【解決手段】ハイブリッド車100を発進するためのローンチコントロールシステムであって、車輪170と、エンジン110と、モータジェネレータ191、192と、メモリ160と、プロセッサ150と、駆動装置と、を具備し、ON状態の間、車輪速度及び車輪トルクが、実質的に0であり、駆動装置が前記ON状態からOFF状態へと切り替えられたとき、エンジン速度及び前記エンジントルクが、エンジンデータ及び車輪スリップデータに基づいて複数の車輪へと付与される、ローンチコントロールシステムによる。
前記プロセッサは、前記ハイブリッド車の加速度を最大化するため、前記駆動装置が前記ON状態から前記OFF状態へと切り替えられたときに、前記エンジンから前記複数の車輪への動力と前記モータジェネレータから前記複数の車輪への動力とを組み合わせるように更に構成された、請求項1に記載のローンチコントロールシステム。
前記駆動装置が前記ON状態のときの前記エンジン速度が、前記ハイブリッド車が停止され且つ前記駆動装置が前記OFF状態のときに最大限に可能なエンジン速度より高い、請求項1に記載のローンチコントロールシステム。
アクセルペダルと、該アクセルペダルの位置を検出するように構成されたアクセルペダルセンサと、を更に具備し、前記エンジン速度及び前記エンジントルクが、前記アクセルペダルの前記位置に対応する請求項1に記載のローンチコントロールシステム。
前記車輪スリップデータが、異なるエンジン速度及びエンジントルクにそれぞれ対応する異なる車輪スリップの量を含む、請求項1に記載のローンチコントロールシステム。
前記ブレーキペダルが前記使用位置にあるときの前記エンジン速度が、前記ハイブリッド車が停止され且つ前記ブレーキペダルが前記解放位置にあるときの最大限に可能なエンジン速度より高い請求項9に記載のハイブリッド車。
前記プロセッサが、前記車輪スリップを最適化するために前記複数の車輪に付与された前記エンジン速度及び前記エンジントルクを調整するように更に構成された請求項9に記載のハイブリッド車。
前記ハイブリッド車の加速度を検出するための加速度計を更に具備し、前記プロセッサが、前記加速度に基づいて前記複数の車輪に付与された前記エンジン速度及び前記エンジントルクをコントロールするように更に構成された請求項9に記載のハイブリッド車。
前記ハイブリッド車の速度を検出するための速度センサを更に具備し、前記プロセッサが、前記速度に基づいて前記複数の車輪に付与された前記エンジン速度及び前記エンジントルクをコントロールするように更に構成された請求項9に記載のハイブリッド車。
起動信号を、該起動信号に応じて前記エンジン及び前記モータジェネレータを調整するように構成されたプロセッサへと送信するように構成されたボタンを更に具備する請求項9に記載のハイブリッド車。
前記エンジン速度を上昇させることが、前記エンジン速度を、前記ハイブリッド車が停止されているときに最大限に可能なエンジン速度よりも高く上昇させる請求項16に記載の方法。
次の発進において加速度を最大化するために、異なるエンジン速度及びエンジントルクにそれぞれ対応する異なる車輪スリップの量を含む前記車輪スリップデータ及び前記エンジンデータを記憶することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の様々な特徴の実施形態を実行する装置、システム、及び、方法は、図面を参照しつつここで説明される。本願のいくつかの実施形態を示すために図面及び関連した詳細な説明が提供されるが、本願の範囲を限定するものではない。図面を通して、参照番号は、参照された要素間の関連性を示すために繰り返し用いられる。
【0012】
1つの実施形態において、本開示は、
図1に示されたようなハイブリッド車100のブロック図を有する。ハイブリッド車100は、ドライブフォースユニット105及び車輪170を含むことができる。ドライブフォースユニット105は、更に、エンジン110と、電気モータジェネレータ191と、電気モータジェネレータ192と、バッテリーユニット195と、インバータボックス197と、ブレーキペダル140と、ブレーキペダルセンサ145と、アクセルペダル130と、アクセルペダルセンサ135と、トランスミッション120と、メモリ160と、プロセッサ150と、ボタン180と、速度センサ182と、加速度計184と、を有する。
【0013】
エンジン110は、最初に車輪170を駆動する。エンジン110は、内燃機関とすることができる。内燃機関は、ガソリン、エタノール、ディーゼル、バイオ燃料といった燃料、又は、燃焼に適した他の形式の燃料を燃焼させることができる。アクセルペダルセンサ135は、アクセルペダル130に付与される圧力、又は、アクセルペダル130の位置を検出することができ、エンジン110及び/又はモータジェネレータ191及び192によって付与される動力及びトルクを調整することができる。エンジン110によるトルク出力は、トランスミッション120によって受信される。モータジェネレータ191及び192もトランスミッション120へとトルクを出力することができる。エンジン110及びモータジェネレータ191及び192は、遊星歯車(
図1に図示せず)を通して結合されてもよい。トランスミッションは、付与されたトルクを車輪170へと伝える。エンジン110によるトルク出力は、車輪170に対して付与されたトルクへと直接変換されない。
【0014】
モータジェネレータ191及び192は、ドライブモードにおいてトルクを出力するモーターとして機能することができ、且つ、再ジェネレーションモードにおいてバッテリーユニット195を再充電するジェネレータとして機能することができる。電力は、モータジェネレータ191及び192からインバータボックス197を通してバッテリーユニット195へと、或いはバッテリーユニット195からインバータボックス197を通してモータジェネレータ191及び192へと伝えられる。ブレーキペダルセンサ145は、ブレーキペダル140に付与された圧力、又は、ブレーキペダル140の位置を検出することができ、車輪170に付与されるトルクに更に影響し得る。速度センサ182は、プロセッサ150によって車両速度へと変換される速度入力を検出するために、トランスミッション120の出力シャフトに接続される。加速度計184は、ハイブリッド車100の実際の加速又は減速を検出するために、ハイブリッド車100の本体に接続される。
【0015】
ボタン180は、ハイブリッド車100の計器盤(
図1に図示せず)におけるボタンであってもよく、ステアリングホイール又はその近傍、或いは、ダッシュボードといったドライバーの手の届く他の場所に配置されてもよい。ボタン180は、スイッチ又はON状態及びOFF状態を有する他の類似の装置であってもよく、ON状態又はOFF状態を示す信号を送信できてもよい。なお、ボタン180は、ON又はOFFとして変換し得る信号を送信可能なタッチセンサ領域であってもよい。プロセッサ150は、ローンチコントロールロジックを起動するためにボタン180から信号を検出してもよい。
【0016】
トランスミッション120は、ハイブリッド車に適したトランスミッションである。トランスミッション120は、モータジェネレータ191及び192と共にエンジン110に結合されたECVTとすることができる。トランスミッション120は、エンジン110及びモータジェネレータ191及び192の組み合わせからトルク出力を伝えることができる。プロセッサ150は、車輪170に伝えられる付与トルクを決定するために、メモリ160に記憶されたデータを用いてトランスミッション120をコントロールする。例えば、プロセッサ150は、特定の車両速度においてエンジン110が、小さな付与トルクを車輪170に提供する一方で、モータジェネレータ191が大きな付与トルクを車輪170に提供するように決定してもよい。プロセッサ150及びトランスミッション120は、車両速度から独立してエンジン110のエンジン速度をコントロールすることができる。
【0017】
図2は、プロセッサ150のローンチコントロールロジックの1つの実施形態のフローチャート200を示す。210において、ローンチコントロールロジックが起動される。ハイブリッド車100のドライバーは、起動信号を送信するためにボタン180を押してもよく、ローンチコントロールロジックを起動するためにプロセッサ150によってこれが受信される。ローンチコントロールロジックは、ハイブリッド車100が停止されたときに起動される。プロセッサ150は、ハイブリッド車100が停止されたことを示す速度0の速度センサ182をチェックする。プロセッサ150は、ハイブリッド車100が停止されたことを示す加速度0の加速度計184をチェックしてもよい。他の実施形態において、ドライバーは、レバースイッチ、オーディオコマンドのような他の手段を通して、或いは、ハイブリッド車100内のユーザインタフェースを通してローンチコントロールロジックを起動してもよい。ローンチコントロールロジックは、1又は複数の手段を通して起動されてもよい。なお、ローンチコントロールロジックは、自動的に起動されてもよい。例えば、プロセッサ150及びメモリ160は、ドライバーによってあらかじめ設定された、或いは、ヒューリステッィクに(heuristically)決定された特定の状態が、適合され(met)且つそれによりローンチコントロールロジックの自動起動を開始するように決定してもよい。
【0018】
220において、駆動装置が起動される。駆動装置は、ON状態であることを示すためにプロセッサ150にON信号を送信する。1つの実施形態において、駆動装置は、ブレーキペダル140であってもよい。ドライバーは、駆動装置がON状態となるようにブレーキペダル140に圧力を付与する。ON信号は、駆動装置が使用されているときに連続的なものであってもよく、或いは、駆動装置が使用されなくなったときに更新される個別の信号であってもよい。特定の実施形態において、駆動装置の2つのON/OFF状態を決定する代わりに、プロセッサ150が、起動度(degrees of actuation)を検出してもよい。例えば、完全に踏み込まれたときに、ブレーキペダル140は、プロセッサ150に対して最大加速度の発進が予想されることを示してもよい。ブレーキペダル140は、低減された圧力が付与されたときに、プロセッサ150に対してより小さな又は低減された加速度の発進が予想されることを示してもよい。
【0019】
別の実施形態において、駆動装置は、ローンチコントロールロジックのために起動信号を送信してもよい。ボタン180は、最初に押したとき及び押し続けたときにローンチコントロールロジックを起動してもよく、駆動装置のためにON状態を示してもよい。次いでドライバーは、ローンチコントロールロジックを起動し、且つ、駆動装置を開始するために、ボタン180を押し且つ押し続ける。特定の実施形態において、ボタン180は、ドライバーが同時にブレーキペダル140を踏み続けることなく、ボタン180を押し続けるのみでよいように更にブレーキ信号を送信する。ボタン180は、ローンチコントロールロジックが起動されたときにのみブレーキ信号を送信するように構成されてもよい。
【0020】
更に駆動装置は、2以上の手段を通して実現されてもよい。例えば、ボタン180及びブレーキペダル140は、共に起動信号を送信するように構成されてもよい。次いでドライバーは、ON状態を示すためにボタン180を使用してもよい。ドライバーにローンチコントロールロジックをコントロールするための複数の選択を与えるため、ドライバーは、ボタン180を解放しつつも、ON状態を維持している間にブレーキペダル140を踏み込んでもよい。
【0021】
230において、エンジン速度及びエンジントルクは、車輪速度及び車輪トルクとは独立してコントロールされる。プロセッサ150は、車輪170に逆トルクが付与されるのを防ぐことができる。エンジン110からのトルクは、モータジェネレータ191又は192からのカウンタートルクによって逆回転されてもよい。しかしながら、遊星歯車構成により、車輪170にトルクが存在し得る。ドライバーにブレーキペダル140を踏み込み続けることを要求することによって、ハイブリッド車100は、停止されたままとなる。特定の実施形態において、ブレーキペダル140は、上述したような駆動装置としても機能する。他の実施形態において、ボタン180は、ドライバーがブレーキペダル140を踏み込み続けなくてもいいようにブレーキ信号を送信する。
【0022】
240において、エンジン速度及びエンジントルクは、エンジンデータ及び車輪スリップデータに基づいて上昇する。ドライバーは、アクセルペダル130に、又はアクセルペダル130へと圧力を付与することによってエンジン速度及びエンジントルクを上昇させることができる。エンジン速度及びエンジントルクの上昇は、アクセルペダル130の位置に対応する。アクセルペダル130を完全に踏み込むと、エンジン速度は最大エンジン速度へと上昇し、これは、プロセッサ150に最大加速度を付与することをも示す。ローンチコントロールロジックを起動させると、エンジン速度は、ローンチコントロールロジックが使用できないときの最大限に可能なエンジン速度より高速となる。エンジン速度及びエンジントルクは、車輪速度及び車輪トルクとは独立してコントロールされ得るため、ドライバーは、ハイブリッド車100を動かすことなくアクセルペダル130を使用することができる。これは、ドライバーが、エンジン110を、ハイブリッド車100が動いていないときに概して可能な速度よりも高速のエンジントルク及びエンジン速度へと、駆動させることを可能とする。これは、更に、ハイブリッド車100が停止しているときに概して可能な速度よりも高速なエンジントルク及びエンジン速度で、エンジン110を保持することを、ドライバーに可能とさせる。
【0023】
スタンディングスタートからの通常の加速において、エンジンを最初に駆動するのに必要な慣性(inertia)は、車輪から動力を出す。ハイブリッド車は、最初の発進のために電気モーターを使用することができるが、エンジンよりも動力が小さすぎる。好適には、ハイブリッド車100は、エンジン110を待つことなく完全な動力を伝えるために、発進前にエンジン110を駆動することができる。モータジェネレータ191又は192はエンジン110の代わりとならなくてもよいため、モータジェネレータ191又は192は、フルの動力を伝えることもできる。
【0024】
ドライバーがローンチコントロールを選択したため、プロセッサ150は、アクセルペダル130が十分に押されたか否かを決定することができ、プロセッサ150は、最大加速度を付与することとなる。言い換えると、ペダル閾値に達し(meet)又はこれを超えるためにドライバーが十分な圧力を付与する場合、プロセッサ150は、ドライバーが完全にアクセルペダル130を踏み込まない場合であっても最大加速度を付与する。ペダル閾値は、50%であってもよく、90%であってもよく、或いは、別の適した閾値であってもよい。閾値は、安全事項によって決定されてもよい。更に、閾値は、通常のアクセルペダルコントロールへと戻る円滑な伝達を可能とするように選択されてもよい。
【0025】
メモリ160は、エンジンデータ及び車輪スリップデータを保持する。エンジンデータは、速度センサ182及び加速度計184からのフィードバックに基づいて、使用され且つ生じたエンジン速度及びエンジントルクを含む前の発進に関するデータを含む。車輪スリップデータは、スリップコントロールロジック又はトラクションコントロールロジックからのフィードバックに基づいたデータを含む。前の発進からの性能及び車輪スリップフィードバックデータの記憶は、発進性能及び発進特性の学習を可能とする。エンジンデータを分析することによって、プロセッサ150は、最大加速度のための最適なエンジン速度及びエンジントルクを決定することができる。可能であれば、プロセッサ150は、更なるエンジントルクの最適化のために、温度、高度又はグレードといった他のパラメータを考慮することができる。
【0026】
エンジンデータに基づき、プロセッサ150は、エンジン速度を決定することができる。最適エンジン速度は、最大エンジン速度でなくてもよく、或いは、アクセルペダル130を通してドライバーにより要求されるエンジン速度に対応しなくてもよい。一度ドライバーがペダル閾値を超えてアクセルペダルを踏み込むと、プロセッサ150は、ドライバーの要求したエンジン速度を最適エンジン速度よりも優先させることができる。別の実施形態において、ドライバーは、マニュアルエンジン速度コントロール又はオートマティックエンジン速度コントロール間の選択を有してもよい。
【0027】
車輪スリップが多すぎる場合、発進において、車輪170は、摩擦なしで高速スピンし、ハイブリッド車100を動かすことがなく、代わりに車輪170のタイヤを摩耗させる。しかしながら、少しの車輪スリップは、加速の向上を可能とするため好適となる。車輪スリップデータは、エンジン速度及びエンジントルクといった様々なパラメータのためにどれだけ多くの車輪スリップが生じたかを含む。次いでプロセッサ150は、最大加速度のために車輪スリップの回数を最適化する。
【0028】
250において、駆動装置は停止される。駆動装置の解放は、プロセッサ150にOFF状態を通知する。OFF信号は、第2の「OFF」信号として送信されてもよく、或いは、継続する「ON」信号がないことによって通知されてもよい。特定の実施形態において、ドライバーは、OFF状態を示すためにブレーキペダル140及び/又はボタン180を解放してもよい。
【0029】
260において、駆動装置の停止に応じて、プロセッサ150が、車輪170にエンジン速度及びエンジントルクを付与してもよい。エンジン速度及びエンジントルクは、最適化されたエンジン速度及びエンジントルクであってもよく、或いは、ドライバーから要求されたエンジン速度及びエンジントルクであってもよい。プロセッサ150は、スタンディングスタートからの加速度を最大化するために付加的なロジックを使用してもよい。エンジン110及びモータジェネレータ191及び192から車輪170への動力は、組み合わせられる。プロセッサ150は、どれだけのトルクを車輪170に付与するかを決定するために加速度計184を読み込んでもよい。大きすぎるトルクが一度に付与された場合、車輪170は、回転し得るが、車輪170がスリップするためハイブリッド車100は動かない。トルクを一度に付与するのではなく、トルクは、ハイブリッド車100を可能な限り速く加速し続けるように徐々に付与される(ramped up)。
【0030】
270において、エンジンデータ及び車輪スリップデータが更新される。プロセッサ150は、エンジンデータ及び車輪スリップデータをメモリ160に記憶させる。他の実施形態において、エンジンデータ及び/又は車輪スリップデータは、別のオンボードメモリ、又は、外部メモリに記憶されてもよい。外部メモリは、プロセッサ150に無線接続されてもよい。プロセッサ150のより最適化された次の発進のため、或いはドライバーに結果を提供するために、更に、他の性能測定及び結果が記憶されてもよい。
【0031】
図3Aから
図3Cは、ローンチコントロールロジックが起動されたときの、車輪トルク(
図3A)、エンジントルク(
図3B)、及び、ブレーキ圧(
図3C)のグラフを示す。
図3Aのプロット310において、車輪トルク曲線315は、車輪トルクの時間変化を示す。
図3Bのプロット320において、エンジントルク曲線325は、エンジントルクの時間変化を示す。
図3Bのプロット320において、エンジントルク曲線325は、エンジントルクの時間変化を示す。
図3Cのプロット330において、ブレーキ圧曲線335は、ブレーキ圧の時間変化を示す。プロットは、実際値ではなく、車輪トルク、エンジントルク及びブレーキ圧間の関係を示すための概略図を示す。更に、プロットは、ベンチテストから計測され得る実際の曲線を示す必要がなく、或いは、実際の曲線と似ている必要もない。
【0032】
ブレーキ圧曲線335によって示されるように、時刻t
0において、ローンチコントロールロジックが起動され、且つ、駆動装置、例えばブレーキペダル140が使用される。車輪トルク曲線315によって示されるように、時刻t
0における車輪トルクは、ハイブリッド車100が停止しているため、実質的に0である。エンジントルク曲線325によって示されるように、エンジンが駆動されないため、時刻t
0においてエンジントルクは最小である。
【0033】
時刻t
1において、駆動装置がON状態となり、車輪170へと付与されることなくエンジントルク及びエンジン速度が上昇するのを可能とする。エンジントルクは、ドライバーがアクセルペダル130を踏み込んだときに上昇する。エンジン110は、高速へと駆動されてもよく、ドライバーがハイブリッド車100の発進の準備ができるまで高速で維持されてもよい。可能であれば、最大加速度のため、エンジン110は、最大エンジン速度又は最適エンジン速度へと駆動されてもよい。車輪トルクは、エンジントルクとは独立してコントロールされるため、実質的に0のままである。
【0034】
時刻t2において、ブレーキペダル140は、ハイブリッド車100を発進するために完全に解放される。ドライバーがアクセルペダル130を解放していないときは、エンジントルクは比較的一定のままであってもよい。しかしながら、車輪トルクは、エンジントルク及びエンジン速度が車輪170に付与されたとき、劇的に上昇する。エンジントルクは、加速度を最大化するためにモータジェネレータトルクと組み合わせられてもよい。
【0035】
安全措置として、ローンチコントロールロジックは、ブレーキペダル圧が存在する場合に、ハイブリッド車100が発進するのを防いでもよい。別の安全措置として、ローンチコントロールロジックは、ドライバーがエンジン110を高速のエンジン速度で保持できる時間の長さを制限してもよい。次いでローンチコントロールロジックは、発進をキャンセルし、或いは、自動的にエンジン速度を減速してもよい。
【0036】
図4は、ハイブリッド車100のドライバーによって視認されるスクリーン400を示す。スクリーン400は、通常のコンソールディスプレイに示されてもよく、或いは、その他、運転中のドライバーに視認可能なものであってもよい。スクリーン400は、運転手が常に使用可能であってもよく、或いは、インタフェースを通してアクセス可能であってもよい。スクリーン400は、インタフェースを通して発進結果概要をドライバーに示す。
図4において、インタフェースは、タッチスクリーンだが、他の実施形態において物理的ボタンであってもよい。
【0037】
ローンチコントロール指示器410は、ハイブリッド車100がローンチコントロールロジックを起動した発進コントロールモードであることを表示する。ローンチコントロール指示器410は、ボタン180が押されたときにライトアップしてもよい。ローンチコントロール指示器410は、ローンチコントロールロジックが停止又はキャンセルされたときに薄暗くなる。ローンチコントロール指示器410は、別の実施形態において「ローンチコントロール」として示されるが、ローンチコントロール指示器410は、「LC」又はグラフィカルアイコンのような異なるテキストであってもよい。特定の実施形態において、ボタン180は、ローンチコントロール指示器410であってもよい。
【0038】
ストップウォッチ420は、発進の時刻を決定する。ストップウォッチ420は、駆動装置が停止されたときにスタートしてもよく、且つ、1つの状態が生じたときにストップしてもよい。その状態は、ドライバーによって選択され得る96.56km/hといった目標速度であってもよい。例えば、ドライバーは、ボタン180を解放してストップウォッチ420を開始してもよい。ストップウォッチ420は、ハイブリッド車100が96.56km/hに至るまで機能し、そこでストップウォッチ420は停止し、0から60の時間を表示する。
図4において、ストップウォッチ420は、秒によるデジタル表示である。他の実施形態において、ストップウォッチ420は、秒針を有するアナログ時計のような別の方法で示されてもよい。ドライバーは、ストップウォッチ420によって表示された精度を選択してもよい。
【0039】
ベストタイム表示430は、ストップウォッチ420によって計測された最も早い時間を示す。ドライバーは、現在の発進時間を前のベストタイムと比較することができる。
図4において、ハイブリッド車100は、0−60の時間の5.3秒を有するが、4.2秒のベストタイムを有する。メモリ160は、1つのベストタイムを記憶してもよく、或いは、それぞれのストップウォッチの状態のため、0−60、0−80、0−100等の複数のベストタイムを記憶してもよい。なお、ベストタイム表示430は、最近の発進から時間を代わりに表示してもよい。両方の時間を確認することにより、ドライバーは、性能を向上させるためにどのパラメータを変化させるのがよいかをより好適に決定することができる。
【0040】
加速度チャート440は、ハイブリッド車100の加速度を表示し、加速度計184によって計測される。特に、G曲線450は、発進中のGの感覚(G's felt)の時間変化を示す。ピークG指示器455は、発進中に経験したピークのGを示す。速度曲線460は、発進中のハイブリッド車100の車両速度を表示する。
【0041】
ドライバーは、発進結果概要を示され、これにより、発進パラメータの更なる微調整が可能となる。
図4は、1つの可能な発進結果概要を示すが、ドライバーは、要素を再配置し、或いは、要素を取り除くことによって表示をカスタマイズすることができる。更にインタフェースは、ドライバーがメモリ160又は他のメモリに記憶された、エンジンデータ及び車輪スリップデータを含む他の履歴的発進データを確認することを可能とし得る。
【0042】
ドライバーは、発進パラメータの微調整より、ローンチコントロールロジックの学習向上の確認を望むかもしれない。発進結果概要を見ることによって、ドライバーは、時間とともにローンチコントロールロジックがどれだけ学習し、発進が改良されたかを確認することができる。発進結果概要は、ハイブリッド車100の外で確認及び分析されるために書き出されてもよい。
【0043】
当業者は、ここで説明された例と関連させて説明された様々な例示的なロジックブロック、モジュール、及び、アルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は、両方の組み合わせで実現されることを理解する。更に、本願は、プロセッサ又はコンピュータに特定の機能を行わせ、又は、実行させる機械可読媒体に組み込まれ得る。
【0044】
ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を明確に示すため、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、及び、ステップが、概してそれらの機能性に関して上記の通り説明された。こうした機能性がハードウェアで実現されるか、或いは、ソフトウェアで実現されるかは、特定の用途及び全体のシステムに与えられる設計条件による。当業者は、それぞれの特定の用途のため、説明された機能を、様々な方法で実現し得るが、こうした実施形態の決定は、開示された装置及び方法の範囲からの逸脱を生じるものと解釈されるべきではない。
【0045】
ここで開示された例と共に説明された様々な例示的なロジックブロック、ユニット、モジュール及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア要素、又は、ここで説明された機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせによって、実現され又は実行されてもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、他に、プロセッサは、任意の公知のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ又はステートマシンであってもよい。プロセッサは、コンピューティング装置の組み合わせとして実現されてもよく、例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のプロセッサ、DSPコアと協働する1又は複数のマイクロプロセッサ、或いは、こうした任意の構成の組み合わせであってもよい。
【0046】
ここで開示された例と関連させて説明された方法又はアルゴリズムのステップは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、又はその2つの組み合わせで直接的に具現化されてもよい。方法又はアルゴリズムのステップは、例示において提供されたのとは別の順序で実行されてもよい。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバルディスク、CD−ROM、又は、技術的に公知な記憶媒体の任意の他の形式に属してもよい。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ることができ、且つ、情報を記憶媒体へと書き込むことができるようにプロセッサと接続されてもよい。或いは、記憶媒体は、プロセッサと一体化されてもよい。プロセッサ及び記憶媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)に属してもよい。ASICは、無線モデムに属してもよい。或いは、プロセッサ及び記憶媒体は、無線モデムにおけるディスクリート要素に属してもよい。
【0047】
開示された例の上記の説明は、いかなる当業者でも開示された方法及び装置を製造し又は使用することが可能となるように示された。これらの例示に対する様々な変形例は、当業者にとって容易に明らかとなり、ここで定義された原理は、開示された方法及び装置の精神又は範囲から逸脱することなく、他の例示に適用され得る。説明された実施形態は、全て例示的態様とみなされるべきものであり、制限するものではなく、従って、適用の範囲は、上記の詳細な説明ではなく、添付された特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等の解釈及び範囲内の全ての変更は、これらの範囲内に包含される。
【0048】
本開示は以下を含む。
[構成1]
ハイブリッド車を発進するためのローンチコントロールシステムであって、
車輪速度及び車輪トルクを有する複数の車輪と、
エンジン速度及びエンジントルクを有し且つ前記複数の車輪に動力を提供するように構成されたエンジンと、
前記複数の車輪に動力を提供するように構成されたモータジェネレータと、
エンジンデータ及び車輪スリップデータを記憶するように構成されたメモリと、
前記車輪速度及び前記車輪トルクから独立して前記エンジン速度及び前記エンジントルクをコントロールするために前記エンジン及び前記モータジェネレータを調整するように構成されたプロセッサと、
ON状態及びOFF状態を有する駆動装置と、を具備し、
前記ON状態の間、前記車輪速度及び前記車輪トルクが、実質的に0であり、
前記駆動装置が前記ON状態から前記OFF状態へと切り替えられたとき、前記エンジン速度及び前記エンジントルクが、前記エンジンデータ及び前記車輪スリップデータに基づいて前記複数の車輪へと付与される、ローンチコントロールシステム。
[構成2]
前記プロセッサは、前記ハイブリッド車の加速度を最大化するため、前記駆動装置が前記ON状態から前記OFF状態へと切り替えられたときに、前記エンジンから前記複数の車輪への動力と前記モータジェネレータから前記複数の車輪への動力とを組み合わせるように更に構成された、構成1に記載のローンチコントロールシステム。
[構成3]
前記駆動装置が前記ON状態のときに前記複数の車輪に付与された前記エンジン速度が、前記ハイブリッド車が停止され且つ前記駆動装置が前記OFF状態の最大限に可能なエンジン速度より高い、構成1に記載のローンチコントロールシステム。
[構成4]
アクセルペダルと、該アクセルペダルの位置を検出するように構成されたアクセルペダルセンサと、を更に具備し、前記エンジン速度及び前記エンジントルクが、前記アクセルペダルの前記位置に対応する構成1に記載のローンチコントロールシステム。
[構成5]
アクセルペダルと、
前記アクセルペダルの位置を検出するように構成されたアクセルペダルセンサと、を更に具備し、
前記アクセルペダルがペダル閾値を超えて押されたときに、前記プロセッサが前記エンジン速度及び前記エンジントルクを付与する、構成1に記載のローンチコントロールシステム。
[構成6]
前記駆動装置がボタンを具備する構成1に記載のローンチコントロールシステム。
[構成7]
前記ボタンがブレーキ信号を送信するように構成された構成6に記載のローンチコントロールシステム。
[構成8]
ハイブリッド車であって、
車輪速度及び車輪トルクを有する複数の車輪と、
エンジン速度及びエンジントルクを有し且つ前記複数の車輪に動力を提供するように構成されたエンジンと、
前記複数の車輪に動力を提供するように構成されたモータジェネレータと、
アクセルペダルと、
前記エンジン速度及び前記エンジントルクをコントロールするアクセルペダルの位置を検出するように構成されたアクセルペダルセンサと、
ブレーキペダルと、
ブレーキペダルの位置を検出するように構成されたブレーキペダルセンサと、
エンジンデータ及び車輪スリップデータを記憶するように構成されたメモリと、
前記車輪速度及び前記車輪トルクから独立して前記エンジン速度及び前記エンジントルクをコントロールするために前記エンジン及び前記モータジェネレータを調整するように構成されたプロセッサと、を具備し、
前記ブレーキペダルが使用位置にあるときに前記車輪速度及び前記車輪トルクが実質的に0となるように、前記エンジン速度及び前記エンジントルクは、前記ブレーキペダルが使用位置にあるときに前記複数の車輪へと付与されず、且つ、
前記ハイブリッド車の発進を実行するために前記ブレーキペダルが前記使用位置から解放位置へと変更されたときに、前記エンジン速度及び前記エンジントルクは、前記エンジンデータ及び前記車輪スリップデータに基づいて前記複数の車輪へと付与されるハイブリッド車。
[構成9]
前記発進の発進結果概要を表示するように構成されたディスプレイを更に具備する構成8に記載のハイブリッド車。
[構成10]
前記ブレーキペダルが前記使用位置にあるときの前記複数の車輪に付与された前記エンジン速度が、前記ハイブリッド車が停止され且つ前記ブレーキペダルが前記解放位置にあるときの最大限に可能なエンジン速度より高い構成8に記載のハイブリッド車。
[構成11]
前記プロセッサが、車輪スリップを最適化するために前記複数の車輪に付与された前記エンジン速度及び前記エンジントルクを調整するように更に構成された構成8に記載のハイブリッド車。
[構成12]
前記ハイブリッド車の加速度を検出するための加速度計を更に具備し、
前記プロセッサが、前記加速度に基づいて前記複数の車輪に付与された前記エンジン速度及び前記エンジントルクをコントロールするように更に構成された構成8に記載のハイブリッド車。
[構成13]
前記ハイブリッド車の速度を検出するための速度センサを更に具備し、
前記プロセッサが、前記速度に基づいて前記複数の車輪に付与された前記エンジン速度及び前記エンジントルクをコントロールするように更に構成された構成8に記載のハイブリッド車。
[構成14]
ローンチコントロールロジックを起動するために信号を前記プロセッサへと送信するように構成されたボタンを更に具備する構成8に記載のハイブリッド車。
[構成15]
ハイブリッド車を発信するための方法であって、
ローンチコントロールロジックのための起動信号を受信する工程と、
駆動装置のためのON信号を受信する工程と、
前記ON信号に応じてエンジンのエンジン速度及びエンジントルクを、複数の車輪の車輪速度及び車輪トルクとは独立させて、前記車輪速度及び前記車輪トルクが実質的に0となるように、エンジンデータ及び車輪スリップデータに基づいてコントロールする工程と、
前記エンジン速度及び前記エンジントルクを上昇させる工程と、
前記駆動装置のためのOFF信号を受信する工程と、
発進を実行するために、前記OFF信号に応じて、前記エンジン速度及び前記エンジントルクを、前記複数の車輪へと、前記エンジンデータ及び前記車輪スリップデータに基づいて付与する工程と、
前記エンジンデータ及び前記車輪スリップデータを更新する工程と、を含む方法。
[構成16]
前記ハイブリッド車が停止され且つ前記ローンチコントロールロジックが停止されたとき、前記エンジン速度を上昇させる工程が、前記エンジン速度を、最大限に可能なエンジン速度よりも高く上昇させる構成15に記載の方法。
[構成17]
前記エンジン速度及び前記エンジントルクを前記複数の車輪へと付与する工程が、車輪スリップを最適化する工程を更に含む、構成15に記載の方法。
[構成18]
前記OFF信号を受信する工程の前に、前記ハイブリッド車を停止させたままにする工程を更に含む、構成15に記載の方法。
[構成19]
前記起動信号を受信する工程及び前記ON信号を受信する工程が、実質的に同時に実行される構成15に記載の方法。
[構成20]
前記エンジンデータ及び前記車輪スリップデータを更新する工程が、次の発進において加速度を最大化するための発進性能データを記憶する工程を更に含む、構成15に記載の方法。