【解決手段】吸収体20は、2枚の基体不織布と、該2枚の基体不織布間に固定挟持された高吸収性ポリマーと、を含んでなる、高吸収性シートであり、吸収体20は、幅方向の両端がそれぞれ身体側に折り曲がり、身体側に位置する第一吸収体と、衣類側に位置する第二吸収体と、を有し、第二吸収体22の一部が、第一吸収体21と厚さ方向に重複しており、第一吸収体21の身体側表面の少なくとも一部は、トップシート10の衣類側表面と固定されており、第一吸収体21と厚さ方向に重複していない領域における第二吸収体22の身体側表面と、トップシート10の衣類側表面と、の間に保持空間23を有する、吸収性物品1を提供する。
前記第一吸収体の幅方向片側の寸法が、10mm以上50mm以下であり、前記第二吸収体の幅方向の寸法が30mm以上150mm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。
前記吸収体が、厚さ方向に2枚積層されており、身体側に位置する前記吸収体における第二吸収体の衣類側表面と、衣類側に位置する前記吸収体における第一吸収体の身体側表面と、が固定されている、請求項1から4のいずれかに記載の吸収性物品。
前記トップシートの身体側表面に、幅方向両端部において長手方向に沿って立体ギャザーを有し、前記立体ギャザーの自由端及び固定端が、前記第一吸収体と厚さ方向に重複する領域に位置する、請求項1から5のいずれかに記載の吸収性物品。
【背景技術】
【0002】
一般に吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、で構成されており、これにより、尿等の体液は、トップシートを通って吸収体に吸収される。この吸収性物品は、想定される使用状況における体液の排出量に応じて、パンツタイプ紙おむつ、テープ止めタイプ紙おむつ、軽失禁パッド、尿取りパッドなど様々なタイプが存在する。
【0003】
これら吸収性物品を構成する吸収体について、フラッフパルプと高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer、SAPとも称される)を併用することが一般的であったが、着用時の着用感、外観及び肌触り等の向上、尿の逆戻り低減を目的として、基体となる不織布と高吸収性ポリマーからなる、薄型の高吸収性シート(SAPシートとも称される)を吸収体として用いることもあり、高吸収性シートについて様々な検討がなされている。
【0004】
これまで検討されてきた高吸収性シートとして、例えば、特許文献1には、接着剤が塗布された第一シート及び第二シートと、第一シートと第二シートの間に配置される高吸収性ポリマーと、を備え、少なくとも第二シート上の複数の領域に対応する部位における接着剤の塗布が間欠的であるとともに、高吸収性ポリマーの幅方向の両側にて第一シートと対向する部位に接着剤が長手方向に連続的に塗布されており、高吸収性ポリマーが長手方向に沿うストライプ状に配置されていることを特徴とする高吸収性シートが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、二つの高吸収性シートが長手方向に沿って折り曲げられ、それぞれの折り目が互いに対向するように二つの高吸収性シートが配された吸収体が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1やその他多くの高吸収性シートは、不織布と高吸収性ポリマーとをホットメルト接着剤を用いて固定するため、高吸収性シートが剛性を有し、フィット性が低下することにより、横漏れが生じる場合があった。また、フィット性が得られないことにより違和感につながり、着用感が低下するという問題もあった。さらに、フラッフパルプと高吸収性ポリマーで構成される従来の吸収体に比べると、高吸収性シートの多くは、不織布に高吸収性ポリマーが接着手段により固定されることにより、高吸収性ポリマーが高密度に存在するため、吸収時間が長くかかり、尿の拡散性に劣るため、横漏れが生じる場合があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の高吸収性シートでは、上記のような構造を有することによりフィット性の改善はなされているものの、特許文献1に記載の高吸収性シートと同様に吸収性について十分に満足できるものではなかった。
【0009】
したがって、本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、吸収性、フィット性及び着用感に優れ、横漏れが良好に抑制された、薄型の吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、吸収体として、2枚の基体不織布と、該2枚の基体不織布間に固定挟持された高吸収性ポリマーと、を含んでなる、高吸収性シートを用い、吸収体が、所定の態様で折り曲がり、所定の保持空間を有することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0011】
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性又は液透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、2枚の基体不織布と、該2枚の基体不織布間に固定挟持された高吸収性ポリマーと、を含んでなる、高吸収性シートであり、前記吸収体は、幅方向の両端がそれぞれ身体側に折り曲がり、身体側に位置する第一吸収体と、衣類側に位置する第二吸収体と、を有し、前記第二吸収体の一部が、前記第一吸収体と厚さ方向に重複しており、前記第一吸収体の身体側表面の少なくとも一部は、前記トップシートの衣類側表面と固定されており、かつ前記第二吸収体の身体側表面は、前記トップシートの衣類側表面とは固定されておらず、前記第一吸収体と厚さ方向に重複していない領域における前記第二吸収体の身体側表面と、前記トップシートの衣類側表面と、の間に保持空間を有する、吸収性物品である。
【0012】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、前記第一吸収体と前記第二吸収体とが離間していることを特徴とするものである。
【0013】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の吸収性物品であって、前記吸収体における高吸収性ポリマーの坪量が、10g/m
2以上200g/m
2以下であることを特徴とするものである。
【0014】
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記第一吸収体の幅方向片側の寸法が、10mm以上50mm以下であり、前記第二吸収体の幅方向の寸法が30mm以上150mm以下であることを特徴とするものである。
【0015】
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記吸収体が、厚さ方向に2枚積層されており、身体側に位置する前記吸収体における第二吸収体の衣類側表面と、衣類側に位置する前記吸収体における第一吸収体の身体側表面と、が固定されていることを特徴とするものである。
【0016】
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記トップシートの身体側表面に、幅方向両端部において長手方向に沿って立体ギャザーを有し、前記立体ギャザーの自由端及び固定端が、前記第一吸収体と厚さ方向に重複する領域に位置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の吸収性物品において、該吸収性物品に用いる吸収体は、2枚の基体不織布と、該2枚の基体不織布間に固定挟持された高吸収性ポリマーと、を含んでなる、高吸収性シートであり、吸収体は、幅方向の両端がそれぞれ身体側に折り曲がり、身体側に位置する第一吸収体と、衣類側に位置する第二吸収体と、を有し、第二吸収体の一部が、第一吸収体と厚さ方向に重複しており、第一吸収体の身体側表面の少なくとも一部は、トップシートの衣類側表面と固定されており、第一吸収体と厚さ方向に重複していない領域における第二吸収体の身体側表面と、トップシートの衣類側表面と、の間に保持空間を有するため、本発明によれば、吸収性、フィット性及び着用感に優れ、横漏れが良好に抑制された、薄型の吸収性物品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<吸収性物品>
本発明の実施形態に係る吸収性物品1としては、成人用又は幼児用であるかどうかを問わず、テープ止めタイプの紙おむつ、パンツタイプの紙おむつ、尿取りパッド、軽失禁パッドなど特に限定されることなく、例示することができる。吸収性物品1は、
図1及び
図2に示すように、身体側に配置された液透過性のトップシート10と、トップシート10に対向し、衣類側に配置された液不透過性又は液透過性のバックシート30と、トップシート10及びバックシート30の間に配置された吸収体20と、を備え、これにより、吸収体20は、トップシート10とバックシート30との間に挟まれた構造となっている。なお、本明細書の説明において、吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向である。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向である。また、身体側表面とは、吸収体20等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、衣類側表面とは、吸収体20等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
【0020】
また、吸収性物品1の長手方向の寸法は、150mm以上500mm以下であること好ましく、幅方向の寸法は、40mm以上300mm以下であること好ましく、これらの寸法は、吸収性物品1のタイプに応じて、適宜調整することができる。また、吸収性物品1の厚みは、1.0mm以上5.0mm以下であることが好ましい。吸収性物品1の厚みを、上記の範囲に調整することにより、薄型の吸収性物品1を得ることができる。
【0021】
[吸収体]
吸収体20は、2枚の基体不織布と(図示しない)、該2枚の基体不織布間に固定挟持された高吸収性ポリマーと、を含んでなる、高吸収性シートである。フラッフパルプ等の吸収性繊維を含まないため、薄型の吸収性物品1を得ることができる。
【0022】
基体不織布としては、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の不織布や、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布を挙げることができる。本発明においては、これらの不織布のうち、嵩高さの得やすいエアスルー不織布を用いることが好ましい。
【0023】
基体不織布の厚さは、着用感及び吸収性能のバランスの観点から、0.1mm以上3.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。また、基体不織布の坪量は、15g/m
2以上100g/m
2以下であることが好ましく、20g/m
2以上40g/m
2以下であることがより好ましい。
【0024】
高吸収性ポリマーとしては、尿を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン−アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。また、高吸収性ポリマーの坪量は、吸収性能を確保するために、10g/m
2以上200g/m
2以下とすることが好ましい。さらに、吸収性能、吸収後の肌触り及び着用者の動きやすさをより向上させる観点から、高吸収性ポリマーの坪量は、10g/m
2以上100g/m
2以下とすることがより好ましい。
【0025】
また、粉体としての流動性が悪い微粉末を避けることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体20が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減する観点から、高吸収性ポリマーの中位粒子径は、50μm以上600μm以下であることが好ましく、100μm以上500μm以下であることがより好ましい。
【0026】
高吸収性ポリマーは、ホットメルト接着剤により、2枚の基体不織布の間に固定されて挟持されていることが好ましい。ホットメルト接着剤により固定することにより、高吸収性ポリマーが吸収体20の外へ漏れることを防止することができる。なお、高吸収性ポリマーの吸収性を阻害せず、かつ、着用時の肌触りを損なわないように、ホットメルト接着剤の含有量は20g/m
2以下であることが好ましい。ホットメルト接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下の、スチレン−ブタジエン−スチレン系共重合体やスチレン−イソプレン−スチレン系共重合体など合成ゴム系、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系のホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法など公知の方法が利用できる。
【0027】
(キャリアシート)
また、吸収体20は、キャリアシート(図示しない)に包まれていることがより好ましい。吸収体20をキャリアシートで包むことにより、高吸収性ポリマーが吸収体20の外へ漏れることを防止することができ、着用時の肌触りも向上させることができる。キャリアシートとしては、ティシュ、吸収紙、スパンボンド不織布やエアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができ、入手性やコストの観点から親水性不織布又はティシュを用いることが好ましい。なお、キャリアシートの坪量は、13g/m
2以上45g/m
2以下とすることが好ましく、13g/m
2以上20/m
2以下とすることがより好ましい。なお、吸収体20をキャリアシートで包む際には、吸収体20とキャリアシートとを、ホットメルト接着剤や熱エンボス加工により固定することが好ましい。
【0028】
(第一吸収体及び第二吸収体)
吸収体20は、
図2に示すように、幅方向の両端がそれぞれ身体側に折り曲がり、身体側に位置する第一吸収体21と、衣類側に位置する第二吸収体22と、を有し、第二吸収体22の一部が、第一吸収体21と厚さ方向に重複している。また、第一吸収体21と厚さ方向に重複していない領域における第二吸収体22の身体側表面と、トップシート10の衣類側表面と、の間に保持空間23を有する。よって、排尿時においては、尿が、吸収体20に吸収されるだけでなく、保持空間23に導かれ、かつ、保持されて、その後、幅方向及び厚さ方向から吸収体20に吸収され、吸収性に優れる。また、保持空間23が身体側に凹となるように形成されることにより、横漏れを良好に抑制することができる。さらに、吸収された尿は保持空間23の長手方向に伝わり、速やかに長手方向に拡散する。したがって、吸収体20がフラッフパルプ等の吸収性繊維を含まなくても、本発明の吸収性物品1は、吸収性に優れ、横漏れを良好に抑制することができる。
【0029】
なお、吸収体20は、長手方向にエンボス溝(図示しない)を有することが好ましい。これにより、吸収体20の幅方向の両端をエンボス溝を介して身体側に容易に折り畳むことができる。エンボス溝はヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等の公知の方法により形成することができる。また、エンボス溝の本数については、後述する第一吸収体21と第二吸収体22から形成される形状(略コの字状や略V字状)に応じて、適宜調整すればよい。
【0030】
また、第二吸収体22の一部が、第一吸収体21と厚さ方向に重複する構造を有することにより、第二吸収体22の、第一吸収体21と厚さ方向に重複していない領域における剛性が、第一吸収体21と第二吸収体22と厚さ方向に重複している領域における剛性よりも低いため、吸収性物品1を装着する際に、衣類側に凸となるように屈曲しやすくなり、フィット性を向上させることができ、横漏れを良好に抑制できるとともに、着用感を向上させることができる。
【0031】
また、第一吸収体21と第二吸収体22とが結合する部位を除いて、第一吸収体21と第二吸収体22とが離間していることが好ましい。上記のように、第一吸収体21と第二吸収体22とが離間していることにより、当該離間している領域にも、尿を導くことができ、吸収性を向上させることができる。具体的な態様としては、第一吸収体21と第二吸収体22により、
図2に示すように、略コの字状、また、
図3に示すように、略V字状、の形状を有しながら第一吸収体21と第二吸収体22とが離間した構造を形成することができる。第一吸収体21と第二吸収体22とが、略コの字状の形状を有しながら離間した構造、あるいは略V字状の形状を有しながら離間した構造を有することにより、離間している領域に尿を導くことができ、初期吸収速度を向上させることができる。また、第一吸収体21と第二吸収体22同士が、結合する部位を除いて非固定となるため、上記の離間する領域の高吸収性シートの膨潤を抑制する力を低下でき、吸収量が向上させることができる。同時に、上記の離間する領域における第一吸収体21と第二吸収体22同士は非固定のため、膨潤後の各吸収体はより厚くなり、尿を導くことのできる表面積はより広がるため、繰り返し使用した場合の吸収速度も向上させることができる。
【0032】
また、第一吸収体21の幅方向片側の寸法が、10mm以上50mm以下であり、第二吸収体22の幅方向の寸法が30mm以上150mm以下であることが好ましい。第一吸収体21の幅方向片側の寸法と、第二吸収体22の幅方向の寸法を上記の範囲に調整することにより、十分に吸収性を確保できる保持空間23を形成することができる。さらに、第一吸収体21の幅方向片側の寸法が、20mm以上40mm以下であり、第二吸収体22の幅方向の寸法が50mm以上140mm以下であることがより好ましい。
【0033】
第一吸収体21の身体側表面の少なくとも一部は、トップシート10の衣類側表面と固定されている。さらに第二吸収体22の身体側表面は、トップシート10の衣類側表面とは固定されていない。第一吸収体21とトップシート10が上記の態様で固定されていることにより、高吸収体シートおよび高吸水性ポリマーを吸収性物品の長手方向に均一に維持すると同時に、保持空間23を吸収性物品の幅方向中央に長手方向に沿って安定的に配置することができ、吸収性能を均一に分布させることができる。
【0034】
吸収体20は、厚さ方向に2枚積層されていてもよく、この場合、身体側に位置する吸収体20における第二吸収体22の衣類側表面と、衣類側に位置する吸収体20における第一吸収体21の身体側表面と、が固定されていることが好ましい。吸収体20が厚さ方向に2枚積層されていることにより、吸収性物品1全体の吸収性を向上させることができる。また、身体側に位置する吸収体20における第二吸収体22の衣類側表面と、衣類側に位置する吸収体20における第一吸収体21の身体側表面と、が固定されていることにより、着用時にズレが生じにくく、フィット性を向上させることができる。
【0035】
また、吸収体20が、厚さ方向に2枚積層されている場合であっても、各吸収体20の構造は、上記同様に、第一吸収体21と第二吸収体22とが結合する部位を除いて、第一吸収体21と第二吸収体22とが離間していることが好ましい。具体的な態様としては、第一吸収体21と第二吸収体22により、
図4に示すように、略コの字状、また、
図5に示すように、略V字状、の形状を有しながら第一吸収体21と第二吸収体22とが離間した構造を形成することができる。ここで、本発明において、上記のとおり、第二吸収体22の一部が、第一吸収体21と厚さ方向に重複することにより、吸収性物品1を装着する際に、衣類側に凸となるように屈曲しやすい構造となっている。吸収体20が、厚さ方向に2枚積層されている場合に、吸収性物品1を衣類側に凸となるように屈曲する際に、身体側に位置する吸収体20における保持空間23が広がり、より吸収性を向上させることができる。
【0036】
[トップシート]
トップシート10は、吸収体20に向けて尿を速やかに通過させるものであり、吸収体20を挟んで、バックシート30に対向して配置される。トップシート10は、肌と当接するシートとなることから、トップシート10には、柔らかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いて、エアスルー法、サーマルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法等の公知の加工法によって得られた親水性不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等を用いることができる。また、トップシート10には、ドライタッチ性を付与するために多数の透孔が形成されていてもよい。
【0037】
トップシート10の坪量は、加工性及び強度の観点から、18g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましい。また、トップシート10には、肌への刺激を低減させるために、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を適用してもよい。
【0038】
また、トップシート10は、保持空間23と厚さ方向に重複する領域に長手方向にスリット(図示しない)を有していてもよい。トップシート10が、上記のようなスリットを有することにより、尿だけでなく、軟便が排泄された場合にも、保持空間23に軟便を導くことができ、軟便の漏れも良好に抑制することができる。
【0039】
なお、本発明においては、吸収体20の上面への尿の拡散を促進するため、トップシート10と吸収体20との間に、液拡散性シートを設けてもよい。斯かる液拡散性シートとしては、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の不織布や、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布を挙げることができる。液拡散性シートの厚みは0.1mm以上であることが好ましく、その坪量は15g/m
2以上であることが好ましい。液拡散性シートの形状は、特に制限はないが、尿がくまなく吸収体20に拡散するよう、吸収体20の表面を完全に覆うことができる形状であることが好ましい。
【0040】
[バックシート]
本発明に用いるバックシート30としては、液不透過性又は液透過性のいずれの性質でもよいが、液不透過性であるほうが、軟便等の漏れをより防止することができるため、好ましい。また、バックシート30の坪量は、加工性及び強度の観点から、20g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましい。
【0041】
バックシート30が液不透過性である場合には、バックシート30は、液不透過性であり、かつ、遮水性を有するシート材が用いられるが、ムレ防止のために透湿性を有していてもよい。このような特性を有するバックシート30の材料としては、例えば、ポリエチレンシートやポリエチレンラミネート不織布等の厚みの薄いプラスチックシートを挙げることができる。また、バックシート30が透過性である場合には、上記のトップシート10と同様の基材を用いることができる。
【0042】
バックシート30は、着用者の股間が位置づけられる長手方向中央に括れ部を有する砂時計形状、略矩形形状等の形状を有していてもよく、吸収体20の側縁より若干外方に延在して設けられていてもよい。バックシート30の衣類側表面には、着用時に下着等に吸収性物品1を固着するための粘着剤層が設けられていてもよい。吸収性物品1が粘着剤層を有する場合、粘着剤層を保護するための剥離シートを有していてもよく、この剥離シートは、吸収性物品1の包装シートと部分的に接合されていてもよい。トップシート10及びバックシート30は、長手方向端部等、端部の少なくとも一部において、吸収体20を挟まずに、ホットメルト接着剤やヒートシール等により固着されるフラップを形成していてもよい。
【0043】
[立体ギャザー]
図1から
図5に示すように、トップシート10の身体側表面に、幅方向両端部において長手方向に沿って立体ギャザー40を有することが好ましい。吸収性物品1が、立体ギャザー40を有することにより、横漏れを良好に抑制することができる。本発明において、上記のとおり、第二吸収体22の一部が、第一吸収体21と厚さ方向に重複することにより、吸収性物品1を装着する際に、衣類側に凸となるように屈曲しやすい構造となっている。吸収性物品1を衣類側に凸となるように屈曲する際に、立体ギャザー40の自由端部が股間部分に対して、より効果的にフィットしやすくするために、
図2から
図5に示すように、立体ギャザー40の自由端及び固定端が、第一吸収体21と厚さ方向に重複する領域に位置することが好ましい。
【0044】
立体ギャザー40は、立体ギャザーシートと、立体ギャザーシートの自由端部に沿って配された伸縮性弾性部材と、を備えていることが好ましい。伸縮性弾性部材としては、天然ゴム、合成ゴム及びポリウレタン等からなる、糸状、紐状、平型形状のものを適宜使用することができる。
【0045】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品1の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、必要に応じて、立体ギャザー40をあらかじめトップシート10に配置した上で、吸収体20を、幅方向の両端がそれぞれ身体側に折り曲げることにより、身体側に位置する第一吸収体21と、衣類側に位置する第二吸収体22と、を形成し、その後、吸収体20を、トップシート10とバックシート30との間に挟持し、トップシート10とバックシート30とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定することで製造することができる。そして、これを包装体に個別包装した後、長手方向に3つ折りにして折り畳めばよい。なお、第一吸収体21と第二吸収体22を形成する際の、吸収体20を折り曲げる回数については、第一吸収体21と第二吸収体22から形成される形状(略コの字状や略V字状)に応じて、適宜調整すればよい。
【0046】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。