(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-72441(P2019-72441A)
(43)【公開日】2019年5月16日
(54)【発明の名称】転動マッサージ具
(51)【国際特許分類】
A61H 15/00 20060101AFI20190419BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20190419BHJP
【FI】
A61H15/00 310J
A61H7/00 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-208624(P2017-208624)
(22)【出願日】2017年10月11日
(71)【出願人】
【識別番号】591199039
【氏名又は名称】ベス工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】紀伊野 進一
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AA09
4C100AA33
4C100AE02
4C100AE04
4C100AF04
4C100CA20
4C100DA01
4C100DA04
4C100DA05
4C100DA08
4C100DA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】身体をマッサージするための転動マッサージ具に関し、転動マッサージにおけるマッサージ感の向上を目的とする。
【解決手段】左右一対の転動する転がり形状の転動部2・2の間を、身体部位の裏側を乗せる身体乗部3とし、各前記転動部2に前記身体部位の側面を摺擦する凸状または凹状の摺擦部21をそれぞれ設けることで、乗せた身体部位の裏側だけではなく、身体部位の側面に対しても強弱を付けたマッサージを行うことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の転動する転がり形状の転動部の間を、身体部位の裏側を乗せる身体乗部とし、各前記転動部に身体部位の側面を摺擦する凸状または凹状の摺擦部を設けたことを特徴とする転動マッサージ具。
【請求項2】
前記身体乗部を屈曲可能に構成することを特徴とする請求項1に記載の転動マッサージ具。
【請求項3】
前記身体乗部が部分的に前記身体部位の裏側に接するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転動マッサージ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体をマッサージするための転動マッサージ具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の転動マッサージ具には、身体の特定部位を乗せて前後に動かすことで転動し、置いた身体部位の裏側をマッサージする軸状のものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、マッサージが実施されるのは、乗せた身体部位の裏側だけであり、その側面をマッサージすることができないため、さらなるマッサージ感の向上が課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−177467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、転動マッサージ具におけるマッサージ感の向上という点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の転動マッサージ具は、左右一対の転動する転がり形状の転動部の間を、身体部位の裏側を乗せる身体乗部とし、各前記転動部に前記身体部位の側面を摺擦する凸状または凹状の摺擦部を設けたことを最も主要な特徴とする。
【0007】
また、本発明の転動マッサージ具は、前記身体乗部を屈曲可能に構成することができる。
【0008】
さらに、本発明の転動マッサージ具は、前記身体乗部が部分的に前記身体部位の裏側に接するようにすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の転動マッサージ具は、各前記転動部に身体部位の側面を摺擦する凸状または凹状の摺擦部を設けているため、前記身体乗部に乗せた前記身体部位の裏側だけでなく側面も同時にマッサージすることができ、且つ前記身体部位の側面に対して強弱を付けたマッサージを実現し、マッサージ感が従来のものよりも向上する。
【0010】
また、本発明の転動マッサージ具として、前記身体乗部を屈曲可能に構成するなら、前記身体乗部に乗せた身体部位の裏側や側面だけでなく上面も同時にマッサージすることができ、さらにマッサージ感が向上する。
【0011】
さらに、本発明の転動マッサージ具として、前記身体乗部が部分的に前記身体部位の裏側に接するようにするなら、前記身体部位をポイント的に押圧することができ、さらにマッサージ感は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態における転動マッサージ具の斜視図。
【
図3】同転動マッサージ具の一使用状態を示した斜視図。
【
図4】同転動マッサージ具の一使用状態を示し且つ変形状態の正面図。
【
図5】同転動マッサージ具の一使用状態を示した側面図。
【
図7】同転動マッサージ具の転動部にローラーを設ける場合の断面図。
【
図9】同転動マッサージ具の転動部を反転形状にした場合の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の転動マッサージ具を図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
本発明の転動マッサージ具1は、
図1〜
図5の実施形態で示したように、左右一対の転動する転がり形状の転動部2・2と、その間に身体部位Mを乗せる身体乗部3とを備えている。
【0015】
各前記転動部2は、
図1及び
図2に示すように転がり形状として床面や机面などの接地平面を転がる形状をしているが、例えば側面視において円形状のものや、円盤形状のものとするなら接地平面をスムーズに転動することができる。また、各前記転動部2を側面視において楕円形状のものとするなら、不使用時の転動を抑止し、静止状態を保って保管しやすくなるし、使い始める時に静止してマッサージしようとする前記身体部位Mを位置ずれすることなく容易に乗せることができるので不必要なストレスを感じず、その分マッサージ感は向上することになる。
【0016】
図2に示すように前記身体乗部3は、各前記転動部2が接地平面に接地した状態の時に、地面に当接せずに浮いた状態になるようにしている。尚、前記身体乗部3を各前記転動部2の各中心を結ぶ軸形状のものとするなら、前記身体部位Mを乗せて前後に動かす際、前記身体部位Mの裏側をスムーズに転がって滑らかなローリングマッサージを行うことができる。
【0017】
図面では前記身体部位Mとして人の腕部を示しているが、本発明の転動マッサージ具1はこれに限らず、脚部や足部、腰部や背中、首や頭など、様々な身体部位に使用できるものとしている。特に、左右一対の前記転動部2・2の間に入って前記身体乗部3に乗せられる身体部位に使用するのが望ましい。
【0018】
図3〜
図5は、前記身体部位Mの中でも一例として腕を前記身体乗部3に上から乗せた状態を示している。本発明の前記転動マッサージ具1の特徴として、特に
図2に示すように各前記転動部2に前記身体部位Mの側面を摺擦しマッサージする凸状の摺擦部21をそれぞれ設けている。尚、
図9は、各前記転動部2を反転形状にした場合、各前記摺擦部21が凹状となることを示しているが、この構成の場合も同様、前記身体部位Mの側面を摺擦しマッサージすることができる。
【0019】
図2の正面図と
図8の平面図から分かるように、見る角度によって各前記摺擦部21の凸状または凹状の度合いを異ならせている。すなわち、
図2の正面図では、各前記転動部2の中央における各前記摺擦部21の凸状の度合いが大きく、各前記転動部2の中央が内側へ突出した形状になっているが、
図8の平面図では、各前記摺擦部21の凸状の度合いが大きくなく、各前記転動部2は平坦に近い形状をしている。さらに、
図2のように各前記転動部2に設けた各前記摺擦部21を左右対称形状にし、
図3に示すように軸形状の前記身体乗部3に前記身体部位Mを乗せて前後に動かして各前記転動部2が転動する時、各前記転動部2の相互間隔は広がったり狭まったりすることを繰り返すため、前記身体部位Mの側面に対して強弱を付けたマッサージを実現し、マッサージ感が従来のものよりも向上する。尚、各前記摺擦部21は一つの前記転動部2に対して複数設けてもよい。
【0020】
また、各前記転動部2が接地した状態の時に前記身体乗部3を浮いた状態にし、且つ左右一対の前記転動部2・2の間を屈曲可能に構成している。特に、
図4に示すように前記身体乗部3を屈曲可能にしている。そのため、前記身体部位Mを前記身体乗部3に上から乗せた時に前記身体乗部3が下方に曲がり、その結果、各前記転動部2の上側が相互に近づくようになっている。このような構成により、前記身体部位Mの裏側を前記身体乗部3でローリングマッサージするだけでなく、各前記転動部2の内側で前記身体部位Mの側面や上面を同時に押圧しながら摩るなどのマッサージを行うことができ、マッサージ感が従来のものよりも向上する。特に、包み込むようにマッサージできるのが大きな特徴となる。加えて、本発明の前記転動マッサージ具1は、接地平面に置かれた状態で前記身体乗部3に前記身体部位Mを置くだけで即座に使用することができ、旦つ前記身体部位Mを乗せる力のかけ具合によって前記身体部位Mの側面や上面などにかかる押圧力を加減することができるため、使用者の好みに合ったメリハリのあるマッサージを実施することができるようになっている。
【0021】
前述のように、本発明の前記転動マッサージ具1は、
図2の正面図では各前記転動部2の中央における各前記摺擦部21の凸状の度合いが大きく、各前記転動部2の中央が内側へ突出した形状になっているが、
図8の平面図では各前記摺擦部21の凸状の度合いが大きくなく、各前記転動部2は平坦に近い形状をしている。それに加えて、
図2に示すように、各前記転動部2に設けた各前記摺擦部21を左右対称形状にし、
図3に示すように軸形状の前記身体乗部3に前記身体部位Mを乗せて前後に動かして各前記転動部2が転動する時、各前記転動部2の相互間隔は広がったり狭まったりすることを繰り返す。その上、前記身体乗部3を屈曲可能にした場合、各前記転動部2の前記身体部位M付近における相互間隔が最小になる状態から最大になる状態へ各前記転動部2が転動する際、各前記転動部2の接地平面と接地するそれぞれの下部の相互間隔も漸進的に大きくなるが、この時前記身体部位Mの重力が作用して、各前記転動部2の接地平面と接地しているそれぞれの下部は、左右方向に加速的にスライドしながら離れるため、各前記転動部2の上側は加速的に容易に相互に近づくことになる。このような構成のため、各前記転動部2が少し転動しただけで、各前記転動部2の間における前記身体部位Mに対する挟圧はすぐに容易に実施でき、マッサージ感は向上する。
【0022】
尚、前記身体部位Mを前記身体乗部3に乗せてすぐに挟圧ができるようにするため、各前記転動部2が楕円形の場合において楕円の短径が接地平面と略垂直になって静止状態になる時に、各前記転動部2の相互間隔が最小になる部分が接地平面に最も近づくようにすることができる。
【0023】
左右一対の前記転動部2・2の間を屈曲可能に構成することについて、例えば前記身体乗部3を樹脂やゴムなどで屈曲可能に形成することができる。または、前記身体乗部3のある部分に屈曲可能な部材または機構を介在したり、或いは、前記身体乗部3と各前記転動部2とのそれぞれの間に屈曲可能な部材または機構を介在したりすることができる。
【0024】
各前記転動部2の内側に凸状の各前記摺擦部21を設ける場合、
図6に示す断面から分かるように、各前記転動部2の内側は各押圧点Pを頂点として内側に膨らみ、各前記押圧点Pは前記身体部位Mに対して最も押圧する力がかかるポイントとなってマッサージ感を高めることができる。仮に、各前記転動部2の内側を平坦にすると前記身体部位Mに対して平坦面で押圧することになるため、押圧力が分散されマッサージ感がぼやけることになるが、この問題を各前記摺擦部21によって回避できる。
【0025】
さらに、
図4に示すように本発明の転動マッサージ具1として、前記身体乗部3が部分的に前記身体部位Mの裏側に接するようにするなら、前記身体部位Mをポイント的に押圧することができ、マッサージ感は向上する。これを実現するために、前記身体部位Mの裏側で転がりながら押圧する押圧凸部31を前記身体乗部3の中央付近に設けるなら、前記身体部位Mをポイント的に押圧するだけでなく、足裏においてはその横アーチにフィットし、これを保ちながら足をマッサージすることができる。前記押圧凸部31は、図面では軸形状の前記身体乗部3に串刺ししたような態様で略球形状としているが、他にも側面から見て円形となる円盤形状のものや、前記身体乗部3の長さ方向において二つの円錐形状のそれぞれの頂点を外側に向けてなる形状のものとして設けることもできるし、さらに側面から見て多角形のものや凸凹形状のものとすることができる。
【0026】
本発明の前記転動マッサージ具1は、弾性のある樹脂からなる単一の部材で形成してもよい。これにより製造コストを抑えつつ量産が可能となる。その部材として、弾力があり耐久性に優れたエラストマーやシリコーンゴムを採用してもよい。
【0027】
図7に示すように各前記転動部2において、回転軸23を軸として回転するローラー22を複数設けてもよい。各前記回転軸23を各前記転動部2の中心付近から放射状になるように設けるなら、各前記転動部2の内側で前記身体部位Mを擦る際に、各前記ローラー22が回転し、滑らかなローリングマッサージを実施することができる。また、各前記転動部2の内側だけでなく外側においても、各前記ローラー22が前記身体部位Mに当接するよう構成するなら、使用者は前記身体乗部3を持ち、各前記転動部2のどちらかの外側を前記身体部位Mに押し付けて動かすことで各前記ローラー22によるローリングマッサージを実施することができ、本発明の前記転動マッサージ具1はさらに多様なマッサージ具となり得る。
【0028】
左右一対の前記転動部2・2の間に前記身体部位Mが入るその隙間を7〜9cmの間になる大きさとし、前記身体乗部3の球形状とする前記押圧凸部31の側面から見た直径を2〜4cmの間になる大きさとし、各前記転動部2を側面から見た形状が円形であれば直径を、楕円形であれば長径を5cm〜15cmの間になる大きさとして使用実験した。その結果、前記押圧凸部31の直径と各前記転動部2の直径または長径との比率について、前記押圧凸部31の直径1とした場合、各前記転動部2の直径または長径は2以上の大きさになるよう設定するのが望ましかった。そのような設定により、前記身体部位Mを前記身体乗部3に上から乗せた時に左右一対の前記転動部2・2のそれぞれ上側が相互に近づいて前記身体部位Mを左右から十分に包み込み、且つ正面から見て相互に傾斜した前記転動部2・2が前後に転動しづらくなるまで傾斜することはなく、スムーズな転動を保てた。
【符号の説明】
【0029】
1 転動マッサージ具
2 転動部
21 摺擦部
22 ローラー
23 回転軸
3 身体乗部
31 押圧凸部
M 身体部位
P 押圧点