【解決手段】1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(化合物名:プレリキサホル)に代表されるCXCR4拮抗薬をヒトに投与する工程を含む、WHIM症候群の処置又は予防方法。前記CXCR4拮抗薬はG−CSFと併用することが好ましい。前記方法により、低γグロブリン血症、ミエロカセキシス、好中球減少症、白血球減少症、リンパ球減少症、白血球の不適切な輸送に起因する異常、SCID’s、ジフテリア、細菌感染、ウイルス感染、免疫機能低下等の疾患又は病状を処置又は予防することができる。
必要とするヒトにおけるWHIM症候群の処置又は予防方法であって、WHIM症候群を処置又は予防するのに有効な量のCXCR4拮抗薬を該ヒトに投与する工程を含み、ここでCXCR4拮抗薬は、式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
[式中、Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、環員のうちの2〜8個が窒素原子であり、該窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに隔てられており、該複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR2)n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、
又はZ’は、式
−Ar(Y)j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアルキレン鎖に含まれる、アリール、縮合アリール、酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい]
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、上記方法。
CXCR4拮抗薬が、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項1に記載の方法。
CXCR4拮抗薬が、N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−(1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−2−アミノエチル−2−ピリジン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項1に記載の方法。
CXCR4拮抗薬が、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンである、請求項1に記載の方法。
CXCR4拮抗薬が、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項25に記載の医薬組成物。
CXCR4拮抗薬が、N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−(1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−2−アミノエチル−2−ピリジン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項25に記載の医薬組成物。
必要とするヒトにおける、低γグロブリン血症、ミエロカセキシス、好中球減少症、白血球減少症、リンパ球減少症、白血球の不適切な輸送に起因する異常、SCID’s、ジフテリア、細菌感染、ウイルス感染、又は免疫機能の低下から独立して選択される疾患又は病状の処置又は予防方法であって、疾患又は病状を処置又は予防するのに有効な量のCXCR4拮抗薬を該ヒトに投与することを含み、CXCR4拮抗薬が、式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
[式中、
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、環員のうちの2〜8個が窒素原子であり、該窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに隔てられており、該複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR2)n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、
又はZ’は、式
−Ar(Y)j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;そして
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアルキレン鎖に含まれる、アリール、縮合アリール、酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい]
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、上記方法。
CXCR4拮抗薬が、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項28に記載の方法。
CXCR4拮抗薬が、N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−(1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−2−アミノエチル−2−ピリジン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項28に記載の方法。
必要とするヒトにおける、低γグロブリン血症、ミエロカセキシス、好中球減少症、白血球減少症、リンパ球減少症、白血球の不適切な輸送に起因する異常、SCID’s、ジフテリア、細菌感染、ウイルス感染、又は免疫機能の低下から独立して選択される疾患又は病状の処置又は予防のための医薬組成物であって:
式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
[式中、
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、環員のうちの2〜8個が窒素原子であり、該窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに隔てられており、該複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR2)n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、
又はZ’は、式
−Ar(Y)j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;そして
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアルキレン鎖に含まれる、アリール、縮合アリール、酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい]の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体、並びに
薬学的に許容し得る賦形剤又は担体を含有する、上記医薬組成物。
CXCR4拮抗薬が、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若し
くは金属錯体である、請求項50に記載の医薬組成物。
CXCR4拮抗薬が、N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−(1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−2−アミノエチル−2−ピリジン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項50に記載の医薬組成物。
必要とするヒトにおける、WHIM症候群、低γグロブリン血症、ミエロカセキシス、好中球減少症、白血球減少症、リンパ球減少症、白血球の不適切な輸送に起因する異常、SCID’s、ジフテリア、細菌感染、ウイルス感染、又は免疫機能の低下から独立して選択される疾患又は病状の処置又は予防方法であって、
該疾患又は病状の一つを有するヒトにおいてCXCR4突然変異の存在を試験する工程と;
CXCR4突然変異を有するヒトを選択する工程と;
疾患又は病状を処置又は予防するのに有効な量のCXCR4拮抗薬を、選択されたヒトに投与する工程と、を含み、CXCR4拮抗薬が、式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
[式中、
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、環員のうちの2〜8個が窒素原子であり、該窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに隔てられており、該複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR2)n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、
又はZ’は、式
−Ar(Y)j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;そして
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアルキレン鎖に含まれる、アリール、縮合アリール、酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい]
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、上記方法。
CXCR4拮抗薬が、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項53に記載の方法。
CXCR4拮抗薬が、N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−(1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−2−アミノエチル−2−ピリジン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項53に記載の方法。
ミエロカセキシス又はWHIM症候群を有するヒト患者における好中球減少症及び/又はリンパ球減少症を治すための方法であって、好中球減少症及び/又はリンパ球減少症の療治に有効な量のCXCR4拮抗薬をヒトに投与することを含み、CXCR4拮抗薬が、式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
[式中、
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、環員のうちの2〜8個が窒素原子であり、該窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって隔てられており、該複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR2)n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、
又はZ’は、式
−Ar(Y)j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基で
あり、jは、0〜3であり;そして
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアルキレン鎖に含まれる、アリール、縮合アリール、酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい]
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、上記方法。
CXCR4拮抗薬が、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属錯体である、請求項77に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述の文書のいずれも、文書に開示されているCXCR4拮抗薬をWHIM症候群若し
くはミエロカテキシス、又は本明細書に開示した疾病若しくは病状の処置又は予防に使用することに特に言及していない。本明細書に開示するように、本発明者らは、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬が、WHIM症候群及び所定の他の疾病又は病状の処置又は予防−未だ対処されていない有意な医学的必要性−に活性であることを予想外に発見した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書に開示する本発明は、WHIM症候群及び所定の他の疾病若しくは病状の処置又は予防に関する。これらの方法は、WHIM症候群及びこれらの他の疾患又は病状を有する患者のための臨床環境内での使用に関連するが、そのような患者が、病院環境内で実行する必要なく、この方法を行うことができるであろうことを想定している。例えば、そのような患者は、本明細書に開示した方法を自宅で実施することが可能であり得る。
【0016】
一態様において、本発明は、それを必要とするヒトにおけるWHIM症候群の処置又は予防方法に関し、方法は、WHIM症候群を処置又は予防するのに有効な量のCXCR4拮抗薬を前記ヒトに投与することを含み、CXCR4拮抗薬は、式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。(式中
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、前記員環のうちの2〜8個が窒素原子であり、前記窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに分離されており、前記複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR
2)
n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、
又はZ’は、式
−Ar(Y)
j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアリール、縮合アリール、アルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい。)
【0017】
所定の実施形態において、式Iの化合物中、ZとZ’とは同一である。これらの実施形態の所定のものにおいて、Z及びZ’は、両方とも環状ポリアミンであり、所定の実施形態では、環状ポリアミンは、10〜24員を含み、かつ4個の窒素原子を含む。所定のこれらの実施形態では、Z及びZ’は両方とも1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンである。所定の実施形態では、リンカーは、2つのメチレン部分で一括りにされた芳香環である。これらの実施形態の所定のものでは、リンカーは、1,4−フェニレン−ビス−メチレンである。特に好ましい式IのCXCR4拮抗薬は、プレリキサホル(即ち1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。プレリキサホルは、循環CD34
+細胞を増加させる能力を有することが見出されている。
【0018】
式Iの化合物の所定の実施形態において、Z’は、式
−N(R)−(CR
2)
n−X
のものである。
(式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンである。所定の実施形態において、各RはHであり、nは2であり、Xは、置換又は非置換のピリジルである。これらの実施形態の所定のものでは、Z’は、2アミノメチル−ピリジンである。これらの実施形態における化合物は、N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル(1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−2−アミノエチル−2−ピリジン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。)
【0019】
式Iの化合物の所定の実施形態において、化合物は:
3,3’−ビス−1,5,9,13−テトラアザシクロヘキサデカン;
3,3’−ビス−1,5,8,11,14−ペンタアザシクロヘキサデカン;
5,5’−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
2,5’−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
2,6’−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
メチレン(又はポリメチレン)ジ1−N−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−エタンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−プロパンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−ブタンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−ペンタンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−ヘキサンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,3−フェニレン−ビス(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[3,3’−ビフェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,7,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,11’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,6−ピリジン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1−[3,5−ピリジン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,5−チオフェン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[4,4’−(2,2’−ビピリジン)−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,9−(1,10−フェナントロリン)−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,3−フェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,7,10−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,7,10−テ
トラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[5−ニトロ−1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,4,5,6−テトラシクロ−1,3−フェニレンイス(phenyleneis)メチレン)]ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレンビス(メチレン)]ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,4−ナフチレン−ビス−(メチレン)]ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,3−フェニレンビス−(メチレン)]ビス−1,5,9−トリアザシクロドデカン;
1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−1,5,9−トリアザシクロドデカン;
1,1’−[2,5−ジメチル−1,4−フェニレンビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2−ブロモ−1,4−フェニレンビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[6−フェニル−2,4−ピリジンビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,7,11,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15トリエン;
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス[15−クロロ−3,7,11,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ1(17),13,15−トリエン];
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス[15−メトキシ−3,7,11,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ1(17),13,15−トリエン];
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,7,11,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]−ヘプタデカ−13,16−トリエン15−オン;
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]−ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエン;
8,8’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−4,8,12,19−テトラアザビシクロ[15.3.1]ノナデカ−1(19),15,17トリエン;
6,6’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,6,9,15−テトラアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13トリエン;
6,6’−[1,3−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,6,9,15−テトラアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13トリエン;
17,17’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,6,14,17,23,24−ヘキサアザトリシクロ[17.3.1.18,12]テトラコサ 1(23),8,10,12(24),19,21−ヘキサエン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノ−メチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−N−メチル−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−4−(アミノ−メチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−3−(アミノ−メチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−(2−アミノ−メチル−5メチル)ピラジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノ−エチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノ−メチル)チオフェン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノ−エチル)メルカプタン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−アミノ−ベンジルアミン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−4−アミノ−ベンジルアミン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−4−(アミノ−エチル)イミダゾール;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−ベンジルアミン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−プリン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−4−フェニルピペラジン;
1−[2,6−ジメトキシピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2−クロロピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2,6−ジメチルピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2−メチルピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2,6−ジクロロピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2−クロロピリド−5−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
7−[4−メチルフェニル(メチレン)]−4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエン;
N−[4−(1,4,7−トリアザシクロテトラ−デカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[1−(1,4,7−トリアザシクロテトラ−デカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,7,10−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−[4,7,10−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル]−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−[4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル]−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[3−(3,6,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[3−(3,6,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,3−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(4,7,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,7,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[6−(3,6,9−トリアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエニル)−1,3−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(1,7−ジアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,10−ジアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,10,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−フルオロ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11,11−ジフルオロ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(1,4,7−トリアザシクロテトラデカン−2−オニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[12−(5−オキサ−1,9−ジアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−オキサ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−チア−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−スルホキソ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−スルホノ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;及び
N−[4−(3−カルボキソ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン、
又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体から選択される。
【0020】
別の態様では、本発明は、それを必要とするヒトにおけるWHIM症候群又はWHIM症候群に関連した疾病若しくは病状の処置又は予防のための医薬組成物に関し、医薬組成物は:
式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体、(式中、
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、前記員環のうちの2〜8個が窒
素原子であり、前記窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに分離されており、前記複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR
2)
n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、又はZ’は、式
−Ar(Y)
j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアリール、縮合アリール、アルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい;)及び
薬学的に許容し得る希釈剤又は担体を含有する。
【0021】
式Iの化合物の所定の実施形態では、CXCR4拮抗薬は、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。所定の別の実施形態では、CXCR4拮抗薬は、N[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−(1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−2−アミノエチル−2−ピリジン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。
【0022】
所定の実施形態において、本開示は、それを必要とするヒトにおけるWHIM症候群又は本明細書に開示した疾病又は病状の処置又は予防方法に使用される化合物を提供し、方法は、WHIM症候群又は本明細書に開示した疾病若しくは病状を処置又は予防するのに十分な量の化合物を前記ヒトに投与することを含み、化合物は、本明細書に定義した式Iの化合物であるCXCR4拮抗薬である。所定の実施形態において、CXCR4拮抗薬は、プレリキサホルである。
【0023】
別の態様では、本発明は、それを必要とするヒトにおける、低γグロブリン血症、ミエロカテキシス、好中球減少症、白血球減少症、リンパ球減少症、白血球の不適切な輸送に起因する異常、SCID’s、ジフテリア、細菌感染、ウイルス感染、又は免疫機能の低下から独立して選択される疾患又は病状の処置又は予防方法に関し、方法は、疾患又は病状を処置又は予防するのに有効な量のCXCR4拮抗薬を前記ヒトに投与することを含み、CXCR4拮抗薬は、式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。(式中、
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、前記員環のうちの2〜8個が窒素原子であり、前記窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに分離されており、前記複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR
2)
n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、又はZ’は、式
−Ar(Y)
j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又は複素芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアリール、縮合アリール、アルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい。)
【0024】
所定の実施形態において、CXCR4拮抗薬は、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。
【0025】
別の態様では、本発明は、それを必要とするヒトにおける、低γグロブリン血症、ミエロカテキシス、好中球減少症、白血球減少症、リンパ球減少症、白血球の不適切な輸送に起因する異常、SCID’s、ジフテリア、細菌感染、ウイルス感染、又は免疫機能の低下から独立して選択される疾患又は病状の処置又は予防のための医薬組成物に関し、医薬組成物は:
式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体、(式中、
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、前記員環のうちの2〜8個が窒素原子であり、前記窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに分離されており、前記複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR
2)
n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、又はZ’は、式
−Ar(Y)
j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアリール、縮合アリール、アルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい;)及び
薬学的に許容し得る希釈剤又は担体を含有する。
【0026】
別の態様では、本発明は、それを必要とするヒトにおける、WHIM症候群、低γグロブリン血症、ミエロカテキシス、好中球減少症、白血球減少症、リンパ球減少症、白血球の不適切な輸送に起因する異常、SCID’s、ジフテリア、細菌感染、ウイルス感染、又は免疫機能の低下から独立して選択される疾患又は病状の処置又は予防方法に関し、方法は、
疾患又は病状の1つを有するヒトにおいてCXCR4突然変異の存在を試験することと;
CXCR4突然変異を有するヒトを選択することと;
疾患又は病状を処置又は予防するのに有効な量のCXCR4拮抗薬を、選択されたヒトに投与することと、を含み、CXCR4拮抗薬は、式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。(式中、
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、前記員環のうちの2〜8個が窒素原子であり、前記窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに分離されており、前記複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR
2)
n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状又は環状アルキル(1−6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、又はZ’は、式
−Ar(Y)
j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアリール、縮合アリール、アルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい。)
【0027】
所定の実施形態において、CXCR4拮抗薬は、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。
【0028】
所定の実施形態において、ミエロカテキシス又はWHIM症候群を有するヒト患者は、CXCR4突然変異R334又はS324fs365を有する。
【0029】
所定の実施形態において、CXCR4拮抗薬は、1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての、当技術分野の用語、表記、及び他の科学用語又は専門用語は、本発明が関係する当業者により通常理解される意味を有するものとする。いくつかの場合、通常理解される意味を有する用語は、明確さのため及び/又は参考までに定義され、本明細書にそのような定義を含むことは、必ずしも当技術分野にて一般に理解されているものとの実質的な相違を表すと解釈されるべきではない。本明細書に記載又は参照した技術及び手順の多くは、当業者により良く理解され、また従来の方法論を用いて通常的に使用される。市販のキット及び試薬の使用を含む手順は、特に記さない限り、一般に製造業者のプロトコル及び/又はパラメータに従って適宜行われる。
【0032】
本明細書に提供した一般的方法の詳解は、例示のみを目的とするものである。他の方法
及び実施形態は、本開示を再検討した後に当業者に明らかとなるであろう。
【0033】
定義:
本明細書で使用される用語「a」又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味する。接続詞「又は」で結合されている品目の群は、特に明白に述べない限り、その群の間での排他性を必要とするとして読まれるべきではなく、「及び/又は」としても読まれるべきである。
【0034】
本明細書で使用される用語「処置」又は「処置する」は、病状、疾患又は疾病の症状が回復し又は別様に有益に変化する任意の方法を指す。病状、疾患又は疾病の完全な根絶は必要ではない。特定の疾患の症状の回復は、本発明の治療的組成物の投与又は対応する方法及び組み合わせ療法に起因し又は関連し得る、永久的又は一時的の何れかの症状の任意の低下を指す。処置はまた、本明細書に開示した方法による組成物の医薬的使用も包含する。
【0035】
本明細書で使用される用語「投与」又は「投与する」は、本明細書に開示した化合物又は組成物をヒト対象に提供する任意の好適な方法を指す。この用語は、任意の特定の投与モード又は経路に限定するものではない。
【0036】
本明細書で使用される用語、化合物又は組成物などの「有効量」又は「有効な量」又は「治療的有効量」は、殆どの患者又は個人に、無毒であるが所望の治療的又は予防的効果を提供するのに十分な量を指す。薬理学的に活性な化合物の有効量は、投与経路、並びに薬物又は薬理学的に活性な薬剤が投与される個人の年齢、体重、及び性別に応じて変動し得る。本開示の利益を提供される当業者は、異なる投与経路に関して本明細書に更に開示される単位用量範囲内での投与後に化合物の血漿レベルに影響を与える代謝、バイオアベイラビリティ、及び他の因子を考慮に入れることにより、適切な有効量を決定することが可能となる。
【0037】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容し得る塩」は、結果として得られる任意の実質的な望ましくない生物学的効果(1つ又は複数)、又は、医薬組成物に含まれ得る医薬組成物の任意の他の構成成分による、結果として得られる任意の有害な相互作用(1つ又は複数)を有することなく投与され得る、本明細書に開示した化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩又は薬学的に許容し得る塩基付加塩の何れかを意味する。
【0038】
本明細書で使用される用語「プロドラッグ」は、生命体内で自発的又は酵素的の何れかで生体内変換されて活性薬物を放出することを必要とする親薬物分子の薬理学的誘導体を意味する。例えば、プロドラッグは、切断された際に式Iの化合物となる、所定の代謝条件下で切断可能な基を有する式Iの化合物の変形物又は誘導体である。そのようなプロドラッグは、次いで生理学的条件下で加溶媒分解を受け、又は酵素的分解を受けた際にインビボで薬学的に活性となる。本明細書のプロドラッグ化合物は、生命体内での活性物質の放出に必要な生体内変換ステップの数、及び前駆体型の形態内に存在する官能基の数に応じて、一重、二重、三重などと称され得る。プロドラッグ形態は、多くの場合、可溶性、組織適合性、又は哺乳動物生命体内での遅延放出の利点を提供する(Bundgard,Design of Prodrugs,pp.7−9,21−24,Elsevier,Amsterdam 1985 and Silverman,The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,pp.352−401,Academic Press,San Diego,Calif.,1992参照)。当技術分野にて通常知られているプロドラッグには、例えば、親酸を好適なアルコールと反応させることにより調製されたエステル、親酸化合物をアミンと反応させることにより調製されたアミド、塩基性基を反応させて形成されたアシ
ル化塩基誘導体などの周知の酸誘導体が挙げられる。勿論、他のプロドラッグ誘導体を、本明細書に開示した他の特徴と組み合わせて、バイオアベイラビリティを向上させてもよい。
【0039】
上記に指摘したように、本発明者らは、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬が、WHIM症候群として既知の希な疾病の処置又は予防のための活性成分として潜在的に有用であることを発見した。WHIM症候群を処置する認可された薬物は現在存在せず、そのような処置が使用できない場合、WHIM症候群に苦しむ患者は、最終的に死ぬ場合がある。従って、このことは、未だ対処されていない有意な医学的必要性の臨床範囲である。
【0040】
慢性非環状好中球減少症により特徴付けられるWHIM症候群(疣贅、低γグロブリン血症、免疫不全及びミエロカテキシス)は、多様な方法でヒト患者内に現れる。例えば、WHIM症候群と診断されたヒト対象又は患者は、患者が普通に生活できなくなり得る程度に手及び足に疣贅を有する場合がある。WHIM症候群に罹患した患者は、特に共通の血清型HPVからの、細菌及びウイルス感染に高い易罹患性を有し、小児期に発生が開始し得る疣贅がもたらされる場合がある。ミエロカテキシスは、骨髄内での好中球の維持を指す。WHIM症候群は、多くの場合不十分なレベルのリンパ球及び抗体レベル(γグロブリン)により特徴付けられる。
【0041】
WHIM症候群は、10残基と19残基との間の受容体のカルボキシ末端トランケーションをもたらす、CXCR4遺伝子内の常染色体優性突然変異から生じ得る。Hernandez,et al.,Nat.Genet.,34(1):70−74(2003);Kawai,T.,et al.,Blood,109(1):78−84(2007);Aprikyan,A.A.G,et al.,Blood,95,320−327(2000)。遺伝子突然変異体は、2q21上に位置している。この受容体タンパク質のトランケーションのために、刺激後に下方調節することが不可能であり、受容体を活性状態に残留させると考えられる。Lagane,et al.,Blood,112(1):34−44(2008)。理論に束縛されるものではないが、WHIM症候群は、細胞シグナル伝達及び輸送の役割に関連していると考えられる。
【0042】
活性医薬成分としてのCXCR4拮抗薬:
本明細書に開示した方法及び組成物に好適なCXCR4拮抗薬は、式I:
Z−リンカー−Z’ (I)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体を含む。(式中
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、前記員環のうちの2〜8個が窒素原子であり、前記窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに分離されており、前記複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR
2)
n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、
又はZ’は、式
−Ar(Y)
j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアリール、縮合アリール
、アルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい。)
【0043】
本明細書に開示した方法及び組成物に好適なCXCR4拮抗薬は、式
Z−リンカー−Z’ (I)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩も含む。(式中
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、前記員環のうちの2〜8個が窒素原子であり、前記窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに分離されており、前記複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;又は
Zは、式
【化1】
のものであり、
式中、Aは、少なくとも1つのNを含む短環式又は二環式縮合環系であり;
Bは、H、又は1〜20個の原子からなる有機部分であり、
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR
2)
n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、
nは、1又は2であり;
Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり;
「リンカー」は、結合、アルキレン(1−6C)を表し、又はアリール、縮合アリール、及び/若しくはアルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでもよく、並びに/又はケト基及び/若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい。)
【0044】
本明細書に開示した方法及び組成物に好適なCXCR4拮抗薬は、式
Z−R−A−R’−Y
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体も含む。(式中、Z及びYは、9〜20個の環員を有し、かつ2つ以上の炭素原子により互いに離間された3〜6個のアミン窒素を環内に有する同一の環状ポリアミン部分であり、Aは、芳香族又はキノリン以外のヘテロ芳香族部分であり、R及びR’は各々、Z内及びY内のアミン窒素原子に結合したメチレンであり、アミン窒素は、それ以外は非置換である。)
【0045】
上記の式において、環状ポリアミン部分は、置換又は非置換であってもよく、好適な置換基は、例えば10個までの炭素原子と任意の他の原子とからなるアルキル及び/若しくはアリール基、並びに化合物の活性若しくは毒性に実質的に悪影響を与えない基である。所定の実施形態では、環状ポリアミン部分は、10〜15個の環員と、環内に3つ又は4つのアミン窒素原子とを有する。
【0046】
芳香族又はヘテロ芳香族部分Aは、結合基R及びR’を介してYとZを繋ぐ。部分Aは、フェニル又はナフチルなどの縮合芳香族、ピリジル又はチオフェニルなどのヘテロ環、縮合ヘテロ環又は連結芳香族及び/若しくは連結ヘテロ芳香族、例えば各々ビフェニル又
はビピリジルであってもよい。部分Aはまた、単一又は複数の非結合位置において電子供与基、例えばアルキル、チオ、チオアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ及びそれらの誘導体、又は電子吸引基若しくは原子、例えばニトロ、ハロゲン、カルボキシ、カルボキサミド、スルホン酸及びそれらの誘導体で置換されてもよい。
【0047】
本明細書に開示した方法及び組成物に好適なCXCR4拮抗薬は、式
Z−R−A’−R’−Y (Ia)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体、(式中、Z、Y、R及びR’は、上記に定義した通りであり、R及びR’は、Z及びY内の窒素原子に結合し、A’は、非置換又は置換された芳香族又はキノリン以外のヘテロ芳香族部分であるが、但しZ及びYが14員のテトラアザ環の場合、A’は非置換フェニレンではないことを条件とする)及びそれらの酸付加塩及び金属複合体も含む。
【0048】
本明細書に開示した方法及び組成物に好適なCXCR4拮抗薬は、式
Z−R−A−R’−Y
の化合物も含み、
式中、Z及びYは、10〜15個の環員を有し、かつ2つ以上の炭素原子により互いに離間された3〜4個のアミン窒素を環内に有する同一の環状ポリアミン部分であり、前記アミン窒素のみが環ヘテロ原子であり、
Aは、非置換の芳香族又はキノリン以外のヘテロ芳香族部分であり;
R及びR’は各々、Z内及びY内の窒素原子に結合したメチレンであり、アミン窒素原子は、それ以外は非置換である。
【0049】
本明細書に開示した方法及び組成物に好適なCXCR4拮抗薬は、米国特許第7,423,007号明細書及び米国特許出願公開第2004/0171552号明細書に記載されているCXCR4拮抗薬を含むCXCR4拮抗薬のBKT140;AVR118;NIBR−1816;米国特許第7,399,776号明細書並びに米国特許出願公開第2006/0160860号明細書及び米国特許出願公開第2008/0058382号明細書に記載されているCXCR4拮抗薬を含むTG−0054;MSX−122;又はPCT国際公開第2008/104090号パンフレットに記載されているCXCR4拮抗薬を含むPOL−6326/POL−2438/POL−3026も含む。所定の実施形態では、拮抗薬は、モノクローナル抗体などの抗体、又はその免疫反応性断片であってもよい。前述の全文書の内容は、全目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
本明細書に開示した方法及び組成物に好適なCXCR4拮抗薬は、線状ペプチド、環状ペプチド、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及びペプチド模倣化合物のCXCR4拮抗薬も含むが、これらに限定されない。そのような化合物の例には、T22(Murakami,T.,et al.,J.Exp.Med.(1997)186:1389−1393);T134(Arakaki,R.,et al.,J.Virol.(1999)73:1719−1723;T140(Tamamura,H.,et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.(1998)253:877−882)並びにPCT国際公開第2008/008854号パンフレットに示されているその類似体TC14012及びTN14003(Tamamura,H.,et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.(2001)11:1897−1902;Mori,T.,et al.,Mol.Cancer Ther.(2004)3:29−37;Burger,M.,et al.,Blood(2005)106:1824−1830);ALX40−4C(Doranz,B.J.,et al.,J.Exp.Med.(1997)186:13951400;Donzella,G.A.,Nat.Med.(1998)4:72−77;Doranz,B.J.,et al.,AIDS Res.Hum.Retrovir.(2001)17:475−486);RCP
168(Zeng,Z.,et al.,Mol.Cancer Ther.(2006)5:3113−3121);CTCE−0021(Pelus,L.M.,et al.,Exp.Hematol.(2005)33:295−307);CTCE−0214及びCTCE−9908(Zhong,R.,et al.,Exp.Hematol.(2004)32:470−475;Kim,S.Y.,et al.,AACR Meeting Abstracts(2005)Abstract 256;PCT国際公開第01/76615号パンフレット及び国際公開第01/85196号パンフレット;米国特許出願公開第2007/0160574号明細書及び関連出願);KRH−1120(Yamamoto,N.,et al.,J.AIDS Res.(2000)2:453−460);KRH−1636(Ichiyama,K.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2003)100:4185−4190);KRH−2731/CS−3955(Muraka mi T.,et al.,Abstracts of the 11th Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections(2004)Abstract 541;PCT国際公開第06/095542号パンフレット及び国際公開第02/094261号パンフレット);及びPCT国際公開第99/47158号パンフレットに記載されているCXCR4拮抗薬;国際公開第99/50461号パンフレット;国際公開第00/09152号パンフレット;国際公開第01/94420号パンフレット;及び国際公開第03/090512号パンフレットが挙げられる。
【0051】
本明細書に開示した注目すべきCXCR4拮抗薬化合物は、以下の化合物:
3,3’−ビス−1,5,9,13−テトラアザシクロヘキサデカン;
3,3’−ビス−1,5,8,11,14−ペンタアザシクロヘキサデカン;
5,5’−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
2,5’−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
2,6’−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
メチレン(又はポリメチレン)ジ1−N−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−エタンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−プロパンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−ブタンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−ペンタンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−(1,2−ヘキサンジイル)ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,3−フェニレン−ビス(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[3,3’−ビフェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
11,11’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,7,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,11’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,6−ピリジン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1−[3,5−ピリジン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,5−チオフェン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[4,4’−(2,2’−ビピリジン)−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,9−(1,10−フェナントロリン)−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,3−フェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,7,10−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,7,10−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[5−ニトロ−1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス−1,4,8,11−「テトラアザシクロテトラデカン」;
1,1’−[2,4,5,6−テトラシクロ−1,3−フェニレンイス(phenyleneis)メチレン)]ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレンビス(メチレン)]ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,4−ナフチレン−ビス−(メチレン)]ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[1,3−フェニレンビス−(メチレン)]ビス−1,5,9−トリアザシクロドデカン;
1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−1,5,9−トリアザシクロドデカン;
1,1’−[2,5−ジメチル−1,4−フェニレンビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[2−ブロモ−1,4−フェニレンビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1,1’−[6−フェニル−2,4−ピリジンビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,7,11,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15トリエン;
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス[15−クロロ−3,7,11,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ1(17),13,15−トリエン];
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス[15−メトキシ−3,7,11,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ1(17),13,15−トリエン];
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,7,11,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]−ヘプタデカ−13,16−トリエン15−オン;
7,7’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]−ヘプタデカ−1(17),13,15トリエン;
8,8’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−4,8,12,19−テトラアザビシクロ[15.3.1]ノナデカ−1(19),15,17トリエン;
6,6’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,6,9,15−テトラアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13トリエン;
6,6’−[1,3−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,6,9,15−テトラアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13トリエン;
17,17’−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−3,6,14,17,23,24−ヘキサアザトリシクロ[17.3.1.18,12]テトラコサ1(23),8,10,12(24),19,21−ヘキサエン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノ−メチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−N−メチル−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−4−(アミノ−メチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−3−(アミノ−メチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−(2−アミノ−メチル−5メチル)ピラジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノ−エチル)ピリジン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノ−メチル)チオフェン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノ−エチル)メルカプタン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−アミノ−ベンジルアミン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−4−アミノ−ベンジルアミン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−4−(アミノ−エチル)イミダゾール;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−ベンジルアミン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−プリン;
N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−4−フェニルピペラジン;
1−[2,6−ジメトキシピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2−クロロピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2,6−ジメチルピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2−メチルピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2,6−ジクロロピリド−4−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
1−[2−クロロピリド−5−イル(メチレン)]−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;
7−[4−メチルフェニル(メチレン)]−4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエン;
N−[4−(1,4,7−トリアザシクロテトラ−デカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[1−(1,4,7−トリアザシクロテトラ−デカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1
(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,7,10−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−[4,7,10−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル]−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−[4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル]−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[3−(3,6,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[3−(3,6,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,3−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(4,7,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,7,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[6−(3,6,9−トリアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエニル)−1,3−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(1,7−ジアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,10−ジアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[7−(4,10,17−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−フルオロ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11,11−ジフルオロ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(1,4,7−トリアザシクロテトラデカン−2−オニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[12−(5−オキサ−1,9−ジアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2−(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−オキサ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−チア−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−スルホキソ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;
N−[4−(11−スルホノ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン;及び
N−[4−(3−カルボキソ−1,4,7−トリアザシクロテトラデカニル)−1,4−フェニレンビス(メチレン)]−2(アミノメチル)ピリジン、
又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。
【0052】
CXCR4拮抗薬の製造方法:
上記したように、本出願人らの1人は、プレリキサホルを含む本明細書に開示したCXCR4拮抗薬の所定のものを調製する方法を米国特許第5,612,478号明細書;米国特許第5,756,728号明細書;米国特許第5,801,281号明細書;及び米国特許第5,606,053号明細書;米国特許第6,489,472号明細書及びPCT国際公開第02/26721号パンフレットにて以前に開示している。本願及び本出願人らが以前開示した出願の利益を提供された当業者は、式Iを含むがこれに限定されない本明細書に開示したCXCR4拮抗薬を製造することが容易に可能となる。これらの全文書の開示は、全目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
活性医薬成分(API)誘導体:
本開示の範囲内には、本明細書に開示した化合物の薬学的に許容し得る全ての塩、プロドラッグ、互変異性体、水和物及び溶媒和物も含まれる。本来塩基性の本明細書に開示した化合物は、様々な無機酸及び/又は有機酸と共に非常に様々な異なる塩を形成することが可能である。そのような塩は、概して動物及びヒトへの投与に薬学的に許容し得るが、最初に、化合物を反応混合物から薬学的に許容し得ない塩として単離し、次いで薬学的に許容し得ない塩をアルカリ試薬を用いた処理により遊離塩基性化合物に単に変換し戻し、続いて遊離塩基を薬学的に許容し得る酸付加塩に変換することが、多くの場合望ましい。塩基性化合物の酸付加塩は、従来の技術を使用して、例えば塩基性化合物を、水性溶媒媒体中、又は例えばメタノール又はエタノールなどの好適な有機溶媒中で、実質的に等価な量の選択された鉱酸又は有機酸を用いて処理することにより、容易に調製することができる。溶媒を注意深く蒸発させた後、所望の固体塩が得られる。
【0054】
塩基性化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩の調製に使用され得る酸は、無毒の酸付加塩を形成できるものであり、即ち、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩又は重硫酸塩、リン酸塩又は酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩又は酸性クエン酸塩、酒石酸塩又は酒石酸水素塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカラート、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩及びパモ酸塩[即ち1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩)]などの薬理学的に許容し得る陰イオンを含む塩である。例えばCOOH又はテトラゾール部分を含む、本来酸性の本明細書に開示した化合物は、概して、様々な無機及び/又は有機塩基と共に非常に様々な異なる塩を形成することが可能である。そのような塩は、概して動物及びヒトへの投与に薬学的に許容し得るが、最初に、化合物を反応混合物から薬学的に許容し得ない塩として単離し、次いで薬学的に許容し得ない塩を酸性試薬を用いた処理により遊離酸化合物に単に変換し戻し、続いて遊離酸を薬学的に許容し得る塩基付加塩に変換することが、多くの場合望ましい。これらの塩基付加塩は、従来の技術を使用して、例えば対応する酸性化合物を、薬理学的に許容し得る所望の陽イオンを含む水性溶液を用いて処理した後、得られた溶液を、所定の実施形態では減圧下で、乾燥するまで蒸発させることにより容易に調製することができる。代替的に、塩基付加塩は、酸性化合物の低級アルカノール(alkanolic)溶液を所望のアルカリ金属アルコキシドと一緒に混合した後、得られた溶液を以前と同様の方法で乾燥するまで蒸発させることによっても調製することができる。いずれの場合でも、反応の完了及び所望の固体塩の最大の生成物収率を確実にするように化学量論的量の試薬を使用する。
【0055】
塩基性化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩の調製に使用され得る塩基は、無毒の塩基付加塩、即ち、アルカリ金属陽イオン(例えばカリウム及びナトリウム)、アルカリ土
類金属陽イオン(例えばカルシウム及びマグネシウム)、アンモニウムなどの、薬理学的に許容し得る陽イオンを含む塩、又は、N−メチルグルカミン−(メグルミン)、低級アルカノールアンモニウム及び他のそのような有機アミンの塩基などの他の水溶性アミン付加塩を形成できるものである。
【0056】
本明細書に開示した化合物の無毒の不安的な金属複合体も、本発明の活性化合物である。本文脈における無毒は、処置しない感染患者に関する診断を参照して考慮する必要がある。銅及び亜鉛複合体は、注目すべき金属複合体であるが、ニッケルなどの他の金属も考慮し得る。コバルト及びロジウムなどの不安定性が低い金属原子は、銅及び亜鉛と比較して低い選択性を有し得る。
【0057】
本開示の範囲内には、同位体標識した化合物も含まれる。本明細書で使用される「同位体標識した化合物」は、1つ以上の原子が、通常天然に見出される原子質量又は原子質量数とは異なる原子質量又は原子質量数を有する原子で置き換えられている、各々本明細書に記載したような、その医薬塩及びプロドラッグを含む本明細書に開示した化合物を指す。本明細書に開示した化合物中に組み込まれ得る同位体の例には、各々
2H、
3H、
13C、
14C、
15N、
18O、
17O、
31P、
32P、
35S、
18F及び
36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体が挙げられる。本明細書に開示した化合物を同位体標識することによって、化合物は薬物及び/又は基質基質組織分布のアッセイに有用となり得る。三重水素化された(
3H)及び炭素−14(
14C)標識化合物は、それらの調製の容易さ、及び検出性から特に好ましい。更に、重水素(
2H)などの重質の同位体による置換により、代謝安定性の増大、例えばインビボでの半減期の増大、又は投与量必要性の低減から生じる所定の治療的利点が得られる場合があり、従って、ある状況では好ましい場合がある。その医薬塩及びプロドラッグを含む同位体標識した本明細書に開示した化合物は、当技術分野にて既知の任意の手段により調製することができる。
【0058】
本開示の範囲内には、本明細書に開示した化合物の立体異性体(例えばシス及びトランス異性体)及び全ての光学異性体(例えばR及びSエナンチオマー)、並びにラセミ体、ジアステレオマー及びそのような異性体の他の混合物が含まれる。
【0059】
本明細書に開示した化合物、塩、プロドラッグ、水和物及び溶媒和物は、エノール及びイミン形態、ケト及びエナミン形態、並びにそれらの幾何異性体及び混合物を含む数個の互変異性型で存在してもよい。互変異性体は、溶液中で一組の互変異性型の混合物として存在する。固体形態では、通常1つの互変異性体が優勢である。1つの互変異性体が記載され得る場合でも、全部の互変異性体が本開示の範囲内に含まれる。アトロプ異性体も本開示の範囲内に含まれる。アトロプ異性体は、回転的に制限される異性体に分離され得る化合物を指す。
【0060】
投与:
本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、WHIM症候群及び所定の他の疾患又は病状の処置又は予防のために、単一の大量瞬時投与量として、ある時間に亘る用量として、又は多回投与量で投与され得る。所定の実施形態では、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬又はそれらのCXCR4拮抗薬を含有する医薬組成物の各単位用量は、ヒト患者の体重、投与経路及び他の因子に応じた可変量として投与される。代表的な単位用量、特にプレリキサホルに関する単位用量は、1.2mLの20mg/mL溶液を含む皮下投与用の単回使用バイアルである。ここで20mg/mL溶液は、1mLの溶液中に20mgのCXCR4拮抗薬(API)が存在する用量の強度である。
【0061】
本明細書に開示したWHIM症候群、及び疾患又は病状の処置又は予防のためのCXC
R4拮抗薬の好適な投与量範囲は、これらの検討事項に従って変動するが、一般に、化合物は、約0.01μg/kg〜10mg/kg体重の範囲内で投与される。所定の実施形態において、特にCXCR4拮抗薬が非経口的に投与される場合、CXCR4拮抗薬の用量範囲は、0.02mg/kg〜0.24mg/kgである。従って、典型的な70kgのヒト対象では、投与量範囲は、約2.8mg〜約16.8mgである。所定の実施形態において、CXCR4拮抗薬の用量範囲は、0.04mg/kg〜0.24mg/kgである。所定の実施形態において、CXCR4拮抗薬の用量範囲は、0.02mg/kg〜0.72mg/kgである。所定の実施形態において、CXCR4拮抗薬は、0.02mg/kg、0.04mg/kg、0.08mg/kg、0.24mg/kg、0.48mg/kg、0.72mg/kgにて投与される。所定の実施形態において、CXCR4拮抗薬は、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.07mg/kg、0.08mg/kg、0.09mg/kg、0.10mg/kg、0.11mg/kg、0.12mg/kg、0.13mg/kg、0.14mg/kg、0.15mg/kg、0.16mg/kg、0.17mg/kg、0.18mg/kg、0.19mg/kg、0.20mg/kg、0.21mg/kg、0.22mg/kg、0.23mg/kg、0.24mg/kg、0.48mg/kg、0.72mg/kgにて投与される。
【0062】
所定の実施形態において、特にWHIM症候群、及び本明細書に開示した疾患又は病状の処置又は予防のためにCXCR4拮抗薬が経口投与される場合、約0.1mg〜約2000mgである。所定の実施形態において、提案される用量は、単位用量当たり約0.1mg〜約200mgの活性成分である。
【0063】
WHIM症候群、及び本明細書に開示した疾患又は病状の処置又は予防のためのCXCR4拮抗薬の用量の量に係わらず、化合物又は組成物は、1日置き(QOD)、1日1回(QD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)又は1日4回(QID)生じてもよく、用量はこれらの各間隔中で同一又は異なってもよい。例えば、BID投与計画では、CXCR4拮抗薬を含有する組成物は、第一の投与中に0.24mg/kg、その日の第二の投与中に0.48mg/kg投与されてもよい。
【0064】
所定の実施形態において、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、WHIM症候群又は本明細書に開示した疾患若しくは病状の慢性処置に使用される。本明細書に説明するように、例えばミエロカテキシスを有する患者は、概して乏しい骨髄健康を有する。薬物により達成される改善された骨髄健康を獲得及び保持するために、例えばプレリキサホルの慢性処置が必要があり得る。慢性処置によれば、患者はプレリキサホルなどのCXCR4拮抗薬を連続的に投与されて、薬物により達成される利益(例えば改善された骨髄健康)を維持する。
【0065】
代替的な実施形態では、WHIM症候群又は本明細書に開示した疾患若しくは病状を有する患者の処置に、急性治療が可能であり得る。これらの実施形態によれば、例えばミエロカテキシスを有する患者は最初、例えばプレリキサホルで処置されて、骨髄から死んだ及び死にかけた好中球及び他の細胞を排除することにより骨髄健康が改善される。患者が正常な造血を達成した後、処置が停止されると、そのような正常な造血が更なるプレリキサホル処置を行うことなく維持される。
【0066】
加えて、CXCR4拮抗薬は、直前に述べた投与計画の1つ以上に従って、1〜10日間の範囲で投与されてもよい。所定の実施形態では、CXCR4拮抗薬は、2〜4日間投与される。これらの実施形態では、CXCR4拮抗薬は、QDで2〜4日間投与される。
【0067】
それ故、必要な投与量は勿論、投与モード、処置される特定の病状、及び所望の効果に
応じて変動するであろうことが明かである。本願の利益を提供される本願の利益を提供される当業者は、WHIM症候群、及び本明細書に開示した疾患又は病状を有するヒト患者の処置に好適であろう投与量計画を考案できるであろう。
【0068】
投与経路:
選定される投与経路は、個々の対象又は患者、対象の処置される病状の性質、及び一般に、主治医の判断に合わされるであろう。
【0069】
所定の実施形態において、本明細書に開示した化合物及び医薬組成物は、例えば筋内、腹腔内、静脈内、大槽内、関節内、又は皮下の注射又は注入を介して非経口経路により投与される。本明細書に開示した注目すべき1つのCXCR4拮抗薬、プレリキサホルは、一般に皮下経路により投与されるが、時には臨床環境内で静脈内投与される。慢性処置によれば、プレリキサホルは連続注入により投与されてもよい。
【0070】
注射以外に他の投与経路も使用することができる。所定の実施形態では、本明細書に開示した化合物及び医薬組成物は、経口経路により投与される。所定の実施形態では、本明細書に開示した化合物及び医薬組成物は、局所又は経皮経路により投与される。
【0071】
医薬組成物:
本願の利益を提供される当業者は、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬を含有する適切な医薬組成物が、主治医により選定された投与経路に基づいて好適に処方され得ることを認識するであろう。
【0072】
そのような医薬組成物は、少なくとも1つの本明細書に開示した化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る希釈剤又は担体とを含有するであろう。本明細書に開示した化合物の医薬組成物は、例えば、少なくとも1つの本明細書に開示した化合物を、薬学的に許容し得る希釈剤又は担体と混合することを含む、当技術分野にて既知の従来の手段により調製されてもよい。CXCR4拮抗薬は、当技術分野にて周知の一般に理解される処方技術を使用して、対象又は患者に投与するために処方されてもよい。特定の投与モードと、本発明にて有用な化合物とに好適な製剤は、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21
st edition,Lippincott Williams & Wilkins,Hagerstown,MDに見出すことができる。
【0073】
本明細書に開示した医薬組成物は、ヒト患者での使用を意図している。それ故、本明細書に開示した化合物は、経口、頬内、非経口(例えば静脈内、筋内又は皮下)、局所、直腸若しくは鼻腔内投与を含む本明細書に開示した任意の投与経路用の医薬組成物として、又は、吸入若しくは吸引による投与に好適な形態で処方されてもよい。本明細書に開示した化合物はまた、当業者に周知の方法による持続送達用に処方されてもよい。そのような製剤の例は、米国特許第3,119,742号明細書,米国特許第3,492,397号明細書,米国特許第3,538,214号明細書,米国特許第4,060,598号明細書及び米国特許第4,173,626号明細書に見出すことができる。
【0074】
経口投与のために、医薬組成物は、結合剤(例えばα化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば乳糖、微結晶セルロース又はリン酸カルシウム);滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);錠剤崩壊剤(例えばジャガイモ澱粉又は澱粉グリコール酸ナトリウム);及び/又は湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容し得る賦形剤(1つ又は複数)を用いて、従来の手段により調製された、例えば錠剤又はカプセル剤の形態をとってもよい。錠剤は、当技術分野にて周知の方法により被覆されてもよい。経口投与
用の液体製剤は、例えば、液剤、シロップ剤又は縣濁剤の形態をとってもよく、又は使用前に水又は他の好適なビヒクルを用いて再構成される乾燥製品として存在してもよい。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース又は水素化食用脂);乳化剤(例えばレシチン又はアカシア);非水性ビヒクル(例えばアーモンド油、油性エステル又はエチルアルコール);及び/又は保存剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸)などの薬学的に許容し得る添加剤(1つ又は複数)を用いて、従来の手段により調製されてもよい。
【0075】
頬内投与のために、組成物は、従来の方法で処方された錠剤又はロゼンジの形態をとり得る。
【0076】
本明細書に開示した化合物は、従来のカテーテル技術又は注入の使用を含む、注射による非経口投与用に処方されてもよい。注射用の製剤は、添加された保存剤と共に、単位剤形、例えばバイアル、アンプル又は多回投与用容器内に存在してもよい。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の縣濁液、溶液又は乳液などの形態をとってもよく、また当業者により認識される懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの処方薬剤を含んでもよい。組成物は、リポソーム又は他の好適な担体を含んでもよい。静脈内注射のために、溶液は、ハンクス溶液などの標準的な製剤を使用して、等張等浸透圧に作製される。代替的に、活性成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば発熱性物質除去蒸留水を用いて再構成される粉末形態にあってもよい。本明細書に開示した注目すべき1つのCXCR4拮抗薬、プレリキサホルは、一般に、1.2mLの20mg/mL溶液を収容する単回使用バイアル内に存在し、バイアルは、必要であれば塩酸及び水酸化ナトリウムを用いてpH6.0〜7.5に調整された注射用蒸留水中の24mgのプレリキサホル及び5.9mgの塩化ナトリウムを収容する。
【0077】
局所投与のために、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、軟膏又はクリームとして処方されてもよい。
【0078】
本明細書に開示したCXCR4拮抗薬はまた、例えばココアバター又は他のグリセリドなどの従来の坐薬ベースを含む、坐薬又は停留浣腸などの直腸組成物に処方されてもよい。
【0079】
鼻腔内投与、又は吸入による投与のために、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、患者により圧迫又は揚送されるポンプ式噴霧容器からの溶液又は縣濁液の形態で、又は、好適な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適な気体を使用することにより圧力容器又はネブライザーからのエアゾル噴霧形態として都合よく送達されることができる。加圧されたエアゾルの場合、投与量単位は、計量された量を送達する弁を提供することにより決定することができる。圧力容器又はネブライザーは、本明細書に開示した化合物の溶液又は縣濁液を収容することができる。本明細書に開示した化合物と、乳糖又は澱粉などの好適な粉末ベースとの粉末混合物を含む、吸入器又は通気器内で使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えばゼラチンから形成された)を処方してもよい。
【0080】
平均的な成人ヒトにおける、上記に言及した病状の処置又は予防のためのエアゾルの組み合わせ製剤は、エアゾルの計量された各用量又は「一吹き」が、約0.01mg〜約1000mgの本明細書に開示した化合物を含むように構成される。投与は、1日数回、例えば2、3、4又は8回であってもよく、各回に例えば1、2又は3用量を提供する。
【0081】
方法:
上述したように、本明細書に開示した化合物及び組成物は、ヒトにおけるWHIM症候
群又はWHIM症候群に関連した疾病若しくは病状の処置又は予防に有用である。そのような方法は、WHIM症候群を処置又は予防するのに有効な量のCXCR4拮抗薬をヒト、一般に患者に投与することにより行われる。
【0082】
所定の実施形態において、WHIM症候群に関連したWHIM症候群又は疾病又は病状の処置又は予防に使用されるCXCR4拮抗薬は、式I、
Z−リンカー−Z’ (I)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは金属複合体である。(式中
Zは、9〜32個の環員を含む環状ポリアミンであり、前記員環のうちの2〜8個が窒素原子であり、前記窒素原子は、少なくとも2個の炭素原子によって互いに分離されており、前記複素環は、場合により窒素に加えて追加のヘテロ原子を含んでもよく、及び/又は追加の環系に縮合されていてもよく;
Z’は、Z又は式
−N(R)−(CR
2)
n−X
のものの何れかであり、
式中、各Rは、独立してH、又は直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル(1〜6C)であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又はメルカプタンであり、
又はZ’は、式
−Ar(Y)
j
のものであり、
式中、Arは、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、各Yは、独立して非妨害置換基であり、jは、0〜3であり;
「リンカー」は、結合、アルキレン(1〜6C)を表し、又はアリール、縮合アリール、アルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでもよく、又はケト基若しくは窒素若しくは硫黄原子を含んでもよい。)
【0083】
本明細書に開示した方法に使用するのに好適なCXCR4拮抗薬は、本出願人らの1つ、Genzyme Corporationが所有する環状ポリアミンである。注目すべき環状ポリアミンは、プレリキサホル(以前はAMD3100として既知)であり、これは全目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第RE42,152号明細書に開示されている。モゾビル(登録商標)(プレリキサホル)は、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)と組み合わせて使用されて、造血幹細胞を末梢血に動員して収集し、次いで非ホジキンリンパ腫及び多発性骨髄腫の患者に自家移植することに関して、米国FDAにより2008年に認可されている。自家造血幹細胞移植として一般に記載される、このFDA認可による使用は、全目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,987,102号明細書及び米国特許第7,897,590号明細書に開示されている。本発明者らは、ここで、プレリキサホルを含むこれらのCXCR4拮抗薬が、WHIM症候群、又はWHIM症候群に関連した疾病若しくは病状に有用であることを発見した。この発見は、単なる推測又は予言に基づくものではなく、本明細書の実施例部分に述べるように、本発明者らが着想及び設計した試験から最近得られた臨床データに基づくものである。
【0084】
本願の利益を提供された当業者は、WHIM症候群又はミエロカテキシスを有する患者に対するCXCR4拮抗薬の効果を決定する徴候を認識するであろう。例えば、WHIM症候群を有する患者は、場合によっては歩行又は把持が、不可能ではないが困難な程度に手及び/又は足に多数の疣贅を有し得る。熟練した医師は、好適な投与スケジュール後に疣贅の罹患率が低下すること、ある時間に亘る感染症の数及び重篤さの低下、疾病関連の入院の減少、又は医師訪問の減少、抗感染症の治療的介入の必要性の低下、免疫グロブリンレベルの改善、患者の体重の改善及び/又は患者の全般的な健康及び幸福の感覚の改善
があることに気付くことによって、そのような患者にCXCR4拮抗薬を投与する効果を観察することができる。
【0085】
本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、低γグロブリン血症、ミエロカテキシス、好中球減少症、白血球減少症、B、T、又はNKリンパ球減少症に関連した免疫不全疾病、白血球の不適切な輸送に起因する異常(細胞の増殖及び産生)、重度の合併免疫不全症候群(SCID’s)、ジフテリア、細菌感染、ウイルス感染、又は免疫機能の低下、及び白血球の輸送に影響する免疫不全などの所定の他の疾患又は病状の処置又は予防に有用である。WHIM症候群に罹患した患者は、白血球細胞数(WBC)が、通常<1.0×10
9/Lであり、重度の好中球減少症及びリンパ球減少症を伴う。骨髄検査は、骨髄マクロファージ内の、過分葉核を有する大量の好中球及び好中球の残部を示す。
【0086】
とりわけ本発明者らは、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬の使用により、リンパ球レベルに無関係に細菌感染を低下させることが可能であることを決定した。このような反応は、任意の他の薬物では観察されていない。理論に束縛されるものではないが、この現象は、プレリキサホルなどの本明細書に開示したCXCR4拮抗薬によるCXCR4/SDF−1相互作用のかく乱の結果であると思われる。これらのCXCR4拮抗薬の他の使用には、骨髄などの空間から末梢血循環及内へ、次いでそれらの細胞が必要とされる例えばリンパ節及び末梢器官への白血球の正常な細胞輸送を回復することを含む。これらのCXCR4拮抗薬は、好中球減少症、リンパ球減少症、及び他の細胞タイプ(B、T、NK)の白血球減少症の修正にも使用することができる。免疫不全患者に投与されるプレリキサホルなどの本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、B、T、及び/又はNK細胞の数を有利に増加させるであろう。CXCR4拮抗薬はまた、循環T細胞及びNK細胞を増加させ、これらの細胞が感染の部位へ輸送されることを可能にすることにより、ウイルス感染を低減するのに有用である。CXCR4拮抗薬はまた、循環好中球/単球/マクロファージを増加させ、感染の部位へ輸送されることを可能にすることにより、細菌感染を低減するのに有用である。本明細書に開示したCXCR4拮抗薬を用いて、正常な抗体産生とγグロブリンレベルとを回復することによりウイルス及び細菌感染を低下させ、ウイルス感染に対する保護を可能にし、細菌オプソニン化/死滅を改善し、他の病原体/寄生体に対して保護することも、想定される使用の範囲内である。本明細書に開示したCXCR4拮抗薬を用いて、排水(draining)リンパ節などの免疫部位へB細胞が正常に輸送され、濾胞樹状細胞、T細胞及び他の支持的細胞との関連において新たな抗原との重大な相互作用を可能にする。これらの相互作用は、ワクチン及び感染に応答する効果的な抗体生成及び産生に重要である。本明細書に開示したCXCR4拮抗薬の使用による免疫機能の改善はまた、抗腫瘍サーベイランスを改善し、潜在的な癌の発生の低下をもたらし得る。
【0087】
実施例部分に開示される臨床試験の予想外の利益は、骨髄細胞の「健康状態」及び造血の改善の確立であり得る。この試験では、骨髄及び他の造血部位(例えばリンパ節、脾臓など)からの好中球及び他の細胞の初期の大量の放出があった後、細胞のより大量の放出に続いて、プレリキサホルの第一の投与から数日間に亘る続くプレリキサホルの処置により、より少量の漸進的放出があった。正常なヒトでは、所定の細胞タイプ(好中球、リンパ球及び他の細胞)は脾臓及び肝臓により循環から除去され、それらの正常な寿命の終末にて破壊される。ミエロカテキシスに罹患したヒト患者では、これらの細胞タイプ(好中球、リンパ球及び他の細胞)は、骨髄内に捕捉されているため破壊されない。この状態は、好中球の場合、好中球が短い寿命を有するため特に厄介である(正常な半減期は、約3日間である)。その結果、骨髄からこれらの死んだ又は死にかけた好中球が排除されず、ミエロカテキシスの患者では、それらの細胞残存物が骨髄中に高い濃度で存在する。理論に束縛されるものではないが、プレリキサホルは、ミエロカテキシスを有する患者の骨髄からこれらの細胞(例えば、好中球、白血球の新しいもの及び古いものの両方)の全部を
解放すると思われる。これらの細胞が循環中に解放された後、細胞は正常な機構によって除去及び破壊される。これらの古い及び死にかけた細胞が除去されると、骨髄内の空間が細胞の正常な成長及び成熟と、任意の死んだ又は死にかけた細胞屑の排除とに使用されることが可能となる。その結果、骨髄の外見及び機能がより正常となり、骨髄細胞の「健康状態」及び造血が一般に改善されるであろう。
【0088】
本明細書に開示した臨床試験で観察されたように、全患者はCXCR4遺伝子の突然変異(R334及びS324fs365)を有した。これらの突然変異は、活性であり、骨髄並びに他の組織及び器官から血液中への好中球及び他の白血球の正常な放出を阻止する。従って、WHIM症候群、又は本明細書に開示した疾患若しくは病状を有する患者における有効な処置を達成する可能性は、これらのCXCR4遺伝子の突然変異(R334及びS324fs365)を有する患者において増大されている。CXCR4遺伝子の多くの突然変異が既知であるが、CXCR4遺伝子の全部の突然変異が、WHIM症候群、又は本明細書に開示した疾患若しくは病状を有する患者において、有効な処置を達成する傾向を増大させるか否かは分かっていない。
【0089】
本明細書に開示した方法によれば、患者がR334及びS324fs365のCXCR4突然変異を有するか否かをスクリーニングすることが有利であろう。そのようなスクリーニングを行う詳細は、当業者の範疇にある。R334及びS324fs365のCXCR4突然変異を有すると決定されたWHIM症候群、又は本明細書に開示した疾病又は病状を有する患者は、そのような疾患又は病状が、プレリキサホルなどの本明細書に開示したCXCR4拮抗薬を用いて処置される、より高い可能性を有すると思われる。それ故、これらのR334及びS324fs365のCXCR4突然変異を有するそれらの患者は、処置の成功の機会が増大されていることにより、CXCR4拮抗薬処置を施されるよう選択される。
【0090】
他の薬剤と組み合わせたCXCR4拮抗薬の使用:
本明細書に開示したように、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、それを必要とする患者におけるWHIM症候群(及び本明細書に開示した疾患又は病状)の処置又は予防に有用である。そのような治療法は、概して、単剤療法としてのCXCR4拮抗薬の投与を含む。しかしながら、本願の利益を提供される当業者は、WHIM症候群及び本明細書に開示した疾患又は病状に罹患したヒト患者が、薬学的に活性な追加の成分(即ちCXCR4拮抗薬に加えて)を含む治療法の過程で処置され得ることを認識するであろう。これらの場合、組み合わせ療法は、それらの患者の処置又は予防に好適であり得る。
【0091】
本明細書で使用される用語「医薬組み合わせ療法」又は「と組み合わせて」又は単に「組み合わせ療法」は、概して、CXCR4拮抗薬が、本明細書に開示した1つ以上の薬剤と組み合わせて投与されることを指す。換言すれば、用語「医薬組み合わせ療法」は、式(I)の化合物などのCXCR4拮抗薬が、本明細書に開示した薬剤の1つ以上と共に薬学的に許容し得る形態で:(i)同一の剤形、例えば同一の錠剤又は医薬組成物、即ち式(I)の化合物などのCXCR4拮抗薬、本明細書に開示した1つ以上の薬剤、及び薬学的に許容し得る希釈剤又は担体を含有する医薬組成物中で;(ii)同一の投与モードを有する別個の剤形中で、例えば、式(I)の化合物などのCXCR4拮抗薬及び薬学的に許容し得る希釈剤又は担体を含有する、s.c.投与に好適な第一の医薬組成物と本明細書に開示した1つ以上の薬剤及び薬学的に許容し得る希釈剤又は担体を含有する、s.c.投与に好適な第二の医薬組成物とを含むキットで;並びに(iii)異なる投与モードを有する別個の剤形中で、例えば、式(I)の化合物などのCXCR4拮抗薬を含有する、s.c.投与に好適な第一の医薬組成物及び薬学的に許容し得る希釈剤又は担体と、本明細書に開示した1つ以上の薬剤及び薬学的に許容し得る希釈剤又は担体を含有する、経口投与に好適な第二の医薬組成物とを含むキットで、同時に投与され得ることを意味する
。更に、本開示の利益を提供される当業者は、2つ以上の本明細書に開示した薬剤が投与される場合、薬剤は、例えば、式(I)の化合物などのCXCR4拮抗薬及び薬学的に許容し得る希釈剤又は担体を含有する、s.c.投与に好適な第一の医薬組成物と、本明細書に開示した第一の薬剤及び薬学的に許容し得る希釈剤又は担体を含有する、経口投与に好適な第二の医薬組成物と、本明細書に開示した第二の薬剤及び薬学的に許容し得る希釈剤又は担体を含有する、非経口投与に好適な第三の医薬組成物と、を含むキットで、同一の投与モードを共有する必要はないことを認識するであろう。当業者は、「医薬組み合わせ療法」又は「組み合わせ療法」の文脈において上記に言及した同時投与が、医薬組成CXCR4拮抗薬を含有する医薬組成物と、薬剤を含有する医薬組成物(1つ又は複数)とが、同一のスケジュールで、即ち同時及び同1日に、又は異なるスケジュールで、即ち異なるが必ずしも区別されないスケジュールで投与され得ることを意味することを認識するであろう。その関連で、CXCR4拮抗薬を含有する医薬組成物と薬剤を含有する医薬組成物(1つ又は複数)とが異なるスケジュールで投与される場合、そのような異なるスケジュールは、本明細書で「バックグラウンド」又は「バックグラウンド投与」とも称され得る。例えばCXCR4拮抗薬を含有する医薬組成物は、所定の投与量で1日一回投与されてもよく、薬剤、例えばG−CSFを含有する医薬組成物(1つ又は複数)は、CXCR4拮抗薬の投与前に1日一回、1日以上投与されてもよく、従って、連日投与の1回の間に、CXCR4拮抗薬を含有する医薬組成物は、薬剤を含有する医薬組成物(1つ又は複数)と同時に投与され得るが、必ずしもそうではない。勿論、「医薬組み合わせ療法」に対する他の好適な変形物は、本開示の利益を提供される当業者に容易に明らかとなり、この用語の意味の一部である。
【0092】
所定の実施形態において、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、他の薬物又は薬剤と組み合わせて、本明細書に開示した方法に従って投与される。所定の実施形態では、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、抗感染症又は抗炎症薬と組み合わせて投与される。例えば式Iの化合物は、γグロブリン、免疫グロブリン、サイトカイン、例えばG−CSF、GM−CSF、IL−3、幹細胞因子、flt−3リガンド、マクロファージ炎症性タンパク質と組み合わせて投与されてもよい。
【0093】
所定の実施形態において、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、抗生物質、抗菌剤又は抗ウイルス性化合物、例えば抗HPV薬、抗HIV薬などの感染性疾患に有効な薬物と組み合わせて、本明細書に開示した方法に従って投与される。特に、式Iの化合物は、Pfizerからのマラビロク(UK427857);Schering−Plough’sからのビクリビロック(SCH−417690、SCH−D)、GSK(Ph11b)、GSK’s873140(AK602又はONO4128としても既知)、TakedaからのTAK−652と一緒に投与されてもよい。式Iの化合物はまた、β−ラクタム、例えばペニシリン;セファロスポリン;カルバペネム;ケトライド;キノロン、例えばフルオロキノロン;マクロライド、例えばクラリスロマイシン、アジスロマイシン又はバンコマイシン;リファマイシン;モノバクタム;イソニアジド;リコサミド;ムピロシン;スルホンアミド;フェニコール;ホスホマイシン;グリコペプチド;テトラサイクリン;ストレプトグラミン;クロラムフェニコール;及びオキサゾリジノン、ファムシクロビル又はペンシクロビルと一緒に投与されてもよい。
【0094】
本明細書で使用される用語「抗ウイルス薬」は、抗レトロウイルス薬;ウイルスに対する抗体;例えば抗HIV抗体;逆転写酵素の阻害剤;例えばGlaxoSmithKlineからのレトロビル(登録商標)(3’−アジド−3’−デオキシピリミジン、ジドブジン)及び3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、Hoffmann−LaRocheからのヒビド(登録商標)(2’,3’−ジデオキシシチジン、ザルシタビン)、Bristol−Myers−Squibbからのヴァイデックス(登録商標)又はヴァイデックスEC(登録商標)(2’,3’ジデオキシイノシン、ジダノシン)、Gl
axoSmithKlineからのエピビル(登録商標)(ラミブジン)、Bristol Myers−Squibbからのゼリット(登録商標)(スタブジン)、Gileadからのビリアード(登録商標)(テノホビルDF)、GlaxoSmithKlineからのザイアジェン(登録商標)(アバカビル)、Gilead Sciencesからのエムトリバ(登録商標)(エムトリシタビン、FTC)などのHIV逆転写酵素の阻害剤、特にヌクレオシド類似体;又は例えばPfizerからのレスクリプター(登録商標)(デラビルジン)、Bristol Meyer Squibbからのサスティバ(登録商標)(エファビレンツ)、Boehringer−Ingelheimからのビラミューン(登録商標)(ネビラピン)などの非ヌクレオシド類似体;11−シクロプロピル−5,11−ジヒドロ−4−メチル−(6H)−ジピリド[3,2−b;2’,3’−e]−[1,4]ジ−アゼピン−6オン、ホスカルネット、アンモニウム−21−タングステナト(tungstenato)−9−アンチモネート、1−.β.−D−リボフラノキシ(ribofuranoxy)1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド;GlaxoSmithKlineからのアガネラーゼ(Aganerase)(登録商標)(アンプレナビル)、Bristol−Myers Squibbからのレイアタッツ(登録商標)(アタザナビル)、GSKからのレクシヴァ(登録商標)(ホスアンプレナビル)、Merck & Co.からのクリキシバン(インジナビル)などのウイルス又はレトロウイルスプロテアーゼの阻害剤、例えばウイルスアルパラギン酸プロテアーゼの阻害剤、例えばHIVプロテアーゼの阻害剤;Agouronからのビラセプト(登録商標)(ネルフィナビル)、Abbottからのノービア(登録商標)(リトナビル);Hoffmann−LaRocheからのフォートベイス(登録商標)及びインビラーゼ(登録商標)(サキナビル);及びGlaxo Wellcomeからのラシナビル(5(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)(2,3,4−トリメトキシ−フェニルメチル)−ヘキサノイル(L)−バリル−N−(2−メトキシ−エチル)−アミド)、アドリアマイシン、KVX−478;VertexからのVX−478;Kissei Pharmaceuticalsからの141W94;AgouronからのAG−1343;Nippon MiningからのKNI−272;UpjohnからのU−96988;Boehringer−IngelheimからのBILA−2011BS(パリナビル)などの他の化合物;例えばポリマンノアセテート(polymannoacetate)などの、ウイルス侵入を防止する化合物;例えばHofffmann−LaRocheからのフゼオン(登録商標)(エンフビルチド、T20)などの融合阻害剤;又はGlaxoKlineSmithからのエプジコム(登録商標)(アバカビル及びラミブジン)、GlaxoKlineSmithからのトリジビル(登録商標)(アバカビル、ラミブジン及びジドブジン)、Gilead Sciencesからのツルバダ(登録商標)(エムトリシタビン及びテノフィル(Tenofir)DF)、GlaxoKlineSmithからのコンビビル(登録商標)(ラミブジン及びジドブジン)、Abbottからのカレトラ(登録商標)(ロピナビル及びリトハビル(ritohavir))などのそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。用語「抗ウイルス薬」は更に、ウイルス感染、例えばHIV感染から生じる免疫抑制に起因する日和見感染を処置する薬剤を含む。
【0095】
本明細書で使用される用語「HIV」は、HIV−1及びHIV−2を含むが、これらに限定されない。
【0096】
所定の実施形態において、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、抗レトロウイルス薬、又は、例えば同種若しくは異種移植の急性若しくは慢性拒絶反応の処置又は予防のための、免疫抑制若しくは免疫調節投与計画において有効な薬物と組み合わせて、本明細書に開示した方法に従って投与される。例えば式Iの化合物は、JAK3阻害剤(例えばCP−690、550)、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンA又はFK506;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパ
マイシン、CC1779、ABT578、AP23573、AP23464、AP23675、AP23841又はTAFA−93;免疫抑制性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリン(deoxyspergualine)又はその免疫抑制ホモログ、類似体又は誘導体;スフィンゴシン−1−リン酸受容体作動薬、例えばFTY720;白血球受容体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD11a/CD18、CD25、CD27、CD28、CD40.CD45、CD58、CD80、CD86、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBに対する又はそれらのリガンド、例えばCD154に対するモノクローナル抗体、又はその拮抗薬;他の免疫調節化合物、例えばCTLA4又はその突然変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部分を有する組み換え結合分子、例えば非CTLA4タンパク質配列に連結されたCTLA4又はその突然変異体の少なくとも細胞外部分、例えばCTLA4Ig(例えばATCC68629と命名)又はその突然変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1拮抗薬、ICAM−1又は−3拮抗薬、VCAM−4拮抗薬又はVLA−4拮抗薬;又は、抗ケモカイン抗体又は抗ケモカイン受容体抗体又は低分子量と組み合わせて使用されてもよい。
【0097】
所定の実施形態において、本明細書に開示したCXCR4拮抗薬は、COX−2阻害剤、mTOR阻害剤、ゴナドレリン作動薬、及び抗アンドロゲンと組み合わせて、本明細書に開示した方法に従って投与される。
【0098】
用語「COX−2阻害剤」は、セレコキシブ(セレブレックス(登録商標))、ロフェコキシブ(バイオックス(登録商標))及びルミラコキシブ(COX189)などの、シクロオキシゲナーゼ2型酵素(COX−2)を阻害し、抗増殖活性を所有する化合物に関する。
【0099】
用語「mTOR阻害剤」は、シロリムス(ラパミューン(登録商標))、エベロリムス(サーティカンF)、CCI−779及びABT578などの、ラパマイシン(mTOR)の哺乳動物標的を阻害し、抗増殖活性を所有する化合物に関する。
【0100】
本明細書で使用される用語「ゴナドレリン作動薬」は、アバレリックス、ゴセレリン及びゴセレリン酢酸塩を含むが、これらに限定されない。ゴセレリンは、米国特許第4,100,274号明細書に開示されており、例えば商標ゾラデックス(商標)で市販されているままの形態で投与されてもよい。
【0101】
本明細書で使用される用語「抗アンドロゲン」は、例えば米国特許第4,636,505号明細書に開示されているように処方され得るビカルタミド(カソデックスT(商標))を含むが、これに限定されない。
【0102】
活性薬剤の構造は、コード番号、一般名又は商標名により識別される。標準的な一覧「The Merck Index」の実際版(actual edition)又はデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)からとることができる。式Iの化合物と組み合わせて使用され得る上述した化合物は、上記に引用した文書など、当技術分野にて記載されているように調製及び投与されてもよい。
【0103】
式Iの化合物がγグロブリン、免疫グロブリン、サイトカイン、抗炎症薬、抗感染症薬、例えば抗ウイルス薬、又は抗生物質、又は他のCXCR4拮抗薬と併せて投与される場合、共投与される化合物の投与量は、使用される共薬物のタイプ、使用される特定の薬物
、処置される病状の重篤さなどに応じて変動するであろう。
【0104】
本発明を一般的に記載してきたが、本発明は、例示として提供され、特に明記しない限り本発明を限定するものではない以下の実施例を参照して、より容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0105】
実施例1:臨床治験結果−プレリキサホルは、ミエロカテキシス、WHIM症候群の潜在的な治療法である。
試験の設計:これは、1、3、5、8及び10日目に投与されるプレリキサホルの増大する一連の用量を使用した、CXCR4の突然変異に起因するミエロカテキシスを有する患者におけるプレリキサホルの血液効果、薬物動態及び安全性を試験する単一施設非盲検第I相試験であった。5つの患者内増大用量レベル、20mcg/kg、40mcg/kg、80mcg/kg及び240mcg/kgを試験した。対象は、10日目までUniversity of Washington General Clinical Research Centerの患者であった;試験は14日間まで利用可能な対象を必要とする。患者をプレリキサホルの血液効果に関して監視し、有害作用に関して観察した。最大用量前に正常な血中好中球数が達成され、かつ少なくとも24時間維持された場合、プレリキサホルの投与を中断した。
試験適格年齢:18歳以上
試験適格性別:両方
健康な志願者を受諾:否
基準
包含基準:
・18歳を超える年齢、
・3.0×10
9/L未満のWBC、
・2.0×10
9/L未満の絶対好中球数、
・100×10
6/Lを超える血小板、
・2.0/mg/dl未満のクレアチニン、
・クレアチニンクリアランス>60ml/分を計算、SGOT、SGPT、
・ビリルビン<2.5正常値の上限、
・ECOG状態0又は1、
・CXCR4内の突然変異を同定、
・>3週間、G−CSF、GM−CSFなし、p
・患者は同意書に署名、
・避妊を受諾
排除基準:
・<18歳、
・プレリキサホルに感受性、
・妊娠中、
・囚人、
・自己決定に障害を有する者、
・順守が疑わしいと判断された者、
・結果の解釈を妨げ得る病気、
・白血病、
・悪性腫瘍、
・試験薬物投与から1週間以内に抗生物質を必要とする活性感染症、
・心臓伝導異常又はEKG異常の病歴、
・1週間以内の以前の実験的治療。
【0106】
結果及び考察:本発明者らは、インフォームドコンセントとUniversity of Washingtonの研究審査委員会(investigational review board )の認可及びプレリキサホルの研究的使用に関する連邦認可を有す
る6人の患者(4人の女性、2人の男性、年齢28〜73歳)をこの用量増大試験に登録した。3つの異なる家族からの5人の患者は、同一の突然変異(R334ter)を有し;他の患者は、新規な突然変異(S324fs365ter)を有した。0.02〜0.24mg/kg(0.02mg/kg、0.04mg/kg、0.08mg/kg、0.16mg/kg、0.24mg/kg)に増大する単一皮下用量のプレリキサホルを、2〜4日間隔で投与した。自動計数器を用いて全血球数を1、3、6、9及び24時間目に測定し、白血球の差数を手動で確認した。CD34
+細胞及びリンパ球サブタイプを、FACSにより0.08mg/kg投与前、及び投与から6時間後に測定した。好中球が24時間目に>2.0×10
9/Lとなった場合、重大な有害事象若しくは病気が生じた場合、又は0.24mg/kg用量を試験した後、プレリキサホルを中断した。評価項目は、プレリキサホルで同様に処置された正常な対照と比較した、患者の全血球細胞数、CD34
+細胞数及びリンパ球サブタイプであった。結果を、正常な対象及び対照の平均の、比較のためのスチューデントT検定と、ベースライン及び白血球の各カテゴリーに関する応答の、比較のための比の対t検定とを使用して、同様に試験した5人の正常な対照と比較した。
【0107】
図1を参照すると、6人の全患者が6〜12時間目に最大血中好中球及びリンパ球を有する素早い白血球増多を示し、24時間までにベースラインに向かって低下した。1人の患者は、0.16mg/kg投与から24時間後に2.0×10
9/Lを超える好中球を有した。この試験に関する標的に到達したため、この患者は最終的な0.24mg/kg投与を付与されなかった。他の患者は、0.24mg/kg投与から24時間後に2.0×10
9/Lを達成した。1人の患者は、0.08mg/kg投与後、患者が肺炎の再発を有した際に治験を中断した。この患者グループでは、好中球は4.5±0.78×10
9/Lにてピークに達した(最大観察値のグループ平均;範囲:1.8〜7.3×10
9/L)。プレリキサホルの単回投与後の絶対増加は、正常な対象よりも低かったが、相対増加は、正常な対照よりも高かった。好中球応答を比較すると、対照では4.4倍の増加が存在し、患者では8.2倍の増加が存在した。全患者に関して、好中球はプレリキサホルの次の用量が投与される前にベースラインに戻っていた。患者のリンパ球応答は、患者の好中球応答と比較して、比例的に高かった。絶対リンパ球数は患者内で一過的に正常なレベルに到達し、ベースラインからピークレベルへおよそ14倍増加した。
【0108】
図2を参照すると、試験したリンパ球の全カテゴリーがプレリキサホル後に患者内で増加し、いくつかの応答は、対照と比較して大きかった。B細胞の絶対レベルはベースラインを超えて最大の増加を示し、およそ40倍増加した。患者のCD34
+細胞は、0.08mg/kg用量にてほぼ6倍増加した。ヘマトクリット、ヘモグロビン及び血小板は、重度の鉄欠乏性貧血を有した1人の患者を除いて、10日の試験期間を通して安定であり、患者は、試験中に開始した経口鉄に良好に応答した。患者のいずれも、任意の有意な有害効果を経験しなかった。
【0109】
この治験は、単一用量のプレリキサホルの皮下投与が、ミエロカテキシス/WHIM症候群を有する患者の好中球減少症及びリンパ球減少症を一過的に修正できることを示す。患者の応答は、正常な対照のものと比較して定性的に同様であった。好中球の定量的増加は正常な対照と比較して低かったが、比例的増加はより高かった。このことは、成熟骨髄貯蔵プールからの好中球の放出の機構は無傷であるが、骨髄内の「過成熟」及びアポトーシス好中球は、正常に循環する能力を損失していることを示唆する。これらの結果に基づいて、本発明者らは、規則的な、おそらく連日のプレリキサホル投与が、血中好中球レベルを増加させ及び維持するより高い能力を有し得ると考える。
【0110】
リンパ球数は、遙かに劇的に増加し、全リンパ球サブタイプが患者内で増加した。リンパ球は、好中球よりも遙かに複雑な循環パターンを有し、骨髄、脾臓及び他の組織を入退出する。これらの結果に基づいて、本発明者らは、組織から血液へのリンパ球動員と、明らかにリンパ球輸送の修正とは、これらの患者に非常に重要であり得ると考える。上記したように、WHIM症候群を有する患者は、一般に低γグロブリン血症を有し、それら患者の感染のパターン、特に疣贅による重度の問題を発生する傾向は、慢性プレリキサホル治療法で修正され得る選択的免疫不全から生じると思われる。
【0111】
全患者が、6〜12時間目に最大血中好中球及びリンパ球を有する素早い白血球増多を示した。血中好中球は、6〜12時間目にピークに達し、0.4±0.1×10
9/Lの平均ベースラインから4.5±0.78×10
9/Lの平均ピークに増加した。リンパ球も増加し;最大の増加はB細胞(CD19+細胞)内であり、0.08mg/kg用量でのベースラインの40倍の増加であった。患者のいずれも、任意の有意な有害効果を経験しなかった。
【0112】
これらの結果に基づいて、本発明者らは、プレリキサホルがWHIM症候群のための有望な処置であることを確立した。
【0113】
本開示の全体において、特許、特許出願、定期刊行物、書籍などの他の文書が参照されている。そのような文書の全部は、全目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
前述した記載は、本来、典型及び解説であると理解され、本明細書に開示した本発明の一般的な概念及びその好ましい実施形態を説明することを意図する。日常的な実験を介して、本開示の利益を提供される当業者は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、明かな修正物及び変形物を認識し得る。それ故、本開示は、上記の記載ではなく以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって限定される。
1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンの酸付加塩を含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
1,1’−[1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンが、約0.04mg/kg〜0.24mg/kgの用量範囲で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。