特開2019-72767(P2019-72767A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019072767-スパッタ除去方法及びクリーナ装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-72767(P2019-72767A)
(43)【公開日】2019年5月16日
(54)【発明の名称】スパッタ除去方法及びクリーナ装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/32 20060101AFI20190419BHJP
   B23K 9/29 20060101ALI20190419BHJP
【FI】
   B23K9/32 E
   B23K9/29 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-195417(P2018-195417)
(22)【出願日】2018年9月27日
(31)【優先権主張番号】特願2017-214213(P2017-214213)
(32)【優先日】2017年10月18日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506332937
【氏名又は名称】株式会社フィーダシステム
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001LA02
4E001LA07
(57)【要約】
【課題】スパッタが付着し難くなるとともに、付着したスパッタの付着力を弱くすることができるスパッタ除去方法及びクリーナ装置を提供することを提供すること。
【解決手段】シールドノズル5、25又はコンタクトチップ26に付着したスパッタを除去した後、シールドノズル5、25又はコンタクトチップ26をスパッタの付着防止液15に浸けて付着防止液15を塗布した。またシールドノズル5、25、コンタクトチップ26に付着したスパッタを除去するクリーナ1と、スパッタを除去したシールドノズル5、25、コンタクトチップ26に付着防止液15を塗布するための付着防止液部14を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドノズル又はコンタクトチップに付着したスパッタを除去した後、シールドノズル又はコンタクトチップをスパッタの付着防止液に浸けて付着防止液を塗布することを特徴としたスパッタ除去方法。
【請求項2】
トーチに取付けられたシールドノズルとコンタクトチップを、前記のようにスパッタを除去した後、スパッタ付着防止液に浸けて付着防止液を塗布することを特徴とした請求項1に記載のスパッタ除去方法。
【請求項3】
前記シールドノズルとコンタクトチップに過剰に塗布された前記付着防止液を液吸着部にて吸着させることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載のスパッタ除去方法。
【請求項4】
シールドノズル、コンタクトチップに付着したスパッタを除去するクリーナと、スパッタを除去したシールドノズル、コンタクトチップに付着防止液を塗布するための付着防止液部を設けたことを特徴とするクリーナ装置。
【請求項5】
前記シールドノズル、コンタクトチップに塗布された前記付着防止液を吸着するための液吸着部を設けたことを特徴とする請求項4記載のクリーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスシールドアーク溶接に用いられるシールドノズル、コンタクトチップに付着するスパッタを除去するとともに、スパッタを除去したシールドノズル、コンタクトチップにスパッタの付着防止処理を施すスパッタ除去方法及びクリーナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シールドノズルのクリーナ装置として図4に示すようにシールドノズル50の内径より若干小径の、スパッタ除去用パイプである研磨部材51と、シールドノズル50の外径より若干大径で研磨部材51より長いノズル誘導、保持用パイプ52とを、基板53に同心円上に固定し、シールドノズル50を先端から誘導、保持パイプ52内に押込み、シールドノズル50の先端が基板53の面に到達したら引抜くことにより、シールドノズル50に付着したスパッタを、研磨部材51にて除去していた。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−001145公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のものでは、シールドノズル50からスパッタを除去することはできるが、スパッタの付着を防止するための加工は施せないので、スパッタが付着し易く、また、スパッタが強固に付着しているので、スパッタの除去作業に強い力が必要であるという問題があった。
【0006】
本発明は、前記の問題を解決し、スパッタが付着し難くなるとともに、付着したスパッタの付着力を弱くすることができるスパッタ除去方法及びクリーナ装置を提供することを目的になされたものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明はシールドノズル又はコンタクトチップに付着したスパッタを除去した後、シールドノズル又はコンタクトチップをスパッタの付着防止液に浸けて付着防止液を塗布することを特徴とした。
【0008】
請求項2に記載の発明はトーチに取付けられたシールドノズルとコンタクトチップを、前記のようにスパッタを除去した後、スパッタ付着防止液に浸けて付着防止液を塗布することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記シールドノズルとコンタクトチップに過剰に塗布された前記付着防止液を液吸着部にて吸着させることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明はシールドノズル、コンタクトチップに付着したスパッタを除去するクリーナと、スパッタを除去したシールドノズル、コンタクトチップに付着防止液を塗布するための付着防止液部を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は請求項4に記載の発明において、前記シールドノズル、コンタクトチップに塗布された前記付着防止液を吸着するための液吸着部を設けたことを特徴とする
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、シールドノズル又はコンタクトチップに付着したスパッタを除去した後、シールドノズル又はコンタクトチップをスパッタの付着防止液に浸けて付着防止液を塗布することによりシールドノズル又はコンタクトチップからスパッタを除去した後、直ちに付着防止液を塗布することができるので、常に簡単に付着防止処理を施すことができ、シールドノズル、コンタクトチップ等のスパッタ除去作業の間隔を長くすることができるとともに、スパッタの付着力も小さいのでスパッタ除去作業も弱い力で簡単にできる。
【0013】
請求項2の発明では、トーチに取付けられたシールドノズルとコンタクトチップを、前記のようにスパッタを除去した後、スパッタ付着防止液に浸けて付着防止液を塗布することによりシールドノズルとコンタクトチップを同時に処理できる。
【0014】
請求項3の発明では、シールドノズルとコンタクトチップに過剰に塗布された前記付着防止液を液吸着部にて吸着させるので、シールドノズル、コンタクトチップに塗布された余分のスパッタ付着防止液を吸着させて簡単に除去することができる。
【0015】
請求項4の発明では、シールドノズル、コンタクトチップに付着したスパッタを除去するクリーナと、スパッタを除去したシールドノズル、コンタクトチップに付着防止液を塗布するための付着防止液部を設けたので、常に簡単に付着防止処理を施すことができ、シールドノズル、コンタクトチップ等のスパッタ除去作業の間隔を長くすることができるとともに、スパッタの付着力も小さいのでスパッタ除去作業も弱い力で簡単にできる。
【0016】
請求項5の発明では、前記シールドノズル、コンタクトチップに塗布された前記付着防止液を吸着するための液吸着部を設けたので、シールドノズル、コンタクトチップに塗布された余分のスパッタ付着防止液を吸着させて簡単に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
図2図1の平面図である。
図3図1のクリーナの使用方法の説明図であり、(イ)はシールドノズルを押込む前の状態の図であり、(ロ)はシールドノズルを押込んだ状態の図である。
図4】第2の実施の形態を示す正面図である。
図5図4の平面図である。
図6図1の使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図6に基づいて説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図1乃至図3に基づいて説明すると、
1は上面開口のケース2と、上面開口の垂直な保持穴3を穿設した四角柱状の基台4と、先端にシールドノズル5の内径より若干小径のスパッタ除去用の研磨部6を設けるとともに、研磨部6と段差部7を持ってシールドノズル5の外形より大径の太径部8を設け、さらに、太径部8と段差部9を持って、大径部より小径で、前記基台の保持穴3より若干小径の挿入部10を設けた、円柱状の研磨部材11とからなるクリーナであり、クリーナ1は基台4をボルト12にてケース2に取付け固定するとともに、研磨部材11の挿入部10を基台4の保持穴3に挿入し、ボルト13にて研磨部材11を基台4に垂直に抜けないように保持している。
【0019】
14は、スパッタの付着を防止するためにシールドノズルに塗布する、潤滑剤等の付着防止液15を、上開口のケース16に入れた付着防止液部であり、付着防止液15は超極圧潤滑剤であることが望ましい。
【0020】
17は、シールドノズル5に塗布された付着防止液15を吸着するための液吸着部であり、液吸着部17は、スポンジ18を網19によって形を整えている。
【0021】
20は前記クリーナ1と付着防止液部14と液吸着部17を並べて設置するためのトレーである。
【0022】
次に、本発明のクリーナ装置の使用方法を説明すると、まず、図3に示すように、シールドノズル5を先端より、研磨部材11の研磨部6がシールドノズル5の内部に押込まれるようにシールドノズル5を押込み、シールドノズル5の先端を、研磨部材6太径部8との段差部7に当接させた後に、シールドノズル5を引抜くことにより、シールドノズル5に付着したスパッタ21を除去する、
【0023】
この後、シールドノズル5を付着防止液部14の付着防止液15に工具、手等にて浸けてシールドノズル5に付着防止液15を塗布する。さらに、引き上げたシールドノズル5を液吸着部17のスポンジ18に押付けることにより過剰に塗布された付着防止液15はスポンジ18に吸着される。
【0024】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、クリーナ1のケース2や液塗布部のケース16はトレー20と一体に形成又はトレー20に固着しても良く、また、スポンジは形を整える網の無いものでもよく、さらに、シールドノズル5のクリーナ1はコンタクトチップのクリーナでも良い。
【0025】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について、図4乃至図6に基づいて説明すると、クリーナ1、付着防止液部14、液吸着部17、及びトレー20からなるクリーナ装置は、前記第1の実施の形態と同一であるので同一部品に同一番号を付すことにより説明を省略する。
【0026】
21はクリーナ装置を位置決めして取付ける上面の4角に位置決め片22を形成するとともに、両端の略中央に取付け孔23を形成した取付け金具であり、取付け金具21はクリーナ装置を必要な場所に取付け孔23を用いてねじ等にて取付けるものである。
【0027】
次に、第2の実施の形態のクリーナ装置を使用してのスパッタの除去及び付着防止処理の方法について説明すると、前記第1の実施の形態と同様な処理方法の他、図6に示すように、アーク溶接装置の近傍に取付け金具21にて取付け、一定時間溶接した後、アーク溶接装置のトーチ24の先端のシールドノズル25を研磨部材11の研磨部6が内部に押込まれるように押込み、シールドノズル25の先端を、研磨部材6の太径部8との段差部7に当接させてスパッタを除去するとともに、コンタクトチップ26は研磨部材6の内部に押込まれ、シールドノズル25と同時にスパッタを除去するのでシールドノズル25を引抜くようにトーチ24を引き上げるとシールドノズル25及びコンタクトチップ26に付着したスパッタは除去される。
【0028】
この後、トーチ24を移動してシールドノズル25、コンタクトチップ26を図6の1点鎖線で示すように、付着防止液部14の付着防止液15に浸けてシールドノズル25、コンタクトチップ26に付着防止液15を塗布する。さらに、引き上げたトーチ24のシールドノズル25、コンタクトチップ26を液吸着部17のスポンジ18に押付けることにより過剰に塗布された付着防止液15をスポンジ18に吸着させる。
【0029】
以上のシールドノズル25、コンタクトチップ26に付着したスパッタの除去及び付着防止処理はロボットアーク溶接装置であれば、自動で行うことができる。
【0030】
以上のように、シールドノズル5、25又はコンタクトチップ26に付着したスパッタを除去した後、シールドノズル5、25又はコンタクトチップ26をスパッタ付着防止液15に浸けて付着防止液15を塗布することによりシールドノズル5、25又はコンタクトチップ26からスパッタを除去した後、直ちに付着防止液15を塗布することができるので、常に簡単に付着防止処理を施すことができ、シールドノズル5、25又はコンタクトチップ26のスパッタ除去作業の間隔を長くすることができるとともに、スパッタの付着力も小さいのでスパッタ除去作業も弱い力で簡単にでき、研磨部材11の材質を、シールドノズル5、25やコンタクトチップ26の材質である銅、銅合金等より軟質のアルミニューム、ポリテトラフルオロエチレン、ベークライト等とすることができるので、シールドノズル5、25やコンタクトチップ26を傷つける恐れがない。
【0031】
また、トーチ24に取付けられたシールドノズル5、25とコンタクトチップ26を、前記のようにスパッタを除去した後、スパッタ付着防止液15に浸けて付着防止液15を塗布することによりシールドノズル5、25とコンタクトチップ26を同時に処理できる。
【0032】
また、シールドノズル5、25とコンタクトチップ26に過剰に塗布された前記付着防止液15を液吸着部17にて吸着させるので、シールドノズル5、25、コンタクトチップ26に塗布された余分のスパッタ付着防止液15を吸着させて簡単に除去することができる。
【0033】
また、シールドノズル5、25、コンタクトチップ26に付着したスパッタを除去するクリーナ1と、スパッタを除去したシールドノズル5、25、コンタクトチップ26に付着防止液15を塗布するための付着防止液部14を設けたので、常に簡単に付着防止処理を施すことができ、シールドノズル5、25、コンタクトチップ26等のスパッタ除去作業の間隔を長くすることができるとともに、スパッタの付着力も小さいのでスパッタ除去作業も弱い力で簡単にでき、シールドノズル5、25やコンタクトチップ26を傷つける恐れがない。
【0034】
また、前記シールドノズル5、25、コンタクトチップ26に塗布された前記付着防止液15を吸着するための液吸着部17を設けたので、シールドノズル5、25、コンタクトチップ26に塗布された余分のスパッタ付着防止液15を吸着させて簡単に除去することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 クリーナ
2 ケース
5 シールドノズル
6 研磨部
11 研磨部材
14 付着防止液部
15 付着防止液
16 ケース
17 液吸着部
18 スポンジ
19 網
20 トレー
21 取付け金具
22 位置決め片
24 トーチ
25 シールドノズル
26 コンタクトチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2018年11月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
図2図1の平面図である。
図3図1のクリーナの使用方法の説明図であり、(イ)はシールドノズルを押込む前の状態の図であり、(ロ)はシールドノズルを押込んだ状態の図である。
図4】第2の実施の形態を示す正面図である。
図5図4の平面図である。
図6図1の使用方法の説明図である。
図7】従来例を示す切欠き図である。