特開2019-70135(P2019-70135A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルケマ フランスの特許一覧

特開2019-701352,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む組成物
<>
  • 特開2019070135-2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む組成物 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-70135(P2019-70135A)
(43)【公開日】2019年5月9日
(54)【発明の名称】2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20190412BHJP
【FI】
   C09K5/04 F
   C09K5/04 E
   C09K5/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-230548(P2018-230548)
(22)【出願日】2018年12月10日
(62)【分割の表示】特願2015-550133(P2015-550133)の分割
【原出願日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】1262766
(32)【優先日】2012年12月26日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コリエ, ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥール−ベール, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ベンドリンガー, ローラン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】化合物HFO−1234yfと、特定の副生成化合物とを含む組成物の提供。
【解決手段】化合物HFO−1234yfと、HCFC−240db、HCFO−1233xf、HCFC−243db、HCFO−1233zd、HCC−40、HCFC−114a、HCFC−115、HCFC−122、HCFC−23、HCFC−124、HCFC−124a、HFC−125、HCFC−133a、HCFC−142、HCFC−143、HFC−52a、HCFC−243ab、HCFC−244eb、HFC−281ea、HCO−1110、HCFO−1111、HCFO−1113、HCFO−1223xd及びHCFO−1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物とを含む組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物HFO−1234yfと、HCFC−240db、HCFO−1233xf、HCFC−243db、HCFO−1233zd、HCC−40、HCFC−114a、HCFC−115、HCFC−122、HCFC−123、HCFC−124、HCFC−124a、HFC−125、HCFC−133a、HCFC−142、HCFC−143、HFC−152a、HCFC−243ab、HCFC−244eb、HFC−281ea、HCO−1110、HCFO−1111、HCFO−1113、HCFO−1223xd及びHCFO−1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物とを含む組成物。
【請求項2】
化合物HFO−1234yfと、HCFC−115、HFC−152a及びHCC−40から選択される少なくとも一種の他の追加の化合物、好ましくは、HFO−1234yfと、HFC−152a及び/又はHCC−40とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
HCFC−240db、HCFO−1233xf、HCFC−243db、HCFO−1233zd、HCFC−114a、HCFC−122、HCFC−123、HCFC−124、HCFC−124a、HFC−125、HCFC−133a、HCFC−142、HCFC−143、HCFC−243ab、HCFC−244eb、HFC−281ea、HCO−1110、HCFO−1111、HCFO−1113、HCFO−1223xd及びHCFO−1224xeから選択される少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
HFO−1234ze、HFC−245cb、HFC−245eb、HFC−245fa、HFC−23、HFC−134a、HFC−143a、HFC−236fa、HCFC−244bb、HCFC−244db、HFO−1132a、HFO−1223、HFO−1225zc、HFO−1225ye、HCFO−1232xf及びHFO−1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
化合物HFO−1234yfと、HFO−1234ze、HFC−245cb、HFC−134a、HCFC−115、HFC−152a、HCC−40及びHFO−1243zfから選択される少なくとも二種の化合物とを含むことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
化合物HFO−1234yf、HCC−40、並びにHFO−1234ze、HFC−134a、HCFC−115、HFC−152a及びHFO−1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
化合物HFO−1234yf、HFC−134a、並びにHFO−1234ze、HCFC−115、HFC−152a及びHFO−1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
化合物HFO−1234yf、HFO−1234ze、並びにHFC−245cb、HCFC−115、HFC−152a及びHFO−1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
化合物HFO−1234yf、HFO−1243zf、並びにHFC−245cb、HCFC−115及びHFC−152aから選択される少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
HCFC−240db、HCFO−1233xf、HCFC−243db、HCFO−1233zd、HCFC−114a、HCFC−122、HCFC−123、HCFC−124、HCFC−124a、HFC−125、HCFC−133a、HCFC−142、HCFC−143、HCFC−243ab、HCFC−244eb、HFC−281ea、HCO−1110、HCFO−1111、HCFO−1113、HCFO−1223xd、HFC−245eb、HFC−245fa、HFC−23、HFC−143a、HFC−236fa、HCFC−244bb、HCFC−244db、HFO−1132a、HFO−1223、HFO−1225zc、HFO−1225ye、HCFO−1232xf及びHCFO−1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物を更に含むことを特徴とする、請求項5から9の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
すべての追加の化合物を最大で1重量%含むことを特徴とする、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵、膨張剤、溶剤及びエアゾール等の多くの利用分野において有用な2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む組成物に関する。
【0002】
冷蔵、空調、及び冷暖房装置の分野で有用な組成物の選択における一つの非常に重要なパラメーターは、環境への影響である。
【0003】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の製造は、HFO−1234yfに近い沸点を有する多数の副生成物を伴い、非常に複雑で費用のかかる精製工程をもたらす。HFO−1234yfの精製中に直面する困難は、一般に、結果として生じる所望の生成物の損失を含む。更に、これらの副生成物は、単純な蒸留による分離を不可能にし、HFO−1234yfとの二成分又は三成分共沸組成物を生成し得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一つの主題は、化合物HFO−1234yfと、HCFC−240db、HCFO−1233xf、HCFC−243db、HCFO−1233zd、HCC−40、HCFC−114a、HCFC−115、HCFC−122、HCFC−123、HCFC−124、HCFC−124a、HFC−125、HCFC−133a、HCFC−142、HCFC−143、HFC−152a、HCFC−243ab、HCFC−244eb、HFC−281ea、HCO−1110、HCFO−1111、HCFO−1113、HCFO−1223xd及びHCFO−1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物とを含む組成物である。
【0005】
好ましくは、すべての追加の化合物は、HFO−1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。
【0006】
HCFC−115、HFC−152a及びHCC−40等の化合物は、特にHFO−1234yfの沸点に近い沸点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一実施態様によれば、組成物は、HFO−1234yfと、HCFC−115、HFC−152a及びHCC−40から選択される少なくとも一種の他の追加の化合物、好ましくは、化合物HFO−1234yfと、HFC−152a及び/又はHCC−40とを含む。
【0008】
HCFC−115及び/又はHFC−152a及び/又はHCC−40は、それ(ら)が組成物中に存在する場合、有利には、多くとも500ppm、また特に好ましくは、多くとも50ppmである。
【0009】
本実施態様によれば、組成物は、HCFC−240db、HCFO−1233xf、HCFC−243db、HCFO−1233zd、HCFC−114a、HCFC−122、HCFC−123、HCFC−124、HCFC−124a、HFC−125、HCFC−133a、HCFC−142、HCFC−143、HCFC−243ab、HCFC−244eb、HFC−281ea、HCO−1110、HCFO−1111、HCFO−1113、HCFO−1223xd及びHCFO−1224xeから選択される少なくとも一の化合物を更に含み得る。
【0010】
一実施態様において、本発明による組成物は、HFO−1234ze、HFC−245cb、HFC−245eb、HFC−245fa、HFC−23、HFC−134a、HFC−143a、HFC−236fa、HCFC−244bb、HCFC−244db、HFO−1132a、HFO−1223、HFO−1225zc、HFO−1225ye、HCFO−1232xf及びHFO−1243zfから選択される少なくとも一種の化合物も含み得る。
【0011】
前記実施態様に関係なく、すべての追加の化合物は、HFO−1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。
【0012】
例として、特に以下の化合物に言及がなされ得、それらの頭字語は下記を表す:
- HCFC−240db: 1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、又はCCl−CHCl−CHCl
- HCFO−1233xf: 3,3,3−トリフルオロ−2−クロロプロペン、又はCF−CCl=CH
- HCFC−243db: 1,1,1−トリフルオロ−2,3−ジクロロプロパン、又はCF−CHCl−CHCl
- HCFO−1233zd: E/Z−3,3,3−トリフルオロ−1−クロロプロペン、又はCF−CH=CHCl
- HCC−40: クロロメタン、又はCHCl
- HCFC−114a: 1,1,1,2−テトラフルオロ−2,2−ジクロロエタン、又はCF−CCl
- HCFC−115: 1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−2−クロロエタン、又はCF−CClF
- HCFC−122: 1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン、又はCHCl−CClF
- HCFC−123: 1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロエタン、又はCF−CHCl
- HCFC−124: 1,1,1,2−テトラフルオロ−2−クロロエタン、又はCF−CHClF
- HCFC−124a: 1,1,2,2,−テトラフルオロ−2−クロロエタン、又はCHF−CClF
- HFC−125: 1,1,1,2,2,−ペンタフルオロエタン、又はCF−CHF
- HCFC−133a: 1,1,1−トリフルオロ−2−クロロエタン、又はCF−CHCl
- HCFC−142: 1,1−ジフルオロ−2−クロロエタン、又はCHF−CHCl
- HCFC−143: 1,1,2−トリフルオロエタン、又はCHF−CH
- HFC−152a: 1,1−ジフルオロエタン、又はCHF−CH
- HCFC−243ab: 1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロプロパン、又はCF−CCl−CH
- HCFC−244eb: 1,1,1,2−テトラフルオロ−3−クロロプロパン、又はCF−CHF−CHCl
- HFC−281ea: 2−フルオロプロパン、又はCH−CFH−CH
- HCO−1110: 1,1,2,2−テトラクロロエチレン、又はCCl=CCl
- HCFO−1111: 1,1,2−トリクロロ−2−フルオロエチレン、又はCCl=CClF
- HCFO−1113: 1,1,2−トリフルオロ−2−クロロエチレン、又はCF=CClF
- HCFO−1223xd: E/Z−3,3,3−トリフルオロ−1,2−ジクロロプロペン、又はCF−CCl=CHCl
- HCFO−1224xe: E/Z−1,3,3,3−テトラフルオロ−2−クロロプロペン、又はCF−CCl=CHF
- HFO−1234ze: E/Z−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、又はCF−CH=CHF
- HFC−245cb: 1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、又はCF−CF−CH
- HFC−245eb: 1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン、又はCF−CHF−CH
- HFC−245fa: 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、又はCF−CH−CHF
- HFC−23: トリフルオロメタン、又はCHF
- HFC−134a: 1,1,1,2−テトラフルオロエタン、又はCF−CH
- HFC−143a: 1,1,1−トリフルオロエタン、又はCF−CH
- HFC−236fa: 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、又はCF−CH−CF
- HCFC−244bb: 1,1,1,2−テトラフルオロ−2−クロロプロパン、又はCF−CFCl−CH
- HCFC−244db: 1,1,1,3−テトラフルオロ−2−クロロプロパン又はCF−CHCl−CH
- HFO−1132a: 1,2−ジフルオロエチレン、又はCHF=CHF
- HFO−1223: 3,3,3−トリフルオロプロピン、又はCF−C≡CH
- HFO−1225zc: E/Z−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、又はCF−CH=CF
- HFO−1225ye: E/Z−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、又はCF−CF=CHF
- HCFO−1232xf: 3,3−ジフルオロ−1,3−ジクロロプロペン、又はCClF−CCl=CH
- HFO−1243zf: 3,3,3−トリフルオロプロペン、又はCF−CH=CH
【0013】
もう一つの特定に実施態様によれば、本発明による組成物は、三成分混合物、例えば、以下から選択される混合物を含み得る:
- HFO−1234yf、HFC−152a、HFC−245cb
- HFO−1234yf、HCC−40、HFC−245cb
- HFO−1234yf、HCFC−115、HFC−245cb
- HFO−1234yf、HFC−152a、HFC−134a
- HFO−1234yf、HCC−40、HFC−134a
- HFO−1234yf、HCFC−115、HFC−134a
- HFO−1234yf、HFC−152a、HFO−1234ze
- HFO−1234yf、HCC−40、HFO−1234ze
- HFO−1234yf、HCFC−115、HFO−1234ze
- HFO−1234yf、HCC−40、HFC−152a
- HFO−1234yf、HCC−40、HCFC−115
- HFO−1234yf、HFC−134a、HFO−1234ze
- HFO−1234yf、HFC−134a、HFO−1243zf
- HFO−1234yf、HFO−1234ze、HFC−134a
- HFO−1234yf、HFO−1234ze、HFC−245cb
- HFO−1234yf、HFO−1243zf、HFC−245cb
- HFO−1234yf、HFO−1243zf、HFC−152a
- HFO−1234yf、HFO−1243zf、HCFC−115
【0014】
もう一つの特定に実施態様によれば、本発明による組成物は、四成分混合物、例えば、以下から選択される混合物を含み得る:
- HFO−1234yf、HFC−152a、HCC−40、HFC−245cb
- HFO−1234yf、HFC−152a、HCC−40、HFC−1234ze
【0015】
組成物が四種よりも多い化合物の混合物を含む場合であっても、本発明の範囲外ではない。
【0016】
本発明のもう一つの主題は、化合物HFO−1234yfと、HFO−1234ze、HFC−245cb、HFC−134a、HCFC−115、HFC−152a、HCC−40及びHFO−1243zfから選択される少なくとも二種の化合物とを含む組成物である。
【0017】
好ましくは、組成物は、HFO−1234yf、HCC−40、並びにHFO−1234ze、HFC−134a、HCFC−115、HFC−152a及びHFO−1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む。
【0018】
好ましくは、組成物は、化合物HFO−1234yf、HFC−134a、並びにHFO−1234ze、HCFC−115、HFC−152a及びHFO−1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む。
【0019】
好ましくは、組成物は、化合物HFO−1234yf、HFO−1234ze、並びにHFC−245cb、HCFC−115、HFC−152a及びHFO−1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む。
【0020】
好ましくは、組成物は、化合物HFO−1234yf、HFO−1243zf、並びにHFC−245cb、HCFC−115及びHFC−152aから選択される少なくとも一種の化合物を含む。
【0021】
好ましい、及び/又は前述の組成物は、HCFC−240db、HCFO−1233xf、HCFC−243db、HCFO−1233zd、HCFC−114a、HCFC−122、HCFC−123、HCFC−124、HCFC−124a、HFC−125、HCFC−133a、HCFC−142、HCFC−143、HCFC−243ab、HCFC−244eb、HFC−281ea、HCO−1110、HCFO−1111、HCFO−1113、HCFO−1223xd、HFC−245eb、HFC−245fa、HFC−23、HFC−143a、HFC−236fa、HCFC−244bb、HCFC−244db、HFO−1132a、HFO−1223、HFO−1225zc、HFO−1225ye、HCFO−1232xf並びにHCFO−1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物を更に含み得る。
【0022】
前記実施態様に関係なく、化合物HFO−1234yfは、組成物中、好ましくは少なくとも99重量%、有利には少なくとも99.5重量%である。
【0023】
本発明による組成物はHCC−240dbから、一又は複数の反応工程を用いることにより得られうる。
【0024】
従って、HCC−240dbは、直接HFO−1234yfを得るために、HCFO−1233xf、HCFC−243db及びHCFO−1233zdから選択される中間生成物を任意選択的に伴い、フッ素化剤、好ましくは無水HFとの気相反応工程に供され得る。前記フッ素化反応は、触媒の存在下、好ましくは100℃から500℃、より好ましくは200℃から450℃の温度で実施され得る。HFO−1234yfの分離後、特に、沈殿とそれに続く蒸留後、中間生成物と、必要に応じて未反応のHCC−240dbは、反応工程でリサイクルされ得る。
【0025】
本発明による組成物は、少なくとも二つの反応工程によりHCC−240dbから得られうる。第一の工程は、一般に、HCFO−1233xf等の少なくとも一種の中間生成物を得るために、HCC−240dbをフッ素化剤、好ましくは無水HFを用いた気相反応に供することである。第二の工程において、HFO−1234yf及び上記の追加の化合物の少なくとも一種を含む組成物を得るために、中間生成物はフッ素化剤、好ましくは無水HFと反応する。第二の工程の最後で、HFO−1234yf及び追加の化合物の少なくとも一種を含む組成物が分離及び/又は精製工程に供される。
【0026】
この二つの工程は、触媒の存在下で実施され得、触媒は同一でも異なるものであってもよい。これらの工程は、反応が気相中で実施される場合、一つの同じ反応器内で実施され得る。この場合、反応器は下部触媒床とは異なる上部触媒床を含み得る。
【0027】
調製が二つの反応工程を用いて実施される場合、第一の工程の反応温度は、通常、第二の工程の反応温度より低く、好ましくは100℃から500℃、より好ましくは200℃から450℃である。
【0028】
前述の分離及び/又は精製工程の後、必要であれば、HFO−1234yfを含む流れが、共沸蒸留工程、並びに/又は活性炭及び/若しくはモレキュラーシーブによる吸着工程、或いは光塩素化工程に供され得る。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、組成物は一連の反応(図1)により得られる。図1は、HFO−1234yfの生成のための一連の反応を示す。この一連の反応は、HCFO−1233xfを生ずる、HCC−240dbのフッ化水素とのヒドロフッ素化反応で始まる。次に、化合物HCFO−1233xfは、HFO−1234yfを生ずるヒドロフッ素化反応に供され得る。次に、化合物HFO−1234yfは、HFC−245cbを生ずるヒドロフッ素化反応に供され得る。多くの生成物が、この一連の反応に平行する反応、例えば、異性化反応、HClの付加反応及び塩素化反応等により得られうる。
【0030】
好ましくはフッ化水素及び/又は空気存在下で活性化され、クロム酸化物及び任意選択的に、例えばニッケル、亜鉛、チタン、マグネシウム及びスズに基づく共触媒を含む、担持されているか或いは担持されていないフッ素化触媒の存在下で、上記の反応は、実施される。
【0031】
ヒドロフッ素化反応は気相で、任意選択的に十分量の酸素の存在下で実施され得る。
【0032】
HFO−1234yfの生成は、一又は複数の反応器内で順次実施され得る。HCC−240dbは、一つの反応器の入口、又は直列の反応器の第一の反応器の入口、或いは直列の各反応器の各入口に供給され得る。
【0033】
ヒドロフッ素化反応は、連続的又は半連続的に実施され得る。
【0034】
HFO−1234yfの生成は、好ましくは0.1から50bar、より好ましくは0.3から15barの絶対圧力で実施され得る。
【0035】
反応器中の接触時間は、1から100秒、好ましくは5から50秒である。
【0036】
フッ化水素と有機化合物とのモル比は、4:1から100:1、好ましくは5:1から50:1である。
【0037】
本発明による組成物はHF、HCl及び不活性ガス(窒素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素等)を含有し得る。
【0038】
HF及びHClの中和/除去工程も実施され得る。本発明による組成物は、HF及び/又はHClも微量含有し得るか、或いは全く含有し得ない。
【0039】
反応工程で使用される大過剰のHFの存在下において、HFO−1234yfの製造は、反応工程にリサイクルされ得るHFの一部を回収するために、少なくとも一つの蒸留工程を含み得る。
【0040】
本発明による組成物は、多くの利用分野において、特に伝熱流体、噴射剤、発泡剤、膨張剤、ガス誘電体、モノマー又は重合媒質、支持流体、研磨剤、乾燥剤、及びエネルギー生成装置用流体として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】HFO−1234yf(F1234yf)の生成のための一連の反応を示す。
図1
【外国語明細書】
2019070135000001.pdf