【解決手段】位置検出装置56は、駆動コイル46と共に位置検出用磁石に対して移動するホール素子54と、駆動電流に重畳して所定の交流電流を前記駆動コイル46に供給する電流供給手段と、前記所定の交流電流に対応して前記ホール素子54の交流信号出力を一定になるよう制御する制御手段と、を有する。
前記制御手段は、前記ホール素子の信号出力から前記交流信号の出力を分離し、分離された前記交流信号の出力をフィードバックする請求項1から3いずれか記載の位置検出装置。
前記制御手段は、帯域通過濾波器、検波回路及び可変利得増幅回路を備え、前記ホール素子の出力は前記帯域通過濾波器を通して前記ホール素子の交流信号の出力として前記検波回路に入力され、前記検波回路の出力が前記可変利得増幅回路を通してフィードバックされる請求項4記載の位置検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の位置検出装置ではセンサ数が多く、小型化が困難であった。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、温度特性が良く、小型化を図ることができる位置検出装置、駆動装置、レンズ駆動装置、光学装置、カメラ装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様は位置検出装置であり、この位置検出装置は、駆動コイルと共に位置検出用磁石に対して移動するホール素子と、駆動電流に重畳して所定の交流電流を前記駆動コイルに供給する電流供給手段と、前記所定の交流電流に対応する前記ホール素子の交流信号の出力を一定になるよう制御する制御手段と、を有する。
【0006】
制御手段は、具体的には、前記ホール素子の交流信号の出力を基に前記ホール素子に供給するバイアス電流を制御するか、又は前記ホール素子から出力される出力電圧を制御する。
【0007】
また、好適には、前記制御手段は、前記ホール素子の信号出力から前記交流信号の出力を分離し、分離された前記交流信号の出力をフィードバックする。
【0008】
さらに具体的には、前記制御手段は、帯域通過濾波器、検波回路及び可変利得増幅回路を備え、前記ホール素子の出力は前記帯域通過濾波器を通して前記ホール素子の交流信号の出力として前記検波回路に入力され、前記検波回路の出力が前記可変利得増幅回路を通してフィードバックされる。
【0009】
本発明の他の態様は駆動装置であり、この駆動装置は、駆動磁石と、前記駆動磁石に対向する駆動コイルと、前記駆動コイルと共に位置検出用磁石に対して移動するホール素子と、駆動電流に重畳して所定の交流電流を前記駆動コイルに供給する電流供給手段と、前記所定の交流電流に対応する前記ホール素子の交流信号の出力を一定になるよう制御する制御手段と、を有する。
【0010】
また、本発明の他の態様はレンズ駆動装置又は光学装置であり、このレンズ駆動装置又は光学装置は、駆動磁石と、前記駆動磁石に対向する駆動コイルと、前記駆動磁石又は前記駆動コイルが固定され、レンズを支持するレンズ支持体又は光学素子を支持する光学素子支持体と、前記駆動コイルと共に位置検出用磁石に対して移動するホール素子と、駆動電流に重畳して所定の交流電流を前記駆動コイルに供給する電流供給手段と、前記所定の交流電流に対応する前記ホール素子の交流信号の出力を一定になるよう制御する制御手段と、を有する。
【0011】
本発明の他の態様はカメラ装置であり、このカメラ装置は、上述したレンズ駆動装置を有する。また、さらに他の態様は電子機器であり、この電子機器は、上述したカメラ装置を有する。
【0012】
本発明によれば、駆動コイルには駆動電流及び所定の交流電流が流され、所定の交流電流に対応するホール素子の交流信号の出力が一定となるように制御されるという構成にしたことにより、温度センサを設けたり、複数のホール素子を設けたりしなくても、ホール素子の感度の変化を補正できる。従って、温度特性が良く、小型化を図ることができる位置検出装置、駆動装置、レンズ駆動装置、光学装置、カメラ装置及び電子機器を提供することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るカメラ装置10を示す。
なお、この明細書においては、カメラ装置10の光軸方向をZ方向、光軸方向と直交し、互いに直交する方向をX方向及びY方向という。
【0016】
カメラ装置10は、オートフォーカスユニット12と、このオートフォーカスユニットを駆動する駆動装置14とを有する。駆動装置14は、リンク機構16と、駆動機構18とを有して構成されている。
【0017】
オートフォーカスユニット12は、Z方向から見て正方形の直方体状に形成されている。このオートフォーカスユニット12は、周知のように、内部にレンズユニットを有し、このレンズユニットがZ方向上下でばねに保持され、磁石、コイル、ヨーク等から構成された駆動部によりレンズユニットがZ方向上下に動かされ、レンズユニットのZ方向の位置を調節するようになっている。
【0018】
リンク機構16は、固定体側部材20と、移動体側部材22とを連結する。
固定体側部材20は、四角枠状に形成された基台24を有する。一方、移動体側部材22も同様に四角枠状に形成された移動体保持部26を有する。
【0019】
オートフォーカスユニット12は、該オートフォーカスユニット12の下面外周が移動体保持部26の上面内周に固定されて移動体保持部26に保持される。
【0020】
固定体側部材20は、基台24と一体であるよう外縁部に形成された固定体側突出部28を有する。この固定体側突出部28は、基台24の4つの辺部においてZ方向上方へ突出して形成されている。
【0021】
一方、移動体側部材22は、移動体保持部26と一体であるよう外縁角部に形成された移動体側突出部30を有する。この移動体側突出部30は、移動体保持部26の4隅でX方向及びY方向とは45度をなす方向に突出している。
【0022】
リンク機構16は、光軸を中心とする仮想円の回りに90度間隔で循環配置されている4つの中間リンク32a〜32d、8つの第1能動リンク34a〜34h及び8つの第2能動リンク36a〜36hを有する。
【0023】
4つの中間リンク32a〜32dは、基台24及び移動体保持部26の4つの辺に対応して棒状に形成されている。
【0024】
8つの第1能動リンク34a〜34hは、固定体側部材20の固定体側突出部28と中間リンク32a〜32dとをZ方向で連結している。即ち、2つの第1能動リンク34a,34bは、固定体側部材20の固定体側突出部28の両端において固定体側部材20の固定体側突出部28と中間リンク32aとを連結し、2つの第1能動リンク34c,34dは、固定体側部材20の固定体側突出部28の両端において固定体側部材20の固定体側突出部28と中間リンク32bとを連結し、2つの第1能動リンク34e,34fは、固定体側部材20の固定体側突出部28の両端において固定体側部材20の固定体側突出部28と中間リンク32cとを連結し、2つの第1能動リンク34g,34hは、固定体側部材20の固定体側突出部28の両端において固定体側部材20の固定体側突出部28と中間リンク32dとを連結している。
【0025】
8つの第2能動リンク36a〜36hは、移動体側部材22の移動体側突出部30と中間リンク32a〜32dとをZ方向で連結している。即ち、2つの第2能動リンク36a,36bは、中間リンク32aの両端において移動体側部材22の移動体側突出部30と中間リンク32aとを連結し、2つの第2能動リンク36c,36dは、中間リンク32bの両端において移動体側部材22の移動体側突出部30と中間リンク32bとを連結し、2つの第2能動リンク36e,36fは、中間リンク32cの両端において移動体側部材22の移動体側突出部30と中間リンク32cとを連結し、2つの第1能動リンク36g,36hは、中間リンク32dの両端において移動体側部材22の移動体側突出部30と中間リンク32dとを連結している。
【0026】
移動体側部材22は、固定体側部材20に対して予め定められた間隔がZ方向に空くようにリンク機構16を介して支持されている。また、各第1能動リンク34a〜34hと各第2能動リンク36a〜36hの長さは等しくなるように設定されている。
【0027】
図2において第1能動リンク34h及び第2能動リンク36hを代表として示すように、第1能動リンク34a〜34h及び第2能動リンク36a〜36hは、固定体側部材20又は移動体側部材22に接続される第1接続部38、中間リンク32a〜32dに接続される第2接続部40、及び第1接続部38と第2接続部40とを連結する連結部42とから構成されている。連結部42は円柱状であるが、第1接続部38及び第2接続部40は、両側の面が切り欠かれており、連結部42よりも薄く形成されている。このため、切り欠かれた方向へは容易に揺動するが、切り欠かれた方向と直交する方向には揺動困難となる。即ち、第1能動リンク34a〜34h及び第2能動リンク36a〜36hは、それぞれ移動容易軸と移動困難軸とを有する。即ち、第1接続部38及び第2接続部40は、移動困難軸方向よりも移動容易軸方向において薄く形成されている。
【0028】
第1能動リンク34a,34b,34e,34fは、X方向が移動容易軸で、Y方向が移動困難軸である。第1能動リンク34c,34d,34g,34hは、X方向が移動困難軸で、Y方向が移動容易軸である。第2能動リンク36a,36b,36e,36fは、X方向が移動困難軸で、Y方向が移動容易軸である。第2能動リンク36c,36d,36g,36hは、X方向が移動容易軸で、Y方向が移動困難軸である。
【0029】
したがって、隣り合う中間リンク、例えば中間リンク32aと中間リンク32bに接続される第1能動リンク34a,34bと第1能動リンク34c,34dとは、移動容易軸及び移動困難軸がそれぞれ直交する。第2能動リンク36a〜36hも同様であり、例えば中間リンク32aと中間リンク32bに接続される第2能動リンク36a,36bと第2能動リンク36c,36dとは、移動容易軸及び移動困難軸がそれぞれ直交する。
【0030】
一方、同じ中間リンク、例えば中間リンク32aに接続される第1能動リンク34a,34bと第2能動リンク36a,36bとは、移動容易軸及び移動困難軸がそれぞれ直交する。また、例えば、第1能動リンク34a、34bの移動容易軸と、第1能動リンク34a、34bが接続される中間リンク32aとは隣り合う中間リンク32bに接続される第2能動リンク36c、36dの移動容易軸は互いに平行である。
【0031】
駆動機構18は、駆動磁石44と駆動コイル46とを有する。駆動磁石44は位置検出用磁石を兼ねる。構成要素として駆動磁石44と駆動コイル46とは対となっており、上述したリンク機構16に対応して4組設けられている。駆動磁石44は、
図3に示すように、板状に形成された2枚の磁石片44a,44bを重ねて構成されている。一方の磁石片44a(又は44b)は+Z方向に磁化され、他方の磁石片44b(又は44a)は−Z方向に磁化されている。磁石44は、中間リンク32a〜32dの下面に取り付けられており、中間リンク32a〜32dと固定体側部材20との間に配置されている。また、それぞれの駆動磁石44は、同じ中間リンク、例えば中間リンク32aにおいて、第1能動リンク34a,34bの間及び第2能動リンク36a,36bの間に配置されている。
【0032】
駆動コイル46は、前述した固定体側突出部28の上面に固定されている。このコイル46は、
図3にも示すように、2つの平行した直線部分と、この直線部分を接続する半円部分とから構成され、該駆動コイル46の直線部分が駆動磁石44の下面に対向している。
【0033】
固定体側突出部28の側面にはヨーク挿入用孔50が長手方向に形成されている。このヨーク挿入孔50には、磁性体からなるヨーク52が挿入固定されている。したがって、磁石44からの磁力線は、コイル46を通り、ヨーク52を介して再びコイル46を通り、磁石44へ戻る。
【0034】
ヨーク52は、駆動磁石44から駆動コイル46への印加磁界を強めるとともに、中間リンク32a〜32dを吸引して、四角枠状に繋がった基台24の中心を光軸の中心に維持する。
【0035】
駆動コイル46の内周には、ホール素子54が取り付けられている。ホール素子54は、X方向、Y方向にそれぞれ1つ設けられている。ただし、X方向、Y方向にそれぞれ2つ設けて2つのホール素子54の出力の平均をとるようにしてもよい。
【0036】
上記構成において、例えばX方向に配置された駆動コイル46に直流駆動電流を流すと、駆動磁石44にはX方向への電磁力(ローレンツ力)が作用し、中間リンク32a,32cをX方向へ動かす。中間リンク32a,32cがX方向へ動くと、X方向に移動困難軸を有する第2能動リンク36a,36b,36e,36fを介して移動体側部材22及びオートフォーカスユニット12をX方向へ動かす。移動体側部材22のX方向の位置は、X方向に設けたホール素子54により検出される。
【0037】
中間リンク32a,32cがX方向へ動くと、第1能動リンク34a,34b,34e,34fはX方向に移動容易軸があるので、単に揺動するだけであり、固定体側部材20に影響を与えない。また、移動体側部材22がX方向へ動くと、第2能動リンク36c,36d,36g,36hはX方向に移動容易軸があるので揺動するが、第1能動リンク34c,34d,34g,34hはX方向に移動困難軸があるので、中間リンク32b,32dはX方向及びY方向共に動かない。したがって、中間リンク32a,32cの動きに対して中間リンク32b,32dは影響を受けない(干渉されない)。
【0038】
一方、Y方向に配置された駆動コイル46に直流駆動電流を流すと、駆動磁石44にはY方向への電磁力が作用し、中間リンク32b,32dをY方向へ動かす。中間リンク32b,32dがY方向へ動くと、X方向に移動困難軸を有する第2能動リンク36c,36d,36g,36hを介して移動体側部材22及びオートフォーカスユニット12をY方向へ動かす。移動体側部材22のY方向の位置は、Y方向に設けたホール素子54により検出される。
【0039】
中間リンク32b,32dがY方向へ動くと、第1能動リンク34c,34d,34g,34hはY方向に移動容易軸があるので、単に揺動するだけであり、固定体側部材20に影響を与えない。また、移動体側部材22がY方向へ動くと、第2能動リンク36a,36b,36e,36fはY方向に移動容易軸があるので揺動するが、第1能動リンク34a,34b,34e,34fはY方向に移動困難軸があるので、中間リンク32a,32cはX方向及びY方向共に動かない。したがって、中間リンク32b,32dの動きに対して中間リンク32a,32cは影響を受けない(干渉されない)。
【0040】
以上のように、移動体側部材22をX方向又はY方向へ動かす場合、X方向又はY方向へ直進運動のみの移動をして、Y方向又はX方向の移動を阻止するので、移動体側部材22が回転するのを防止することができる。このため、ホール素子54は、クロストークや回転振動の検知することが無くなる。
【0041】
この実施形態においては、
図3に示すように、ホール素子54は駆動コイル46に近接して配置され、実際には駆動コイル46の巻線内部に配置されている。また、ホール素子54は駆動磁石44を兼ねる位置検出用磁石と対向している。駆動コイル46には、駆動電流の他に所定の交流電流が重畳して流される。この交流電流は、予め定められた固定の周波数と振幅とを有する。駆動電流及びこの交流電流によって駆動コイル46の周囲には駆動磁界及び交流磁界が生成される。従って、ホール素子54には、駆動磁石44を兼ねる位置検出用磁石の磁界、駆動電流による磁界及び所定の交流電流による磁界が作用する。即ち、ホール素子54からは、位置検出用磁石の磁界による位置信号の他に駆動磁界及び交流磁界による駆動信号及び交流信号が出力される。
【0042】
図4は、ホール素子54を有する位置検出装置56の第1実施形態を示すブロック図である。
【0043】
駆動制御回路58は、駆動入力信号と交流入力信号とを駆動回路60に入力する。駆動回路60は、駆動制御回路58からの駆動入力信号と交流入力信号とに基づいて駆動電流に所定の交流電流を重畳して駆動コイル46に流す。駆動電流に交流電流を重畳して駆動コイル46に流すと、駆動磁界と交流磁界とがホール素子54に作用する。
【0044】
ホール素子54は、バイアス電流入力端子Hbとホール電圧出力端子Hoとを有する。ホール素子54に駆動磁界と交流磁界とが作用すると、ホール電圧端子Ho間には、駆動磁界に対応した駆動出力電圧と交流磁界に対応した交流出力電圧が生じる。また、位置検出用磁石の磁界に対応した位置出力電圧が生じる。
【0045】
ホール素子54の出力側にはオペアンプ62と抵抗64とからなる増幅器66が接続されている。この増幅器66により、ホール素子54からの駆動出力電圧と交流出力電圧は増幅され、駆動信号及び交流信号となる。また、位置出力電圧は位置信号となる。
【0046】
増幅器66の出力側には、帯域通過濾過器(バンドパスフィルタ)68と低域通過濾過器(ローパスフィルタ)70とが分かれて接続されている。帯域通過濾過器68は、予め定められた帯域の周波数を有する信号のみを通過させるもので、ここでは交流信号のみを通過させるようになっている。一方、低域通過濾過器70は、低域の周波数を有する信号のみを通過させるもので、ここでは、駆動信号及び位置信号のみを通過させるようになっている。
【0047】
なお、駆動信号や位置信号は、完全な直流ではなく、数百ヘルツの周波数成分を有する場合がある。重畳させる交流電流はこれ(駆動信号や位置信号の周波数)よりも高域側に離間した高周波帯域とする方が確実に分離することができるので好ましい。また、位置検出用磁石を搭載している移動体側部材22がこの交流電流に追随して移動しないためにも、これよりも高域側に離間した高周波帯域とすることが好ましい。また、駆動信号は位置信号に比べて非常に小さいので、低域通過濾過器70を通過した駆動信号が位置信号に与える影響は小さく、実質的には位置信号となる。
【0048】
検波回路72は、帯域通過濾過器68から出力された交流信号が入力される。この検波回路72は、基準電圧が印加され、この基準電圧に基づいて交流信号の振幅に対応した電流値を持つ直流電流に変換する。
【0049】
可変利得増幅回路74は、例えばオペアンプ76と抵抗78とを有し、検波回路72から出力された直流電流の利得を調整して増幅(減幅を含む)させる。この可変利得増幅回路74で利得が調整された直流電流がホール素子54のバイアス電流としてフィードバックされる。
【0050】
即ち、「ホール素子入力−ホール素子出力−帯域通過濾波器68−検波回路72−可変利得増幅回路74−ホール素子入力」の閉ループを構成し、検波回路72に入力される交流信号の振幅を基準電圧に基づいて一定に保つように可変利得増幅回路74によって増減し、ホール素子54に供給されるバイアス電流値を増減させる。
【0051】
上記構成において、移動体側部材22を移動させたり、移動体側部材22の移動を修正したりするために、駆動コイル46は通電量が増減もしくは断続されて発熱や放熱を繰り返し、駆動コイル46の近傍は局所的な昇降温が生じる。このため、ホール素子54が温度変動し、対磁界感度が変化しようとする。
【0052】
しかしながら、前述したように、交流信号が一定となるように、ホール素子54のバイアス電流にフィードバックして自動利得制御がなされるので、印加される固定値である交流磁界に対するホール素子54の対磁界感度が一定に維持されるとともに、駆動磁石44(位置検出用磁石)の移動に対する対磁界感度も一定に維持される。
【0053】
即ち、ホール素子54の感度が低下した場合には、バイアス電流が増加されて検出感度が上げられて一定に維持される。一方、ホール素子54の感度が増大した場合には、バイアス電流が抑制されて検出感度が下げられて一定に維持される。その結果、ホール素子54の感度の増減に伴う駆動コイル46−駆動磁石44間の相対的移動量の過不足が補われ、正確な位置に移動させることができる。
【0054】
図5は、ホール素子54を有する位置検出装置56の第2実施形態を示すブロック図である。
【0055】
この第2実施形態においては、ホール素子54に印加されるバイアス電流又はバイアス電圧は、例えばオペアンプ80及び抵抗82により、一定に保たれるようになっている。また、可変利得増幅回路74は、ホール素子54の出力側に接続されている。
【0056】
可変利得増幅回路74から出力された位置信号、駆動信号と交流信号とは、前述した第1実施形態と同様に、帯域通過濾過器68と低域通過濾過器70によって分かれて通過するようにしてある。また、帯域通過濾過器68を通過した交流信号は検波回路72を介して可変利得増幅回路74にフィードバックされる。可変利得増幅回路74は、フィードバックされた交流信号に基づいて交流出力信号が一定となるように利得を調整する。また、位置信号と駆動信号は低域通過濾過器70を通過し、同様に実質的に位置信号となる。
【0057】
なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一部分については、
図5に同一の番号を付して説明を省略する。
【0058】
なお、この明細書では、カメラ装置10に用いられる位置検出装置56について説明したが、本発明は、他の装置にも適用することができる。例えば上述した位置検出装置56と駆動機構18と、を備えた駆動装置14に適用することができる。このような駆動装置14を備えたカメラ装置10は手振れ補正をすることができる。その上、温度特性が良く、小型化を図ることができる。
また、駆動磁石44が位置検出用磁石を兼ねていたが、別々に設けても良い。また、オートフォーカスユニット12の内部に位置検出装置56を適用しても良い。その場合、駆動磁石44と、駆動磁石44に対向する駆動コイル46と、駆動磁石44又は駆動コイル46が固定され、レンズを支持するレンズ支持体と、を有するレンズ駆動装置である。このレンズ駆動装置は、駆動コイル46と共に位置検出用磁石に対して移動するホール素子54と、駆動電流に重畳して所定の交流電流を駆動コイル46に供給する電流供給手段と、所定の交流電流に対応するホール素子54の交流信号を一定になるよう制御する制御手段と、を有する。このレンズ駆動装置はレンズ支持体の光軸方向の位置を正確に素早く調整することができる。その上、温度特性が良く、小型化を図ることができる。
また、カメラ装置10以外、例えば光が反射、屈折、透過等通過する光学素子を備えた光学装置に適用できる。さらに本発明は、携帯電話やスマートフォン等の電子機器に適用できる。