(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-70843(P2019-70843A)
(43)【公開日】2019年5月9日
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20060101AFI20190412BHJP
G02B 7/04 20060101ALI20190412BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-3500(P2019-3500)
(22)【出願日】2019年1月11日
(62)【分割の表示】特願2014-148077(P2014-148077)の分割
【原出願日】2014年7月18日
(71)【出願人】
【識別番号】505259022
【氏名又は名称】台湾東電化股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】呉 富源
(72)【発明者】
【氏名】陳 怡和
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE07
2H044BE10
2H044BE14
2K005CA23
2K005CA31
2K005CA40
2K005CA45
2K005CA53
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可動部の正確な位置制御を可能とするレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】内部に収納空間を形成する固定部と、収納空間に収納されており、レンズを保持する可動部と、レンズの光軸方向から見て収納空間の四隅に配置され、固定部に対して可動部を相対移動可能に支持するサスペンションワイヤと、可動部をレンズの光軸直交方向へ移動させる駆動部と、を有し、固定部は、レンズに光を導くための貫通孔が形成されており光軸直交方向へ延びる上部平板部12aと、上部平板部の外周に接続して光軸方向へ延びる側面部12bと、を有するケース12を有し、可動部は、光軸方向から見て四隅の間の中央部に配置され上部平板部に当接可能であって可動部の光軸方向の動きを規制する上部ストッパ面42aと、中央部に配置され側面部に当接可能であって可動部の光軸直交方向の動きを規制する側部ストッパ面42bと、を有する、レンズ駆動装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納空間を形成する固定部と、
前記収納空間に収納されており、レンズを保持する可動部と、
前記固定部に対して前記可動部を相対移動可能に支持する支持部と、
前記可動部を光軸直交方向へ移動させる駆動部と、を有し、
前記固定部は、
レンズに光を導くための貫通孔が形成されており前記光軸直交方向へ延びる上部平板部と、当該上部平板部の外周に接続して光軸方向へ延びる側面部と、を有するケースを有し、
前記可動部は、
レンズを保持しコイルが固定されるレンズホルダと、
前記上部平板部に当接可能であって前記可動部の前記光軸方向の動きを規制する上部ストッパ面と、前記側面部に当接可能であって前記可動部の前記光軸直交方向の動きを規制する側部ストッパ面と、を有し、前記コイルに前記光軸直交方向に対向し前記コイルと作用して前記レンズホルダを前記光軸方向に移動させるマグネットが固定されているキャップと、を有するレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記上部ストッパ面および前記側部ストッパ面は、前記キャップにおいて前記光軸方向から見て四隅の間の中央部に配置されている請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記上部ストッパ面と前記側部ストッパ面との間に配置され、前記上部ストッパ面と前記側部ストッパ面とを接続する接続部を有し、
前記接続部と前記ケースとの距離は、前記上部ストッパ面と前記上部平板部との間の距離以上であり、かつ、前記側部ストッパ面と前記側面部との間の距離以上である請求項1又は請求項2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記接続部は、前記上部ストッパ面と前記側部ストッパ面とを有するストッパ部の端部をL字状に切り欠いた形状である請求項3に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記上部ストッパ面は、前記可動部の中で最も前記上部平板部との間の距離が近いことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記レンズホルダおよび前記キャップに直接接続し、前記レンズホルダを前記キャップに対して前記光軸方向に相対移動自在に保持するスプリングを有する請求項1から請求項5までのいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記側部ストッパ面は、前記収納空間において、前記コイルの上端より上方に配置される請求項1から請求項6までのいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
内部に収納空間を形成し、レンズに光を導くための貫通孔が形成されており光軸直交方向へ延びる上部平板部と、当該上部平板部の外周に接続して光軸方向へ延びる側面部と、を有するケースと、
前記収納空間に収納されており、レンズを保持し、コイルが固定されるレンズホルダと、
前記収納空間に収納されており、前記上部平板部に当接可能であって前記可動部の前記光軸方向の動きを規制する上部ストッパ面と、前記側面部に当接可能であって前記可動部の前記光軸直交方向の動きを規制する側部ストッパ面と、を有し、前記コイルに前記光軸直交方向に対向し前記コイルと作用して前記レンズホルダを前記光軸方向に移動させるマグネットが固定されているキャップと、を有するレンズ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば携帯電話のカメラモジュールなどに好適に用いられるレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話のカメラモジュール等に好適に用いられるレンズ駆動装置では、ケース等の固定部の内部に、駆動手段等により移動可能な可動部が収納されたものが提案されている。このようなレンズ駆動装置では、可動部に保持されたレンズが撮像素子等に対して光軸方向又は光軸直交方向へ移動することにより、光学式手ぶれ補正(OIS)やオートフォーカス(AF)を実現することができる。
【0003】
また、可動部の支持構造としては、可撓性を有するサスペンションワイヤ等を用いた構造が提案されている(特許文献1等参照)。サスペンションワイヤに支持された可動部は、駆動部によって可動限界まで移動されることにより意図的に、あるいはレンズ駆動部に加えられた外力により意図せず、ケースの内面に接触する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2009/133691号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の可動部及び固定部の構造では、可動部がケース内面と接触した際に、意図した通りの移動を阻害する力を可動部が受ける場合があり、可動部の正確な位置制御を妨げる問題があった。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、可動部の正確な位置制御を可能とするレンズ駆動装置を提供することである。
本発明の発明者らは、組立時の接合作業や組立後における部材間の接触等により発生したパーティクル(微小片)の接触面への付着や、可動部の突起がケースのコーナーにはまり込む現象が、可動部の移動を阻害する力を生じさせていることを突き止め、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るレンズ駆動装置は、
内部に収納空間を形成する固定部と、
前記収納空間に収納されており、レンズを保持する可動部と、
前記レンズの光軸方向から見て前記収納空間の四隅に配置され、前記固定部に対して前記可動部を相対移動可能に支持するサスペンションワイヤと、
前記可動部を前記レンズの光軸直交方向へ移動させる駆動部と、を有し、
前記固定部は、
前記レンズに光を導くための貫通孔が形成されており前記光軸直交方向へ延びる上部平板部と、当該上部平板部の外周に接続して前記光軸方向へ延びる側面部と、を有するケースを有し、
前記可動部は、前記光軸方向から見て前記四隅の間の中央部に配置され前記上部平板部に当接可能であって前記可動部の前記光軸方向の動きを規制する上部ストッパ面と、前記中央部に配置され前記側面部に当接可能であって前記可動部の前記光軸直交方向の動きを規制する側部ストッパ面と、を有する。
【0008】
本発明の第1の観点に係るレンズ駆動装置は、上部ストッパ面及び側部ストッパ面が中央部に位置しているため、これらのストッパ面が、サスペンションワイヤと可動部又は固定部との接合部分から離れた位置に配置される。接合部分では、組立時における接合作業や組立後における摩擦等によりパーティクルが発生しやすいが、接合部分とストッパ面とを離れた位置に配置することによりストッパ面へのパーティクルの付着を防止し、第1の観点に係るレンズ駆動装置は、可動部の正確な位置制御を可能とする。
【0009】
また、例えば、前記上部ストッパ面は、前記側部ストッパ面より狭くても良い。
【0010】
上部ストッパ面を側部ストッパ面より狭くすることにより、ストッパ面とケースが接触することによるパーティクルの発生を抑制できる。
【0011】
また、例えば、前記可動部は、前記側部ストッパ面より前記四隅に近接する位置に配置され、前記側面部に当接可能であって前記可動部の光軸回転方向の動きを規制する回転ストッパ面を有しても良い。
【0012】
可動部が回転ストッパ面を有することにより可動部の回転を抑制することができるため、可動部の意図しない動きを抑制し、また、可動部とケースとの衝突に伴うパーティクルの発生を抑制できる。
【0013】
また、例えば、前記可動部は、前記四隅の間の4つの前記中央部にそれぞれ配置される少なくとも4つの前記上部ストッパ面を有しても良い。
【0014】
このようなレンズ駆動装置は、レンズの光軸を傾かせる方向に可動部が傾くことを抑制し、また、可動部とケースとの衝突に伴うパーティクルの発生を抑制できる。
【0015】
本発明の第2の観点に係るレンズ駆動装置は、
内部に収納空間を形成する固定部と、
前記収納空間に収納されており、レンズを保持する可動部と、
前記固定部に対して前記可動部を相対移動可能に支持する支持部と、
前記可動部を前記レンズの光軸直交方向へ移動させる駆動部と、を有し、
前記固定部は、
レンズに光を導くための貫通孔が形成されており前記光軸直交方向へ延びる上部平板部と、当該上部平板部の外周に接続して前記レンズの光軸方向へ延びる側面部と、を有するケースを有し、
前記可動部は、
前記上部平板部に当接可能であって前記可動部の前記光軸方向の動きを規制する上部ストッパ面と、前記側面部に当接可能であって前記可動部の光軸直交方向の動きを規制する側部ストッパ面と、前記上部ストッパ面と前記側部ストッパ面の仮想延長面同士が交わる仮想交差線から下方かつ光軸側に所定の距離以上の位置に配置され前記上部ストッパ面と前記側部ストッパ面とを接続する接続部と、を有するストッパ部を有する。
【0016】
本発明の第2の観点に係るレンズ駆動装置は、仮想交差線から所定の距離以上の位置に接続部が配置されていることにより、ストッパ部がケースのコーナーにはまり込む問題を防止し、可動部の正確な位置制御を可能とする。
【0017】
また、例えば、前記接続部は、前記上部ストッパ面と前記側部ストッパ面とを連続的に接続する接続表面を有しても良い。
【0018】
接続表面を有するストッパ部は、形状がシンプルであるため、製造が容易である。
【0019】
また、例えば、前記可動部は、前記レンズを前記光軸方向へ移動させる光軸方向駆動部を有しても良い。
【0020】
このようなレンズ保持装置は、光学式手ぶれ補正(OIS)とオートフォーカス(AF)動作に伴う移動を、レンズに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るレンズ駆動装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すレンズ駆動装置の概略分解斜視図である。
【
図4】
図4は、収納空間内を光軸方向から見た平面図である。
【
図5】
図5は、変形例に係るレンズ駆動装置におけるストッパ面の配置を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るレンズ駆動装置10の斜視図である。レンズ駆動装置10は、略直方体形状の外形状を有している。分解図である
図2に示すように、レンズ駆動装置10は、ケース12及びボトム78等を含みレンズ駆動装置10の外表面部分を構成する固定部19と、固定部19の内部に形成された収納空間に収納されており、図示省略のレンズを保持する可動部18とを有する。レンズ駆動装置10は、出射側(
図1参照)に配置される撮像素子と組み合わせて、フォーカス機構及び光学式手ぶれ補正機構を有するカメラモジュール等として使用されるが、レンズ駆動装置10の用途はこれに限定されない。なお、レンズ駆動装置10の説明では、レンズの光軸αに沿って、撮影光がレンズに入射してくる側を入射側とし、入射した撮影光を出射する側を出射側として説明を行う。
【0023】
図2は、
図1に示すレンズ駆動装置10の概略分解斜視図である。レンズ駆動装置10の固定部19は、ケース12と、FPコイル73と、FPC74と、ボトム78とを有する。固定部19は、ケース12とFPコイル73との間に、可動部18を収納する収納空間11(
図3参照)を形成する。
【0024】
ケース12は、レンズに光を導くための貫通孔12cが形成されており光軸直交方向へ延びる上部平板部12aと、上部平板部12aの外周に接続して光軸方向出射側へ延びる側面部12bとを有する。ケース12は、可動部18、FPコイル73及びFPC74を間に挟んで、ボトム78に対して光軸方向入射側から取り付けられる。可動部18を収納する収納空間11(
図3参照)において、ケース12の上部平板部12aが光軸方向入射側の壁を構成し、側面部12bが光軸直交方向の壁を構成し、FPコイル73が光軸方向出射側の壁を構成する。なお、FPコイル73、FPC74及びボトム78には、レンズ又はレンズからの出射孔が通過するための貫通孔が形成されている。
【0025】
レンズ駆動装置10の断面図である
図3に示すように、シート状の部材であるFPコイル73(フレキシブルプリントコイル)及びFPC74(フレキシブルプリント基板)は、ボトム78の入射側表面に重ねて配置される。FPコイル73は、固定部19の下面を構成する3つの部材の中で最も上面(入射側)に配置され、可動部18におけるマグネット48の出射側面に対向する。FPコイル73は、ベースフィルムに覆われた4つのコイル(不図示)を有しており、4つのコイルとマグネット48は、可動部18を光軸直交方向へ移動させる第1駆動部を構成する。
【0026】
FPC74には、FPコイル73に内蔵されるコイルや、可動部18のレンズホルダ50に取り付けられたコイル52の電流値を制御等するための電子回路が形成されており、FPC74の端部には、外部の制御回路との信号の送受信や、電力の供給を行うための外部端子が形成されている。
【0027】
ボトム78は、可動部18を支持するための剛性を固定部19下面に与えるフレームの役割を有しており、樹脂等で形成されている。ボトム78には、ホールセンサ76を収納するための貫通孔78aが形成されている。ホールセンサ76は、可動部18の光軸垂直方向への移動を検出するための移動検出部であり、光軸に直交する2方向の位置を検出するために2つのホールセンサ76が、FPC74の出射側表面に固定されている。それぞれのホールセンサ76は、マグネット48により形成された磁場の変化を好適に検出できるように、光軸方向から見てマグネット48の出射側に配置される。ホールセンサ76をボトム78の貫通孔78aに収納することにより、レンズ駆動装置10の高さを抑制することが可能であり、また、ホールセンサ76が収納されたボトム78の貫通孔78aには、ホールセンサ76をFPC74に取り付ける際のパーティクルの発生を防止するために樹脂が充填されることが好ましい。
【0028】
図2に示すように、可動部18は、光軸方向から見て収納空間の四隅に配置される支持部としてのサスペンションワイヤ17によって、固定部に対して相対移動可能に支持されている。サスペンションワイヤ17の入射側端部は可動部18における入射側スプリング30のワイヤ保持部33に固定されており、出射側端部はFPコイル73の四隅に連結されている。4本のサスペンションワイヤ17のうち少なくとも2本は通電可能であり、入射側スプリング30を介して可動部18のコイル52(
図3参照)に電力を供給することができる。給電経路として用いられるサスペンションワイヤ17は、FPC74に対して、電気的に接続されている。
【0029】
図2及び
図3に示すように、可動部18は、入射側スプリング30と、マグネット48が固定されるキャップ40と、コイル52が取り付けられるレンズホルダ50と、出射側スプリング60とを有する。入射側スプリング30及び出射側スプリング60は、キャップ40及びレンズホルダ50を光軸方向に挟み込むように配置される。入射側スプリング30及び出射側スプリング60は、キャップ40に固定される外環部と、レンズホルダ50に固定される内環部と、内環部と外環部とを接続するアーム部とを有している。入射側スプリング30及び出射側スプリング60は、金属等の弾性材料によって構成されており、アーム部が弾性変形することにより、キャップ40に対してレンズホルダ50を光軸方向に相対移動自在に保持する。また、入射側スプリング30は、四隅にサスペンションワイヤ17を固定するためのワイヤ保持部33を有する。
【0030】
図2及び
図3に示すように、レンズホルダ50は筒状の筒状部を有しており、筒状部の内周面にはレンズが固定され、筒状部の外周面にはコイル52が固定される。コイル52は、キャップ40に固定されたマグネット48に対向するように配置されており、コイル52とマグネット48は、レンズを光軸方向へ移動させる光軸方向駆動部を構成する。
【0031】
収容空間内の入射側スプリング30及びキャップ40の平面図である
図4に示すように、キャップ40は、光軸方向から見て四隅の間の中央部に配置される4つのストッパ部42を有する。
図3に示すように、ストッパ部42は、ケース12の上部平板部12aに当接可能であって可動部18の光軸方向の動きを規制する上部ストッパ面42aと、ケース12の側面部12bに当接可能であって可動部18の光軸直交方向の動きを規制する側部ストッパ面42bとを有する。また、ストッパ部42においては、上部ストッパ面42aと側部ストッパ面42bとを接続する接続部42cの表面である接続部表面42caは、上部ストッパ面42aと側部ストッパ面42bとを連続的に接続する。
【0032】
図4に示すように、ストッパ部42は、隣接する2つの隅から略等距離の位置に配置されることが好ましいが、特に限定されない。また、サスペンションワイヤ17から上部ストッパ面42a又は側部ストッパ面42bの端部までの距離は、隣接するサスペンションワイヤ17間の距離の(4分の1)以上であることが好ましい。
【0033】
図3に示すように、上部ストッパ面42aは、可動部18の中で最も上部平板部12aまでの距離が近い面であり、側部ストッパ面42bは、可動部18の中で最も側面部12bまでの距離が近い面である。したがって、上部ストッパ面42aは、可動部18が外部からの衝撃によりワイヤ保持部33付近での入射側スプリング30等の変形を伴いつつ収納空間内を光軸入射方向に移動したとき、ケース12の上部平板部12aに当接し、可動部18の光軸方向の動きを規制する。また、側部ストッパ面42bは、可動部18が第1駆動部による駆動力や外部からの衝撃により光軸直交方向へ可動限界位置まで移動したとき、ケース12の側面部12bに当接して可動部18の光軸直交方向の動きを規制する。上部ストッパ面42aは、パーティクル発生防止の観点から側部ストッパ面42bより狭いことが好ましい。なお、側部ストッパ面42bは、可動部18の可動限界位置を安定させる観点から、上部ストッパ面42aより広いことが好ましい。
【0034】
また、
図3中の部分拡大図に示すように、ストッパ部42における接続部42cは、上部ストッパ面42aと側部ストッパ面42bの仮想延長面同士が交わる仮想交差線42dから下方(出射側)かつ光軸側に所定の距離D1以上の位置に配置されることが好ましい。
【0035】
図4に示すように、キャップ40は、可動部18の光軸回転方向の動きを規制する回転ストッパ面44を有する。回転ストッパ面44は、側部ストッパ面42bより収納空間11の四隅に近接する位置に配置され、側部ストッパ面42bより下方に配置される。回転ストッパ面44は、外部からの力により可動部18が光軸を中心として回動する動きをした場合に、ケース12の側面部12bに対して当接して可動部18の動きを規制する。回転ストッパ面44は、可動部18の意図しない動きを抑制し、また、可動部18とケース12との衝突に伴うパーティクルの発生を抑制できる。また、回転ストッパ面44は、上部ストッパ面42aおよび側部ストッパ面42bと共に、落下等の衝撃で入射スプリングやサスペンションワイヤ等が塑性変形することを防止する機能も有する。
【0036】
本実施形態に係るレンズ駆動装置10は、上部ストッパ面42a及び側部ストッパ面42bが中央部に位置しているため、これらのストッパ面42a、42bが、サスペンションワイヤ17と可動部18との接合部分から離れた位置に配置される。サスペンションワイヤ17の接合部分では、組立時における接合作業や組立後における摩擦等によりパーティクルが発生しやすいが、接合部分とストッパ面42a、42bとが離れているため、ストッパ面42a、42bへのパーティクルの付着を防止できる。これにより、レンズ駆動装置10は、可動部18を光軸直交方向に正確に移動させることができる。すなわち、上部ストッパ面42aにパーティクルが付着した場合は、上部ストッパ面42aと上部平板部12aとの間にパーティクルが介在して可動部18の円滑な移動を妨げる場合があるが、レンズ駆動装置10はこのような問題を防止できる。また、側部ストッパ面42bに粘着性のパーティクルが付着した場合は、側部ストッパ面42bが側面部12bに引っ付き、可動部18が可動限界位置までたどり着く際と可動限界位置から離れる際とで、可動部18の駆動力に大きな差が発生して正確な位置制御が困難になる場合がるが、レンズ駆動装置10はこのような問題を防止できる。
【0037】
また、ストッパ部42は、上部ストッパ面42aと側部ストッパ面42bの仮想延長面同士が交わる仮想交差線42dから下方かつ光軸側に所定の距離以上の位置に配置される接続部42cを有するため、レンズ駆動装置10は、ケース12のコーナーにストッパ部42がはまり込む問題を防止し、可動部18の正確な制御を実現する。
【0038】
その他の実施形態
レンズ駆動装置10に含まれるマグネット48やスプリング30、60の形状等は、レンズ駆動装置10に対して要求される仕様に応じて適宜調整され得る。また、可動部18を支持する支持部としては、サスペンションワイヤ17に限定されず、スライダを用いる構造やボールと受け面を組み合わせた構造等であっても良い。また、
図4に示すように、キャップ40は、4つの中央部にそれぞれ配置される4つの上部ストッパ面42aを有しており、レンズの光軸が傾く方向へ可動部18が傾くことを防止できるが、可動部が有するストッパ部の数及び配置は、適宜変更することが可能である。
図3に示すように、レンズ駆動装置10において、接続部42c及び接続部表面42caは、ストッパ部42の端部を面取りした形状となっているが、接続部の形状としてはこれに限定されず、ストッパ部の端部をR加工した形状やL字状に切り欠いた形状であっても良い。
【0039】
図5は、変形例に係るキャップ90の形状を表す平面図である。キャップ90は、各辺に2つずつ計8つのストッパ部92を有しており、キャップ40(
図4等参照)の代わりにこのようなキャップ90を有するレンズ駆動装置も、可動部の正確な制御を実現することができる。
【符号の説明】
【0040】
10…レンズ駆動装置
12…ケース
12a…上部平板部
12b…側面部
17…サスペンションワイヤ
18…可動部
19…固定部
30…入射側スプリング
40…キャップ
42…ストッパ部
42a…上部ストッパ面
42b…側部ストッパ面
42c…接続部
42d…仮想交差線
44…回転ストッパ面
48…マグネット
50…レンズホルダ
60…出射側スプリング
73…FPコイル
74…FPC
76…ホールセンサ
78…ボトム