【解決手段】電力供給源に接続される外部電源コネクタと、複数の外部信号コネクタとを樹脂材料によって一体成形した樹脂カバーと、少なくとも演算装置を実装した制御基板と、少なくともインバータ回路と、複数の電解コンデンサとを実装したパワー基板と、制御基板が発生する熱と、パワー基板が発生する熱とを放熱するヒートシンクとを備え、モータを制御するモータ制御装置であって、モータ制御装置は、モータに電気的に接続され、樹脂カバーと制御基板とパワー基板とヒートシンクとは、モータの軸方向にモータの側から、パワー基板、ヒートシンク、制御基板、樹脂カバーの順に配列され、複数の電解コンデンサは、パワー基板のうちのモータの側の面に実装され、パワー基板は、モータのハウジングによって覆われている、モータ制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、モータ制御装置および電動パワーステアリング装置の例について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
<電動パワーステアリング装置の構成>
図1に、電動パワーステアリング装置の概要図を示す。電動パワーステアリング装置1は、自動車等の輸送機器において、運転者のハンドル操作を補助する装置である。本実施形態の電動パワーステアリング装置1は、トルクセンサ94、モータ200、およびモータ制御装置300を有する。
【0011】
トルクセンサ94は、ステアリングシャフト92に取り付けられている。運転者がステアリングホイール(以下「ハンドル」ともいう)91を操作してステアリングシャフト92を回転させると、トルクセンサ94は、ステアリングシャフト92にかかるトルクを検出する。つまり、トルクセンサ94は、ハンドル操作によるトルクを検出する。トルクセンサ94の検出信号であるトルク信号は、トルクセンサ94からモータ制御装置300へ出力される。モータ制御装置300は、トルクセンサ94から入力されるトルク信号に基づいて、モータ200を駆動させる。なお、モータ制御装置300は、トルク信号だけではなく、他の情報(例えば車速など)を併せて参照していてもよい。
【0012】
モータ制御装置300は、電力供給源400から得られる電力を利用して、モータ200に駆動電流を供給する。モータ200から生じる駆動力は、ギアボックス500を介して車輪93に伝達される。これにより、車輪93の舵角が変化する。このように、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングシャフト92のトルクを、モータ200により増幅させて、車輪93の舵角を変化させる。したがって、運転者は、軽い力でステアリングホイール91を操作することができる。
【0013】
<モータ制御装置の構成>
続いて、上記の電動パワーステアリング装置1に用いられるモータ制御装置300の構成について説明する。
図2は、モータ制御装置300の構成を示したブロック図である。
図2に示すように、このモータ制御装置300は、マイクロコントローラ等の演算装置31を有する電気回路により構成される。モータ制御装置300は、トルクセンサ94、モータ200、および電力供給源400(
図1参照)と、電気的に接続されている。
【0014】
本実施形態では、電動パワーステアリング装置1のモータ200に、三相同期ブラシレスモータが用いられている。モータ200の駆動時には、モータ制御装置300からモータ200内の複数のコイル21A、21Bに、U相、V相、およびW相の各電流が供給される。そうすると、コイル21A、21Bを有するステータと、マグネットを有するロータとの間に、回転磁界が発生する。その結果、モータ200のステータに対してロータが回転する。
【0015】
また、
図2に示すように、本実施形態のモータ200は、U相、V相、およびW相のコイルで構成されるコイル群を、2組有する。以下では、これらの2組のコイル群を、それぞれ、第1コイル群22Aおよび第2コイル群22Bと称する。第1コイル群22Aの3つのコイル21Aおよび第2コイル群22Bの3つのコイル21Bは、それぞれ、スター結線により接続されている。ただし、第1コイル群22Aおよび第2コイル群22Bは、それぞれ、デルタ結線により接続されていてもよい。
【0016】
モータ制御装置300は、第1コイル群22Aと第2コイル群22Bとに対して、個別に駆動電流を供給する。すなわち、モータ制御装置300は、第1コイル群22Aと第2コイル群22Bとを有するモータ200を制御する。モータ制御装置300は、第1コイル群22Aに対して駆動電流を供給する第1制御系統60Aと、第2コイル群22Bに対して駆動電流を供給する第2制御系統60Bとを有する。
【0017】
第1インバータ駆動回路63Aは、第1インバータ64Aを動作させるための電気回路である。第1インバータ駆動回路63Aは、演算装置31から出力される駆動指示73Aに従って、第1インバータ64Aの6つの第1スイッチング素子68Aに、それぞれパルス波であるPWM信号74Aを供給する。各第1スイッチング素子68Aに供給されるPWM信号74Aは、駆動指示73Aにより指定されたデューティ比を有する。
【0018】
第1インバータ64Aは、PWM信号74Aに基づいて駆動電流75Aを生成する電力変換器である。
図2に示すように、第1インバータ64Aは、6つの第1スイッチング素子68Aを有する。第1スイッチング素子68Aには、例えば、FETなどのトランジスタが用いられる。
図2の例では、電源電圧V1と接地電圧V0との間において、直列に接続された2つの第1スイッチング素子68Aが、並列に3組設けられている。
【0019】
第1コイル群22Aの3つのコイル21Aの各々の一端は、中性点23Aにおいて互いに接続されている。また、3つのコイル21Aの各々の他端は、第1インバータ64Aの3組の第1スイッチング素子68Aの各々の+側の第1スイッチング素子68Aと−側の第1スイッチング素子68Aとの間に、接続されている。6つの第1スイッチング素子68Aが、PWM信号74Aによってオンオフされると、それらのオンオフ状態に応じて、第1インバータ64Aから第1コイル群22Aの各相のコイル21Aへ、駆動電流75Aが供給される。
【0020】
また、
図2に示すように、第1インバータ64Aは、3つの第1シャント抵抗69Aを有する。3つの第1シャント抵抗69Aは、3組の第1スイッチング素子68Aの各々の−側の第1スイッチング素子68Aと、接地電圧V0との間に、介挿されている。第1コイル群22Aへの駆動電流75Aの供給時には、第1コイル群22Aから第1インバータ64Aへ帰還する各相の電流が、3つの第1シャント抵抗69Aにそれぞれ流れる。
【0021】
第1モータ電流遮断回路65Aは、第1インバータ64Aと第1コイル群22Aとの間の3相の各電流の経路上に設けられている。第1モータ電流遮断回路65Aには、例えばメカリレーまたはFETが用いられる。第1モータ電流遮断回路65Aは、演算装置31からの信号に基づいて、電流の経路を、相ごとに通電状態と遮断状態との間で切り替えることができる。
【0022】
第1電流検出回路66Aは、第1シャント抵抗69Aに流れる電流を計測するための電気回路である。第1電流検出回路66Aは、3つの第1シャント抵抗69Aの両端の電位差を計測することによって、各第1シャント抵抗69Aに流れる電流(シャント電流)を示す検出信号76Aを生成する。生成された検出信号76Aは、第1電流検出回路66Aから演算装置31へ送られる。
【0023】
第2制御系統60Bは、第1制御系統60Aと同等の構成を有する。すなわち、
図2に示すように、第2制御系統60Bは、第2インバータ駆動回路63B、第2インバータ64B、第2モータ電流遮断回路65B、および第2電流検出回路66Bを有する。第2制御系統60Bは、これらの各部を動作させることによって、第2コイル群22Bに駆動電流75Bを供給する。なお、第2制御系統60B内の各部の詳細な動作については、上述した第1制御系統60Aと同様であるため、重複説明を省略する。
図2では、第2制御系統60B内の各部間で授受される信号に、第1制御系統60Aの各部間の駆動指示73A、PWM信号74A、駆動電流75A、検出信号76Aに対応する符号73B〜76Bを付している。
【0024】
図3Aは、モータ制御装置300を隔ててモータ200の反対側から見たモータ制御装置300およびモータ200の分解斜視図である。
図3Bは、モータ200を隔ててモータ制御装置300の反対側から見たモータ制御装置300およびモータ200の分解斜視図である。
図3Aおよび
図3Bに示すように、モータ制御装置300は、少なくとも、樹脂カバー10と、制御基板30と、ヒートシンク50と、パワー基板(回路基板)60とを備える。
図4Aは、制御基板30の一方の面(
図3Aおよび
図3Bの上側の面)を示す図である。
図4Bは、制御基板30とパワー基板60との関係を示す図である。
図4Cは、パワー基板60の他方の面(
図3Aおよび
図3Bの下側の面)を示す図である。
【0025】
<パワー基板の形状>
図3A、
図3Bおよび
図4Cに示すように、パワー基板60は、円形のプリント実装基板である。パワー基板60の直径は、モータ200の直径より小さい。詳細には、パワー基板60の直径は、モータ200のハウジング202の内径より小さい。このように構成することにより、モータ制御装置300をモータ200に対してモータ軸方向に組み付けた場合に、パワー基板60が、モータ200のハウジング202内のデットスペースに配置される。その結果、モータ制御装置300がモータ200の径方向にはみ出さず、機電一体型モータ(モータ制御装置300およびモータ200の組立体)を小型化することができる。
【0026】
<パワー基板の上面の部品>
パワー基板60の一方の面(
図3Aおよび
図3Bの上側の面)には、第1インバータ64Aの第1スイッチング素子68A(
図3Aおよび
図3Bには図示せず、
図2参照)および第2インバータ64Bの第2スイッチング素子68B(
図3Aおよび
図3Bには図示せず、
図2参照)、第1信号コネクタ62Aおよび第2信号コネクタ62B、電源端子コネクタ63CPおよびGND端子コネクタ63CGなどが実装される。つまり、パワー基板60は、第1インバータ64A、第2インバータ64B、電源端子コネクタ63CP、GND端子コネクタ63CGなどを備える。
【0027】
<パワー基板上面の実装>
第1スイッチング素子68Aおよび第2スイッチング素子68Bは、リフロー半田でパワー基板60に半田付けされる。
第2信号コネクタ62Bは、複数の第2信号ターミナル62LTBと、第2信号コネクタ位置決め部62LF1Bと、第2信号コネクタ位置決め部62LF2Bとを含む。第2信号ターミナル62LTBは、パワー基板60と制御基板30とを電気的に接続する。第2信号コネクタ位置決め部62LF1B、62LF2Bの下端部は、パワー基板60の位置決め孔に挿入され、スナップフィット接続によってパワー基板60に接続される。第2信号ターミナル62LTBの下端部は、パワー基板60のスルーホールに挿入され、プレスフィット接続によってパワー基板60に電気的に接続される。複数の第2信号ターミナル62LTBは、パワー基板60の外周部に円弧状に配列される。
【0028】
なお、第2信号ターミナル62LTBの下端部は、パワー基板60のスルーホールに挿入されて、パワー基板60の他方の面(
図3Aおよび
図3Bの下側の面)で半田付けされるようにしても良い。
なお、第1信号コネクタ62Aについては、上述した第2信号コネクタ62Bと同様であるため重複説明を省略する。
図3Aでは、第1信号コネクタ62Aの各部の符号に、第2信号コネクタ62Bの各部の符号Bに対応する符号Aを付している。
【0029】
電源端子コネクタ63CPは、パワー基板60と樹脂カバー10の電源端子13TPとを電気的に接続する。
図5Aは、電源端子コネクタ63CPの斜視図である。
図5Bは、電源端子コネクタ63CPの正面図である。
図5Cは、電源端子コネクタターミナル63TPの斜視図である。
図5A、
図5Bおよび
図5Cに示すように、電源端子コネクタ63CPは、金属材料によって形成された電源端子コネクタターミナル63TPと、電気絶縁材料(樹脂材料)によって形成されたカバー部63RPとを備える。電源端子コネクタターミナル63TPは、パワー基板60のスルーホールに挿入され、パワー基板60の他方の面(
図3Aおよび
図3Bの下側の面)で半田付けされる。なお、電源端子コネクタターミナル63TPは、リフロー半田でパワー基板60に半田付けされても良い。
GND端子コネクタ63CGは、パワー基板60と樹脂カバー10のGND端子13TGとを電気的に接続する。
図6Aは、電源端子コネクタ63CP、GND端子コネクタ63CG、電源端子13TPおよびGND端子13TGの斜視図である。
図6Aに示すように、GND端子コネクタ63CGは、電源端子コネクタターミナル63TPと同様に構成されたGND端子コネクタターミナル63TGと、カバー部63RP(
図5Aおよび
図5C参照)と同様に構成されたカバー部とを備える。GND端子コネクタターミナル63TGは、パワー基板60のスルーホールに挿入され、パワー基板60の他方の面(
図3Aおよび
図3Bの下側の面)で半田付けされる。なお、GND端子コネクタターミナル63TGは、リフロー半田でパワー基板60に半田付けされるようにしても良い。
電源端子コネクタ63CPと、GND端子コネクタ63CGは、同一形状であることが好ましい。
【0030】
<端子コネクタの形状>
図5A、
図5Bおよび
図5Cに示すように、電源端子コネクタ63CPは、金属部材である電源端子コネクタターミナル63TPを樹脂材料によって一体成形することにより、形成されている。電源端子コネクタ63CPのカバー部63RPの下面63BP(
図5Aおよび
図5Bの下側の面)は、パワー基板60の上側の実装面(上面)に対向する。カバー部63RPは、概略筒状である。カバー部63RPの内周面と、電源端子コネクタターミナル63TPとの間には、内部空間63SP(隙間)が存在する。
例えば、電源端子コネクタターミナル63TPがパワー基板60に半田付けされる場合、パワー基板60の上面に余剰半田が残る可能性がある。その余剰半田は、電源端子コネクタターミナル63TPの周囲に位置する。
図5Aに示す例では、電源端子コネクタターミナル63TPのうちのパワー基板60に接続される部分(つまり、2本の脚状の部分)と、カバー部63RPとの間には、内部空間63SPが配置されているため、余剰半田を内部空間63SPに収容することができる。その結果、
図5Aに示す例では、電源端子コネクタ63CPの下面63BPと、パワー基板60の実装面と間に余剰半田が存在してしまうおそれを抑制することができ、電源端子コネクタ63CPの下面63BPと、パワー基板60の実装面とを当接させることができる。そのため、電源端子コネクタ63CPをパワー基板60に対して高さ方向に高精度に位置決めして実装することができる。
なお、GND端子コネクタ63CGについては、上述した電源端子コネクタ63CPと同様であるため重複説明を省略する。
【0031】
<パワー基板の下面の部品>
パワー基板60の他方の面(
図3Aおよび
図3Bの下側の面)には、第1スイッチング素子68Aおよび第2スイッチング素子68Bよりも比較的高さのある部品である複数の電解コンデンサ44Dが実装される。また、パワー基板60の他方の面には、第1コイル群22Aの3つのコイル21Aの各々の他端が電気的に接続される3つの第1モータ端子コネクタ61CAが実装される。また、パワー基板60の他方の面には、第2コイル群22Bの3つのコイル21Bの各々の他端が電気的に接続される3つの第2モータ端子コネクタ61CBが実装される。つまり、パワー基板60は、電解コンデンサ44D、第1モータ端子コネクタ61CAおよび第2モータ端子コネクタ61CBを備える。コイルやリレー等の部品が、パワー基板60の他方の面に実装されても良い。
【0032】
<パワー基板の下面の実装>
複数の電解コンデンサ44Dは、リフロー半田でパワー基板60に半田付けされる。
図6Bは、第2モータ端子コネクタ61CBの斜視図である。
図6Bに示すように、第2モータ端子コネクタ61CBは、U相第2モータ端子コネクタ61UCBと、V相第2モータ端子コネクタ61VCBと、W相第2モータ端子コネクタ61WCBとを含む。U相第2モータ端子コネクタ61UCBは、U相第2モータ端子コネクタターミナル61UTBを有する。V相第2モータ端子コネクタ61VCBは、V相第2モータ端子コネクタターミナル61VTBを有する。W相第2モータ端子コネクタ61WCBは、W相第2モータ端子コネクタターミナル61WTBを有する。U相第2モータ端子コネクタターミナル61UTBと、V相第2モータ端子コネクタターミナル61VTBと、W相第2モータ端子コネクタターミナル61WTBとは、パワー基板60のスルーホールに挿入され、パワー基板60の一方の面(
図3Aおよび
図3Bの上側の面)で半田付けされる。なお、第2モータ端子コネクタ61CBは、リフロー半田でパワー基板60に半田付けされても良い。
なお、U相第1モータ端子コネクタ61UCAと、V相第1モータ端子コネクタ61VCAと、W相第1モータ端子コネクタ61WCAとを含む第1モータ端子コネクタ61CAについては、上述した第2モータ端子コネクタ61CBと同様であるため重複説明を省略する。
第1モータ端子コネクタ61CAと、第2モータ端子コネクタ61CBは、同一形状であることが好ましい。さらに、第1モータ端子コネクタ61CAと、第2モータ端子コネクタ61CBは、電源端子コネクタ63CP、GND端子コネクタ63CGと、同一形状であることが好ましい。第1モータ端子コネクタ61CAと、第2モータ端子コネクタ61CBと、電源端子コネクタ63CPと、GND端子コネクタ63CGとで同一部品を流用することによって、モータ制御装置300の全体のコストを抑制することができる。
【0033】
<ヒートシンク形状>
図3Aおよび
図3Bに示すように、ヒートシンク50は、円柱形状であり、例えばアルミニウムのような金属材料によって形成されている。例えば、ヒートシンク50の直径は、モータ200のハウジング202の直径と同等であることが好ましい。ヒートシンク50の直径を小さくすることによって、機電一体型モータを小型化することができる。
【0034】
<ヒートシンク構造>
ヒートシンク50は、2つのフランジ51と、2つの凹部とを備える。2つのフランジ51と、2つの凹部とは、ヒートシンク50の円筒部に形成されている。一方の凹部はOリング54Hと嵌合し、他方の凹部はOリング54Lと嵌合する。フランジ51は、2つの凹部の間、つまり、Oリング54HとOリング54Lとの間に配置されている。
また、ヒートシンク50は、ヒートシンク50の一方の端部(
図3Aおよび
図3Bの上側の端部)と他方の端部(
図3Aおよび
図3Bの下側の端部)とを貫通する孔53P、53G、52A、52Bを備える。
電源端子13TPおよび電源端子コネクタ63CPは、孔53Pを貫通する。GND端子13TGおよびGND端子コネクタ63CGは、孔53Gを貫通する。第1信号コネクタ62Aは、孔52Aを貫通する。第2信号コネクタ62Bは、孔52Bを貫通する。
ヒートシンク50は、パワー基板60を固定する複数の固定部56(
図3B参照)を下面(
図3Aおよび
図3Bの下側の面)に備えている。複数の固定部56は、例えばネジ穴である。
ヒートシンク50の上面(
図3Aおよび
図3Bの上側の面)は、制御基板30を格納するために凹形状に形成されている。
ヒートシンク50は、制御基板30に実装される演算装置31などが発生する熱と、パワー基板60に実装される第1スイッチング素子68Aと、第2スイッチング素子68Bなどが発生する熱とを放熱する。
【0035】
<制御基板の形状>
図3A、
図3Bおよび
図4Aに示すように、制御基板30は、円形のプリント実装基板である。制御基板30の直径をモータ200の直径より小さくすることによって、詳細には、制御基板30がヒートシンク50の上面の凹部に格納されることによって、機電一体型モータを小型化することができる。
制御基板30は、電源端子切り込み部33Pと、GND端子切り込み部33Gとを備える。
図3Bおよび
図4Bに示すように、GND端子13TGおよびGND端子コネクタ63CGは、GND端子切り込み部33Gを貫通する。同様に、電源端子13TPおよび電源端子コネクタ63CPは、電源端子切り込み部33Pを貫通する。
電源端子切り込み部33Pは、電源端子13TPおよび電源端子コネクタ63CPと嵌合するために、電源端子13TPおよび電源端子コネクタ63CPよりも大きくされている。また、GND端子切り込み部33Gは、GND端子13TGおよびGND端子コネクタ63CGと嵌合するために、GND端子13TGおよびGND端子コネクタ63CGよりも大きくされている。
一方、電源端子13TPと、制御基板30とは、電源端子コネクタ63CPのカバー部63RPによって絶縁されている。また、GND端子13TGと、制御基板30とは、GND端子コネクタ63CGのカバー部によって絶縁されている。
そのため、電源端子切り込み部33PおよびGND端子切り込み部33Gをできるだけ小さくすることによって、制御基板30の部品実装面積を大きくすることができ、部品実装効率を向上させることができる。
【0036】
<制御基板の部品>
制御基板30には、少なくとも演算装置31(
図2参照)が実装される。演算装置31は、例えばMCU(Micro Control Unit)といった1チップのコンピュータである。
【0037】
<制御基板の実装>
演算装置31は、リフロー半田で制御基板30に半田付けされる。
【0038】
<樹脂カバーの形状>
図3Aおよび
図3Bに示すように、樹脂カバー10は、円筒形状である。詳細には、樹脂カバー10は、円筒部の一方の端部(
図3Aおよび
図3Bの上側の端部)が塞がれ、他方の端部(
図3Aおよび
図3Bの下側の端部)が開口している形状である。
【0039】
<樹脂カバーの構造>
樹脂カバー10は、外部電源コネクタ14Cと、外部信号コネクタ12Cと、2つのフランジ11と、金属補強部15と、金属材料によって形成された電源端子13TPおよびGND端子13TGと、金属材料によって形成された外部信号ターミナル12Tとを備える。外部電源コネクタ14Cは、電源端子13TPとGND端子13TGとに接続されている。外部電源コネクタ14Cには、電力供給源400(
図1参照)が電気的に接続される。外部信号コネクタ12Cは、外部信号ターミナル12Tに接続されている。外部信号コネクタ12Cには、例えばトルクセンサ94(
図1参照)からのトルク信号、他の制御装置との通信信号などのような外部信号が入力される。外部電源コネクタ14Cおよび外部信号コネクタ12Cは、円筒形状の樹脂カバー10の一方の端部に配置されている。
2つのフランジ11は、樹脂カバー10の円筒部に配置されている。フランジ11は、例えばネジを収容する穴を有する。金属補強部15は、金属材料によって形成されている。金属補強部15は、樹脂材料によって形成された樹脂カバー10の円筒部を補強する。樹脂カバー10は、電源端子13TPとGND端子13TGとを有する外部電源コネクタ14Cと、外部信号ターミナル12Tを有する外部信号コネクタ12Cとを樹脂材料によって一体成形することにより、形成されている。
【0040】
<パワー基板の上面とヒートシンクの接続>
図3Aおよび
図3Bに示すように、パワー基板60とヒートシンク50とが固定される場合には、パワー基板60に実装された第1信号コネクタ62Aが、ヒートシンク50の孔52Aを貫通させられ、第2信号コネクタ62Bが孔52Bを貫通させられ、電源端子コネクタ63CPが孔53Pを貫通させられ、GND端子コネクタ63CGが孔53Gを貫通させられる。ヒートシンク50の4つの固定部56によって、パワー基板60は、ヒートシンク50に固定される。
電源端子コネクタ63CPの電源端子コネクタターミナル63TPと、ヒートシンク50の孔53Pの内周面とは、それらの間に配置された電源端子コネクタ63CPのカバー部63RPによって絶縁される。また、GND端子コネクタ63CGのGND端子コネクタターミナル63TGと、ヒートシンク50の孔53Gの内周面とは、それらの間に配置されたGND端子コネクタ63CGのカバー部によって絶縁されている。
第1信号コネクタ62Aは、金属材料によって形成された第1信号ターミナル62LTAと、樹脂材料によって形成されたカバー部とを有する。第1信号コネクタ62Aの第1信号ターミナル62LTAと、ヒートシンク50とは、第1信号コネクタ62Aのカバー部によって絶縁される。
第2信号コネクタ62Bは、金属材料によって形成された第2信号ターミナル62LTBと、樹脂材料によって形成されたカバー部とを有する。第2信号コネクタ62Bの第2信号ターミナル62LTBと、ヒートシンク50とは、第2信号コネクタ62Bのカバー部によって絶縁される。
【0041】
<パワー基板の上面とヒートシンクの放熱>
上述したように、パワー基板60の上面には、第1スイッチング素子68Aと、第2スイッチング素子68Bとが実装される。また、パワー基板60の上面は、電気絶縁性の熱伝導部材(図示せず)を介してヒートシンク50と熱的に接続されている。電気絶縁性の熱伝導部材は、例えば放熱グリス、放熱シートなどである。
【0042】
<パワー基板と制御基板の接続>
図3A、
図3B、
図4Aおよび
図4Bに示すように、第2信号コネクタ位置決め部62LF1B、62LF2Bの上端部は、制御基板30の位置決め孔に挿入され、スナップフィット接続によって制御基板30に接続される。第2信号ターミナル62LTBの上端部は、制御基板30のスルーホールに挿入され、プレスフィット接続によって制御基板30に電気的に接続される。第2信号ターミナル62LTBによって、パワー基板60と制御基板30とが電気的に接続される。
【0043】
なお、第2信号ターミナル62LTBの上端部は、制御基板30のスルーホールに挿入されて、制御基板30の上面(
図4Bの上側の面)で半田付けされるようにしても良い。
なお、第1信号コネクタ62Aについては、上述した第2信号コネクタ62Bと同様であるため重複説明を省略する。
【0044】
<制御基板と信号端子の接続・カバーの接続>
図3Bに示すように、樹脂カバー10の外部信号ターミナル12Tの下端部は、制御基板30のスルーホールに挿入され、スナップフィット接続によって制御基板30に電気的に接続される。
樹脂カバー10の電源端子13TPは、制御基板30の電源端子切り込み部33Pを貫通させられ、プレスフィット接続によって電源端子コネクタ63CPに電気的に接続される。
樹脂カバー10のGND端子13TGは、制御基板30のGND端子切り込み部33Gを貫通させられ、プレスフィット接続によってGND端子コネクタ63CGに電気的に接続される。
【0045】
<制御装置とモータへの固定>
図3Aおよび
図3Bに示すように、樹脂カバー10と、制御基板30と、ヒートシンク50と、パワー基板60とを接続することによって、モータ制御装置300は形成される。第1モータ端子コネクタ61CAおよび第2モータ端子コネクタ61CBは、モータ制御装置300の下部(
図3Aおよび
図3Bの下側の部分)に配置される。
第2モータ端子コネクタ61CBは、プレスフィット接続によって、U相第2モータ端子261UTBとV相第2モータ端子261VTBとW相第2モータ端子261WTBとを有する第2モータ端子261TBに電気的に接続される。第2モータ端子261TBは、モータ200のコイル21Bに接続されている。つまり、モータ制御装置300は、モータ200に電気的に接続される。
なお、第1モータ端子コネクタ61CAについては、上述した第2モータ端子コネクタ61CBと同様であるため重複説明を省略する。
モータ制御装置300とモータ200とが接続されると、樹脂カバー10の2つのフランジ11と、ヒートシンク50の2つのフランジ51と、モータ200の2つのフランジ201とは、2つの固定部材(図示せず)で共締めされる。固定部材は、例えばネジである。
【0046】
<防水>
図3Aおよび
図3Bに示すように、モータ制御装置300のヒートシンク50とモータ200との隙間は、ヒートシンク50のOリング54Lによってシールされる。
樹脂カバー10とヒートシンク50との隙間は、ヒートシンク50のOリング54Hによってシールされる。金属補強部15によって樹脂カバー10の円筒部を補強することにより、樹脂カバー10の円筒部の変形が抑制され、シール性を向上させることができる。
このように機電一体型モータの防水構造では、樹脂カバー10とヒートシンク50との隙間、および、ヒートシンク50とモータ200との隙間がシールされる。
【0047】
図3Aおよび
図3Bに示すように、樹脂カバー10と制御基板30とパワー基板60とヒートシンク50とは、モータ200の軸方向(
図3Aおよび
図3Bの上下方向)にモータ200の側(
図3Aおよび
図3Bの下側)から、パワー基板60、ヒートシンク50、制御基板30、樹脂カバー10の順に配列される。また、
図3Bに示すように、複数の電解コンデンサ44Dは、パワー基板60のうちのモータ200の側(
図3Bの下側)の面に実装される。また、パワー基板60は、モータ200のハウジング202によって覆われている。そのため、本実施形態のモータ制御装置300によれば、モータ200のコイルに接続された第2モータ端子261TBとの干渉を避けるための切り欠きを制御基板30に形成する必要性を排除することによって制御基板30の部品実装効率を向上させることができる。また、制御基板30とパワー基板60とでヒートシンク50を兼用することができる。また、高さ寸法が大きい電解コンデンサ44Dをモータ200のハウジング202内のデットスペースに配置することができる。その結果、モータ制御装置300およびモータ200の組立体全体を小型化することができる。
【0048】
上述したように、樹脂カバー10の電源端子13TPと、パワー基板60の電源端子コネクタ63CPとが、プレスフィット接続によって接続される。また、
図3Aおよび
図3Bに示すように、ヒートシンク50には孔53Pが形成され、制御基板30には電源端子切り込み部33Pが形成されている。そのため、本実施形態のモータ制御装置300によれば、樹脂カバー10と制御基板30とヒートシンク50とパワー基板60とモータ200との組立性を向上させることができる。
【0049】
上述したように、電源端子コネクタ63CPの電源端子コネクタターミナル63TPと、ヒートシンク50の孔53Pの内周面とは、それらの間に配置された電源端子コネクタ63CPのカバー部63RPによって絶縁される。そのため、本実施形態のモータ制御装置300によれば、カバー部63RPによって電源端子コネクタターミナル63TPとヒートシンク50との短絡を抑制することができる。
【0050】
上述したように、複数の第2信号ターミナル62LTBは、パワー基板60の外周部に円弧状に配列される。同様に、複数の第1信号ターミナル62LTAは、パワー基板60の外周部に円弧状に配列される。そのため、本実施形態のモータ制御装置300によれば、パワー基板60のうちの第1信号ターミナル62LTAおよび第2信号ターミナル62LTBよりも内側の部分に他の部品を効率的に実装することができ、パワー基板60の部品実装効率を向上させることができる。具体的には、円盤状のパワー基板60に対して、第1信号ターミナル62LTAおよび第2信号ターミナル62LTBを円弧状に配置するため、第1信号ターミナル62LTAおよび第2信号ターミナル62LTBよりも内側の基板面積を有効活用でき、他の部品を効率的に実装することができる。