【解決手段】三相電流を供給するためDC電圧源に接続されるインバータは、容量性フィルタと、電流の各相に対して、制御されたスイッチの2つのセットにより形成されるスイッチングモード電力供給回路を有するスイッチングセルを有する。各セットは、スイッチングセルの別個の端子を供給し、スイッチングセルは、スイッチングモード電力供給回路を収容する密閉ハウジングを有する。ハウジングには、2つの反対側表面上に伝熱流体との熱交換手段が設けられ、ディストリビュータは、伝熱流体循環回路においてハウジングの上流に搭載されて伝熱流体をハウジングの2つの反対側表面に誘導する。容量性フィルタは、ヒートパイプを使用して冷却され、ヒートパイプの流体の凝結が起こる部分は、ディストリビュータと熱接触する。
前記容量性フィルタ(48)は、前記容量性フィルタ(48)と前記ディストリビュータ(60)との間に平行に延伸する複数のヒートポンプ(92、94、96、98)により冷却される、ことを特徴とする請求項1に記載のインバータ。
前記ディストリビュータ(60)と熱接触するそれぞれのヒートポンプ(92、94、96、98)の前記部分は、前記容量性フィルタ(48)と反対側の前記ヒートポンプの端部(92b、94b、96b、98b)である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のインバータ。
前記ディストリビュータ(60)と熱接触するそれぞれのヒートポンプ(92、94、96、98)の前記部分(92b、94b、96b、98b)は、前記ディストリビュータの外部表面(61a)上に接着剤で接着、または溶接される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインバータ。
前記ハウジング(461)は、前記ハウジング(461)の反対側表面(461A、461B)のそれぞれの上に、伝熱流体循環チャネル(46A、46B)を画定する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインバータ。
前記ハウジング(461)のそれぞれの部分(4621、4641、4661)は、前記伝熱流体循環チャネル(46A、46B)のそれぞれの部分(4623A、4623B)を画定し、前記スイッチングセルが前記3つのモジュール(462、464、466)のアセンブリから構成される場合、前記パイプの部分は、整列されて流体連通する、ことを特徴とする請求項5および6に記載のインバータ。
前記容量性フィルタ(48)は、バスバーを介して前記スイッチングセル(46)に接続される少なくとも1つのコンデンサ(482)を有し、少なくとも1つのヒートパイプ(92、94、96、98)は、前記容量性フィルタと直接または間接的に熱接触、すなわち、前記バスバーのプレートまたは要素と接触し、順に前記容量性フィルタと接触し、前記ヒートパイプは、前記ディストリビュータ(60)と接触する、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のインバータ。
【背景技術】
【0003】
このタイプの適用に対しては、蓄電池から出力されるDC電流を三相AC電流に変換する必要があり、そのためにインバータが使用される。一般に、当該インバータは、スイッチングモード電力供給回路を含むスイッチングセルを含み、このスイッチングセルは、制御回路により制御される。従来、スイッチングセルはHハーフブリッジを含み、それぞれのハーフブリッジは、2つのスイッチから構成される。スイッチングセルは、相対的に嵩が大きく、一方側のみに冷却ラジエータが備えられる。したがって、これらのスイッチングセルは、ラジエータのない側の熱を、電子制御カードに向けて放出する傾向がある。スイッチングセルの電子構成要素の冷却は相対的に制限されるので、表面が大きいほど、ラジエータとの接触表面が大きく、排熱もより良好であるという仮説に基づくと、それらの構成要素の寸法を増大しなければならない。これは、スイッチングセルの寸法を、したがって当該セルに含まれるインバータの寸法を増大する傾向がある。他のスイッチングセルは両面冷却を提供するが、これはしばしば最適ではないことがあり、ラジエータとの接触表面を増大するためには、やはり構成要素の寸法を増大しなくてはならない。
【0004】
更に、インバータは、一般に、電圧振動をフィルタ処理するために、インバータの入力端子の間に、スイッチングセルと平行に配置される1つまたは複数のコンデンサを含む容量性フィルタ(capacitive filter)を含む。当該容量性フィルタのコンデンサは、より特別には、インバータから出力される線電流の二乗平均平方根(root mean square;RMS)を考慮してサイズが決められる。例えば、RMSが500アンペア(A)の線電流を切り替えるインバータに対しては、コンデンサは、この値の65%の電流、またはRMSが325Aの電流の通過を可能にしなければならない。その結果、容量性フィルタのコンデンサの嵩は大きくなる。
【0005】
これらの理由すべてのため、RMS 500Aの線電流を切り替えることを可能にするインバータは、一般に6から8リットルの間の体積を占める。
【0006】
しかしながら、自動車においては、特にハイブリッド車両のエンジンコンパートメントにおいては、スペースは限られる。
【0007】
更に、文献において、特に、非特許文献1においては、インバータのスイッチングセルを、それぞれの相に対して、インバータの2つの入力端子間で平行に接続され、2つのAC電流を同時に、モータのそれぞれの相上で出力することを可能にする、制御されたスイッチの2つのセットを交錯させる(interlacing)ことにより作製することが周知である。
【0008】
更に、特許文献1は、2つのモータに同時に(in parallel)電力を供給したり、モータを2つの反対方向に作動させる可能性を有してモータに電力を供給することを可能にする、交互に差し挟まれた(interleaved)スイッチのセットを含むスイッチングセルを有するインバータを開示する。特許文献1は、インバータのサイズについては関心を示さない。
【0009】
最後に、特許文献2から、特にコンデンサをインバータ内に含む半導体モジュールの厚さの伝熱流体循環パイプを製造することが周知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、容量性フィルタの体積を削減することを可能にし、熱を帯びる傾向があるインバータのパーツの冷却が特に効率的に行われ、それにより容量性フィルタの体積を更に削減することを可能にするスイッチングセルの構造により、周知のインバータの小型化を、電気構成要素のサイズが改良された新しいインバータ構造を提案することにより改良することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
その目的のため、本発明は、電気負荷に三相電流を供給するために、DC電圧源に電気的に接続されるよう意図されるインバータに関し、このインバータは、電流のそれぞれの相に対して、制御されたスイッチの2つのセットにより形成されるスイッチングモード電力供給回路(switching mode power supply circuit)を順に(in turn)有するスイッチングセルであって、制御されたスイッチのそれぞれのセットは、スイッチングセルの別個の端子を供給し、このスイッチングセルは、スイッチングモード電力供給回路を収容する(containing)密閉ハウジングを有する、スイッチングセルを有する。このインバータはまた、容量性フィルタも有する。本発明によれば、ハウジングは、2つの反対側表面上に、伝熱流体(a heat transfer fluid)との熱交換手段が設けられる。ディストリビュータは、伝熱流体循環回路においてハウジングの上流に搭載されて、ハウジングの2つの反対側表面に向けて伝熱流体を誘導する。更に、容量性フィルタは、少なくとも1つのヒートパイプを使用して冷却され、一方、このヒートパイプの、ヒートパイプに収容される流体の凝結が起こる部分は、ディストリビュータと熱接触する。
【0014】
本発明により、それぞれの相に対して、制御されたスイッチの2つの交互に差し挟まれたセットを有するスイッチングセルの構造は、スイッチングセルの出力電流のRMSを制限し、それにより、容量性フィルタに対して、1つまたは複数のより嵩の小さいコンデンサを使用することが可能となる。スイッチングセルのハウジングは、熱交換手段により、その反対側の両方の表面上において冷却できるので、このスイッチングセルの冷却はより効果的で、熱を拡散するために大きなシリコン表面を必要としない。1つまたは複数のヒートパイプの使用により、インバータの入力において伝熱流体は相対的に低い温度を有するため、このヒートパイプに収容される流体の効果的な凝結を可能にするという事実を利用して、容量性フィルタの、特に信頼性のある効果的な冷却が可能になる。これらを組み合わせたすべての理由のため、本発明のインバータは、最適化された電気的および熱的動作を有し、それにより、RMSが600AであるDC線電流を出力するインバータに関して、周知の装置よりも実質的に小さな体積、すなわち、3リットルよりも小さく、実際は、約2リットルの体積に含まれることができる。
【0015】
本発明の、利点のある、しかしオプションとしての態様によれば、上記インバータは、任意の技術的に可能な組み合わせにおいて考慮される、下記の
−容量性フィルタは、容量性フィルタとディストリビュータとの間に平行に延伸する複数のヒートポンプ(パイプ)により冷却され、
−ディストリビュータと熱接触するそれぞれのヒートポンプの部分は、容量性フィルタと反対側のヒートポンプの端部であり、
−ディストリビュータと熱接触するそれぞれのヒートポンプの部分は、ディストリビュータの外部表面上に接着剤で接着または溶接され、
−スイッチングセルは3つのモジュールに分割され、それぞれのモジュールは、2つの入力端子と、2つの出力端子と、2つの入力端子の間に平行に搭載され、それぞれが出力端子に接続されるスイッチの2つのセットと、スイッチの2つのセットを有するハウジングの部分と、を有し、
−ハウジングは、ハウジングの反対側表面のそれぞれの上に、伝熱流体循環チャネルを画定し(define)、
−ハウジングのそれぞれの部分は、伝熱流体循環チャネルのそれぞれの部分を画定し、スイッチングセルが3つのモジュールのアセンブリから構成される場合、パイプの部分は、整列されて流体連通し、
−容量性フィルタは、バスバーを介してスイッチングセルに接続される少なくとも1つのコンデンサを有し、少なくとも1つのヒートパイプは、容量性フィルタと直接または間接的に熱接触、すなわち、バスバーのプレートまたは要素と接触し、順に容量性フィルタと接触し、このヒートパイプは、ディストリビュータと接触し、
−容量性フィルタは、300Vと950Vとの間の供給電圧をサポートする容量を有し、スイッチングセルは、電気負荷のそれぞれの相に2つのAC電流を供給することができ、当該AC電流の強度は、RMSが100Aと500Aとの間で構成され、インバータは、RMSが600Aの累積線電流を出力し、インバータの総体積は、8リットル以下、好ましくは6リットル以下、より好ましくは3リットル以下、更により好ましくは2リットル以下である、という特徴の1つ以上を組み込むことができる。
【0016】
他の態様によれば、本発明は、蓄電池と、電気牽引モータと、当該牽引モータに、蓄電池により出力されたDC電流から三相電流を供給するインバータと、を有する自動車に関する。本発明によれば、インバータは上記に言及した通りである。
【発明の効果】
【0017】
上記自動車は、相対的に小さなサイズのインバータが与えられるので、設計および保守がより容易である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例としてのみ提供され、付随する図面を参照して行われる、インバータと、その原理に従う自動車の一実施形態の下記の記述を考慮すれば、本発明はより良く理解され、本発明の他の利点はより明白となるであろう。
【0020】
図1には、ハイブリッド自動車Vの電気牽引チェーン(electric traction chain)Cが部分的に示される。この牽引チェーンCは、蓄電池2と、インバータ4と、三相牽引モータ(three-phase traction motor)6と、を含む。
【0021】
蓄電池2は、300Vと950Vとの間、例えば、450Vに等しいDC電圧V2を出力する。電池2は、インバータ4の2つの入力端子42および44に接続される。
【0022】
このインバータ4は、スイッチングセル46および容量性フィルタ48を含み、両者は、端子42と端子44との間で並列に接続される。
【0023】
また、インバータ4は、コマンドカード50および制御カード52も含む。実際は、これらのカード50および52は、単一の物理カード上で結合されることができる。
【0024】
スイッチングセル46は、牽引モータ6の第1相62、第2相64、および第3相66を供給するためにそれぞれ設けられる3つの同一モジュール462、464、および466により形成される。
図1において、モジュール462、464、および466は、垂直の点線により、互いに区切られる。
【0025】
モジュール462、464、および466のそれぞれは、端子42と端子44との間に並列に配置されるスイッチの2つのセットにより形成されるスイッチングモード電力供給回路を含む。例えば、モジュール462は、2つのスイッチ4622の第1セットE1と、2つのスイッチ4624の第2セットE2と、から構成される第1回路C462を含む。スイッチングセル46のすべてのスイッチは同一であり、フライバックダイオード(flyback diode)465と共に、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)463を含む。
【0026】
図示されない代替においては、このスイッチングセルを、炭化ケイ素(Silicon Carbide;SiC)または窒化ガリウム(Gallium Nitride;GaN)などの金属酸化物半導体(Metal Oxide Semiconductor;MOS)構成要素から設計することも可能である。これらの場合、フライバックダイオードは不要である。
【0027】
モジュール462の第1出力端子4626は、セットE1の2つのスイッチ4622の間に電気的に接続される。モジュール462の第2出力端子4628は、セットE2のスイッチ4624の間に電気的に接続される。伝導性ケーブルにより有利に形成される2つの電線L12およびL22は、それぞれ、端子4626および4628を、牽引モータ6の第1相62の巻き線622に接続する。
【0028】
同様に、言及はしないが、
図1において見ることができる制御されたスイッチの第1および第2セットは、モジュール464および466において形成され、それらの出力端子4646、4648、4666、および4668のそれぞれは、回路C464およびC466により供給され、モータ6の第2および第3相64および66の巻き線642および662に接続される。
【0029】
スイッチングセル46のスイッチ4622、4624等の接続モードを考慮すると、線L12、L22等を通る出力電流は、同じ牽引モータ6に対して、スイッチの単一セットを含むモジュールにより電流が生成したであろうRMS強度の約半分に等しいRMS強度を有する。
【0030】
コマンドカード50は、予め決められるシーケンスに従ってトランジスタ463を切り替えることを可能にし、制御カード52は、セットを制御する。図の明確性のために、これらのカード50および52は、
図3においては図示されない。
【0031】
RMS 600Aの線電流により電力を供給しなくてはならない牽引モータ6の例を取ると、線L12、L22等のそれぞれを通る線電流は、RMS 300Aの強度を有する。
【0032】
図の例においては、インバータは、端子4226、4628、4646、4648、4666、および4668のそれぞれの端子が、RMSが100Aと500Aとの間で構成される強度を有する相電流を出力するように構成できる。
【0033】
インバータ4は、牽引モータ6のそれぞれの相上で、強度が、相62に対しては、端子4226および4628から、相64に対しては、端子4646および4648から、並びに相64に対しては、端子4666および4668から、導出される相電流の合計である累積電流を出力する。このため、インバータ4は、牽引モータ6の相に、RMSが200Aと1000Aとの間で構成される強度の累積電流を供給できる。
【0034】
容量性フィルタ48は、1つ、または複数のコンデンサ482を含む。例においては、2つのコンデンサが使用される。これら2つのみのコンデンサを使用するので、この例においては、これらのコンデンサは、線電流のRMSの約32%、すなわちRMSが192Aに相当する電流を受けることになる。
【0035】
スイッチングセル46のモジュール462のみが、
図2において外観図で示され、更に、
図3および4においてスイッチングセル46内で外観図で示される。このモジュールは、回路C462を搭載する電子回路プレートのそれぞれの側に配置される2つのハーフハウジング4621Aおよび4621Bに形成される密閉一体型ハウジング4621を含む。これらのハーフハウジングは、密閉して組み立てられ、図では見えない端子を、インバータ4の入力端子42および44、並びに出力端子4626および4628への接続のために露出したままにしてある。
【0036】
一体型ハウジング4621は、電気的絶縁材料、例えば、Ultem(登録商標)ポリエーテルイミド(PolyEtherIde;PEI)から作製される。
【0037】
ハーフハウジング4621Aおよび4621Bのそれぞれは、パイプ4623Aおよび4623Bのそれぞれを画定し、添加物を含有する(containing)水などの伝熱流体、または他の伝熱流体を、スイッチ4622および4624の直近において循環させることを可能にする。
【0038】
図2における切取図により示されるように、これらのパイプにおいて循環する伝熱流体とハウジング4621との間の熱交換を促進するために、突起部4625が、パイプ4623Aおよび4623Bのそれぞれにおいて配置される。代替として、これらの突起部は、伝熱流体とハウジング4621との間の熱伝達を向上する目的のフィンまたは他のレリーフ(起伏)により置き換えることができる。突起部4625またはフィンは、モジュール462内のラジエータを構成する。良好な熱出力のために、このラジエータは、好ましくは回路C462の構成要素を支持する支持プレートに溶接される。
【0039】
他の代替によれば、これらのレリーフは省略できる。
【0040】
モジュール464および466は、また、ハウジング4621と同一の、一体型ハウジング4641および4661を含む。
【0041】
スイッチングセル46が組み立てられるとき、一体型ハウジング4621、4641、および4661は、図示されない機械的手段により互いに並置されて固定され、それにより、これらの一体型ハウジング4621、4641、および4661は一緒になって合成体を構成し、スイッチングセル46の密閉ハウジング461と個々のパイプとは、互いに整列され流体接続される。そして、これらのパイプは、スイッチングセル46の全長に亙って延伸する2つのパイプ46Aおよび46Bのそれぞれのセットを構成する。
【0042】
このため、チャネル46Aおよび46B並びにそれらが収容するレリーフは、オプションとして熱交換手段を構成し、この熱交換手段は、ハウジング461の2つの反対側表面上、すなわち、
図3および4の例示における、その下側表面461A上とその上側表面461B上とに分布される(distributed)。
【0043】
ディストリビュータ60およびコレクタ70は、それぞれ、チャネル46Aおよび46Bに伝熱流体を供給し、これらのチャネルに位置する伝熱流体を排出するために設けられる。
【0044】
有利には、パーツ60とパーツ70とは同一である。しかしながら、これは必須ではない。
【0045】
ディストリビュータ60は、熱伝導性材料、例えば、金属、好ましくは、この場合アルミニウムまたは銅から作製される本体61を含み、一体型であり、軸線により示される線82内で、
図3における矢印F1の方向に到着する伝熱流体の流れを、それぞれがチャネル46Aおよび46Bを貫通する2つの流れF2およびF3に分配する。
図3により示されるように、本体61の、スイッチングセル46に向けられた側面には、チャネル46Aおよび46Bと整列されるように意図される出口孔63Aおよび63Bが設けられる。
【0046】
しかしこれは、必須ではなく、チャネル46Aおよび46Bの入口を覆う単一の出口孔を有するディストリビュータ60も考えることができる。
【0047】
ディストリビュータ60からチャネル46Aおよび46B内に導入された伝熱流体は、
図3および4における矢印F4の方向に、スイッチングセル46の長さに沿って流れる。そこから、伝熱流体は、
図3において見ることができるチャネル46Aおよび46Bの孔を通って一連のハウジング4621、4641、および4661から出力され、コレクタ70の本体71に入り、同様に軸線により示される排出線84内の、矢印F5の形状でそこから出力される。
【0048】
線82および84並びにチャネル46Aおよび46Bは伝熱流体の循環回路に属し、この循環は、F1からF5の矢印により示される。
【0049】
スイッチングセル46の冷却は、一方では、ハウジング461の2つの反対側表面461Aおよび461Bで行われ、他方では、ラジエータは支持プレートに溶接されるため、ラジエータと回路C462、C464、およびC466との間の熱抵抗は最小であるので、特に効果的である。したがって、回路C462、C464、およびC466の構成要素が熱せられる危険は制限され、大きな支持体を設ける必要はない。したがって、この両面冷却は、スイッチングセル46の小型化に関与し、その結果、インバータ4の小型化に関与する。
【0050】
スイッチングセル46のモジュラ構成は、生産性および保守性に関しての改善をもたらす。実際には、セル46の製造中に、回路C462、C464、およびC466の1つに欠陥が見つかった場合、この欠陥が見つかったモジュールを交換すれば十分であり、セル46全体を廃棄する必要はない。同様に、セル46の寿命の間に故障が起きた場合、モジュール462、464、および466の1つを交換でき、すべてのモジュールを交換する必要はない。
【0051】
スイッチングセル46が、インバータの他の要素に向けて熱を放出せず、
図4に示されるようであれば、電子カード50および52は、専用の冷却を必要とせずに、セル46の表面の1つに沿って、すなわち、ハウジング461の上側表面461Bに沿って配置できる。
【0052】
容量性フィルタ48の構造は、
図3および4に、より明確に示される。容量性フィルタ48は、コンデンサ482の他に2つの接触プレート484および486を含み、接触プレート484および486は、それぞれ、
図3および4の例示においてコンデンサ482の下方および上方に配置される。
【0053】
下側接触プレート484は、インバータ4の残りの構成要素に対するこれらのコンデンサの機械保全に貢献する。接触プレート484および486は、図示されない搭載部材により互いに機械的に接続され、それにより、接触プレート484および486がコンデンサ482を把持し、インバータ4の製造中に操作が容易なサブアセンブリ48を形成することを可能にする。
【0054】
代替として、下側接触プレート484は、それぞれがコンデンサ482の下方に位置し、接触プレート486上にタブを固定することにより延長される2枚のハーフプレートにより置き換えることができる。
【0055】
接触プレート486は、絶縁コアと、この絶縁コアのそれぞれの側に配置される2つの伝導層と、を含む多層構造であり、電流を伝導することを可能にする。
【0056】
プレート486は、プレート484の反対側上で、コンデンサ482を圧迫して(bear on)コンデンサ482に接続されるよう意図されるベース4862と、ベース4862に直交して延伸し、種々のモジュール462、464、および466の入力端子に接続するための6つのタブ4866、すなわち、1つのモジュール当たり2つのタブを画定する背部4864と、を含む。このため、上側接触プレート486は、スイッチングセル46に電力を供給するバスバーとして働く。
【0057】
図示されない1つの代替においては、バスバーとして働くのはプレート484である。
【0058】
図示されない他の代替においては、容量性フィルタ48は、スイッチングセルの上方または下方ではなく、スイッチングセルの隣に設置される。
【0059】
他の代替においては、プレート484および486は省略でき、容量性フィルタとスイッチングセルとの間の電気的接続は、他の手段により行われる。
【0060】
接触プレート486は、スイッチングセル46を、インバータ4の搭載構成において収容するための二面体(dihedron)D486を画定する。
【0061】
4つのヒートパイプ92、94、96、および98もまたインバータ4のパーツである。これらのヒートパイプのそれぞれは、他の気体の存在なしで気相と平衡状態にある液体形状である流体を収容する、密封容器(hermetic enclosure)の形状を取る。冷却される要素に最も近いヒートパイプの1つの端部においては、液体は熱を帯びて蒸発する。そして、この蒸発に起因する気体は、ヒートパイプの他方の端部に拡散し、熱エネルギを与えながら、再び液体になるように凝結するまで冷却される。
【0062】
例においては、ヒートパイプ92〜98は、液体および気体形状のアンモニア、水、アセトン、メタノールなどを収容する、銅の容器または熱を伝導する他の任意の金属から作製される。
【0063】
ヒートパイプ92は、接触プレート484上に、実施例においては、コンデンサ482の反対側の上記プレート484の表面上に接着剤で接着されるセグメント92aを含む。ヒートパイプ92は、また、本体61の外部表面61a上に接着剤で接着される端部92bも含む。
【0064】
接触プレート484が省略される代替においては、ヒートパイプは、容量性フィルタ48と直接熱接触(thermal contact)して設置される。
【0065】
このため、ヒートパイプのセグメント92aは、容量性フィルタ48と熱接触し、その端部92bは、ディストリビュータ60と熱接触する。
【0066】
本発明における意味では、2つのパーツが互いに熱交換可能なように配置されるとき、この2つのパーツは熱接触する。これらの2つのパーツの間に十分に弱い熱抵抗を提供するために、溶接、熱伝導性接着剤による接着、熱グリース(thermal greases)などを含む、複数のソリューションを使用できる。
【0067】
このため、ヒートパイプ92に収容されるプロダクト(product)は、セグメント92a内において接触プレート484と接触して熱を帯び、それが蒸発する温度まで熱せられて、ヒートパイプの中に温度勾配(temperature gradient)を作成する。この温度勾配は、蒸気を、ディストリビュータ60と接触する端部92bにおける相対的に新鮮なゾーン(fresh zone)に到達するまでパイプに沿って、蒸気が凝結する温度まで移動させ、これにより、ディストリビュータ60上のプレート484から抽出された熱を解放する。
【0068】
ヒートパイプ94、96、および98は同じように働き、それぞれが、プレート484または486上の1つに接着剤で接着されるセグメント94a、96a、または98aと、本体61の外部表面61a上に接着剤で接着される端部94b、96b、または98bと、を有する。
【0069】
ヒートパイプ92、94、96、および98は、容量性フィルタ48とディストリビュータ60との間で平行に延伸する。
【0070】
代替として、ヒートパイプを構成する材料の性質に基づいて、ヒートパイプを、一方ではプレート484および486上に、他方では本体61上に溶接でき、または、特に、ジャミング(jamming)(強く押すこと)、ろう付け(brazing)、圧着(crimping)、熱伝導性接着剤または熱グリースを使用する接着などの他の技術を使用して、これらの要素484、486、および61と熱接触して設置することができる。
【0071】
このような搭載により、容量性フィルタ48の効果的な冷却が可能となり、端部92b、94b、96b、および98bが相対的に低い温度になる場合は、更に効果的になる。これは、伝熱流体がスイッチングセル46のチャネル46Aおよび46Bをまだ通過していないため、ディストリビュータ60の本体61をまだ熱せられていない伝熱流体が通るので、事実上あり得るケースである。
【0072】
従来のインバータと比較して、容量性フィルタ48を通過する電流は2つに分割されるので、任意の容量の等価直列抵抗によるこのフィルタの加熱は、この同じ従来のインバータに対して4分割される。このため、容量性フィルタ48から抽出される熱量は、従来のインバータの4分の1未満であり、提案される装置は、プレート484および486の温度を、ディストリビュータ60における伝熱流体の温度に対して5℃低く保つことを可能にする。
【0073】
105℃までの周囲の空気中にインバータを設置し、ヒートパイプにより排出されなければならない熱流を制限することを可能にするために、プレート484および486を有する容量性フィルタ48とヒートパイプ92〜98とにより形成されたアセンブリを、有利には、例えば1から4mmの厚さを有する断熱材から作製された容器内に設置できる。
【0074】
図3および4において、セグメント92aおよび94aは、下側接触プレート484の下方に示され、一方、セグメント96aおよび98aは、上側接触プレート486の上方に示される。代替として、他の配置も可能である。
【0075】
端部92bなどは、ディストリビュータ60のいずれの側上においても分布でき、例えば、端部92bおよび96bを、
図4において見ることができる表面61aの部分上に、そして、端部94bおよび98bを、反対側の部分に分布できる。他の分布もまた考えることができる。
【0076】
上記で言及した特徴の組み合わせにより、本発明のインバータ4は、
図4に示されるように、特に小型であることができ、一方、自動車の牽引モータの供給のための使用に対応できる電気特性を有する。実施例においては、インバータ4には、300Vと950Vとの間の電圧V2を供給でき、牽引モータ6の相62、64、および66のそれぞれに、RMS 300Aの強度を有する2つのAC電流を供給でき、これは累積して、モータのそれぞれの相に、RMS 600Aの強度の電流を供給し、一方では、インバータ4の総体積は、8リットル以下、好ましくは、6リットル以下、更に好ましくは、3リットル以下である。実際、インバータは、本発明により、2リットルの体積を有することができる。
【0077】
これらの寸法は、より小さなRMSの強度の線電流に対しては削減される。
【0078】
代替として、ヒートパイプの数は、1以上であれば4とは異なってもよく、これらの接触プレート484および486間における分布は、示されるものと異なってもよい。
【0079】
他の代替によれば、ヒートパイプの熱い部分は、コンデンサ482と直接接触してもよい。
【0080】
インバータ4は、牽引モータ以外の電気負荷(electric charge)の三相電流、特には電流発生器の三相電流を制御するために使用できる。
【0081】
容量性フィルタ48のコンデンサ482の数は2と異なってもよく、特に、1に等しくてもよい。
【0082】
ディストリビュータ60の本体61は、アルミニウム以外の金属から作製でき、特に、銅、更には、非金属材料、例えば、熱を伝導するプラスチック材料からさえも作製できる。
【0083】
上記で考察した実施形態および代替の実施形態は、本発明の新しい実施形態を生成するために互いに組み合せることができる。