【解決手段】電線Sに接続する電気コネクタ1は、絶縁性のハウジング2と、ハウジング2から露出して電線Sに接続する端子部31を備えると共にハウジング2に保持される導電性を有するコンタクト3と、を有する。ハウジング2は、電線Sが巻き付けられると共に電線Sの折り返し部分S1と接する面が曲面である巻付部21と、端子部31の左右に併設されて電線Sの左右方向の移動を規制する左右規制部22及び左右規制部23と、を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸方向を左右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、
図1から
図7を参照しながら、以下に詳細に説明する。なお、
図1から
図4は、本実施形態に係る電気コネクタ1に電線Sを接続した状態を示している。
【0013】
本実施形態に係る電気コネクタ1は、エナメル線等の電線Sに接続し、ハウジング2と、コンタクト3と、を有している。
【0014】
ハウジング2は、絶縁性を有する材料により形成されており、巻付部21と、左右規制部22と、左右規制部23と、上方規制部24と、上面25と、下方規制部26と、下面27と、凹部28と、を備えている。
【0015】
巻付部21は、電線Sが巻き付けられる。巻付部21は、電線Sの折り返し部分S1と接する面が曲面であると共に、それ以外の面がy−z平面に沿って平坦な平坦面になっている。巻付部21の左右規制部22に対向する面は、上方規制部24が設けられていないため、上面25との接続部から上端までy−z平面に沿って平坦(面一)になっている。
【0016】
左右規制部22は、上面25において巻付部21と端子部31との間に立設されていると共に、左右方向において端子部31に併設されており、上面25の前端から上面25の前端と後端との中央まで延設されている。左右規制部22は、端子部31の左右方向の端部に接している。左右規制部22には、上端から巻付部21に向かって下方に傾斜する傾斜面221が設けられている。左右規制部22は、電気コネクタ1に接続される電線Sの数と同じ数だけ設けられ、本実施形態では2つ設けられている。
【0017】
左右規制部23は、上面25に立設されていると共に左右方向において端子部31に併設されており、端子部31を挟んで左右規制部22に対向している。左右規制部23は、上面25の前端から後端まで延設されている。左右規制部23は、端子部31の左右方向の端部に接している。左右規制部23は、本実施形態のように電気コネクタ1に2本の電線Sを接続する際には、一対の端子部31の間に立設されている。
【0018】
上方規制部24は、巻付部21の上端において、巻付部21から前方、左右方向の外方及び後方に突出して鍔状に形成されている。
【0019】
上面25は、y−z平面に沿って平坦な平坦面である。上面25の左右方向の両端には、中央規制部としての下方規制部251が設けられている。下方規制部251は、
図6及び
図7に示すように、上方から見て上方規制部24と重ならない位置に設けられていると共に、上方規制部24との間で上下方向に所定の間隔R1(
図6参照)を有して設けられている。
【0020】
端部規制部としての下方規制部26は、
図6及び
図7に示すように、上方から見て上方規制部24と重ならない位置に設けられていると共に、下方規制部251の前方及び後方に連設されている。下方規制部26は、
図6に示すように、上方規制部24との間で上下方向に間隔R1よりも大きい間隔R2(R2>R1)を有して設けられている。下方規制部26は、上方規制部24から離れる方向である下方に傾斜していると共に、電線Sの外径及び電線Sの巻き回数に応じた角度で下方に傾斜した傾斜面であり、例えば電線Sを巻付部21に二回巻き付ける場合には、間隔R2が電線Sの外径の2倍以上となるような角度で下方に傾斜する。なお、下方規制部26は、傾斜面に限らず、上方規制部24との間で上下方向に間隔R2を有して設けられる凹部等でもよい。
【0021】
下面27は、相手側コネクタKの嵌合部と相補形状になっており、相手側コネクタKの嵌合部と嵌合する(
図4参照)。
【0022】
凹部28は、
図5及び
図6に示すように、上面25に凹設されている。凹部28には、端子部31が配置される。
【0023】
コンタクト3は、導電性を有する材料により形成されていると共にハウジング2に一体成型により保持されており、端子部31と、接続部32と、を備えている。
【0024】
端子部31は、ハウジング2の上面25の左右規制部22と左右規制部23との間に露出しており、電線Sに接続する。
【0025】
接続部32は、ハウジング2の下面27から下方に突出して相手側コネクタKの導電部に接続する。
【0026】
上記の構成を有する電気コネクタ1において、
図4に示すように、相手側コネクタKと嵌合している電気コネクタ1を、上方規制部24に指を引っ掛けて上方に引っ張ることにより、相手側コネクタKとの嵌合状態を解除することができる。これにより、電気コネクタ1と相手側コネクタKとの嵌合状態を容易に解除することができる。
【0027】
<電気コネクタと電線との接続方法>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1と電線Sとの接続方法につき、以下に詳細に説明する。
【0028】
まず、先端側の絶縁体を切除して導電部を露出させた状態の電線Sを、巻付部21と規制部23との間に挿入した後に、巻付部21に対して巻付部21の内側から外側に巻き付ける。この際に、電線Sの下方への移動を下方規制部26及び下方規制部251により規制すると共に、電線Sの左右方向における巻付部21から離れる方向への移動を左右規制部22により規制することにより、電線Sを巻付部21に容易に巻き付けることができる。また、左右規制部22の上端に設けた傾斜面221により、電線Sの巻付部21と左右規制部22との間への挿入をガイドすることができ、巻付部21と左右規制部22との間に電線Sを容易に挿入することができる。また、上方規制部24を巻付部21の左右方向の内方に突出しないようにすることにより、巻付部21と左右規制部22との間に電線Sを容易に挿入することができる。更に、上方規制部24と下方規制部26との上下方向の間隔R2を、上方規制部24と下方規制部251との上下方向の間隔R1より大きくすることにより、電線Sを巻付部21に巻き付ける際に、電線Sを一旦下方に移動させてから上方規制部24に引っ掛けることができるため、電線Sを上方規制部24に容易に引っ掛けることができる。
【0029】
次に、電線Sの巻付部21に巻き付けた後方側を上方から押さえ込むように電線Sを巻付部21に対して巻付部21の外側から内側に巻き付けて、電線Sの先端側を左右規制部22と左右規制部23との間に位置させると共に端子部31の上方に位置させる。この際に、電線Sの上方への移動を上方規制部24により規制することにより、電線Sが巻付部21から上方に抜けてしまうことを防ぐことができ、電線Sを巻付部21に巻き付けた状態を維持することができる。
【0030】
次に、電線Sの先端側を端子部31に接続する。電線Sと端子部31とは、パルスヒート等による半田付け、レーザ溶接又は抵抗(熱)溶接等により接続される。この際に、直線状に戻ろうとする電線Sの左右方向の移動を左右規制部22及び左右規制部23で規制することにより、端子部31に対する接続位置に電線Sを安定して保持することができるため、作業効率を向上させることができると共に電線Sの端子部31に対する接続位置のバラツキを抑制することができる。また、電線Sの巻付部21に巻き付けた部分の端子部31の方向への移動を左右規制部22で規制することにより、電線Sの巻付部21に巻き付けた部分で端子部31に接続している電線Sが押圧等されることを防ぐことができ、電線Sと端子部31との接続状態が不安定になることを防ぐことができる。
【0031】
次に、電線Sの先端側の端子部31から前方に突出した部分を図示しないカッターで端子部31の前端面に沿って切断して、電線Sを
図1に示す状態にする。
【0032】
この状態において電線Sを後方に引っ張った際に、電線Sが巻付部21に圧接されるが、電線Sの折り返し部分S1に当接する巻付部21の面を曲面にすることにより、巻付部21から電線Sに加わる荷重を分散することができるため、巻付部21により電線Sを傷付けないようにすることができると共に、電線Sが切断されることを防ぐことができる。また、電線Sは巻付部21を締め付けるように巻付部21に巻き付くため、電線Sの端子部31との接続部分に直接引張力が加わることを防ぐことができ、電線Sと端子部31との接続不良を防ぐことができる。
【0033】
ここで、電線Sの外径及び巻き数に応じた間隔R2になるように下方規制部26を設けることにより、巻付部21に対して電線Sを所望の回数だけ巻き付けることができる。
【0034】
このように、本実施形態によれば、電線Sが巻き付けられると共に電線Sの折り返し部分S1と接する面が曲面である巻付部21と、端子部31の左右に併設された左右規制部22及び左右規制部23と、を備えることにより、巻付部21に巻き付けた電線Sを引っ張った際に巻付部21により電線Sを傷つける恐れがないと共に、電線Sを端子部31に接続する際に、左右規制部22及び左右規制部23により電線Sの左右方向の移動を規制することにより、電線Sを安定して保持することができる。
【0035】
なお、本実施形態において、上方規制部24を巻付部21の上端において前方、左右方向の外方及び後方に突出するようにしたが、上方規制部を巻付部の上端において前方及び後方に突出させると共に、左右方向の外方及び内方に突出しないように設けることができる。この場合には、ハウジング2の左右方向の幅を小さくすることができ、電気コネクタを小型化することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ100の構成につき、
図8から
図11を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0037】
なお、
図8から
図11において、
図1から
図7と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。また、
図8から
図11は、本実施形態に係る電気コネクタ100に電線Sを接続した状態を示している。
【0038】
電気コネクタ100は、エナメル線等の電線Sに接続し、コンタクト3と、ハウジング102と、を有している。
【0039】
ハウジング102は、絶縁性を有する材料により形成されており、巻付部21と、左右規制部22と、左右規制部23と、上方規制部24と、上面25と、下方規制部26と、下面27と、凹部28と、電線保持部101と、巻付部121と、上方規制部124と、上方規制部125と、を備えている。
【0040】
左右規制部22は、上面25において巻付部121と端子部31との間に立設されていると共に、左右方向において端子部31に併設されており、上面25の前端から上面25の前端と後端との中央まで延設されている。左右規制部22には、上端から巻付部121に向かって下方に傾斜する傾斜面221が設けられている。左右規制部22は、電気コネクタ100に接続される電線Sの数と同じ数だけ設けられ、本実施形態では2つ設けられている。
【0041】
左右規制部23は、本実施形態のように電気コネクタ100に2本の電線Sを接続する際には、一対の端子部31の間に立設されている。
【0042】
電線保持部101は、巻付部121の前後方向の中央において下方に凹設されている。
【0043】
巻付部121は、電線Sが巻き付けられる。巻付部121は、電線Sの折り返し部分S1と接する面が曲面であると共に、それ以外の面がy−z平面に沿って平坦な平坦面になっている。巻付部121の左右規制部22に対向する面は、上方規制部124及び上方規制部125が設けられていないため、上面25との接続部から上端までy−z平面に沿って平坦(面一)になっている。
【0044】
上方規制部124は、巻付部121の前方の上端において、巻付部121から前方及び左右方向の外方に突出して鍔状に形成されている。
【0045】
上方規制部125は、巻付部121の後方の上端において、巻付部121から後方及び左右方向の外方に突出して鍔状に形成されている。
【0046】
上面25には、巻付部121に巻き付けられた電線Sの下方への移動を規制する下方規制部251が設けられている。下方規制部251は、上方規制部124及び上方規制部125との間で上下方向に所定の間隔R1を有して設けられている。
【0047】
下方規制部26は、上方から見て上方規制部124及び上方規制部125と重ならない位置に設けられていると共に、下方規制部251の前方及び後方に連設されている。下方規制部26は、上方規制部124又は上方規制部125との間で上下方向に間隔R1よりも大きい間隔R2(R2>R1)を有して設けられている。下方規制部26は、上方規制部124又は上方規制部125から離れる方向である下方に傾斜していると共に、電線Sの外径及び電線Sの巻き回数に応じた角度で下方に傾斜した傾斜面であり、例えば電線Sを巻付部121に二回巻き付ける場合には、間隔R2が電線Sの外径の2倍以上となるような角度で下方に傾斜する。
【0048】
端子部31は、ハウジング102の上面25の左右規制部22と左右規制部23との間に露出しており、電線Sに接続する。
【0049】
接続部32は、ハウジング102の下面27から下方に突出して相手側コネクタの導電部に接続する。
【0050】
上記の構成を有する電気コネクタ100において、相手側コネクタと嵌合している電気コネクタ100を、上方規制部124又は上方規制部125に指を引っ掛けて上方に引っ張ることにより、相手側コネクタとの嵌合状態を解除することができる。これにより、電気コネクタ100と相手側コネクタとの嵌合状態を容易に解除することができる。
【0051】
<電気コネクタと電線との接続方法>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ100と電線Sとの接続方法につき、以下に詳細に説明する。なお、電気コネクタ100と電線Sとの接続方法において、電気コネクタ1と電線Sとの接続方法と同一の方法については、その説明を省略する。
【0052】
まず、先端側の絶縁体を切除して導電部を露出させた状態の電線Sを、巻付部121と規制部23との間に挿入した後に、巻付部121に対して巻付部121の内側から電線保持部101を経由させて巻付部121の外側に巻き付け、巻付部121に対して巻付部121の外側から内側に巻き付けると共に、巻付部121に対して巻付部121の内側から電線保持部101を経由させて巻付部121の外側に巻き付ける。これにより、
図8に示すように、巻付部121に対して電線Sを上方から見て8の字状に巻き付けることができる。また、電線保持部101は、巻付部121に巻き付けられた電線Sの途中を交差した状態で電線Sを保持する。
【0053】
この際に、電線Sの下方への移動を下方規制部26及び下方規制部251により規制すると共に、電線Sの左右方向における巻付部121から離れる方向への移動を左右規制部22により規制することにより、電線Sを巻付部121に容易に巻き付けることができる。また、左右規制部22の上端に設けた傾斜面221により、電線Sの巻付部121と左右規制部22との間への挿入をガイドすることができ、巻付部121と左右規制部22との間に電線Sを容易に挿入することができる。また、上方規制部124及び上方規制部125を巻付部121の左右方向の内方に突出しないようにすることにより、巻付部121と左右規制部22との間に電線Sを容易に挿入することができる。更に、上方規制部124又は上方規制部125と下方規制部26との上下方向の間隔R2を、上方規制部124又は上方規制部125と下方規制部251との上下方向の間隔R1より大きくすることにより、電線Sを巻付部121に巻き付ける際に、電線Sを一旦下方に移動させてから上方規制部124又は上方規制部125に引っ掛けることができるため、電線Sを上方規制部124又は上方規制部125に容易に引っ掛けることができる。
【0054】
次に、電線Sの巻付部121に巻き付けた後方側を上方から押さえ込むように電線Sを巻付部121に対して巻付部121の外側から内側に巻き付けて、電線Sの先端側を左右規制部22と左右規制部23との間に位置させると共に端子部31の上方に位置させる。この際に、電線Sの上方への移動を上方規制部124及び上方規制部125により規制することにより、電線Sが巻付部121から上方に抜けてしまうことを防ぐことができ、電線Sを巻付部121に巻き付けた状態を維持することができる。
【0055】
次に、電線Sの先端側を端子部31に接続する。
【0056】
次に、電線Sの先端側の端子部31から前方に突出した部分を図示しないカッターで端子部31の前端面に沿って切断して、電線Sを
図8に示す状態にする。
【0057】
この状態において電線Sを後方に引っ張った際に、電線Sが巻付部121に圧接されるが、電線Sの折り返し部分S1に当接する巻付部121の面を曲面にすることにより、巻付部121から電線Sに加わる荷重を分散することができるため、巻付部121により電線Sを傷付けないようにすることができると共に、電線Sが切断されることを防ぐことができる。また、電線Sは巻付部121を締め付けるように巻付部121に巻き付くため、電線Sの端子部31との接続部分に直接引張力が加わることを防ぐことができ、電線Sと端子部31との接続不良を防ぐことができる。
【0058】
ここで、電線Sの外径及び巻き数に応じた間隔R2になるように下方規制部26を設けることにより、巻付部121に対して電線Sを所望の回数だけ巻き付けることができる。また、電線Sと端子部31との接続強度が高強度である場合には、電線保持部101を経由せずに巻付部121の外周に電線Sを巻き付けことができる。
【0059】
このように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、巻付部121に巻き付けられた電線Sの途中を交差させた状態で電線Sを電線保持部101に保持させることにより、電線Sを引っ張った際に電線Sと端子部31との接続部に加わる負荷を更に軽減することができる。
【0060】
なお、本実施形態において、一対の巻付部の一方にのみ電線保持部101を設けて電線Sを8の字状に巻き付けたが、一対の巻付部の両方に電線保持部101を設けて電線Sを8の字状に巻き付けてもよい。
【0061】
また、本実施形態において、巻付部121に対して電線Sを8の字状に巻き付けたが、巻付部に対して電線Sを8の字状以外の形状で巻き付けてもよい。
【0062】
また、本実施形態において、巻付部121に巻き付けた電線Sの途中を交差させて電線保持部101に保持させたが、電線Sと端子部31との接続強度が高強度である場合には、電線保持部101を経由せずに巻付部121の外周に電線Sを巻き付けことができる。このように、本実施形態では、電線Sを電線保持部101を経由させずに巻付部121に巻き付ける場合と、電線Sを電線保持部101を経由させて巻付部121に巻き付ける場合と、を選択することができる。
【0063】
なお、本実施形態において、上方規制部124を巻付部121の上端において前方及び左右方向の外方に突出するようにすると共に、上方規制部125を巻付部121の上端において後方及び左右方向の外方に突出するようにしたが、上方規制部を巻付部の上端において前方又は後方に突出させると共に、左右方向の外方及び内方に突出しないように設けることができる。この場合には、ハウジング102の左右方向の幅を小さくすることができ、電気コネクタを小型化することができる。
【0064】
(第3の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタ300の構成につき、
図12から
図14を参照しながら、以下に詳細に説明する。なお、
図12において1本の電線Sを電気コネクタ300に接続しているが、2本の電線Sを電気コネクタ300に接続してもよい。
【0065】
本実施形態に係る電気コネクタ300は、エナメル線等の電線Sに接続し、ハウジング302と、コンタクト303と、を有している。
【0066】
ハウジング302は、絶縁性を有する材料により形成されており、巻付部321と、左右規制部322と、左右規制部323と、上方規制部324と、上面325と、を備えている。
【0067】
巻付部321は、電線Sが巻き付けられる。巻付部321は、上面325の後方側に立設されている。巻付部321は、端子部331から延設される電線Sの延設方向(後方)において端子部331よりも先端(後方)に設けられている。
【0068】
左右規制部322は、上面325に立設されていると共に左右方向において端子部331に併設されており、上面325の前端から後端まで延設されている。左右規制部322は、端子部331の左右方向の端部に接している。左右規制部322は、電気コネクタ300に接続される電線Sの数と同じ数だけ設けられ、本実施形態では2つ設けられている。
【0069】
左右規制部323は、上面325に立設されていると共に左右方向において端子部331に併設されており、端子部331を挟んで左右規制部322に対向している。左右規制部323は、上面325の前端から後端まで延設されている。左右規制部323は、端子部331の左右方向の端部に接している。左右規制部323は、本実施形態のように電気コネクタ300に2本の電線Sを接続する際には、一対の端子部331の間に立設されている。
【0070】
上方規制部324は、巻付部321の上端において、巻付部321から後方に突出して形成されている。
【0071】
上面325は、y−z平面に沿って平坦な平坦面である。
【0072】
コンタクト303は、導電性を有する材料により形成されていると共にハウジング302に一体成型により保持されており、端子部331と、接続部332と、を備えている。
【0073】
端子部331は、ハウジング302の上面325に露出して電線Sに接続する。端子部331は、前後に一対設けられている。後方側の端子部331は、巻付部321の周囲に設けられている。
【0074】
接続部332は、ハウジング302の下面から下方に突出して相手側コネクタの導電部に接続する。
【0075】
上記の構成を有する電気コネクタ300において、端子部331と巻付部321とは前後方向に一列に配列されると共に、端子部331と巻付部321との配列方向と、電線Sの延設方向と、は同一方向になる。
【0076】
<電気コネクタと電線との接続方法>
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタ300と電線Sとの接続方法につき、以下に詳細に説明する。
【0077】
まず、先端側の絶縁体を切除して導電部を露出させた状態の電線Sを、巻付部321に対して巻き付ける。
【0078】
次に、電線Sの巻付部321に巻き付けた後方側を上方から押さえ込むように電線Sを巻付部321に対して巻き付けて、電線Sの先端側を左右規制部322と左右規制部323との間に位置させると共に端子部331の上方に位置させる。この際に、電線Sの上方への移動を上方規制部324により規制することにより、電線Sが巻付部321から上方に抜けてしまうことを防ぐことができ、電線Sを巻付部321に巻き付けた状態を維持することができる。
【0079】
次に、電線Sの先端側を端子部331に接続する。電線Sと端子部331とは、パルスヒート等による半田付け、レーザ溶接又は抵抗(熱)溶接等により接続される。この際に、直線状に戻ろうとする電線Sの左右方向の移動を左右規制部322及び左右規制部323で規制することにより、端子部331に対する接続位置に電線Sを安定して保持することができるため、作業効率を向上させることができると共に電線Sの端子部331に対する接続位置のバラツキを抑制することができる。また、端子部331を電線Sの延設方向と平行な前後方向に一対設けることにより、電線Sと一対の端子部331とを接続することができ、電線Sと端子部331とを確実に接続することができる。
【0080】
次に、電線Sの先端側の前方側の端子部331から前方に突出した部分を図示しないカッターで端子部331の前端面に沿って切断して、電線Sを
図12に示す状態にする。
【0081】
この状態において電線Sを後方に引っ張った際に、電線Sは巻付部321を締め付けるように巻付部321に巻き付くため、電線Sの端子部331との接続部分に直接引張力が加わることを防ぐことができ、電線Sと端子部331との接続不良を防ぐことができる。また、電線Sの巻付部321に巻き付けた部分を端子部331に接続することが可能であるため、電線Sと端子部331とをより強固に接続することができる。なお、巻付部321の電線Sの折り返し部分と接する面は、曲面であることが好ましい。これにより、巻付部321から電線Sに加わる荷重を分散することができるため、巻付部321に巻き付けた電線Sを引っ張った際に巻付部321により電線Sを傷つける恐れがない。
【0082】
このように、本実施形態によれば、端子部331の左右に併設された左右規制部322及び左右規制部323と、を備えることにより、電線Sを端子部331に接続する際に、左右規制部322及び左右規制部323により電線Sの左右方向の移動を規制することにより、電線Sを安定して保持することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、端子部331と巻付部321とを電線Sの延設方向に沿って一列に配列すると共に、端子部331と巻付部321との配列方向と、電線Sの延設方向と、を同一方向にすることにより、電気コネクタ300の左右方向の幅を小さくすることができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、端子部331から延設される電線Sの延設方向において端子部331よりも先端に巻付部321を設けることにより、電線Sと端子部331との接続不良を確実に防ぐことができる。
【0085】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0086】
具体的には、上記第1の実施形態から第3の実施形態において、電気コネクタは2本の電線Sと接続するが、1本又は3本以上の任意の数の電線Sと電線Sの数と同数設けたコンタクトとを接続させることができると共に、左右規制部及び巻付部等を電線Sの数と同数設けることができる。
【0087】
また、上記第1の実施形態から第3の実施形態において、コンタクトをハウジングに一体成型により設けたが、コンタクトをハウジングに圧入等して設けてもよい。
【0088】
また、上記第1の実施形態から第3の実施形態において、ハウジングの上面の前端にコンタクトの端子部を露出させたが、ハウジングの上面の前端と後端との間にコンタクトの端子部を露出させてもよい。
【0089】
また、上記第1の実施形態から第3の実施形態において、電気コネクタのコンタクトに接続される電線はエナメル線に限らず、任意の電線を電気コネクタのコンタクトに接続することができる。