行う。
【0064】
本実施形態によれば、仕切部材83の仕切り機能によって、ヒータ82による温度制御を適切に行いながら、シートガラスSGに割れが生じたときに、ヒータ82を落下物から保護し、仕切部材83に落下物が堆積することを防止することができる。
【0065】
以上、本実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、引下げローラ81a〜81gは、搬送方向に等間隔に配置されていてもよいが、搬送方向に異なる間隔で配置されていてもよい。例えば、搬送方向に隣り合う引下げローラ81a〜81gの間隔は、下流側の間隔であるほど、大きくてもよい。また、引下げローラ81a〜81gは、仕切部材83によって仕切られた空間ごとに配置されていなくてもよい。