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特開2019-73084ドローンと無人船とのテレメトリー連携システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-73084(P2019-73084A)
(43)【公開日】2019年5月16日
(54)【発明の名称】ドローンと無人船とのテレメトリー連携システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/18 20060101AFI20190419BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20190419BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20190419BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20190419BHJP
   B63H 25/04 20060101ALI20190419BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20190419BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20190419BHJP
【FI】
   B64C13/18 Z
   B64D47/08
   B64C39/02
   B64C27/08
   B63H25/04 Z
   G05D1/00 A
   G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-198929(P2017-198929)
(22)【出願日】2017年10月13日
(71)【出願人】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(71)【出願人】
【識別番号】592197108
【氏名又は名称】徳島県
(71)【出願人】
【識別番号】517328952
【氏名又は名称】株式会社佐竹技研
(74)【代理人】
【識別番号】100142941
【弁理士】
【氏名又は名称】京和 尚
(72)【発明者】
【氏名】三輪 昌史
(72)【発明者】
【氏名】澤田 英司
(72)【発明者】
【氏名】水野 一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 洋輔
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA04
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG10
5H301GG17
5H301QQ08
(57)【要約】
【課題】 鉄筋等の金属が多い場所・施設の近くや電線・アンテナ等磁場が影響する範囲では、地磁気を上回る磁界によって磁気コンパスによる地磁気の検出ができなくなりドローン1の機体の絶対方位70が検出できないことがある。
【解決手段】 ドローン1と無人船2とは、ドローン側フライトコントローラー(以下「FC」という。)とドローン側ビジョンポジショニングシステム(以下「VPS」という。)が取得した情報と、無人船側FCと無人船側VPSが取得した情報と、を相互にテレメトリー通信する。ドローン1が認識した無人船2の方位72と無人船2が認識したドローン1の方位73とが相互に反対方位である場合は、ドローン側FCが正常であると判断され、ドローン1が認識した無人船2の方位72と無人船2が認識したドローン1の方位73とが相互に反対方位でない場合は、ドローン側FCが異常であると判断される。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元移動可能なドローンと水面上移動可能な無人船とのテレメトリー連携システムであって、
前記ドローンは、ドローン側フライトコントローラー(以下「FC」という。)と、ドローン側ビジョンポジショニングシステム(以下「VPS」という。)と、を備え、
前記無人船は、無人船側FCと、無人船側VPSと、を備え、
前記ドローンと前記無人船とは、前記ドローン側FCと前記ドローン側VPSが取得した情報と、前記無人船側FCと前記無人船側VPSが取得した情報と、を相互にテレメトリー通信しており、
前記ドローンが認識した前記無人船の方位と前記無人船が認識した前記ドローンの方位とが相互に反対方位である場合は、前記ドローン側FCが正常であると判断され、
前記ドローンが認識した前記無人船の方位と前記無人船が認識した前記ドローンの方位とが相互に反対方位でない場合は、前記ドローン側FCが異常であると判断される、ことを特徴とするドローンと無人船とのテレメトリー連携システム。
【請求項2】
前記ドローン側FCが異常であると判断された場合は、前記ドローンは、前記ドローン側FCが取得した情報に代え前記無人船側FCが取得した情報を採用することを特徴とする、請求項1に記載されたドローンと無人船とのテレメトリー連携システム。
【請求項3】
三次元移動可能なドローンと水面上移動可能な無人船とのテレメトリー連携システムであって、
前記ドローンは、ドローン側磁気コンパス、ドローン側カメラ、及びドローン側画像認識装置と、を備え、
前記ドローンは、前記ドローン側カメラが写し出した前記無人船を前記ドローン側画像認識装置が画像認識することで算出した方向と、前記ドローン側磁気コンパスが検出した絶対方位と、から前記ドローンから見た前記無人船の方位を算出し、
前記無人船は、無人船側磁気コンパス、無人船側カメラ、及び無人船側画像認識装置と、を備え、
前記無人船は、前記無人船側カメラが写し出した前記ドローンを前記無人船側画像認識装置が画像認識することで算出した方向と、前記無人船側磁気コンパスが検出した絶対方位とから前記無人船から見た前記ドローンの方位を算出し、
前記ドローンと前記無人船とは、前記ドローンから見た前記無人船の方位情報と、前記無人船から見た前記ドローンの方位情報と、を相互にテレメトリー通信しており、
前記ドローンから見た無人船の方位と、前記無人船から見た前記ドローンの方位と、が相互に反対方位である場合は、前記ドローン側磁気コンパスが正常であると判断され、
前記ドローンから見た前記無人船の方位と、前記無人船から見た前記ドローンの方位と、が相互に反対方位でない場合は、前記ドローン側磁気コンパスが異常であると判断される、ことを特徴とするドローンと無人船とのテレメトリー連携システム。
【請求項4】
前記ドローン側磁気コンパスが異常であると判断された場合は、前記ドローンは、前記ドローン側磁気コンパスが検出した絶対方位に代え前記無人船側磁気コンパスが検出した絶対方位を採用することを特徴とする、請求項3に記載されたドローンと無人船とのテレメトリー連携システム。
【請求項5】
前記ドローンは、下方から視認可能に取り付けられたドローン側マーカーを備え、
前記無人船は、上方から視認可能に取り付けられた無人船側マーカーを備え、
前記ドローン側VPSは、前記ドローン側カメラが写し出した前記無人船側マーカーを画像認識し、
前記無人船側VPSは、前記無人船側カメラが写し出した前記ドローン側マーカーを画像認識することを特徴とする、請求項3又は4に記載されたドローンと無人船とのテレメトリー連携システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローンの姿勢安定と航法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン(無人航空機)の利用への期待が高まっている。空撮、測量、農業、物流、中継基地、点検・整備などの分野での利用に多く提案がなされている。なお、本明細書中では、ドローンは3つ以上のプロペラ(回転翼)を備える小型無人航空機であるマルチコプターを指すものとする。マルチコプターには、プロペラ(回転翼)が3つのトライコプター、4つのクアッドコプター、6つのヘキサコプターおよび8つのオクトコプターが含まれる。
【0003】
ところで、無人船は、許容される積載物の重量が大きく取れることから、ドローンと組み合わせ使用することにより、両者の短所を補完することが期待される。具体的には、無人船が航行可能な水面上におけるドローンとの連携システムが考えられる。その場合、無人船が重量物を担当することで、ドローンが負担すべき重量が軽減できることによるドローンの飛行の長時間化が期待される。また、ドローンによる早期の現場到着と現場状況把握、その後の無人船の到着による救出作業と、救難作業における両者の連携システムなども考えられている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ドローンにはフライトコントローラー(以下「FC」という。)が搭載される。FCによって、ドローンの姿勢安定と航法が自動化されている。FCは、マイコンと、センサー類と、GPS受信機を備えている。センサー類としては、ジャイロセンサー、加速度センサー、気圧センサー、磁気コンパス、超音波センサーなどが使用される。ジャイロセンサーや加速度センサーがドローンの姿勢の状態を検知して、ドローンの機体の姿勢の傾きが修正される。
【0005】
また、ドローンにはビジョンポジショニングシステム(以下「VPS」という。)が搭載される。VPSは、マイコンと、カメラを備えている。VPSは、カメラに写っている物体とドローンとの間の相対運動による画像内の物体の見かけの動きの方向と移動量を画像処理技術により検出する。すなわち、VPSは、ドローンに搭載されたカメラの画像を白黒に2値化して特徴点の画像内平面座標上での移動ベクトルから、ドローンの位置変化を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−88337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
FCに含まれるGPSによっては、ドローンの絶対的な位置は検出できるが、ドローンの機体の向きまでは検出できない。ドローンの機体の向きは、磁気コンパスを用いて検出する。
【0008】
ところが、鉄筋等の金属が多い場所・施設の近くや、電線・アンテナ等磁場が影響する範囲では地磁気を上回る磁界によって、磁気コンパスによる地磁気の検出ができなくなる。その場合、ドローンの機体の向きが検出できなくなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上述した磁気コンパスの異常に対応することができる、ドローンと無人船とによるテレメトリー連携システムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、三次元移動可能なドローンと水面上移動可能な無人船とのテレメトリー連携システムであって、前記ドローンは、ドローン側フライトコントローラー(以下「FC」という。)と、ドローン側ビジョンポジショニングシステム(以下「VPS」という。)と、を備え、前記無人船は、無人船側FCと、無人船側VPSと、を備え、前記ドローンと前記無人船とは、前記ドローン側FCと前記ドローン側VPSが取得した情報と、前記無人船側FCと前記無人船側VPSが取得した情報と、を相互にテレメトリー通信しており、前記ドローンが認識した前記無人船の方位と前記無人船が認識した前記ドローンの方位とが相互に反対方位である場合は、前記ドローン側FCが正常であると判断され、前記ドローンが認識した前記無人船の方位と前記無人船が認識した前記ドローンの方位とが相互に反対方位でない場合は、前記ドローン側FCが異常であると判断される、ことを特徴とする。
【0011】
第1の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、ドローンのFCの磁気コンパスがドローンの機体の正しい向きを検出できなくなると、前記ドローンが認識した前記無人船の方位と前記無人船が認識した前記ドローンの方位とが相互に反対方位でなくなることにより、前記ドローン側FCが異常であると判断することができる。
【0012】
第2の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、前記ドローン側FCが異常であると判断された場合は、前記ドローンは、前記ドローン側FCが取得した情報に代え前記無人船側FCが取得した情報を採用することを特徴とする。
【0013】
第2の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、ドローンのFCの磁気コンパスがドローンの機体の正しい向きを検出できなくなっても、前記無人船のFCの磁気コンパスが検出した絶対方位をドローンのFCが採用するので、ドローンは正しい方位を認識することができる。
【0014】
第3の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、三次元移動可能なドローンと水面上移動可能な無人船とのテレメトリー連携システムであって、前記ドローンは、ドローン側磁気コンパス、ドローン側カメラ、及びドローン側画像認識装置と、を備え、前記ドローンは、前記ドローン側カメラが写し出した前記無人船を前記ドローン側画像認識装置が画像認識することで算出した方向と、前記ドローン側磁気コンパスが検出した絶対方位と、から前記ドローンから見た前記無人船の方位を算出し、前記無人船は、無人船側磁気コンパス、無人船側カメラ、及び無人船側画像認識装置と、を備え、前記無人船は、前記無人船側カメラが写し出した前記ドローンを前記無人船側画像認識装置が画像認識することで算出した方向と、前記無人船側磁気コンパスが検出した絶対方位とから前記無人船から見た前記ドローンの方位を算出し、前記ドローンと前記無人船とは、前記ドローンから見た前記無人船の方位情報と、前記無人船から見た前記ドローンの方位情報と、を相互にテレメトリー通信しており、前記ドローンから見た無人船の方位と、前記無人船から見た前記ドローンの方位と、が相互に反対方位である場合は、前記ドローン側磁気コンパスが正常であると判断され、前記ドローンから見た前記無人船の方位と、前記無人船から見た前記ドローンの方位と、が相互に反対方位でない場合は、前記ドローン側磁気コンパスが異常であると判断される、ことを特徴とする。
【0015】
第3の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、ドローンのFCの磁気コンパスが地磁気の検出ができなくなりドローンの機体の向きが検出できなくなると、前記ドローンが認識した前記無人船の方位と前記無人船が認識した前記ドローンの方位とが相互に反対方位でなくなることにより、前記ドローン側FCが異常であると判断することができる。
【0016】
第4の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、前記ドローン側磁気コンパスが異常であると判断された場合は、前記ドローンは、前記ドローン側磁気コンパスが検出した絶対方位に代え前記無人船側磁気コンパスが検出した絶対方位を採用することを特徴とする。
【0017】
第4の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、前記ドローン側磁気コンパスが正しい絶対方位を検出できなくなっても、前記無人船側磁気コンパスが検出した絶対方位を前記ドローンが採用するので、前記ドローンは正しい方位を認識することができる。
【0018】
第5の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、前記ドローンは、下方から視認可能に取り付けられたドローン側マーカーを備え、前記無人船は、上方から視認可能に取り付けられた無人船側マーカーを備え、前記ドローン側画像認識装置は、前記ドローン側カメラが写し出した前記無人船側マーカーを画像認識し、前記無人船側画像認識装置は、前記無人船側カメラが写し出した前記ドローン側マーカーを画像認識することを特徴とする。
【0019】
第5の発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムは、前記ドローン側VPSが前記無人船側マーカーを確実に画像認識することができ、前記無人船側VPSが前記ドローン側マーカーを確実に認識することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、ドローンの磁気コンパスの異常に対応することができる、ドローンと無人船とによるテレメトリー連携システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るドローンと無人船とのテレメトリー連携システムの全体図である。
図2】実施の形態に係る、ドローンの内部ブロック図である。
図3】実施の形態に係る、無人船の内部ブロック図である。
図4】正常時のドローンと無人船とのテレメトリー連携システムの機能を説明する図である。
図5】異常時のドローンと無人船とのテレメトリー連携システムの機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明に係るドローン1と無人船2とのテレメトリー連携システムの全体図である。ドローン1は、巨大な鋼構造物である吊り橋3の空撮、測量、点検・整備を行っている。無人船2は、吊り橋3の近くの水面4上を航行していて、ドローン1と相互にテレメトリー通信している。吊り橋3又はその周辺の陸地には、ドローン1と無人船2の操縦者がいる。操縦者は、ラジコン送信機(以下「プロポ」という。)を使って、ドローン1と無人船2を操縦している。なお、図1に示すようにドローン1と無人船2とは高度差を有しており、その高度差以上に水平方向の位置ズレを有している。
【0023】
図2は、ドローン1の内部ブロック図である。ドローン1は、送受信機10、FC(フライトコントローラー)20、VPS(ビジョンポジショニングシステム)30、エレクトリックスピードコントローラ(以下「ESC」という。)40、モーター41、バッテリー42を備えている。
【0024】
送受信機10は、プロポからの操作電波を受信する。また、送信機10は、無人船2の送受信機とテレメトリー信号を送受信する。さらに、ドローン1内部で、送受信機10は、FC20との間で信号をやり取りする。
【0025】
FC20は、マイコン21、ジャイロセンサー22、加速度センサー23、気圧センサー24、磁気コンパス25、超音波センサー26、GPS受信機27を備えている。ジャイロセンサー22は、ドローン1の角速度を検出する。加速度センサー23は、ドローン1の加速度を検出する。気圧センサー24は、ドローン1が位置する高さの気圧を検出することでドローン1の高度を検出する。磁気コンパス25は、地磁気の絶対方位を検出することでドローン1の機体の向きを検出する。超音波センサー26は、地面に向け超音波を発し、返ってきた超音波を検出することで、ドローン1の地面からの高さを検出する。GPS受信機27は、GPS衛星からの電波を受信することでドローン1の絶対位置を検出する。マイコン21は、ジャイロセンサー21、加速度センサー23、気圧センサー24、磁気コンパス25、超音波センサー26、GPS受信機27からの検出信号を受け取り、ドローン1の姿勢安定と航法の演算を行う。FC20は、VPS30との間で信号をやり取りする。また、FC20は、ESC40に信号を送りバッテリー42からモーター41への電流を制御することで、モーター41の回転制御を行う。
【0026】
VPS30は、マイコン31と、カメラ32を備えている。VPS30は、カメラ32に写っている物体とドローン1との間の相対運動による画像内の物体の見かけの動きの方向と移動量を画像処理技術により検出する。すなわち、VPS30のマイコン31は、ドローン1に搭載されたカメラ32の画像を白黒に2値化して特徴点の画像内平面座標上での移動ベクトルから、ドローン1の位置変化を推定する。本実施の形態では、ドローン1のカメラ32に写る無人船2の画像を画像処理により検出し、ドローン1の機体に対する無人船2の方位を把握する。
【0027】
バッテリー42は、リチウムポリマーバッテリーが使用される。リチウムポリマーバッテリーは、小型・軽量にも関わらず、1セル当たり3.7Vと高い起電力があり、大容量、高エネルギー密度であるという特徴を有する。
【0028】
ESC40は、FC20からのモーター出力指令値に従った電流値をモーター41に供給する。モーター41は、ブラシレスDCモーターが使用される。ブラシレスDCモーターには強力な磁力を有するネオジム磁石が用いられる。実施の形態に係るドローン1は、4枚のプロペラを有するクアッドコプターであるため、それぞれのプロペラを回転するESC40とモーター41が4組配置されている。もし仮に、ドローン1(マルチコプター)が、トライコプターであれば3組、ヘキサコプターであれば6組、オクトコプターであれば8組のESC40とモーター41が配置されることになる。
【0029】
図3は、無人船2の内部ブロック図である。無人船2は、送受信機10、FC50、VPS30、ESC40、モーター41、バッテリー42を備えている。図3に示した無人船2の内部ブロック図は、図2に示したドローン1の内部ブロック図と近似している。そのため、共通する構成要素には同一の番号を付し、その詳細な説明を省略する。以下、図3に示す無人船2の内部ブロック図について、図2に示すドローン1の内部ブロック図と相違する部分を説明する。
【0030】
ドローン1のFC20が超音波センサー26を備えているのに対し、無人船2のFC50は超音波センサーを備えていない点が相違する。超音波センサー26は、2cmから4mぐらいの範囲の地上との距離を測定する高度計として使用するので、水上を移動する無人船2には必要ないからである。また、ドローン1がESC40とモーター41に関しては4つの組合せを備えているのに対し、無人船2がESC40とモーター41の2つの組合せしか備えていない点が相違する。ドローン1が4つのプロペラを駆動するのに対し、無人船2は、1つのスクリューと舵を動かせば足りるからである。
【0031】
無人船2のVPS30は、無人船2のカメラ32に写るドローン1の画像を画像処理により検出し、無人船2の船体に対するドローン1の方向を把握する。
【0032】
本発明の実施の形態に係る、ドローン1と無人船2とのテレメトリー連携システムについて、以下に説明する。
【0033】
ドローン1の送受信機10と無人船2の送受信機10とは、ドローン1のFC20とVPS30が取得した情報と、無人船2のFC50とVPS30が取得した情報と、を相互にテレメトリー通信する。具体的には、ドローン1が取得した、ドローン1の角速度、ドローン1の加速度、ドローン1の高度、ドローン1の機体の絶対方位、ドローン1の機体の絶対位置、ドローン1の機体に対する無人船2の方向、の情報を無人船2は受け取る。一方、無人船2が取得した、無人船2の角速度、無人船2の加速度、無人船2の高度、無人船2の船体の絶対方位、無人船2の船体の絶対位置、無人船2の船体に対するドローン1の方向、の情報をドローン1は受け取る。
【0034】
(正常時)
図4は、正常時のドローン1と無人船2とのテレメトリー連携システムの機能を説明する図である。また、図4は、ドローン1と無人船2とを上方から見た図となっている。ドローン1は、ドローン1の磁気コンパス25によってドローン1の機体の絶対方位60(ドローン1の機体を中心に東、西、南、北(E、W、S、N)で示される方位)を把握している。また、カメラ32と画像処理装置31とによって、ドローン1の機体のカメラ32から見える無人船2の方向を算出している。この2つの情報からドローン1は、ドローン1から見た無人船2の方位62は、SSW(南南西)であることを算出する。
【0035】
一方、無人船2は、無人船2の磁気コンパス25によって無人船2の船体に対する絶対方位61(無人船2の船体を中心に東、西、南、北(E、W、S、N)で示される方位)を把握している。また、カメラ32と画像処理装置31とによって、無人船2の船体のカメラ32から見えるドローン1の方向を算出している。この2つの情報から無人船2は、無人船2から見たドローン1の方位63は、NNE(北北東)であることを算出する。
【0036】
ドローン1から見た無人船2の方位62SSW(南南西)と、無人船2から見たドローン1の方位63NNE(北北東)は、相互に反対方位である。それによって、ドローン1と無人船2とのテレメトリー連携システムは、ドローンの磁気コンパス25(図2参照)が検出した絶対方位60が正しいことを判断する。
【0037】
(異常時)
図5は、異常時のドローン1と無人船2とのテレメトリー連携システムの機能を説明する図である。また、図5は、ドローン1と無人船2とを上方から見た図となっている。図1に示すようにドローン1は、巨大な鋼構造物である吊り橋3のすぐ近くを飛行している。そのため、ドローン1は、ドローン1の磁気コンパス25によってドローン1の機体に対する絶対方位70(ドローン1の機体を中心に東、西、南、北(E、W、S、N)で示される方位)を誤って把握している。また、カメラ32と画像処理装置31とによって、ドローン1の機体のカメラ32から見える無人船の方向を算出している。この2つの情報からドローン1は、ドローン1から見た無人船2の方位72は、WSW(西南西)であると誤って算出する。
【0038】
一方、無人船2は、吊り橋3から少し離れて航行しているので、無人船2の磁気コンパス25によって無人船2の船体に対する絶対方位71(無人船2の船体を中心に東、西、南、北(E、W、S、N)で示される方位)を正しく把握している。また、カメラ32と画像処理装置31とによって、無人船2の船体のカメラ32から見えるドローン1の方向を算出している。この2つの情報から無人船2は、無人船2から見たドローン1の方位73は、NNE(北北東)であることを算出する。
【0039】
図5に示すように、ドローン1から見た無人船2の方位72WSW(西南西)と、無人船2から見たドローン1の方位73NNE(北北東)は、相互に反対方位でない。それによって、ドローン1と無人船2とのテレメトリー連携システムは、ドローン1の磁気コンパス25(図2参照)が検出した絶対方位70が誤っていることを判断する。ドローン1と無人船2とのテレメトリー連携システムによって発見された、ドローン1の磁気コンパス24が検出した絶対方位70が誤っていることは、送受信機10からプロポに送信し、プロポが異常を警報するようにしてもよい。そうすることにより、ドローン1と無人船2の操縦者は、ドローン1の磁気コンパス25(図2参照)が検出した絶対方位70が誤っていることを知ることができる。
【0040】
この場合、ドローン1は、ドローン1の磁気コンパス25(図2参照)が検出した絶対方位70に代え、無人船2の磁気コンパス25(図3参照)が検出した絶対方位71を採用するようにすることができる。これにより、ドローン1は正しい絶対方位71に基づく姿勢安定と航法を継続することができる。
【0041】
さらに、ドローン1は、下方から視認可能に取り付けられたドローン側マーカーを備え、無人船2は、上方から視認可能に取り付けられた無人船側マーカーを備えるようにしてもよい。その場合、図2に示すドローン1のドローン側画像認識装置31は、ドローン側カメラ32が写し出した無人船側マーカーを画像認識し、図3に示す無人船2の無人船側画像認識装置31は、無人船側カメラ32が写し出したドローン側マーカーを画像認識する。これにより、ドローン1と無人船2との距離が大きい場合、あるいは、早朝、夕暮れ、霧などで視界が悪い場合であっても、VPS30(図2図3参照)によるドローン1と無人船2との相互の画像認識をより確実に行うことができる。
【0042】
以上説明したように、本発明により、ドローン1の磁気コンパス25(図2参照)の異常に対応することができる、ドローン1と無人船2によるテレメトリー連携システムを構築することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:ドローン
2:無人船
20:FC(フライトコントローラー)
25:磁気コンパス
30:VPS(ビジョンポジショニングシステム)
32:カメラ
50:FC(フライトコントローラー)
60:ドローンの絶対方位
61:無人船の絶対方位
62:ドローンから見た無人船の方向
63:無人船から見たドローンの方向
70:ドローンの絶対方位
71:無人船の絶対方位
72:ドローンから見た無人船の方向
73:無人船から見たドローンの方向
図1
図2
図3
図4
図5