【解決手段】本発明は、ランレオチドの持続放出用の医薬組成物、特に少なくとも2ヶ月の治療的処置に適する持続放出用の医薬組成物に関する。この医薬組成物は、ランレオチドが必要な疾患の治療に特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、特に断りのない限り、値の範囲の限度は、その範囲内、特に表現「の範囲である」に含まれる。
【0009】
特に断らない限り、次の定義は、本明細書において本発明を説明するために使用される様々な用語の意味及び範囲を例示しかつ定義するために示される。
【0010】
ここで使用するときに、用語「pH調整剤」とは、主として製剤のpHを調整し又は制御するために使用される化合物又は賦形剤をいう。
【0011】
本願で使用するときに、用語「共溶媒」とは、必要な用量を好適な容量で得るために組成物への活性成分の取り込みを可能にし、かつ、注入条件に一致する溶媒又は溶媒混合物をいう。本発明に従って使用されるランレオチド又はその塩の共溶媒への溶解度は、好ましくは室温(20〜25℃)で8%(w/v)である。
【0012】
用語「水溶性」とは、水に溶解可能であることをいうと解される。好ましくは、「水溶性」共溶媒は、25℃で測定された水への溶解度が10mg/mLよりも高い、好ましくは、30mg/mLよりも高い。
【0013】
用語「非水溶性」とは、水に不溶であることを意味すると解される。好ましくは、「非水溶性」(共)重合体又は賦形剤は、25℃で測定された水への溶解度が1mg/mL未満、好ましくは0.1mg/mL未満である。
【0014】
用語「低分子量」とは、分子量が2,000Da未満であることを意味すると解される。
【0015】
溶媒を説明するために使用されるときに、用語「非プロトン性」とは、溶液の状態でプロトンH+を自由に放出することができず、かつ、4〜8のpH範囲で組成物に添加されたときにpHを変化させることができない溶媒を意味すると解される。
【0016】
注射力を測定することによって決定できる用語「注射性能」とは、シリンジ又は注入器といった注射用の装置を使用した非経口投与のための製剤の適合性をいう。
【0017】
ここで使用するときに、用語「安定剤」とは、活性物質の分解を防ぎ、その物理的又は化学的安定性を高めるための薬学的に許容される化合物(例えば、抗酸化特性又は界面活性剤を有する化合物)を意味する。
【0018】
ここで使用するときに、用語「界面活性剤」とは、界面活性特性を有する化合物又は賦形剤をいう。本発明の製剤で使用されるときに、界面活性剤は、共溶媒だけでは十分でない場合に、活性成分の水溶解度を改善し、活性物質を分解から保護するのに役立ち、及び/又は活性成分の沈殿を制限することができる。
【0019】
ここで使用するときに、用語「抗酸化剤」とは、抗酸化特性を有する化合物をいう。本発明の製剤で使用されるときに、抗酸化剤は、活性成分の酸化的分解を阻害若しくは防止し、及び/又は賦形剤の酸化的分解を阻害若しくは防止することができる。
【0020】
用語「(共)重合体」とは、重合体若しくは共重合体又はそれらの混合物を意味する。
【0021】
用語「生体適合性」とは、生体組織、生物学的系又は生物学的機能において医学的に有意な毒性応答、有害な応答又は免疫応答を生じさせないことによって生物学的に適合性であることを意味する。
【0022】
「生分解性」という用語は、生物学的因子、生物学的(微)生物によって分解できること又は生物学的流体中に置かれたときに分解できることを意味する。
【0023】
表現「から本質的になる組成物」に関連して使用されるときに、用語「本質的に」とは、任意の追加成分が、該組成物の総重量に対してそれぞれ2%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%、0.25%未満、合計では該組成物の総重量に対して3、2、1、0.5%未満のわずかな不純物を構成するにすぎないことを意味する。
【0024】
好ましい実施形態では、「から本質的になる組成物」とは、任意の追加の成分が、該組成物の総重量に対して、それぞれ2%未満、合計で該組成物の総重量に対して3%未満のわずかな不純物を構成するにすぎないことを意味する。
【0025】
好ましい実施形態では、「から本質的になる組成物」とは、任意の追加の成分が、該組成物の総重量に対してそれぞれ1%未満、合計で該組成物の総重量に対して2%未満のわずかな不純物を構成するにすぎないことを意味する。
【0026】
好ましい実施形態では、「から本質的になる組成物」とは、任意の追加の成分が、それぞれ該組成物の総重量に対して0.5%未満、合計で該組成物の総重量に対して1%未満のわずかな不純物を構成するにすぎないことを意味する。
【0027】
好ましい実施形態では、「から本質的になる組成物」とは、任意の追加の成分が、それぞれ該組成物の総重量に対して0.25%未満、合計で該組成物の総重量に対して0.5%未満のわずかな不純物を構成するにすぎないことを意味する。
【0028】
特に明記しない限り、本発明において言及する全てのパーセンテージは重量/重量(w/w)パーセントである。
【0029】
活性成分のランレオチドは、塩又は遊離塩基の形態である。本発明のために使用することができるランレオチドの塩は、好ましくは有機酸の薬学的に許容される塩、例えば、酢酸、フェニル酢酸、乳酸、リンゴ酸、パモ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、メタンスルホン酸若しくはトルエンスルホン酸の薬学的に許容される塩、又は無機酸の薬学的に許容される塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸若しくはリン酸の薬学的に許容される塩である。
【0030】
好ましい一実施形態によれば、ランレオチドは塩の形態である。
【0031】
好ましくは、ランレオチドはランレオチドアセテートの形態である。
【0032】
別の好ましい実施形態によれば、ランレオチドは遊離塩基の形態である。
【0033】
どのようなランレオチド形態、すなわち、塩形態又は遊離塩基であっても、本発明の意味において、例えば組成物の濃度又はパーセンテージとして表されるランレオチドの量は、遊離塩基としてのランレオチドを指す。
【0034】
有利には、ランレオチドは、組成物の総重量に対して35〜55重量%、好ましくは40〜50重量%、より好ましくは42〜48重量%の範囲の濃度で存在する。別の好ましい実施形態では、ランレオチドは、組成物の総重量に対して42〜46重量%の範囲の濃度で存在する。
【0035】
本発明に係る組成物は、医薬組成物の必要な注射条件を得ることを可能にする共溶媒を含む。本発明に係る組成物に使用される共溶媒は水溶性である。また、本発明に従って使用されるランレオチド又はその塩の水溶性共溶媒への溶解度は、室温で8%(w/v)以上である。比較のため、ランレオチドアセテートの溶解度は、水、水性酢酸(0.1又は1モル/mlの濃度で)、水性NaCl(0.9%)又はポリソルベート(0.01%)で4%未満である。
【0036】
共溶媒は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)又はそれらの混合物、特にPEG600、PEG500、DME(ジメチルエーテル)、PEG500、PEG400、PEG300、PEG200又はそれらの混合物などの低分子量の水溶性重合体から選択できる。
【0037】
共溶媒は、好ましくは、非プロトン性溶媒とすることができる。本発明に従って使用される非プロトン性共溶媒は、pH値を4〜8のpH範囲で有意には変更しない又は変更することができない。このような非プロトン性溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチル−2−ピロリドン(NEP)、グリコフロール、プロピレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール及びそれらの混合物から選択できる。
【0038】
好ましい実施形態では、水溶性共溶媒は、低分子量の水溶性重合体及びそれらの混合物から選択される。
【0039】
好ましい実施形態では、水溶性共溶媒は、非プロトン性溶媒である。
【0040】
別の好ましい実施形態では、共溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、プロピレングリコール、グリセリン、低分子量ポリエチレングリコール(PEG)、グリコフロール、エタノール及びそれらの混合物、より好ましくはNMP、低分子量PEG、グリコフロール及びそれらの混合物から選択される。
【0041】
好ましい実施形態では、共溶媒は、組成物の総重量に対して10〜25重量%、より好ましくは15〜22重量%の範囲の濃度で存在する。
【0042】
より好ましい実施形態では、共溶媒はNMPである。好ましくは、共溶媒はNMPであり、組成物の総重量に対して15〜20重量%の範囲の濃度で存在する。
【0043】
別の実施形態では、共溶媒は、低分子量PEGである。好ましくは、共溶媒は、低分子量PEGであり、かつ、組成物の総重量に対して15〜22重量%の範囲の濃度で存在する。
【0044】
より好ましい実施形態では、共溶媒はグリコフロールである。好ましくは、共溶媒は、グリコフロールであり、組成物の総重量に対して16〜22重量%の範囲の濃度で存在する。好ましくは、共溶媒は、グリコフロールであり、組成物の総重量に対して16〜20重量%の範囲の濃度で存在する。
【0045】
別の好ましい実施形態では、共溶媒は、次式(1)のグリコフロール:
【化2】
(式中、nは1〜5の整数である。)又はその混合物である。
【0046】
本発明によれば、式(1)は、該化合物のラセミ体並びに鏡像異性体をカバーする。
【0047】
別の好ましい実施形態では、共溶媒は、上で定義した式(1)のグリコフロール又はその混合物であり、組成物の総重量に対して16〜20重量%の範囲の濃度で存在する。
【0048】
別の好ましい実施形態では、共溶媒は、上で定義した式(1)のグリコフロール又はその混合物(式中、nは1〜2の整数である。)であり、組成物の総重量に対して16〜20重量%の範囲の濃度で存在する。
【0049】
この組成物は、非経口投与を意図するものであるため、組成物のpHは、局所耐性及び忍容性の観点で制御しなければならず、このパラメータは、活性物質の可溶化及び薬剤物質の持続放出特性にも所定の役割を果たす。したがって、組成物のpHは4.0〜7.5の間である。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、組成物のpHは4.0〜6.0、好ましくは4.8〜5.4である。
【0051】
ランレオチド形態及び特に塩の形態に応じて4.0〜7.5の範囲のpHに到達させるために、pH調整剤が必要な場合がある。
【0052】
別の実施形態では、本発明に係る組成物は、任意のpH調節剤を含む。
【0053】
好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のための医薬組成物であり、該組成物は、
・活性成分としてのランレオチド、
・水溶性共溶媒、
・任意のpH調整剤及び
・水
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5の範囲である。
【0054】
より好ましい実施形態では、本発明の組成物は任意のpH調整剤を含み、pHが4.0〜6.0の範囲である。
【0055】
本発明の別の主題は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のための医薬組成物であり、該組成物は、
・活性成分としてのランレオチド、
・水溶性共溶媒、
・任意のpH調整剤及び
・水(注射用)を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0056】
好ましい実施形態では、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のための医薬組成物であり、該組成物は、
・活性成分としてのランレオチド、
・水溶性非プロトン性共溶媒、
・任意のpH調整剤及び
・水
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5、好ましくは4.0〜6.0の範囲である。pH調整剤は、例えば、酢酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸、ステアリン酸及びパモ酸から選択できる。使用させる場合には、pH調整剤は、水溶性共溶媒とは異なっていてもよい。
【0057】
別の実施形態では、本発明に係る組成物は、pH調節剤を含む。別の好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、pH調整剤を含み、pH調整剤は共溶媒とは異なる。
【0058】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド、
・水溶性共溶媒、
・pH調整剤及び
・水(注射用)
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0059】
好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のための医薬組成物であり、該組成物は、
・活性成分としてのランレオチド、
・水溶性非プロトン性共溶媒、
・pH調整剤及び
・水
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5、好ましくは4.0〜6.0の範囲である。
【0060】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチドを35〜55%、
・水溶性非プロトン性共溶媒を10〜25%、
・pH調整剤及び
・水(qsp100%)
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5、好ましくは4.0〜6.0の範囲である。
【0061】
別の実施形態では、本発明の係る医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド、
・水溶性共溶媒、
・pH調整剤及び
・水(注射用)
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5の範囲であり、pH調整剤は水溶性共溶媒とは異なる。
【0062】
好ましくは、pH調整剤は、4.0〜7.5、好ましくは4.0〜6.0、より好ましくは4.8〜5.4までの範囲の目標pH値に達するように添加される。
【0063】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤及び
・水(qsp100%)
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5、好ましくは4.0〜6.0の範囲であり、pH調整剤は水溶性共溶媒とは異なる。本発明の好ましい実施形態では、pH調整剤が存在し、酢酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸、ステアリン酸及びパモ酸から選択され、好ましくは酢酸である。
【0064】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体又はその混合物を含まない。これは、該組成物中における任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体の含有量が0.1重量%未満(w/w)であることを意味する。
【0065】
医薬組成物に投与後の活性医薬成分の持続放出を与えるための従来のよく説明された方法は、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PLG)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリ−ε−カプロラクトン及びこれらの生体適合性(共)重合体の組み合わせ又は変性によって得られる任意の(共)重合体剤などの生体適合性(共)重合体を使用することである。水溶性形態ではないこのような(共)重合体は、体内に投与されたときに徐々に侵食される微粒子又は固体インプラントの生分解性マトリックスを形成する。
【0066】
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、しかも
・活性成分としてのランレオチド、
・水溶性共溶媒、
・任意のpH調整剤、及び
・水
を含み又はそれらから本質的になる又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5の範囲であり、より好ましくは、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・任意のpH調整剤、及び
・水(qsq100%)
を含み又はこれらから本質的になり又はこれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5、好ましくは4.0〜6.0の範囲である。
【0067】
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、しかも
・活性成分としてのランレオチド、
・水溶性共溶媒、
・pH調整剤、及び
・水
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5の範囲であり、pH調整剤は水溶性共重合体とは異なり、
より好ましくは、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤、及び
・水(qsq100%)
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5、好ましくは4.0〜6.0の範囲であり、pH調整剤は水溶性共溶媒とは異なる。
【0068】
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、しかも
・活性成分としてのランレオチド、
・水溶性共溶媒、
・pH調整剤、及び
・水
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5の範囲であり、
より好ましくは、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤、及び
・水(qsq100%)
を含み又はそれらから本質的になり又はそれらからなり、該組成物のpHは4.0〜7.5、好ましくは4.0〜6.0の範囲である。
【0069】
また、本発明に係る組成物は、このような医薬組成物に通常使用される他の添加剤、例えば、安定剤、酸化防止剤又は界面活性剤などを含有することもできる。
【0070】
安定剤又は界面活性剤は、脂肪酸及びそれらの塩、ポリオキシエーテル、ポロキサマー、ポリオール類、例えばトレハロース、マンニトール、サッカロース及びデキストロース、ポリソルベート、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル並びにそれらの混合物から選択できる。
【0071】
抗酸化剤は、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファンなどのアミノ酸;グルタチオンなどのポリアミノ酸;エデト酸二ナトリウム(EDTA)及びクエン酸などのキレート剤;メタ重亜硫酸ナトリウム;ブチルヒドロキシトルエン(BHT);ブチルヒドロキシアニソール;アスコルビン酸;並びにそれらの混合物から選択できる。好ましくは、酸化防止剤は、アミノ酸、ポリアミノ酸及びそれらの混合物から選択され、より好ましくは、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン及びグルタチオンから選択される。
【0072】
存在する場合には、これらの添加剤の重量(w/w)で表す量は、医薬組成物の5.0%未満であり、好ましくは1.0%未満である。
【0073】
好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤を医薬組成物の5.0%(w/w)未満、好ましくは1.0%未満の量で含む。
【0074】
好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、酸化防止剤を医薬組成物の5.0%(w/w)未満、好ましくは1.0%未満の量で含む。
【0075】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、アミノ酸、ポリアミノ酸、及びそれらの混合物から選択される酸化防止剤を医薬組成物の5.0%(w/w)未満、好ましくは1.0%未満の量で含む。
【0076】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン及びグルタチオン並びにそれらの混合物から選択される酸化防止剤を医薬組成物の5.0%(w/w)未満、好ましくは1.0%未満の量で含む。
【0077】
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%、及び
・水(qsq100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜7.5の範囲である。
【0078】
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性非プロトン性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜1%、及び
・水(qsq100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0079】
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%、及び
・水(qsq100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜7.5の範囲であり、該pH調整剤は該水溶性共溶媒とは異なる。
【0080】
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜1%、及び
・水(qsq100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲であり、該pH調整剤は該水溶性共溶媒とは異なる。
【0081】
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・NMP、低分子量PEG、グリコフロール及びそれらの混合物から選択される水溶性共溶媒10〜25%、
・酢酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩化水素酸、ステアリン酸及びパモ酸から選択されるpH調整剤、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%、及び
・水(qsq100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0082】
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・NMP、低分子量PEG、グリコフロール及びそれらの混合物から選択される水溶性共溶媒10〜25%、
・酢酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸、ステアリン酸及びパモ酸から選択されるpH調整剤、
・メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン、グルタチオン、アスコルビン酸、クエン酸、エデト酸二ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、及びそれらの混合物から選択される酸化防止剤添加剤0〜1%、及び
・水(qsq100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0083】
好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、かつ、
・活性成分としてのランレオチド、
・pH調整剤としての酢酸、
・水溶性共溶媒としてのグリコフロール、及び
・注射用の水
を含む又はこれらから本質的になる又はこれらからなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0084】
好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、かつ、
・活性成分としてのランレオチド、
・pH調整剤としての酢酸、
・水溶性共溶媒としてのグリコフロール、及び
・注射用の水
を含む又はこれらから本質的になる又はこれらからなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲であり、ランレオチドはアセテート形態であり、より好ましくは、
・40〜50%(w/w)のランレオチド、
・16〜22%(w/w)のグリコフロール、及び
・qsp100%の注射用水
を含む又はこれから本質的になる又はこれからなる。
【0085】
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、かつ、
・42〜48%(w/w)のランレオチド、
・16〜22%(w/w)のグリコフロール、
・5〜7%(w/w)の酢酸、及び
・qsp100%の注射用水
を含み又はこれから本質的になり又はこれからなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲であり、ランレオチドはアセテート形態である。
【0086】
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、かつ、
・42〜46%(w/w)のランレオチド、
・16〜20%(w/w)のグリコフロール、
・酢酸、及び
・qsp100%の注射用水
を含み又はこれから本質的になり又はこれからなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲であり、ランレオチドはアセテート形態であり、グリコフロールは上で定義した式(I)又はその混合物である。
【0087】
別の特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、かつ、
・42〜46%(w/w)のランレオチド、
・16〜20%(w/w)のグリコフロール、
・酢酸、及び
・qsp100%の注射用水
を含み又はこれから本質的になり又はこれからなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲であり、ランレオチドはアセテート形態であり、グリコフロールは上で定義した式(I)(式中nは1〜2の整数である。)又はその混合物である。
【0088】
ランレオチドがそのアセテート形態であり、酢酸がpH調整剤として使用される場合には、その塩形態でのランレオチド及び酢酸に由来する組成物中におけるアセテート含有量を測定することができる。
【0089】
ランレオチドがそのアセテート形態であるときに、pH調整剤としての酢酸は、組成物中のアセテート含有量の濃度が該組成物の総重量に対して2〜10重量%、好ましくは6〜10重量%の範囲となるように添加できる。
【0090】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、かつ、
・活性成分としてアセテート形態のランレオチド、
・pH調整剤としての酢酸、
・水溶性共溶媒としてのグリコフロール、及び
・注射用の水
を含み又はこれらから本質的になる又はこれらからなり、該組成物中におけるアセテート含有量は2〜10重量%、好ましくは6〜10重量%であり、
より好ましくは、
・42〜48%(w/w)のランレオチド、
・16〜22%(w/w)のグリコフロール、及び
・qsp100%の注射用水
を含み又はこれから本質的になる又はこれからなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲であり、該組成物中におけるアセテート含有量は6〜10重量%の範囲である。
【0091】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、
・アセテート形態のランレオチド、
・pH調整剤としての酢酸、
・水溶性共溶媒としてのグリコフロール及び
・注射用水
を含み又はこれらから本質的なり又はこれらからなり、該組成物中におけるアセテート含有量は2〜10重量%、好ましくは、6〜10重量%の範囲であり、グリコフロールは、式(1)のもの又はその混合物であり、さらに好ましくは、
・42〜48%(w/w)のランレオチド、
・16〜22%(w/w)のグリコフロール、
・酢酸、及び
・qsp100%の注射用水を含み又はこれらから本質的なり又はこれらからなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲であり、該組成物中におけるアセテート含有量は6〜10重量%の範囲であり、グリコフロールは、式(1)のもの又はそれらの混合物であり、式中nは1〜2の整数である。
【0092】
別の特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、任意の非水溶性の生体適合性及び/又は生分解性(共)重合体を含まず、
・活性成分としてのランレオチド、
・pH調整剤としての酢酸、
・水溶性共溶媒としてのグリコフロール、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤から選択される添加剤、及び
・注射用水
を含み、該組成物のpHは4.0〜7.5の範囲であり、ランレオチドはアセテートの状態である。
【0093】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤及び
・水(qsp100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜7.5、より好ましくは4.0〜6.0の範囲である。
【0094】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのランレオチド42〜46%、
・上記式(1)のグリコフロール又はその混合物16〜20%、
・pH調整剤としての酢酸、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%、及び
・水(qsp100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0095】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてアセテート形態のランレオチド42〜46%、
・上記式(1)(式中nは1〜2の整数である。)のグリコフロール又はその混合物16〜20%、
・pH調整剤としての酢酸、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜1%、及び
・水(qsp100%)
からなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲である。
【0096】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出のためのものであり、
・活性成分としてのアセテート形態のランレオチド42〜46%、
・上記式(1)(式中nは1〜2の整数である。)のグリコフロール又はその混合物16〜20%、
・pH調整剤としての酢酸、
・メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン、グルタチオン、アスコルビン酸、エデト酸二ナトリウム、クエン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、及びそれらの混合物から選択される酸化防止剤0〜1%及び
・水(qsp100%)
からなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲である。
【0097】
本発明に係る医薬組成物は半固体製剤である。半固体組成物は、針に接続されたシリンジなどの標準的な注射用装置を使用して注入できる。該組成物の粘度及び他の物理的状態特性を、投与段階が評価されたときに注射性能として評価できる。注射性能は、シミュレート注射試験を実施し、異なる物理的方法に従って決定できる。注射性能は、注射強度力又はシリンジ注射力(SIF)として報告できる。
【0098】
SIFは、較正セル(NLC100N、Lloyd Instruments社)を備えた動力計(L1000R、Lloyd Instruments社)を使用して決定できる。20mm長さ×1.2mmIDの針付きの4.5mm径シリンジ内で状態調整された医薬組成物を、その注射性能について、シミュレート吐出中に100〜200mm/分の速度範囲で試験し、その際、プランジャー上の機器によって加えられる力及びその位置変化を記録する。このシミュレート注射を空気中において垂直方向で実行する。最大注射力(Nで表す)を、吐出中に収集されたデータから導出する。
【0099】
好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、500mgまでのランレオチド用量により上記方法で試験したときに、N5〜50の範囲のSIFによって定義される注射性能を示す。好ましくは、医薬組成物のSIFは、10〜35Nまでの範囲である
【0100】
本発明に係る医薬組成物は、非経口経路によって投与される。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、皮下、筋肉内又は深皮下注射、より好ましくは皮下又は深皮下注射によって投与される。
【0101】
依然として好ましい皮下、特に深皮下経路について、注射容量は、好ましくは2mL又は1.9mL又は1.8mL又は1.7mL又は1.6mL又は1.5mL又は1.4mL又は1.3mL又は1.2mL又は1.1mL又は1mL以下である。500mgまでのランレオチドをこのような容量でロードするためには、制御放出と高濃度の活性成分及び許容できる注射性能とを組み合わせなければならないときに特定の処方を決定しなければならない。このような状況は、持続放出特性を与えることを目的とした特定の賦形剤のかなりの割合が通常必要とされ、しかもこの量が活性成分のための負荷容量を除去するため、挑戦的である。
【0102】
本発明による医薬組成物は、少なくとも2ヶ月間にわたるヒトでのランレオチドの持続放出を可能にする。このような放出は、組成物において(共)重合体マトリックスなしで、特に、持続放出組成物に通常使用される任意の非水溶性の生体適合性及び/生分解性(共)重合体剤、例えば、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PLG)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリ−ε−カプロラクトン及びこれらの生体適合性(共)重合体の組み合わせ又は変性によって得られる任意の(共)重合体剤なしで得られる。
【0103】
好ましい実施形態では、ランレオチドの持続放出は、ヒトにおいて少なくとも2〜6ヶ月である。
【0104】
好ましい実施形態では、ランレオチドの持続放出は、ヒトにおいて少なくとも2ヶ月である。
【0105】
好ましい実施形態では、ランレオチドの持続放出は、ヒトにおいて少なくとも3ヶ月である。
【0106】
本発明に係る組成物は、少なくとも63日、70日、77日、84日又は90日、好ましくは91日にわたる持続放出を可能にする。
【0107】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、少なくとも63日間の持続放出を可能にする。別の好ましい実施形態では、本発明による組成物は、少なくとも70日間の持続放出を可能にする。別の好ましい実施形態では、本発明による組成物は、少なくとも77日間の持続放出を可能にする。より好ましい実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも84日間の持続放出を可能にする。別のより好ましい実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも91日間の持続放出を可能にする。
【0108】
ランレオチドは、市販のソマトスタチンアナログである。これは、下垂体成長ホルモン分泌腫瘍及び非下垂体成長ホルモン分泌腫瘍の両方が原因の末端肥大症(先端巨大症)の治療、神経内分泌腫瘍(NET)、特にカルチノイド腫瘍及びVIPomasによって引き起こされる症状の管理、及び甲状腺刺激腺腫の治療に必要とされる。
【0109】
本発明に係る医薬組成物は、下垂体成長ホルモン分泌腫瘍及び非下垂体成長ホルモン分泌腫瘍の両方が原因の末端肥大症(先端巨大症)の治療、神経内分泌腫瘍(NET)、特にカルチノイド腫瘍及びVIPomasによって引き起こされる症状の管理及び甲状腺刺激腺腫の治療に有用であり得る。好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、末端肥大症又はNETの治療に有用である。NETは、例えば、機能性及び非機能性胃腸神経内分泌腫瘍から選択できる。
【0110】
したがって、本発明は、上記実施形態のいずれかに記載された医薬組成物の治療上活性な量を投与することによる末端肥大症に罹患した患者の治療方法に関するものでもある。
【0111】
実施形態では、本発明に係る医薬組成物を、8週間毎よりも頻繁でなく、好ましくは、9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16週間毎に、それを必要とする患者に投与若しくは注射し、又は投与若しくは注射のために準備する。好ましくは、13週間毎に投与又は注射する。
【0112】
さらに好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物を、単回注射として投与し又は投与のために準備する。
【0113】
好ましくは、この方法は、医薬組成物を9週間又は10週間又は12週間又は13週間又は14週間又は15週間又は16週間毎に少なくとも1回投与することを含む。より好ましくは、この方法は、医薬組成物を13週間毎に少なくとも1回投与することを含む。
【0114】
別の実施形態では、医薬組成物を単回注射によって投与する。好ましくは、筋肉内、皮下又は深部皮下に注射する。
【0115】
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、60、90、120又は240又は360mgの活性医薬成分、すなわちランレオチド用量で投与される。好ましくは、医薬組成物は、120、240又は360mgのランレオチド用量で投与される。
【0116】
また、本発明は、上記実施形態のいずれかに記載された医薬組成物の治療上有効な量を投与することにより神経内分泌腫瘍(NET)に罹患した患者を治療し又は予防する方法に関する。好ましくは、神経内分泌腫瘍(NET)によって引き起こされる症状を治療又は予防する。実施形態では、これらの症状は、紅潮、下痢及び腹部痙攣から選択される。
【0117】
また、本発明は、上記実施形態のいずれかに記載された医薬組成物の治療上有効な量を投与することによる、甲状腺刺激腺腫に罹患した患者の治療又は予防方法に関するものでもある。
【0118】
また、本発明は、医薬における使用のための、上記実施形態のいずれかに記載された医薬組成物に関する。実施形態では、本発明の医薬組成物は、末端肥大症(先端巨大症)の治療又は予防に使用するためのものである。さらなる実施形態では、医薬組成物は、神経内分泌腫瘍(NET)の治療又は予防に使用するためのものである。NETは、例えば、機能性及び非機能性胃腸神経内分泌腫瘍から選択できる。好ましくは、医薬組成物は、紅潮、下痢及び腹痛から選択される症状などのNETの症状を治療又は管理する際に使用するためのものである。さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、甲状腺刺激腺腫の治療又は予防に使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明は、下垂体成長ホルモン分泌腫瘍及び非下垂体成長ホルモン分泌腫瘍の両方が原因の末端肥大症の治療に使用するための上記医薬組成物に関するものでもあり、該組成物は、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%及び
・水(qsp100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜7.5であり、該pH調整剤は水溶性共溶媒とは異なる。
【0119】
好ましい実施形態では、本発明は、神経内分泌腫瘍(NET)によって引き起こされる症状の管理に使用するための上記医薬組成物に関するものでもあり、該組成物は、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%及び
・水(qsp100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜7.5であり、該pH調整剤は水溶性共溶媒とは異なる。
【0120】
好ましい実施形態では、本発明は、下垂体成長ホルモン分泌腫瘍及び非下垂体成長ホルモン分泌腫瘍の両方が原因の末端肥大症の治療に使用するための上記医薬組成物に関するものでもあり、該組成物は、
・ランレオチド42〜46%(w/w)、
・上記式(1)のグリコフロール16〜20%(w/w)、
・酢酸、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%及び
・注射用水qsp100%
からなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0121】
好ましい実施形態では、本発明は、神経内分泌腫瘍(NET)によって引き起こされる症状の管理に使用するための上記医薬組成物に関するものでもあり、該組成物は、
・ランレオチド42〜46%(w/w)、
・上記式(1)のグリコフロール16〜20%(w/w)、
・酢酸、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%及び
・注射用水qsp100%
からなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0122】
好ましい実施形態では、本発明は、下垂体成長ホルモン分泌腫瘍及び非下垂体成長ホルモン分泌腫瘍の両方が原因の末端肥大症の治療に使用するための上記医薬組成物に関するものでもあり、該組成物は、
・ランレオチド42〜46%(w/w)、
・上記式(1)(nは1〜2の整数である。)のグリコフロール16〜20%(w/w)、
・酢酸、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜1%及び
・注射用水qsp100%
からなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲であり、ランレオチドはそのアセテートの形態にある。
【0123】
好ましい実施形態では、本発明は、神経内分泌腫瘍(NET)によって引き起こされる症状の管理に使用するための上記医薬組成物に関するものでもあり、該組成物は、
・ランレオチド42〜46%(w/w)、
・上記式(1)(nは1〜2の整数である。)のグリコフロール16〜20%(w/w)、
・酢酸、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜1%及び
・注射用水qsp100%
からなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲であり、ランレオチドはそのアセテートの形態にある。本発明に係る医薬組成物は、放出の第1週後に、非常に一定でかつ再現性のある吸収速度及び特定の負の傾きを持つ薬物動態プロファイルを与えるところ、これは、反復投与を適用して慢性及び長期治療に対処したときに好適なシナリオを可能にする。ランレオチドの血漿レベルが着実に減少する数週間にわたる薬物動態学的プロファイルのこの特定のパターン(
図1)を使用して、異なる治療期間をカバーすることができ、そしてこれを患者に対して異なる治療窓と共にカバーすることができる。この期間の調整は、単一の医薬組成物を所定のユニークな用量で使用して得ることができる(
図2)。
【0124】
特定の薬物動態学的パターンは、通常、2週間から6ヶ月、より好ましくは1〜4ヵ月まで得られる。これは、患者並びに末端肥大症及びNETなどの適応症のための新たな個別化治療を規定することを可能にする。
【0125】
さらに、本発明は、上記非経口適用のための医薬組成物の製造方法に関する。
【0126】
好ましくは、本発明は、上記医薬組成物の製造方法であって、次の工程:
・pH調整剤及び他の添加剤を適宜含む共溶媒混合物を製造し、
・活性成分を適切な容器に導入し、
・5〜70℃の間の温度、好ましくは室温での混合プロセスによって、該活性成分を水和させ、組成物を均質化させること
を含む方法に関する。
【0127】
好ましくは、本発明は、上記非経口適用のための医薬組成物の製造方法であって、次の工程:
・pH調整剤及び他の添加剤を適宜含む共溶媒混合物を製造し、該混合物をシリンジ又はシリンジ状容器に導入し、
・活性成分を第2シリンジ又はシリンジ状容器に導入し、
・該2個のシリンジ又はシリンジ状容器と二股コネクターとを接続し、
・5℃〜70℃の間の温度、好ましくは室温で、該2個の容器間において該コネクターを介した混練プロセスによって該活性成分を水和し、組成物を均質化させること
を含む。
【0128】
好ましくは、本発明は、上記非経口適用のための医薬組成物の製造方法であって、次の工程:
・pH調整剤及び他の添加剤を適宜含む共溶媒混合物を製造し、該混合物をシリンジ又はシリンジ状容器に導入し、
・活性成分を第2シリンジ又はシリンジ状容器に導入し、
・2個のシリンジ又はシリンジ状容器と二方弁を備える三股コネクターとを接続し、
・適切な方法によりこの系から空気を除去し、例えば該コネクターの空きポートに真空を引き、
・5℃〜70℃の間の温度、好ましくは室温で、2個の容器間において該コネクターを介した混練プロセスによって該活性成分を水和し、組成物を均質化させること
を含む。
【0129】
さらに、製造プロセス全体を、温度、圧力、サイクル数、シリンジ対弁直径比などの重要なプロセスパラメータに関して、当業者に一般的な装置により制御することができる。
【0130】
あるいは、上記医薬組成物の製造は、即座に、すなわち投与前に実施できる。
【0131】
好ましい実施形態では、上記医薬組成物の製造は、即座に、すなわち、投与前に、
・活性成分の適切な用量を含むプレフィルドシリンジと
・共溶媒と、任意のpH調整剤と、適宜他の添加剤(再構成のためのビヒクルとして使用される)とを含むシリンジと
の間の混練プロセスによって実施される。
【0132】
本発明のさらなる実施形態では、活性成分を、例えば、医薬組成物の製造前に、凍結乾燥、乾燥、粉砕、造粒、圧縮、ふるい分けにより予め処理できる。
【0133】
この方法の一部についてガンマ照射、電子線照射、蒸気又は滅菌濾過などの任意の滅菌技術を使用して無菌医薬組成物を得ることができる。
【0134】
本発明のさらなる実施形態では、医薬組成物の製造は、無菌条件下で実施される。
【0135】
本発明に係る医薬組成物は、予め充填された即時使用プレゼンテーションとして入手可能である。また、活性成分を含有する凍結乾燥製品を共溶媒と、任意のpH調整剤と、適宜再構成用溶媒としての他の添加剤との混合物で即座に再構成することができる即時再構築プレゼンテーションとしても入手可能である。
【0136】
さらなる実施形態として、医薬組成物は、充填済みシリンジで包装できる。
【0137】
好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出用の上記医薬組成物を含有する充填済みシリンジに関し、該組成物は、
・活性成分としてのランレオチド35〜55%、
・水溶性共溶媒10〜25%、
・pH調整剤、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%及び
・水(qsp100%)
からなり、該組成物のpHは4.0〜7.5の範囲であり、該pH調整剤は水溶性共溶媒とは異なる。
【0138】
別の好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出用の上記医薬組成物を含有する充填済みシリンジに関し、該組成物は、
・ランレオチド42〜46%(w/w)、
・上記式(1)のグリコフロール16〜20%(w/w)、
・酢酸、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜5%及び
・注射用水qsp100%
からなり、該組成物のpHは4.0〜6.0の範囲である。
【0139】
別の好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも2ヶ月間にわたる活性成分の持続放出用の上記医薬組成物を含有する充填済みシリンジに関し、該組成物は、
・ランレオチド42〜46%(w/w)、
・上記式(1)(nは1〜2の整数である。)のグリコフロール16〜20%(w/w)、
・酢酸、
・安定剤、酸化防止剤、界面活性剤及びそれらの混合物から選択される添加剤0〜1%及び
・注射用水qsp100%
からなり、該組成物のpHは4.8〜5.4の範囲であり、ランレオチドはそのアセテートの形態にある。
【0140】
好ましい実施形態では、凍結乾燥物質及び再構成用溶媒の両方がシリンジに充填されており、このシリンジを混合装置として接続しかつ使用して再構成プロセス及び再構成された製剤の最終投与を容易にすることができる。
【0141】
本発明の別の主題は、少なくとも2ヶ月にわたる活性成分の持続放出のための医薬組成物であり、
・活性成分として、水溶性ペプチド又はその任意の薬学的に許容される塩、
・共溶媒としてグリコフロール
・任意にpH調整剤、及び
・水
を含み又はこれらから本質的になり又はこれらからなり、該組成物のpHは4.0〜8の範囲にある。
【0142】
本発明において使用することができる適切なペプチドとしては、成長ホルモン(GH)、成長ホルモン放出ペプチド(GHRP)、成長ホルモン放出因子(GRF)、上皮成長因子、インターフェロン、インスリン、ソマトスタチン、ボンベシン、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、アミリン、副甲状腺ホルモン(PTH)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrp)、ガストリン、ガストリン放出ペプチド(GRP)、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、サイトキナーゼ、ソルビン、コレシストキニン(CCK)、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド(GLP)、ガストリン、エンケファリン、ニューロメジン、エンドセリン、基質P、ニューロペプチドY(NPY)、ペプチドYY(PYY)、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、ブラジキニン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、β細胞トロピン(ACTHのフラグメント)、又は上記いずれかの生物学的に活性なアナログが挙げられる。
【0143】
用語「生物学的に活性なアナログ」及び「アナログ」は、本明細書において、天然型、組換え及び合成ペプチド、或いは例えば天然アミノ酸残基の一つ以上が欠失、置換又は修飾されたもの、又はN末端基若しくはC末端基が構造的に修飾されたものを含め、非修飾又は天然型ペプチドのペプチドと実質的に同一のアゴニスト又はアンタゴニスト効果を示す、このようなペプチドの誘導体若しくは断片をカバーするように区別なく使用される。ペプチドがそのリガンド又は受容体に及ぼすアゴニスト又はアンタゴニスト効果は、例えば、特定のペプチドに適合した細胞ベースアッセイ又は実験動物モデルなどの試験管内又は生体内アッセイで測定できる。このようなアッセイは、当業者の知識の範囲内である。
【0144】
本発明に係る好ましい水溶性ペプチドの塩としては、成長ホルモン(GH)、成長ホルモン放出ペプチド(GHRP)、成長ホルモン放出因子(GRF)、インスリン、ソマトスタチン、副甲状腺ホルモン(PTH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)又はゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、グルカゴン様ペプチド(GLP)、又は上記いずれかの生物学的に活性なアナログの塩が挙げられる。より好ましい実施形態では、本発明に係る水溶性ペプチド塩としては、成長ホルモン(GH)、ソマトスタチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、グルカゴン様ペプチド(GLP)又は上記いずれかの生物学的に活性なアナログの塩が挙げられる。
【0145】
別の好ましい実施形態では、活性成分は、ランレオチド、オクトレオチド、パシレオチドから選択されるソマトスタチンアナログ又はその任意の薬学的に許容される塩である。
【0146】
別の好ましい実施形態では、活性成分は、アボレリン、ブセレリン、デスロレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、リュープロレリン、ルトレリン、ナファレリン、パーフォリン、トリプトレリン、アバレリックス、セトロレリクス、デガレリクス、デチレリクス、ガニレリクス、イツレリクス、オザレリクス、プラザレリクス、ラモレリクス、テベレリクス又はその任意の薬学的に許容される塩、より好ましくはブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、ナファレリン、トリプトレリン又はその任意の薬学的に許容される塩から選択されるLH−RHアナログである。
【0147】
本発明に従ってペプチドのために使用できる薬学的に許容される塩は、好ましくは、有機酸の薬学的に許容される塩、例えば、酢酸、フェニル酢酸、乳酸、リンゴ酸、パモ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、メタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸の薬学的に許容される塩、又は無機酸の薬学的に許容される塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸又はリン酸の薬学的に許容される塩である。
【0148】
本発明によれば、このような医薬組成物は、好ましくは医薬として使用するためのものであり、又はそれを必要とする患者における疾患を治療する方法で使用される。
【0149】
本発明の別の主題は、少なくとも2ヶ月にわたる活性成分の持続放出のための医薬組成物であり、
・活性成分として、ランレオチド、オクトレオチド、パシレオチド、ブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、ナファレリン及びトリプトレリン又はそれらの任意の薬学的に許容される塩から選択される水溶性ペプチド
・共溶媒としてグリコフロール
・任意にpH調整剤、及び
・水
を含み又はこれらから本質的になり又はこれらからなり、該組成物のpHは4.0〜8の範囲であり、より好ましくは、
・活性成分として、ランレオチド、オクトレオチド、パシレオチド、ブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、ナファレリン及びトリプトレリン又はそれらの任意の薬学的に許容される塩から選択される水溶性ペプチド
・共溶媒としてグリコフロール
・任意にpH調整剤、及び
・水
を含む又はこれらから本質的になる又はこれらからなる。
【0150】
有利には、ペプチド又はその薬学的に許容される塩は、該組成物の総重量に対して、20〜60重量%、好ましくは35〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%の範囲の濃度で存在する。
【0151】
好ましい実施形態では、グリコフロールは、該組成物の総重量に対して10〜35重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲の濃度で存在する。
【0152】
本発明によれば、このような医薬組成物は、好ましくは医薬として使用するためのものであり、又はそれを必要とする患者における疾患を治療する方法で使用される。
【0153】
本発明の別の主題は、少なくとも2ヶ月にわたる活性成分の持続放出のための医薬組成物であり、
・活性成分として、該組成物の総重量に対して20〜60%の範囲の濃度で存在するランレオチド、オクトレオチド、パシレオチド、ブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、ナファレリン及びトリプトレリン又はその任意の薬学的に許容される塩から選択される水溶性ペプチド、
・該組成物の総重量に対して10〜35重量%の範囲の濃度で存在する共溶媒としてのグリコフロール、
・pH調整剤、及び
・水
を含み又はこれらから本質的になり又はこれらからなり、該組成物のpHは4.0〜8の範囲である。
【0154】
本発明によれば、このような医薬組成物は、好ましくは医薬として使用するためのものであり、又はそれを必要とする患者における疾患を治療する方法で使用される。
【0155】
特に断らない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明に関連した領域の専門家によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0156】
次の実施例は、上記の手順を説明するために提示されるものであり、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【実施例】
【0157】
実験の部
1.製造方法
例1a
異なるバッチを、活性医薬成分(API)としてのランレオチド酢酸塩を使用して製造する。ランレオチド酢酸塩の必要量を、適切な容器内において注射用水(WFI)/NMP/酢酸の対応する混合物で水和及び均質化させる。
【0158】
製剤のアセテート及び水の両方の含有量を、これら2種の成分も含有するAPIの寄与を考慮して調整する。
【0159】
均質な媒体が得られたら、異なる製剤を、予め充填された製品に適し、かつ、好ましくはγ線照射を使用した最終滅菌と適合性のあるシリンジに分注する。
【0160】
充填工程の終了時に得られた個々の用量の一部を、ガンマ線照射(線量>25kGy)によって滅菌する。
【0161】
このようにして本発明の数種の製剤を製造する。これらの例に関連する情報を表1にまとめる。
【0162】
表1
【表1】
【0163】
例1b
医薬組成物を、二重シリンジシステムを使用して次の様に製造する。
【0164】
WFI:NMP[60:40]v/vの混合物1.966gを、5mLのプラスチックシリンジに導入する。
【0165】
ランレオチドアセテート3.033gを、二股コネクターを取り付けた20mLのプラスチックシリンジに導入する。液体混合物を含有するシリンジをコネクターの空きポートに接続して活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を、2個のシリンジ間でコネクターを介したプッシュプル混練方法によって達成する。活性成分が水和したら、この製品全体を5mLシリンジ中で保持し、20mLシリンジを、混合プロセスの最終段階のために新たな空の5mLシリンジに置き換える。
【0166】
均質になったら、製剤を2個の5mLシリンジに集め、その後、1.2mmの内径(ID)×20mmの長さ(L)の針を取り付けた1mLのプラスチック製シリンジに240mgランレオチド用量まで充填する。その後、針を針シールドでキャップする。
【0167】
シリンジに充填された個々の用量を、アルミニウムバッグ内に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0168】
例1c
二重シリンジシステム及び真空を使用して医薬組成物を次のように製造する。
【0169】
ガラス瓶中においてWFI32.73gとNMP22.86g及び酢酸4.32gとを混合させる。この混合物の30.55gを250mLのステンレス鋼製シリンジに移す。
【0170】
ランレオチドアセテート38.06gを250mLのステンレス鋼製シリンジに導入する。プラスチック製のプランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0171】
両方のシリンジは、三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して、活性成分を含有するシリンジに真空を0.600mbar以下の値まで30分間引く。
【0172】
その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を、2個シリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0173】
均質混合物が得られたら、製剤を2個の250mLシリンジの一つに集め、その後1.2mmの内径(ID)×20mmの長さ(L)の針を取り付けた1.0mLプラスチック製シリンジに360mgのランレオチド用量まで充填する。その後、シリンジを針シールドでキャップする。
【0174】
360mgのランレオチドの57の個々の用量を準備する。
【0175】
シリンジに充填された個々の用量を、アルミニウムバッグ内に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0176】
例1d
二重シリンジシステム及び真空を使用して医薬組成物を次のように製造する。
【0177】
ガラスビーカー中においてWFI78.82gとNMP51.12g及び酢酸8.88gとを混合させる。この混合物の94.27gを750mLのステンレス鋼製シリンジに移す。
【0178】
ランレオチドアセテート110.14gを750mLのステンレス鋼製シリンジに導入する。特定の棒及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0179】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して、活性成分を含有するシリンジに真空を0.600mbar以下の値まで35分間引く。
【0180】
その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を、2個シリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0181】
均質混合物が得られたら、製剤を2個の750mLシリンジの一つに集め、その後ルアーロック1.2mm内径(ID)×20mm長さ(L)の針を取り付けた1.0mLプラスチック製シリンジに360mgのランレオチド用量まで充填する。その後、シリンジを針シールドでキャップする。
【0182】
360mgのランレオチドの197の個々の用量を準備する。
【0183】
シリンジに充填された個々の用量を、アルミニウムバッグ内に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0184】
例1e
予備混合及び二重シリンジシステムの両方を使用して医薬組成物を次のように製造する。
【0185】
WFI/NMP[10:90](v/v)の混合物8.445gをガラスビーカー中で秤量し、そしてランレオチドアセテート29.50gを別のガラスビーカー中で秤量する。ランレオチドアセテート20gを、スパチュラで穏やかに混合しながら溶媒に添加する。次いで、WFI:NMP[95:5](v/v)の混合物12.15gをガラスビーカー中で秤量し、そしてランレオチドアセテートの約5gを先の生成物に添加しスパチュラで混合する。その後、ランレオチドアセテートの残部(29.50gまで)をスパチュラで穏やかに混合しながら添加し、そしてWFI:NMP[95:5]v/vの混合物の残部(12.15gまで)を添加し、スパチュラで混合する。溶媒を計量するために1%の過剰を適用する。
【0186】
この水和生成物を50mLのステンレススチール製シリンジに移す。このシリンジをコネクターにより別の50mLステンレススチール製シリンジに接続する。製剤の均質化を、2個シリンジ間においてコネクターを介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0187】
均質化したら、製剤を2個の50mLシリンジの一つに集め、それによって1.2mm ID×20mmL針付きの1mLプラスチック製シリンジに分注する。針を針シールドでキャップする。ランレオチドの240mgの個々の用量を準備する。
【0188】
シリンジに充填された個々の用量を、アルミニウムバッグ内に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0189】
例1f
即時再構成に適した医薬組成物を次のように製造する。
【0190】
ランレオチドアセテート10.38gを150mLステンレススチール製シリンジに導入する。0.2Nの酢酸24.63gを別の150mLステンレススチール製シリンジに導入する。
【0191】
活性成分を含有するシリンジは二方弁を備え、ポンプを使用して真空を30分間引く。0.600mbar以下の真空が達成されたら、0.2Nの酢酸を含むシリンジを弁の空きポートに嵌め込む。その後弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0192】
均質化したら、製剤を2個のシリンジの一方に集め、それによって凍結乾燥プロセスに適した、ルアーロック先端付き2.5mLプラスチック製シリンジに分注する。
【0193】
500mgのランレオチドの個々の用量を準備する。
【0194】
キャップされていないシリンジを、粉末状ランレオチド固体ケークを得るために凍結乾燥させる。
【0195】
凍結乾燥後、個々の用量につきルアーロックストッパで栓をし、アルミ袋に密封し、ガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0196】
並行して、再構成のためのビヒクルを調製する:メスフラスコ中においてWFI6.40gとNMP3.60gとを混合させる。次いで、この溶液をシリンジ対シリンジ接続の点で凍結乾燥製品に使用されるものと互換性のある3.0mLプラスチック製シリンジに分注する。
【0197】
最終製剤の個々の用量を次のように準備する:
・2個のシリンジを接続する
・2個シリンジの間におけるプッシュプル混練工程によって水和及び均質化する
・2個のシリンジのうちの1個に製剤を集める
・2個のシリンジを接続解除し、投与のためのルアーロック針を設ける。
【0198】
例1g
二重シリンジシステム及び真空を使用して医薬組成物を次のように製造する。
【0199】
ガラス瓶中においてWFI103.35gとグリコフロール83.70g及び酢酸12.95gとを混合させる。混合物26.38gを250mLのステンレススチール製シリンジに移す。
【0200】
ランレオチドアセテートの31.72gを250mLのステンレススチール製シリンジに導入する。プラスチック製プランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0201】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して活性成分を含有するシリンジに真空を引く。
【0202】
0.500mbar以下の値に到達させるように190分間真空を引く。その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0203】
均質化したら、製剤を2個の250mLシリンジの一方に集め、その後、240mgのランレオチド用量で1.2mLプラスチック製シリンジに充填する。シリンジを針シールドでキャップする。
【0204】
5.0のpHを有する240mgのランレオチドの68の個々の用量を製造した。
【0205】
この本発明の組成物は、240mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに、110mm/分の速度で27NのSIFによって定義された最大注射力を示す。
【0206】
シリンジに充填された個々の用量をアルミ袋に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0207】
例1h
二重シリンジシステム及び真空を使用して医薬組成物を次のように製造する。
【0208】
ガラス瓶中においてWFI127.02gとグリコフロール61.88g及び酢酸11.09gとを混合させる。混合物36.79gを250mLのステンレススチール製シリンジに移す。
【0209】
ランレオチドアセテート32.21gを250mLのステンレススチール製シリンジに導入する。プラスチック製プランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0210】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して活性成分を含有するシリンジに真空を引く。
【0211】
0.500mbar以下の値に到達させるように120分間真空を引く。その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0212】
均質化したら、製剤を2個の250mLシリンジの一つに集め、その後、240mgのランレオチド用量で1.2mLプラスチック製シリンジに充填する。その後シリンジを針シールドでキャップする。
【0213】
4.9のpHを有する240mgのランレオチドの75の個々の用量を製造した。
【0214】
この本発明の組成物は、240mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに、110mm/分の速度で29NのSIFによって定義された最大注射力を示す。
【0215】
シリンジに充填された個々の用量をアルミ袋に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0216】
例1i
二重シリンジシステム及び真空を使用して医薬組成物を次のように製造する。
【0217】
ガラス瓶中においてWFI10.61gとPEG600 7.64g及び酢酸1.75gとを混合させる。混合物15.52gを250mLのステンレススチール製シリンジに移す。
【0218】
ランレオチドアセテート13.38gを250mLのステンレススチール製シリンジに導入する。プラスチック製プランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0219】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して活性成分を含有するシリンジに真空を引く。
【0220】
0.600mbar以下の値に到達させるように30分間真空を引く。その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0221】
均質化したら、製剤を2個の250mLシリンジの一つに集め、その後、1.2mLプラスチック製シリンジに充填する。その後シリンジをゴム栓でキャップする。
【0222】
4.84のpHを有する240mgのランレオチドの19の個々の用量を製造した。
【0223】
この本発明の組成物は、240mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに、175mm/分の速度で61.9NのSIFによって定義された最大注射力、及び60mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに175mm/分の速度で24NのSIFによって定義された最大注射力を示す。
【0224】
シリンジに充填された個々の用量をアルミ袋に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0225】
例1j
二重シリンジシステム及び真空を使用して医薬組成物を次のように製造する。
【0226】
ガラス瓶中においてWFI11.51gとPEG600 6.88g及び酢酸1.61gとを混合させる。混合物17.79gを250mLのステンレススチール製シリンジに移す。
【0227】
ランレオチドアセテート12.71gを250mLのステンレススチール製シリンジに導入する。プラスチック製プランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0228】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して活性成分を含有するシリンジに真空を引く。
【0229】
0.600mbar以下の値に到達させるように30分間真空を引く。その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0230】
均質化したら、製剤を2個の250mLシリンジの一つに集め、その後、1.2mLプラスチック製シリンジに分注する。その後シリンジをゴム栓でキャップする。
【0231】
4.68のpHを有する240mgのランレオチドの19の個々の用量を製造した。
【0232】
この本発明の組成物は、240mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに、175mm/分の速度で29.7NのSIFによって定義された最大注射力、及び60mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに175mm/分の速度で15.6NのSIFによって定義された最大注射力を示す。
【0233】
シリンジに充填された個々の用量をアルミ袋に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0234】
例1k
二重シリンジシステム及び真空を使用して医薬組成物を次のように製造する。
【0235】
ガラス瓶中においてWFI18.19gとPEG600 9.27g及び酢酸2.54gとを混合させる。混合物20.42gを250mLのステンレススチール製シリンジに移す。
【0236】
ランレオチドアセテート14.58gを250mLのステンレススチール製シリンジに導入する。プラスチック製プランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0237】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して活性成分を含有するシリンジに真空を引く。
【0238】
0.600mbar以下の値に到達させるように30分間真空を引く。その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0239】
均質化したら、製剤を2個の250mLシリンジの一つに集め、その後、1.2mLプラスチック製シリンジに分注する。その後シリンジをゴム栓でキャップする。
【0240】
4.65のpHを有する240mgのランレオチドの24の個々の用量を製造した。
【0241】
この本発明の組成物は、240mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに、175mm/分の速度で34.7NのSIFによって定義された最大注射力、及び60mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに175mm/分の速度で19.9NのSIFによって定義された最大注射力を示す。
【0242】
シリンジに充填された個々の用量をアルミ袋に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0243】
例1l
二重シリンジシステムを使用して医薬組成物を次のように製造する。
【0244】
メチオニン0.09gをガラス瓶中においてWFI9.74gに溶解させる。グリコフロール8.44g及び酢酸1.73gを溶液に添加する。混合物4.28gを20mLステンレススチール製シリンジに移す。
【0245】
ランレオチドアセテート5.22gを20mLのステンレススチール製シリンジに導入する。プラスチック製プランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0246】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して活性成分を含有するシリンジに真空を引く。
【0247】
0.500mbar以下の値に到達させるように30分間真空を引く。その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0248】
均質化したら、製剤を2個の20mLシリンジの一つに集め、その後、1.2mLプラスチック製シリンジにランレオチドの240mg用量で充填する。その後シリンジを針シールドでキャップする。
【0249】
5.11のpHを有する240mgのランレオチドの13の個々の用量を製造した。
【0250】
この本発明の組成物は、240mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに、110mm/分の速度で24NのSIFによって定義された最大注射力を示す。
【0251】
シリンジに充填された個々の用量をアルミ袋に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0252】
例1m
二重シリンジシステム及び真空を使用して医薬組成物の2つのバッチ(B17及びB18)を製造する。
【0253】
バッチB17
第1サブバッチを製造する。
【0254】
ガラス瓶中においてWFI122.83gとグリコフロール87.19g及び酢酸16.53gとを混合させる。混合物113.19gを750mLのステンレス製シリンジに移す。
【0255】
ランレオチドアセテート122.20gを750mLのステンレススチール製シリンジに導入する。プラスチック製プランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0256】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して活性成分を含有するシリンジに真空を引く。
【0257】
0.500mbar以下の値に到達させるように120分間真空を引く。その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0258】
均質化したら、製剤を2個の750mLシリンジの一つに集める。
【0259】
第2サブバッチを製造する:
【0260】
ガラス瓶中においてWFI122.80gとグリコフロール87.01g及び酢酸16.53gとを混合させる。混合物113.19gを750mLのステンレス製シリンジに移す。
【0261】
ランレオチドアセテート122.40gを750mLのステンレススチール製シリンジに導入する。プラスチック製プランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0262】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して活性成分を含有するシリンジに真空を引く。
【0263】
0.500mbar以下の値に到達させるように120分間真空を引く。その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0264】
均質化したら、製剤を2個の750mLシリンジの一つに集める。
【0265】
両方のサブバッチを、2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練工程により混合し均質化させ、その後、450mgランレオチド用量で1.2mLのプラスチック製シリンジに充填する。その後、これらのシリンジを針シールドでキャップする。
【0266】
4.9のpHを有する450mgのランレオチドの279の個々の用量を製造した。
【0267】
この本発明の組成物は、450mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに、110mm/分の速度で20NのSIFによって定義された最大注射力を示す。
【0268】
シリンジに充填された個々の用量をアルミ袋に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0269】
バッチB18
ガラス瓶中においてWFI121.73gとグリコフロール86.40g及び酢酸16.41gとを混合させる。混合物112.32gを750mLのステンレス製シリンジに移す。
【0270】
ランレオチドアセテート121.30gを750mLのステンレススチール製シリンジに導入する。プラスチック製プランジャー及びスパチュラを使用して、シリンジに導入された活性成分を穏やかに固める。
【0271】
両方のシリンジは三方弁を備える。三方弁を介して接続されたポンプを使用して活性成分を含有するシリンジに真空を引く。
【0272】
0.500mbar以下の値に到達させるように120分間真空を引く。その後、弁を開いて両方のシリンジを接続し、そして活性成分の水和を開始させる。製剤の均質化を2個のシリンジ間において弁を介したプッシュプル混練方法によって達成する。
【0273】
均質化したら、製剤を2個の750mLシリンジの一つに集め、その後270mgランレオチド用量で1.2mLプラスチック製シリンジに充填する。その後、これらのシリンジを針シールドでキャップする。
【0274】
4.9のpHを有す270mgのランレオチドの278の個々の用量を製造した。
【0275】
この本発明の組成物は、270mgのランレオチド用量で上記方法により試験したときに、110mm/分の速度で16NのSIFによって定義された最大注射力を示す。
【0276】
シリンジに充填された個々の用量をアルミ袋に密封し、そしてガンマ線照射する(線量>25kGy)。
【0277】
2−薬物動態(PK)研究
例2a
例1aにおいてB1として示される医薬組成物は、240mgのランレオチド用量でイヌに注射する。
【0278】
体重16〜23kgの合計6匹の雄のビーグル犬を研究の開始時に使用する。これらのイヌを、乾燥標準飼料及び飲料水への自由なアクセスで保持する。これらの動物について、訓練を受けた担当者によって肩甲骨間領域に皮下投与する。
【0279】
血液サンプルを、注射前(時間0)、15及び30分、1、2、4、8及び10時間、1、2、3、7、10、14、21及び28日、その後、9〜11日毎に1回(可能ならば56及び84日を含む)、ランレオチドレベルが検出されない場合には実験を完了するまで、橈側皮静脈を介して得る。
【0280】
血液サンプルを30分間室温で保持し、そしてそれらを遠心分離器で遠心分離した(4℃で20分間1600g)。
【0281】
ランレオチド血清濃度を、較正標準曲線の作製及び品質管理サンプルの包含を伴う検証ラジオイムノアッセイ(RIA)法により決定する。定量限界は、80pg・ml
-1である。
【0282】
個々の血清濃度−実時間プロファイルの非区画薬物動態解析を、少なくとも次のパラメータを取得するためにWinNonlinバージョン5.2ソフトウェアにより適用する:ピーク血清濃度(C
max)、ピーク到達時間(T
max)、0〜tの時間−濃度曲線下面積(AUCt)及び0〜tの平均滞留時間(MRTt)。
【0283】
イヌで得られた平均±SD(標準偏差)薬物動態プロファイルの結果を
図3に示す。このPK研究は、この組成物の持続放出(SR)特性を実証するものである。
【0284】
例2b
ランレオチド32.9%及びプロピレングリコール40.2%を含有する医薬組成物[アセテート及びWFI q.s.100%]を60mgランレオチド用量でイヌに注射する。
【0285】
合計3匹の雄のビーグル犬(体重16〜23kg)を使用する。これらを、乾燥標準飼料及び飲料水への自由なアクセスで保持する。これらの動物に、訓練を受けた者が肩甲骨間領域に皮下投与する。
【0286】
血液サンプルを、注射前(時間0)、15及び30分、1、2、4、8及び10時間、1、2、3、7、10、14、17、21、24及び28日、その後、9〜11日毎に1回(可能ならば56及び84日を含む)、ランレオチドレベルが検出されない場合には実験を完了するまで、橈側皮静脈を介して得る。
【0287】
血液サンプルを30分間室温で保持し、そしてそれらを遠心分離器で遠心分離した(4℃で20分間1600g)。
【0288】
ランレオチド血清濃度を、較正標準曲線の作製及び品質管理サンプルの包含を伴う検証ラジオイムノアッセイ(RIA)法により決定する。定量限界は、80pg・ml
-1である。
【0289】
個々の血清濃度−実時間プロファイルの非区画薬物動態解析を、少なくとも次のパラメータを取得するためにWinNonlinバージョン5.2ソフトウェアにより適用する:ピーク血清濃度(C
max)、ピーク到達時間(T
max)、0〜tの時間−濃度曲線下面積(AUCt)及び0〜tの平均滞留時間(MRTt)。
【0290】
イヌで得られた平均±SD(標準偏差)薬物動態プロファイルの結果を
図4に示す。このPK研究は、この組成物の持続放出(SR)特性を実証するものである。
【0291】
例2c
例1g(G1)及び1h(G2)において同定された医薬組成物を、240mgのランレオチド用量でイヌに注射する。これらの組成物を表2に報告する。
【0292】
表2
【表2】
【0293】
製剤につき体重9〜14kgの合計12匹のビーグル犬(6匹の雄及び6匹の雌)を試験の開始時に使用する。これらを、乾燥標準飼料及び飲料水への自由なアクセスで保持する。これらの動物に、訓練を受けた者が肩甲骨間領域に皮下投与する。
【0294】
血液サンプルを無麻酔動物から注射前(時間0)、投与後15及び30分、1、2、4、8及び12時間、1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、10、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、84、90、105、119、135、150、165及び180日目に、頸静脈から直接静脈穿刺により得る。
【0295】
血液サンプルを30分間室温で保持し、そしてそれらを遠心分離器で遠心分離した(4℃で20分間1600g)。
【0296】
ランレオチド血清濃度を、較正標準曲線の作製及び品質管理サンプルの包含を伴う検証RIA法により決定する。定量限界は、80pg・ml
-1である。
【0297】
個々の血清濃度−実時間プロファイルの非区画薬物動態解析を、少なくとも次のパラメータを取得するためにWinNonlinバージョン5.2ソフトウェアにより適用する:ピーク血清濃度(C
max)、ピーク到達時間(T
max)、0〜tの時間−濃度曲線下面積(AUCt)及び0〜tの平均滞留時間(MRTt)。
【0298】
それぞれの製剤、すなわちG1及びG2についてイヌで得られた平均±SD薬物動態プロファイルの結果を
図5及び6に示す。このPK研究は、これらの組成物の持続放出(SR)特性を実証するものである。
【0299】
データを15kgの犬の体重で正規化した。実験中に排出を示す又はランレオチドに関連する血清中において陽性の抗体を示す犬を分析のために分離した。
【0300】
例2d
例1i(F1)、1j(F2)及び1k(F3)において示された薬学的組成物を、240mgのランレオチド用量でイヌに注射する。これらの組成物を表3に報告する。
【0301】
表3
【表3】
【0302】
製剤につき体重7〜13kgの合計12匹のビーグル犬(6匹の雄及び6匹の雌)を試験の開始時に使用する。これらを、乾燥標準飼料及び飲料水への自由なアクセスで保持する。これらの動物に、訓練を受けた者が肩甲骨間領域に皮下投与する。
【0303】
血液サンプルをそれぞれのイヌから注射前(時間0)、投与後15及び30分、1、2、4、8及び12時間、1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、10、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、84、90、105、120、135、150、165及び180日目に、頸静脈を介して得る。
【0304】
血液サンプルを最低でも30分間室温で保持し、そしてそれらを遠心分離器で遠心分離した(4℃で20分間1600g)。
【0305】
ランレオチド血清濃度を、較正標準曲線の作製及び品質管理サンプルの包含を伴う検証RIA法により決定する。定量限界は、80pg・ml
-1である。
【0306】
個々の血清濃度−実時間プロファイルの非区画薬物動態解析を、少なくとも次のパラメータを取得するためにWinNonlinバージョン5.2ソフトウェアにより適用する:ピーク血清濃度(C
max)、ピーク到達時間(T
max)、0〜tの時間−濃度曲線下面積(AUCt)及び0〜tの平均滞留時間(MRTt)。
【0307】
それぞれの製剤、すなわちF1、F2及びF3についてイヌで得られた平均±SD薬物動態プロファイルの結果を
図7及び8に示す。このPK研究は、これらの組成物の持続放出(SR)特性を実証するものである。
【0308】
データを15kgのイヌの体重で正規化した。実験中に排出を示す又はランレオチドに関連する血清中において陽性の抗体を示すイヌを分析のために分離した。
【0309】
例2e
例1m(G3、バッチB17及びB18)において示された薬学的組成物を、270及び450mgのランレオチド用量でイヌに注射する。この組成物を表4に報告する。
【0310】
表4
【表4】
【0311】
製剤につき体重7〜12kgの合計16匹のビーグル犬(8匹の雄及び8匹の雌)を試験の開始時に使用する。これらを、乾燥標準飼料及び飲料水への自由なアクセスで保持する。これらの動物に、訓練を受けた者が肩甲骨間領域に皮下投与する。
【0312】
血液サンプルを非麻酔動物から注射前(時間0)、投与後15及び30分、1、2、4、8及び12時間、1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、10、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、84、90、105、119日目に、頸静脈から直接穿刺によって得る。
【0313】
血液サンプルを最低でも30分間室温で保持し、そしてそれらを遠心分離器で遠心分離した(4℃で20分間1600g)。
【0314】
ランレオチド血清濃度を、較正標準曲線の作製及び品質管理サンプルの包含を伴う検証RIA法により決定する。定量限界は、80pg・ml
-1である。
【0315】
個々の血清濃度−実時間プロファイルの非区画薬物動態解析を、少なくとも次のパラメータを取得するためにWinNonlinバージョン5.2ソフトウェアにより適用する:ピーク血清濃度(C
max)、ピーク到達時間(T
max)、0〜tの時間−濃度曲線下面積(AUCt)及び0〜tの平均滞留時間(MRTt)。
【0316】
それぞれのランレオチド用量、すなわち270及び450mgについてイヌで得られた平均±SD薬物動態プロファイルの結果を
図9に示す(1匹のイヌ当たり270及び450mgの純粋なペプチドの理論用量でのG3製剤の単回SC投与後においてビーグル犬で決定されたランレオチド血清プロファイル)。このPK研究は、これらの組成物の持続放出(SR)特性を実証するものである。
【0317】
データを15kgのイヌの体重で正規化した。実験中に排出を示す又はランレオチドに関連する血清中において陽性の抗体を示すイヌを分析のために分離した。
【0318】
3−安定性試験
例3a(NMP製剤)
本発明の医薬組成物は、推奨される5℃の条件下での貯蔵時に経時的に試験したときに安定である。
【0319】
例1aにおいてB2として特定される医薬組成物に関する安定性試験を、5℃及び25℃/60%RH(RH:相対湿度)で開始する。医薬組成物をプレフィルドシリンジ(充填済みシリンジ)に保存する。
【0320】
安定性データを表5及び表6に示す。
【0321】
表5:5±3℃での安定性データ
【表5】
【0322】
表6:25±2℃/60±5%RHでの安定性データ
【表6】
【0323】
例3b(PEG製剤)
安定性の結果が、5℃の条件下で9カ月間にわたって保存された3つの異なるランレオチド3ヶ月PEG製剤[F1(60mgのランレオチド用量)、F2(60mgのランレオチド用量)及びF3(60mgのランレオチド用量)]で生じた。また、いくつかのシリンジを25℃/60%RHで加速温度条件でも保存した。5℃での代表的なデータを表7に与える。
【0324】
9ヶ月のリアルタイム安定性データに基づいて、2〜8℃で18ヶ月の暫定保存寿命がランレオチド3ヶ月PEG製剤に対して提案される。
【0325】
表7:5℃での安定性データ
【表7】
【0326】
例3c(グリコフロール製剤)
2つの異なるランレオチド3ヶ月グリコフロール製剤(G1:47.5%のAPI及びG2:40%のAPI)を、アレニウス法に基づく加速安定性研究のために選択した。この研究を、短い持続期間にわたって異なる貯蔵条件での分解速度を決定するように設計した。
【0327】
バッチを40℃〜55℃の範囲の3つの異なる貯蔵条件で10〜15日間保存した。結果を表8に与える。
【0328】
表8:総不純物≧0.1%の合計に基づくアレニウス予測
【表8】
【0329】
このアレニウス試験中に得られたデータに基づいて、同様の分解速度がG1及びG2製剤について5℃で観察された。両方の場合において、観察された分解速度に基づく保存寿命予測は、約24ヶ月の貯蔵寿命予測を裏付ける。加速温度条件で実施されたこの治験研究は、提案されたグリコフロール系製剤の適切な安定性を実証するものである。
【0330】
3つの異なるランレオチドグリコフロール製剤(G1:47.5%(w/w)のランレオチド、G2:40%(w/w)のランレオチド及びG3:44%(w/w)のランレオチド)を5℃での安定性試験のために選択した。結果を以下の表9〜11に与える。
【0331】
表9−5℃の条件での安定性データ(G1製剤)
【表9】
【0332】
表10−5℃の条件での安定性データ(G2製剤)
【表10】
【0333】
表11−5℃の条件での安定性データ(G3製剤)
【表11】
【0334】
ランレオチド平均濃度を、C18固定相を勾配溶離と共に使用する逆相方法を用いてHPLCにより決定する。定量分析を、ピーク面積を比較することにより外部標準を使用して実施する(カラム:Symetry C18 100mm×4.6mm;3.5μm又はそれと同等;流速:1mL/分;280nmでのUV検出;移動相:アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸の混合物;参照基準及びサンプル希釈液:0.1M酢酸)。
【0335】
不純物を、平均濃度決定と同一の方法を使用して試験する。サンプル中に存在する不純物の量を、ランレオチドのピーク面積に対する不純物のピーク面積から算出する。1の相対応答係数を使用する。総不純物を、0.1%を超える不純物の和として表す。