【課題を解決するための手段】
【0011】
対象物の表面幾何学形状及び表面色を記録するスキャナ・システムであって、
上記対象物の照明のための多色プローブ光を提供すべく構成された多色光源と、
上記対象物から受信された光の一つ以上の2D画像を捕捉する画像センサ・ピクセルのアレイを備えるカラー画像センサと、
少なくとも部分的に、上記カラー画像センサにより記録された一つの2D画像から、上記画像センサ・ピクセルの一つのブロックに対する表面幾何学形状情報及び表面色情報の両方を導出すべく構成されたデータ処理システムと、
を備える、スキャナ・システムが開示される。
【0012】
対象物の表面幾何学形状及び表面色を記録する方法であって、
多色光源と、画像センサ・ピクセルのアレイを備えるカラー画像センサとを備えるスキャナ・システムを獲得する段階と、
上記多色光源からの多色プローブ光により上記対象物の表面を照らす段階と、
上記カラー画像センサを用いて上記対象物の一連の2D画像を捕捉する段階と、
少なくとも部分的に、捕捉された一つの2D画像から、画像センサ・ピクセルの一つのブロックに対する表面幾何学形状情報及び表面色情報の両方を導出する段階と、
を有する、方法が開示される。
【0013】
本出願に関し、「表面色」という表現は、対象物表面の見かけ上の色を指し得ることから、歯の如き半透明もしくは半透光性の対象物に対する如き幾つかの場合、表面色は、対象物表面からの光、及び/または、対象物表面の直下の物質の如き、対象物表面の下方の物質からの光により引き起こされ得る。
【0014】
本出願に関し、「少なくとも部分的に一つの2D画像から導出された」という表現は、与えられたブロックの画像センサ・ピクセルに対する表面幾何学形状情報が少なくとも部分的に、一つの2D画像から導出され、且つ、対応する表面色情報が少なくとも部分的に、同一の2D画像から導出される、という状況を指している。該表現はまた、与えられたブロックの画像センサ・ピクセルに対する表面幾何学形状情報が少なくとも部分的に、一連の捕捉された2D画像の内の複数の2D画像から導出され、且つ、対応する表面色情報が少なくとも部分的に、その一連の捕捉された2D画像の内の同一の複数の2D画像から導出される、という場合も包含している。
【0015】
上記画像センサ・ピクセルのブロックに対する表面幾何学形状情報及び表面色情報の両方を、少なくとも部分的に一つの2D画像から導出することの利点は、一つのみの画像センサを有するスキャナ・システムが実現され得る、ということである。表面幾何学形状情報及び表面色情報が少なくとも部分的に一つの2D画像から導出されることは利点である、と言うのも、これにより必然的に、2つの形式の情報が同時的に獲得されることが実現されるからである。故に、一つの画像センサが幾何学形状の記録に対し、且つ、他の画像センサが色の記録に対して使用されるという場合であり得る、2つのカラー画像センサの動作の厳密なタイミングに対する要件が無い。同様に、表面幾何学形状情報が導出される2D画像の捕捉のタイミングと、表面色情報が導出される2D画像の捕捉のタイミングとの間の相当な差を考慮する入念な計算に対する必要性が無い。
【0016】
本出願は、現状技術との比較において、単一の画像センサ及び単一の多色光源のみが必要とされ、且つ、対象物の少なくとも一部に対する表面色及び表面幾何学形状が同一の2D画像または同一の複数の2D画像から導出され得ることで、色及び表面幾何学形状の整列が本来的に完全であることも意味する、という相当の向上を開示している。本出願に係るスキャナ・システムにおいては、表面幾何学形状と表面色との獲得段階同士の間における対象物とスキャナ・システムとの相対運動を考慮または補償する必要がない。表面幾何学形状及び表面色は厳密に同時に獲得されることから、上記スキャナ・システムは、対象物表面に関する自身の空間的配置を自動的に維持し乍ら、表面幾何学形状及び表面色を獲得する。これにより、本出願のスキャナ・システムは、例えば、口腔内スキャナとして、または、移動する対象物を走査するために、手持ち用途に適したものとされる。
【0017】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、上記画像センサ・ピクセルのブロックに対する表面幾何学形状情報及び表面色情報を、一連の捕捉された2D画像における複数の2D画像からなどの如く、一連の2D画像から導出すべく構成される。すなわち、上記データ処理システムは、画像センサ・ピクセルのブロックに対する表面幾何学形状情報を導出するために、且つ、上記表面幾何学形状情報が導出された2D画像の内の少なくとも一つの2D画像から表面色情報も導出するために、一連の捕捉された2D画像における複数の2D画像を解析し得る。
【0018】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、一連の捕捉された2D画像の内の複数の2D画像から表面色情報を導出すべく、且つ、上記表面色情報が導出された2D画像の内の少なくとも一つの2D画像から表面幾何学形状情報を導出すべく構成される。
【0019】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、一連の捕捉された2D画像の内の複数の2D画像から表面幾何学形状情報を導出すべく、且つ、上記表面幾何学形状情報が導出された2D画像の内の少なくとも一つの2D画像から表面色情報を導出すべく構成される。
【0020】
幾つかの実施例において、表面色情報が導出される一群の2D画像は、表面幾何学形状情報が導出される一群の2D画像と同一である。
【0021】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、複数のブロックの画像センサ・ピクセルから導出された表面幾何学形状情報及び表面色情報に基づき、対象物表面の一部分の部分的走査結果を生成すべく構成される。上記部分的走査結果は、少なくとも、上記対象物の上記一部分の幾何学形状を表現し、且つ、典型的には、一つの積層群(stack)の捕捉済み2D画像から、一つの部分的走査結果が導出される。
【0022】
幾つかの実施例においては、捕捉された一連の画像の全ての2D画像が解析され、カラー画像センサ上の画像センサ・ピクセルの各ブロックに対する表面幾何学形状情報が導出される。
【0023】
所定のブロックの画像センサ・ピクセルに対し、上記積層群における捕捉済みの各2D画像の対応部分が解析されることで、そのブロックに対する表面幾何学形状情報及び表面色情報が導出され得る。
【0024】
幾つかの実施例において、上記表面幾何学形状情報は、その特定のブロックの画像センサ・ピクセルに関し、スキャナ・システムの座標系に対して対象物表面が配置された箇所に関している。
【0025】
本出願の上記スキャナ・システム及び方法の一つの利点は、(一つの視点から視認された)対象物の幾何学形状及び色の両方を表現する部分的走査結果を生成すべく使用される各情報が、同時に獲得される、ということである。
【0026】
各部分的走査結果は、それらが上記表面の上記一部分を協働して包含する如く、対象物の所定数の異なる概観(view)に対して生成され得る。
【0027】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、所定数の部分的走査結果を組み合わせて上記対象物のデジタル3D表現物を生成すべく構成される。そのときに、上記対象物の上記デジタル3D表現物は好適には、記録された該対象物の幾何学形状及び色の両方を表現する。
【0028】
上記対象物の上記デジタル3D表現物は、データ・ファイルの形態であり得る。上記対象物が患者の一群の歯であるとき、この一群の歯のデジタル3D表現物は、例えば、患者の一群の歯の物理的模型のCAD/CAM製造に対して使用され得る。
【0029】
上記表面幾何学形状及び表面色は、いずれも、上記カラー画像センサにより記録された光から決定される。
【0030】
幾つかの実施例において、上記対象物から受信された光は、多色光源に由来し、すなわち、それは、対象物の表面から反射もしくは散乱されたプローブ光である。
【0031】
幾つかの実施例において、上記対象物から受信された光は、上記多色光源からのプローブ光により励起された蛍光、すなわち、対象物表面における蛍光物質から発せられた蛍光を備える。
【0032】
幾つかの実施例において、上記多色光源は対象物の幾何学形状及び色を獲得する光を提供する一方、蛍光の励起に対しては第2の光源が使用される。
【0033】
上記スキャナ・システムは好適には、上記多色光源により発せられた光を、走査されるべき対象物に向けて案内すべく、且つ、上記対象物の複数の2D画像が上記カラー画像センサにより捕捉され得る如く、上記対象物から受信された光を上記カラー画像センサまで案内すべく構成された光学システムを備える。
【0034】
幾つかの実施例において、上記スキャナ・システムは、上記多色光源からのプローブ光を対象物に向けて送出する複数のレンズの配置物の如き第1光学システムと、上記カラー画像センサにおいて上記対象物から受信された光を結像する第2光学システムとを備える。
【0035】
幾つかの実施例においては、単一の光学システムが、上記プローブ光を対象物上へと結像し、且つ、上記対象物を、または、該対象物の少なくとも一部を、好適には同一の光軸に沿い、但し、該光軸に沿う逆方向において、上記カラー画像センサ上へと結像する。上記スキャナは、上記光路内に配置された少なくとも一つのビームスプリッタを備え得、その場合に上記ビームスプリッタは、それが、上記多色光源からのプローブ光を対象物に向けて導向する一方、対象物から受信される光を上記カラー画像センサに向けて導向する如く配置される。
【0036】
三角測量及び焦点走査の如き、幾つかの走査原理が適切である。
【0037】
幾つかの実施例において、上記スキャナ・システムは、各々の一連の捕捉された2D画像が2D画像の積層群を形成する如く、上記スキャナ・システムの光軸に沿い焦点面を平行移動させ、且つ、異なる焦点面位置において2D画像を捕捉することにより動作する焦点スキャナ・システムである。上記焦点面位置は好適には、上記スキャナ・システムの光軸に沿う所定数の焦点面位置にて捕捉された各2D画像が、上記対象物の所定の概観に対し、すなわち、上記対象物に対する上記スキャナ・システムの所定の配置に対し、上記2D画像の積層群を形成する如く、上記光軸に沿ってシフトされる。上記対象物に対する上記スキャナ・システムの配置を変更した後、その概観に対し、新たな積層群の2D画像が捕捉され得る。上記焦点面位置は、例えば、移動焦点レンズなどの少なくとも一つの焦点素子により変更され得る。
【0038】
幾つかの焦点スキャナの実施例において、上記スキャナ・システムは、上記プローブ光中に空間的パターンを取入れるべく構成されたパターン生成素子を備える。
【0039】
幾つかの実施例において、上記パターン生成素子は、上記スキャナ・システムにより上記対象物上へと投射されるプローブ光が、暗い区画と、上記多色光源の波長分布に従う波長分布を有する光を備える区画とから成ることを実現すべく構成される。
【0040】
幾つかの実施例において、上記多色光源は、白色光源の如き広帯域の光源を備える。
【0041】
幾つかの実施例において、上記カラー画像センサのピクセル、及び、上記パターン生成素子は、各ピクセルが、上記プローブ光に取入れられた空間的パターンの単一の明るいまたは暗い領域に対応することを実現すべく構成される。
【0042】
焦点スキャナ・システムに対し、所定のブロックの画像センサ・ピクセルに対する上記表面幾何学形状情報は、上記スキャナ・システムからのいずれの距離にて、そのブロックの画像センサ・ピクセルに対する焦点内に対象物表面が在るかを特定することにより導出される。
【0043】
幾つかの実施例において、上記表面幾何学形状情報及び上記表面色情報を導出する段階は、捕捉された2D画像の積層群における幾つかの2D画像の如き、幾つかの2D画像に対し、上記画像センサ・ピクセルのブロックにより捕捉された2D画像の部分と、加重関数との間の相関測度を算出する段階を有する。此処で、上記加重関数は好適には、上記空間的パターンの構成の情報に基づいて決定される。上記相関測度は、上記積層群の各2D画像に対して算出され得る。
【0044】
上記スキャナ・システムは、各焦点面位置において、少なくとも一つの画像ピクセルと、上記空間的パターンの構成の情報に基づき決定される加重関数との間の相関測度を評価する手段を備え得る。
【0045】
幾つかの実施例において、画像センサ・ピクセルのブロックに対して上記表面幾何学形状情報及び上記表面色情報を導出する段階は、上記光軸に沿い、対応する相関測度が最大値を有する位置を特定する段階を有する。上記光軸に沿い、上記対応する相関測度が最大値を有する位置は、一つの2D画像が捕捉された位置に一致することもあり得るが、それは、上記積層群の2D画像の内で隣接する2つの2D画像の中間に在る可能性が更に高い。
【0046】
そのときに表面幾何学形状情報の決定段階は、上記パターンにより提供されて空間的に構造化された光信号の相関測度であって、焦点面の全ての箇所に対する(基準と称される)該パターン自体の変動に依るという相関測度を算出する段階と、この積層群の2D画像の極値の箇所を見出す段階とに関連し得る。幾つかの実施例において、上記パターンは静的である。斯かる静的パターンは、例えば、ガラス上クロム・パターンとして実現され得る。
【0047】
上記相関測度を離散的な測定値の集合により数学的に定義する一つの手法は、n>1個の要素がセンサ信号を表すという信号ベクトルI=(I
1、…、I
n)、及び、基準重みの基準ベクトルf=(f
1、…、f
n)から算出されるドット積としてである。そのとき相関測度Aは、次式により与えられる:
【0048】
【数1】
【0049】
信号ベクトルにおける要素に関する添え字は、典型的にはピクセルのブロックにおける異なるピクセルにて記録されたセンサ信号を表す。基準ベクトルfは較正段階において獲得され得る。
【0050】
上記スキャナにおいて使用される光学システムの知見を用いることにより、上記相関測度の極値の箇所、すなわち、焦点面の箇所を、ピクセル・ブロック的に深度データ情報へと変換することが可能である。故に、組み合わされた全てのピクセル・ブロックは、深度データの配列を提供する。換言すると、深度は、光学的な設計態様から知られ、及び/または、較正から見出される、光路に沿ったものであり、且つ、上記画像センサ上のピクセルの各ブロックは、光路の終点を表す。故に、1束の経路に対し、光路に沿う深度は、スキャナの視界内における表面幾何学形状、すなわち、現在の概観に対する部分的走査結果をもたらす。
【0051】
最大値の箇所の更に高信頼性で正確な決定を実現すべく、一連の相関測度値を平滑化して補間することが有用であり得る。
【0052】
幾つかの実施例において、部分的走査結果を生成する段階は、画像センサ・ピクセルの各ブロックに対し、光軸に沿う相関測度の変動を記述する相関測度関数を決定する段階と、上記光軸に沿い、そのブロックに対し、光軸に沿い相関測度関数がその最大値を有する位置を特定する段階とを備える。
【0053】
幾つかの実施例において、最大の相関測度値は、画像センサ・ピクセルのブロックに対して算出された最高の相関測度値、及び/または、画像センサ・ピクセルのブロックに対する上記相関測度関数の最高の最大値である。
【0054】
例えば、記録された最大値の両側における幾つかの画像にわたりピクセル・ブロックに対するAの各値に対して多項式が適合され得ると共に、推定された最大値の箇所は、適合された多項式の最大値であって、2つの画像の中間であり得るという最大値から見出され得る。上記推定された最大値は引き続き、現在の概観から表面幾何学形状を導出するとき、すなわち、その概観に対する部分的走査結果を導出するときに、深度データ情報として使用される。
【0055】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、上記一連の2D画像の内で、上記相関測度が画像センサ・ピクセルの対応ブロックに対して最大値を有するという2D画像の表面色情報に基づき、生成された部分的走査結果上の点に対する色を決定すべく構成される。上記色は、例えば、上記画像センサ・ピクセルのブロックにおける各ピクセルに対するRGB値として読み取られ得る。
【0056】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、上記一連の2D画像の内で、上記相関測度が画像センサ・ピクセルの対応ブロックに対して最大値を有するという2D画像の表面色情報と、上記一連の捕捉された2D画像からの隣接2D画像の如き少なくとも一つの付加的な2D画像とに基づき、生成された部分的走査結果上の点に対する部分的走査結果の色を決定すべく構成される。上記表面色情報は依然として、上記表面幾何学形状情報が導出された複数の2D画像の内の少なくとも一つの2D画像から導出される。
【0057】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、上記部分的走査結果の色を決定するときに、一連の隣接する2D画像の表面色情報の補間の如き、一連の少なくとも2つの2D画像の表面色情報を補間すべく構成される。
【0058】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、上記部分的走査結果の所定数の点に対して平滑化された色を算出すべく構成され、上記算出段階は、上記部分的走査結果上の周囲の複数の点の色の加重平均の如き、異なる複数の点の部分的走査結果の色を平均化する段階を有する。
【0059】
画像センサ・ピクセルのブロックに対する表面色情報は、少なくとも部分的に、表面幾何学形状情報が導出されたのと同一の画像から導出される。Aの最大値の箇所が一つの2D画像により表される場合、色もまた、同一の画像から導出される。Aの最大値の箇所が2つの画像間であると補間により見出された場合、色を導出するためには、それらの2つの画像の少なくとも一方が、または、色に対する補間を用いて両方の画像も、使用されるべきである。相関測度の最大値の箇所の決定において2つより多い画像からのカラー・データを平均すること、または、表面幾何学形状を導出するために使用された複数の画像の下位集合または上位集合からの色を平均することも可能である。いずれにせよ、走査された対象物の少なくとも一部に対して表面色及び表面幾何学形状の両方を導出するためには、幾つかの画像センサ・ピクセルの読取値が使用される。
【0060】
典型的には、3つのカラー・フィルタが在ることから、全体的な色は、赤色、緑色及び青色、または、シアン、マゼンタ及びイエローの如き3つの寄与分で構成される。カラー・フィルタは典型的に所定範囲の波長の通過を許容するものであり、且つ、典型的に複数のフィルタ間には、例えば、一定の緑色光が、赤色フィルタを備えたピクセルにおいて測定された強度に寄与する如く、クロストークが在ることを銘記されたい。
【0061】
カラー・フィルタ・アレイを備えた画像センサに対し、ピクセル・ブロック内のカラー成分c
jは次式として獲得され得る:
【0062】
【数2】
【0063】
式中、g
j,i=ピクセルiがカラーc
jに対してフィルタを有するなら1であり、その他の場合には0である。Bayerパターンにおけるのと同様であるRGBカラー・フィルタ・アレイに対し、jは赤色、緑色または青色の内の一つである。典型的には、変化するフィルタ効率、照明源効率、及び、フィルタ・パターンにおける各カラー成分の異なる割合に対する補償として、自然なカラー・データを獲得するためには、個々のカラー成分の更なる加重、すなわち色較正が必要とされ得る。上記較正は、視界内の焦点面の箇所及び/または位置にも依存し得る、と言うのも、光源構成要素カラーの混合は、それらの要因により変動し得るからである。
【0064】
幾つかの実施例において、表面色情報はピクセル・ブロック内の全てのピクセルに対して獲得される。カラー・フィルタ・アレイを備えた、または、回折手段の如く色を分離する他の手段を備えたカラー画像センサにおいては、特定のピクセルにより測定された色に依存し、その色に対する強度値が獲得される。換言すると、この場合、一つの特定のピクセルは、一つの色のみに対するカラー値を有する。最近において開発されたカラー画像センサは、物質の異なる深度において、同一ピクセルにおいて幾つかの色の測定を許容することから、その場合、一つの特定のピクセルは、幾つかの色に対する強度値をもたらし得る。要約すると、表面幾何学形状情報の分解能よりも本来的に高いという表面色データの分解能を獲得することが可能である。
【0065】
対象物の生成されたデジタル3D表現物に対する表面幾何学形状の分解能よりも、導出された色の分解能が高いという実施例においては、少なくとも概略的に焦点が合ったときにパターンが視認可能であり、これは好適には、色が導出される場合である。画像は、パターンを視覚的に除去すべく、但し、分解能の喪失を以て、フィルタリングされ得る。実際、ユーザに対して上記パターンを視認し得ることが有用であり得る。例えば、口腔内走査においては、調製部の限界ライン、縁部または端縁の位置を検出することが重要であり得る。この端縁上に重畳された上記パターンの画像は、略々直角に視認される側では更に鮮鋭であり、且つ、鋭角にて視認される側では更に不鮮明である。故に、この例において典型的には歯科医または歯科技工士であるユーザは、鮮鋭さの差を用い、限界ラインの位置を、表面幾何学形状のみの検証から可能であり得るよりも正確に突き止め得る。
【0066】
カラー画像センサ上で相関測度の良好な信号/ノイズ比を獲得するためには、対象物上で焦点が合ったパターン画像の大きな空間的コントラストが望ましい。更に良好な空間的コントラストは、カラー画像センサにおいて、対象物からの鏡面的な表面反射の選好的な画像化により達成され得る。故に、幾つかの実施例は、鏡面的に反射された光の選好的/選択的な画像化のための手段を備える。このことは、スキャナが、例えば、少なくとも一つの偏光ビームスプリッタによりプローブ光を偏光化させる手段を更に備えるならば、実現され得る。
【0067】
幾つかの実施例において、上記偏光化用の光学機器は、上記多色光源のスペクトルの内で、表面幾何学形状を記録するために使用される部分の円偏光の保持を最適化すべく、被覆される。
【0068】
上記スキャナ・システムは更に、プローブ光の、及び/または、対象物から受信された光の偏光状態を変化させる手段を備え得る。このことは、好適には光路内に配置された遅延プレートにより実現され得る。幾つかの実施例において、上記遅延プレートは、1/4波長遅延プレートである。
【0069】
特に、走査される対象物が、例えば患者の一群の歯であるという口腔内用途に対し、上記スキャナは、プローブ光を導向するための、及び/または、対象物を画像化するための手段を備えた長寸先端を有し得る。このことは、少なくとも一つの折返し要素により実現され得る。該折返し要素は、ミラーまたはプリズムの如き、光反射要素であり得る。上記プローブ光は上記スキャナ・システムから、上記折返し要素により少なくとも部分的に画成された光軸に沿って出射する。
【0070】
焦点走査手法の更に詳細な説明に対しては、国際特許出願公開公報WO2010/145669号を参照されたい。
【0071】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、上記対象物の生成されたデジタル3D表現物が該対象物の幾何学形状及びカラーの変化特性の両方を表現する如く、上記デジタル3D表現物の少なくとも一つの点の色を決定すべく構成される。色は、対象物の走査された部分の色変化特性がデジタル3D表現物により表現される如く、生成されたデジタル3D表現物の幾つかの点に対して決定され得る。
【0072】
幾つかの実施例において、上記対象物カラーを決定する段階は、対象物表面のその点において重なり合う複数の部分的走査結果における対応点に対して導出されたカラー値の加重平均値を算出する段階を有する。この加重平均値は次に、対象物のデジタル3D表現物における点の色として使用され得る。
【0073】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、捕捉された2D画像において飽和ピクセルを検出すべく、且つ、導出された表面色情報または部分的走査結果の色においてピクセル飽和により引き起こされたエラーを緩和もしくは除去すべく構成される。
【0074】
幾つかの実施例において、上記飽和ピクセルにより引き起こされたエラーは、平滑化された部分的走査結果の色を算出する上で、飽和ピクセルの表面色情報に対して低い重みを割当てることにより、且つ/又は、上記飽和ピクセルに基づいて算出された部分的走査結果の色に対して低い重みを割当てることにより、緩和もしくは除去される。
【0075】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、上記対象物の捕捉された2D画像及び/または生成された部分的走査結果の区画の導出された表面色情報を、歯及び口腔組織に対する所定の色範囲と比較すべく、且つ、その色が、2つの所定の色範囲の一方内ではないという区画に対して導出された表面色情報または部分的走査結果の色の赤色成分を抑制すべく構成される。
【0076】
此処で開示された上記スキャナ・システムは、例えば、マルチダイLEDなどの白色光源などの多色光源を備える。
【0077】
対象物表面から戻されたプローブ光、または、対象物の蛍光部分を励起することによりプローブ光により生成された蛍光の如き、走査された対象物から受信された光は、上記カラー画像センサにより記録される。幾つかの実施例において、上記カラー画像センサは、該カラー画像センサにおける全てのピクセルがカラー特異的フィルタである如く、カラー・フィルタ・アレイを備える。各カラー・フィルタは好適には、例えば、各カラー・フィルタがBayerカラー・フィルタ・パターンに従って配置されるという、規則的パターンで配置される。故に、この様に獲得された画像データは、ピクセルの各ブロックに対して表面幾何学形状及び表面色の両方を導出すべく使用される。相関測度を利用する焦点スキャナに対し、表面幾何学形状は、上述された如く相関測度の極値から見出され得る。
【0078】
幾つかの実施例において、表面幾何学形状は、上記多色光源により提供されたプローブ光のスペクトルの第1部分における光から導出される。
【0079】
好適には、各カラー・フィルタは、好適には、各ピクセルが特定の色のみに対するカラー・フィルタを有する如く、画像センサの各ピクセルと整列される。
【0080】
幾つかの実施例において、上記カラー・フィルタ・アレイは、該アレイのピクセルの割合であって、上記スペクトルの第1部分に合致するカラー・フィルタを備えたピクセルの割合が50%超である如きである。
【0081】
幾つかの実施例において、上記表面幾何学形状情報は、上記多色光源により提供されるスペクトルの選択波長範囲における光から導出される。故に、他の波長範囲における光は、表面幾何学形状情報を導出するためには使用されない。このことは、上記スキャナ・システムの光学システムにおける各光学素子の波長分散が、対象物の走査に影響しない、という利点を提供する。
【0082】
一つまたは2つの形式のカラー・フィルタを備えるピクセルからのみ、表面幾何学形状を算出することが好適であり得る。単一の色は、色収差補正用の光学機器を必要とせず、故に、構築することが更に容易で更に安価なスキャナを提供する。更に、折返し要素は概略的に、全ての色に対して等しく良好に偏光状態を保持し得ない。表面幾何学形状を算出するために一定の単一もしくは複数の色のみが使用されるとき、基準ベクトルfは、他の単一もしくは複数の色に対するフィルタを備えるピクセルに対してはゼロを含んでいる。従って、全体的な信号強度は概略的に低減されるが、十分に大きなブロックのピクセルに対し、それは概略的に依然として十分である。好適には、ピクセルのカラー・フィルタは、一つの色から他の単一もしくは複数の色に対するクロストークが殆ど無い様に適合化される。ピクセルの下位集合のみから幾何学形状を算出する実施例においてさえも、色は好適には、依然として全てのピクセルから算出されることを銘記されたい。
【0083】
幾つかの実施例において、上記カラー画像センサは、各カラー・フィルタが夫々、既知である波長範囲W1、W2及びW3の光が当該カラー・フィルタを通り伝搬することを許容するという少なくとも3つの型のカラー・フィルタを備えるカラー・フィルタ・アレイを備える。
【0084】
幾つかの実施例において、上記カラー・フィルタ・アレイは、該アレイのピクセルの割合であって、上記スペクトルの選択された波長範囲に合致するカラー・フィルタを備えたというピクセルの割合が50%超であり、斯かる割合は32/36、60/64または96/100に等しい如きである。
【0085】
幾つかの実施例において、上記選択された波長範囲は上記W2波長範囲に合致する。
【0086】
幾つかの実施例において、上記カラー・フィルタ・アレイは、6×6カラー・フィルタの複数のセルを備え、各セルの位置(2,2)及び(5,5)におけるカラー・フィルタは上記W1型であり、位置(2,5)及び(5,2)におけるカラー・フィルタは上記W3型である。此処で、W1型のフィルタは、既知である波長範囲W1の光が当該カラー・フィルタを通り伝搬することを許容するカラー・フィルタであり、W2及びW3型のフィルタに対しても同様である。幾つかの実施例において、上記6×6セルにおける残りの32個のカラー・フィルタは、上記W2型である。
【0087】
RGB表色系において、W1は赤色光、W2は緑色光、及び、W3は青色光に対応し得る。
【0088】
幾つかの実施例において、上記スキャナは、表面幾何学形状よりも高い分解能を以て表面色を導出すべく構成される。
【0089】
幾つかの実施例において、上記更に高い表面色分解能は、ピクセル・ブロックに対するカラー値が分解されることで、表面幾何学形状に存在するよりも見かけ上は高い分解能のカラー画像を達成し得る、という分解(demosaicing)により達成される。上記分解は、ピクセル・ブロックまたは個々のピクセルを操作し得る。
【0090】
マルチダイLEDが使用され、または、物理的もしくは光学的に分離された複数の発光体を備える別の照明源が使用される場合、スキャナにおいてはケーラー(Koehler)型の照明を企図すること、すなわち、均一な照明と、視界全体に対する良好な色混合とを達成するために、照明源が対物面にて焦点移動されることが好適である。色混合が完全ででは無く且つ焦点面の箇所で変化する場合には、スキャナの色較正が有用である。
【0091】
幾つかの実施例において、上記パターン生成素子は、上記空間的パターンが、市松模様パターンで配置された交互配置的な暗い領域及び明るい領域を備えることを実現すべく構成される。そのとき、上記スキャナ・システムにより提供されるプローブ光は、暗い区画と、上記多色光源と同一の波長分布を有する光を備える区画とから成る。
【0092】
対象物の表面の幾何学形状及び色の表現物の両方を表現するデジタル3D表現物、すなわち、対象物表面の上記部分の色付きのデジタル3D表現物を獲得するためには、典型的に、幾つかの部分的走査結果、すなわち、対象物の部分的表現物が組み合わされねばならず、その場合、各部分的走査結果は、対象物の一つの概観を呈している。与えられた相対位置からの概観を表現する部分的走査結果は、好適には、その相対位置から視認された対象物表面の幾何学形状及び色を記録する。
【0093】
焦点スキャナに対し、一つの概観とは、単一もしくは複数の焦点合わせ素子の一回の行程に対応しており、すなわち、焦点スキャナに対し、各部分的走査結果は、その極限位置同士の間における焦点面位置の行程の間において記録された2D画像の積層群から導出された表面の幾何学形状及び色である。
【0094】
種々の概観に対して見出された表面幾何学形状は、文献において広く知られる統合して位置合わせするためのアルゴリズムにより、または、例えば、スキャナがエンコーダを備えた軸心上に取付けられたときにおける既知の視認位置及び配向から、組み合わされ得る。色は、テクスチャ・ウィービング(texture weaving)の如き方法により、または、単純に、表面の同一箇所の複数の概観における対応する各カラー成分を平均化することにより、補間かつ平均化され得る。此処で、異なる入射角及び反射角に起因する見かけの色の差を考慮することが有用であり得、このことは、表面幾何学形状も既知なので可能である。テクスチャ・ウィービングは、例えばCallieri M, Cignoni P, Scopigno R, "多重範囲のRGBマップからテクスチャ処理されたメッシュを再構成する方法(Reconstructing textured meshes from multiple range rgb maps)"、VMV 2002, Erlangen, Nov 20-22, 2002により記述されている。
【0095】
幾つかの実施例において、上記スキャナ及び/または上記スキャナ・システムは、獲得された表面色及び表面幾何学形状に基づき、対象物表面の部分的走査結果を生成すべく構成される。
【0096】
幾つかの実施例において、上記スキャナ及び/または上記スキャナ・システムは、異なる相対位置から獲得された対象物表面の部分的走査結果を組み合わせて、上記対象物の少なくとも一部の表面の幾何学形状及び色を表現するデジタル3D表現物を生成すべく構成される。
【0097】
幾つかの実施例において、対象物の各部分的走査結果を組み合わせて、表面の幾何学形状及び色を表現するデジタル3D表現物を獲得する段階は、各表面点における色を、その表面点にて重なり合う全ての部分的走査結果における対応点の加重平均値として算出する段階を有する。合計における各部分的走査結果の重みは、飽和ピクセルの値の存在、または、部分的走査結果が記録されたときにおけるスキャナに関する対象物表面の配向の如き、幾つかの要因により決定され得る。
【0098】
斯かる加重平均値は、対象物に対する幾つかのスキャナの位置及び配向が、他の位置及び配向よりも更に良好な実際の色の評価を与える、という場合に有用である。もし、対象物表面の照明が不均一であるなら、このこともまた、一定程度まで、最適に照らされた部分を更に大きく加重することにより補償され得る。
【0099】
幾つかの実施例において、上記スキャナ・システムのデータ処理システムは、対象物の表面幾何学形状、表面色読取値、または、導出された部分的走査結果もしくはデジタル3D表現物の後処理を実施すべく構成された画像プロセッサを備える。上記スキャナ・システムは、例えば、上記画像プロセッサにより実行されるコンピュータ実行型アルゴリズムを用いて、各部分的走査結果の組み合わせを実施すべく構成され得る。
【0100】
上記スキャナ・システムは、例えば、表面幾何学形状、表面色、部分的走査結果及び/またはデジタル3D表現物の後処理の一部として、上記データ処理システムにより実行されるコンピュータ実行型アルゴリズムを用いて、各部分的走査結果の組み合わせを実施すべく構成され得、すなわち、上記後処理は、各表面点における色を、その表面点において重なり合う全ての部分的走査結果における対応点の加重平均値として算出する段階を有する。
【0101】
飽和ピクセル値は好適には、低い重みを有することで、表面色の記録に関する強調の効果を低減すべきである。表面の所定部分に対する色は、好適には、基本的に、ピクセル値が飽和した場合ではなく、色が正確に決定され得るという2D画像から決定すべきである。
【0102】
幾つかの実施例において、上記スキャナまたは上記スキャナ・システムは、捕捉された2D画像において飽和ピクセルを検出すべく、且つ、獲得された色においてピクセル飽和により引き起こされたエラーを緩和もしくは除去すべく構成される。飽和ピクセルにより引き起こされたエラーは、加重平均値において飽和ピクセルに対して低い重みを割当てることにより緩和もしくは除去され得る。
【0103】
鏡面反射された光は、対象物表面の色ではなく、光源の色を有する。もし対象物が純粋な白色反射器でなければ、鏡面反射はそのとき、ピクセル色が光源色に忠実に合致する領域として特定され得る。故に、表面色を獲得するときには、斯かる鏡面反射を補償するために、カラー値が多色光源の色に忠実に合致するというピクセルまたはピクセル群に対しては低い重みを割当てることが有用である。
【0104】
鏡面反射はまた、患者の一群の歯を口腔内的に走査するときにも問題であり得る、と言うのも、歯は、完全に白色であることは希だからである。故に、カラー画像センサからの読取値が、対象物の表面は純粋な白色反射器であることを示すというピクセルに対しては、このピクセル群により記録された光は、口腔内の歯もしくは軟部組織からの鏡面反射により引き起こされたことを想定し、故に、これらのピクセルに対しては低い重みを割当てることで鏡面反射を補償することが有用であり得る。
【0105】
幾つかの実施例において、対象物表面からの鏡面反射に対する補償は、例えば、純粋な白色反射器の形態の較正物体が走査される、というスキャナの較正から導出された情報に基づく。そのとき、カラー画像センサの読取値は、多色光源のスペクトルと、例えばスキャナの光学システムにおけるミラーの波長依存反射率により引き起こされる該光学システムの波長依存性とに依存する。もし、光学システムが、多色光源の全ての波長を等しく良好に案内するなら、カラー画像センサは、純粋な白色反射器が走査されたとき、多色光源の(スペクトルとも称される)色を記録する。
【0106】
幾つかの実施例において、上記表面からの鏡面反射に対する補償は、スキャナの光学システムの波長依存性と、多色光源のスペクトルと、カラー画像センサの波長依存感度とに基づく計算から導出された情報に基づく。幾つかの実施例において、上記スキャナは、鏡面反射された光を光学的に抑制し、更に良好な色測定を達成する手段を備える。このことは、上記スキャナが、例えば、少なくとも一つの偏光ビームスプリッタによりプローブ光を偏光化する手段を更に備えるならば、実現され得る。
【0107】
口腔の内側を走査するときには、歯肉、口蓋、舌部、または、頬側組織の如き周囲組織のプローブ光照明により引き起こされる赤色の周囲光が在り得る。故に、幾つかの実施例において、上記スキャナ及び/またはスキャナ・システムは、記録された2D画像における赤色成分を抑制すべく構成される。
【0108】
幾つかの実施例において、上記スキャナ及び/またはスキャナ・システムは、対象物の捕捉された2D画像及び/または部分的走査結果の複数の区画の色を、歯及び口腔組織に対する所定の色範囲と夫々比較すべく、且つ、色が、上記2つの所定の色範囲のいずれにもない区画に対しては、記録された色の赤色成分を抑制すべく構成される。歯は、基本的に、例えば、RGB構成において赤色成分の強度と青色及び/または緑色成分との間の一つの割合によるなど、記録された画像の異なる複数の成分の強度間の一つの割合により白色であると仮定され得る一方、口腔組織は基本的に、各成分の強度間の別の割合により赤味がかっている。口腔の一領域に対して記録された色が、歯に対する所定割合及び組織に対する所定割合の両方と異なる割合を示したとき、この領域は、赤色周囲光により照らされた歯の領域であるとして特定され、且つ、記録された画像の赤色成分は、赤色信号の記録強度を低減することにより、または、画像における他の成分の記録強度を増大することにより、他の成分に対して抑制される。
【0109】
幾つかの実施例において、スキャナに対して直接的に向かう表面法線を備える点の色は、表面法線がスキャナに対して直接的には向かわないという点の色よりも、大きく加重される。このことは、スキャナに対して直接的に向かう表面法線を備えた点は、周囲光によってではなく、スキャナからの白色光により更なる高程度まで照らされる、という利点を有している。
【0110】
幾つかの実施例において、スキャナに対して直接的に向かう表面法線を備える点の色は、もし、鏡面反射が付随するならば、更に低く加重される。
【0111】
幾つかの実施例において、上記スキャナは、飽和ピクセル、及び/または、鏡面反射、及び/または、表面法線の配向の補償の如く、異なる効果を同時に補償すべく構成される。このことは、概略的に2D画像のピクセルまたはピクセル群の選択部に対する重みを上げることにより、且つ、上記選択のピクセルまたはピクセル群の一部分に対する重みを低減することにより、為され得る。
【0112】
幾つかの実施例において、上記方法は、上記対象物の上記部分の記録された2D画像、部分的走査結果、または、生成された3D表現物を処理する段階を有し、
上記処理段階は、
表面色を導出するときに、飽和ピクセルの重みを除外もしくは低減することにより、ピクセル飽和を補償する段階、及び/または、
表面色を導出するときに、そのカラー値が光源の色に忠実に合致するピクセルの重みを除外もしくは低減することにより、鏡面反射を補償する段階、及び/または、
2D画像の表面色情報を、所定の色範囲と比較し、且つ、これが所定の色範囲内でなければ、記録された色の赤色成分を抑制することにより、赤色周囲光を補償する段階、
を有する。
【0113】
開示されたスキャナ・システムを用いて、対象物の生成されたデジタル3D表現物上にカラー・テクスチャを表示する方法が開示される。例えば、コンピュータ画面上で、デジタル3D表現物上にテクスチャとしてカラー・データを表示することが有用である。色及び幾何学形状の組合せ物は、データのみのいずれの形式よりも強力な情報伝達体である。例えば、歯科医は、異なる種類の組織を更に容易に区別し得る。表面幾何学形状のレンダリングにおいて、例えば、鮮鋭な縁部を明らかとする人工的な陰影による適切な陰影付けは、テクスチャのみが行い得るよりも良好に、テクスチャ上への表面幾何学形状の移動を支援し得る。
【0114】
上記多色光源がマルチダイLEDまたは類似物であるとき、上記スキャナ・システムは、蛍光を検出するためにも使用され得る。開示されたスキャナ・システムを用い、表面幾何学形状上に蛍光を表示する方法が開示される。
【0115】
幾つかの実施例において、上記スキャナは、上記マルチダイLEDにおけるLEDダイの下位集合のみにより対象物を照らすことにより該対象物上に蛍光を励起すべく構成され、その場合に上記蛍光は、少なくとも概略的に蛍光の色に合致するカラー・フィルタを有するカラー画像センサ中のピクセルのみを専らまたは選好的に読み取ることにより、すなわち、長波長光に対するフィルタを有する画像センサのピクセルのみにおける強度を測定することにより、記録される。換言すると、マルチダイLEDにおけるLEDダイの下位集合から発せられた光が対象物における蛍光物質を励起し且つスキャナはこれらの蛍光物質から発せられた蛍光を記録し得る如く、上記スキャナは、上記LEDダイの下位集合のみを選択的に起動し得ると共に、上記LEDダイの下位集合の波長よりも長い波長におけるカラー・フィルタを有するカラー画像センサにおけるピクセルのみを専ら記録しまたは選好的に読み取り得る。上記ダイの下位集合は好適には、紫外、青色、緑色、黄色、または、赤色のLEDダイの如く、対象物における蛍光物質の励起スペクトル内の光を発する一つ以上のLEDダイを備える。斯かる蛍光測定は、2Dカラー画像に酷似した2Dデータをもたらすが、2D画像とは異なり、それは、表面幾何学形状と同時的には取り込まれ得ない。低速で移動する、及び/または、適切な補間を備えたスキャナに対し、蛍光画像は依然として、表面幾何学形状に重畳され得る。歯の上に蛍光を表示することは有用である、と言うのも、虫歯及び歯垢の検出が支援され得るからである。
【0116】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、上記カラー画像センサにより獲得された2D画像から表面幾何学形状情報を抽出すべく、且つ、同一の画像から表面色を決定すべく構成されたマイクロプロセッサ・ユニットを備える。
【0117】
上記データ処理システムは、上記スキャナ・システムの種々の部分に分散された複数のユニットを備え得る。静止的なユニットに対して接続された手持ち部分を備えるスキャナ・システムに対し、上記データ処理システムは、例えば、上記手持ち部分に一体化された一つのユニット、及び、上記静止的ユニットに一体化された別のユニットを備え得る。このことは、手持ちユニットから静止的ユニットに対してデータを転送するデータ接続構造が、カラー画像センサからのデータ・ストリームを取扱い得ない帯域幅を有するときに有用であり得る。そのときに、手持ちユニットにおける予備的なデータ処理は、上記データ接続構造を介して転送されるべきデータの量を減少し得る。
【0118】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムは、上記後処理を実施するためのコンピュータ実行型アルゴリズムが記憶されたコンピュータ可読媒体を備える。
【0119】
幾つかの実施例において、上記データ処理システムの一部は、カートまたはパーソナルコンピュータに一体化される。
【0120】
開示されたスキャナ・システムを用い、各概観がスキャナ及び対象物の実質的に固定された相対配向を表すという幾つかの概観からの色及び/または表面幾何学形状を平均化する方法が開示される。
【0121】
開示されたスキャナ・システムを用い、単一の概観において可能であるよりも更に完全な対象物の包含範囲を達成する如く、各概観がスキャナ及び対象物の実質的に固定された相対配向を表すという幾つかの概観からの色及び/または表面幾何学形状を組み合わせるという方法が開示される。
【0122】
対象物の表面幾何学形状及び表面色を獲得するスキャナであって、該スキャナは、
プローブ光を提供すべく構成された多色光源と、
上記対象物から受信された光の一つ以上の2D画像を記録する画像センサ・ピクセルのアレイを備えるカラー画像センサと、
を備え、
上記画像センサ・ピクセルの少なくとも一つのブロックに対し、上記対象物の一部分の表面色及び表面幾何学形状の両方が、少なくとも部分的に、上記カラー画像センサにより記録された一つの2D画像から導出される、
スキャナ・システムが開示される。
【0123】
対象物の表面幾何学形状及び表面色を記録するスキャナ・システムであって、該スキャナ・システムは、
多色プローブ光を提供すべく構成された多色光源と、
上記対象物から受信された光の一つ以上の2D画像を捕捉する画像センサ・ピクセルのアレイを備えるカラー画像センサと、
を備え、
上記画像センサ・ピクセルの少なくとも一つのブロックに対し、上記対象物の一部分の表面色情報及び表面幾何学形状情報の両方が、少なくとも部分的に、上記カラー画像センサにより捕捉された一つの2D画像から導出される、
スキャナ・システムが開示される。
【0124】
対象物の表面幾何学形状及び表面色を記録するスキャナ・システムであって、該スキャナ・システムは、
プローブ光を提供すべく構成された多色光源と、
画像センサ・ピクセルのアレイを備えるカラー画像センサと、
上記対象物の2D画像が上記カラー画像センサにより捕捉され得る如く、上記対象物から受信された光を上記カラー画像センサまで案内すべく構成された光学システムと、
を備え、
当該スキャナ・システムは、表面色情報及び表面幾何学形状情報が当該スキャナにより同時に獲得される如く、上記対象物の一部分の所定数の2D画像を捕捉すべく、且つ、少なくとも、上記カラー画像センサ・ピクセルのブロックに対して上記捕捉済み2D画像の内の少なくとも一つの2D画像から上記対象物の上記部分の表面色情報及び表面幾何学形状情報の両方を導出すべく構成される、
スキャナ・システムが開示される。
【0125】
対象物の表面幾何学形状及び表面色を記録するスキャナ・システムであって、
プローブ光を提供すべく構成された多色光源と、
画像センサ・ピクセルのアレイを備えるカラー画像センサであって、該画像センサは、上記対象物から受信された光の2D画像を捕捉すべく配置されるというカラー画像センサと、
上記カラー画像センサにより捕捉された上記2D画像の内の少なくとも一つの2D画像から上記対象物の少なくとも一部の表面色情報及び表面幾何学形状情報の両方を導出すべく構成された画像プロセッサと、
を備える、スキャナ・システムが開示される。
【0126】
対象物の表面幾何学形状及び表面色を記録するスキャナ・システムであって、
上記各実施例の内のいずれかに係るスキャナ・システムであって、該スキャナ・システムは、上記対象物の表面色及び表面幾何学形状を導出すべく、且つ、選択的に、上記対象物の上記部分の部分的走査結果またはデジタル3D表現物を生成すべく構成されるというスキャナ・システムと、
上記カラー画像センサからの表面幾何学形状及び/または表面色を後処理すべく、または、生成された部分的走査結果またはデジタル3D表現物を後処理すべく構成されたデータ処理ユニットと、
を備える、スキャナ・システムが開示される。
【0127】
対象物の表面幾何学形状及び表面色を記録する方法であって、
上記各実施例の内のいずれかに係るスキャナまたはスキャナ・システムを配備する段階と、
上記多色光源からのプローブ光により上記対象物の表面を照らす段階と、
上記カラー画像センサを用いて上記対象物の一つ以上の2D画像を記録する段階と、
上記スキャナにより表面色及び表面幾何学形状が同時に獲得される如く、少なくとも上記画像センサ・ピクセルのブロックに対し、上記記録された2D画像の内の少なくとも幾つかの2D画像から上記対象物の一部分の表面色及び表面幾何学形状の両方を導出する段階と、
を有する、方法が開示される。