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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-74873(P2019-74873A)
(43)【公開日】2019年5月16日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20190419BHJP
   B23Q 15/013 20060101ALI20190419BHJP
   B23B 1/00 20060101ALI20190419BHJP
【FI】
   G05B19/4093 M
   B23Q15/013
   B23B1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-199697(P2017-199697)
(22)【出願日】2017年10月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】中谷 尊一
(72)【発明者】
【氏名】三宮 一彦
(72)【発明者】
【氏名】篠原 浩
【テーマコード(参考)】
3C001
3C045
3C269
【Fターム(参考)】
3C001KA01
3C001KB01
3C001TA02
3C001TB04
3C045AA01
3C045BA11
3C269AB02
3C269BB12
3C269CC01
3C269CC17
3C269RB17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークに対する切削工具の加工送り方向に沿った往復振動の影響を抑制できる工作機械を提供する。
【解決手段】ワークを切削加工する切削工具と、切削工具とワークとを相対的に回転させる回転手段と、切削工具とワークとを、所定の加工送り方向に送り動作させる送り手段と、切削工具とワークとを相対的に往復振動させる振動手段とを備え、ワークと切削工具との相対回転と、ワークに対する切削工具の加工送り方向への往復振動を伴う送り動作とによって、切削工具をワークに対して、各々加工送り方向が異なる複数の所定の移動経路に連続的に沿って移動させて切削加工を行う工作機械において、切削工具の前記移動が、互いに連続する2つの移動経路の一方の移動経路から他方の移動経路に切り替わる際に、移動経路の移動開始位置から所定の期間往復振動を規制し、所定期間の経過後に往復振動を開始させる振動規制手段を設けた工作機械。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを切削加工する切削工具と、前記切削工具と前記ワークとを相対的に回転させる回転手段と、前記切削工具と前記ワークとを、所定の加工送り方向に送り動作させる送り手段と、前記切削工具と前記ワークとを相対的に往復振動させる振動手段とを備え、
前記ワークと前記切削工具との相対回転と、前記ワークに対する前記切削工具の前記加工送り方向への前記往復振動を伴う送り動作とによって、前記切削工具を前記ワークに対して、各々加工送り方向が異なる複数の所定の移動経路に連続的に沿って移動させて切削加工を行う工作機械において、
前記切削工具の前記移動が、互いに連続する2つの前記移動経路の一方の前記移動経路から他方の前記移動経路に切り替わる際に、前記移動経路の移動開始位置から所定の期間前記往復振動を規制し、前記所定期間の経過後に前記往復振動を開始させる振動規制手段を設けた工作機械。
【請求項2】
互いに連続する2つの前記移動経路の一方の前記移動経路の前記切削工具の前記移動が、前記往復振動を停止状態とした送り動作によって行われる請求項1の工作機械。
【請求項3】
前記振動規制手段が、前記移動経路の移動開始位置から所定時間前記往復振動を規制する請求項1又は2の工作機械。
【請求項4】
前記振動規制手段が、前記移動経路の移動開始位置から、前記切削工具が前記移動経路における前記往復振動の振れ幅分移動する期間、前記往復振動を規制する請求項1又は2の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを切削加工する切削工具と、前記切削工具と前記ワークとを相対的に回転させる回転手段と、前記切削工具と前記ワークとを、所定の加工送り方向に送り動作させる送り手段と、前記切削工具と前記ワークとを相対的に往復振動させる振動手段とを備え、前記ワークと前記切削工具との相対回転と、前記ワークに対する前記切削工具の前記加工送り方向への前記往復振動を伴う送り動作とによって切削加工を行う工作機械が知られている(例えば特許文献1参照)。
一般的に旋盤等の工作機械は、前記切削工具を前記ワークに対して、各々加工送り方向が異なる複数の所定の移動経路に連続的に沿って移動させて切削加工を行うことが可能なことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/146945号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各々加工送り方向が異なる複数の所定の移動経路に連続的に沿って切削工具を移動させて切削加工を行い、互いに連続する2つの前記移動経路の一方の前記移動経路から他方の前記移動経路に切り替わる際に、前記移動経路の移動開始位置において、ワークに対する前記切削工具の前記加工送り方向に沿った往復振動の影響を抑制できる工作機械を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の工作機械は、ワークを切削加工する切削工具と、前記切削工具と前記ワークとを相対的に回転させる回転手段と、前記切削工具と前記ワークとを、所定の加工送り方向に送り動作させる送り手段と、前記切削工具と前記ワークとを相対的に往復振動させる振動手段とを備え、前記ワークと前記切削工具との相対回転と、前記ワークに対する前記切削工具の前記加工送り方向への前記往復振動を伴う送り動作とによって、前記切削工具を前記ワークに対して、各々加工送り方向が異なる複数の所定の移動経路に連続的に沿って移動させて切削加工を行う工作機械において、前記切削工具の前記移動が、互いに連続する2つの前記移動経路の一方の前記移動経路から他方の前記移動経路に切り替わる際に、前記移動経路の移動開始位置から所定の期間前記往復振動を規制し、前記所定期間の経過後に前記往復振動を開始させる振動規制手段を設けたことを特徴とする。
【0006】
本発明の工作機械は、上記構成おいて、互いに連続する2つの前記移動経路の一方の前記移動経路の前記切削工具の前記移動が、前記往復振動を停止状態とした送り動作によって行われるのが好ましい。
【0007】
本発明の工作機械は、上記構成おいて、前記振動規制手段が、前記移動経路の移動開始位置から所定時間前記往復振動を規制するのが好ましい。
【0008】
本発明の工作機械は、上記構成おいて、前記振動規制手段が、前記移動経路の移動開始位置から、前記切削工具が前記移動経路における前記往復振動の振れ幅分移動する期間、前記往復振動を規制するのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように構成される本発明の工作機械の構造によると、各々加工送り方向が異なる複数の所定の移動経路に連続的に沿って切削工具を移動させて切削加工を行い、互いに連続する2つの前記移動経路の一方の前記移動経路から他方の前記移動経路に切り替わる際に、振動規制手段によって、前記移動経路の移動開始位置から所定の期間、ワークに対する前記切削工具の前記加工送り方向に沿った往復振動が規制され、前記所定期間の経過後に前記往復振動が開始するため、前記移動経路の移動開始位置において、前記往復振動による影響を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態の工作機械の概略を示す図。
図2】本発明の一実施の形態の切削工具とワークとの関係を示す図。
図3】本発明の一実施の形態の切削工具の往復振動および位置を示す図。
図4】本発明の一実施の形態の主軸n回転目、n+1回転目、n+2回転目の関係を示す図。
図5A】本発明の一実施の形態の送り量と振幅との関係について説明する図。
図5B】本発明の一実施の形態の送り量と振幅との関係について説明する図。
図5C】本発明の一実施の形態の送り量と振幅との関係について説明する図。
図6】切削工具を複数の補間経路に沿って連続的に移動させる状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
工作機械100は、図1に示されるように、主軸110と、切削工具台130Aとを備えている。
主軸110の先端にはチャック120が設けられている。
主軸110は、ワークを保持するワーク保持手段として構成され、ワークWがチャック120を介して主軸110に保持されている。
切削工具台130Aは、ワークWを旋削加工するバイト等の切削工具130を保持する刃物台として構成され、切削工具130が切削工具台130Aに装着されている。
【0012】
主軸110は、図示しない主軸モータの動力によって回転駆動されるように主軸台110Aに支持されている。
前記主軸モータとして主軸台110A内において、主軸台110Aと主軸110との間に形成される従来公知のビルトインモータ等が考えられる。
主軸台110Aは、Z軸方向送り機構160を介して工作機械100のベッド側に搭載されている。
Z軸方向送り機構160は、前記ベッド等のZ軸方向送り機構160の固定側と一体的なベース161と、主軸110の軸線方向となるZ軸方向に延びて、ベース161に設けられるZ軸方向ガイドレール162とを備えている。
Z軸方向ガイドレール162に、Z軸方向ガイド164を介してZ軸方向送りテーブル163がスライド自在に支持されている。
Z軸方向送りテーブル163側にリニアサーボモータ165の可動子165aが設けられている。
ベース161側にリニアサーボモータ165の固定子165bが設けられている。
リニアサーボモータ165の駆動によってZ軸方向送りテーブル163が、Z軸方向に移動駆動される。
主軸台110Aは、Z軸方向送りテーブル163に搭載されている。
Z軸方向送りテーブル163の移動によって主軸台110AがZ軸方向に移動し、主軸110のZ軸方向への移動が行われる。
主軸110は、主軸台110Aと一体的に、Z軸方向送り機構160によってZ軸方向に移動自在に設けられ、Z軸方向送り機構160は、主軸移動機構として、主軸110をZ軸方向に移動させる。
【0013】
X軸方向送り機構150が、工作機械100のベッド側に設けられている。
X軸方向送り機構150は、前記ベッド側と一体的なベース151と、Z軸方向に対して上下方向で直交するX軸方向に延びるX軸方向ガイドレール152とを備えている。
X軸方向ガイドレール152はベース151に固定され、X軸方向ガイドレール152には、X軸方向送りテーブル153がX軸方向ガイド154を介してスライド自在に支持されている。
切削工具台130Aは、X軸方向送りテーブル153に搭載されている。
X軸方向送りテーブル153側にリニアサーボモータ155の可動子155aが設けられている。
ベース151側にリニアサーボモータ155の固定子155bが設けられている。
X軸方向送りテーブル153がリニアサーボモータ155の駆動によってX軸方向ガイドレール152に沿ってX軸方向に移動することにより、切削工具台130AがX軸方向に移動し、切削工具130がX軸方向に移動する。
X軸方向送り機構150は、刃物台移動機構として、切削工具台130Aを切削工具130と一体的に、X軸方向に移動させる。
前記刃物台移動機構(X軸方向送り機構150)と前記主軸移動機構(Z軸方向送り機構160)とが協動して動作し、X軸方向送り機構150よるX軸方向への切削工具台130A(切削工具130)の移動と、Z軸方向送り機構160による主軸台110A(主軸110)のZ軸方向への移動によって、切削工具130は、ワークWに対して相対的に任意の加工送り方向に移動して送られる。
なお、Z軸方向およびX軸方向に直交するY軸方向に対するY軸方向送り機構を設けてもよい。
前記Y軸方向送り機構は、X軸方向送り機構150と同様の構造とすることができる。
X軸方向送り機構150をY軸方向送り機構を介してベッドに搭載することにより、Y軸方向送りテーブルをリニアサーボモータの駆動によってY軸方向に移動させ、切削工具台130AをX軸方向に加えてY軸方向に移動させ、切削工具130をX軸方向およびY軸方向に移動させることができる。
この場合、前記刃物台移動機構は、X軸方向送り機構150とY軸送り機構とから構成され、前記刃物台移動機構と前記主軸移動機構とが協動し、切削工具台130Aに装着されている切削工具130は、ワークWに対してX軸方向及びZ軸方向に加えて、Y軸方向に移動が可能となり、相対的に任意の加工送り方向に移動して送られる。
Y軸方向送り機構を、X軸方向送り機構150を介してベッドに搭載し、前記Y軸方向送りテーブルに切削工具台130Aを搭載してもよい。
【0014】
前記主軸移動機構と前記刃物台移動機構とから構成される送り手段により、主軸110と切削工具台130Aとを相対的に移動させ、切削工具130を、ワークWに対して相対的に任意の加工送り方向に移動させて送り、主軸110を、ワークWと切削工具130とを相対的に回転させる回転手段として駆動して、ワークWを切削工具130に対して回転させることによって、図2に示すように、ワークWを、前記切削工具130により任意の形状に切削加工することができる。
【0015】
本実施形態においては、主軸台110Aと切削工具台130Aとの両方を移動するように構成しているが、主軸台110Aを工作機械100のベッド側に移動不能に固定し、刃物台移動機構を、切削工具台130AをX軸方向、Z軸方向、またはY軸方向に移動させるように構成してもよい。
この場合、前記送り手段が、切削工具台130AをX軸方向、Z軸方向、またはY軸方向に移動させる刃物台移動機構から構成され、固定的に位置決めされて回転駆動される主軸110に対して、切削工具台130Aを移動させることによって、切削工具130をワークWに対して任意に加工送り動作させることができる。
切削工具台130Aを工作機械100のベッド側に移動不能に固定し、主軸台110AをX軸方向、Z軸方向、またはY軸方向に移動させるように、主軸移動機構を構成してもよい。
この場合、前記送り手段が、主軸台110AをX軸方向、Z軸方向、またはY軸方向に移動させる主軸台移動機構から構成され、固定的に位置決めされる切削工具台130Aに対して、主軸台110Aを移動させることによって、切削工具130をワークWに対して任意に加工送り動作させることができる。
本実施形態においては、X軸方向送り機構150、Y軸方向送り機構、Z軸方向送り機構160は、リニアサーボモータによって駆動されるように構成されているが、従来公知のボールネジとサーボモータとによる駆動等とすることもできる。
本実施形態においては、ワークWと切削工具130とを相対的に回転させる回転手段が、前記ビルトインモータ等の前記主軸モータによって構成され、ワークWと切削工具130との相対回転は、主軸110の回転駆動によって行われる。
本実施形態では、切削工具130に対してワークWを回転させる構成としたが、ワークWに対して切削工具130を回転させる構成としてもよい。
この場合切削工具130としてドリル等の回転工具が考えられる。
【0016】
主軸110の回転、X軸方向送り機構150やZ軸方向送り機構160、あるいはY軸送り機構等の移動は、制御装置Cで制御される。
制御装置Cは、制御部C1によって主軸110の回転、Z軸方向送り機構160、X軸方向送り機構150、あるいはY軸方向送り機構を駆動制御する。
制御部C1は、各送り機構を振動手段として、各送り機構を各々対応する移動方向に沿って往復振動させながら、主軸台110A又は切削工具台130Aを各々の方向に移動させるように制御を行う。
各送り機構は、制御部C1の制御により、図3に示すように、主軸110又は切削工具台130Aを、1回の往復振動において、所定の前進量だけ前進(往動)移動してから所定の後退量だけ後退(復動)移動させ、前進量と後退量の差である進行量だけ各移動方向に移動させる。
前記送り手段は、制御部C1の制御による各送り機構の協動によって、ワークWに対して切削工具130を加工送り方向に沿って往復振動させ、所定の進行量ずつ進めながら加工送り方向に移動させて送る。
前記送り手段により、切削工具130が加工送り方向に沿った往復振動しながら加工送り方向に送られることによって、主軸1回転分となる主軸位相0度から360度まで変化した時の前記進行量の合計を送り量として、ワークWの加工が行われる。
前記送り手段による切削工具130の送りにより、例えば、ワークWを所定の形状に外形切削加工することによって、ワークWの周面は、図4に示すように波状に切削される。
図4に示されるように、ワークWの1回転当たりの切削工具130の振動の回数を振動数Nとすると、振動数Nが、3.5回(振動数N=3.5)の場合、n+1回転目(nは1以上の整数)の切削工具130により旋削されるワークWの周面形状の位相が、n回転目の切削工具130により旋削された形状の位相に対して逆位相の関係となる。
これにより、n回転目の切削工具130の往動時の切削加工部分と、n+1回転目の復動時の切削加工部分とが一部重複する。
ワーク周面のn+1回転目の切削部分に、n回転目に切削済みの部分が含まれるため、この部分では、切削中に切削工具130が、ワークWに対して何ら切削を行わずに空削りする、空振り動作が生じる。
切削加工時にワークWから生じる切屑は、前記空振り動作によって順次分断される。
工作機械100は、切削工具130の切削送り方向に沿った往復振動によって切屑を分断しながら、ワークWの外形切削加工等を円滑に行うことができる。
切削工具130の往復振動によって切屑を順次分断する場合、ワーク周面のn+1回転目の切削部分に、n回転目に切削済みの部分が含まれていればよい。
換言すると、ワーク周面のn+1回転目における復動時の切削工具130の軌跡が、ワーク周面のn回転目における切削工具130の軌跡の位置まで到達すればよい。
図4に示されるように、n+1回転目とn回転目のワークWにおける切削工具130により旋削される形状の位相が一致(同位相)とならなければよく、必ずしも180度反転させる必要はない。
【0017】
図5Aに示すように、図4と同様に、主軸1回転で切削工具130が3.5回振動し、切削工具130の往動時の切削加工部分と、復動時の切削加工部分とが一部重複し、ワークW周面のn+1回転目の切削部分に、n回転目に切削済みの部分が含まれ、切削中に切削工具130の前記空振り動作が生じている状態から、図5Bに示すように、単に送り量だけ増大させると、2回転目における復動時の切削工具130の軌跡が1回転目における切削工具130の軌跡まで到達しなくなるため、前述した空振り動作ができず、切屑が分断されない場合がある。
なお図5A乃至図5Cでは、説明をわかり易くするために、切削工具130の振動を直線状にして表現している。
単に送り量を徐々に増加させていくと、前述した切削工具130の往動時の切削加工部分と復動時の切削加工部分との重複部分が徐々に小さくなり、往動時の切削加工部分と復動時の切削加工部分とが重複しなくなるため、前述した空振り動作ができず、切屑が分断されない場合が発生する。
制御部C1は、ワークWに対する切削工具130の送り量に比例して前記往復振動の振幅を設定する振幅設定手段を備える。
振幅設定手段は、送り量に対する振幅の比率を振幅送り比率として、送り量に振幅送り比率を乗じて振幅を設定するように構成されている。
振幅送り比率は、ユーザによって、数値設定部C2等を介して、制御部C1に設定することができる。
前記振幅設定手段と前記振動手段とは互いに連係し、図8Cに示すように、切削工具130の前記加工送り方向に沿った往復振動と、切削加工において設定される送り量に応じた振幅を設定することによって、制御部C1がワークWのn+1回転目における復動時の切削工具130の軌跡を、ワークWのn回転目における切削工具130の軌跡まで到達させるように前記振動手段を制御する。
これにより、補正手段によって補正された振動の条件に対して、送り量に応じて振幅が設定され、制御部C1の制御によって振動手段が切削工具130を、前述した空振り動作が生じるように振動させて、切屑を分断することができる。
【0018】
切削工具130の前記送りによる前記切削加工は、切削工具130を所定の座標位置に移動させるように制御部C1側に移動指令することによって行われる。
例えば、移動開始位置としてワークWに対して所定の座標位置に位置する切削工具130を、前記移動指令によって指定される座標位置を到達位置として、所定の補間方法に基づいた補間経路を移動経路として移動させることによって、2つの座標位置間を前記補間経路で繋いだ形状に沿って切削工具130が送られ、2つの座標位置間を前記補間経路で繋いだ形状にワークWが切削加工される。
切削工具130を、前記2つの座標位置間を直線状の補間経路で移動させることによって、ワークWが前記両座標位置間で直線状の形状に加工される。
切削工具130を、前記2つの座標位置間を所定の半径を有する円弧状の補間経路で移動させることによって、ワークWが前記両座標位置間で前記円弧状の形状に加工される。
【0019】
本実施形態の制御部C1は、図6に示されるように、切削工具130を複数の前記補間経路に沿って連続的に移動させることによって、複数の前記補間経路が連続的に接続された形状に沿って切削工具130を送り、ワークWの切削加工を実行することができる。図6においては、切削工具130を、(Xs,Zs)から(X1,Z1)への第1の補間経路、(X1,Z1)から(X2,Z2)への第2の補間経路、(X2,Z2)から(X3,Z3)への第3の補間経路、(X3,Z3)から(Xe,Ze)への第4の補間経路に沿って連続的に移動させる場合を示す。
制御部C1は、切削工具130の送りによる移動が、互いに連続する2つの補間経路の一方の補間経路に沿った移動から他方の補間経路に沿った移動に切り替わる際、振動規制手段として、補間経路の移動開始位置から所定の時間、往復振動を伴うことなく切削工具130を移動させるように、前記往復振動を規制する。
ただし、制御部C1は、前記所定の時間経過後は、前記往復振動を伴う送りを行い、切削工具130は前記補間経路に沿って、往復振動を伴う前記送りによってワークWの切削加工を実行する。
前記往復振動の停止によって、切削工具130は、前記補間経路の移動開始位置から到達位置に向かって、一方向に順次連続的に送られ、移動開始位置から時間経過に伴って、到達位置から移動開始位置に向かう復動を行うことなく、往動のみで順に切削部分が増加する。
切削工具130は、移動開始位置から所定の時間経過することによって、前記往復振動されない送りにより、前記補間経路での往復振動の振れ幅分の切削を行うことができる。
制御部C1は、切削工具130が前記往復振動されない送りにより、前記補間経路での往復振動の振れ幅分の切削を行う時間が経過するまで前記往復振動を規制する。
振動規制手段による往復振動の規制により、切削工具130が、互いに連続する2つの補間経路の一方の補間経路に沿った移動から他方の補間経路に沿った移動に切り替わる際、補間経路の移動開始位置から、前記往復振動の復動による移動開始位置を越える方向への不要な切削が防止され、切削形状の異常を防止することができ、加工精度を向上させることができる。
互いに連続する2つの補間経路の一方の補間経路全体において、前記往復振動を伴わず前記補間経路に沿って移動開始位置から到達位置に向かって、一方向に順次連続的に切削工具130を送る場合、連続する補間経路での加工に際して振動規制手段による往復振動の規制を実行することができる。
最大で復動分の振れ幅が移動開始位置を越える方向への不要な切削となるため、前記復動の振れ幅分の切削を行う時間が経過するまで前記往復振動を規制するように振動規制手段を構成することができる。
【0020】
前記補間経路の移動開始位置から切削を開始する際、切削工具130の前記往復振動の振幅が、前記振幅送り比率によって定められる所定振動振幅より小さな振幅から、順次拡大し、定められた振動振幅に至るように、切削工具130の往復振動を制御する振幅制御手段を制御部C1に設けることができる。
この場合切削工具130の到達位置に向かう移動の量と順次振幅が拡大される往復振動の復動側の振れ幅との合成によって定まる移動開始位置を越える方向への不要な切削の量の切削を行う時間が経過するまで前記往復振動を規制するように振動規制手段を構成することができる。
なお互いに連続する2つの補間経路の一方の補間経路に沿った移動から他方の補間経路に沿った移動に切り替わる際、補間経路の移動開始位置から所定の時間ではなく、移動開始位置を越え得る復動の振れ幅を算出し、算出された前記振れ幅分、前記往復振動が規制された送りによって切削を行うように振動規制手段を構成してもよい。
制御部Cは、振動規制手段として、上記のように切削工具130の送り(移動)が、互いに連続する2つの前記補間経路の一方の前記補間経路から他方の前記補間経路に切り替わる際に、前記補間経路の移動開始位置から所定の期間前記往復振動の規制を行い、前記所定期間の経過後に前記往復振動を開始させる。
なお往復振動の規制は、例えば振幅送り比率を0とすることによって実行することができる。
また振幅送り比率を0等とすることによって往復振動を停止させて切削加工を行う分割補間経路を設定することもできる。
ただし前記補間経路の移動開始位置を前記送り方向に沿った往復振動の復動から往動に変化する変曲点として、到達位置に向かって振動させることによって、移動開始位置を越える方向への不要な切削を防止することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6