【解決手段】検出装置1は、生体3が着用する失禁対策衣類2に装着され、排泄物から発生する検出対象のガスである対象ガスによって排泄物を検出するための装置であって、ガスセンサを有する検出器と、失禁対策衣類2と生体3との間に形成される空間Vのガスを吸引し、吸引したガスを吐出する循環器20と、を備え、循環器20は、失禁対策衣類2の内側に配置される、内部空間S2を規定する中空の筐体21を備え、筐体21は、弾性変形可能な弾性部材によって構成されており、筐体21には、空間Vと内部空間S2とを連通するための開口21gと、検出器に面する通気孔21hと、が設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置の外観の一例を概略的に示す分解斜視図である。
図2は、
図1に示される検出器を概略的に示す図である。
図3は、
図1に示される検出装置の装着例を示す図である。
図4は、
図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図1に示される検出装置1は、監視対象の生体3の排泄物を検出するための装置である。検出装置1は、排泄物から発生する検出対象のガス(におい)である対象ガスによって排泄物を検出する。生体3は、人間に限られず、他の動物であってもよい。検出装置1によって検出される排泄物としては、尿、及び便等が挙げられる。検出装置1は、可搬型の装置であり、生体3が着用する失禁対策衣類2に取り外し可能に構成されている。失禁対策衣類2は、例えば、パンツ型の衣類である。本実施形態では、失禁対策衣類2はおむつである。検出装置1は、検出器10と、循環器20と、を備えている。
【0018】
検出器10は、生体3の排泄物を検出する装置である。検出器10は、筐体11と、取付部材12と、ガスセンサ13と、温度センサ14と、処理部15と、通信装置16と、を備えている。
【0019】
筐体11は、扁平な中空の箱型形状を有しており、内部空間S1を規定している。筐体11は、例えば、生体3への安全性の高い材料によって形成されている。筐体11の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレン等が挙げられる。筐体11は、面11a、面11b、面11c、面11d、面11e、及び面11fを有している。面11aは、検出装置1が失禁対策衣類2に装着されている状態で、失禁対策衣類2の内面と対向する面である。面11bは、面11aと反対側の面であって、検出装置1が失禁対策衣類2に装着されている状態で、生体3と対向する面である。
【0020】
面11c,11d,11e,11fは、面11aと面11bとを接続する面である。面11cと面11dとは互いに反対側に位置し、面11eと面11fとは互いに反対側に位置する。検出装置1が失禁対策衣類2に装着されている状態で、面11cは生体3の上半身側(頭側)を向き、面11dは生体3の下半身側(足側)を向く。面11fは、循環器20の筐体21と接触を成す。面11fには、筐体11の内部空間S1にガスを導入するための複数の通気孔11hが設けられている。筐体11の内部空間S1内には、ガスセンサ13、温度センサ14、処理部15、通信装置16、不図示の回路基板、及び配線等が収容されている。ガスセンサ13は、通気孔11hの近傍に配置されている。
【0021】
取付部材12は、筐体11を失禁対策衣類2に取り付けるための部材である。取付部材12は、例えば、生体3への安全性の高い材料によって形成されている。取付部材12の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレン等が挙げられる。取付部材12は、筐体11の面11aに設けられている。取付部材12は、面11aとの間に失禁対策衣類2を挟み込むことによって、筐体11を失禁対策衣類2に取り付ける。本実施形態では、2つの取付部材12が設けられている。2つの取付部材12は、面11aと面11cとによって形成される端縁の近傍に設けられ、端縁が延びる方向に離間して配置されている。
【0022】
ガスセンサ13は、排泄物のにおい(対象ガス)を検出するためのセンサである。ガスセンサ13としては、半導体方式のガスセンサ、電気化学方式のガスセンサ、及び水晶振動子方式のガスセンサ等が用いられる。排泄物として尿を検出する場合の対象ガスとしては、例えば、アンモニアが挙げられる。排泄物として便を検出する場合の対象ガスとしては、例えば、硫化水素、及びメチルメルカプタンが挙げられる。ガスセンサ13は、対象ガスの濃度に応じたアナログ値である計測値を処理部15に出力する。
【0023】
温度センサ14は、温度を計測するためのセンサである。温度センサ14は、計測値として、計測した温度を処理部15に出力する。
【0024】
処理部15は、検出器10の全体を制御する。処理部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリとを含むコントローラである。処理部15は、ガスセンサ13及び温度センサ14の動作を制御し、ガスセンサ13及び温度センサ14から所定のサンプリング間隔で計測値を取得する。ガスセンサ13及び温度センサ14からの計測値のサンプリング間隔は、例えば、1秒程度である。処理部15は、取得した計測値を通信装置16が送信可能な送信データに変換する。処理部15は、送信データに検出装置1(検出器10)を一意に識別可能な装置ID(Identification)を含めてもよい。処理部15は、送信データを通信装置16に出力する。
【0025】
通信装置16は、外部の処理装置(不図示)とデータの送受信を行うための装置である。本実施形態では、通信装置16は、無線でデータの送受信を行う。通信装置16は、処理部15から受け取ったデータを処理装置に送信し、処理装置から受け取ったデータを処理部15に出力する。
【0026】
循環器20は、失禁対策衣類2と生体3との間に形成される空間Vのガスを吸引し、吸引したガスを検出器10(ガスセンサ13)に向けて吐出する装置である。循環器20はスポイトのように動作する。循環器20は、筐体21と、取付部材22と、を備えている。
【0027】
筐体21は、扁平な中空の箱型形状を有しており、内部空間S2を規定している。筐体21は、弾性変形可能な弾性部材によって構成されている。弾性部材は、例えば、生体3への安全性の高い軟質な材料である。このような材料としては、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレン等が挙げられる。筐体21は、失禁対策衣類2の腹部側の内面に設けられる。筐体21は、面21a、面21b、面21c、面21d、面21e、及び面21fを有している。面21aは、検出装置1が失禁対策衣類2に装着されている状態で、失禁対策衣類2の内面と対向する面である。面21bは、面21aと反対側の面であって、検出装置1が失禁対策衣類2に装着されている状態で、生体3と対向する面である。
【0028】
面21c,21d,21e,21fは、面21aと面21bとを接続する面である。面21cと面21dとは互いに反対側に位置し、面21eと面21fとは互いに反対側に位置する。検出装置1が失禁対策衣類2に装着されている状態で、面21cは生体3の上半身側を向き、面21dは生体3の下半身側を向く。面21dには、空間Vと内部空間S2とを連通するための開口21g(第1開口)が設けられている。面21eは、検出器10の筐体11(面11f)と接触を成す。面21eと面11fとは接着等によって接続されている。面21eには、検出器10に面し、筐体11の内部空間S1にガスを導入するための複数の通気孔21hが設けられている。通気孔21hは、通気孔11hに対応する位置に設けられている。通気孔11h及び通気孔21hを介して、内部空間S1と内部空間S2とは接続されている。
【0029】
取付部材22は、筐体21を失禁対策衣類2に取り付けるための部材である。取付部材22は、例えば、生体3への安全性の高い材料によって形成されている。取付部材22の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレン等が挙げられる。取付部材22は、筐体21の面21aに設けられている。取付部材22は、面21aとの間に失禁対策衣類2を挟み込むことによって、筐体21を失禁対策衣類2に取り付ける。本実施形態では、2つの取付部材22が設けられている。2つの取付部材22は、面21aと面21cとによって形成される端縁の近傍に設けられ、端縁が延びる方向に離間して配置されている。
【0030】
次に、
図5(a)及び
図5(b)をさらに参照して、検出装置1の動作を説明する。
図5(a)は、生体が息を吸ったときの
図1に示される循環器の状態を示す断面図である。
図5(b)は、生体が息を吐いたときの
図1に示される循環器の状態を示す断面図である。
図3及び
図4に示されるように、検出装置1は、筐体11及び筐体21が失禁対策衣類2と生体3との間に位置するように、失禁対策衣類2に装着される。つまり、検出装置1が失禁対策衣類2に装着されている状態において、検出器10(筐体11)と循環器20(筐体21)とは、失禁対策衣類2の内面に並設される。この例では、検出装置1は、失禁対策衣類2の腹部側の内面に装着される。検出器10と循環器20とは、生体3の身長方向と交差する方向である幅方向(縁部2aの延在方向)に沿って配置されている。つまり、筐体11及び筐体21は、失禁対策衣類2と生体3の腹部3aとの間に設けられる。
【0031】
具体的には、取付部材12と面11aとの間及び取付部材22と面21aとの間に、失禁対策衣類2の縁部2aを挿入し、失禁対策衣類2の縁部2aが取付部材12の基部及び取付部材22の基部と接触を成す程度に検出装置1を生体3の下半身側に押し込む。これにより、取付部材12及び面11aと取付部材22及び面21aとによって、失禁対策衣類2の縁部2aを挟持した状態で、検出装置1は装着される。縁部2aは、伸縮性を有しているので、検出装置1は腹部3aに向けて押し付けられる。このとき、面11a及び面21aは失禁対策衣類2の腹部側の内面と対向(接触)し、面11b及び面21bは生体3(腹部3a)と対向(接触)し、面11c及び面21cは生体3の上半身側に位置し、面11d及び面21dは生体3の下半身側に位置している。失禁対策衣類2と生体3との間には空間Vが形成される。
【0032】
生体3が呼吸をすることによって腹部3aの位置が変わるので、呼吸動作に応じて筐体21の内部空間S2の容積が変化する。具体的には、
図5(a)に示されるように、生体3が息を吸うときには、腹部3aは膨らむので、循環器20は失禁対策衣類2と腹部3aとに挟まれて筐体21に力が加わる。このため、筐体21が潰れ、筐体21の内部空間S2の容積(内部空間容量)が減少する。これにより、内部空間S2内のガスは筐体21の外部に吐出される。このとき、内部空間S2内のガスは、開口21gを介して空間Vに吐出されるとともに、通気孔21h及び通気孔11hを介して、筐体11の内部空間S1に吐出される。
【0033】
一方、
図5(b)に示されるように、生体3が息を吐くときには、腹部3aは萎むので、失禁対策衣類2と腹部3aとによって筐体21に加わる力が減少する。このため、筐体21の復元力によって筐体21の形状が元に戻り、内部空間S2の容積が増加する。これにより、開口21gを介して空間Vから内部空間S2にガスが吸い込まれる。このように、生体3の呼吸によって、腹部3aが膨張し、萎む動作が繰り返されることにより、内部空間S2の容積が変化するので、空間Vから内部空間S2へのガスの吸引と、内部空間S2から内部空間S1及び空間Vへのガスの吐出と、が繰り返される。
【0034】
生体3が排泄(失禁)した場合には、排泄物から放出される対象ガスが空間Vに充満する。呼吸に応じた循環器20の上記動作が繰り返されることによって、空間V内の対象ガス(におい)は、撹拌されるとともに、検出器10の筐体11内(内部空間S1)に吐出される。これにより、ガスセンサ13近傍に対象ガスが送出され、ガスセンサ13によって対象ガスが検出される。
【0035】
この検出装置1では、失禁対策衣類2と生体3との間に形成される空間Vと筐体21の内部空間S2とを連通するための開口21gと、検出器10に面する通気孔21hと、が中空の筐体21に設けられている。筐体21は弾性変形可能な弾性部材によって構成されているので、筐体21に外部から力が加わることによって、筐体21が押し潰され、筐体21の内部空間S2の容積が減少する。これにより、内部空間S2内のガスが通気孔21hを介して検出器10に吐出される。また、筐体21に加えられた力が除かれることによって、筐体21の形状が元の形状に復元され、筐体21の内部空間S2の容積が増加する。これにより、開口21gを介して、空間Vから内部空間S2にガスが吸引される。この動作が繰り返されることによって、空間Vから内部空間S2へのガスの吸引と、内部空間S2から検出器10へのガスの吐出と、が繰り返される。
【0036】
具体的には、生体3の呼吸によって、腹部3aが膨張し、元に戻る動作が繰り返されるので、筐体21が失禁対策衣類2の腹部側の内面に設けられることで、腹部3aから筐体21に加わる力が増減を繰り返す。これにより、呼吸動作を利用して、循環器20による吸引及び吐出を行うことができる。検出装置1では、生体3の生命活動に必要な呼吸という動作をエネルギー源とすることで、電気駆動の吸引ポンプ及びファンを使用することなく、循環器20による吸引及び吐出が行われる。このように、排泄物から発生した対象ガスは、電力が不要な循環器20による吸引及び吐出によって、検出器10に送り出される。
【0037】
排泄された時点で排泄物から対象ガスが発生し、循環器20の動作によって対象ガスが拡散してガスセンサ13まで到達する。このため、ガスセンサ13が、排泄物から物理的に離れた位置に設けられていたとしても、排泄時点からガスセンサ13が対象ガスを検出するまでの遅延時間を短縮することができる。また、循環器20が設けられていない場合、排泄物から発生した対象ガスは自然拡散するので、対象ガスの濃度が一様でない状態で対象ガスが拡散してガスセンサ13に到達する。このため、ガスセンサ13で検出し始める過渡状態では、ガスセンサ13の計測値が不安定となるおそれがある。しかしながら、循環器20によって空間V内のガスを撹拌しながら、ガスセンサ13に送り出すことで、ガスセンサ13の計測値が不安定となる時間を短縮することができ、検出の安定性を向上させることが可能となる。その結果、検出精度を向上させつつ、消費電力を低減することが可能となる。
【0038】
生体3の部位のうち、排泄器官に近く、呼吸に応じて変位する部位には、腹部3aの前面及び腹部3aの側面がある。高齢者等の監視対象者は、背臥位(仰向け)又は側臥位で就寝することが多い。このため、検出装置1が監視対象者の腹部3aの側面側に装着されると、監視対象者に違和感を与えるおそれがある。これに対し、失禁対策衣類2の内面のうち、腹部3aの前面側の内面に検出装置1が取り付けられる。つまり、検出装置1が監視対象者の腹部3aの前面側に装着される。これにより、監視対象者の違和感を低減することが可能となる。
【0039】
検出器10と循環器20とは、失禁対策衣類2の内面に並設されている。検出器10と循環器20とを重ねる場合と比較して、検出装置1の厚さを低減することができる。これにより、検出装置1を取り付けることによって生じる失禁対策衣類と生体との間の隙間を低減することができる。また、検出装置1の厚さに起因する圧迫感を軽減することができる。
【0040】
検出装置1は、消費電力を増加させることなく、対象ガスの検出精度を向上させることから、バッテリ駆動のモバイル型検出装置として特に有用である。
【0041】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る検出装置の装着例を示す図である。
図7(a)は、生体が息を吸ったときの
図6に示される循環器の状態を示す断面図である。
図7(b)は、生体が息を吐いたときの
図6に示される循環器の状態を示す断面図である。
図7(a)及び
図7(b)は、
図6のVII−VII線に沿った断面図である。
図6に示されるように、検出装置1Aは、循環器20が一対の支持部材23a,23bを備える点で、検出装置1と主に相違する。
【0042】
一対の支持部材23a,23bは、筐体21の内部空間S2を確保するための部材である。一対の支持部材23a,23bのそれぞれは、剛性を有する部材によって構成されている。支持部材23a,23bの材料としては、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレン等が挙げられる。一対の支持部材23a,23bは、例えば、失禁対策衣類2の内面のうち、検出装置1A(循環器20)が取り付けられる部分に沿った一方向において、筐体21を挟むように設けられる。つまり、支持部材23a、筐体21、及び支持部材23bは、失禁対策衣類2の内面のうち、循環器20が取り付けられる部分に沿ってその順に配列されている。一対の支持部材23a,23bは、筐体21の対向する2つの面に設けられる。一対の支持部材23a,23bのそれぞれは、検出装置1A(循環器20)が取り付けられる部分に沿った方向であって、一方向と交差する他方向に延びている。
【0043】
本実施形態では、一対の支持部材23a,23bは、生体3の幅方向において、筐体21を挟むように設けられる。支持部材23aは、面21eに設けられ、生体3の身長方向に沿って延びている。支持部材23bは、面21fに設けられ、生体3の身長方向に沿って延びている。支持部材23aは、筐体11(面11f)と筐体21(面21e)とによって挟持されている。
【0044】
支持部材23aには、筐体11の内部空間S1にガスを導入するための複数の通気孔23hが設けられている。通気孔23hは、通気孔11hと通気孔21hとを連通する孔であり、面11fから面21eに向けて支持部材23aを貫通する。通気孔23hは、通気孔11h,21hに対応する位置に設けられている。通気孔11h、通気孔23h、及び通気孔21hを介して、内部空間S1と内部空間S2とは接続されている。
【0045】
以上の検出装置1Aにおいても、上述した検出装置1と同様の効果が奏される。
【0046】
失禁対策衣類2の縁部2aには、着用ずれを抑制するために、ゴム等の伸縮可能な部材が設けられている場合がある。筐体21は弾性変形可能な弾性部材によって構成されているので、例えば、縁部2aによって循環器20の筐体21が生体3に向けて強く押し付けられた状態で、上述の検出装置1が装着されると、筐体21の形状が潰れた状態となり、生体3の呼吸に応じて変形しなくなる可能性がある。
【0047】
これに対し、検出装置1Aでは、失禁対策衣類2の内面のうち、検出装置1A(循環器20)が取り付けられる部分に沿った方向において、筐体21を挟むように一対の支持部材23a,23bが設けられている。一対の支持部材23a,23bは、失禁対策衣類2の縁部2aに設けられたゴム等による押圧によって変形しない程度の剛性を有している。このため、失禁対策衣類2の縁部2aに設けられたゴム等によって、循環器20の筐体21が生体3に向けて強く押し付けられた状態で検出装置1Aが装着されたとしても、一対の支持部材23a,23bがほとんど変形しないので、筐体21の潰れ量を低減することができる。これにより、筐体21が常に潰れた状態となることを回避し、呼吸による内部空間S2の容積の変化量を確保することができる。したがって、循環器20による吸引及び吐出が効率よく行われ得る。
【0048】
介護者等の作業方法に依存して、検出装置1Aを装着する際に、筐体21に加わる力が変わるおそれがある。また、縁部2aに設けられたゴム等の伸縮力の違いによっても、筐体21に加わる力が変わる場合がある。検出装置1Aでは、一対の支持部材23a,23bによって、これらの影響を低減することができる。
【0049】
なお、本発明に係る検出装置は上記実施形態に限定されない。
【0050】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、検出器10と循環器20とは、生体3の幅方向(縁部2aの延在方向)に沿って並設されているが、検出器10と循環器20との配置はこれに限られない。検出器10と循環器20との配置の変形例として、第1変形例及び第2変形例を説明する。
【0051】
(第1変形例)
図8(a)は、生体が息を吸ったときの第1変形例に係る検出装置の状態を示す断面図である。
図8(b)は、生体が息を吐いたときの第1変形例に係る検出装置の状態を示す断面図である。
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、検出装置1Bは、検出器10及び循環器20の配置、通気孔11h及び通気孔21hの位置、並びに循環器20が取付部材22を備えていない点において検出装置1と主に相違する。なお、
図8(a)及び
図8(b)では、筐体11内が空洞であるが、実際には、筐体11内には、ガスセンサ13、温度センサ14、処理部15、通信装置16、回路基板、及び配線等が収容されている。以降の図面においても同様である。
【0052】
検出装置1Bでは、検出器10と循環器20とは、生体3の身長方向(縁部2aの延在方向と交差する方向)に沿って並設されている。具体的には、検出器10が生体3の上半身側に配置され、循環器20が生体3の下半身側に配置される。筐体11の面11dと筐体21の面21cとが接着等によって接続されており、面11dに通気孔11hが設けられ、面21cに通気孔21hが設けられる。
【0053】
以上の検出装置1Bにおいても、上述した検出装置1と同様の効果が奏される。また、検出装置1Bでは、検出器10と循環器20とが生体3の身長方向に並設されているので、生体3の幅方向における中心線(左右対称線)と、検出装置1の幅方向における中心線と、を合わせることにより、生体3が受ける違和感を低減することができる。
【0054】
(第2変形例)
図9(a)は、生体が息を吸ったときの第2変形例に係る検出装置の状態を示す断面図である。
図9(b)は、生体が息を吐いたときの第2変形例に係る検出装置の状態を示す断面図である。
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、検出装置1Cは、検出器10及び循環器20の配置、通気孔11h及び通気孔21hの位置、並びに循環器20が取付部材22を備えていない点において検出装置1と主に相違する。
【0055】
検出装置1Cでは、検出器10と循環器20とは、失禁対策衣類2と生体3との間において積層されている。具体的には、検出器10は、失禁対策衣類2(の内面)と循環器20との間に設けられる。筐体11の面11bと筐体21の面21aとが接着等によって接続されており、面11bに通気孔11hが設けられ、面21aに通気孔21hが設けられる。
【0056】
以上の検出装置1Cにおいても、上述した検出装置1と同様の効果が奏される。また、検出装置1Cでは、生体3と循環器20だけが接触するので、失禁対策衣類2と生体3との間に検出器10及び循環器20を並設する場合と比較して、生体3と接する検出装置1の面積を低減することができる。これにより、生体3が受ける刺激及び違和感を低減することが可能となる。
【0057】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、内部空間S2内のガスが検出器10に吐出される際に、空間Vにも吐出される。この空間Vへの逆流を防止するための変形例として、第3変形例及び第4変形例を説明する。
【0058】
(第3変形例)
図10(a)は、生体が息を吸ったときの第3変形例に係る検出装置の状態を示す断面図である。
図10(b)は、生体が息を吐いたときの第3変形例に係る検出装置の状態を示す断面図である。
図10(a)及び
図10(b)に示されるように、検出装置1Dは、筐体21に開口21k(第2開口)がさらに設けられている点、循環器20が逆流防止弁24(第1逆流防止弁)及び逆流防止弁25(第2逆流防止弁)をさらに備える点において検出装置1Cと主に相違する。
【0059】
検出装置1Dでは、筐体21のうち、失禁対策衣類2から露出する露出部分21jに、開口21kが設けられている。具体的には、面21cに、内部空間S2と失禁対策衣類2の外部とを連通するための開口21kが設けられている。逆流防止弁24は、開口21gに設けられる。逆流防止弁24は、内部空間S2から空間Vにガスが流れることを防止するための弁であって、空間Vから内部空間S2に向かってガスを通過させる。逆流防止弁25は、開口21kに設けられる。逆流防止弁25は、失禁対策衣類2の外部から内部空間S2にガスが流れることを防止するための弁であって、内部空間S2から失禁対策衣類2の外部にガスを放出する。
【0060】
以上の検出装置1Dにおいても、上述した検出装置1Cと同様の効果が奏される。また、検出装置1Dでは、空間Vから失禁対策衣類2の外部に向かって一方向に筐体21の内部空間S2内のガスが流れる。このため、内部空間S2に滞留するガスの量を低減することができ、検出精度を向上させることが可能となる。
【0061】
(第4変形例)
図11(a)は、生体が息を吸ったときの第4変形例に係る検出装置の状態を示す断面図である。
図11(b)は、生体が息を吐いたときの第4変形例に係る検出装置の状態を示す断面図である。
図11(a)及び
図11(b)に示されるように、検出装置1Eは、検出器10及び循環器20の配置において検出装置1Dと主に相違する。
【0062】
検出装置1Eでは、検出装置1Bと同様に、検出器10と循環器20とは、生体3の身長方向(縁部2aの延在方向と交差する方向)に沿って並設されている。具体的には、検出器10が生体3の上半身側に配置され、循環器20が生体3の下半身側に配置される。筐体11と筐体21とは、保持部材30によって、生体3の身長方向に互いに離間した状態で保持されている。保持部材30は、板状の部材である。保持部材30は、例えば、生体3への安全性の高い材料によって形成されている。保持部材30の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレン等が挙げられる。保持部材30の一端が筐体11の面11aに接着等によって接続され、保持部材30の他端が筐体21の面21aに接着等によって接続されている。筐体11の面11dは、開口21kに対向しており、面11dに通気孔11hが設けられる。なお、検出装置1Eでは、通気孔21hが筐体21に設けられていない。検出装置1Eでは、開口21kが、検出器10に面する通気孔を兼ねている。
【0063】
以上の検出装置1Eにおいても、上述した検出装置1Dと同様の効果が奏される。また、検出装置1Eでは、空間Vから失禁対策衣類2の外部に向かって一方向に筐体21の内部空間S2内のガスが流れ、循環器20の出口に検出器10が設けられる。このため、検出器10に十分な量のガスが送り出されるので、検出精度をさらに向上させることが可能となる。
【0064】
検出装置1,1A,1B,1C,1D,1Eは、失禁対策衣類2の内面のうち、腹部3aの前面側の内面に装着されているが、これに限られない。検出装置1,1A,1B,1C,1D,1Eは、失禁対策衣類2の内面のうち、腹部3aの側面側の内面に装着されてもよい。検出装置1,1A,1B,1C,1D,1Eは、失禁対策衣類2の背部側に装着されてもよい。検出装置1,1A,1B,1C,1D,1Eが、失禁対策衣類2の腹部側に装着される場合には、筐体11及び筐体21は、生体3の腹部3aを冷やさないように構成されてもよい。例えば、筐体11及び筐体21は、熱伝導率が低い材料で構成されてもよい。また、検出装置1,1A,1B,1C,1D,1Eは、面11b及び面21bを温めるために、化学発熱体又は蓄熱材等を保持してもよい。また、筐体11は、面11bにカイロ等の保温部材を保持可能に構成されてもよい。同様に、筐体21は、面21bにカイロ等の保温部材を保持可能に構成されてもよい。
【0065】
温度センサ14によって計測された温度に基づいて、ガスセンサ13の計測値が補正されてもよい。これにより、検出精度を向上させることが可能となる。なお、検出器10は、温度センサ14を備えていなくてもよい。
【0066】
また、検出器10は、ガスセンサ13及び温度センサ14以外のセンサをさらに備えていてもよい。例えば、検出器10は、生体3の活動状況を検出するためのセンサをさらに備えていてもよい。生体3の活動状況を検出するためのセンサとしては、例えば、加速度センサ、角速度センサ、振動センサ、衝撃センサ、及び地磁気センサが挙げられる。検出器10は、検出装置1が失禁対策衣類2に装着されているか否かの装着状態を検出するためのセンサをさらに備えていてもよい。検出装置1の装着状態を検出するためのセンサとしては、例えば、接触センサ、光学式センサ、プッシュスイッチ、及び圧力センサが挙げられる。
【0067】
取付部材12は、筐体11を失禁対策衣類2に取り付け可能な部材であればよい。取付部材22は、筐体21を失禁対策衣類2に取り付け可能な部材であればよい。例えば、取付部材12,22は、粘着テープでもよく、面ファスナーでもよい。
【0068】
また、検出装置1,1A,1B,1C,1D,1Eは、表示装置(出力部)を備えていてもよい。表示装置としては、LED(Light Emitting Diode)、及び液晶ディスプレイ等が用いられてもよい。例えば、表示装置は、排泄物の有無を表示してもよい。
【0069】
筐体11,21の形状は、扁平な箱型形状であるが、これに限られない。筐体11,21は、内部空間を規定する中空の部材であればよく、筐体11,21の形状は変更され得る。
【0070】
筐体21は、生体3の呼吸動作に限られず、生体3の周期的に行われる活動(例えば、生命活動に不可欠な動作)に応じて変形可能であればよい。呼吸動作以外の活動としては、例えば、脈拍等が挙げられる。筐体21は、生体3の周期的に行われる活動に応じて変形するように設けられる。これにより、生体3の周期的に行われる活動を利用して、循環器20による吸引及び吐出を行うことができる。
【0071】
検出装置1Aでは、一対の支持部材23a,23bは、生体3の幅方向において、筐体21を挟むように設けられているが、一対の支持部材23a,23bの配置はこれに限られない。一対の支持部材23a,23bは、失禁対策衣類2の内面のうち、検出装置1A(循環器20)が取り付けられる部分に沿った一方向において、筐体21を挟むように設けられていればよい。例えば、一対の支持部材23a,23bは、生体3の身長方向において、筐体21を挟むように設けられてもよい。つまり、支持部材23aは、面21cに設けられ、生体3の幅方向に沿って延びていてもよい。支持部材23bは、面21dに設けられ、生体3の幅方向に沿って延びていてもよい。この場合、支持部材23aに通気孔23hを設ける必要がないので、検出装置1Aの製造を容易化することができる。
【0072】
一対の支持部材23a,23bは、循環器20の吸引及び吐出が可能な程度に内部空間S2を確保可能であれば、筐体21の対向する2つの面に設けられなくてもよい。また、支持部材は、筐体21の周縁に設けられ、支持部材の数は、循環器20の吸引及び吐出が可能な程度に内部空間S2を確保可能であれば、1つでもよく、3つ以上でもよい。支持部材の形状は、棒状に限られず、L字型及びC字型であってもよい。検出装置1Aと同様に、検出装置1B,1C,1D,1Eにおいても、循環器20は、一対の支持部材23a,23bを備えていてもよい。
【0073】
なお、
図5(a)、
図8(a)、
図9(a)、
図10(a)、及び
図11(a)には、筐体21全体が均一に押し潰された状態が示されているが、実際には、
図7(a)と同様に、面21bの中央部が最も凹むように、筐体21は押し潰される。図示のように、筐体21全体が押し潰されるように、筐体21の面21c,21d,21e,21fが軟らかい材料で構成されるか、蛇腹構造を有してもよい。