特開2019-72224(P2019-72224A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019072224-玩具車両用連結装置及び走行玩具 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-72224(P2019-72224A)
(43)【公開日】2019年5月16日
(54)【発明の名称】玩具車両用連結装置及び走行玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 19/18 20060101AFI20190419BHJP
【FI】
   A63H19/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-200778(P2017-200778)
(22)【出願日】2017年10月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 友浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 護
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 三郎
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150AA28
2C150CA08
2C150DA16
2C150EH16
2C150EH25
2C150EH29
2C150FB14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】できるだけ簡易な構成で連結部分のリアルさを再現することも可能な玩具車両用連結装置及びこれを備える走行玩具を提供する。
【解決手段】玩具車両同士を連結させる玩具車両用連結装置1が、玩具車両の延在方向と直交する方向に沿う軸線Lを有する軸部41と軸部41を保持する軸保持部42とを有する軸部材4と、車両連結時において連結先の軸部41の少なくとも先端部を受ける軸支部51を有する軸支部材5と、を備える一対の連結具2で構成され、少なくとも軸部材4及び軸支部材5が同一形状に形成され、軸保持部42又は軸支部材5のうち少なくとも一方は弾性を有し、連結元の軸部41と連結先の軸支部51とは弾性により互いに嵌り合う軸支状態が維持されるように構成されており、車両連結時において、連結元の軸部41と連結先の軸部41とは互いの軸線が同一軸上に位置するように配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の連結具からなり、玩具車両同士を連結させる玩具車両用連結装置であって、
各前記連結具は、
一端側が前記玩具車両側に係止される本体部と、
前記本体部の他端側に設けられ、前記玩具車両の延在方向と直交する方向に沿う軸線を有する軸部と、前記軸部を保持する軸保持部と、を有する軸部材と、
車両連結時において、連結先の前記軸部の少なくとも先端部を受ける軸支部を有する軸支部材と、
を備え、
前記一対の連結具は、少なくとも前記軸部材及び前記軸支部材が同一形状に形成され、
前記軸保持部又は前記軸支部材のうち少なくとも一方は弾性を有し、
連結元の前記軸部と連結先の前記軸支部とは前記弾性により互いに嵌り合う軸支状態が維持されるように構成されており、
車両連結時において、連結元の前記軸部と連結先の前記軸部とは互いの軸線が同一軸上に位置するように配置されることを特徴とする玩具車両用連結装置。
【請求項2】
前記軸保持部は、前記軸部の基端側を支持するとともに前記軸部の軸線に直交する前記玩具車両の延在方向に沿って延在し、前記軸部材は外観視L字状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の玩具車両用連結装置。
【請求項3】
前記軸支部材には、前記軸支部として凹部又は孔部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の玩具車両用連結装置。
【請求項4】
前記軸部の先端部にはRが付されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の玩具車両用連結装置。
【請求項5】
前記軸支部材は、前記軸部の軸線方向に厚みを有する板状の部材であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の玩具車両用連結装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の玩具車両用連結装置と、
前記玩具車両用連結装置により連結される複数の玩具車両と、
を備えることを特徴とする走行玩具。
【請求項7】
車両連結時において、連結元の前記軸部と連結先の前記軸部とは互いの軸線が前記玩具車両の幅方向に延在する同一軸上に位置するように配置されることを特徴とする請求項6に記載の走行玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は玩具車両用連結装置及び走行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具車両(鉄道模型車両)を複数台連結させた走行玩具が知られている。
こうした走行玩具における車両同士を連結させるための連結装置としては、連結元の車両に設けられたフックを連結先の車両に設けられたリング等の係止部に係止させるような構成のものがある。
こうした連結装置は、簡易な構成で車両同士を連結させることができるが、連結元の車両に設けられる連結具と連結先の車両に設けられる連結具とが異なる形状となっているため、連結装置を2種類の形状の部材で構成する必要があり、製造面で不利である。
また、走行玩具では、できるだけ実際の列車車両の構造と近い方がリアリティがあり、玩具としてもより魅力が増すが、フックを係止部に引っ掛けるような構成は実際の列車車両の連結構造とは大きく異なっており、リアリティに欠ける。
【0003】
そこで、車両同士を連結するためのカプラー(連結器)と、車両本体側に固着されカプラーを担持するためのカプラー担持体とを備えた鉄道模型車輌の連結装置も提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1、特許文献2に記載の連結装置は、連結させる部分に弾性を持たせて、連結元の連結具と連結先の連結具とを強制的に嵌め込むことでカプラー同士を緊結させることができる構成となっている。
このように連結部分が互いに嵌り合うことで係着される構造は実際の列車車両の連結構造に近い構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2580083号公報
【特許文献2】特許第2664035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載のカプラーを備える連結装置は、複数の部品で構成されており、その構造も複雑である。
こうした連結装置は、連結部分のリアルさを追求する結果、かなり精密な構成となっており、取り扱いにもある程度の慎重さを要する。このため、子供用の玩具に採用するにはあまり適さないという問題がある。
また、このような連結装置は、部品点数の多さや組み立て工程の多さによりコスト増が避けられない。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、できるだけ簡易な構成で連結部分のリアルさを再現することも可能な玩具車両用連結装置及びこれを備える走行玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段は、一対の連結具からなり、玩具車両同士を連結させる玩具車両用連結装置であって、
各前記連結具は、
一端側が前記玩具車両側に係止される本体部と、
前記本体部の他端側に設けられ、前記玩具車両の延在方向と直交する方向に沿う軸線を有する軸部と、前記軸部を保持する軸保持部と、を有する軸部材と、
車両連結時において、連結先の前記軸部の少なくとも先端部を受ける軸支部を有する軸支部材と、
を備え、
前記一対の連結具は、少なくとも前記軸部材及び前記軸支部材が同一形状に形成され、
前記軸保持部又は前記軸支部材のうち少なくとも一方は弾性を有し、
連結元の前記軸部と連結先の前記軸支部とは前記弾性により互いに嵌り合う軸支状態が維持されるように構成されており、
車両連結時において、連結元の前記軸部と連結先の前記軸部とは互いの軸線が同一軸上に位置するように配置されることを特徴とする。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、前記軸保持部は、前記軸部の基端側を支持するとともに前記軸部の軸線に直交する前記玩具車両の延在方向に沿って延在し、前記軸部材は外観視L字状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段において、前記軸支部材には、前記軸支部として凹部又は孔部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれか一の手段において、前記軸部の先端部にはRが付されていることを特徴とする。
【0012】
第5の手段は、第1の手段から第4の手段のいずれか一の手段において、前記軸支部材は、前記軸部の軸線方向に厚みを有する板状の部材であることを特徴とする。
【0013】
第6の手段は、第1の手段から第5の手段のいずれか一の手段である玩具車両用連結装置と、
前記玩具車両用連結装置により連結される複数の玩具車両と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
第7の手段は、第6の手段において、車両連結時において、連結元の前記軸部と連結先の前記軸部とは互いの軸線が前記玩具車両の幅方向に延在する同一軸上に位置するように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の手段によれば、一対の連結具は、少なくとも互いに連結される部分である軸部材及び軸支部材が同一形状に形成されているため、様々な玩具車両同士を共通して連結させることができる。
また、軸保持部又は軸支部材のうち少なくとも一方が弾性を有し、連結元の軸部と連結先の軸支部とは弾性により互いに嵌り合う軸支状態が維持される。
このため、軸支状態を維持するための部材を別途設ける必要がなく、簡易な構成で車両同士を連結させることが可能となる。また、簡易な構成であるため、子供が使用する玩具に使用しても破損しにくい。さらに、このように連結元の軸部と連結先の軸支部とが互いに嵌り合うことで連結される構成となっているため、連結部分のリアルさを再現することができる。
また、車両連結時において、連結元の軸部と連結先の軸部とは互いの軸線が同一軸上に位置するように配置される。
このため、連結部分に歪み等が生じず、直線状のレール上を走行する場合のみならず、曲線のレール上を走行する場合にも安定して連結状態が維持される。
【0016】
第2の手段によれば、軸部材は、軸部と、軸部の軸線に直交する玩具車両の延在方向に沿って延在する軸保持部と、により外観視L字状に形成されている。
これにより一繋がりの単純な形状によって軸部材を構成することができる。
【0017】
第3の手段によれば、軸支部材には、軸支部として凹部又は孔部が形成されている。
これにより、軸支部材を簡易に一体形成することができる。また、軸部を凹部等に嵌め込むだけで、誰でも容易かつ確実に軸部を軸支させることができる。
【0018】
第4の手段によれば、軸部の先端部にRが付されているため、軸部を凹部等の軸支部に嵌め込んだり、これを外したりする際に引っ掛かりが少ない。これにより、子供等でも容易に連結部分の着脱が可能であるとともに、軸部や軸支部材に無理な力が加わるのを避けることができることで、パーツが破損することを防止できる。
さらに、軸部を軸支部に嵌め込んだ後も、玩具車両の動きに応じて連結部分が円滑に追従し、曲線のレール上でも連結された玩具車両が脱線したりすることなく、スムーズに走行させることができる。
【0019】
第5の手段によれば、軸支部材は、軸部の軸線方向に厚みを有する板状の部材であるため、軸部の軸線方向に沿って柔軟に撓ることができ、軸線方向の揺れに対応することができる。
【0020】
第6の手段によれば、複数の玩具車両が玩具車両用連結装置によって連結されているため、簡易な構成で容易に複数の玩具車両を連結させることができ、バリエーションに富んだ遊び方を楽しめる走行玩具を実現することができる。
【0021】
第7の手段によれば、車両連結時において、連結元の軸部と連結先の軸部とは互いの軸線が玩具車両の幅方向に延在する同一軸上に位置するように配置される。
このため、走行時、走行玩具の横方向の揺れに対応しやすく、例えば曲線のレール上でも、連結部分が外れたり車両が脱線したりすることなく円滑に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る玩具車両用連結装置とこれを備える走行玩具の一実施形態を示した側面図である。
図2】本実施形態における玩具車両同士の連結部分の拡大斜視図である。
図3】本実施形態における玩具車両用連結装置を構成する連結具の斜視図である。
図4】本実施形態における玩具車両用連結装置を構成する連結具の平面図である。
図5】本実施形態における玩具車両用連結装置の平面図である。
図6】(a)及び(b)は、本発明に係る玩具車両用連結装置の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の玩具車両用連結装置及び走行玩具の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
《走行玩具の構成》
図1は、本発明に係る玩具車両用連結装置及びこれを備える走行玩具の一実施形態を示す側面図であり、図2は、本実施形態における玩具車両同士の連結部分の拡大斜視図である。
図1に示すように、走行玩具100は、複数の玩具車両7(以下単に「車両7」とする。)が玩具車両用連結装置1(以下単に「連結装置1」とする。)によって連結されているものである。走行玩具100は、複数の車両7が連結された状態で図示しないレール(模型レール)上を走行する。
なお、図1及び図2では、2つの車両7が連結装置1によって連結されている例を図示しているが、走行玩具100を構成する車両7の数及びこれらを連結させる連結装置1の数は図示例に限定されない。例えば、連結装置1によって車両7を3台以上連結させてもよいし、連結装置1以外の手法によって複数(例えば3台等)の車両7を連結させた車両ユニット同士を連結装置1によって連結させてもよい。
また、連結装置1によって連結される車両7又は車両ユニットは、全てが同じ種類の車両7であってもよいし、異なる種類の車両同士を連結装置1で連結させてもよい。なお、複数の車両が連結された走行玩具を円滑に走行させるために、連結される車両7の種類が異なる場合でも、各車両7の幅や高さがほぼ同じであることが好ましい。
【0025】
車両7における延在方向の少なくとも一端側には、開閉扉71が設けられている。開閉扉71は図示しない開閉機構によって開閉可能に構成されている。開閉機構は電気的に動作するものであってもよいし、ユーザが手動で動作させる機械的な構成であってもよい。
車両7内であって開閉扉71の内側には、連結アーム72が設けられている。
図示は省略するが、連結アーム72は、その一端側が車両7内に軸支されており、開閉扉71が「開」となったときに車両7外に突出し、「閉」となったときに車両7内に収容されるように出没可能に構成されている。
連結アーム72は車両7の幅方向に揺動可能となっていることが好ましい。また、連結アーム72は車両7の上下方向(図1における上下方向、車両7の高さ方向)に多少の遊びを持った状態で軸支されていることが好ましい。このように、連結アーム72が車両7の幅方向、車両7の上下方向に動くことができるようにすることで、走行玩具100が曲線状のレール上を走行する場合や勾配のある箇所を走行する場合にも遠心力による傾きや傾斜による上下動等の衝撃を柔軟に吸収し、車両7の脱線等を防止することができる。
【0026】
また、連結アーム72の他端側には連結装置1を構成する一対の連結具2のうちの一方(例えば連結具2a)が連結軸73を介して軸支されている。
図1及び図2に示すように、連結先の車両7における連結元の車両に対向する側の端部には、一対の連結具2のうちの他方(例えば連結具2b)が連結軸73を介して軸支されており、連結具2aと連結具2bとが連結状態となることで車両7同士が連結される。
【0027】
《連結装置の細部構成》
図1及び図2に示すように、本実施形態の連結装置1は、一対の連結具2を備えている。
ここで、連結装置1の構成について詳細に説明する。
図3は、本実施形態における玩具車両用連結装置(連結装置)を構成する連結具の斜視図であり、図4は、連結装置を構成する一対の連結具の連結前の状態を示す平面図であり、図5は、一対の連結具が連結された状態となった連結装置の平面図である。
図3に示すように、連結具2は、本体部3と、軸部材4と、軸支部材5と、を備えている。
連結具2は、例えばプラスチック等の各種樹脂により一体成型される。なお、連結具2を形成する材料や形成手法はここに例示したものに限定されない。例えば、本体部3のみが硬質な樹脂等の耐衝撃性の高い材料により別部材として形成されてもよい。
【0028】
本体部3は、一端側が車両7(本実施形態では、車両7の連結アーム72)に係止されるようになっており、連結アーム72と接続される部分に軸孔31が形成されている。
本実施形態では、本体部3の軸孔31と連結アーム72側の図示しない孔部とに連結軸73を挿通させることにより、連結具2が車両7に連結される。
図5に示すように、連結アーム72に係止された本体部3(本体部3を有する連結具2)は連結アーム72に対して、車両7の幅方向(図2において車両7の連結方向に直交する方向)に連結軸73周りに揺動可能となっている。このように、本体部3(本体部3を有する連結具2)が連結アーム72に対して揺動可能に係止されていることにより、走行玩具100が曲線状のレール上を走行する場合にも遠心力による傾き等を柔軟に吸収し、車両7の脱線等を防止し、滑らかに走行させることができる。
【0029】
軸部材4は、本体部3の他端側(車両7との連結側とは反対側)に設けられており、車両7の延在方向(図1図2における左右方向)と直交する方向に沿う軸線L(図4及び図5参照)を有する軸部41と、この軸部41を保持する軸保持部42と、を有している。
本実施形態において、軸部41の先端部にはRが付されており、全体に丸みを帯びた形状に形成されている。
図3から図5に示すように、本実施形態の軸保持部42は、軸部41の基端側を支持するとともに軸部41の軸線に直交する方向である車両7の延在方向に沿って延在しており、軸部材4は、全体を外観視したときにほぼL字状に形成されている。
図5に示すように、本実施形態では、車両連結時において、連結元の車両7に設けられている連結具2(例えば連結具2a)の軸部材4の軸部41と連結先の車両7に設けられている連結具2(例えば連結具2b)の軸部41とは、互いの軸線Lが同一軸上に位置するように配置されるようになっている。
【0030】
軸支部材5は、連結先の車両7に設けられている連結具2の軸部材4を軸支するものである。
本実施形態では、軸支部材5を連結具2の幅方向(軸部41の軸線方向)の一端側に設け、軸部41を有する軸部材4の軸保持部42を連結具2の幅方向(軸部41の軸線方向)の他端側であって、軸支部材5の厚み分だけ内側に入った位置に設けている。
本実施形態において軸支部材5は、軸部41の軸線L方向に厚みを有する板状の部材である。このため、軸支部材5は、軸線L方向に沿ってある程度揺動可能となっている。
また、軸支部材5は、軸部材4の軸保持部42とほぼ平行して軸部41の軸線Lに直交する方向である車両7の延在方向に沿って延在している。
軸支部材5は、車両7の連結時において、連結先の軸部41の少なくとも先端部を受ける軸支部51を有している。
本実施形態では、軸支部材5には軸支部51として軸部41の軸線Lに沿って貫通する孔部が形成されている。なお、軸支部51は、軸部41の少なくとも先端部を受けることができるものであればよく貫通孔に限定されない。例えば軸支部材5に軸支部51として凹部が形成されていてもよい。この場合、凹部は、連結装置1に振動や衝撃が加わった場合でも軸部41の先端部が容易に抜けない程度の大きさ及び深さに形成される。
【0031】
一対の連結具2(2a,2b)は、少なくとも軸部材4及び軸支部材5が同一形状に形成されていることが好ましい。本実施形態では、本体部3も含めた連結具2(2a,2b)全体が同一形状に形成されている。
一対の連結具2(2a,2b)における連結側である軸部材4と軸部材4を受ける側である軸支部材5とを同一形状とすることにより、連結具2(2a,2b)が設けられている車両7同士であれば、どれも連結させることができ、走行玩具100の拡張性を高めることができる。
また、本体部3も含めた連結具2(2a,2b)全体を同一形状とした場合には、連結具2を樹脂等で一体成型する場合に、同一の型を用いて効率よく生産することができる。
【0032】
また、各連結具2(2a,2b)は、その軸保持部42又は軸支部材5のうち少なくとも一方が弾性を有しており、連結元の軸部41(例えば連結具2aの軸部41)と連結先の軸支部51(例えば連結具2bの軸部51)、連結先の軸部41(例えば連結具2bの軸部41)と連結元の軸支部51(例えば連結具2aの軸部51)とがそれぞれ弾性により互いに嵌り合う軸支状態が維持されるように構成されている。
本実施形態では、軸保持部42及び軸支部材5のうち、主として板状の部材である軸支部材5が弾性により変形するように構成されている。これにより一対の連結具2(2a,2b)を連結させる際には、軸部41を押し込むにしたがって、軸支部材5が軸保持部42から離間する方向に軸線L方向に沿って弾性変形し、軸部41が軸支部51に係止されると、軸保持部42及び軸支部材5が弾性により元の位置に復帰する。これにより、軸部41と軸支部51とが互いに嵌り合う軸支状態が維持される。
【0033】
《連結装置及びこれを備える走行玩具の作用》
次に、連結装置及びこれを備える走行玩具の作用について説明する。
車両7同士を連結させる場合には、図2及び図5に示すように、一方の車両7に取り付けられた連結具2aと他方の車両7に取り付けられた連結具2bとが対向する向きに車両7を配置する。
本実施形態では、各連結具2a,2bの形状が同じであるため、連結具2a,2bを対向するように配置すると、図4及び図5に示すように、一方の連結具2aが他方の連結具2bを反転させた状態となる。
この状態で、連結具2aの軸部41と連結具2bの軸支部51、連結具2bの軸部41と連結具2aの軸支部51が互いに嵌り応用に各連結具2a,2bを嵌め合わせる。このとき、一方の連結具2aに対して他方の連結具2bを押し込むと、板状の部材である軸支部材5が軸部材4から離れる方向に弾性変形する。そして、一方の連結具2a,2bの各軸部41がそれぞれ他方の軸支部51に係止されると、軸保持部42及び軸支部材5が弾性により元の位置に復帰し、軸部41と軸支部51とが互いに嵌り合う軸支状態が維持される。これにより、車両7同士の連結が完了する。
【0034】
走行玩具100を走行させる際には、上記のようにして連結させた複数の車両7からなる走行玩具100をレールの上に配置して走行させる。走行させる手法は電気的な動力によるものでもよいし、レールを勾配のある箇所等に配置して、傾斜を利用して走行させるのでもよい。
前述のように、本実施形態の軸部41は先端部にRを有しているため、軸支部51に係止された状態で係止部分が円滑に可動するようになっており、レールが直線状の箇所のみならず、カーブが形成されているような箇所においても適宜連結装置1が衝撃等を吸収し、円滑に曲線箇所を走行させることができる。
【0035】
また、車両7同士の連結を解除する場合には、連結具2aと連結具2bとを互いに離間する方向に引っ張ることにより、軸支部材5が軸保持部42から離間する方向に押し広げられて、軸部41が軸支部51から外れる。これにより連結装置1の連結状態が解除され、連結されていた車両7の1つ又は一部を取り外すことができる。
【0036】
このように、本実施形態では、連結装置1が簡易な構成となっているため、子供等でも簡易に車両同士の着脱を行うことができ、遊びを楽しむことができるとともに、樹脂等により一体形成された部材同士を着脱するだけであるため、比較的破損や故障を生じにくく、安全に走行玩具による遊びを楽しむことができる。
【0037】
《本実施形態の効果》
以上のように、本実施形態によれば、一対の連結具2a,2bは、少なくとも互いに連結される部分である軸部材4及び軸支部材5が同一形状に形成されているため、様々な玩具車両7同士を共通して連結させることができ、走行玩具のバリエーションを拡張することができる。
また、本実施形態では、軸支部材5が弾性を有しており、軸支部材5が弾性変形することで連結元の軸部41と連結先の軸支部51とを嵌め合わせることができ、また、軸支部材5が弾性によって軸部材4方向に戻り、軸保持部42側に付勢されることで、連結元の軸部41と連結先の軸支部51とが互いに嵌り合った軸支状態が維持される。
このため、軸支状態を維持するための部材を別途設ける必要がなく、簡易な構成で車両同士を連結させることが可能となる。
また、このように連結元の軸部41と連結先の軸支部51とが互いに嵌り合うことで連結される構成となっているため、実際の鉄道における連結部分に近い構成となり、リアルさを再現することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、車両連結時において、連結元の軸部41と連結先の軸部41とは互いの軸線Lが同一軸上に位置するように配置される。
このため、連結部分に歪み等が生じず、直線状のレール上を走行するときのみならず、曲線のレール上を走行する場合にも安定して連結状態が維持される。
【0039】
また、本実施形態によれば、軸部材4は、軸部41と、軸部41の軸線に直交する車両7の延在方向に沿って延在する軸保持部42と、により外観視L字状に形成されている。
これにより一繋がりの単純な形状によって軸部材4を構成することができ、連結具2を効率よく製造することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、軸支部材5には、軸支部51として孔部が形成されている。
これにより、軸支部材51を簡易に一体形成することができる。また、軸部41を孔部に嵌め込むだけで、誰でも容易かつ確実に軸部41を軸支させることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、軸部41の先端部にRが付されているため、軸部41を孔部等の軸支部51に嵌め込んだり、これを外したりする際に引っ掛かりが少ない。これにより、子供等でも容易に連結部分の着脱が可能であるとともに、軸部41や軸支部材51に無理な力が加わるのを避けることができることで、パーツが破損することを防止できる。
さらに、軸部41を軸支部51に嵌め込んだ後も、車両7の動きに応じて連結部分が円滑に追従し、曲線のレール上でも車両7が複数連結された走行玩具100をスムーズに走行させることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、軸支部材5は、軸部41の軸線L方向に厚みを有する板状の部材であるため、軸部41の軸線L方向に沿って柔軟に撓ることができ、軸線L方向の揺れに対応することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、複数の車両7が連結装置1によって連結されているため、簡易な構成で容易に複数の車両7を連結させることができ、バリエーションに富んだ遊び方を楽しめる走行玩具100を実現することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、車両連結時において、連結元の軸部41と連結先の軸部41とは互いの軸線Lが車両7の幅方向に延在する同一軸上に位置するように配置される。
このため、走行時、走行玩具100の横方向の揺れに対応しやすく、例えば曲線状のレール上でも、連結部分が外れることなく円滑に走行させることができる。
【0045】
《本発明の変形例》
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0046】
例えば、本実施形態では、図5等に示すように、連結状態において、軸部41が軸線方向の内側から外側に向かって軸支部51に係止される場合を例示したが、連結状態における係止の仕方はこれに限定されない。
例えば、図6(a)に示すように、軸部41が軸線方向の外側から内側に向かって軸支部51に係止されるようにしてもよい。この場合、軸部41を有する軸部材4の軸保持部42を連結具2の幅方向(軸部41の軸線方向)の一端側に設け、軸支部材5を連結具2の幅方向(軸部41の軸線方向)の他端側であって、軸保持部42の厚み分だけ内側に入った位置に設ける。
この場合にも上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、軸部材4の形状は上記実施形態に示した形状に限定されない。
例えば、図6(b)に示すように、連結装置12の軸保持部42を軸線Lの延在方向に厚みを有する板状の部材としてもよい。
この場合、軸支部材5とともに軸保持部42も板の厚み方向(すなわち軸線Lの延在方向)に撓み変形可能となり、より連結具2の着脱がしやすくなる。
また、軸部41の形状も実施形態に示した例に限定されず、例えば図6(b)に示すように、軸部41を軸保持部42に保持された球状体としてもよい。
また、軸支部材5と軸保持部42とはいずれか一方が弾性を有していればよく、軸保持部42のみを撓み変形可能な構成としてもよい。
【0048】
また、例えば、連結装置1を車両連結時において、連結元の軸部41と連結先の軸部41の互いの軸線Lが車両7の高さ方向に延在する同一軸上に位置するように配置してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 連結装置
2 連結具
3 本体部
4 軸部材
5 軸支部材
41 軸部
42 軸保持部
51 軸支部
100 走行玩具
図1
図2
図3
図4
図5
図6